殺人の意味とは…?殺人罪の構成要件を弁護士が解説する
今回の記事「殺人罪とは」がテーマです。
- 殺人罪ってなんだ?その意味を知る
- 殺人を罪として成立させる構成要件とは
- 殺人罪について弁護士に相談する方法
法律の専門家をお迎えして、調べ上げました。
みなさんが、気になるギモンを解消していきましょう!
目次
法律的な部分の解説者として、テレビや雑誌でおなじみの方をお呼びしています。
刑事弁護のスペシャリスト、アトム法律事務所の弁護士です。
よろしくお願いします。
刑事事件を多くあつかってきたなかで得た、現場の感覚をお話しできればと思います。
みなさんによく伝わるように、殺人罪について解説していきます。
殺人罪の基本的なことから、法律面にぐっと踏み込んだ内容までレポートしていきます。
それでは、さっそくはじめていきます!
殺人罪の定義・意味をキホンから学ぶ!
犯罪の代表格ともいえる殺人罪。
人を殺めてしまう犯罪だということは、どんな方でもお分かりかと思います。
殺人罪とは別に、ある行為の結果によって人が亡くなってしまった場合はどうでしょうか?
このような場合は、殺人罪とはまた別に定義されています。
「致死」という言葉を聞いたことはありますか?
たとえば「殺人罪」と「傷害致死罪」。
これらはどう違うのでしょうか?
どうやら、みなさんもこれらの違いに疑問をお持ちのようです。
結果としては人が亡くなってしまうことには変わりないのに、なぜ区分されているのでしょうか。
まず「法律的」な意味から、殺人罪について基本を確認していきましょう。
刑法で定義される殺人罪の意味を理解
殺人がどういうものか分かっているつもりでも、法律的に説明するとなるとむずかしいです。
殺人は法律にはどのように書かれているのかみていきます。
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
出典:刑法第199条 (殺人)
殺人罪は人を殺す犯罪です。
ここでいう「人」とは…
自分以外の生身の人間のことをさします。
ここでいう「殺す」とは…
人の生命を、自然に終わるよりも前に終わらせることです。
「死期を早めること」ともいいます。
殺人罪では、故意に人を殺したことに対して罪が問われます。
殺人罪には故意が必要となります。
「絶対に殺してやるんだ…」
という殺意があったかどうかがポイントになります。
つまり、単に人を殺す行為をしてしまったからといって、殺人罪は成立しないのです。
もともと殺意はなく、結果的に死亡させてしまった場合は…
傷害致死罪などにあたる可能性があります。
法律を確認しておきましょう。
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。
出典:刑法第205条 (傷害致死)
具体的に、傷害致死とはどのような場合かというと…
- ケンカになった相手を黙らせようと暴力をふるった結果、相手が転んで頭を打ち死亡してしまった
- 子どもをしつけようとして叩いた結果、死亡してしまった
殺意がなかったと判断されれば、傷害致死となる可能性があります。
殺人罪の定義についてまとめておきます。
検証
殺人罪と傷害罪
殺人罪 | 傷害致死 | |
---|---|---|
根拠条文 | 刑法第199条 | 刑法第205条 |
構成要件 | 人を殺した者 | 身体を傷害し、よって人を死亡させた者 |
刑罰 | 死刑又は無期若しくは5年以上の懲役 | 3年以上の有期懲役 |
殺人罪の「保護法益」の意味をおさえる
殺人が違法であることは当然のこと、ととらえられています。
刑法は、犯罪を定義し、その犯罪に科せられる刑罰を示しています。
それでは、そもそも法律は何のためにあるのでしょうか。
保護法益という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
保護法益は、「法律が守ろうとしているもの」のことです。
つまり、法律は…
ある特定の行為を規制して、一定の利益を保護・実現しようとしている
ということなんです。
殺人行為を犯罪として規定することで、人命という利益を守ろうとしています。
人の生命は、刑法の保護法益のうち最も重要な法益となっています。
したがって、殺人罪では、重い刑罰(死刑又は無期若しくは5年以上の懲役)が規定されています。
殺人が罪として成立する、構成要件とは?
