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逮捕は解雇理由になり得るか|マスコミ報道されなければセーフ?不起訴なら職場復帰は可能か

  • 逮捕,解雇

逮捕は解雇理由になり得るか|マスコミ報道されなければセーフ?不起訴なら職場復帰は可能か

「刑事事件で逮捕された!このまま懲戒解雇されてしまうか不安!」

そのようなお悩みをお持ちの方はいませんか?

「逮捕されたら人生終了」とは、よく巷で流れる言説ですが、実際には逮捕後にも人生は続いていきます。

特に仕事で解雇されるかどうかという点は生活に直結する重大な事柄です。

  • 逮捕を理由に解雇はされるのか?有罪確定なら?
  • 逮捕で解雇になったとき、再就職はうまくいくのか
  • 逮捕の会社バレを防ぐ方法とは?

今回はこのようなお悩み、疑問を徹底解説していきます。

なお専門的な解説は刑事事件を数多く取り扱い、逮捕による解雇の事案にも詳しいアトム法律事務所の弁護士にお願いしています。

よろしくお願いします。

今回は実際の判例も紹介しながら、逮捕による解雇が適法になる条件などをわかりやすく解説していきます。

逮捕された!不起訴なら解雇されない?会社が社員を解雇できる条件とは

まずは

逮捕を理由にした解雇が正当なものだと認められるのか

について確認していきましょう。

盗撮、痴漢、暴行傷害など…逮捕を解雇理由にできるの?

結論から言ってしまえば、逮捕だけを理由に解雇するのは不当である可能性が非常に高いです。

日本においては、

逮捕される=何か悪いことをした=犯罪者

というような風説が、なかば一般常識として認知されています。

しかしこれはまったくの間違いです。

逮捕された段階では、その被疑者はまだ犯罪者ではありませんし、有罪になると決まったわけでもありません。

日本の法律では、「推定無罪の原則」が適用されています。

「有罪判決が確定するまでは、何人も犯罪者として取り扱われない」という原則です。

この考え方からすれば、逮捕されたという理由だけで解雇するのは不当と言えます。

例外的に、例えば

  • 会社に直接被害を与えた業務上の横領などのケースで、
  • 逮捕段階から被疑者も容疑を認めており、事実に争いがない

といったような場合には、起訴を待たずに解雇が行われ、またそれが正当だと認められる可能性はあります。

しかし、業務外の私生活上の犯罪で逮捕された場合には、たとえ本人が犯行を認めていたとしても、その時点での解雇は不当である可能性が高いでしょう。

判例を紹介 会社が懲戒解雇を行える条件

私生活上の犯罪行為について、それを解雇とできるかどうか、基準を示した裁判例があります。

まずはこの裁判の事件内容から確認していきます。

事件の概要
事件の経過①
Aは旧国鉄の職員である。
Aは中国四国教育研究協議会が開催された際に、その反対運動に参加した。
事件の経過②
反対運動のさなか、警察官と反対運動参加者との間に接触があった。
Aはある警部補を集団で追いかけ、その背後から抱き着く等して警部補の業務を妨害した。
刑事手続き
Aは公務執行妨害で逮捕された。
最終的に、「懲役6か月、執行猶予2年」の有罪判決となった。
補足
なおAは以前に暴力行為等処罰に関する法律違反の罪により起訴されている。
今回の事件はその暴力沙汰をにより休職となっているときになされたものである。
また、Aはこれまで戒告又は減給の懲戒処分5回を受けている。

この事件について、旧国鉄はAを懲戒免職処分としました。

Aは、その処分は不当であるとして裁判を起こし、最終的に最高裁まで争われることになりました。

この最高裁の判決文に、業務外の私生活上の犯罪行為について解雇が有効とされる基準が判示されています。

引用してみますが、日本語が難しいので飛ばし読みで構いません。

従業員の職場外でされた職務遂行に関係のない所為であつても、企業秩序に直接の関連を有するものもあり、それが規制の対象となりうることは明らかであるし、また、企業は社会において活動するものであるから、その社会的評価の(略)低下毀損につながるおそれがあると客観的に認められるがごとき所為については、職場外でされた職務遂行に関係のないものであつても、なお広く企業秩序の維持確保のために、これを規制の対象とすることが許される場合もありうるといわなければならない。

