逮捕と書類送検の違いとは|それぞれの意味やその後の流れ、書類送検になる基準などを解説

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逮捕と書類送検の違いとは|それぞれの意味やその後の流れ、書類送検になる基準などを解説

逮捕書類送検の違いって何?」

「逮捕と書類送検、それぞれどんな流れになっているの?」

このような疑問をお持ちの方はいませんか?

ニュースでは逮捕、書類送検などといった言葉がよく使われています。

しかし、その言葉の意味を正確に知っているという方は、思いのほか少ないのではないでしょうか。

今回は、

逮捕と書類送検の意味の違いや基準

逮捕と書類送検の流れ

逮捕と書類送検の「その後」の流れ

について徹底解説し、皆さんの疑問にお答えしたいと思います。

なお専門的な解説は刑事事件を数多く取り扱い、逮捕や書類送検など刑事手続きについても詳しい岡野弁護士にお願いしています。

弁護士の岡野です。

よろしくお願いします。

日本においては、逮捕=犯罪者=有罪といった間違った認識が巷にあふれています。

この記事で逮捕や書類送検の意味、仕組みについて正しい知識を身につけていってください。

逮捕と書類送検の違い

逮捕と書類送検の違い

世間では、逮捕について「悪いことをした者に対して警察が科す制裁」だと捉えている人が数多く見受けられます。

とくに犯罪の容疑者について書類送検が行われたといったニュースについて、ネット上では

「悪いことをしたのになぜ逮捕されないのか」

といった議論がされることもあります。

ですが刑事訴訟法上、逮捕は制裁を意味しませんし、犯罪の重大さとの間に因果関係があるというわけでもないです。

重大な犯罪について書類送検が行われて、軽微な犯罪について逮捕が行われるといったこともあり得ます。

逮捕とは?書類送検とは?それぞれの意味と基準

逮捕書類送検について、ここで正しい意味を確認していきましょう。

まずは逮捕についてです。

逮捕の意味

逮捕というのは、犯罪の容疑者の身柄を拘束することをいいます。

手錠をかけたりパトカーに連行したりといった、警察官による強制的な身体拘束は、すべて逮捕にあたります。

逮捕の種類としては全部で3つ。

通常逮捕(後日逮捕)、現行犯逮捕緊急逮捕があります。

逮捕の種類
通常逮捕(後日逮捕) 現行犯逮捕 緊急逮捕
逮捕状 必要 不要 逮捕後に請求
内容 犯罪が行われた後、容疑者の目の前で逮捕状を提示し逮捕 今まさに犯罪を行っている犯人や、犯罪を終了したばかりの犯人を逮捕 一定の重い犯罪を犯したと充分に疑われ、かつ逮捕を急ぐ必要のある容疑者を逮捕

要するに、

逮捕の行われたタイミング

逮捕の緊急性

などによって逮捕の種類が違うわけです。

逮捕の種類についてより詳しく知りたい方はこちらの記事を参照してください。

逮捕は、逮捕の理由必要性があるときにのみ行われます。

誤解されがちなことですが、刑事事件全てにおいて逮捕が行われるというわけではありません。

逮捕を行うには、まず

被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由

が必要です。

この相当な理由についてですが、警察官がなんとなく怪しいと思ったという程度の嫌疑では足りません。

判例上、証拠資料に基づいた合理的客観的な嫌疑が必要であると言われています。

さらに、逮捕を行うには逮捕の必要性も求められます。

被疑者について逃亡するおそれがある

被疑者について証拠隠滅するおそれがある

このどちらかに該当していないと、逮捕は認められません。

いくら警察といえど、何の根拠もなしにやすやすと逮捕することはできないのです。

書類送検の意味

「逮捕の必要性が認められなかった」=「無罪」というわけではありません。

あくまで逮捕というのは、

「逃亡されたり証拠を隠滅されたりしたら困るから身柄拘束をする」

といった手続きに過ぎないのです。

「身柄拘束の必要はないが、犯罪の被疑者について刑事手続きを進めたい」

そういったときには、書類送検が行われることになります。

書類送検というのはマスコミ報道で使われる表現であって、法律用語ではありません。

法律上は「送致」と言います。

被疑者の特定に力を注いだ警察ですが、彼らはこのまま裁判にまで関われるわけではありません。

被疑者の刑事責任を追及するのは検察官です。

刑事訴訟法上、警察は被疑者を特定したらすぐに検察に事件を送らねばならないと定められています。

逮捕後に送致することを「身柄付送致

逮捕が行われないまま送致が行われることを「在宅送致」、一般的には「書類送検

と呼ぶわけです。

送検、送致、送付 それぞれの意味とは?

