逮捕後の勾留期限(×拘留期限)は最大で何日?土日の扱いは?勾留期間の計算方法を紹介
「拘留って何?正しくは勾留?どういう意味なの?」
「勾留期限って最大何日なの?そのあいだの生活はどんな感じ?」
このような疑問、お悩みをお持ちの方はいませんか?
犯罪の被疑者として逮捕されてしまったとき、その後の流れについて知っているのと知っていないのとでは、大きな差が生まれます。
今回は、
- 拘留と勾留の違い
- 勾留期限の日数
- 勾留中の生活
について徹底解説していきます。
なお専門的な解説は刑事事件を数多く取りあつかい、刑事手続きの流れについてもくわしいアトム法律事務所の弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
勾留の期限が最大何日か知識として知っておけば、いざ逮捕されたときに冷静さを保っていられることでしょう。
この記事で、逮捕後の流れや勾留の期限、留置場での生活についてきちんと確認していってください。
目次
拘留期限ではなく勾留期限|逮捕のあとに行われるのは勾留
警察署内の留置場などに身体拘束する手続きは「勾留」です。
同じ発音の「拘留」を使っている方がたまに見受けられますが、それは間違いです。
まずは勾留と拘留の違いを確認していきましょう。
拘留とは
『拘』留は刑罰の一種です。
「懲役刑」「罰金刑」「禁錮刑」などと同じく、裁判で裁判官から言い渡される刑罰です。
拘留の意味
1日以上30日未満、刑事施設にとどめおく刑事罰
拘留刑は禁錮刑の短い版だと覚えてください。
なお実務上、刑事罰として拘留が科せられることは非常に珍しいです。
拘留刑が科せられる人数は、ここ数年、毎年2桁にも届いていません。
勾留とは
『勾』留は刑事手続きにおいて被疑者、被告人を身体拘束する処分のことを言います。
刑罰ではありません。
被疑者や被告人について、逃亡したり、証拠を隠滅したりするおそれのある時に行われます。
勾留の意味
被疑者や被告人を留置場などに身体拘束する。
刑事罰ではない。
あくまで、逃亡されたり証拠隠滅されたりするのを防ぐために、警察などの監視下にとらえておくというだけ。
拘留 | 勾留 | |
---|---|---|
内容 | 刑罰。1日以上30日未満、刑事施設に拘置する。 | 刑罰ではない。捜査や裁判を円滑に行うため身体拘束する。 |
なお、勾留には
- 逮捕後から起訴前の捜査の段階で行われる「被疑者勾留」
- 起訴後、裁判の開かれているあいだ身体拘束する「被告人勾留」
の2種類があります。
今回の記事では、主に「被疑者勾留」、つまり「捜査の段階での勾留」について解説していきます。
刑事事件の全体の流れは『刑事事件の流れを図解|身柄拘束の期間は何日?捜査から起訴後の流れを解説』をご覧ください。
勾留期限は最大で何日?|逮捕されたあとの流れ
さて、ここからは、
- 勾留の日数や流れ
- 勾留日数の計算方法
などについて、解説していきます。
逮捕後の勾留の流れと期間|勾留は10日+延長10日で最長20日
結論から言ってしまうと、逮捕後、起訴されるまでの勾留の最大期間は20日間です。
ただ逮捕直後からすぐ勾留がスタートする、といったことはなく、また勾留それ自体についてもさまざまな手続きがあります。
刑事事件の流れは以下のイラストのようになっています。
とくに逮捕直後は、法的な時間制限のことなどもあり、事態はあわただしく進んでいきます。
逮捕後の流れ|逮捕から勾留、起訴まで
逮捕が行われると、
- 被疑者は警察署に連行されて
- 警察署内の留置場に収監
されます。
逮捕後の流れはこのようになっています。
被疑者の確保に全力をあげた警察ですが、彼らはこのまま裁判にまで関われるわけではありません。
刑事事件における警察の仕事は、あくまで被疑者の検挙や捜査です。
その後の刑事手続きの判断は、すべて検察官がくだす仕組みとなっています。
検察への引継ぎ
逮捕が行われると、48時間以内に、検察への送致が行われます。
送致とは
被疑者について、その身柄や証拠物などを検察官に引き継ぐこと。
日本の刑事手続きにおいて、
- 「勾留請求するかどうか」
