交通死亡事故を起こすと仕事はクビ?解雇される?|会社の責任は?
「交通死亡事故を起こしてしまった…」
死亡事故に巻き込まれた被害者の遺族の怒りや悲しみは計り知れないものです。
失われてしまった命は二度と戻りません。
そんな死亡事故の加害者に、ある日突然、自分がなる時がくるかもしれません。
自動車を運転するということは常に事故と隣り合わせです。
もし、ご自身・ご家族が死亡事故を起こしてしまったら…
- 会社はクビになってしまう?
- どんな処分を受ける?
- 仕事中の事故なら会社への影響は?
- 逮捕されてしまう?
など、不安と疑問で押しつぶされそうになりますよね。
そこで、今回は特に気になる「死亡事故を起こすと仕事はクビ?」という点を突き詰めていきます。
目次
もし、死亡事故を起こしてしまったら…
会社から解雇されてしまうのでしょうか。
こんな意見もありましたが実際はどうなのでしょうか。
もし、死亡事故を起こしてしまうと会社から解雇されてしまうのかを解説していきます。
法律のくわしい部分は弁護士の先生にお願いします。
死亡事故の加害者になったら仕事はどうなる?
死亡事故で加害者に対する会社の対応は?解雇されてしまう?
死亡事故の加害者になってしまった…
交通事故は突然起こります。
誰でも、交通死亡事故の加害者・被害者になってしまう可能性があります。
もし、ご自身やご家族が交通死亡事故の加害者になってしまったら…
会社から解雇されてしまうのでしょうか。
莫大な賠償金を背負い、刑罰も受けることになるかもしれません。
賠償金を払うのに会社を解雇されてしまったら非常に困りますよね。
従業員が死亡事故を起こした際の会社の対応はどのようなものでしょうか。
死亡事故を起こしたことで解雇されるかは就業規則や社長の裁量的な判断によります。
死亡事故を起こしたから必ず解雇されてしまうというわけではありません。
しかし、死亡事故で実刑判決を受けると、交通刑務所に収監されることになるため、実際問題、出勤することができません。
事実上会社を辞めざるを得ないかもしれません。
死亡事故が不起訴で終わった場合は就業規則に違反していないことが多いです。
よって、そのまま職場に復帰できるケースもあります。
裁判で有罪判決を言い渡され、前科がつくと会社に復帰することが難しいと思う方もいることでしょう。
しかし、一概にそうともいえません。
事故を起こし、前科がついても社長の裁量で復帰できるケースもあります。
もっとも、仕事に運転免許が必要な場合は、復職が難しい場合もあるでしょう。
復職できても配置換えが行われる可能性が高いです。
上記の事実はあくまで過失で事故を起こしてしまった場合です。
- 飲酒運転
- 危険運転
で死亡事故を起こした場合は、裁判の後に刑務所に収容される可能性があります。
このような死亡事故では、職場を解雇される可能性が高いでしょう。
トラックの死亡事故からみる加害者のその後|会社への影響は?刑罰や賠償金は?
トラックの死亡事故からみる加害者と会社への処分
運送会社のトラック運転手などの職業をしていると毎日自動車に乗りますよね。
身心が疲労している状態で運転していると、たいへん危険です。
もし、業務中に交通死亡事故を起こしてしまうと、加害者と会社はどうなってしまうのでしょう。
加害者への処分だけでなく会社も処分を受ける可能性はあるのでしょうか。
最近でもこんなニュースがありました。
広島県東広島市の山陽自動車道のトンネルで2016年3月、トラックが渋滞の列に突っ込み2人が死亡した事故で、事業用自動車事故調査委員会は6日、報告書を公表した。トラック運転手(34)の居眠りが直接の原因と考えられるとした上で、運転手は事故3日前から2日前にかけて一睡もせずに36時間乗務を続けていたなど、過酷な勤務が居眠りにつながったと指摘した。(略)
運転手は自動車運転処罰法違反(過失致死傷)と道交法違反(過労運転)の罪で起訴され、懲役4年が確定。運転手に過労運転させたとして、運行管理者だったツカサ運輸役員(43)と法人としての同社も道交法違反(過労運転下命)などの罪に問われ、有罪が確定した。
出典:日本経済新聞 2017/12/6 18:29
こちらの事故では「過失致死傷」と「道交法違反」の罪に問われていますね。
故意に起こした事故ではありませんが、懲役4年の刑に処されています。
会社も道交法違反(過労運転の下命)などの罪に問われて、有罪が確定しています。
業務中の交通死亡事故は個人だけの問題ではなく、会社へも影響する場合があるのですね。
なお、その他の影響については『交通死亡事故の加害者、その後の人生は…|慰謝料、香典、罰金等の刑罰を知りたい方へ』で特集しているので、興味がある方はご覧ください。
死亡事故の加害者はどんな責任を負うか
死亡事故を起こすと死亡事故の加害者は
- 民事責任
- 刑事責任
- 行政上の責任
の3つの責任を負うことになります。
刑事上の罪としては
- 過失運転致死
- 危険運転致死
の罪に問われます。
これは、民事上の責任(損害賠償など)とは別に刑事罰を科されることを意味します。
