恐喝罪のすべて|意味・時効・逮捕・懲役・慰謝料なんでも大公開!
よくある犯罪に焦点をあて、弁護士の監修のもと徹底調査したレポートを公開中の罪名ナビ。
今回は、恐喝罪についての調査結果をお届けします。
恐喝罪の意味や刑期、時効、逮捕、そして示談まで、徹底的に見ていきましょう。
目次
恐喝罪とは、恐喝罪の構成要件
恐喝罪の定義とは
恐喝罪とは、簡単にいうと人を脅して財産を脅し取ることによって成立する犯罪です。
刑法249条1項は、「人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。」と定めています。
また同条2項は、「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。」と定めています。
恐喝罪の構成要件とは
恐喝罪の構成要件とは、恐喝罪が成立するための要件のことです。
恐喝罪の構成要件が認められれば、精神障害などで責任が認められないなどの特別の事情がない限り、恐喝罪が成立します。
恐喝罪の構成要件の判断方法は?
恐喝罪の構成要件の該当性は、
- ①恐喝罪の実行行為があるか、
- ②恐喝罪の結果が生じたか、
- ③恐喝罪の実行行為と結果との間に因果関係が認められるか、
- ④恐喝罪の故意が認められるか、
によって判断されます。
恐喝罪の構成要件のポイント
恐喝罪の保護法益は?
保護法益とは、法律が守ろうとしている利益のことです。
恐喝罪の保護法益は被害者の財産および被害者の意思決定・行動の自由です。
恐喝罪の実行行為は?
恐喝罪の実行行為は人を脅して財物を交付させることあるいは人を脅して財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させることです。
人を脅して、財物あるいは財産上不法の利益を得るまでには、5つの段階があります。
第一段階は、被害者を畏怖させる(怖がらせる)程度の脅迫または暴行を加え、財物の交付を要求することです(恐喝行為)。
第二段階は、恐喝行為により被害者が畏怖することです(畏怖)。
第三段階は、被害者が自らの意思で、財物あるいは財産上の利益を処分することです(処分行為)。
第四段階は、財物あるいは財産上の利益が、加害者か第三者に移転することです(財物・利益の移転)。
第五段階は、財物・財産上の利益が移転したことにより、被害者に損害が発生することです(損害の発生)。
恐喝罪の結果は?
恐喝罪の結果は、簡単にいうと脅された人が財産を渡す、もしくは他人に財産を渡させることです。
恐喝罪の故意は?
恐喝罪の故意は、簡単にいうと人を脅して財産を脅し取ることを知っていることです。
そして、恐喝罪が成立するためには、上記の故意とは別に不法領得の意思が必要であるとされています。
不法領得の意思とは、簡単にいうと他人の物を自分の物として自由に扱おうとする意思です。
財産に興味はなく相手を困らせるためだけだった場合は不法領得の意思はないとされます。
恐喝罪が未遂の場合はどうなる?
恐喝罪の未遂は、罰せられます(刑法250条)。
したがって、恐喝に着手したものの財産を脅し取ることはできなかったという場合であっても、恐喝未遂罪で処罰されます。
恐喝罪と刑期
恐喝罪と刑期の関係
恐喝罪を犯した者は、刑法で「10年以下の懲役に処する」と定められています。
懲役とは、懲役刑のことで、恐喝罪で有罪判決を受けた人物を刑務所に収監し、刑務作業を行わせる刑罰をいいます。
もっとも、刑事裁判で懲役刑が言い渡されても、加害者側に有利な事情も考慮され執行猶予になれば、直ちには刑務所に収監されないことになります。
執行猶予とは、直ちに刑務所に収監されるのではなく、執行猶予期間中は社会で日常生活を送り、執行猶予期間内に再び犯罪を犯さなければ刑務所への収監を免除されることをいいます。
執行猶予期間中に再び犯罪を犯した場合、執行猶予が取り消されて、その取消しの時から懲役刑の刑期分刑務所に収監されます。
恐喝罪の刑期に関するQA
恐喝罪の初犯の刑期は何年?