- 「裁判を開く必要があるかどうか」
などはすべて検察官が判断をくだすのです。
送致が行われることにより、日本で唯一、こういった刑事手続きの判断をくだす権限をもった検察が、事件を認知するにいたるというわけです。
なお、送致についてより詳しく知りたい方は『逮捕後の送致の流れ|送致の意味とは?送検、送付との違いや送致されないケースも紹介』をご覧ください。
検察による勾留請求
事件を送致された検察官はそこから24時間以内に勾留請求するかしないかの判断を行います。
勾留とは
- ① 被疑者が定まった住所を持っていない
- ② 被疑者が証拠隠滅するおそれがあると認められる
- ③ 被疑者が逃亡したり、逃亡するおそれがあると認められる
以上の条件に当てはまるとき、被疑者を留置場に収監したままにする手続き。
統計上は、②を理由として逮捕に至ったほとんどの事件について勾留請求が行われています。
また、検察が発した勾留請求は、裁判官によって審査されます。
本当に勾留の必要があるのかチェックする体制となっているわけですが、実務上、勾留請求のほとんどは認容されます。
割合 | |
---|---|
勾留請求率 | 約92.3% |
勾留認容率 | 約96.6% |
平成28年では、検察に送致された事件のおよそ9割について勾留が認容されました。
逮捕後の勾留の期間
勾留が行われると、多くは警察署内の留置場にとどめおかれたままとなります。
外に出ることができなくなるため、仕事や学校、家庭に対して大きな影響が出てきてしまいます。
なお、起訴前の解雇は多くの場合、不当であり、弁護士に訴えれば解雇取り消しとなる可能性も十分にあります。
気になる方はこちらの記事をご覧ください。
勾留を受けたら、できればすぐに釈放されたいところです。
一体勾留は最長で何日続くものなのでしょうか?
まず10日間勾留が続き、やむを得ない場合に限りさらに10日間延長されます。
勾留の延長に際しては、検察官によって勾留延長の請求が行われ、裁判官がそれを審理します。
勾留の延長について、平成28年のデータを見てみましょう。
割合 | |
---|---|
勾留延長請求率 | 約63.4% |
勾留延長認容率 | 約99.8% |
- 逮捕、送検されたら、ほぼ勾留をうけることになる
- 勾留をうけたら、半分以上の確率で勾留延長をうけることになる
つまり、一度逮捕され、送検されてしまったときには、20日間にわたり目一杯、身体拘束される覚悟が必要となるということです。
勾留日数の計算方法|土日は含める?起算日はいつ?
続いて勾留日数の計算方法について解説します。
先に結論だけお伝えしましょう。
結論
勾留日数の計算は、勾留が請求されたその日を初日として数える
例えば、6月1日に勾留が請求されたとき、勾留期限の最長の満了日は6月20日です。
6月21日ではありません。
この勾留の起算日のルールは刑事訴訟法上、少々特殊なので少し触れておきましょう。
勾留の起算日はいつなのか
実は、刑事訴訟法においては、「日、月、年で計算するものは初日を日数に算入しない」という規定があります。
この規定をもとにして考えれば、勾留請求の初日を日数に算入している現状の運用は、適法ではないということになります。
勾留は被疑者に対して大きな負担を強いることになります。
人権保障の考えから、勾留の日数はなるべく被疑者に有利になるよう運用され、特別に初日を算入するルールとなっているわけです。
土日のあつかい
勾留における土日祝日のあつかいについても触れておきましょう。
検察庁や裁判所は基本、土日祝は休みになっています。
しかし休みの日であっても業務が滞ることのないよう、日直の検察官や裁判官が24時間体制で待機しています。
勾留における土日のあつかい
- 土日に勾留請求されることもある。
- 勾留日数の起算日も、曜日に関係なく、勾留請求されたその日である。
- 勾留期限のカウントは土日の間も進む。
ただ、勾留の満了日が土日になってしまう場合は、慣例的に直前の平日までに起訴、ないしは保留にして釈放の決定がくだされます。
勾留期限中の生活|逮捕された後の勾留場所は拘置所?警察署?