巷では、

警察が事件を検察に送ること

について、「送検」「送致」「送付」など、様々な表現が使われているようです。

それぞれの意味についてここで触れておきましょう。

送検、送致、送付の意味
送検 送致 送付
意味 マスコミ報道でよく使われる表現 法律上の用語
刑事訴訟法上は、被疑者の身柄であったり、事件そのものを送るときに使われる表現
刑事訴訟法上は、主に刑事手続きに必要な書面等を送るときに使われる表現

また、マスコミは「書類送検」の代わりに「書類送付」という表現をすることもあります。

主に人気芸能人や自社の社員の書類送検の報道について、マスコミ側が配慮をしたいと思ったときに使われるようです。

書類送検されたら前科がつく?それとも前歴?

ネットを見てみると、書類送検前科の関係について、誤解をしていたり疑問に思っていたりする方は多いようです。

ここで前科前歴の意味について確認しておきましょう。

前科、前歴の意味

前科というのは一般用語であり、法律上定義があるわけではありません。

検察庁の運用としては、「過去、有罪となった事実」について前科として取り扱っています。

より詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

書類送検が行われた時点では、被疑者について有罪となるかどうかはわかりません。

不起訴となって刑事罰に科せられない可能性も大いにありますし、たとえ起訴されたとしてもまだ無罪判決を獲得する可能性も残っています。

統計では検察に送致が行われた事件について、その過半数が不起訴となっています。

平成29年の犯罪白書によると、平成28年の起訴率は33.4%

単純計算で、送致された事件全体の64.6%不起訴となっています。

「書類送検された=前科持ちになった」という考えは誤解であると言わざるを得ないでしょう。

警察や検察では、事件として検挙に至った被疑者について、前歴として記録しています。

書類送検を受けた場合、前科がつくかどうかはその先の刑事手続き次第ですが、前歴は絶対に記録されます。

前歴がついたからと言って、日常生活で不都合が生じるわけではありません。

ただ例えば、もう一度罪を犯した時などには、検察官や裁判官による量刑の判断に対して影響を与える可能性はあります。

前科と前歴の意味
前科 前歴
意味 過去有罪となった事実* 検挙されたという事実

*検察庁の一般的な運用

逮捕と書類送検の流れ

逮捕と書類送検の流れ

続いては、逮捕や書類送検のそれぞれの流れについて確認していきましょう。

まずは逮捕の流れからです。

逮捕の流れ|逮捕後48時間で身柄付送致

逮捕は被疑者について身体拘束することを言います。

被疑者は逮捕されている間、会社や学校には行けず、家にも帰れず、とても窮屈な思いをすることになります。

基本的人権を保障する観点から、刑事訴訟法では逮捕に伴う身体拘束の期限について厳格な規定を設けています。

逮捕の流れ|確保、連行、収監

逮捕の流れは下のイラストのようになっています。

現行犯逮捕と後日逮捕の違い

緊急逮捕は、行使されるケースが珍しいので今回は割愛します。

まず逮捕について、

現行犯逮捕が行われた時にはその場その時に

通常逮捕(後日逮捕)が行われた時には、警察官が被疑者の元にまで訪れた上で

身柄の確保が行われます。

身柄の確保後は、パトカー等に乗せられて最寄りの警察署にまで連行、そのまま署内の留置場に収監されます。

検察へ身柄付送致

逮捕が行われると、通常、そこから48時間以内に検察への送致が行われます。

この時間制限は刑事訴訟法で定められた期限となります。

司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取つたとき(略)留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から四十八時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。

上記の条文では、逮捕状の発付が行われる態様の逮捕だけについてしか触れられていません。

ですが刑事訴訟法216条の中で、現行犯逮捕についても通常逮捕の規定を準用すると定められています。

通常逮捕、現行犯逮捕、緊急逮捕の3種類全てについて、原則逮捕から48時間以内に送致が行われます。

書類送検の流れ|在宅のまま捜査を受ける

被疑者を特定したものの逮捕の必要が認められなかったという場合には、被疑者在宅のまま捜査が進んでいきます。

被疑者は日常生活を送る中で、取調べのために警察署への出頭をお願いされたり、捜査のために警察官が家に訪れたりします。

ある程度捜査が進んだ段階で検察に事件を送致、つまりは書類送検が行われます。

捜査開始から書類送検が行われるまでの期間についてですが、在宅の場合には期限は規定されていません。

逮捕と書類送検、それぞれの流れ
逮捕 書類送検
捜査の起点 被害届や告訴、現場からの通報などによって警察が事件を認知
捜査方法 被疑者を留置場に拘束
取調べを行う
被疑者は拘束されず日常生活を送る
警察からの要請で取り調べに応じる
送致までの期間 逮捕から48時間以内 期間の制限はない

警察の処分意見|厳重処分、しかるべき処分とは?

