交通事故の加害者が知りたい刑事事件の流れ|裁判までの流れ、刑事処分、保険会社の対応など
もしも、交通事故の加害者になってしまったら、
「刑事事件になって、裁判にかけられて、それから・・・」
というふうに、その後の流れについて不安になってしまいますよね。
そこで、今回は、交通事故に関する「刑事事件の流れ」についてまとめてみました。
交通事故の加害者の方が知りたいと思うであろう、
- ① 交通事故で科される刑事処分の内容
- ② 逮捕→起訴→裁判→刑事処分・刑務所という一連の流れ
- ③ 交通事故の示談の流れや、保険会社とのやりとり
などなど、レポートします。
交通事故の実務については、刑事事件の弁護活動に注力するアトム法律事務所の弁護士にお願いします。
よろしくお願いします。
刑事事件の加害者弁護の経験から、交通事故の加害者の方に知っておいてもらいたい刑事事件の処理の流れについて詳しく解説していきます。
目次
交通事故はどんな刑事事件になるのか?
交通事故の刑事処分の種類
「原付を含む自動車」の運転で人身事故を起こしてしまった場合には、
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
が、適用されて、刑事処分を受けることになります。
長い名前の法律ですよね・・・。
この法律は、
・自動車運転処罰法
と省略されて呼ばれることも多いです。
この記事の本文でも「自動車運転処罰法」という略称を使っていきます。
1.危険運転致死傷(自動車運転処罰法2条)
さて、交通事故を起こして刑事事件になったとします。
その場合、自動車運転処罰法では、次のような犯罪が成立します。
- 危険運転致死傷(2条、3条)
- アルコール等影響発覚免脱(4条)
- 過失運転致死傷(5条)
まずは、自動車運転処罰法2条の危険運転致死傷から確認していきます
自動車運転処罰法2条では、運転について一定の類型が規定されています。
その類型に該当して、人を傷害した場合には、危険運転致傷罪となり、
1月以上15年以下の懲役
が科せられます。
また、自動車運転処罰法2条の類型に該当する行為をして、人を死亡させた場合には、
1年以上20年以下の懲役
が科せられます。
自動車運転処罰法2条に挙げられている行為類型についてまとめてみました。
2条
- ① アルコール・薬物の影響
- ② 制御困難な高速度
- ③ 未熟な運転技能
- ④ あおり運転
- ⑤ 赤信号無視
⑥通行禁止道路の進行
実際に、条文も見てみましょう。
次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
五 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
六 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
出典:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条
このような危険な運転によって交通事故を起こした場合には、自動車運転処罰法2条によって刑事処分を受けることになります。
2.準危険運転致死傷(自動車運転処罰法3条)
さて、次に、自動車運転処罰法3条の説明にうつります。
自動車運転処罰法3条では、同法2条よりも刑罰が軽い行為類型が規定されています。
この行為類型に該当して、人に傷害を負わせた場合には、
1月以上12年以下の懲役
が科せられます。
また、人を死亡させてしまった場合には、
1月以上15年以下の懲役
が科せられます。
3条は、2条の危険運転致死傷よりも、刑罰が軽いというのが特徴です。
2条と区別するために、3条については、
「準危険致死傷」
という言葉をつかうことにします。
自動車運転処罰法3条の行為類型をまとめてみました。
3条
- ① アルコールや薬物
- ② 統合失調症・てんかん・再発性の失神・低血糖症・そう鬱病・睡眠障害などの病気
実際に、条文も見てみましょう。
アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は十二年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は十五年以下の懲役に処する。
出典:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第3条第1項
自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた者も、前項と同様とする。
出典:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第3条第2項
自動車運転処罰法2条にも、
アルコールや薬物
の影響で事故を起こした場合の規定がありました。
違いとしては、この3条の場合、
