任意同行は拒否できるか、できないか。弁護士に聞く任意同行への対処法

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弁護士事務所の掲載順と弁護士の力量とは無関係です。相性を考慮して、ご自身に合った弁護士をお探しください。

任意同行は拒否できるか、できないか。弁護士に聞く任意同行への対処法

いきなりですが、皆さんに問題です。

任意同行

拒否できるか?

拒否できないか?

任意同行というのは、警察に囲まれて「署までご同行願います」というアレですね。

被害届が受理されたり、警察が怪しいと思ったりすると、捜査が始まるわけですが…

もし同行を拒否したら拒否するとどうなるのでしょうか?

「任意」というからには、無理やり連れて行かれるものではないはず。

でも実際のところどうなのか、気になりませんか?

というわけで、今回私たちカタログ編集部は、

任意同行って拒否できるの?できないの?拒否するとどうなる?

というギモンから出発し、弁護士の先生に聞きながら徹底的に調査しました。

解説は、テレビや雑誌でおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。

よろしくお願いします。

今回は任意同行は拒否できるかというテーマで、

  • ・弁護活動の現場での経験
  • ・最新の動向

を踏まえて、わかりやすくお話できればと思います。

さて、「拒否できるかできないか」の前に…

まずは簡単に、任意同行とはなにかという点を押さえておきましょう。

そもそも任意同行とは?任意同行の基礎知識を押さえよう

そもそも任意同行とは?任意同行の基礎知識を押さえよう

任意同行とは?拒否できる?拒否できない?

刑事手続きに関する決まりごとが書かれている法律として、刑事訴訟法があります。

刑事訴訟法197条の1項に、とても大切なことが書かれていますので、まずはそこから見てみましょう。

第197条
捜査については、その目的を達するため必要な取調をすることができる。但し、強制の処分は、この法律に特別の定のある場合でなければ、これをすることができない。

「但し」(ただし)以下の部分に注目してください。

ここにもある通り、特別に定められている場合でない限り、強制的な処分はできない決まりになっています。

つまり法律に定めがない限り、任意捜査しかできないということです。

これを任意捜査の原則といいます。

同じく刑事訴訟法の198条には、任意同行に関する規定があります。

第198条
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。

ここでも「但し」(ただし)以下に注目してください。

ここにもある通り、任意同行は「任意」的な捜査。

警察署に行くことを拒否してもOK

警察署に行った後も、いつでも退去してOK

なのです。

つまり任意同行は拒否できるんですね。

刑事訴訟法の世界には、

  • ・強制的な捜査
  • ・任意的な捜査

の2種類があります。

このうち

  • 逮捕は強制的な捜査
  • 任意同行は任意的な捜査

にあたります。

なるほど。以上の点を整理すると、

刑事事件は任意的な捜査が大前提

あらかじめ法律に定められている場合でないと、強制的な捜査はできない

逮捕状とともに執行される逮捕と違って

任意捜査は拒否できる

というわけですね。

逮捕と任意同行はまったく別物という点も、きちんと押さえておきましょう。

まとめ

任意同行とは?拒否できる?拒否できない?

任意的な捜査 強制的な捜査
処分の内容 任意同行 逮捕
逮捕状 なし あり(※)
拒否の可否 拒否できる 拒否できない

※緊急逮捕や現行犯逮捕の場合、逮捕状の発付を待たずに逮捕されます。

職務質問と任意同行はどう違うの?

ところで、職務質問と任意同行はどう違うのでしょうか。

職務質問も、拒否できる任意の捜査ですよね?

刑事事件の捜査は、

  • 職務質問
  • 所持品検査
  • 任意同行

という順に進みます。

職務質問と任意同行は、別の段階にあるものなのです。

なるほど。このあたりをなんとなくごちゃごちゃに考えてしまいがちですが…

任意同行は、職務質問のあとの段階の話なんですね。

職務質問については、警察官職務執行法に規定があります。

警察官職務執行法は、警察官が職責を達成するために必要な手段が定められている法律です。

今回はその2条を引用します。

第2条
警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。

▼職務質問に始まり

▼怪しいと所持品検査

▼さらに容疑が深まると任意同行

こんな流れになっているようです。

まとめ

職務質問と任意同行はどう違うの?

任意的な捜査 強制的な捜査
きっかけ 職務質問
持ち物検査 所持品検査 捜索・差押さえ
警察署へ 任意同行 逮捕

任意同行を拒否するとどうなる?