恐喝罪を犯した者は、刑法で「10年以下の懲役に処する」と定められています。
初犯の場合の刑期も、この法律の範囲内で言い渡されることになります。
実際に言い渡される刑期は、恐喝罪によって生じた結果の重大性や、恐喝罪の行為の悪質性の程度によって異なってきます。
恐喝事件で生じた損害が重大な場合や、恐喝事件の行為が極めて悪質な場合は、初犯でも実刑になることがあります。
これに対して、理論的には恐喝罪が成立する場合でも、恐喝罪の結果が軽微で行為の悪質性がないケースでは、不起訴として前科がつかないこともあります。
恐喝罪でも執行猶予になる?執行猶予になるためには?
恐喝罪で起訴されて刑事裁判になっても、執行猶予になる場合があります。
刑事裁判で懲役刑が言い渡されても、執行猶予になれば、直ちには刑務所に収監されないです。
執行猶予中は、社会で日常生活を送り、再び犯罪をした場合に限り、執行猶予が取り消されて刑務所に収監されることになります。
執行猶予になるためには、恐喝事件の被害者に謝罪と賠償が尽くされ、示談が成立していることが大切です。
恐喝罪と時効
恐喝罪と時効の関係
恐喝罪の時効は、刑事の時効と民事の時効に分けることができます。
恐喝罪の刑事の時効とは、公訴時効のことです。
公訴時効とは、検察官の公訴する権限を消滅させる時効のことです。公訴時効が成立すれば、検察官は事件を起訴することができなくなります。
また告訴期間のことをさして「刑事の時効」と表現されることもあるようです。
告訴期間とは、親告罪の告訴をできる期間のことです。刑事訴訟法235条は「親告罪の告訴は、犯人を知った日から6か月を経過したときは、これをすることができない」と定めています。
しかし、恐喝罪は親告罪ではありませんから、「告訴期間」のことを指して時効というのは、正確な表現とはいえません。
恐喝罪の民事の時効とは、いわゆる損害賠償請求権の消滅時効のことです。
民法724条の規定により、事件から20年間、「損害および加害者を知った時」から3年間権利を行使しないときには、その権利は消滅するとされています。
恐喝罪の時効に関するQA
恐喝罪の公訴時効の時効期間は何年?いつから進行する?
恐喝罪の公訴時効は7年です。公訴時効は犯罪行為が終わった時から進行します。
恐喝罪が終わった時から7年が経過した後は、検察官は恐喝事件を起訴することができないということになります。
恐喝罪の告訴期間は何年?いつから進行する?
恐喝罪は親告罪ではないので、6か月の告訴期間の規定は適用されません。
親告罪の告訴期間は犯人を知った日から進行し、告訴ができる期間は6か月と定められています。
しかし、恐喝罪の被害者は、犯人を知った日から6か月が経過した後も、恐喝罪の加害者を告訴することができます。
恐喝罪の民事の時効期間は何年?いつから進行する?
恐喝罪の民事の賠償請求権の時効期間は3年です。
損害賠償請求権の消滅時効は損害および加害者を知った時から進行します。事件の時から20年という制限もあります。
恐喝罪の被害者は、事件から20年以内で、損害および加害者を知った時から3年以内であれば、恐喝罪の加害者に対して損害賠償を請求できるということになります。
これに対して、恐喝罪の加害者は、事件から20年が経過するか、恐喝罪の被害者が損害および加害者を知ったのち3年が経過すれば、損害賠償の請求を受けないということになります。
恐喝罪の慰謝料の時効期間は何年?いつから進行する?
恐喝罪の慰謝料請求権の時効期間は3年です。
慰謝料請求権の消滅時効は、被害者が損害および加害者を知った時から進行します。また,事件の時から20年間という制限もあります。
恐喝罪と逮捕
恐喝罪と逮捕の関係
現行犯逮捕と後日逮捕(通常逮捕)の違いは?
