当番弁護士制度とは?当番弁護士の呼び方や連絡先、費用を解説|24時間接見してくれる?
「当番弁護士制度ってなに?」
「当番弁護士制度を利用したいんだけどどうすればいいの?」
このような疑問、お悩みをお持ちの方はいませんか?
逮捕されたら弁護士に依頼する権利がある…という知識はあっても、では具体的にどう弁護士に頼ればいいのか、わからない方も多いかと思います。
今回は
- 当番弁護士制度の使い方や連絡先
- 当番弁護士制度とはそもそも何なのか
- 当番弁護士制度と被疑者国選との違い
などについて徹底解説していきます。
なお専門的な解説は刑事事件を数多くとり扱い、刑事手続きにおける当番弁護士制度にもくわしいアトム法律事務所の弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
すべての刑事事件の被疑者は、逮捕後、弁護士に依頼する権利が保障されています。
この記事で当番弁護士制度についてよく確認し、ご自身の弁護士に依頼する権利を最大限行使できるよう、知識を身につけていってください。
目次
当番弁護士制度の使い方|呼び方や連絡先とは?
注意
記事に記載されている情報は平成30年7月時点のものです。
今後、法改正などによって制度の内容等が変わる可能性もあります。
憲法34条では、逮捕や勾留など、身体拘束をうける羽目になったとき、弁護士に依頼することができるという権利が保障されています。
何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。
(略)
出典:憲法34条
とはいえ
「知り合いの弁護士なんかいない。権利があっても実際には依頼できない」
といった方も多いことでしょう。
当番弁護士制度は、逮捕直後、だれでも法的サービスが受けられるように設立された制度です。
まずは
- 当番弁護士を呼べる条件
- 当番弁護士を呼ぶときの連絡先
について確認していきましょう。
当番弁護士の呼べる条件|2回目はNG?24時間体制?
逮捕された被疑者本人、また逮捕された被疑者の家族や知人などは、誰でも当番弁護士を呼ぶことができます。
当番弁護士の呼び方|家族
逮捕された場所を管轄する弁護士会に電話をします。
- 申込者の名前、連絡先
- 逮捕された人の氏名、性別、生年月日、逮捕されている場所
が聞かれ、その後、当番弁護士が手配されます。
当番弁護士の呼び方|本人
本人が呼ぶ場合には、逮捕後に直接、警察官や検察官、裁判官などに
「当番弁護士を呼んでほしい」
と伝えます。
当番弁護士を呼ぶよう要請された警察官、検察官、裁判官は、地域の弁護士会に連絡をします。
ただし、当番弁護士を呼ぶにはいくつか条件があります。
まず、当番弁護士は逮捕「後」にしか呼ぶことはできません。
たとえば、
「事情聴取という名目で長時間取り調べを受けている!弁護士を呼びたい!」
といったとき、当番弁護士を呼ぶことはできません。
当番弁護士は、あくまで「逮捕後」に呼ぶことができる
任意同行やそれに伴う取り調べなどについてお悩みの方はこちらの記事をご覧ください。
当番弁護士が呼べるのは1回限り
また、当番弁護士は何回も呼ぶことはできません。
逮捕後、1回限りのサービスとなります。
引き続きその当番弁護士に弁護活動を依頼したいという場合には、私選弁護士として契約を結ぶ必要があります。
当番弁護士を呼ぶことができるのは、あくまで「最初の1回」だけ
条件 | |
---|---|
時期 | 逮捕後 |
回数 | 一回限り |
当番弁護士の受付時間
当番弁護士の派遣要請の受付は、各地域の弁護士会が行っています。
受付時間は地域の弁護士会ごとに差があり、主要都市圏では24時間、留守電対応で受け付けている弁護士会も多いようです。
受付時間は弁護士会ごとに差がある
各弁護士会は、当番弁護士の派遣要請があれば、できるだけその日のうちに派遣できるよう尽力してくれます。
ただ、時間帯や場所、その他条件によっては派遣が翌日以降になることもあるようです。
当番弁護士に依頼したい場合には、逮捕後、なるべく早く派遣の要請を出すと良いでしょう。
当番弁護士の呼び方|東京、大阪、埼玉、京都など連絡先を紹介
当番弁護士を呼ぶにあたって、連絡先を知っているかどうかというのは重要です。
ここで当番弁護士の連絡先について紹介していきます。
全国弁護士検索
当サイトには全国弁護士検索という機能が実装されています。
お住いの地域をタップしていただくことで、
- その地域の当番弁護士の連絡先
- その地域の刑事事件に強い弁護士事務所の情報
などに簡単にアクセスできます。
また、日本弁護士連合会の公式サイトには、当番弁護士を依頼するための連絡先の一覧が公開されています。
下記ページにも、当番弁護士の連絡先がまとめてあります。
当番弁護士の連絡先・呼び方
そもそも当番弁護士制度とは?