任意同行は、拒否できるということがわかりました。

でも実際のところ、拒否したらどうなるのでしょうか。

警察官の邪魔をしたとして、かえって公務執行妨害で捕まってしまうのではないでしょうか。

拒否したことで裁判沙汰にでもなったら、どうするのでしょうか。

…このあたり、全然わからないから怖いですよね。

任意同行を拒否したからといって、裁判沙汰になることはありません。

任意同行の求めに応じるか否かは本人の自由です。

これを拒否したことで、犯罪が成立したり、違法な行為と評価されることはないので安心してください。

もっとも、任意同行を拒否する際に、警察官の身体を押すなどの行為をした場合は別です。

警察官の身体を押すなどして任意同行を拒否した場合は、警察官に対する暴行があったとして公務執行妨害が成立するリスクがあります。

任意同行を拒否する際は、口頭で拒否の意思を伝え、警察官の身体等には一切触れないようにしましょう。

なるほど、そうなんですね。

任意同行を拒否しても裁判沙汰にはならないということで、安心しました。

このページでは、逮捕について踏み込んで書いていません。

逮捕についてもっと知りたい方には、以下の記事がオススメです。

「任意同行と逮捕」の関係についても少し触れられているので、参考になるでしょう。

さて、任意同行を拒否する権利はあるものの、実際に拒否するのは難しそうですが…

次のコーナーでは、実際に任意同行を受けた人たちとその後について、9件の判例を紹介しています。

具体例を見るとイメージしやすいと思いますよ。

任意同行の事例9選!実際にあったケースを見てみよう

任意同行の事例9選!実際にあったケースを見てみよう

任意同行の拒否とその後の流れ

任意同行の拒否とその後の流れとしては、3つのパターンに整理できるかと思います。

A.拒否に成功して、事なきを得るパターン

B.拒否に失敗して、半ば強制的に連行されるも、その捜査が違法・不当であると認められるパターン

C.拒否に失敗して、半ば強制的に連行されるも、その捜査が合法・正当であるとされてしまうパターン

Aは、無事に任意同行を拒否できて、何事もなかった場合なので、特に問題はありませんね。

Bは、任意同行を拒否できず警察について行ってしまったものの、その任意同行自体が違法であった、と裁判所が判断してくれる場合。

こちらにとって結果的によかったといえるパターンです。

しかしCになると、話は少し違います。

Cは、任意同行を拒否したかったのに拒否できず、警察官について行ったところ、裁判所がその任意同行に問題はなかった、合法な捜査だったと判断する場合。

Cの場合、違法に集められた(ともいえそうな)証拠が使われて、有罪にされてしまう、という可能性が出てくるのです。

本当は犯罪を犯していない人だったら、これは大問題です。

といっても、具体例を見てみないことにはイメージもつきにくいと思います。

以下では、BとCそれぞれの具体例を見てみましょう。

パターン別に見る任意同行のケース9選

任意同行に関する判例を9つ紹介します。

各ケースにおける被疑者が、実際に任意同行を拒否したかどうかまでは調べられません。

しかしここでは、任意同行の適法性が争われたケースを集めてきました。

任意同行が違法とされたケース4選
裁判の名称 事案の概要 合法・不法
富山地裁昭和54年7月26日決定 任意同行後の被疑者の取調べについて、その時間、看視状況等から実質的逮捕と認められるものであるから、任意捜査として許容される範囲をこえた違法なものであった、と判断された事例。 違法
大阪高裁昭和63年2月17日判決 警察官が、午後9時20分ころ被告人に職務質問を行った後に任意同行を求め、翌朝午前4時頃まで仮睡・休憩時間を与えずに取調べを続けたことについて、任意捜査として許される限度を逸脱した違法なものであったと判断された事例。 違法
東京高裁平成14年9月4日判決 同棲相手を包丁で刺して殺害した事案において、被告人は警察署に同行されたのち10日間にわたって厳重に監視され、外界とほぼ隔絶された状態で取調べを受けたが、これは任意捜査として許容される限界を超えた違法なものであったと判断された事例。 違法
東京地裁平成22年8月6日判決 覚せい剤使用の事案において、職務質問開始から強制採尿手続に至る一連の手続は違法であるため、その際に作られた鑑定書の証拠能力は否定されるべきであるとして、被告人に無罪が言い渡された事例。 違法
最高裁昭和59年2月29日第二小法廷決定 被疑者を所轄警察署近辺のホテル等に宿泊させて取調べを続行したことについて、任意捜査の方法として違法とまではいえないと判断された事例。 合法
最高裁平成元年7月4日決定 同棲相手を絞殺したうえ、郵便貯金通帳等をとり預金を引き出した事案において、被告人を任意同行してから逮捕するまで20時間以上にわたって行われた取調べは、任意捜査として許容される限度を逸脱したものであったとまではいえない、とされた事例。 合法
最高裁平成6年9月16日決定 覚せい剤使用の疑いで職務質問する際、警察官が車のキーを取り上げて現場に留まらせたことには違法があるが、その後令状に基づき採られた尿から覚せい剤の反応があったため緊急逮捕したことを含めると、一連の手続は全体として違法とまではいえないとされた事例。 合法
広島高裁平成8年4月16日判決 覚せい剤取締法違反被告事件において、被告人に対する捜査官の職務質問および警察署への任意同行の過程に違法不当な点はないと判断された事例。 合法
東京地裁平成22年7月7日判決 執行猶予中の覚せい剤使用の事案につき、職務質問開始から捜索差押許可状の提示まで約4時間経過しており、その間警察官らは、何度か立ち去りたいとの意向を示した被告人を現場に待機させていたが、その捜査方法は適法であったとされた事例。 合法