恐喝罪の逮捕には、大きく、①恐喝罪の事件当日に逮捕される現行犯逮捕と、②恐喝罪からしばらくした後に逮捕される後日逮捕(法律的には「通常逮捕」といいます)の二つのパターンがあります。
恐喝罪の現行犯逮捕とは、恐喝罪の当日に恐喝事件の現場で逮捕されることをいいます。恐喝事件が起こったその時その場所で目撃者や駆けつけた警察官によって逮捕されるのが一般的です。
現行犯逮捕された後は、恐喝罪の加害者はそのまま警察署に連行されることになります。
これに対して、恐喝罪の後日逮捕とは、恐喝罪の逮捕状にもとづいて逮捕されることをいいます。恐喝事件が起こった翌日以降に逮捕状をもった警察官によって逮捕されるのが一般的です。
恐喝罪の逮捕状がいつ発行されるかは、恐喝事件に対する捜査の進み具合によって異なります。
恐喝罪で現行犯逮捕されるケースは?
警察官が通報を受けて現場に駆けつけたときに、まだ加害者が現場におり、恐喝の結果が重大だったり恐喝の態様が悪質だったりすると現行犯逮捕されるケースがあります。
脅し取られた財産の金額が大きい場合,恐喝の結果が重大だと判断される傾向があります。
加害者が凶器を使用している場合や何度も執拗に暴行・脅迫をした場合等には恐喝の態様が悪質だと判断される傾向があります。
具体例その1
加害者Aは被害者Bに対して、「金を出さないとBの秘密を言いふらす」などと言いながら、被害者Bから現金100万円を脅し取ったことで現行犯逮捕された。
具体例その2
加害者Aは被害者Bに対して、「言うことをきくまで逃がさない」などと言いながら水鉄砲を持って被害者Bを長時間追い掛け回し,被害者Bから1万円を脅し取ったことで現行犯逮捕された。
恐喝罪で後日逮捕(通常逮捕)されるケースは?
恐喝罪の結果が重大な場合,態様が悪質な場合で、加害者が恐喝罪の証拠を隠滅する可能性が高い場合や、加害者が逃亡する可能性が高い場合だと後日逮捕されるケースがあります。
警察としても、軽微な恐喝事件では、わざわざ裁判所に対して逮捕状を請求しないのが一般的です。
脅し取られた財産の金額が大きい場合,恐喝の結果が重大だと判断される傾向があります。
加害者が凶器を使用している場合や何度も執拗に脅迫をした場合等には恐喝の態様が悪質だと判断される傾向があります。
加害者が複数いる場合や恐喝罪の容疑を不合理に否認している場合には証拠を隠滅する可能性が高いと判断される傾向があります。
加害者が事件現場から逃走した場合や住所不定の場合には逃亡する可能性が高いと判断される傾向があります。
具体例その1
加害者Aは被害者Bを脅して100万円の財物を脅し取った。数日後、多数の目撃者や明確な証拠があるにも関わらず、容疑を不合理に否認したため後日逮捕された。
具体例その2
加害者ABCは被害者Dを脅して1万円の財物を脅し取った。しかしその後、ABCの三者は事件現場から逃走し,事件に関して口裏合わせをして証拠を隠滅しようとしたため後日逮捕された。
恐喝罪の逮捕に関するQA
逮捕されない恐喝罪はある?
あります。すべての恐喝罪の加害者が逮捕されるわけではありません。
恐喝罪を犯してしまっても、恐喝罪の結果が重大でない場合は、逮捕されないケースも多いです。
もっとも、逮捕されない恐喝罪の場合でも、被害届が受理されれば、在宅(ざいたく)のまま捜査や取り調べが行われることになります。
在宅事件の場合は、警察署の留置場で生活する必要はありません。自宅で生活することができます。
しかし、警察から呼び出しがあった場合は、その呼び出しに応じて自宅から警察署に出向き、恐喝事件の捜査や取り調べに協力することが求められます。
恐喝罪の逮捕条件は?
