未成年の詐欺罪とは?|初犯だと罪は軽くなる?懲役になる可能性は?
未成年の詐欺罪、よくニュースでも見かけますよね。
最近は、SNSやフリマアプリなどでも様々な問題が起こっています。
もし、未成年本人や、自分の子供が詐欺事件の加害者になってしまったら…
- 未成年の詐欺事件の流れは?
- どんな処分・処罰を受ける?
- 初犯だと罪は軽くなる?
など、疑問と不安でいっぱいになりますよね。
今回は「未成年の詐欺罪」についての特集です!
みなさんの疑問や不安を解消していきましょう!
目次
20歳以上の成人が詐欺事件を起こし、刑事裁判で有罪になると「10年以下の懲役に処する」と刑法では定められています。
かなり重い刑罰が科されていますよね。
しかし、詐欺事件を起こすのは成人している大人だけではありません。
未成年が加害者となっている詐欺事件も多く起こっています。
最近でもこんなニュースがありました。
人気アイドル「ジャニーズJr.」のコンサートチケットを売るとツイッターにうその書き込みをし、現金をだまし取ったとして、愛知県に住む女子高校生(17)が20日、詐欺の疑いで書類送検された。
警察によると、女子高校生は今年2月、人気アイドル「ジャニーズJr.」のコンサートチケットを売るとツイッターにうその書き込みをし、女子高校生ら4人から現金9万8000円をだまし取った疑いがもたれている。
女子高校生は「洋服を買ったり、美容院に行ったりする金に使った」と、容疑を認めているという。
警察は、同じような手口で全国の女性から計100万円近くをだまし取ったとみて調べている。
出典:日テレNEWS24 2017年11月22日 更新
SNSやアプリで簡単にチケットなどの取引きが可能になりこのような事件も増えました。
もし、未成年が詐欺罪で逮捕されてしまったら…
成人と同じように刑罰を受けることになるのでしょうか。
この記事で未成年の詐欺罪について知っていきましょう!
専門的な部分は刑事事件にくわしい弁護士の先生にお願いします。
未成年の詐欺事件は日常の中でも起こりやすい事件です。
また、未成年の詐欺のような少年事件は成人の刑事事件とは流れが異なります。
未成年の詐欺罪についてくわしく解説していきたいと思います。
それではさっそく未成年が詐欺事件を起こすとどうなるのかをみていきましょう!
未成年の詐欺罪、懲役刑の可能性は?|逮捕の流れを知る
未成年の詐欺事件、懲役刑になる?処分・処罰は?
詐欺罪は犯人が成人の場合、刑事裁判で有罪になれば「10年以下の懲役」になります。
詐欺事件の犯人が未成年だった場合、20歳以上の成人と同じ刑罰を受けるのでしょうか。
20歳以上であれば事件が起訴されると「刑事裁判」を受けることになります。
一方、20歳未満の未成年者の場合は、通常は刑事裁判ではなく少年審判を受けることになります。
しかし、殺人などの重大犯罪においては、未成年者でも刑事裁判を受けるケースがあります。
重大犯罪で刑事裁判を受けるケースでなければ、成人と同じ刑罰は科されません。
未成年の事件は少年法に基づき、家庭裁判所が審判を開始するかどうかを決定します。
その結果を踏まえて、少年に対して処分を決定する形となります。
なお、14歳未満の少年の犯行は、刑法上の犯罪にはなりません。
しかし、少年法上は「保護処分」の対象となっています。
未成年者は少年審判を受けるということでしたが、少年審判とはなんでしょう?