殺人罪として判断する方法、「構成要件」
ここからは、殺人がどのように「殺人罪」として成立するのかという点について解説していきます。
殺人罪が成立するには、いくつかの条件がそろっていなければいけません。
「構成要件」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
構成要件とは、ある犯罪が成立するための要件(条件)です。
殺人罪でいうと、殺人罪が成立するための要件が構成要件ということになります。
犯罪が成立するためには3つの条件が必要です。
- 構成要件に該当する
- 違法性がある
- 責任が問える
この3つがそろうことで、犯罪が成立します。
殺人罪が成立するために必要な中身を、具体的に解説します。
- ① 殺人罪における「人」について
- ② 殺人罪における「殺した」とは何を意味するか
- ③ 殺人罪における「故意」について
この3つの観点で判断されます。
では、1つずつ見ていきましょう。
1.殺人罪における「人」の意味
まず、殺人罪の1つ目のポイントは「人」です。
人とは、自分以外の生身の人間のことをさします。
生身の人間とはどういうことでしょうか。
個人個人によって、どこからどこまでが「人」というのか様々な考え方があります。
刑法の殺人罪では、
- 母親のお腹の中にいる胎児
- すでに死んでいる人
を殺人の客体である「人」としては考えていません。
母体外に一部でも露出した段階で、「人」として殺人の客体になると考えられています。
また、人の終期の問題については、基本的には心臓の停止を中心に考えます。
しかし、臓器の移植に関する法律ができてから、一定の場合には脳死した者の身体を死体に含めることにされました。
胎児・死体は、殺人罪の客体にはならないという解釈になります。
2.殺人罪における「殺した」の意味
つぎに、殺人罪の2つ目のポイントは「殺した」といえるかどうかです。
殺したとは、どのような行為をいうのでしょうか。
「人の生命を自然に終わるよりも前に終わらせること」をいいます。
殺害の手段・方法は限定されていません。
- 暴行する
- 毒を盛る
- ナイフで突き刺す
- 高層ビルの屋上から突き落とす
このような行為が殺人罪に該当することがあります。
本来人が死ぬ時期より、少しでも早めるようなことをすれば殺人になります。
物理的に手を出すことだけが殺害方法ではありません。
強度の心臓疾患を抱えている人に、強い精神的ショックを与えて殺害するような方法も殺人の行為に認定されるでしょう。
3.殺人罪の「故意」の意味
最後に、殺人罪の3つ目のポイント「故意があったかどうか」という点です。
故意とは、どのようなことをいうのでしょうか。
「人を故意に殺したといえるかどうか」ということです。
- 人だと思わなかった
- 既に死んだ人だと思っていた
- 絶対に死なないと思っていた
このような場合、人を故意に殺したとはいえません。
故意があったかどうかは、目に見えるものではありません。
故意だったかどうかの判断は、事件の状況などから推測で行われます。
たとえば…
- 熊だと勘違いして人を撃ってしまった
- 倒れている状態を見て、既に死んでいると思いながら撃った
このような場合は、「人を殺す」という故意がなかったと判断され、殺人罪に該当しないことになります。
まとめ
殺人罪の成立要件
構成要件 | 内容 | |
---|---|---|
① | 実行行為 | 人を殺すこと |
② | 結果 | 人が殺されること |
③ | 故意 | 人を殺すことを認識・認容していること |
④ | 因果関係 | 実行行為と結果の関係が無理なく説明できること |
殺人罪の相談は、弁護士まで
ここまで、殺人罪の意味や構成要件について解説してきました。
殺人罪がどのようなものなのか、お分かりいただけたと思いますが…
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最後に弁護士からメッセージ
殺人罪の意味についてくわしく見てきました。
はじめて知ることもたくさんあったと思います。
それでは最後に、アトム法律事務所の弁護士から一言いただきたいと思います。
殺人罪のことでお悩みなら、今すぐ弁護士に相談してください。
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はじめて弁護士に相談するから不安だということもあると思います。
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