恐喝罪の逮捕条件は、現行犯逮捕の場合と、後日逮捕(通常逮捕)の場合とで異なります。
現行犯逮捕の要件
恐喝罪の現行犯逮捕は、基本的に、恐喝事件を現に確認した者によってその現場で行われる必要があります。
現行犯逮捕できるのは、基本的にその時その場限りです。
恐喝事件の現行犯逮捕は、目撃者や被害者側の関係者、現場に駆けつけた警察官によって行われることが多いです。
後日逮捕の要件
恐喝罪の後日逮捕は、裁判官が発行する逮捕状にもとづいて行われる必要があります。
逮捕状の発行を請求するのは、一般的に警察官です。
逮捕状の発行は、逮捕の理由と逮捕の必要性が認められる場合に限られます。
逮捕の理由とは、「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」のことです。
逮捕の必要性とは、「被疑者が逃亡するおそれ」や「被疑者が罪証を隠滅するおそれ」があることです。
恐喝罪の逮捕の流れは?逮捕までの流れは?
恐喝罪の逮捕の流れは、大きく現行犯逮捕の場合と後日逮捕(通常逮捕)の場合に分けられます。
現行犯逮捕の流れ
恐喝罪の現行犯逮捕の流れは、恐喝事件の現場で恐喝事件の直後に逮捕される点に特徴があります。
恐喝事件の目撃者や駆けつけた警察官が加害者を直接逮捕するのが、一般的な恐喝罪の現行犯逮捕です。
現行犯逮捕された後は、そのまま警察署に連行されることになります。
①恐喝事件の発生
↓
②被害者や第三者による現行犯逮捕
↓
③警察署への連行
後日逮捕の流れ
恐喝罪の後日逮捕の流れは、逮捕状をもった警察官に逮捕される点に特徴があります。
恐喝事件の加害者を後日逮捕するためには、裁判所が発行する逮捕状にもとづく必要があります。
実際の後日逮捕の現場では、警察官が恐喝事件の加害者に逮捕状を示して、逮捕が執行されることになります。
①恐喝事件の発生
↓
②警察官による逮捕状の請求
↓
③裁判官による逮捕状の発行
↓
④警察官による後日逮捕
↓
⑤警察署への連行
恐喝罪から後日逮捕されるまでの期間は?
後日逮捕されるまでの期間に、法律上の決まりはありません。
恐喝罪を犯してから後日逮捕されるまでの期間は、捜査の進み具合によるところが大きいです。
単純な恐喝事件の場合
単純な恐喝事件で捜査がスムーズに進む場合は、恐喝事件から一か月以内に後日逮捕されるケースが多いです。
複雑な恐喝事件の場合
複雑な恐喝事件で捜査が困難な場合は、後日逮捕までの期間が長引く傾向にあります。
特に、恐喝事件の関係者が複数いるなどして捜査が難航しているケースでは、後日逮捕までの期間が長引くことになります。
複雑な恐喝事件で捜査が難航している場合は、脅迫事件から半年後や一年後に後日逮捕されることもあります。
恐喝罪で逮捕された後の勾留期間は?
逮捕の期間
恐喝罪の逮捕の期間は、72時間です。
恐喝罪で逮捕されてから48時間以内に送致され、24時間以内に勾留が請求されなければ、基本的に釈放されます。
恐喝罪での勾留が認められない限り、留置場で一、二泊して釈放されるというイメージになります。
勾留の期間(「拘留」という表現は誤りです)
恐喝罪での勾留の期間は、最初は10日間、さらに10日間延長される可能性があり、恐喝事件が起訴されればさらに長引くことになります。
一度勾留が決定されれば、弁護士が介入し途中で示談が成立するなどの特段の事情がない限り、最低でも10日間は警察署の留置場で生活しなければなりません。
その後、さらに10日間ほど勾留が延長される可能性があります。
さらに、恐喝罪で起訴(公判請求)された場合は、その後に保釈が認められるか執行猶予判決が言い渡されるまで、ずっと留置場または拘置所で生活しなければなりません。
もし早期の釈放が必要な場合は、弁護士に積極的に動いてもらった方がよいでしょう。
弁護士が示談を成立させたり、保釈を請求することで、比較的早く留置場から釈放されるケースも多いからです。
恐喝罪と懲役
恐喝罪と懲役の関係
恐喝罪で有罪判決が下される場合、懲役刑となります。
そもそも懲役刑とは?
