【死亡事故】家族が交通死亡事故の加害者になってしまったら|どう対処する?仕事は解雇?
家族が死亡事故で加害者になってしまったら…
自動車はたいへん便利な乗り物ですが、一歩間違えば人の命を奪う危険な乗り物です。
もしも死亡事故を起こしてしまったら…
死亡事故に巻き込まれた被害者の遺族の怒りと悲しみは計り知れません。
この先どうしていいのか、どう償っていいのかわかりませんね。
今回は「家族が交通死亡事故を起こしたら…」といったテーマでお送りします。
専門的な部分の解説は弁護士の先生にお願いします。
死亡事故は、取り返しのつかない痛ましい事件です。
そして自動車を運転する誰もが起こす可能性があるものです。
突然家族が交通死亡事故の加害者になると、その後どうなるか非常に不安になります。
今回は交通死亡事故について詳しく解説していきます。
目次
家族が交通死亡事故の加害者に…|加害者家族のその後の人生は?仕事は解雇される?
テレビや新聞のニュースでもよく目にする死亡事故。
自動車はたいへん便利な乗り物ですが、常に事故と隣り合わせです。
交通死亡事故は、いつご自身や家族が加害者になってしまうかわかりません。
当然のことですが、普段から安全を心がけ、周りをよく注視して運転するべきです。
しかし、少しの不注意でご自身やご家族が加害者になってしまうことがあります。
もし、交通死亡事故の加害者になってしまったらどうなるのでしょうか。
家族が交通死亡事故の加害者に…その後どうなる?
ある日突然、ご自身の家族が交通死亡事故の加害者になってしまったら…
この先どうしたらよいかわからず途方に暮れてしまうかもしれません。
もし、家族が交通死亡事故を起こしてしまったらどうなるのでしょうか。
交通事故の加害者はどんな責任を負うことになるのでしょうか。
交通事故の加害者は
- 民事責任
- 刑事責任
- 行政上の責任
の3つの責任に問われる可能性があります。
車社会という現状を踏まえ、運転者には事故発生に対する重い責任が課せられています。
責任を3つも負うことになるのですね。
では、3つの責任の中身と、対応方法をそれぞれみていきましょう。
①民事責任の対応
まずは民事責任の内容と対応方法をみていきましょう。
加害者が負う民事責任とは、事故により被害者に発生した損害を賠償する義務です。
死亡事故・重傷事故だと加害者の民事責任は非常に重いものとなります。
あまりにも多額になると、個人の資産から支払うのは難しいかもしれませんね。
民事責任については、どのような対応をとればよいのでしょうか。
運転者には自賠責保険への加入が強制されています。
民事責任の一部はこの自賠責保険でまかなわれます。
しかし、被害者に生じた損害額と自賠責保険からの支給額の差額分については、加害者がみずから負担しなければいけません。
あまりにも高額だった場合、個人の資産から支払うのは難しいかもしれません。
そこで、このような民事責任のリスクを回避するために、運転者の多くは任意保険に加入しています。
なるほど、任意保険が民事責任に対する有効な対応となるのですね。
自賠責保険だけではなく、任意保険にも必ず加入しておいた方がよさそうです。
民事責任
内容:事故により被害者に発生した損害を賠償する義務
対処:任意保険に加入しておく
②刑事責任への対応
続いて、刑事責任の内容と対処法をみていきましょう。
人身事故を起こすと、「自動車運転過失致死傷罪」や「道路交通法違反」の罪に問われることがあります。
これは、民事上の責任とは別に刑事罰を科されるということです。
死亡事故などの事案においては刑事責任を免れることは困難です。
罰金刑や懲役刑などの刑事罰を科される可能性があるでしょう。
交通死亡事故で刑事処分が決定すると前科がついてしまいます。
加害者が任意保険に加入しているだけでは、刑事責任への対応はできません。
別途、刑事弁護に強い弁護士に依頼するなどの対応が必要になります。
刑事責任
内容:刑事罰を科される
対処:事故後に弁護士に依頼
③行政上の責任への対応
3つめは行政上の責任です。
自動車の運転者には運転免許があたえられています。
死亡事故などの人身事故を起こした場合には運転免許に関する行政上の責任を負います。
人身事故の加害者は、被害者の治療期間などに応じて違反点数を課されます。
その点数によって免許停止処分や免許取消処分を受けます。
運送業をしている人にとって、運転免許に対する行政処分が与える影響は多大です。
加害者の行政上の責任についても、保険によってリスク回避はできません。
よって、自ら対策を講じなければなりません。
たとえば、免許取消処分を受ける場合は呼び出しを受けて聴聞手続きを受けます。
そこで加害者は弁解や主張をすることができ、場合によっては処分が軽減される可能性もあります。
これには弁護士が同席することができますので、予め依頼しておくことで法的に有効な主張をしてくれる場合もあるでしょう。
また、場合によっては行政処分の取消訴訟を提起することも可能です。
行政上の責任
内容:免許停止処分や免許取り消し処分
対処:事故後に弁護士に依頼
※行政処分の対応可否は事務所による
交通死亡事故の加害者は仕事を解雇される?