この判例を元に私生活上の犯罪行為を理由に懲戒解雇が正当なものと認められる条件をまとめると以下のようになります。

基準
  • その行為が企業秩序に直接の関連を有すること
  • その行為が企業に対して社会的評価の低下毀損につながるおそれがあると客観的に認められるものであること

この教育研究協議会の反対運動の事件は、

  • 事件の重大性
  • Aが以前に暴力事件を起こして起訴されていること
  • 戒告や減給の懲戒処分をすでに5回も受けていること

なども考慮され懲戒解雇は正当なものであるとされました。

懲戒解雇のハードルは高い|マスコミ報道されたら解雇?起訴され実刑なら解雇?

実は懲戒解雇が認められるハードルはかなり高く

  • その行為が企業秩序に直接の関連を有する
  • その行為が企業に対して社会的評価の低下毀損につながるおそれがあると客観的に認められるものである

このどちらかを満たす私生活上の犯罪行為というのは中々ありません。

有罪でも懲戒解雇が認められなかった事例①

実際に有罪でも懲戒解雇が認められなかった事例を確認してみましょう。

まずは、私生活上の犯罪行為について、

その行為が企業秩序に直接の関連を有するかどうか

について、争われた裁判の例です。

鉄道職員が痴漢をはたらき諭旨解雇されたという事例で、事件の内容は以下のようなものとなります。

諭旨解雇が不当とされた事例(痴漢)
事件の概要
Aは鉄道会社の職員である。
Aは電車の中で5ないし6分にわたって当時14歳の被害女性の臀部及び大腿部の付近を着衣の上から触った。
なお、鉄道会社は当時、痴漢行為の撲滅に向けた取り組みを積極的に行っていた。
刑事処分の経過
Aは略式起訴となり罰金20万円の支払いが命じられた。
マスコミ報道
この事件はマスコミに大々的に報道されることはなかった。
補足
なおAに前科、前歴はなく、また懲戒処分歴もなかった。
また、職務態度もまじめであった。

この事例について、東京地方裁判所は以下のような判決を下し、諭旨解雇は不当としました。。

(略)

一般的には,本件行為が被告の企業秩序に与える悪影響の程度は,鉄道会社以外の会社の社員が痴漢行為を行った場合に当該行為が当該会社に与える悪影響の程度に比べれば,一般的には大きくなり得るものと考えられる。

(略)

なお,本件行為に係る懲戒処分として,諭旨解雇という原告の被告における身分を失わせる処分をもって臨むことは,重きに失するといわざるを得ない。

  • 「鉄道職員による痴漢行為は、他の一般の痴漢行為と比較すれば、企業秩序に与える悪影響の程度が大きい
  • 「しかし懲戒処分として諭旨解雇をもって臨むのは重すぎる

要するに、企業秩序への関連の程度は大きいとはいえ、それでも諭旨解雇は重すぎると判断されました。

なお諭旨解雇というのは、懲戒解雇相当の処分について懲戒解雇よりは温情的な措置として解雇する退職手続きです。

つまり、懲戒解雇よりも一段軽い措置なわけですが、それすら重すぎるという判断が下されたわけです。

有罪でも懲戒解雇が認められなかった事例②

その行為が企業に対して社会的評価の低下毀損につながるおそれがあると客観的に認められるものであるかどうか

が争われ、結果的に懲戒解雇が認められなかった事例も確認しておきましょう。

学生運動のさきがけとなった砂川事件について、それに加担し会社を懲戒解雇されたという事例です。

懲戒解雇が不当とされた事例(砂川事件)
前提:砂川事件とは
砂川事件とは、在日米軍立川飛行場の拡張を巡り、反対運動を展開した何名かが、
・「アメリカ軍基地の立ち入り禁止の境界柵を壊し、基地内に数メートル立ち入った」
ということで逮捕、起訴された事件のことをいう。
事件の経過①
A他2名は、日本鋼管という会社に勤めていた。
砂川事件では、この3名は起訴され有罪となった。
事件の経過②
A他2名は、会社の就業規則の解雇事由
・「不名誉な行為をして会社の体面を著しく汚したとき」
に該当したとして、会社側から懲戒解雇、諭旨解雇を言い渡された。
裁判の経過
A他2名は、この懲戒解雇、諭旨解雇が不当なものとして裁判を起こした。
第一審は、この解雇は不当なものであると認めた。
控訴審でも、この第一審の判決が支持された。
日本鋼管はなお、裁判が不服であるとして上告した。