意味を確認しておきましょう。
少年法の規定により、家庭裁判所が少年の非行事実の存否、保護処分を行うことの可否・要否を確定し、行うべき保護処分を定める手続。
審判は懇切を旨として和やかに行うとともに、非行のある少年に対し自己の非行について内省を促すものとしなければならず、非公開とされるが(二二)、平成二〇年の同法改正により、少年に係る一定の重大事件の被害者等は、一定の要件の下、家族裁判所の許可により、審判を傍聴できることとなった(二二の四)。
出典:有斐閣 法律用語辞典 第4版
少年鑑別所にいる間に、少年審判を「開始」するか「審判不開始」にするか検討されます。
もし、少年審判で開始されたときにどのような処分の可能性があるか確認しましょう。
少年審判で決定される処分は大きく分けて4つあります。
- ① 保護処分:保護観察、児童自立支援施設等送致、少年院送致
- ② 検察官送致:家庭裁判所から証拠等とともに事件を検察官に送り届け、刑事裁判になる
- ③ 不処分(教育的処置)
- ④ 都道府県知事または児童相談所長送致
少年の処分は成人の刑罰とは大きく異なりますね。
ところで、成人の刑事裁判は傍聴することが可能ですよね。
少年審判は傍聴することができるのでしょうか?
少年審判は原則非公開です。
傍聴人による傍聴は認められていないのは少年のプライバシーを保護するためです。
例外的に、「少年に係る一定の重大事件の被害者等は、一定の要件の下、家族裁判所の許可により、審判を傍聴できる」ことになっています。
成人が有罪になった際に受ける刑罰とは大きく違っていますね。
なので、成人のように刑務所で服役する「懲役実刑」にはならないということですね。
次の章では未成年の詐欺罪の逮捕の流れをみていきましょう!
未成年が詐欺罪で逮捕…その後の流れを解説!
「詐欺事件を起こしてしまった…」
もし、自分が未成年で詐欺事件の加害者になってしまったら…
一番不安なのは
- 逮捕されてしまうのか
- これから自分はどうなってしまうのか
ということですよね。
そもそも未成年は詐欺事件で逮捕されることがあるのでしょうか。
未成年者の場合でも、警察に逮捕されることがあります。
未成年の逮捕は通常の成人の逮捕と同様に
- 事件の現場で現行犯逮捕される
- 逮捕状をもった警察官に後日逮捕される
このような可能性があります。
未成年だからといって、逮捕の対象にならないわけではありません。
未成年でも逮捕されることは十分にありえるのですね…
詐欺事件は通常後日逮捕となります。
逮捕される可能性があると分かれば逮捕後の流れが気になりますよね。
通常の成人による事件と同じように進行するのでしょうか。
年齢が14歳以上20歳未満の少年であれば、逮捕直後の手続きは、基本的に成人の場合と同様です。
大きく異なる点は、逮捕後、検察官が勾留請求をするか、または勾留に代わる観護措置として、少年鑑別所に移送するという点です。
勾留となる場合には少年は成人と同様に10日〜20日間の留置場生活を送ることになります。
「少年鑑別所」とは
- 送致された少年を審判があるまで収容する
- 少年の資質の鑑別を行う
といった意味を持った施設です。
「少年鑑別所」という名称は耳にしたことがあるかもしれませんね。
少年鑑別所へ送られるタイミングは「逮捕後」や「勾留後」が多い、とのことでした。
移送のタイミングはどのような基準で決められるのでしょうか。
逮捕された未成年者が少年鑑別所に行くタイミングは、事件によってさまざまです。
証拠が明白で捜査の必要性があまり高くない軽微な事件の際は逮捕後すぐに鑑別所に行くケースがあります。
一方、逮捕後20日ほどして鑑別所に行く場合もあります。
未成年者の場合も、大人と同じく、10日〜20日間の勾留が決定されるケースがあります。
勾留が決定されると、警察署の留置場で生活することになります。
少年が鑑別所に移送されたあとは、審判の必要があるか家庭裁判所が判断します。
審判の必要性があると判断すれば、少年審判が行われます。
必要がない、と判断すれば「審判不開始」となります。
最終的な処分は少年審判によって決定されます。
処分の内容は先程の章で述べた通りです。
逮捕直後の手続きなどは、成人とほぼ同じですが、その後の流れが大きく違いましたね。
未成年のくわしい逮捕の流れはこちらの画像をご覧ください。
未成年の詐欺罪のギモン|初犯だと刑罰は軽い?時効は何年?
①初犯だと刑罰は軽い?
成人は事件が起訴され、刑事裁判で有罪になると刑罰を科せられます。
20歳未満による少年事件は少年法に基づき、処分が下されます
詐欺罪の初犯で、本人が十分に反省していて更生の見込みがみられれば処分が穏やかになることもあるようです。
②未成年の詐欺罪、時効はある?