「走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」だったのに、運転をやめないで、結局、アルコールや薬物が原因で交通事故を起こした
というようなケースになります。
3.過失運転致死傷(自動車運転処罰法5条)
それでは、過失運転致死傷について説明していきましょう。
過失運転致死傷は、自動車運転処罰法5条に規定されています。
過失運転致死傷は、「自動車の運転上必要な注意を怠り」、人を死亡させた場合や、人を傷害した場合に成立する犯罪です。
過失運転致死罪、過失運転致傷罪ともに、
「7年以下の懲役もしくは禁錮」または「100万円以下の罰金」
という刑事処分が科せられます。
では、条文を読んでみましょう。
(過失運転致死傷)
第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
出典:自動車運転死傷行為処罰法第5条
過失運転致死傷は、危険運転致死傷の類型には該当しないけれど、危ない運転をして人身事故を起こしたケースというイメージです。
たとえば、
- スマホを見ながら運転
- ブレーキとアクセルの踏み間違い
などのケースです。
4.【小括】自動車の運転で成立する犯罪まとめ
自動車運転処罰法には、今まで見てきた危険運転致死傷や、過失運転致死傷のほかにも、犯罪が規定されています。
4条には、「アルコール等影響発覚免脱罪」が規定されています。
これは、運転の時にアルコールや薬物の影響があったケースで、その影響の発覚を免れようとする行為が処罰される規定です。
6条には、一定の行為類型で、無免許運転をした場合に、刑罰が加重される旨が規定されています。
こで、自動車運転処罰法で規定されている犯罪を整理してみましょう。
罪名 | 行為態様 | 刑罰 | |
---|---|---|---|
① | 危険運転致傷 (2条本文前段) | ①アルコール・薬物の影響 ②制御困難な高速度 ③未熟な運転技能 ④あおり運転 ⑤赤信号無視 ⑥通行禁止道路の進行 | 1月以上 15年以下 の懲役 |
② | 危険運転致死 (2条本文後段) | 上に同じ | 1年以上 20年以下 の懲役 |
③ | 準危険運転致傷 (3条1項前段、 同2項前段) | ・アルコール、薬物、病気で正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で運転 かつ ・その影響で正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた | 1月以上 12年以下 の懲役 |
④ | 準危険運転致死 (3条1項後段、 同2項後段) | ・アルコール、薬物、病気で正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で運転 かつ ・その影響で正常な運転が困難な状態に陥り、人を死亡させた | 1月以上 15年以下 の懲役 |
⑤ | アルコール等影響発覚免脱 (4条) | アルコール・薬物の影響発覚を免れる目的で罪証隠滅 | 1月以上 12年以下 の懲役 |
⑥ | 過失運転致死傷 (5条本文) | 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた | 1月以上 7年以下 の懲役・禁錮。 もしくは、 100万円以下の罰金。 |
無免許の場合には、刑罰が重くなります。
罪名 | 無免許の場合 (6条) | |
---|---|---|
① | 危険運転致傷 (2条本文前段) | 6月以上 20年以下の懲役 (但し、 2条3号を除く。) |
② | 危険運転致死 (2条本文後段) | なし |
③ | 準危険運転致傷 (3条1項前段、 同2項前段) | 1月以上 15年以下 の懲役 |
④ | 準危険運転致死 (3条1項後段、 同2項後段) | 6月以上 20年以下 の懲役 |
⑤ | アルコール等影響発覚免脱 (4条) | 1月以上 15年以下 の懲役 |
⑥ | 過失運転致死傷 (5条本文) | 1月以上 10年以下 の懲役 |
自動車運転処罰法で成立する交通事故の刑事事件について、理解ができたところで、次に、交通事故のその後の流れについて確認していきましょう。
交通事故を起こしたらその後どうなる?刑事事件の流れを解説
刑事裁判と民事裁判の違い
交通事故をおこすと、刑事裁判、民事裁判の両方が関係してくることになります。
交通事故は刑事事件と民事事件の両面があります。
刑事事件としては、
加害者としてどのような刑罰が科されるか
ということが問題になります。
これに対して、民事事件では、
交通事故の被害者にどのくらいの損害賠償を払うべきか
ということを争うことになります。
- ① 刑事事件:刑罰を科すかどうかが問題
- ② 民事事件:私法上の権利義務が問題
さて、ここから刑事事件として交通事故がどのように処理されていくのか、その流れを確認していきましょう。
【逮捕の流れ】警察が交通事故を刑事事件として処理するのはどんなケース?