この事件において、最高裁判所は、

「懲戒解雇、諭旨解雇は無効」

という判断を下しました。

この日本鋼管事件では、従業員の不名誉な行為が会社の体面を著しく汚したと認められるためには、

  • 会社ごと、従業員ごとにそれぞれ事情をきちんと見極めた上で、
  • 社会的評価に及ぼす悪影響が相当重大であると客観的に認められる

必要があると判示されました。

これについて具体的に言及された部分を参照してみましょう。

従業員の不名誉な行為が会社の体面を著しく汚したというためには

(略)

当該行為の性質、情状のほか、会社の事業の種類・態様・規模、会社の経済界に占める地位、経営方針及びその従業員の会社における地位・職種等諸般の事情から綜合的に判断して、右行為により会社の社会的評価に及ぼす悪影響が相当重大であると客観的に評価される場合でなければならない。

(略)

砂川事件は非常に大変な事件であり、新聞などでも大きく報道されました。

それについて、

会社の社会的評価を若干低下せしめたことは否定しがたい

とされた一方、

懲戒解雇又は諭旨解雇の事由とするには、なお不十分である

との見解が示され、懲戒解雇、諭旨解雇は認められなかったのです。

不起訴の場合、解雇は不当である可能性が高い

鉄道職員による痴漢行為で有罪になったものすら、解雇は不当とされるわけです。

とすれば、私生活上の犯罪行為について、起訴猶予で不起訴になった場合には、懲戒解雇は不当と判断される可能性は高いでしょう。

その懲戒解雇が不当とされるかどうかは、

  • 事件の態様
  • 処分者のこれまでの勤務態度や性格、実績
  • 量刑の重さ
  • 会社への影響度

などから総合的な判断によって決します。

ただ一般論としては、業務に直接関係のない私生活上の事件で、マスコミ報道もされず、罪も軽い場合には、懲戒解雇は不当となる事例が多いと言えます。

念のため、懲戒解雇が正当なものであると認められた事例も紹介しておきましょう。

「小田急電鉄の主任が、過去痴漢行為で何回も罰金刑になり、降格や減給などの処分が下されても、なおまた痴漢行為をはたらいた」

という事例については懲戒解雇が相当であるとされた判例があります。

執行猶予なしの実刑で刑務所に収監 業務に従事できない場合

重大な犯罪を犯してしまった場合、執行猶予無しの懲役刑に処される場合もあります。

執行猶予無しの懲役刑となれば、そのまま刑務所に収監されることになりますから、長期間会社に出勤することができなくなります。

長期にわたる起訴勾留によって会社に出勤することができない社員について、

「職務規定上、従業員たる資格を喪失した」

とみなし、事実上の解雇処分とした事例につき、裁判で正当であると認めらた事例もあります。

一般的に言って、執行猶予無しの実刑になった場合には、

  • 勤務が不可能であること
  • 事件の重大性
  • それに伴う会社への影響、企業秩序への影響の度合い

等が勘案されて解雇になります。

またその解雇が正当であると認められる可能性も高いと言えるでしょう。

解雇されなくても職場復帰は難しい?逮捕のその後の人生 再就職はうまくいくのか

「私生活上の犯罪行為で逮捕されたとき、それを理由にした解雇が正当であると認められる事例は、そこまで多くない」

とはいえ、会社は法律の専門家ではありませんから、勝手に解雇扱いにしてくる可能性もあります。

また、「解雇になる前に自分から辞めたほうが良いよ」などと言って、退職を勧められるかもしれません。

そこで、懲戒解雇と自己退職を比較して、現実的な側面からの対応なども検討してみることにしましょう。

「懲戒解雇と退職」給与や失業保険、退職金の差とは 解雇予告手当はもらえる?