もし、家族が交通死亡事故の加害者になってしまったら仕事を解雇されてしまうのでしょうか。
交通死亡事故は二度と取り返しのつかない重大な事件です。
しかし、加害者の人生はまだ続いていきます。
交通死亡事故を起こし、会社から解雇されてしまうと大変困りますよね。
交通死亡事故を起こしても、必ず会社を解雇されるわけではありません。
解雇されるかは、会社の就業規則や社長の裁量的な判断によります。
一般的には就業規則で「有罪判決を受けたこと」を解雇理由としている会社が多いです。
死亡事故が不起訴になれば、有罪判決を受けることはないので、この解雇理由にはあたりません。
また起訴され、有罪判決を受けても、社長の裁量で職場復帰できるケースもあります。
仕事に運転免許が必要な場合は、復職が難しく、復職しても配置転換される場合もあるようです。
しかし、直ちにクビになるケースは少ないように感じます。
もっとも、これはあくまで軽微な過失で事故を起こしてしまった場合です。
飲酒運転や危険運転で死亡事故を起こした場合は、裁判の後に刑務所に収監される可能性が高いです。
そうなれば、解雇される可能性が非常に高くなるといえるでしょう。
家族が死亡事故の加害者に…刑罰は科される?
「家族が死亡事故の加害者になってしまった…」
これから家族にどんな刑罰が科されるかたいへん心配ですよね。
交通死亡事故は「過失運転致死」または「危険運転致死」に問われます。
内容を確認しておきましょう。
過失運転致死罪
過失運転致死は、自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死亡させることです。
運転者が注意義務に反して死亡事故を起こした場合、過失運転致死として相応の刑罰が予定されています。
危険運転致死罪
危険運転致死は、自動車を運転することが困難な状態や正常な運転が困難な態様などで運転し、よって人を死亡させることです。
運転者が特に危険な運転をして注意義務に反した場合、危険運転致死として極めて重い刑が予定されています。
交通死亡事故の刑罰
▼過失運転致死
7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金
▼危険運転致死
1年以上の有期懲役(2条)
15年以下の懲役(3条)
現在自動車の死亡事故に関する法律は「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」に規定されています。
こちらは平成26年5月20日に施行されました。
過失運転致死は5条に、危険運転致死は2条と3条にそれぞれ規定されています。
「過失運転致死」も「危険運転致死」もどちらも懲役刑が科されることがあります。
そのため、交通死亡事故を起こした際は、これらの刑罰を受ける可能性があるといえるでしょう。
まとめ
交通死亡事故の刑罰
過失運転致死 | 危険運転致死 | |
---|---|---|
内容 | 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死亡させること | 自動車を運転することが困難な状態や正常な運転が困難な態様などで運転し、よって人を死亡させること |
刑罰 | 7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金 | 1年以上の有期懲役(2条) 15年以下の懲役(3条) |
なお、交通事故の加害者のその後については『交通事故で人を死亡させた加害者のその後|刑罰、刑務所、慰謝料や相続放棄なども解説』にも詳しく記載しているので、興味がある方はご覧ください。
交通死亡事故の加害者の家族がその後とるべき対応とは?
家族が死亡事故の加害者に…どんな不利益を被る?
