痴漢事件の判例・判決を知ろう!冤罪事件の判例も紹介
ご自身・ご家族が痴漢の容疑で逮捕され、刑事裁判を受けるかもしれない…
この先のことを考えると不安でたまりませんよね。
そんなときでも、過去の痴漢事件の判例を読めれば、参考にすることができるはずです。
そこで今回は
- 痴漢事件の具体的な判例
- 痴漢事件の判例検索の仕方
などをご紹介しつつ、「痴漢事件の判例」についてレポートします!
法律的な部分はアトム法律事務所の弁護士に解説して頂きます。
過去の判例を参照することはとても有益な行為です。
判例を見つつ、痴漢事件についてくわしく知っていきましょう。
みなさんがよくわかるように解説していきたいと思います。
よろしくお願いします。
目次
【実例】判例からみる痴漢事件
ご自身や身近な人が痴漢事件で刑事裁判を受けるかもしれない…
この先、事件がどのようになっていくのかたいへん不安になりますよね。
そんな場合、過去の痴漢事件の判例を閲覧できればたいへん参考になります。
なお、価値の重要性から「判例」と「裁判例」と言葉を使い分ける場合もあります。
ですが、この記事では一般的な用語に従い、裁判の先例全てを「判例」と記載していきます。
痴漢事件で有罪になった判例と無罪になった判例をみていきましょう。
痴漢で無罪になった判例その1
最初にご紹介するのは痴漢事件で無罪になった判例です。
そもそも、「痴漢冤罪」をご存じでしょうか。
痴漢冤罪とは、実際には痴漢行為を行っていないのに痴漢の疑いをかけられることです。
痴漢は冤罪でも有罪にされてしまう…なんて噂も耳にしますが…実際のところはどうなのでしょうか。
一つ、痴漢で無罪になった判例をみてみましょう。
判例は、大抵の場合、まずは結論である主文から記述されています。
主文とは、「懲役〇年」「罰金〇年」などの被告人に言い渡される刑罰のことです。
主文から順番にみていきましょう。
被告人は無罪。
出典:東京地方裁判所 平成28年(特わ)第987号 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反被告事件 平成29年1月11日
こちらの痴漢事件では無罪が言い渡されています。
無罪になった理由の一部を確認していきましょう。
(略)
第2 弁護人と被告人は,被告人がAと同じ電車に乗っていたものの,Aの臀部を下着の上から触ったことはなく,無罪であると主張する。(略)
6 以上によれば,Aが痴漢被害に遭ったことは認められるが,Aの公判供述から,被告人を犯人と断定することはできないというべきであり,他に被告人が犯人であることを裏付ける証拠はない。したがって,本件公訴事実については,犯罪の証明がないから,刑訴法336条により無罪の言渡しをする。
出典:東京地方裁判所 平成28年(特わ)第987号 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反被告事件 平成29年1月11日
理由の部分には被告人を犯人と断定する証拠がない旨が詳しく記述されています。
無実の罪をかけられ、刑事裁判になってしまうのは納得がいきませんよね。
痴漢の犯人にでっち上げられ、逮捕…となれば今後の人生に関わります。
痴漢冤罪で有罪になると、たとえ本当に犯行を行っていなかったとしても
- 痴漢の犯人として逮捕され、有罪となる。
- 留置場に入れられ、会社や学校に通えなくなる。
など、不当な刑事処分や社会的制裁を受けてしまいます。
不利益を被る痴漢冤罪事件が後を絶たず、近年、社会問題として注目されています。
痴漢冤罪についてさらにくわしく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
痴漢冤罪についてさらに詳しく知りたい方はこちら
痴漢で無罪になった判例その2
もう一つ、痴漢で無罪判決がでている判例をみてみましょう。
まずは、公訴事実から確認してみましょう。
本件公訴事実の要旨は,被告人は,平成26年12月2日の朝,神戸市中央区内を走行中のバス車内において,座席左隣に座っていた被害者(当時20歳)の右大腿部をタイツの上から触り,もって公共の乗物において,人に対して,不安を覚えさせるような卑わいな言動をしたというものである。
出典:平成27年(わ)第1080号 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和38年兵庫県条例第66号)違反被告事件
こちらも被害者の証言の信用性が争点となり、無罪判決がくだされました。
電車内の痴漢は特に物的証拠がなく、目撃者もいない場合が多いので冤罪事件も起こりやすいのですね。
毎日、満員電車で通勤している方にとって痴漢冤罪事件は非常に恐ろしいですよね。
痴漢冤罪を回避するための方法は知っておいた方がよいかもしれません。
痴漢で有罪になった判例その3
痴漢事件で無罪とされた判例を2つみてきました。
では有罪とされた判例にはどのようなものがあるのでしょうか。
痴漢の裁判で有罪となった判例をみる前に痴漢の刑罰について知っておきましょう。
同じ「痴漢」でも法律的には2つにわけられます。
- ① 迷惑行為防止条例違反となる痴漢