懲役刑とは、刑務所で刑務作業を負う刑罰をいいます。
恐喝罪で懲役実刑となった場合は、刑務所に収監されて刑務作業を行わなければなりません。
これに対して、恐喝罪で懲役刑になっても、判決で執行猶予がついた場合は、直ちには刑務所に収監されないので、刑務作業を行う必要もありません。
恐喝罪の懲役に関するQA
恐喝罪の懲役の相場は?
恐喝罪の懲役刑の相場は、事件によってさまざまです。
恐喝罪の懲役の法定刑は、刑法によって懲役10年以下と定められているため、恐喝罪の懲役刑が恐喝事件単体で懲役10年を超えることないと言えます。
恐喝罪の結果や態様が重くない場合は、懲役刑にはならず不起訴で終わることもあります。
これに対して、恐喝罪の結果が重大だったり、行為が凶器を使うなど悪質な場合は、初犯であっても懲役実刑になることがあります。
恐喝罪の懲役の年数は?懲役は何年?
恐喝罪の懲役の年数は、刑法によって10年以下と定められています。
恐喝罪で懲役実刑になるとしても、恐喝罪単独であれば、刑務所に収監されるのは10年以下です。
初犯の恐喝罪でも懲役実刑になる?
初犯でも懲役実刑になる可能性があります。
恐喝罪の結果が重大な場合や、危険な凶器を使うなど行為が悪質な場合は、初犯でも懲役実刑になる可能性があります。
特に、恐喝事件の被害が重大で、恐喝罪の加害者と被害者の間で示談が成立していない場合は、初犯でも懲役実刑になる可能性がより高まります。
懲役実刑を避ける方法は?
恐喝事件は被害者がいる刑事事件なので、被害者と示談を成立させることがもっとも大切です。
恐喝罪の被害者と示談が成立し、相手から許してもらうことができれば、初犯である点が考慮され、懲役実刑になる可能性が低くなります。
初犯の恐喝罪だと執行猶予になる?
初犯の恐喝罪だからといって、必ずしも執行猶予になるとは限りません。
恐喝罪の初犯であることは、刑事裁判において有利に考慮されますが、恐喝事件の結果が重大または行為が悪質な場合は、初犯でも懲役実刑になる可能性があります、
恐喝罪で刑事裁判になった場合、執行猶予の可能性を高めたければ、被害者と示談を成立させることが大切です。
恐喝罪の懲役の量刑判断は?
恐喝罪の懲役の量刑判断では、①恐喝事件の結果の重大性、②恐喝事件の行為の悪質性、③恐喝事件の加害者と被害者との間で示談が成立しているか、などが考慮されます。
結果の重大性
恐喝事件の結果が重大な場合は、執行猶予がつかず懲役実刑になる可能性が高まります。
例えば、脅し取った財産の金額が数十万円を超えるような恐喝事件は、結果が重大と判断される傾向があります。
行為の悪質性
恐喝事件の行為が悪質な場合は、執行猶予がつかず懲役実刑になる可能性が高まります。
例えば、凶器を示したりした恐喝事件は、行為が悪質と判断される傾向があります。
示談の有無
恐喝事件の示談が不成立な場合は、執行猶予がつかず懲役実刑になる可能性が高まります。
示談が成立しているか否かは、被害者が存在する恐喝事件の刑事裁判としては、重要な量刑事情となるからです。
恐喝罪と示談
恐喝罪の示談とは
恐喝罪の示談とは、恐喝罪によって生じた賠償金をめぐるトラブルを、恐喝罪の加害者と被害者の合意をもって解決することをいいます。
示談書の作成は、示談の成立の必要条件ではありません。
しかし、その後のトラブル(示談が成立した、しないの言い合い)を防ぐためにも、示談書を作成するが大切です。
示談成立の効果は?