ここから、刑事事件の流れを確認していきましょう。
- 交通事故に関する事件が発生し
- 逮捕または在宅のまま、捜査されて
- 起訴され
- 裁判で有罪判決が出され
- 刑事処分が科される
といった、一連の流れがあります。
くわしい流れについて、チェックしていきましょう。
交通事故で逮捕されるまでの流れ
交通事故が起きた場合、
加害者が自ら警察に通報
または、
交通事故の目撃者によって通報された
というような事情から、現行犯逮捕されるという流れが想定できます。
下記のニュースでも、交通事故の加害者は、通報されて現行犯逮捕されています。
20日午後2時ごろ、(略)「車が突っ込んだ」と100番通報があった。警視庁によると、横断歩道で歩行者らが乗用車にはねられるなどして、2歳の男児を含む男女7人がけがをした。
(略)
署は、車を運転していた(略)容疑者(85)を自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)の疑いで現行犯逮捕した。「アクセルとブレーキのペダルを踏み間違えたかもしれないが、よく覚えていない」と供述しているという。
出典:朝日新聞デジタル(2017年10月20日 21時00分)
このように、交通事故の現場で逮捕されてしまうこともあります。
しかし、交通事故が捜査される際は、
- 逮捕されなかったり
- 逮捕後、釈放されたり
など、身体を拘束されないで、捜査が進められるケースも多いです。
身体の拘束を受けないで捜査が進められる刑事事件のことを、「在宅事件」といったりします。
この状態で刑事裁判で起訴される場合、在宅のまま起訴されるので「在宅起訴」といわれます。
さて、交通事故をおこした後、
「逮捕されたくなくて、逃走してしまった。」
という加害者もいるかもしれません。
そのような場合でも、逮捕されるケースも多く、ニュースになっています。
道路左側の路肩を歩いていた80歳の女性に対し、後ろから進行してきた乗用車が衝突。この事故で女性は頭部強打の重傷を負ったが、クルマはそのまま逃走したことから、警察では重傷ひき逃げ事件として捜査を開始した。
現場で採取した破片から容疑車両を特定して車当たり捜査を行い、衝突痕のある同型車を発見。このクルマを使用していた(略)市内に在住する29歳の男をひき逃げ容疑で逮捕している。
警察の聴取に対して男は「逮捕されると思い、怖くなって逃げた」などと供述している
出典:レスポンス(2018年4月3日 15時00分)
このニュースのように、交通事故が起こると、車に衝突した痕跡が残ります。
そのため、警察によって逮捕されてしまうみたいです。
このほか、犯行が、防犯カメラやドライブレコーダーに記録されていたというケースもあります。
逮捕されてからの流れ
では、交通事故で逮捕された後、どのような流れになるのでしょうか?
以下の図で流れをチェックしてみましょう。
仮に、交通事故で逮捕された後、そのまま身体が拘束されたままだとします。
その場合、逮捕から48時間以内に検察官に送致されます。
その後、検察官によって「さらに留置して捜査が必要だ」と判断されたら、勾留請求されることになります。
裁判官によって「勾留」が決定された場合、原則として10日間、勾留されます。
もし、勾留が延長されると、逮捕された時から最長で23日間、家に帰ることができません。
その後、起訴されて、刑事裁判にかけられることになります。
以下の図で流れをチェックしてみましょう。
そして、起訴されてから約1か月(約40日)後、公判が開かれ、判決が下されることになります。
このような流れが、ふつうの刑事裁判になるのですが、交通事故の場合、ふつうの裁判と違うケースも多いようです。
どんな裁判がされるのでしょうか?