②も③も、取調べ時間が本当に長いですね…。

任意同行という形でついていったのに、こんなに長期間取調べを受けたら、それは違法と判断されて当然な気がします。

④のように、捜査方法が違法とされると、そこで集めた証拠が使えなくなって、結果的に無罪になったりもするんですね。

ホテルに泊まって取調べを受けたり(⑤)、20時間も拘束されたり(⑥)…

もはや「任意」同行という言葉のイメージからはかけ離れていますね。。

でもこれらの捜査は皆、任意捜査として合法な範囲内だったとされているんです。

⑦⑧⑨のような覚せい剤事案では、尿採取の際の任意性が問題になることが多いようですね。

以下では、実際に任意同行を求められてしまった場合に、どうしたら拒否できるのかを見ていきましょう。

任意同行を拒否する方法はコレ!弁護士に聞く有効な方法とは

任意同行を拒否する方法はコレ!弁護士に聞く有効な方法とは

やましいことがあるなら罪を認めて反省しよう

第一に、そもそもやましいことがあるなら、潔く罪を認めて反省することが大切です。

身に覚えがあるのに任意同行に応じないのは、かえって事態を悪化させるばかり。

本当に犯罪を犯してしまったのであれば、任意同行を拒否する、しないの問題ではないのは、言うまでもないことでしょう。

やましいことがないなら穏やかに立ち去ろう

次に、任意同行を求められても、身に覚えがない場合です。

この場合、穏やかに立ち去るのが得策でしょう。

任意同行を拒否して立ち去る際、

  • ・慌てて逃げようとして周囲の人にぶつかってケガをさせたり
  • ・無実の自分を連れて行こうとする警察官に腹を立てて暴力を振るったり

といったことは、絶対にしてはなりません。

こうした行為は、

  • ・暴行罪や傷害罪
  • ・公務執行妨害罪

といった犯罪を構成する恐れがありますので注意が必要です。

任意同行を拒否することに集中するあまり犯罪を犯してしまうほど、もったいないことはありません。

問題を起こさないように、穏やかに立ち去ることを心がけましょう。

捜査が違法だったら国家賠償請求をしよう

身に覚えがなかったら、任意同行を拒否して穏やかに立ち去れ。

…とはいうものの、現実には、任意同行を拒否するのはそうそう簡単なことではありません。

拒否しようとあがいていると、どんどん警察官が増えてきて、取り囲まれてしまう。

そんなことも、珍しくないようです。

本当に潔白なのに、任意同行を拒否できず警察署までついて行ってしまった。

その結果犯人として起訴されてしまった…。

こんな人は、どうしたらよいのでしょうか?

任意同行が違法捜査だった場合、その効果としては以下の3つが考えられます。

▼民事上の効果

違法な任意同行が行われた場合は、国家に対する損害賠償請求が可能です。

被った損害の内容や程度に応じた賠償金の支払いを求めることができます。

▼刑事手続き上の効果

違法な任意同行が行われた場合は、その任意同行の結果得られた証拠は無効となります。

つまり、違法な任意同行の結果得られた証拠は、原則として、その後の刑事裁判で利用することができません。

そのため、不起訴処分や無罪判決となる可能性が高まります。

▼行政人事上の効果

違法な任意同行を繰り返す捜査官は、所属する組織内部で低い人事評価を受けることになります。

捜査機関としても、取り決め的には違法な任意同行は推奨していません。

違法な任意同行を繰り返す捜査官は、上司から「仕事ができない」と評価されることになるでしょう。

任意同行を求められたが拒否できず、警察署について行ってしまった。

しかしその後の刑事裁判で、その任意同行は違法になされたものと判断された。

このような場合、国家賠償請求をすることが可能です。

詳しくは、弁護士に相談してみましょう。

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まとめ

いかがでしたか?

任意同行の拒否について、弁護士の先生と一緒に見てきました。

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