痴漢の取調べ|警察や検察から後日呼び出しを受けた後の流れを解説
痴漢容疑で取り調べを受けることになった!
そんなお悩みをお持ちの方のために、痴漢の取り調べ内容と流れ、注意点をお伝えしていきます。
- 痴漢をした後日呼び出しを受けたら逮捕される?
- 警察や検察庁での取り調べで「嘘」をついたら罪になる?
- 取り調べに期間や時間、回数の制限はある?
こんな疑問も今日で解消!
法的な解説は刑事事件を数多く扱ってきたアトム法律事務所の弁護士にお願いしていきます。
よろしくお願いします。
痴漢は証拠の収集が難しく、当事者の供述がとても大切です。
その点で取り調べが重要になりますから、あらかじめ詳細を知っておくと大変有益です。
痴漢の取り調べで、どのような点に注意すべきなのか、しっかりと解説していきます。
目次
この記事では、
・2回目の呼び出しで逮捕されるのではないか。
・検察庁で取り調べを受けたら起訴されるのか。
そんな不安まで、徹底的に解説していきます。
検察は痴漢を何罪で起訴する?警察による逮捕も!
では最初に
痴漢とはそもそもどんな罪?
という点を見ていきたいと思います。
どんな罪の疑いで警察や検察庁で取り調べられる可能性があるのでしょう。
実は痴漢罪という犯罪はありません。
痴漢をした場合は、
- ① 各都道府県が定める条例違反、
- ② 刑法の強制わいせつ罪
のどちらかに当てはまります。
なおこの条例は迷惑防止条例という略称で呼ばれており、全都道府県で制定されています。
それぞれどんな痴漢行為がこの罪にあたるのか、表にしてみました。
条例 | 刑法176条 | |
---|---|---|
行為 | 公共の場所などで、人の身体に触れること | ①13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為。 ②13歳未満の者に対し、わいせつな行為。 |
具体例 | 服の上から体を触る | 無理やり服の中に手を入れて、体を触る |
仮にこれらの罪で有罪となった場合、どのような刑罰が科せられるのでしょう。
これも表にまとめてみました。
条例違反 | 刑法176条 | |
---|---|---|
自由を奪う刑 | 6ヶ月以下の懲役 | 6ヶ月以上10年以下の懲役 |
財産刑 | 50万円以下の罰金 | なし |
痴漢をした場合、どちらかの罪にあたらないか、取り調べが行われます。
その取り調べの内容と流れについて以下で見ていきましょう。
なお、痴漢が何罪にあたるのかの詳細は以下の記事をご覧ください。
痴漢で取り調べを受ける「流れ」と「内容」を徹底解説。
そもそも警察や検察による「取り調べ」ってなに?
そもそも「取り調べとは何なのでしょう。
取り調べとは、被疑者や参考人が捜査機関に供述を求められる行為をいいます。
警察や検察から、犯罪について知っていることを聞かれることになるでしょう。
この取り調べ、対象となる人には「被疑者」と「参考人」の2類型があります。
実は両者とも黙秘権はありますが、これについては後述します。
その前にそれぞれの類型についてみてみましょう。
痴漢事件の被疑者として警察・検察から取り調べ…
まず被疑者とはどんな人を指すのでしょう。
被疑者とは、犯罪の嫌疑を受け捜査の対象とされているが、まだ公訴を提起されていない者をいいます。
痴漢をしたと疑われていながら、まだ起訴されていない人のことを指します。
被疑者の取り調べについては、刑事訴訟法の198条1項が規定しています。
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。
出典:刑事訴訟法198条1項
つまり、痴漢について捜査の必要があるときに、痴漢を疑われた者に後日取り調べを求められるということですね。
既に逮捕された場合は出頭を要請されることなく、取り調べられるでしょう。
痴漢事件の参考人として警察・検察から取り調べ…
続いて参考人とはどんな人を指すのでしょうか。
参考人とは、犯罪捜査のため捜査機関から取調べを受ける被疑者以外の者をいいます。
痴漢を目撃した人や、被害者などがこれにあたります。
参考人の取り調べについては刑事訴訟法は223条が規定しています。
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者以外の者の出頭を求め、これを取り調べ、又はこれに鑑定、通訳若しくは翻訳を嘱託することができる。
出典:刑事訴訟法223条1項
痴漢事件があった際に、これらの者はどのように取り調べられるのでしょうか。
その流れを追います。
痴漢について後日の呼び出しもある?逮捕の有無ごとに取り調べの流れを説明!