恐喝罪の示談が成立したということは、恐喝罪によって生じた賠償金のトラブルが当事者間の合意によって解決したということを意味します。
示談が成立すれば、恐喝罪の加害者は、被害者に対して、示談金を支払い、その他の示談の条件を履行する義務を負います。
恐喝罪の被害者は、加害者が示談の条件を履行しない場合は、成立した示談書を証拠として、その後の民事手続きを有利に進めることができます。
加害者側の示談のメリットは?
恐喝罪の示談が成立すれば、恐喝罪の加害者は、その後の刑事手続きにおいて、示談が成立しなかった場合と比べて有利に取り扱われます。
具体的には、不起訴となり刑事裁判にならないことで前科がつかない可能性が高まります。
示談が成立したことで、軽微な恐喝事件であれば不起訴になることも多く、恐喝罪の前科がつかないメリットは大きいです。
被害者側の示談のメリットは?
恐喝罪の示談が成立すれば、恐喝罪の被害者は、民事裁判などの面倒な手続きを経ることなく、賠償金を受け取ることができます。
もっとも、示談の成立と同時に賠償金を受け取らなければ、その後に加害者に逃げられてしまうリスクもあるため、注意が必要です。
加害者に逃げられてしまった場合は、賠償金を受け取るためには、示談書を証拠として民事裁判などの手続きを取る必要が出てきます。
恐喝罪の示談に関するQA
恐喝罪の示談金の相場は?初犯の場合の相場は?
恐喝罪の示談金の相場は、ケースによってさまざまです。
初犯の恐喝罪だからといって示談金が安くなることはあまりなく、恐喝罪によって生じた結果の大小や、被害者の処罰感情によって金額が左右されることが多いです。
恐喝罪の示談金の金額は,脅し取った財産の金額が基準とされることが多いです。
脅し取った財産を返還している場合や,恐喝罪の被害がそれほど大きくない場合は、数万円程度の示談金でまとまるケースもあります。
恐喝罪の被害者の側が、実際の損害額に加え一定の慰謝料の支払いを受けることで、誠意が伝わったとして示談に応じるケースが多いからです。
これに対して、恐喝罪によって生じた損害が大きい案件に関しては、示談金が数十万円になることもあります。
刑事事件としての恐喝罪の場合は、加害者が刑務所に入ってしまえば、いくら民事裁判で損害賠償が認められたとしても、実際に賠償金を回収するのは困難です。
被害者が賠償金の回収を重視する場合は、加害者が現時点で用意した金額が民事裁判で認定される可能性がある賠償金の金額よりも低くても示談をしてしまうことが多いです。
示談であれば、「示談金を実際に受け取ってから示談書を作成する」という前払いの方式を取ることが可能で、お金が回収できないリスクを回避することができるからです。
示談拒否で、恐喝罪の示談に応じない場合は?
恐喝罪の加害者が示談に応じない場合、被害者としては、自らが恐喝罪で被った損害を取り戻すためには、自らで法的な手段を取る必要があります。
加害者側からまだ連絡がない場合は、犯罪被害者事件を取り扱う弁護士に依頼して加害者と交渉してみるのが一つの方法でしょう。
もし加害者がそれでも示談を拒否する場合は、恐喝罪で被害を被ったことを理由とした民事裁判や民事調停を起こすことも可能です。
ただし、たとえ恐喝罪で被害を被った場合であっても、民事の手続きで弁護士を立てる場合は、自ら弁護士費用の大半を負担する必要が出てきます。
これに対して、加害者としては、恐喝罪の被害者が示談に応じない場合、刑事手続において刑罰が重くなるリスクを負います。
具体的には、示談が成立すれば不起訴の可能性があったのに示談が不成立だったために刑事裁判で懲役刑になるリスクがあります。
また、示談が成立すれば執行猶予の可能性があったのに示談が不成立だったために実刑になるリスクを負うことになります。
なお、恐喝罪の被害者が示談に応じない場合、加害者は、刑事手続が終わった後も、恐喝罪により損害を与えたことを理由とする民事の損害賠償責任を負い続けることになります。
弁護士は秘密を守る義務を負っているため、弁護士から連絡をすることで被害者が警戒を解いて交渉に応じてくれる可能性があります。
弁護士から連絡をしても示談を拒否されてしまった場合には、支払いたくても支払えない慰謝料を専門の施設に預ける「供託」という法的な手段をとることもあります。
恐喝罪で示談しない場合は?