勾留は、場合によっては20日間にも及ぶ
これだけ長期間におよぶのですから、
- 勾留の行われる場所
- 勾留中の生活
は気になるところです。
本当のところはどうなのでしょうか。
解説していきます。
勾留場所|拘置所と警察署内の留置場の違い
まずは勾留が行われる場所について見ていきましょう。
勾留場所は、主に
- 警察署内の留置場
- 拘置所
の2種類です。
代用監獄「留置場」
被疑者勾留の多くは、警察署内の留置場で行われます。
しかし、実務上は「代用監獄」として警察署内に留め置かれることが多いのです。
勾留中、被疑者は警察から取り調べを受けることになります。
警察としても、被疑者を警察署内に留め置いた方が何かと都合が良いというわけです。
また、拘置所の収容人数にも限りがあり、被疑者すべてを収容するのは現実的ではないという事情もあります。
留置所での生活については『逮捕されて留置所へ!期間・面会方法・差し入れ・食事・女性部屋など生活レポート』をご覧ください。
拘置所とは?
拘置所は法務省管轄の施設で、
- 被告人勾留をうけた人
- 死刑囚
などが収監されています。
勾留をうけた場合について、実務上は
- ① 逮捕から起訴されるまで留置場に収監され
- ② 起訴された後は拘置所に移送される
といった運用がされています。
留置場 | 拘置所 | |
---|---|---|
場所 | ・警察署の中にある ・主に被疑者勾留で使われる | ・法務省管轄 ・主に被告人勾留で使われる |
一般に、留置場よりも拘置所のほうが、より刑務所のような暮らしとなり、息苦しくなると言われています。
起訴後の流れについてより詳しく知りたい方は『刑事事件で起訴されたらどうなる?|起訴後の流れを解説』をご覧ください。
勾留中の生活|面会と取り調べ
ここでは被疑者勾留をうけたときの生活、つまり留置場での生活について見ていきましょう。
勾留中の生活様式
留置場での生活様式は以下のようになっています。
- 基本的に相部屋であり、数人と一緒に生活
- 毎日3食、栄養士が監修したごはんが提供される。自分で弁当を買うこともできる
- 風呂は5日に1回程度
- 朝7時ごろ起床、昼間は取り調べ、夜は21時消灯という生活サイクル
また世間のイメージとは裏腹に、だいたいの施設では空調設備がしっかりきいていて、暑すぎず寒すぎずちょうどいい室温で過ごせるそうです。
留置場での生活についてより詳しく知りたい方はこちらの記事を参照してください。
勾留中の面会の可否
一般に、勾留決定の翌日以降から一般の方でも面会が可能となります。
ただし、一般の方が面会をするときには、さまざまな制限がかかります。
面会の制限
- 面会ができるのは平日の昼間のみ
- 1回の面会時間は15分~20分
- 面会回数は勾留されている本人基準で1日1回まで
- 面会室には警察官が立ち会う
弁護士の場合は、原則としてこういった制限を受けることはありません。
身内の方が逮捕、勾留されてしまった場合は、弁護士に依頼して面会を代行してもらうのもいいでしょう。
留置場での面会について、より詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
面会にあたっては差し入れを行うこともできます。
留置場への差し入れについて、より詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
なお、本記事に記載したこと以外で逮捕後に知っておきたい情報は『逮捕されても人生終了じゃない!早期釈放と前科・クビ回避の方法』にまとめているので、興味がある方はご覧ください。
逮捕後の勾留についてお悩みなら弁護士に相談!
ここまでアトム法律事務所の弁護士とともにお送りしました。
逮捕後の勾留期限などについて、かなり深いところまで知ることができたのではないでしょうか?
この記事をご覧になっている方の中には、自分の事件に即して具体的なアドバイスが欲しい! という方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、ここからは弁護士に相談できる様々なサービスについてご紹介します。
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最後に弁護士からメッセージ
では最後に一言お願いします。
勾留前の早い段階で弁護士に相談していただければ、検察官や裁判官への働きかけによって勾留を阻止することができる場合があります。
勾留決定後であっても、被害者との示談締結などの活動によって、勾留途中の釈放や勾留延長の阻止が叶う場合もあります。
また、面会代行によって留置場生活の負担を減らしたり、取り調べに対する防御策を伝えたりすることもできます。
少しでも気がかりなことがあれば、まずはとにかく弁護士に相談することをおすすめします。
まとめ
今回は逮捕後の勾留の期限について解説してきました。
逮捕後の勾留期限についてのまとめ
- 拘留は刑罰。勾留は刑罰ではなく、留置場などにとどめおく処分のこと。
- 勾留の期限は勾留請求の日から数えて10日間+延長が認容されたらさらにもう10日間
- 留置場生活は窮屈なものだが、空調はきちんときいていて、面会や差し入れも一定の範囲で可能
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