ここからは一番多い、電車での痴漢における被疑者を例にとってお伝えします。
参考人は、任意で取り調べを受ける被疑者と同様の流れになります。
駅舎で痴漢事件として取り調べ
まず電車内で痴漢をしたと疑われた場合、駅で降ろされ、駅員を呼ばれることがあります。
その後警察官を呼ばれ、駅舎で最初の取り調べを受けることが考えられます。
ここでは簡単に痴漢の認否を問われることになります。
「認めた場合」はそのまま警察署に連行されるか、身元をはっきりさせた上で後日呼び出しを受けることになるでしょう。
「否認している場合」、任意で取り調べを続けるよう説得を受けることが多いようです。
ですが、仮に監視カメラなどの証拠があるにもかかわらず否認を続ける場合、逮捕される可能性もあります。
なお、
駅員室に連れていかれた時点で、私人に現行犯逮捕されていたとされる可能性もあります。
痴漢と現行犯逮捕についての詳細は以下の記事をご覧ください。
警察署での痴漢事件取り調べ
続いて、任意同行や逮捕されることによって警察署に移動することも考えられます。
「任意同行した場合」は直接取調室に移動します。
そこで痴漢事件について詳しく聞かれることになります。
一方
「逮捕された場合」は警察署内の留置場に入れられ、そこから取調室に移動、取り調べを受けることになるでしょう。
否認している場合、強気な態度で取り調べられる場合もあるようです。
ここで自分の権利などを知らないと、恐怖から警察官の言いなりになってしまう場合もあります。
どのような権利があり、どのような点に注意すべきかは後で詳しくお伝えします。
痴漢事件を検察庁で取り調べ
続いて、被疑者として警察で取り調べられた結果、警察が事件を検察官に送ることがあります。
刑事事件につき、証拠等とともにこれが検察官に送り届けられることを検察官送致といいます。
逮捕されていない場合の検察官送致を、書類送検といいます。
送検された場合、検察庁で検察官に取り調べられます。
この取り調べの結果から、検察官は被疑者を起訴するかどうか決めることになります。
起訴の判断に必要であれば、参考人も同様に呼び出しを受け、取り調べを受ける場合があります。
検察庁で取り調べを受けたからといって起訴されるとは限りません。
ですが起訴される可能性もある以上、万全の準備で取り調べに臨む必要があります。
以上
痴漢事件における取り調べの流れと内容についてお伝えしました。
駅での取り調べから、検察庁での取り調べまで一貫して、
被疑者が本当に痴漢をしたのか
を見極め、
証拠を集める
ために取り調べが行われます。
警察や検察による痴漢取り調べの内容。2回目の呼び出しでは?
痴漢の取り調べが複数回にわたることもあります。
痴漢の容疑で逮捕されていない場合は、後日呼び出しがある場合もあります。
逮捕されている場合は、留置場と取調室を往復しながら何回も取り調べを受けることになります。
ですが回数に深い意味はありません。
警察や検察が事件について確認したいことがあれば何回でも呼び出されます。
逆に1回で終わる場合もあるでしょう。
ですが、1回目で全部話したにも関わらず、さらに出頭を要請された場合、不安を感じることもありますよね。
明日、2回目の取り調べがあるのですが、正直、どう挑んだらよいかわかりません。その日に逮捕されてしまったらどうしようとか、警察の捜査に対して、一回目に混乱の為に言えなかった事や違う事が出てきてしまったらどうしようとかです。
ですが2回目の呼び出しを受けたからといって、逮捕されるとは限りません。
警察や検察は1回目の取り調べ結果をもとに捜査を進めるため、新たに発生した疑問点を確認する場合もあるのです。
特に満員電車内での痴漢などは証拠が少なく、継続的に捜査をする必要がある場合も多いです。
とはいえ逮捕の可能性があるのも事実。
不安な場合は弁護士に相談して万全の態勢で臨みましょう。
警察や検察による痴漢取り調べの結果はその後どのように使用される?
