器物損壊罪の時効は何年?被害届に期限はある?|刑事と民事に分けて解説
器物損壊罪の時効について、気になるという声はけっこうあるようです。
今回のテーマはまさにコレ。
- 器物損壊の時効は何年?
- そもそも時効ってなに?
気になる「器物損壊の時効」についてお届けします!
刑事ドラマやニュースでも目にすることが多い時効。
「例の事件はもう時効だ」
なんて台詞を聞いたこともあるかもしれません。
一般的な認識としては「時効がきたらその事件は終了する」といったものではないでしょうか。
時効がきたら犯人に罪は問えなくなるのでしょうか。
そのあたりの疑問も踏まえて「器物損壊の時効」について解説していきます。
専門的な部分の解説はテレビでもおなじみ、アトム法律事務所の弁護士にお願いします。
時効という言葉は一般的にもよくつかわれます。
ですが、法律上の正しい解釈をご存知の方は少ないのではないでしょうか。
今回は器物損壊罪の時効についてできるだけ丁寧に解説していきます。
目次
「刑事事件の時効」と「民事事件の時効」とは?
タイトルを見て頭に疑問符が浮かんだ方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「刑事事件の時効」と「民事事件の時効」とはいったいなんでしょうか。
最近、器物損壊事件についてこんな記事がありました。
山形県で続々と明らかになっている学校誌などの切り取り被害は、相撲大会の写真や記事に集中している。(略)
いずれも学校行事や児童の作文をまとめた学校誌などから、主に児童が相撲を取っている写真が刃物で切り取られていた。(略)
これらの被害について、尾花沢市は22日、東根市は17日にそれぞれ器物損壊容疑で被害届を出しており、県警が捜査を進めている。
尾花沢市民図書館は計16冊が被害に遭ったが、尾花沢署と協議の上、公訴時効の3年以内に発行された1冊について被害を届けたという。
出典:河北新報オンラインニュース 2017年05月25日木曜日
こちらのニュースに「公訴時効」とでてきますね。
これは器物損壊事件の時効を理解する上でとても大切な言葉です。
少しややこしい話になりますが、実は時効にはいくつかの種類があります。
まず器物損壊罪の時効は、タイトルに示した通り刑事の時効と民事の時効とに分かれています。
では「刑事事件」と「民事事件」における時効とはいったい何なのかを順番に見ていきましょう!
器物損壊罪における「刑事事件」の時効とは
まず、刑事事件の時効から順番にみていきます。
器物損壊における刑事事件の時効とはいったいどんなものでしょうか。
器物損壊の刑事の時効とは、通常は公訴時効のことを指します。
公訴時効とは、一定期間の経過によって刑事裁判が起こせなくなる時間の限界のことです。
▼公訴時効
公訴時効とは、検察官の公訴権限を消滅させる時間的な限界のことです。
公訴時効が成立すると、検察官は事件を起訴することができなくなります。
つまり、公訴時効の成立により、裁判は回避されることになります。
器物損壊罪の公訴時効は、3年です。
▼告訴期間
ちなみに、告訴期間のことを指して「刑事の時効」と表現する人もいるようです。
告訴期間は親告罪につき、告訴ができる期間のことを意味します。
これは、被害者が犯人を知った日から6ヶ月です。
器物損壊は親告罪にあたります。
なので器物損壊の告訴期間は犯人を知った日から6ヶ月です。
そして、器物損壊罪の被疑者を検察官が起訴できるのは、事件から3年までということになります。
器物損壊罪における「民事事件」の時効とは
器物損壊罪の民事の時効とは、いわゆる損害賠償請求権の消滅時効のことです
不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。
出典:民法 724条
民法724条のポイントは、損害および加害者を知った時から3年間権利を行使しない場合、その権利は消滅するという部分です。
器物損壊罪の民事の時効といえば、3年が正解となります。
具体例を挙げると、
「人の家の門を壊してしまった」という器物損壊事件が5年前にあったとします。
その時点では被害者は加害者を許してくれていましたが、事件から5年後に被害者が賠償を請求してきたとします。
事件から5年後ということは民事の時効が成立する3年が経過してますので賠償金の請求はできないことになります。
つまり裏を返すと、加害者としては、器物損壊罪事件から3年経つまでは、被害者から損害賠償請求をされる可能性があるということです。
ちなみに2020年4月1日施行の民法改正で時効に変更があったとの噂を小耳にはさみました。
どのような変更があったのか、簡単に説明お願いできますでしょうか。
新民法では、人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効期間は3年間から5年間と変更されています(新民法724条の2)。
例えば、傷害事件や交通死亡事故の損害賠償請求権は、被害者が損害および加害者を知った時から5年間行使しないときは、時効で消滅することになります。
なるほど、交通事故で人的損害と物的損害が生じた場合、人的損害の時効は5年で、物的損害の時効は3年ということになるんですね。
被害者からすればありがたい改正と言えますね。
- 時効には、刑事の時効と民事の時効がある
- 器物損壊罪の刑事の時効は3年
- 器物損壊罪の民事の時効も3年(ただし改正後は、生命身体に対する侵害は5年)
公訴時効 | 告訴期間 | 消滅時効 | |
---|---|---|---|
意味 | 期間が経過した後は、検察官は事件を起訴することができない | 期間が経過した後は、被害者は加害者を告訴することができない | 期間が経過した後は、被害者は加害者に損害賠償を請求することができない |
起算点 | 犯罪行為が終わった時から進行 | 犯人を知った日から進行 | 損害および加害者を知った時から進行 |
被害届に提出期限はある?
器物損壊罪の告訴期限は、犯人を知ってから6か月ということを確認したところで、続いては被害届の提出期限を確認しましょう。
器物損壊事件を起こしてしまって被害届が提出されるか不安な方は気になるところですよね。
実を言うと、被害届には提出期限はありません。
被害者は好きなタイミングで被害届を捜査期間に提出することができます。
ただし、先に見た通り、器物損壊罪には公訴時効があります。
公訴時効が完成すれば、事件を起訴することもできなくなるため、被害届が提出されたとしても、捜査がされることはありません。
要するに、公訴時効が完成するまでは被害届が提出されるリスクはあるということになります。
結局、被害届の提出に怯えなくて済むのは公訴時効が完成した後なんですね。
非常にためになりました。
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「器物損壊」の「時効」についていろいろわかりましたね。
ご存じなかったことも多かったのではないでしょうか。
もしご自身・ご家族が器物損壊事件を起こしてしまったときはすぐ弁護士に相談することをオススメします。
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最後に弁護士からアドバイス
では先生、最後にみなさんにアドバイスをお願いします。
ご自身・ご家族が器物損壊事件を起こしてしまいたいへん困惑している、という方。
器物損壊事件のような刑事事件は対応のスピードが大切です。
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