懲戒解雇が行われる見込みがたったとき、場合によっては会社側から退職するよう勧められることがあります。

これを退職勧奨と言います。

退職勧奨においては、会社側から

  • 「自己都合の退職という扱いで退職金が支給される
  • 「実質的に解雇が行われたわけではないので、履歴書の面で再就職に有利になる

といったメリットが提示され、退職を迫られることになります。

懲戒解雇なら退職金は支払われない?

世間的には

懲戒解雇の場合、退職金はもらえない

という言説はなかば一般常識として浸透しているように思えます。

ただ、判例上、退職金全額カットが正当と見なされるのは

当該労働者の永年の勤続の功を抹消してしまうほどの重大な不信行為

があったときとされています。

私生活上の犯罪行為を理由として、退職金全額カットの懲戒解雇が正当だと認められる事例というのはほとんどありません。

とはいえ、背任行為のレベルに応じて、退職金が一部カットされてしまうというケースは考えられます。

会社側から、

「今、自ら退職してくれるなら退職金は全額支払う」

といった条件が提示されたとき、それを飲むべきかどうかは悩ましいところです。

弁護士などに相談して、退職するメリットと会社に留まるメリットを比較し、将来的な展望を予測しながら検討するのがマストでしょう。

「懲戒解雇は自己都合退職扱い!」 失業手当への影響

懲戒解雇は、特に失業保険の面で自己都合退職と同じ扱いになります。

給付金の受け取りも、自己都合退職と同じく

ハローワークにて雇用保険申請手続きを行い、7日間の待機期間後、さらに3か月待つ

必要があります。

もらえる給付金の給付日数は以下の表のとおりです。

被保険者であった期間ごとの給付日数
1年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
給付日数90120150

一般の会社都合退職と比較すると、その受給手当の保護は乏しいものとなります。

解雇予告手当とは?懲戒解雇でももらえる?

懲戒解雇が行われた時には、解雇予告手当が支払われる場合もあります。

労働基準法には、

  • 解雇を行う場合にはその30日前に予告をしなければならない
  • 予告が行われなかったときには30日分以上の平均賃金を支払わなければならない

という規則があります。

ただし、労働者の責に帰すべき事由で解雇に至った場合には、「解雇予告除外認定」を受けることで、この手当ての支払いが免除されることになっています。

実務上は、

  • 30日前に予告を行って解雇予告手当の支払いを行わないケース
  • 解雇予告除外認定を受けて手当の支払いを行わないケース
  • 除外認定を受けるのが手間であったり、後腐れなく解雇したいなどと思ったために、解雇予告手当を順当に支払うケース

が考えられます。

給与差の結論

失業保険の条件は全く同等。

懲戒解雇の場合、解雇予告手当が支払われるケースもあるが絶対ではない。

懲戒解雇と自己都合退職、最終的な給与の差は主に退職金の金額の大小による。

転職活動のときの履歴書の見られ方 再就職はうまくいくのか

懲戒解雇となったとき、とくに厳しいのは転職再就職が不利になるという点です。

また、仮に刑事事件で有罪判決を受けている場合には、賞罰欄にその旨を記載する必要があります。

逮捕で前歴がついたときの賞罰欄

就職の際、「賞罰欄」のある履歴書の提示を求められたときには、前科を記載する必要があります。

賞罰欄の罰というのは、一般的には「確定した有罪判決のこと」と考えられています。

なので、例えば逮捕されたものの不起訴となった場合には、それを記す必要はありません。

賞罰欄に記載する必要があるのは、あくまで有罪判決を受けて、前科がついたときだけです。

履歴書に記載するべき内容について言及された、仙台地方裁判所の判例をここに引用してみましょう。

使用者が雇用契約を締結するにあたつて相手方たる労働者の労働力を的確に把握したいと願うことは(略)当然の要求ともいえ、遺漏のない雇用契約の締結を期する使用者から学歴、職歴、犯罪歴等その労働力の評価に客額的に見て影響を与える事項につき告知を求められた労働者は原則としてこれに正確に応答すべき信義則上の義務を負担していると考えられ(略)履歴書中に「賞罰」に関する記載欄がある限り、同欄に自己の前科を正確に記載しなければならないものというべきである

(略)

要するに、

  • 履歴書に学歴職歴犯罪歴等を書くように言われたら正直に書かなければならない
  • 履歴書中に「賞罰」に関する記載欄がある場合は、自分の前科を正確に記載しなければならない

ということです。

履歴書の賞罰欄や経歴 解雇と退職で記載内容は変わる?