このような取り調べの中で供述をした場合、その内容は書面にまとめられ、取調官から読み聞かせられることになります。
この書面を供述調書といいます。
そして読み聞かせられたあとに、署名を求められます。
ですがこの署名には注意が必要です。
ここで注意すべきなのが、供述調書に署名をすれば、自分がその内容通りの供述をしたという証拠になることです。
供述調書と署名については後で詳述しますが、供述調書に署名をすると、それを裁判で不利な証拠として使われる可能性があります。
これは被疑者だけではなく、参考人の場合も同様です。
他人の犯罪を認定する証拠となりうる点で、同じ程度の重要度があるといえるでしょう。
以上、取り調べの流れと、その後の供述調書の利用についてお伝えしました。
これをまとめると以下のようになります。
まとめ
駅舎や警察署、検察庁で話を聞かれ、調書を作成される。
場合によっては複数回取り調べられる。
その調書に署名をすると、後日公判で証拠として提出される可能性もある。
とはいえ、具体的に「取り調べ」でどこに注意すべきか不明瞭ですよね。
そのため、ここからは痴漢の取り調べにおいて気を付けるべき注意点についてお伝えしていきます。
痴漢をしてしまった場合、被疑者が取り調べで注意すべき点
実際に痴漢をしてしまった!
そんなときは取り調べでどのような点に注意すべきなのでしょうか。
痴漢の取り調べは拒否できる?
まず被疑者は、痴漢の取り調べ自体を拒否することはできるのでしょうか。
逮捕されていない場合と、逮捕された場合に分けてお伝えしていきます。
まずは被疑者の取り調べについて規定した刑事訴訟法についてみていきましょう。
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。
出典:刑事訴訟法198条1項
痴漢で逮捕されていない場合
この条文によれば、「逮捕されていない場合」は出頭を拒み、または出頭後自由に退去できるとされています。
すなわち呼び出しに応じないこともできるし、取り調べに応じたとしても、自由に帰ることができるということです。
取り調べの拒否が認められています。
このように、帰りたいと思った場合はすぐに退去できます。
注意
ですがやみくもに拒否することはリスクがあります。
被害者や目撃者による証拠を捜査機関が収集していた場合、出頭を拒否することで逮捕される可能性があります。
逮捕は逃亡や罪証隠滅のおそれがある場合に、罪を犯したと疑われるものを拘束することです。
出頭を拒否することで、これらのおそれがあると考えられる余地があるためです。
痴漢で逮捕されている場合
刑事訴訟法の文言から見れば、取り調べを拒否することはできなそうにも思えます。
ここは争いのあるところです。
ですが後で述べるように、少なくとも被疑者には供述を拒否する権利があるため、そちらで対応することになるでしょう。
この点も実際に弁護士に相談し、アドバイスを受けることが大切です。
まとめ
「逮捕されていない場合」は取り調べを拒否できる。
「逮捕された場合」は争いがあるも、供述を拒否することで確実に対応できる。
痴漢の取り調べをできる期間や時間は決まっている?
では取り調べをするとして、これはいつまでも続けることができるのでしょうか。
真夜中に呼び出しを受け、取り調べをすることも認められるのでしょうか。
取り調べの期間と時間の制限についてお伝えしていきます。
「逮捕された被疑者」の場合、留置場に入れておける期間には厳格な制限があります。
痴漢の場合、逮捕から起訴されるまで、留置場に入れられる最長の期間は23日間となっています。
この期間を過ぎると釈放されますので、取り調べからの退出や拒否も自由にできるようになります。
逮捕された場合の時間制限については下記の記事に詳細があります。
ぜひご覧ください。
しかし、釈放にも種類があります。
起訴しないと決める不起訴処分になった場合は、その後の取り調べは原則としてありません。
一方、起訴するかの判断を保留して釈放された場合は、その後も取り調べられる可能性があります。
この場合は逮捕されていない場合と同様に考えられ、期間や時間の制限は明確には定められていません。
しかし
制限が法律上ないからといって、無制約に取り調べが認められるわけではありません。
最高裁判所の判例に以下のようなものがあります。
任意捜査の一環としての被疑者に対する取調べは、事案の性質、被疑者に対する容疑の程度、被疑者の態度等諸般の事情を勘案して、社会通念上相当と認められる方法ないし態様及び限度において、許容されるものである
出典:最高裁昭和五七年(あ)第三〇一号同五九年二月二九日第二小法廷決定
よって社会的常識から「おかしい」と思われる程の長時間、時間帯における取り調べは違法となる可能性もあります。
もっとも事件の起きた時間など、様々な要因から適法となることもあります。
事案によって判断が分かれるところですので、不安な場合は弁護士に相談しましょう。
取り調べで、痴漢をしていないと嘘をついたら?
