公務執行妨害罪で罰金刑の相場は?具体的金額を事例からみる。不起訴になるには?
公務執行妨害罪で検挙・逮捕されてしまった。
罰金刑になるのだろうか。
そんな不安をお持ちの方のために、公務執行妨害罪と罰金について徹底的に解説していきます。
- 罰金の納付方法、分割払いの可否、払えない未納時どうなるか。
- 公務執行妨害罪における罰金刑の金額相場。
- 罰金刑を回避するために目指すべき「不起訴処分」。
など、これを読んで不安を解消させてください。
法的な解説は、刑事事件の解決経験豊富なアトム法律事務所の弁護士にお願いしていきます。
よろしくお願いします。
公務執行妨害罪でお悩みの方に、罰金刑などの刑罰について解説していきます。
具体的なイメージ、相場感をみるためにも、実際にあった事例もチェックしていきましょう。
目次
公務執行妨害罪の罰金はどう払う?分割はできるのか?
まず、公務執行妨害罪で罰金刑が科された場合の
- 支払い方法
- 分割払いの可否
- 未払い
についてお伝えしていきましょう。
①罰金の納付方法
罰金は
- ① 検察庁で直接納付
- ② 後日郵送されてくる納付告知書を使い、指定の金融機関で納付
の2種類の納付方法があります。
罰金は高額な場合もあります。
金策の付けやすい方法で納付しましょう。
②罰金は分割払いできるのか
もし罰金が高額となった場合、分割払いができれば助かりますよね。
認められるのでしょうか。
実は、検察庁に分割の申し出をしても、最初は断られることが多いようです。
「どこからかお金を借りられないのか」、などを聞かれるようですね。
ですが、粘り強く説明をすることで認められるケースもあります。
検察庁に交渉に行く場合には、自分の事情を説明できるよう、しっかりとまとめてから向かいましょう。
③罰金が払えない・未払いの場合どうなるのか
場合によっては罰金が払えない場合もありますよね。
このような未払いの場合、どうなってしまうのでしょうか。
罰金の未払いについては、法律でこう定められています。
罰金を完納することができない者は、一日以上二年以下の期間、労役場に留置する。
出典:刑法18条1項
「労役場」とは刑務所や拘置所に併設されている施設です。
つまり、罰金が払えない場合、
最大で2年、労役場に入れられる
ということです。
「労役」場という名の通り、そこでは軽作業をすることになります。
だいたい1日5000円と計算され、最長2年の中で、罰金残額に相当するまで留置されることになります。
日給がいくらで計算されるかは、ケースにより異なります。
裁判所から刑罰の言渡しを受ける際、以下のように決められるのです。
罰金刑の言渡し
「被告人を罰金〇〇万円に処する。これを完納することができないときは、金××円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。」
労役場留置は「罰金支払い」のために行われるものです。
そのため、途中で罰金の残額を支払えば即日出てくることができます。
公務執行妨害罪における罰金刑の金額相場をチェック!
では、公務執行妨害罪を実際に犯した具体的事例を見てみましょう。
数件みると、罰金刑の金額相場が見えてくるかもしれません。
事例① |
---|
▼事案:交通取締りをしていた警察官の胸を、手のひらで1回突く。 ▼前科:初犯 ▼刑罰:罰金30万円 |
事例② |
▼事案:路上喫煙を注意した警察官の頬を平手打ちした。 ▼前科:初犯 ▼刑罰:罰金30万円 |
事例③ |
▼事案:公園内の環境浄化作業中の区役所職員に暴行をはたらいた。 ▼前科:前科3犯 ▼刑罰:罰金30万円 |
事例④ |
▼事案:コンビニ店内で騒いでいたところ、駆けつけた警察官の胸倉をつかんで振り回した。 ▼前科:初犯 ▼刑罰:罰金30万円 |
以上が罰金刑の具体的事例でした。
もっとも、「同じような事案であればこのくらいの相場」という金額相場にすぎません。
事案や事情が異なれば、罰金額も変動しますので、ご注意ください。
罰金の相場は、事案や事情によって変動する。
では、どのような事案で懲役となっているのでしょうか。
罰金刑事案との差をみてみましょう。
事例① |
---|
▼事案:区役所の窓口係員に対し、同人の髪をつかんで引っ張り、顔につばをはきかける。 ▼前科:初犯 ▼刑罰:懲役6月、執行猶予3年 |
事例② |
▼事案:親子喧嘩に駆け付けた警察官に、ボルトカッターを振り上げながら「殺してやる」と脅迫した。 ▼前科:初犯 ▼刑罰:懲役10月、執行猶予3年 |
事例③ |
▼事案:口論中に駆け付けた警察官の右腕を、平手で1回突く。 ▼前科:前科4犯 ▼刑罰:懲役10月 |
事例④ |
▼事案:交通指導取締りをしていた警察官に体当たりをし、頭頂部をげんこつで数回殴打した。 ▼前科:前科2犯 ▼刑罰:懲役1年4月 |
罰金事例①と懲役事例③を比べると、同じような事例でも初犯か前科ありかで刑罰が変わっていることがわかります。
もっとも懲役刑も事例・事情によって刑の軽重が変動します。
不安な場合は弁護士に相談してみましょう。
公務執行妨害行為が傷害罪にもあたる場合はどうなる?