交通事故を起こしてしまった張本人は、動揺して適切な行動をとれないこともあります。
とくに、死亡事故や重傷事故を起こしてしまった時は、加害者が自身で対応すると思わぬ事態に繋がります。
交通死亡事故を起こした家族は冷静になり、加害者本人と一緒に交通死亡事故の対処をしましょう。
死亡事故を起こしてしまった本人は非常にパニックになっています。
家族が死亡事故の加害者になってしまったとき、どのような対応をとればよいのでしょうか。
交通死亡事故の加害者は、民事・刑事・行政上の責任を負います。
任意保険では民事責任しかカバーできず、刑事や行政上の責任については弁護士に相談することが大切です。
ご家族としては、パニックになっている本人に代わって弁護士に連絡をするなどの対応が考えられるでしょう。
「事故を起こしても任意保険に加入しているから大丈夫」
と、考えている方も多いかもしれません。
しかし刑事・行政責任については、家族とご自身で、有効な手段をしっかりととる必要がありますね。
その後どのように対応・謝罪すればいい?謝罪文は?
死亡事故を起こした加害者はその後、被害者の遺族に対してどのように対応・謝罪するかが大きな問題になってきます。
死亡事故は取り返しのつかない事故です。
遺族の立場になると、家族を死亡させた加害者とは連絡をとりたくないという感情もあると思います。
一方で、死亡事故を起こしたのに謝罪が一切ないということも許せない場合があるでしょう。
加害者としては、何らかの方法で遺族に連絡をとり、謝罪をする必要があります。
謝罪の方法としては、手紙、メール、電話、自宅訪問などが考えられます。
事故の内容や被害者との関係、遺族の立場などによって個別に謝罪方法を検討すべきです。
一般的には最初は手紙による謝罪が多く採用されているようです。
直接謝罪に行っても、遺族によっては面会を拒否されることも多いです。
また、電話では謝罪の誠意が伝わりづらいこともあります。
そんなときは、気持ちをこめた手紙で精一杯の謝罪をし、後日面会したうえで正式に謝罪の気持ちを伝えたいという一言を加えておきましょう。
死亡事故の加害者になった場合、弁護士は必要?
人身事故を起こしてしまっても、任意保険に加入していれば民事上のリスクを回避することはできます。
しかし、死亡事故など重大なものになればなるほど、行政・刑事上のリスクについて自力で対応することは難しいのが実情です。
交通事故でも罰金以上になると前科がついてしまいます。
勤務先や社会的立場との関係で前科がつくことを避けたいという場合には、弁護士に刑事弁護を依頼する必要があります。
一方、トラック運転手やタクシー運転手など、車の運転を仕事にしている人にとっては、免許停止や免許取消処分は生活の根幹にかかわる問題です。
弁護士に依頼すれば、被害者の怪我の重さや過失の程度などによっては、免許に対する行政処分が軽減されることもあります。
保険会社が選任する弁護士がつく場合もあります。
ご自身で選んだ弁護士の対応とどのように違うのかみてみましょう。
保険会社の選任する弁護士
ケースによっては、保険会社が選任した弁護士が加害者側につくことがあります。
保険会社の提携弁護士の役割は、主に加害者の「民事上」の損害賠償義務を軽減する方向での交渉や裁判の弁護活動を行うことです。
行政・刑事上の責任については、原則として活動を行ってもらえないことがほとんどです。
自分で選任する弁護士
加害者が自分で弁護士を選ぶ場合には、加害者自身のニーズに応じた弁護士活動を行ってもらうことができます。
民事だけでなく、刑事・行政上の責任についても活動をしてもらえるでしょう。
より専門性の高い弁護士を選任することが重要になってくるというわけです。
行政・刑事上の不利益を回避するためにはご自身で弁護士を選任するべきだと言えますね。
死亡事故の弁護士相談についてはこちらのページでも紹介しています。
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いかがでしたか?
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編集部のコメントや実際の利用者の口コミを参考にして弁護士を探してみましょう。
最後に一言アドバイス
今回は「家族が交通死亡事故を起こしたら…」というテーマでお送りしました。
最後に一言お願いします。
大切なご家族が交通事故の加害者になってしまうと、大変不安を感じると思います。
そんなときでも弁護士に相談すれば、今後の見通しを聞くことができるでしょう。
また、早期に遺族と示談を成立させることで、刑事事件で不起訴になる可能性もあります。
時期が早いほど選択肢も多いため、お困りの際はすぐに弁護士にご連絡ください。
まとめ
交通死亡事故によって残された遺族の怒りや悲しみは計り知れません。
交通死亡事故の加害者側も非常に重い責任を負って生きていくことになります。
自分たちだけではこの先どうしていいかわかりませんよね。
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