賞罰欄には懲戒解雇のことを書く必要はありません。

繰り返しになりますが、賞罰の欄の『罰』とは一般に確定した有罪判決のこと言います。

懲戒解雇等の処分については記す必要はありません。

ただ職歴欄について、懲戒解雇で会社を辞めた場合には

一身上の都合により退職

とは書けなくなります。

自分からわざわざ積極的に「懲戒解雇により退職」と書くのも考えにくいです。

多くは空白、ないしは単に「退職」などと書くことになるでしょう。

転職活動の際、その空白について面接官がみとめて

「前職はどんな理由で退職したのですか?」

などと聞いてきた場合には、懲戒解雇を受けたと正直に答える必要があります。

退職を決心する前に、不当な懲戒解雇と戦うことも検討するべし

懲戒解雇は、非常に厳しい処分です。

再就職の際には重い足枷となることでしょう。

しかし、業務外で行われ、起訴された刑事事件について、それを理由に懲戒解雇とするのは不当である可能性が高いです。

裁判にまで発展しなくても、例えば、弁護士が直接交渉を行っただけで解雇が取り消されたという事例もたくさんあります。

会社からの退職の圧力に従うのも一つの手と言えますが、まずは弁護士に相談して状況を客観的に把握するのがおすすめです。

会社バレを防ぎクビを阻止!逮捕がバレなければ解雇どころか処分もされない

ここまで、逮捕されたことが会社にバレてしまった場合を想定して解説をしてきました。

ですが、そもそも逮捕されたことが会社にバレなければ、会社から処分を受けることもありません。

ここから先は

会社バレを防ぐことができる可能性

について考えてみましょう。

逮捕、勾留中は外に出られない!無断欠勤は何日続く?欠勤中の給料はどうなる?

まずは逮捕後流れについて説明していきます。

勾留とは?逮捕後の拘束期間とは?

逮捕された後には、起訴されるまでに原則最大で23日間、警察署内の留置場に拘束を受ける可能性があります。

こちらのイラストをご覧ください。

nagare
出典:https://atomfirm.com/wp-content/uploads/nagare.png

逮捕後の流れはこのようになっています。

逮捕から48時間以内に事件は検察に送致され、そこから24時間以内に勾留請求が行われます。

勾留が認められた場合には、原則的に起訴されるまで最大20日間、警察署内で身体拘束を受け続けることになります。

法律上、原則として勾留においては、拘置所に身柄を拘束されることになっています。

しかし、実務上は代用監獄として、警察署内の留置場に拘束され続けることになります。

逮捕の流れについてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

逮捕されてしまったあとでは、自分から職場や家族に連絡をすることはできません。

また警察のほうから家族や職場に連絡をしてくれるケースも非常に稀でしょう。

長い間誰とも連絡がつかず、無断欠勤し続ける羽目になる場合も考えられます。

勾留中は休職扱いになるのか 給与への影響

「最大23日もの間欠勤することになる」

記事を読んでいる方の中には、逮捕勾留による欠勤の間、給料の支払いが行われるか気になった方もいるかもしれません。

ここで少し触れておきましょう。

逮捕勾留による欠勤は、一見すると自己都合の欠勤ではなく、やむを得ない欠勤のように思えます。

とくに、犯行に身に覚えがなく、事実を否認している場合にはなおのことです。

ですが、判例上は、逮捕勾留による欠勤は自己都合の欠勤として扱われます。

ここにその判決文を引用してみましょう。

(略)

逮捕勾留が違法又は不当であると認むべき特段の事情が立証された場合はともかく、そうでない限り逮捕勾留による欠勤は、その者の責に帰すべき事由による欠勤に該当するものというべきであつて、この点においても他の自己都合による欠勤と何ら区別すべき点がない

(略)

自己都合による欠勤ですから、当然、給与も発生しないということになります。

会社によっては、本人の希望を聞いた上で余っている有給を消化していくというケースも考えられます。

会社バレを防ぐ!逮捕時の会社への言い訳 その後の職場復帰を円滑化

さて、では会社バレを防ぐことはできるのでしょうか?