【刑事裁判の流れ】起訴されるなら簡易裁判所?実際の刑事処分の重さは?
交通事故の刑事裁判で多い「略式起訴」「略式命令」とは
刑事裁判は、検察官の「公訴」の提起がきっかけで開始されます。
「公訴」の提起は、「起訴」といわれたりもします。
公訴は、検察官がこれを行う。
出典:刑事訴訟法第247条
刑事裁判といえば、
裁判所の法廷で、一般公開されていて、裁判所の法廷で、裁判官が「判決文」を朗読している
といったものをイメージするかもしれません。
このような裁判手続を「判決」手続といいます。
しかし、交通事故で罰金刑を科される場合には、検察官が、
「略式請求」
をすることによって、
「略式命令」
という形式の裁判が行われることもあります。
交通事故の裁判手続
「判決」と「略式命令」がある
「略式命令」について確認しましょう。
「略式命令」とは、公判を開かず書面審理だけで刑を言い渡す簡易な刑事裁判手続を略式手続によってされる裁判のことをいいます。
略式手続の特徴としては、次のようなことが挙げられます。
- 簡易裁判所によって行われる
- 刑罰が「100万円以下の罰金または科料」の場合に限られる
- 被疑者が略式手続によることに異議がない場合に限られる
略式命令に要する期間は、どのくらいなのでしょうか。
略式命令の手続に要する期間は、通常1日で終わり、その日のうちに罰金刑が言い渡されます。
裁判所から指定された納付期限内に、罰金を支払うことになります。
関連する条文も挙げておきます。
略式手続
第四百六十一条
簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、百万円以下の罰金又は科料を科することができる。この場合には、刑の執行猶予をし、没収を科し、その他付随の処分をすることができる。
第四百六十一条の二
検察官は、略式命令の請求に際し、被疑者に対し、あらかじめ、略式手続を理解させるために必要な事項を説明し、通常の規定に従い審判を受けることができる旨を告げた上、略式手続によることについて異議がないかどうかを確めなければならない。
(略)
第四百六十二条
略式命令の請求は、公訴の提起と同時に、書面でこれをしなければならない。
出典:刑事訴訟法第461条、同第461条の2第1項、同第462条第1項
略式命令と判決手続の違いについてまとめてみました。
略式命令 | 判決手続 | |
---|---|---|
裁判所 | 簡易裁判所のみ | 簡易裁判所 地方裁判所 |
加害者の同意 | 必要 | 不要 |
審理の開始 | 略式請求される | 公訴の提起のみ |
審理の対象 | 「100万円以下の罰金又は科料」が科される刑事事件 | 限定されない |
審理の方法 | 書面審理のみ | 口頭審理 (意見の聴取あり) |
不服申立の方法 | 正式裁判の請求 | 控訴できる |
略式命令によって刑事事件が処理される場合、加害者にとっては、
- 裁判所に行かなくてよい
- すぐに結論がでる
というようなメリットがあります。
そのため、交通事故の刑事事件の処理を、略式手続で済ませる加害者も多いです。
なお、交通事故が刑事事件化した場合の流れについては『交通事故が刑事事件となる基準とは?|逮捕・起訴の流れや判例も紹介』をご覧ください。
略式命令には控訴審がない?不服のときはどうする?
