ひき逃げ事件の逮捕の流れ「気づかないうちに…」刑罰はどうなる?ニュースを読み解く
気づかないうちに人をひいてしまった…
その場を立ち去ればひき逃げになるのでしょうか。
今回は「ひき逃げ事件」をテーマに取り上げます。
- 逮捕されたあとの流れは?
- 知られざるひき逃げ事件、ニュースの裏側は?
- ひき逃げで逃げ切ると刑罰は重くなる?
法律の解説は刑事弁護の専門家、アトム法律事務所の弁護士にお願いしています。
ひき逃げの逮捕事例を取り上げながら、理解を深めていきましょう。
目次
逮捕される基準|ひき逃げの逮捕後の流れを解説
ひき逃げで逮捕される基準
ひき逃げで逮捕される基準ってあるんでしょうか。
ひき逃げをおこすと、必ず逮捕されてしまうのでしょうか。
ひき逃げの場合、事故現場から逃走しているので、逮捕の必要性があると判断されることが多いです。
一般的に、刑事事件で逮捕されるのは次のようなケースです。
逮捕されるケース
- 逃亡・罪証隠滅のおそれがある
- 身元がはっきりしていない(住居不定など)
- 前科がある
このように判断されると、逮捕される可能性が高いです。
ひき逃げは、事故の直前・直後の状況、被害者のケガの程度にもよりますが、ほとんどが逮捕されることになるでしょう
【逮捕されるケース】ひき逃げで起訴・判決までの流れ
ひき逃げ「身柄事件の流れ」をチェック
ここからは、ひき逃げをおこして逮捕されたあとの流れをみていきましょう。
このイラストでは檻のような部屋に閉じ込められています。
逮捕されると、留置場で生活を送ることになります。
身体(身柄)がこのように拘束されるので、「身柄事件」と呼ばれています。
では、逮捕されたあとの流れはどうなるのかさらにくわしくみていきます。
逮捕・勾留、そして裁判で判決結果が言い渡されるまでを表現しています。
おおまかに刑事手続きは、このような流れで進んでいきます。
逮捕の後の流れについて、もっと深くさぐっていきましょう。
ひき逃げ発生
被害者や目撃者の通報により、ひき逃げが警察など捜査機関に発覚する |
↓
逮捕
ひき逃げで警察官に逮捕されると、警察署での取り調べがおこなわれます。 そのあと、「48時間以内」に検察官に送致されます。 |
検察官に送致されないときは、釈放されます。
↓
送致
検察官に送致されると、検察官によるひき逃げの取り調べがおこなわれます。 検察官は取り調べの結果によって、 ・裁判官に勾留請求する ・起訴する ・釈放する 検察官によっていずれかの判断がくだされます。 |
↓
勾留
勾留が決定すると「10日間」、留置場で生活することになります。 |
この間に捜査機関は証拠を収集します。
↓
勾留延長
さらに継続してひき逃げを捜査する必要があれば「最長で10日間」勾留が延長されます。 |
刑事訴訟法では「やむを得ない事由」がある場合に延長がおこなわれると書かれています。
↓
起訴
ひき逃げを捜査した結果、起訴されれば約1か月後に刑事裁判が開かれます。 |
保釈が認められないかぎり、ひき逃げの裁判が終了するまで勾留されつづけます。
↓
刑事裁判
公開の法廷で、ひき逃げの審理がおこなわれます。 |
検察官と弁護人、双方が証拠を裁判所に提出します。
↓
判決
審理が終わると、ひき逃げの有罪か無罪かの判決が言い渡されます。 |
ひき逃げで逮捕されたとしたら、このような流れですすんでいきます。
逮捕の流れをまとめた動画も用意しています。
あわせてご覧ください。
逮捕からの流れについてはこちらもご覧ください。
逮捕されない基準|ひき逃げその後の流れを解説
ひき逃げで逮捕されない基準
ここまでは、逮捕されたケースを考えてきました。
ひき逃げで逮捕されない基準ってあるんでしょうか。
「逃亡のおそれ」がなしと判断されると逮捕されないというのは本当なんでしょうか。
逮捕されない差ってどこにあるんでしょうか。
自動車事故の場合は、逮捕されないケースが比較的多いです。
逮捕されないケース
- 逃亡・罪証隠滅のおそれが無い
- 身元がはっきりしている(持ち家があるなど)
- 前科がない
このような事情のもとでは、逮捕されずに自宅にいながら事件捜査がすすめられることがあります。
ひき逃げは事故現場から逃走しています。
逃走している以上、逮捕の必要性があると判断され、逮捕されてしまうケースも多いです。
しかしながら、ひき逃げでも逮捕されるかどうかは、事故の内容によります。
たとえば…
- 事故の直前、直後の状況
- 被害者のケガの重さの程度
このような事情を加味して、逮捕されるかどうかが判断されます。
【逮捕されないケース】ひき逃げの発生から、起訴・判決までの流れ
ひき逃げ「在宅事件の流れ」をチェック
ひき逃げをおこして逮捕されない可能性もあることが分かりました。
逮捕された場合とくらべると、ちがう部分はあるのでしょうか。
逮捕されないケースは、「在宅事件」・「在宅捜査」と呼ばれています。
在宅事件は、逮捕されないだけで刑事手続きはつづいています。
逮捕されれば留置場での生活が強いられます。
逮捕されなければ今までどおり自宅で生活を送りつつ、警察や検察の捜査に協力します。
逮捕されない場合の手続きの流れはつかめましたか。
さらにくわしくみていきましょう。
ひき逃げ発生
被害者や目撃者の通報により、ひき逃げが警察など捜査機関に発覚する |
逮捕されない場合でも、自宅にいながら事件の捜査が続けられています。
↓
起訴
ひき逃げを捜査した結果、起訴されれば約1か月後に刑事裁判が開かれます。 |
保釈が認められないかぎり、ひき逃げの裁判が終了するまで勾留されつづけます。
↓
刑事裁判
裁判官によって、ひき逃げの審理がおこなわれます。 |
↓
判決
裁判官によって、ひき逃げの有罪か無罪かの判決が言い渡されます。 |
ひき逃げで逮捕されないとしたら、このような流れですすんでいきます。
逮捕されない場合の流れをまとめた動画も用意しています。
あわせてご覧ください。
ひき逃げの基本をニュースから学ぶ|気づかない場合はどうなる?
