児童買春・児童ポルノの示談金相場2022年版!よくあるQAもチェック
あなたやあなたのご家族・ご友人が、児童買春・児童ポルノの加害者になってしまったら…
刑事事件の解決に「示談」が非常に大切なのは、よく知られたことですね。
…でもいざ示談となると、わからないことだらけです。
- 示談金の相場は?
- 示談のメリット・デメリットは?
- 示談の流れ、示談書の書き方は?
疑問や不安でいっぱいですよね…
でも、大丈夫。ご安心ください。
ここでは、児童買春・児童ポルノの示談金やよくあるQAについて、徹底調査の結果をレポートします。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でおなじみ、アトム法律事務所の弁護士にお願いしました。
よろしくお願いします。
今回は児童買春・児童ポルノですね。
示談金の相場やよくあるQAを、過去の実績や最新の動向を踏まえて解説していきます。
目次
児童買春・児童ポルノの示談金の相場10連発
皆さん、示談といえば、気になるのはやはり示談金の相場ですよね?
ここでは、児童買春・児童ポルノの示談金の相場を見ていきます。
今回は特別に、アトム法律事務所が過去に解決してきた事案の一部を公開してくれました。
いずれも、実際にあった児童買春・児童ポルノ事件です。
現場で弁護活動してきた我々だからこそ提供できる、生の事件の示談金相場!
どうぞご期待ください。
ハイ、非常に力強いお言葉をいただきましたよ。
これは期待できますね!
さあ、まずは示談金が数十万円程度で済んだケースから見ていきましょう。
示談金が100万円未満だったケース
事案の概要 | 示談金 | |
---|---|---|
① | 携帯サイトで知り合った16歳の女子児童に対し、ホテルで性行為の対価として現金2万円を渡して性行為をした児童買春事件。 | 10万円 |
② | インターネット上で知り合った15歳の女子児童に対し、ホテル内で、性行為の対価として現金2万円を渡して性行為をした児童買春事件。 | 20万円 |
③ | 出会い系サイトで知り合った満18歳に満たない女子児童に対し、ホテル客室内で、性行為の対価として現金2万円を渡して性行為をした児童買春事件。 | 20万円 |
④ | 出会い系サイトで知り合った15歳の女子児童に対し、ホテル客室内で、性行為の対価として現金1万円を渡して性行為をした児童買春事件。 | 30万円 |
⑤ | 遠方に住む14歳の女子児童に対し、女性器などを露出させる裸体などを携帯電話のカメラで撮影させ、メールに添付して送信させ、自分の携帯電話に保存した児童ポルノ製造事件。 | 30万円 |
今はネットを利用している中高生も多いので、このような事件が増えましたね。
④と⑤は罪名が異なりますが、示談金は同じなようです。
⑤は記録に残ってしまうので、保護者の方もきっと心配ですよね。
事案の概要 | 示談金 | |
---|---|---|
⑥ | 15歳の女子児童に対し、下着や胸、陰部などを露出した姿を撮影させた上、メールで送信させ、自分の携帯電話に保存した児童ポルノ製造事件。 | 50万円 |
⑦ | インターネット上で援助交際相手を求めていた16歳の女子児童に対し、性行為の対価として現金1万5000円を渡して性行為をした児童買春事件。 | 50万円 |
⑧ | 出会い系サイトで知り合った16歳の女子児童に対し、ホテル客室内で、性行為の対価として現金1万円を渡して、自分の陰茎を口淫させるなどの性交類似行為をした児童買春事件。 | 70万円 |
さっきまでのケースと大して変わらないように思うのですが…
示談金の金額はいっきに50万円前後にあがってきました。
今は、簡単に画像がネット上に流出してしまう時代ですからね。
被害者の処罰感情とかを考えると、示談金も結構高くなりそうです。
次はなんと、示談金が数百万円にも及んだケースです。
示談金が300万円以上だったケース
事案の概要 | 示談金 | |
---|---|---|
⑨ | 12歳の女子児童に対し、性交をする姿や児童の陰部などを触る姿、女子児童の陰部を露出させた姿などをデジタルビデオカメラで動画撮影し、動画データをメモリースティックに保存した児童ポルノ製造事件。 | 350万円 |
⑩ | 満18歳に満たない女子児童に対し、前後3回にわたり、乳房を露出した姿を携帯電話のカメラで撮影させ、メールに添付して送信させ、自分の携帯電話に保存した児童ポルノ製造事件。 | 600万円 |
ここへきて急に、示談金が随分はね上がった印象です。
保護者の方の処罰感情によって、これだけ金額に差が出るのでしょうか。
さて、以上10件の実例を見てきました。
児童買春・児童ポルノの示談金の相場が、なんとなく見えてきましたね。
なお、その他の示談金の相場はこちらからかんたんに確認できるようにしておきました。
以下では児童買春・児童ポルノの示談に関するよくあるQAを見ていきます。
一つ一つ、弁護士先生に答えていただくので、安心してご覧いただけます。
児童買春・児童ポルノの示談に関するよくあるQA
児童買春・児童ポルノの示談とは?