恐喝罪の示談をしない場合、恐喝罪の加害者は、その後の刑事手続において、示談が成立した場合と比べて重い処罰を受けるリスクを負います。
また、恐喝罪の示談をせずに刑事処罰を受けたとしても、恐喝罪の加害者は、恐喝罪によって相手に与えた損害につき、引き続き損害賠償責任を負い続けることになります。
これに対して、恐喝罪の被害者としては、恐喝罪の示談をしないで刑事手続きが終わった場合でも、引き続き、加害者に対して損害賠償を請求し続けることができます。
示談金の金額や示談の条件に納得がいかない場合は、恐喝罪によって被った損害につき、民事裁判や民事調停などの法的な手続きをとって、恐喝罪の加害者に賠償を求めるのも一つです。
ただし、恐喝罪の加害者が刑務所に入ってしまった場合は、賠償金の回収が困難なので注意が必要です。
恐喝罪の示談書の書き方は?
恐喝罪の示談書の書き方は、通常の示談書の書き方と同様に、示談の対象と内容が明確になるようにします。
示談書には次の事項を盛り込むことが一般的です。
- ① 事件の内容(日時、場所、当事者など)
- ② 示談金の金額、支払方法
- ③ 被害者が加害者を許すこと宥恕条項
- ④ 示談書に記載されたもの以外の賠償義務がないこと清算条項
- ⑤ 両当事者の署名
示談金の一括払いが難しい場合は、示談金の分割払いの合意を盛り込む結ぶことも可能です。
恐喝罪の示談書に、「被害者は加害者のことを許す」旨の宥恕条項(ゆうじょじょうこう)を設けた場合は、その後の刑事手続きで、加害者に有利に考慮されます。
恐喝罪の示談の流れや示談の方法は?
恐喝罪の示談の流れは、通常の事件の示談の流れと同様に被害者側と加害者側との交渉によって進行するものです。
恐喝罪の加害者が被害者の連絡先を知っている場合は、当事者同士で示談の話し合いを進めることができます。
示談成立の流れとしては、
①話し合い
↓
②示談条件の確定
↓
③示談書の作成
↓
④示談金の支払い
↓
⑤示談書にサイン
という流れを経ることが多いです。
これに対して、恐喝罪の加害者が被害者の連絡先を知らない場合は、恐喝罪の示談を進めるためには、弁護士を選任する必要があります。
弁護士を選任すれば、警察官や検察官から被害者の連絡先を聞くことができるケースが多いからです。
弁護士を選任した後の示談の流れとしては、弁護士が被害者と話し合って、示談が成立することになります。
恐喝罪は示談すれば不起訴になる?示談しても起訴される?
恐喝罪は親告罪ではないので、恐喝罪の示談が成立したからといって、必ず不起訴になるわけではないという点に注意が必要です。
もっとも、恐喝罪の被害がそれほど重くない場合は、恐喝罪の被害者と示談が成立すれば、起訴猶予による不起訴の可能性が高まります。
被害者と示談が成立すれば、加害者を起訴する必要性が低くなるからです。
これに対して、恐喝罪の行為が悪質な場合などは示談しても起訴されるケースもあります。
恐喝罪の示談が不成立だった場合はどうなる?
恐喝罪の示談が不成立の場合は、恐喝罪の加害者は、その後の刑事手続において、重い処罰を課せられるリスクを負います。
示談が不成立だった場合は、示談が成立している場合と比べて、恐喝罪の加害者側に有利な事情が少なくなるからです。
なお、示談が不成立だったとしても、恐喝罪によって負わせた損害の賠償を完了している場合は、その限りにおいて、恐喝罪の加害者側に有利な事情として取り扱われます。
これに対して、損害の賠償も完了していない場合、恐喝罪の被害者は、刑事手続きが終わった後も引き続き、加害者側に対して、恐喝罪によって負った損害の賠償を請求し続けることができます。
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まとめ
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