- ② 強制わいせつとなる痴漢
こちらの2つは異なる法定刑が定められています。
迷惑行為防止条例違反
各都道府県で処罰の内容が異なります。
仮に大阪を例に挙げてみますと大阪では6月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。
強制わいせつ罪
条例違反に対し、強制わいせつ罪の場合は、6月以上10年以下の懲役が科されます。
略式手続を利用できないので、起訴されると必ず「公開の法廷」で審理されることになります。
そして懲役刑の上限が長い点でも、条例違反と大きな違いがあります。
では実際の痴漢で有罪になった判例をみてみましょう。
電車内で、女性の背後から,臀部をスカートの上から右手で触った痴漢事件の判例です。
まずは、主文からみていきましょう。
被告人を罰金40万円に処する。
その罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
訴訟費用は被告人の負担とする。
出典:平成23年(わ)第119号 京都府迷惑行為防止条例違反被告事件 平成24年10月29日
続いて理由をみてみましょう。
(略)被告人は,自己の性欲を満たすために本件犯行に及んだものと認められ,身勝手な動機に酌量の余地はない。被告人は,通勤途中の混雑する電車内において,乗り合わせた通学途中の女子高校生に対し,背後からその臀部をなで上げるように触ったもので,教職の立場にある者が,未成年の高校生を狙ったという点でも,本件犯行は卑劣で悪質である。公共の乗物である電車内における本件犯行により,被害者の被った不快感やしゅう恥心が小さくないことは,想像に難くない。そして,被告人は,犯行を否認して不合理な弁解に終始しており,反省の態度はみられない。以上によれば,被告人の刑事責任は決して軽くはない。
しかしながら,被害者に対する痴漢行為は短時間のものにとどまっていること,被告人には前科や前歴がなく,これまで教員として真面目に生活を送ってきたことなど,被告人のために酌むことのできる事情もあるので,被告人に対しては主文掲記の罰金刑に処するのが相当である。(略)
出典:平成23年(わ)第119号 京都府迷惑行為防止条例違反被告事件 平成24年10月29日
こちらは被害者の証言だけではなく、信頼できる目撃証言もあり、有罪判決がくだされています。
こちらの判例では「罰金40万円」に処されています。
迷惑防止条例違反と強制わいせつ罪では刑罰の重さが異なります。
強制わいせつ罪は刑法に定められていますが、罰金刑の選択肢がありません。
そのため、有罪になると必ず懲役刑となります。
強制わいせつ罪で有罪になると、条例違反よりも格段に重い処罰を受ける可能性があるのですね。
「迷惑防止条例違反」と「強制わいせつ罪」の刑罰をもう一度表で確認しておきましょう。
まとめ
痴漢の刑罰
迷惑防止条例違反* | 強制わいせつ罪 | |
---|---|---|
罰金刑 | 50万円以下の罰金 | 罰金刑はなし |
懲役刑 | 6ヶ月以下の懲役 | 6ヶ月以上10年以下の懲役 |
【判例検索方法】痴漢の判例を知りたい場合は?
今回は、痴漢事件の判例を3つご紹介しました。
この先、ご自身やご家族が痴漢の罪で裁判を受けるかもしれないという状況の時、
- どんな行為がどんな罪に問われているのか
- どんな行為にどんな刑罰が科されているか
など、気になることがたくさんありますね。
そんなとき、さまざまな痴漢事件の判例を閲覧することができれば参考になります。
判例を検索する方法があることをご存知ですか?
自分自身で調べることができれば、思い立ったときに行動に移せますよね。
では判例の検索方法をいくつかご紹介しておきます。
判例の検索方法
- 裁判所のホームページで調べる
- 国会図書館で調べる
- ネットの有料サービスに登録する
ネットを利用出来る環境があれば裁判所のホームページ内の「裁判情報」からまず検索してみるのがオススメです。
基本的な判例は網羅されています。
しかし、裁判所のホームページでは無料で検索ができますが、全ての判例が載っているわけではありません。
さらにくわしく調べたい方には「ネットの有料サービス」をオススメします。
具体例にいうと
- 判例秘書(LIC)
- Westlaw Japan
- TKC
などのサービスが挙げられます。
料金を支払えば膨大な判例からみたい判例を検索することができます。
こちらも全てが載っているわけではありませんが、検索機能がたいへん充実しています。
たくさんの判例を快適に見たい方はこちらで検索してみるのも良いかもしれませんね。
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最後に一言アドバイス
さまざまな痴漢の判例がありましたね。
これから刑事裁判を受ける可能性のある方には特に参考になったのではないでしょうか。
ご自身やご家族がもし痴漢事件で逮捕されてしまった場合には、初期対応がとても大切になります。
この点、弁護士に依頼すれば、過去の判例も考慮に入れた初期対応をとることが期待できます。
お一人で悩まずにまずは弁護士に相談してみてください。