ところで、公務員に対して暴行した結果、怪我をさせてしまう場合もあります。
この場合は傷害罪も成立することになります。
このように一つの行為で複数の犯罪を成立させた場合のことを「観念的競合」といいます。
複数罪が成立しますが、そのうち最も重い刑で処罰されることになります。
一つの暴行で公務執行妨害罪と傷害罪の両方が成立したとしましょう。
「傷害罪の刑罰」は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
これは公務執行妨害罪よりも重い刑罰ですから、観念的競合になった場合も同様に「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となります。
この場合の具体例もご紹介します。
事例① |
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▼事案:警察署への同行を求めた警察官を蹴り、全治1週間の傷を負わせる。 ▼前科:初犯 ▼刑罰:懲役1年、執行猶予3年 |
事例② |
▼事案:役所で、職員に対し顔面をげんこつで数回殴り、全治2週間の傷を負わせる。 ▼前科:前科1犯 ▼刑罰:懲役1年2月、執行猶予3年 |
事例③ |
▼事案:職務質問をしてきた巡査部長の腕に噛みつき、全治2週間傷を負わせた。 ▼前科:初犯 ▼刑罰:懲役1年6月、執行猶予3年 |
事例④ |
▼事案:公営バスの運転手に対し、殴るなどの暴行を加え、全治82日間の傷害を負わせた。 ▼前科:前科2犯 ▼刑罰:懲役1年6月、執行猶予4年 |
以上、公務執行妨害行為で傷害を加えてしまった場合の具体的事例をお伝えしました。
公務執行妨害罪ってどんな罪!?どんな刑罰が科せられる?
ここで、公務執行妨害罪について詳しく解説していきましょう。
下の定義に当てはまらなければ、そもそも罰金刑には科せられません。
冤罪の場合は、しっかりと弁護士に相談しましょう。
①公務執行妨害罪とは
公務執行妨害罪で、検挙・逮捕される事件をよく報道で目にしますよね。
太田署は7日、警察官に暴行したとして公務執行妨害容疑で大泉町吉田のアルバイト、(略)容疑者(22)を現行犯逮捕した。
出典:産経ニュース 2017.12.8 07:00
公務執行妨害罪は刑法95条に定められています。
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
出典:刑法95条1項
職務執行中の公務員に、暴行や脅迫を加えるだけでこの罪が成立してしまいます。
「邪魔すると、殴るぞ!」
などと言ってしまうだけで、検挙・逮捕される可能性がありますから言動には注意が必要ですね。
公務執行妨害罪の例
- 職務中の公務員を殴る、脅迫する。
- 職務中の公務員の近くに物を投げる。
- 公務員が職務として差し押さえた密造酒を投げ捨てる。
では、公務執行妨害罪が成立すると、どのような刑罰が科されるのでしょう。
②公務執行妨害罪に対する刑罰
先ほどみた条文によれば、公務執行妨害罪が成立すると
- 3年以下の懲役もしくは禁錮
- 50万円以下の罰金
に処するとされています。
「懲役」とは、刑事施設に拘置され、刑務作業を行う刑罰です。
懲役には無期と有期とがあります。
有期懲役は、原則として1月以上20年以下とされています。
また、同様に拘置しますが、刑務作業は行わせない刑罰を「禁錮」といいます。
禁錮も同様に無期、有期があり、有期懲役は原則1月以上20年以下とされています。
以上から公務執行妨害罪で科される刑罰の上限と下限を見てみましょう。
懲役 | 禁錮 | 罰金 | |
---|---|---|---|
刑の内容 | 刑事施設に拘置される(刑務作業あり) | 刑事施設に拘置される(刑務作業なし) | 金銭を納付 |
上限下限 | 1月以上、3年以下 | 1月以上、3年以下 | 1万円以上、50万円以下 |
なお、事情によっては刑が加重、減軽されることもあります。
不安な場合は弁護士に相談してみてください。
公務執行妨害罪にあたっても、罰金刑を回避できる可能性はある?
もっとも、このような公務執行妨害罪で逮捕・検挙されたでも罰金刑を回避できる可能性があります。
①公務執行妨害罪で検挙・逮捕されても、「不起訴処分」の可能性がある
罰金刑を回避するための重要なものが、「不起訴処分」です。
「不起訴処分」とは、「検察官に起訴されない」ということです。
起訴されなければ、刑事裁判になりませんから、有罪になることもありません。
罰金や懲役に処されることはないのです。
実際に公務執行妨害をした場合、「起訴猶予」を理由として不起訴処分になることがあります。
起訴猶予処分は、「罪を犯したとしても、諸事情を考慮して起訴しないと決められること」です。
反省しているか、初犯か、被害者の処罰感情はどうか、などの観点から決められることになります。
公務執行妨害で検挙・逮捕された場合は「起訴猶予処分」を目指して活動していくことでしょう。
②不起訴処分になるためには?
公務執行妨害罪で不起訴処分を得るためには、真摯に取り調べに応じることが大切です。
- 被疑者が反省しているか、
- 再び犯罪を犯してしまわないか
といった点から不起訴処分が検討されます。
反抗的な態度をとっていては、不起訴になる可能性は低くなるでしょう。
とはいえ、言われるがまま流されていると、してもいない罪を認めてしまうこともあります。
後で覆すことは難しいですから、慎重に取り調べを受けましょう。
取り調べにおける注意点は下の記事に詳細に記載されています。
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最後に一言アドバイス
いかがでしたか。
最後にアトム法律事務所の弁護士からひと言アドバイスをお願いします。
公務執行妨害罪で有罪となると、罰金や懲役刑になる可能性があります。
不起訴を獲得したり、過度に重い刑罰を回避するためには、検挙後適切に対応することが重要です。
事件後すぐに弁護士に注意点を聞けば、取り調べで不当な不利益を負わずに済む可能性もあります。
公務執行妨害罪の当事者になった場合は、すぐに弁護士にご相談ください。