略式命令に納得がいかない場合には、正式裁判の請求ができます。
正式裁判では、通常の判決手続にしたがった裁判がされることになります。
略式命令を受けた者又は検察官は、その告知を受けた日から十四日以内に正式裁判の請求をすることができる。
出典:刑事訴訟法第465条
正式裁判の請求によって判決がだされたときは、略式命令の効力は失われることになります。
実際の刑事処分の重さ
さきほど、自動車処罰法の条文を見たときに、刑罰も確認しました。
実際の刑事裁判では、条文に規定された刑罰の範囲で、裁判官によって事案に応じた刑罰が決定されます。
実際にはどのくらいの刑事処分が科されているのか、少し確認しておきましょう。
過失致死罪・罰金
▼事案
自動車を運転中、誘導していた警備員をひき、死亡させた。
▼結論
罰金20万円
過失運転致死罪・懲役
▼事案
自動車を運転中、横断歩行中の歩行者をひき、死亡させた。。
▼備考
警察に報告しなかったため、道路交通法違反にも問われた。
▼結論
懲役2年6月
危険運転致死罪・懲役
▼事案
飲酒運転で、歩行者をひき、死亡させた。
▼刑罰
懲役9年
事故の態様によって刑罰はかわってきます。
ちなみに、
「実際にどのくらい起訴されているのかな・・。」
と、気になる人もいるでしょう。
交通事故の起訴率や、不起訴のケースについて特集した記事があります。
興味がある方は『交通事故で不起訴となる割合はどれくらい?|起訴率を犯罪白書から紹介!』を見てみてください。
さて、次の項目では、懲役刑が科された場合のその後について見ていきましょう。
【刑事処分の流れ】交通事故は特別な刑事事件?交通刑務所とは
交通事故で懲役刑が科されると、いわゆる「交通刑務所」という刑務所に収容されることになります。
この「交通刑務所」とは、一体どのような刑務所なのでしょうか。
なんと、辞書を調べてみたら、「交通刑務所」の定義が・・・。
重大な交通事故を起こしたり悪質な交通違反を犯して懲役または禁錮の刑に処せられた人を収容する矯正施設の通称。
出典:デジタル大辞泉
「交通刑務所*体験記」というブログに、交通刑務所の様子が書かれていました。
少し読んでみましょう。
一般犯罪を犯した人間が収容される刑務所と違い、交通刑務所は厳重な監視はなく、
様々な面での規則も大きく緩和され、開放的な処遇を受けることができます。
刑務所と聞いて想像するような鉄格子で塞がれた窓や扉は、
交通刑務所ではほとんど見ることはありません。
あくまでも社会に近い形で受刑させ、出所後のスムーズな社会復帰に繋げることが目的なのです。
出典:交通刑務所*体験記より(https://ameblo.jp/itihara-prison/entry-11956776174.html)
このように、交通刑務所は、開放的な空間になっているようです。
また、ある人権擁護団体のサイトでも、交通刑務所の特徴として、
解放的な空間になっている
ということが挙げられています。
一般の刑務所と異なり、一部を除いて窓の格子や扉の施錠がない解放構造となっています。
(略)
敷地内には被害者に贖罪の気持ちを伝えるための「つぐないの碑」があり、入所者が自由に手を合わせることができるのが印象的でした。
出典:AMNESTY INTERNATIONAL(http://www.amnesty.or.jp/hrc/2017/0214_6661.html)
また、交通事故の加害者を収容するという特性から、
交通安全に関する指導
が行われるようです。
一般の刑務所と同様に刑務作業も行いますが、交通安全や交通法令に関する指導・断酒に関する指導など、「交通安全」に関する指導・教育が強化されています。中での生活は独特で、自主的・自律的生活に重点を置いています。
出典:AMNESTY INTERNATIONAL(http://www.amnesty.or.jp/get-involved/event/2016/1124_6346.html)
交通刑務所収容までの流れについて、サクッとおさらいしたい人は、次の記事もご覧ください。
アトム法律事務所の弁護士が刑事事件の流れについて解説した動画もありますよ。
今までの内容を踏まえて、
「刑事事件の流れについてキチンと押さえたい」
という方は、見てみてください。
さて、さいごの項目では、保険会社とのやりとりや、示談の流れ、示談が刑事事件に与える影響などについて確認していきましょう。
交通事故の加害者は、保険会社にどんな対応をしてもらえるの?
保険会社の対応その①|交通事故の処理や示談
示談交渉は、保険会社に相談しながら進める流れになる?