未成年の詐欺罪の逮捕後の流れや処分がわかりましたね。
ところで、未成年の詐欺罪に時効は存在するのでしょうか。
成人とは異なるのでしょうか。
未成年の詐欺罪の時効は、成人と同様に刑事の時効と民事の時効に分けることができます。
未成年の詐欺罪も成人と同様に時効が存在するのですね。
- 刑事の時効
- 民事の時効
とはいったいどんな内容を指すのでしょうか。
順番に確認していきましょう。
未成年の詐欺罪の「刑事の時効」
まずは「刑事の時効」からです。
詐欺罪の刑事時効とは、通常は、公訴時効を指します。
公訴時効とは、一定期間の経過によって刑事裁判が起こせなくなる時効のことです。
公訴時効が成立すれば、検察官は詐欺事件を起訴することができません。
詐欺罪の公訴時効は7年です。
公訴時効は犯罪行為が終わった時から進行します。
なお、告訴期間が「刑事の時効」と表現されることもあるようです。
告訴期間とは、親告罪の告訴をできる期間のことです。
親告罪とは、告訴がなければ公訴を提起することができない犯罪をいいます。
しかし、親族間以外の詐欺罪は親告罪ではありません。
よって、6か月の告訴期間の規定は適用されません。
詐欺罪の被害者は、犯人を知った日から6か月が経過した後も、詐欺罪の加害者を告訴することができます。
未成年の詐欺罪「民事の時効」
続いて「民事の時効」をみてみましょう。
詐欺罪の民事時効とは、損害賠償請求権の消滅時効を指します。
民法724条の規定により、「損害および加害者を知った時」から3年間権利を行使しないときには、その権利は消滅するとされています。
また、事件から20年経った場合も同様です。
つまり、詐欺罪の加害者は
- 事件から20年が経過
- 詐欺罪の被害者が損害および加害者を知ったのち3年が経過
した場合は、損害賠償の請求を受けないということになります。
表にまとめましたのでもう一度おさらいしておきましょう。
まとめ
詐欺罪の時効
意味 | 時効期間 | |
---|---|---|
公訴時効 | 一定期間の経過によって刑事裁判が起こせなくなる時効 | 犯罪行為終了より7年 |
告訴期間 | 親告罪の告訴をできる期間* | – |
消滅時効 | 損害賠償請求ができる期限 | ・損害および加害者を知った時から3年 ・事件発生から20年 |
③初犯でも家庭裁判所に送られる?
現在の少年法では全権送致主義がとられています。
全権送致主義とは全ての少年事件を家庭裁判所に送致することを指します。
こちらの条文をご覧ください。
検察官は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、第四十五条第五号本文に規定する場合を除いて、これを家庭裁判所に送致しなければならない。犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。
出典:少年法 42条
犯罪の嫌疑が無い場合でも少年審判が必要であると判断されると家庭裁判所に送られるのですね。
しかし、例外もあります。
こちらの条文もご確認ください。
(略)検察官は、家庭裁判所から送致を受けた事件について、公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑があると思料するときは、公訴を提起しなければならない。ただし、送致を受けた事件の一部について公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑がないか、又は犯罪の情状等に影響を及ぼすべき新たな事情を発見したため、訴追を相当でないと思料するときは、この限りでない。送致後の情況により訴追を相当でないと思料するときも、同様である。(略)
出典:少年法第45条
基本的には全権送致主義がとられていますが、上記のような際は家庭裁判所に送られない場合もあるようです。
④高校生です…罰金刑になっても支払えません。
先ほど確認したように詐成人の欺罪は10年以下の懲役刑と定められています。
従って、罰金刑はあり得ません。
さらに、未成年の事件の場合は成人と同様の刑罰を受けるケースは限られます。
こちらの条文をご覧ください。
家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。(略)
出典:少年法 第20条
条文を確認した通り、少年審判の処分に罰金刑はありません。
なので、家庭裁判所から検察官送致をされない限りは罰金刑になることはありません。
重大な少年事件であれば家庭裁判所から検察へ逆送され、刑事裁判を受ける可能性もあります。
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