では、このような取り調べの中で嘘をついてしまったら、どうなるのでしょう。
テレビでも時折、「嘘をつくと偽証罪」とされていることがあるようですね。
ですが、取り調べで嘘をついたとしても偽証罪は成立しません。
刑法169条によれば、偽証罪は法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をした場合に成立します。
つまり裁判に証人として出廷した場合に問題となることで、取り調べで被疑者が偽証罪に問われることはありません。
もっとも、被疑者の嘘が明らかになった場合は不利益を被る可能性がある点にご注意ください。
嘘をつくことは罪にはなりませんが、捜査機関や裁判所にとっての印象が大変悪くなります。
本来不起訴で済むところが起訴されてしまったり、重い刑罰が科せられてしまうリスクがある点はぜひ考慮しましょう。
痴漢について、黙秘することはできる?
では次に、黙秘についてみていきましょう。
取り調べでそもそも何も供述しないことが許されるのか、ご存知ですか。
実は供述するかしないかは、自由なんです!
刑事訴訟法198条2項は、被疑者は「自己の意思に反して供述をする必要がない」旨を告知される必要があるとされています。
言いたくないことは、言わなくても良いということです。
取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。
出典:刑事訴訟法198条2項
これを供述拒否権といいます。
一方、憲法上には黙秘権という権利が認められています。
これらは異なる権利なのでしょうか。
黙秘権とは、自分に不利益な供述を強要されない権利を指します。
この不利益な供述とは、自分が刑事責任を負う可能性がある内容の供述を指します。
「痴漢をした」という供述は不利益な供述にあたります。
一方、不利益な事実でなければ、黙秘権の対象とはなりません。
何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
出典:憲法38条1項
刑事訴訟法上の 供述拒否権は、どんな供述でも拒むことができます。
これが2つの権利の異なる点です。
黙秘権 | 供述拒否権 | |
---|---|---|
対象 | 自己に不利益な供述 | あらゆる供述 |
根拠条文 | 憲法38条 | 刑訴法198条2項 |
これらの違いがあります。
ですが痴漢の被疑者にとって、取り調べで何も供述しなくてもよいことにはかわりません。
もっとも
他の証拠から痴漢をしたことが明らかな場合は注意が必要です。
逮捕されたり、裁判所から重い刑を言い渡される可能性もあるためです。
取り調べ自体の拒否と同様、どのような対応をすべきかは弁護士に相談しましょう。
痴漢の供述調書に署名しろと言われたけど…
次に、先ほど述べた供述調書について詳しくお伝えします。
供述調書は、供述内容を取調官にまとめられた書面です。
この書面は取調官の言葉で書かれるため、供述が忠実に再現されていない場合もあります。
ですが一度署名をしてしまえば、その内容を実際に供述したものだとみなされます。
公判で証拠として提出されると、後からその内容を覆すことは非常に困難です。
特に自白のような内容であれば、被疑者にとって大変不利な証拠として利用されるでしょう。
そのため、確認時に違和感を感じたらしっかりと修正してもらいましょう。
そもそも署名自体を拒否することもできます。
後日思わぬ不利益を被ることがないようにするためにも、厳格にチェックするようにしましょう。
痴漢における取り調べの注意点まとめ
以上、実際に痴漢をした被疑者が取り調べで注意すべき点についてお伝えしてまいりました。
これをまとめるとこうなります。
まとめ
- ① 取り調べ自体を拒否できる。
- ② 留置場に入れられる期間に制限はあるが、それ以外の場合は期間制限がない。
- ③ 取り調べで嘘をついても偽証罪にはならない。
- ④ 取り調べで供述しなくてもよい。
- ⑤ 供述調書に安易に署名しない!