交通事故の相手方との関係では、
損害についての示談
が、主な関心事ですよね・・・。
「どんなふうに示談交渉をすればよいのか」、「どのくらいお金がかかるのか」が気になるところです。
示談交渉については、加入している保険会社がサポートしてくれる場合がほとんどです。
大手保険会社の示談交渉に関する対応について見てみましょう。
当社では、お客さまが示談交渉に臨まれるにあたりご不安がないように事前に示談内容・賠償金額・交渉方法等についてアドバイスさせていただきます。万一交渉が難航したり、調停申立てや提訴に移行する場合は、弁護士の紹介等を含め全面的にバックアップさせていただきます。
当社にご相談なくご説明した保険金と異なる内容で示談された場合、全額お支払いできないこともありますので、必ず事前にご相談願います。
なお一部の保険商品では、被保険者のお申出があり、かつ被害者の同意が得られた場合に当社は原則として被保険者のために示談交渉を行います。
出典:三井住友海上HPより(http://www.ms-ins.com/contractor/emergency/baisho/response.html)
このように、示談交渉については、
- 保険会社が助言をくれる
- 保険会社が代わりに示談をしてくれる
というケースが多いです。
加害者が保険会社に交通事故の連絡を入れるタイミングは?
この図は、
交通事故の加害者になってしまったら、その後どうするのかという流れ
を示した図です。
負傷者の救護や道路上の危険防止措置、警察への通報は、道徳的にしたほうがよいというのは感覚的にわかるかもしれません。
さらに、法律的にも、これらの対応をしない場合
道路交通法72条1項違反
と、なってしまいます。
道路交通法の義務違反についての刑罰は次のとおりです。
物損事故の加害者 | 人身事故の加害者 | |
---|---|---|
負傷者の救護 道路上の危険防止措置 (72条1項前段) | 1年以下の懲役 または 10万円以下の罰金 | 10年以下の懲役 または 100万円以下の罰金 |
警察への通報 (72条1項後段) | 3月以下の懲役 または 5万円以下の罰金 | 3月以下の懲役 または 5万円以下の罰金 |
このような道路交通法上の義務を果たすと同時に、保険会社にもすぐに連絡をする必要があります。
加害者だけど保険に加入していなかった場合
この場合、示談をひとりで進めていくのはリスクが高いです。
自分にどのくらいの責任があって、それに応じた適切な損害賠償の金額がいくらなのか
このようなことは、法律の専門家が見極めるのは困難です。
保険に加入していない場合、保険会社に頼ることはできないので、弁護士に相談するというのが良い方法でしょう。
示談は、刑事事件の不起訴や量刑に影響する
示談が成立すると、刑事事件で
- 不起訴処分にしてもらえる
- 量刑を軽減してもらえる
可能性が高まるなど、メリットがあります。
そのため、刑事事件の裁判が終らないうちに、迅速に示談交渉を進める必要があります。
仮に、示談が成立しなかったらどうなるのでしょうか。
示談が成立していないということは、一面では、加害者が誠意ある対応をしていないと評価されかねません。
しかし、示談が成立しなかった場合でも、弁護士が検察官に対して、
- 示談を成立させることができない事情
- 加害者には、適正な金額の示談金を支払う意思・能力がある
- 示談の代わりに、贖罪寄付をした
などの事情を伝えるという弁護活動が可能です。
ほかに、示談交渉で重要なポイントはどのようなことがあるでしょうか。
交通事故の被害者は、加害者に誠意ある対応を求めています。
示談交渉を保険会社に任せっきりにしてしまう加害者もいます。
早いうちから謝罪に行って、被害者に誠意をみせることが重要です。
もっとも、謝罪の際に、具体的な賠償金額について述べることは避けるべきです。
実現不可能な金額を述べて撤回することは、被害者の気持ちを害し、トラブルにつながりかねません。
金額については慎重な対応が必要であり、具体的な金額は後日の示談交渉において決めるべきです。
謝罪をするといっても、謝罪の仕方が分からないといこともあるかもしれません。
たとえば、手紙で謝罪しようと思ったとき、謝罪文を用意しなければなりません。
謝罪文の内容としては、一般的には、次のような内容になると思います。
《冒頭》 ・表題;「謝罪文」 ・宛名;「●●様」 《本文の内容》 ・交通事故を起こしたことを認める ・謝罪の言葉 ・交通事故を二度と起こさないための対策や決意 《末尾》 ・日付(謝罪文を清書した日) ・署名 |
謝罪文の例文についても見てみたいという方は、こちらのテンプレートをチェックです。
謝罪の準備ができたから、いざ示談にのぞもうと思っても、もう一つ大切なものがありますよね・・・。
それは、示談金の準備です。
示談交渉まで待てない!交通事故の示談金はいくら?