警察は事件を検察に送致するとき、「被疑者をどのような処分に科すべきか」という意見もいっしょに伝えます。

事件を起訴する権利は検察官だけが握っており、警察官が直接、事件の処分を判断することはできません。

ですが検察官も警察官の意見を尊重するように努め、送致に伴う処分意見についても大いに参考とするのが通常の運用のようです。

処分意見は全部で4種類に分かれます。

厳重処分

厳重処分は、「事件の態様から見て不起訴処分は不適当であり、起訴を求める」といった意味です。

「(~といった理由で)厳重処分されたい。」などと記載されます。

寛大処分

寛大処分は「事件の態様から見て起訴猶予で不起訴処分とするのが適当である」といった意味です。

「(~といった理由で)寛大処分願いたい」などと記載されます。

相当処分

相当処分は、「検察官に判断を一任したい」といった意味になります。

起訴か不起訴か微妙な態様の事件などで使われます。

「相当処分願いたい」などと記載されます。

しかるべき処分

しかるべき処分というのは、証拠が不十分であったり、訴訟条件を欠くような事件について記載される意見です。

一例を挙げると、起訴にあたって告訴が必要な事件について、後から告訴が取り下げられたような場合には、この意見が付されます。

「しかるべく処分願いたい」などと記載されます。

処分意見の種類
厳重処分 寛大処分 相当処分 しかるべき処分
意味 起訴するべき 起訴猶予で不起訴とするべき 検察官に判断を任せる 状況的に不起訴確定なので、しかるべく処分してほしい

逮捕、書類送検の「その後」の流れ|検察による起訴、不起訴の判断

逮捕、書類送検の「その後」の流れ|検察による起訴、不起訴の判断

送致のその後の流れについても確認していきましょう。

事件を送致された検察は、被疑者について起訴するか不起訴とするか判断します。

起訴、不起訴の判断はいつ行われるか

こちらのイラストをご覧ください。

起訴の流れ

起訴に至るまでの流れはこのような形になっています。

逮捕が行われた場合と、在宅捜査の場合では、起訴判断までの期限などに違いがあります。

逮捕時の起訴、不起訴の判断

事件を送致された検察は、そこから24時間以内に、勾留請求するかしないかの判断を行います。

勾留というのは、逮捕に引き続き被疑者を身体拘束する手続きのことです。

勾留が認められると被疑者は起訴されるまで、原則として最大20日間、留置場に拘束されたままになります。

逮捕の流れ

検察官や警察官はこの20日間の間に捜査を重ねていき、最終的に検察官によって起訴するか不起訴とするかの判断が行われます。

なお、幸いにして勾留が認められなかった場合には、留置場から釈放されて在宅事件に切り替わります。

書類送検時の起訴、不起訴の判断

書類送検が行われたとき、つまりは在宅で捜査が進む場合には、こうした時間制限はありません。

一般に、検察官は大量に事件を抱えているようで、比較的軽微な犯罪については後回しにしがちだと言われています。

書類送検後、起訴不起訴の判断が行われるまで、何か月も経過してしまうといったケースも珍しくないようです。

追送致とは?

捜査の途中で余罪などが判明したときは、同一の被疑者についてもう一度、事件を送致することがあります。

これを追送致と言います。

同じ時間帯で行われたから

似たような手口の事件だから

一連の流れの中で連続的に行われた犯行だから

といった理由で、まとめてひとつの事件といった処理にはなりません。

検挙された容疑以外で罪を犯していたら、それはすべて余罪として別件処理されます。

余罪の疑われる事件については、さらに再逮捕が行われたり、追起訴が行われたりする事例もあります。

より詳しく知りたい方はこちらの記事も参照してみてください。

逮捕や書類送検についてお悩みなら弁護士に相談

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ここまで、岡野弁護士の解説とともにお送りしました。

逮捕と書類送検の差や流れなどについて、かなり深いところまで知ることができたのではないでしょうか。

この記事をご覧になっている方の中には、自分の事件に即して具体的なアドバイスが欲しい! という方もいらっしゃるかもしれません。

そこで、ここからは弁護士に相談できる様々なサービスについてご紹介します。

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最後に弁護士からメッセージ

では岡野弁護士、最後に一言お願いします。

刑事事件における逮捕、書類送検についてお悩みの皆さん。

逮捕、勾留が行われると長期間身体拘束されてしまい、その後の社会復帰に大きな影響がでる可能性があります。

弁護士に依頼していただければ、逮捕、勾留の必要性がないことなどが立証され、早期釈放が叶う場合もあります。

また、在宅事件として書類送検されてしまった場合であっても、弁護士に依頼していただくことで不起訴処分獲得の可能性は上がります。

少しでも気がかりなことがあったら、すぐに弁護士に相談してみてください。

まとめ

今回は逮捕と書類送検の違いや流れについて解説してきました。

逮捕と書類送検のまとめ

逮捕とは、被疑者の身柄を拘束することを言う

書類送検とは、逮捕を行わないまま事件を検察に送致する手続きを指す

逮捕、書類送検されたというだけでは前科はつかない

逮捕から48時間以内に送致が行われ、送致から24時間以内に勾留請求の判断が行われる

勾留が認められた場合は勾留期間中に起訴不起訴の判断が行われる(処分保留で釈放されることもある)

書類送検の場合、こういった期限の制限はない

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