ひき逃げの刑罰は?ニュースをチェック
ひき逃げで逮捕され、刑事裁判で有罪判決が言い渡されることになったらどのような罰が待ちうけているのでしょうか。
こんなひき逃げのニュースを見つけました。
乗用車によるあおり運転でオートバイを転倒させ、負傷した男女を放置して逃走したとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)と道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われた調理師の男(略)の判決が27日、京都地裁であり、片多康裁判官は懲役2年、保護観察付き執行猶予5年(求刑懲役2年)を言い渡した。(略)
出典:京都新聞(2017年12月27日 17時00分)
オートバイに乗る男女をあおって転倒させ、逃走したというひき逃げ事件での判決ニュースです。
「懲役2年、保護観察付き執行猶予5年」の判決が言い渡されています。
ひき逃げではこのような刑罰がくだされる可能性があるのですね。
「自動車運転処罰法違反」と「道交法違反」という点にも注目です。
ひき逃げ行為に対して、2つの観点から刑罰が規定されています。
ひき逃げが適用される法律
- 道路交通法
- 自動車運転処罰法
ひき逃げという言葉は、法律で定義された言葉ではありません。
道路交通法の「救護義務」や「報告義務」をおこたることがひき逃げとも言われています。
ひき逃げによって、被害者を死傷させたことに対する処罰として、自動車運転処罰法が適用されます。
自動車運転処罰法ではさらに、「過失運転致死傷」と「危険運転致死傷」で規定されています。
ひき逃げが該当する刑罰についてそれぞれ解説します。
救護義務違反
10年以下の懲役または100万円以下の罰金
報告義務違反
3か月以下の懲役または5万円以下の罰金
過失運転死傷
死傷:7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金
危険運転死傷
- 負傷:15年以下の懲役
- 死亡:1年以上の有期懲役
ひき逃げと一口に言っても、さまざまな法律にふれることになります。
それぞれの刑罰を知っておくことが大切です。
ひき逃げの刑罰についてくわしくはこちら
ひき逃げに気づかないと処罰の対象外?
ひき逃げは、「人をひいてしまった」と気づいているのに救護も何もせずその場から逃走することです。
ですが、そもそも車で人をひいたことに「気づかない」というケースもあります。
こんなニュースを見つけました。
千葉県長生村で平成26年1月、道路に横たわっていた男性=当時(29)=を車でひき逃げしたとして道交法違反の罪に問われた長生村職員の男性(40)に千葉地裁は15日、「人が横たわっていると想定することは困難だった」として無罪(求刑懲役2年)の判決を言い渡した。(略)
出典:産経ニュース(2017.9.17 11:59)
道に横たわっていた男性を引いたことに気づかず、ひき逃げをしてしまったという事件の判決ニュースです。
このケースでは「人が横たわっていることは予想しがたい」という理由から無罪が言い渡されたようです。
ひき逃げは前提として、ひき逃げをしたことの認識が犯罪成立に必要な条件です。
ひき逃げを起こしたにもかかわらず、救護や警察への報告をおこたることは道路交通法違反で、故意犯です。
一方で、ひき逃げに気づかない・わからない場合は、ひき逃げは犯罪とはなりません。
ただし、これは救護や報告をおこたったことが犯罪にならないという意味にすぎません。
交通事故によって、人を死傷させた事実に対しては、過失運転致死傷罪に問われることになります。
ひき逃げに気づかないことが犯罪行為にあたらないのならば、気づかなかったとウソをつけばいいということでは決してありません。
気づかなかったとウソをついても、当時の状況や証拠からウソであることが発覚してしまうでしょう。
現代の犯罪捜査は、科学的で緻密な捜査方法によってすすめられています。
ひき逃げの現場に残された車の部品、塗装の破片といったこまかな手がかりから車種を特定することが可能です。
ウソだと分かれば、反省の情なしとして重い量刑が科されることになるでしょう。
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最後に一言アドバイス
それでは、最後に一言アドバイスをいただきたいと思います。
ひき逃げで逮捕されてしまうと最長23日間もの間、身体拘束されることになります。
一人で厳しい取り調べを耐えるのは、肉体的にも精神的にもつらいものがあります。
弁護士は、厳しい取り調べを乗り越えるためのアドバイスをくれるでしょう。
一日でも早い釈放を目指すには、弁護士を選任することが重要です。
ひき逃げを起こしてしまったら、一人で悩まず弁護士に相談するようにしましょう。