ここからは死亡事故を起こすと、どんな重い責任を負うのか見ていきましょう。
死亡事故の加害者の刑事上の責任とは
上で見てきたとおり、死亡事故が犯罪になるとしたら、
- 過失運転致死
- 危険運転致死
のいずれかになるということでした。
もし、「過失運転致死」や「危険運転致死」で有罪になった場合、どんな刑罰を受ける可能性があるのでしょうか。
表で確認してみましょう。
まとめ
「過失運転致死」と「危険運転致死」の刑罰
過失運転致死 | 危険運転致死 | |
---|---|---|
刑罰 | 7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金 | 法の2条にあたる危険運転致死の場合は、1年以上の有期懲役 法の3条にあたる危険運転致死の場合は、15年以下の懲役 |
法律 | 自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律 | 自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律 |
このように、かなり重い刑罰が言い渡されます。
なお、交通事故の刑罰については『死亡事故は実刑判決?交通事故の懲役刑でも執行猶予はつく?』で特集しています。
懲役実刑になってしまったら…一体どんな場所に収容されてしまうのか不安ですよね。
「刑務所」といったら怖く、辛い生活を強いられるイメージがあるかもしれません。
交通死亡事故を起こし、懲役実刑になった場合は「交通刑務所」に収容されます。
交通刑務所については『【交通事故】死亡事故で加害者になった…交通刑務所に入る可能性は?』で特集しているので、是非ご覧ください。
死亡事故の加害者が負う民事上の責任は?払う賠償金の内訳は?
死亡事故の加害者は、民事責任も負うことになります。
加害者が負う、民事責任とは、事故によって被害者に発生した損害を賠償する義務のことです。
亡くなられた被害者の遺族に対して損害賠償金を払うということです。
損害賠償金はどのような内訳になっているのでしょうか。
交通事故による死亡事故についての損害賠償金・示談金の主な内訳は
- 葬儀費用
- 死亡慰謝料
- 死亡による逸失利益
の三項目が挙げられます。
遺失利益は亡くなられた方の年齢や収入次第で大きく変動します。
亡くなられた方の年齢・収入によっては数億という高額な金額になることもあります。
運転者には自賠責保険への加入が強制されています。
民事責任の一部はこの自賠責保険でまかなわれます。
しかし、損害額と自賠責保険からの支給額の差額分は、加害者が負担しなければなりません。
死亡事故になると加害者の民事責任は非常に重いものとなり、個人の資産で支払うことは難しいかもしれません。
このような民事責任のリスクを回避するために、運転者の多くは任意保険に加入しています。
万が一の人身事故の際は任意保険で民事責任がまかなわれます。
損害賠償についてはくわしく書かれた記事がありますのでこちらをチェックしてみてください。
トラックのドライバーなどに多大な影響を与える「行政責任」
最後に「行政責任」とは何かをみてみましょう。
自動車の運転者には運転免許があたえられていますね。
もし、人身事故を起こしてしまった場合には運転免許に関する行政上の責任を負うように定められています。
人身事故の加害者は、被害者の治療期間に応じて違反点数を課され、点数によって免許停止処分や免許取消処分を受けることになります。
死亡事故を起こすと、免許が取り消される可能性があります。
タクシードライバーや運送業などの仕事をしている人にとって、運転免許に対する行政処分は生活に大きな影響を与えます。
免許の取り消しに該当する場合は、「意見の聴取」の機会が与えられます。
「意見の聴取」では、
- 取り消しの処分が酷である
- 取り消しの不利益が極めて大きい
といった事情を説得的に述べることで、処分が軽減される可能性もあります。
【弁護士無料相談】死亡事故の加害者になってしまったら…
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もし、ご自身やご家族が突然交通死亡事故の加害者になってしまったら…
- 賠償金はいくら?
- どんな刑罰を受ける?
- 会社を解雇される可能性は?
など、非常に不安になると思います。
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最後に一言アドバイス
もし、交通死亡事故を起こしてしまったら…
会社を解雇される可能性があるだけではなく、厳しい刑事処分を受ける可能性もあることがわかりました。
交通死亡事故は運転する誰もが起こす可能性を持っています。
双方にとって取り返しのつかない結果となってしまいます。
普段から交通ルールをしっかり守り、注意深く運転することを心がけましょう。
もし、交通死亡事故の当事者になってしまったら、まずは早めに弁護士に相談してみてください。