示談は、損害賠償に関する合意でした。
したがって、示談には、示談金が欠かせません。
交通事故の示談金について相場を知りたいという方は、以下のリンクの中で、
「交通事故」
をクリックして、具体的なケースについて金額を確かめてみてください。
さて、次に、加害者側の費用については、保険でどのくらいまかなえるのかという話をしていきましょう。
保険会社の対応その②|加害者の治療費は保険会社で対応してくれる?弁護士費用はどうする?
自分もケガをしてしまった場合、治療費は保険会社が負担してくれる?
「自分は加害者だけど、保険会社に治療費を負担してもらえるの?」
と、気になっている方は、保険契約のしおりを確認してみましょう。
多くの場合、保険に加入すると、人身傷害保険が基本セットになっていて、加害者の方でも、ご自身のケガの治療費を保険でまかなうことができます。
気になる場合には、加入している保険の約款を確認してみましょう。
交通事故の加害者が弁護士費用特約を使えそう・・・?
そもそも弁護士費用特約とは、どのようなものなのでしょうか・・・。
交通事故にあって、ケガをしてしまった場合、その治療費や慰謝料などの損害賠償を相手方に請求できます。
その損害賠償請求をする場合に、弁護士に依頼すると、弁護士費用がかかります。
このような損害賠償請求に関する弁護士費用を、保険会社が負担する
というのが、「弁護士費用特約」です。
弁護士費用特約
(略)
ご契約者、そのご家族またはご契約のお車に搭乗中の方などが、自動車に起因する人身被害事故や物損被害事故に遭った場合に、相手方に損害賠償請求を行う場合に生じる弁護士費用や、法律相談をする場合の費用をお支払いします。
出典:おとなの自動車保険HP「弁護士費用特約」(http://www.ins-saison.co.jp/otona/compensate/other/lawyer.html)
交通事故の加害者であっても、ケガをしてしまう場合もありますよね。
その場合、被害者に少しでも過失がある場合には、被害者に対して損害賠償請求が可能です。
したがって、加害者であっても、弁護士費用特約が利用できる場合もあります。
刑事事件の弁護士費用について弁護士費用特約は使えない・・・?
弁護士費用特約が適用されるのは、
交通事故の損害賠償を行う場合に弁護士費用を負担した場合
がほとんどです。
ほとんどの場合、刑事弁護の弁護士費用について、弁護士費用特約は使えないです。
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広告主:アトム法律事務所弁護士法人
代表岡野武志(第二東京弁護士会)
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さいごに
今回は、交通事故に関する「交通事故の流れ」について、レポートしてきました。
交通事故の裁判の流れや、保険会社とのやりとりの流れについて理解が進みました。
保険に加入している加害者の人は、保険会社の担当者と一緒に交通事故の対応をしていくことになると思います。
しかし、刑事事件における不起訴や、量刑(軽減)については、刑事弁護を担当する弁護士にしか頼ることができません。
早いうちから、事情を知っている弁護士がいることで、保険会社や捜査機関に対して適切な対応をとることが可能です。
交通事故をおこしてしまって、これからの流れに不安がある方は、ぜひお早めに弁護士にご相談いただければと思います。