ここまで当番弁護士を呼べる条件や連絡先など、実際に依頼するときに必要な情報について解説してきました。
ツイッターなどを見てみると
「そもそも当番弁護士とは何なのか」
疑問に思っている方は多いようです。
ここからは
- 当番弁護士の仕組み
- 当番弁護士の費用
- 当番弁護士の報酬ややる気
について解説していきます。
当番弁護士はどんなセンターから派遣される?
そもそも当番弁護士とは何者なのでしょうか?
実は、「当番弁護士の業務だけを専門に請け負っている弁護士」というのは存在しません。
当番弁護士の仕組み
地域の弁護士会に所属する弁護士たちが、持ち回りの当番制で当番弁護士となる
当番弁護士制度は、地域ごとに弁護士会が運営主体となって運用されています。
東京弁護士会による、制度運用の一例を見てみましょう。
東京弁護士会の当番弁護士
- ① 東京弁護士会の担当者名簿に登録された弁護士は、当番担当日が割り当てられる。
- ② 当番担当日を割り当てられた弁護士は、その当日、午前10時から午後5時30分まで、自身の弁護士事務所で待機する。
- ③ 当番弁護士として出動するよう言われたら、原則としてその当日に被疑者に接見する。
- ④ また、もし接見後に被疑者から私選弁護士として選任したい旨を言われたときには、原則として受任する。
東京弁護士会では、このような運用となっています。
弁護士会とは?
先ほどから目にする「弁護士会」という言葉。
弁護士会というのは、弁護士にとっての強制加入団体です。
弁護士の指導、連絡、監督などの事務を行ないます。
弁護士会は各地域ごとに設置されていて、日本全国に52団体あります。
また、これら弁護士会の連合会として日本弁護士連合会が設置されています。
日本弁護士連合会、通称は「日弁連」といいます。
さらに、日弁連は刑事弁護センターという部署も設立し、弁護士会の当番弁護士制度の運営をサポートしています。
弁護士会 | 日弁連 | 刑事弁護センター | |
---|---|---|---|
内容 | ・全国52か所に設置されている ・当番弁護士派遣の業務を担う | ・弁護士会の連合会 | ・日弁連が設置 ・弁護士会の当番弁護士制度の業務をサポート |
当番弁護士制度に費用はかかる?
当番弁護士を利用するにあたり、費用はかかりません。
逮捕後であれば、誰でも無料で弁護士を呼ぶことができます。
重要
当番弁護士を呼ぶのはタダ!
逮捕された時の心構えとして、
「逮捕されたときには、ともかくまずは当番弁護士を呼ぶ!」
と考えておくと良いでしょう。
当番弁護士の報酬|「やる気がない」は本当か
当番弁護士の報酬について確認していきます。
記事をご覧の方の中には、報酬金なんて利用する側からすればどうでもいいとお考えの方もいらっしゃるかとは思います。
しかし、当番弁護士の報酬体系を知ることは、当番弁護士という制度そのものを理解するにあたっての一助となります。
ここで触れておきましょう。
当番弁護士はボランティア?
当番弁護士制度は弁護士会によるボランティアであり、公的な金銭支援の仕組みなどはありません。
当番弁護士の報酬は、すべて弁護士会の予算から捻出されています。
しかも弁護士会の収入会計のうち、ほとんど大多数を占めるのは、所属する弁護士からそれぞれ徴収した弁護士会費です。
当番弁護士の報酬が支払われたとしても、それはタコが自分の足を食べるようなもの。
めぐり巡って考えてみると、当番弁護士制度はもはや弁護士によるボランティアと言っても過言ではないのかもしれません。
当番弁護士の報酬
また当番弁護士の報酬金額それ自体もそうとう低額です。
当番弁護士の報酬金額は、1回につきおおむね1万円程度。(ただし、弁護士会によって差異有り)
刑事事件専門の弁護士事務所のサイトを見てみると、初回接見の費用について、
- 5万円
- 3万円
- 県内5万円、距離に応じて最大10万円
などと取り決められていました。
やはり一般的な私選弁護士の基準と比較してみても、その低額ぶりがわかります。
当番弁護士のやる気
こういった報酬の体系を見てみると、
「当番弁護士ってやる気のない人も多いんじゃないの?」
と思われる方も多いことでしょう。
実際に、ヤフー知恵袋にはこのような質問が投稿されていました。
fyj********さん 2013/4/808:21:04
当番弁護士はやる気がないのは本当ですか?