痴漢冤罪の場合、取り調べにおける注意点
では次に、冤罪で取り調べを受ける可能性がある場合の注意点についてお伝えしましょう。
駅舎ではどう対応するべきか
まず、駅で取り調べを受けること自体に注意が必要です。
上述したように、取り押さえられたり、駅員室に入った時点で現行犯逮捕されたとみなされる場合もあります。
こうなると自由に帰ることはできなくなります。
そのため、まずは立ち去ることが大切です。
ですが立ち去り方も大切。
線路に降りたり、他の人を突き飛ばしたりすると、別の罪が成立してしまいます。
これらの注意点については以下の記事で詳しく伝えています。
痴漢冤罪の対処法についてはここからご覧ください。
警察署・検察庁ではどう対応するべきか
警察署や検察庁で取り調べを受ける場合、上で記載した5点の注意点がそのまま当てはまります。
すなわち、
- ① 取り調べ自体を拒否できる。
- ② 留置場に入れられる期間に制限はあるが、それ以外の場合は期間制限がない。
- ③ 取り調べで嘘をついても偽証罪にはならない。
- ④ 取り調べで供述しなくてもよい。
- ⑤ 供述調書に安易に署名しない!
という点です。
また上記では取り調べの拒否や黙秘について、印象が悪くなる可能性に注意が必要でした。
ですが冤罪の場合、潔白を証明すると決めた場合は、否認を貫くことが大切です。
取り調べの見通しを持ち、意思を強くするためにも、具体的な対処法を弁護士に相談してみましょう。
痴漢事件の参考人としての取り調べ
では最後に、参考人として取り調べを受ける場合の注意点についてお伝えします。
参考人も同様に5つの点に注意する必要があります。
ですが参考人に独自の点も数点ありますので、以下でご説明します。
痴漢の取り調べ拒否について
参考人の取り調べは刑事訴訟法223条に定めがあります。
そこでは被疑者の規定が準用されており、出頭拒否と自由な退去が認められています。
- 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者以外の者の出頭を求め、これを取り調べ、又はこれに鑑定、通訳若しくは翻訳を嘱託することができる。
- 第百九十八条第一項但書及び第三項乃至第五項の規定は、前項の場合にこれを準用する。
- 出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。
出典:刑事訴訟法223条2項、198条1項但書
もっとも参考人の場合、出頭を拒むことで証人尋問に呼ばれる可能性があります。
このことが刑事訴訟法226条に定められています。
犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、第二百二十三条第一項の規定による取調に対して、出頭又は供述を拒んだ場合には、第一回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。
出典:刑事訴訟法226条
つまり参考人が出頭を拒んだ場合は、裁判所などへ呼ばれる可能性があるということです。
そしてこの証人尋問、正当な理由なく出頭を拒むと、なんと刑罰が科されてしまうのです!
召喚を受けた証人が正当な理由がなく出頭しないときは、決定で、十万円以下の過料に処し、かつ、出頭しないために生じた費用の賠償を命ずることができる。
出典:刑事訴訟法150条
とはいえ、取り調べを拒否したからといって、必ず証人尋問請求されるわけではありません。
事案によって異なりますので、不安な場合は弁護士に相談してみて下さい。
痴漢の取り調べで嘘をついた場合
次に、取り調べで嘘をついた場合についても注意が必要です。
参考人が取り調べで嘘をついた場合、内容によっては犯人隠避罪が成立する可能性があります。
犯人隠避罪は、かくまう以外の行為で犯人の発覚、逮捕されることを妨害する行為を罰するものです。
警察が探している痴漢犯人の所在について嘘をついた場合などは、罪に問われる可能性があるためご注意ください。
罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
出典:刑法103条
とはいえ、どんな供述が隠避にあたるのか、わかりませんよね。
曖昧な供述で罪に問われるのは避けたいもの。
不安な場合は専門家である弁護士に相談してみましょう。
痴漢事件における黙秘権と供述拒否権
参考人は被疑者と異なり、刑事訴訟法で供述拒否権の条文が存在しません。
ですがそもそも取り調べに応じるかすら自由なため、供述の自由もあると解されています。
もっとも
供述を拒否した場合も、場合によっては証人尋問に呼ばれてしまいます。
そして証人となった場合、このような規定が適用されます。
証人が正当な理由がなく宣誓又は証言を拒んだときは、決定で、十万円以下の過料に処し、かつ、その拒絶により生じた費用の賠償を命ずることができる。
出典:刑事訴訟法160条1項
取り調べの拒否と同様のリスクがあるということですね。
そのため、供述しないという選択肢を取る場合も、慎重に考える必要があるといえます。
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