そもそも会社バレは防げるのか?

もし、勾留されてしまった場合には、会社に逮捕のことを隠し通すことは無理になるでしょう。

23日間もの欠勤となれば、会社としても事情を詳しく聞かざるを得なくなります。

また、仮に入院していた等の言い訳をしたとしても、通常そういった場合には診断書の提出が求められます。

会社バレを防ぐには、勾留を受けないようにすることが重要です。

一定の犯罪について微罪と判断されたものについては、事件が検察に送致されず、警察署内で刑事手続きが終了することもあります。

これを微罪処分と言います。

微罪処分になったときには、すぐに自由の身になれるうえ、刑事手続きが終了しているのでこれ以上何かしら刑事罰が科されることもありません。

  • 逮捕後に勾留されることなく、在宅事件に切り替わり釈放された場合
  • 微罪処分となって釈放された場合

こういった時には、会社バレを防ぐことができる可能性はあります。

会社バレを防ぐための対応と会社への言い訳

勾留が行われなかった場合、身体拘束を受ける期間は最大3日間です。

3日間程度なら、体調不良を理由にして会社を休んでも、怪しまれることはないでしょう。

ただ、先述の通り、留置場の中から会社に連絡を入れることはできません。

会社へは家族から連絡を入れてもらうことになるかと思います。

ただ、逮捕後3日間は弁護士以外、たとえ家族であっても面会することができないのが通常の運用となっています。

今後の企業への対応、言い訳をどうするのか

きちんと話し合う場合には弁護士の手を借りることになるでしょう。

逮捕後の面会などについてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

  • 外部と連絡する手段を得るためにも
  • 今後の対応を相談するためにも
  • 勾留の阻止のためにも

何よりもまず弁護士に相談するのがマストな選択です。

また、たとえ頼れる弁護士のツテがなくても、当番弁護士制度国選弁護士制度などを使えば、一定の条件で無料で弁護士に頼ることができます。

逮捕を理由にした解雇のお悩みは弁護士に相談!

ここまで、弁護士の解説とともにお送りしました。

逮捕を理由とした解雇についてかなり深いところまで知ることができたのではないでしょうか。

ですが、自分の事件に即してもっと具体的なアドバイスが欲しい! という方もいらっしゃるかもしれません。

そこで、ここからは弁護士に相談できる様々なサービスについてご紹介します。

今すぐ!弁護士無料相談の予約をするなら

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いつでも専属のスタッフから無料相談の予約案内を受けることができるので、緊急の時も安心です。

来所相談は、土日や祝日も可能とのことです。

急を要する刑事事件の相談予約受付をしてもらえるので、頼りになりますね。

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相談してみたい弁護士をぜひ見つけてみてください。

最後に弁護士からメッセージ

では最後に一言お願いします。

逮捕を理由とした解雇についてお悩みの皆さん。

逮捕だけを理由として懲戒解雇などの処分を下すのは、不当である可能性が高いです。

また有罪になったとしても、私生活上の犯罪行為であったなら、判例上不当と判断されるケースは多いと言えるでしょう。

弁護士に相談していただければ、職場への働きかけによって不当な解雇を阻止することができるかもしれません。

「このまま刑事手続きが進めば解雇は確定なのだから、早く自分から退職しろ」

といった形で圧力をかけられている方も、弁護士に相談していただくことで、客観的な視点からご自身の状況を知ることができるようになります。

まずはとにかく、弁護士に相談していただき、お悩みを払拭してください。

まとめ

今回は逮捕を理由とした解雇について解説してきました。

逮捕による解雇のまとめ
  • 逮捕されたことだけを理由に懲戒解雇にするのは、不当である可能性が高い
  • 有罪判決を受けたとしても、業務外で行われた犯罪である場合、懲戒解雇が認められる事例というのはかなり限定的である
  • 退職と懲戒解雇を比較したとき、もらえる給与の差は主に退職金の大小による
  • 懲戒解雇となると、履歴書への記載に不都合が生じ、再就職や転職において不利になる
  • 勾留を受けることがなければ、逮捕されたことを知られずに済む可能性もある

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