大して金も手に入らない自分から望んで出向いたわけではないから事務的な対応しかしたがらないと聞きました。
出典:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11105323896
無論、やる気のない弁護士にあたってしまう可能性も否定はできません。
しかし、多くの弁護士は、たとえ当番弁護士であっても手を抜くことはないでしょう。
弁護士は、
基本的人権を擁護し、社会正義を実現すること
を使命としています。
またこの使命にもとづき、誠実に職務を行わなくてはならないとされています。
これは弁護士法に規定されています。
弁護士の多くは職業的良心に従って仕事をしています。
当番弁護士も、きちんと誠実に職務を果たしてくれる人がほとんどでしょう。
当番弁護士制度と被疑者国選弁護士との違い
「今後も弁護士に弁護活動をしてもらいたい!でもお金はない…」
そういったときには、国選弁護人に頼ることになるでしょう。
国選弁護士とは?
国選弁護人制度は、一定の条件の元、原則として無料で、私選弁護人と同じような弁護活動をしてもらえるという制度です。
私選弁護人と比較してデメリットなどもありますが、費用がかからないというのは何よりも魅力的なポイントです。
国選弁護人を依頼する際の条件やメリット、デメリットについて知りたい方はこちらの記事を参照してください。
とくに、起訴される前の段階での国選弁護人のことを
「被疑者国選」
といいます。
当番弁護士と被疑者国選の違いですが、表にまとめると以下のようになります。
当番弁護士 | 被疑者国選 | |
---|---|---|
活動内容 | 逮捕後、最初の1回だけ無料で接見 | 私選弁護人とほぼ変わらないリーガルサービスを提供 |
依頼可能な時期 | 逮捕後 | 勾留決定後 |
条件 | 原則なし 誰でも呼ぶことができる | あり 原則資力50万円以下 |
費用負担 | 原則、被疑者の費用負担はなし | 原則、被疑者の費用負担はなし |
当番弁護士から国選弁護士になってもらうことはできる?
「資力は50万円以下だから、このまま当番弁護士の人に国選弁護人になってもらいたい…」
そのようにお思いの方もいらっしゃるかもしれません。
当番弁護士にそのまま国選弁護人になってもらうにはいくつか条件があります。
条件
- ① その当番弁護士が、法テラスで国選弁護人の登録をしていること
- ② その当番弁護士が、今後国選弁護人として活動することに同意し受任する意思を示すこと
- ③ 国選弁護人の附される条件にあてはまっていると事件担当の裁判官が判断すること
①について
国選弁護人についてその業務を担っているのは日本司法支援センター(法テラス)です。
国選弁護人になれるのは、法テラスで国選弁護人として登録を受けた弁護士だけです。
まず当番弁護士として派遣されたその弁護士が、国選弁護人になれるかどうか確認する必要があります。
②について
国選弁護人の報酬はいちじるしく低額です。
国選弁護人として選任するにあたっては、弁護士がそのことに同意して、事件を受任する意思を示してくれる必要があります。
ただ、国選私選を問わず、受任の依頼があれば受任すべしと努力義務を課している弁護士会も多いようです。
国選弁護人として受任する意思を定めた弁護士は、
- 被疑者国選で受任予定であることを法テラスに通達し、
- 法テラスと担当の裁判所の部署に「要望書」など必要書類を送付します。
これにより、国選弁護人として受任する準備が整います。
③について
被疑者について、国選弁護人を附すか否か、最終的な判断をくだすのは裁判官です。
裁判官に、
「この事件の被疑者は国選弁護人を附す条件に適っている」
と判断される必要があります。
当番弁護士についてお悩みなら私選弁護士にも相談を!
ここまで弁護士の解説とともにお送りしました。
当番弁護士制度について、かなり深いところまで知ることができたのではないでしょうか。
この記事をご覧になっている方の中には、自分の事件に即してもっと具体的なアドバイスが欲しい! という方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、ここからは弁護士に相談できる様々なサービスについてご紹介します。
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最後に弁護士からメッセージ
では最後に一言お願いします。
当番弁護士制度についてお悩みの皆さん。
当番弁護士制度は、いざというとき非常に頼りになる制度です。
ですが、接見回数はわずか1回だけですから、その後もリーガルサービスをうけたいときにはきちんと弁護士を選任する必要があります。
弁護士は被害者との示談交渉、裁判官や検察官への働きかけなどの活動によって
- 勾留の阻止
- 不起訴処分の獲得
- 量刑の軽減
について、それぞれ可能性を高めます。
お悩みのある方は、今すぐ弁護士に相談して、弁護士の必要性や費用相場について疑問を解決してください。
まとめ
今回は、当番弁護士制度について解説してきました。
当番弁護士制度については『当番弁護士制度とは?無料で24時間対応してくれるって本当?』でも解説しているので、良かったらご覧ください。
当番弁護士制度のまとめ
- 当番弁護士の派遣要請は電話でも行うことができる。連絡先についてあらかじめ知っておくのがよい
- 当番弁護士は、逮捕後1回だけ、誰でも無料で弁護士を呼ぶことができるという制度である
- 国選弁護人とは、その制度の仕組みや目的などがまったく違う
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