そもそも児童買春・児童ポルノはどんな犯罪?
児童買春・児童ポルノの示談について知りたいのはもちろんですが、その前に…
- そもそも児童買春・児童ポルノとはどんな犯罪なのか?
- 児童買春・児童ポルノをすると、どんな刑罰が待っているのか?
というところからですよね。
先生に解説していただきましょう。
児童買春は、一般的に、18歳未満の児童にお金を渡して性交などの性的な行為をする犯罪をいいます。
児童ポルノとは、一般的に、18歳未満の児童の性的な内容を記録した写真やデ―タをいいます。
児童ポルノに関して禁止されている行為は、所持、製造、運搬、輸入、輸出、提供、陳列などです。
児童買春と児童ポルノは、いずれも「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」で規制されています。
へえ、そのなんとか法には、刑罰も書かれているんでしょうか。
児童買春・児童ポルノで捕まるとどんな刑罰が待っているのかも、知っておきたいところです。
児童買春の場合
児童買春で有罪になると、罰金刑又は懲役刑が課せられます。
罰金刑は、原則300万円以下と定められています。
懲役刑は、原則5年以下と定められています。
児童買春で有罪になった場合、初犯だと罰金刑になることがほとんどです。
児童ポルノの場合
児童ポルノで有罪になると罰金刑又は懲役刑が課せられます。
罰金刑は、児童ポルノに関する行為の内容によって異なり、
- 所持だと原則100万円以下
- 製造だと原則300万円以下
と定められています。
児童ポルノで有罪になった場合、初犯だと罰金刑になることがほとんどです。
例外として、前科がある場合や児童が複数の場合は、刑が重くなることもあります。
ナルホド、詳しく教えていただきました。
ではその懲役、罰金という刑罰ですが、それぞれどんなものか見ていきましょう。
「懲役」とは、懲役刑のことで、児童買春・児童ポルノで有罪判決を受けた人物を刑務所に収監し、刑務作業を行わせる刑罰をいいます。
もっとも、刑事裁判で懲役刑が言い渡されても、加害者側に有利な事情も考慮されて執行猶予になれば、直ちには刑務所に収監されません。
執行猶予になると、直ちに刑務所には収監されず、執行猶予期間中は社会で日常生活を送ります。
そして執行猶予期間内に再び犯罪を犯さなければ、刑務所への収監を免除されます。
執行猶予期間中に再び犯罪を犯した場合、執行猶予が取り消されて、その取消しの時から懲役刑の刑期分、刑務所に収監されます。
「罰金」とは、罰金刑のことで、児童買春・児童ポルノで有罪判決を受けた人物から一定の金銭を強制的に取り立てる刑罰をいいます。
児童買春・児童ポルノの場合、最も高くても300万円で、それを超える額の罰金を科すことはできません。
そのため悪質な児童買春・児童ポルノ事件については、罰金刑ではなく懲役刑が言い渡されることになります。
行為の内容によって、結構こまかく刑罰が分かれているんですね。
でも大枠としては、懲役か罰金、ということでした。
懲役 | 罰金 | |
---|---|---|
意味 | 刑務所に収監し、刑務作業を行わせる刑罰 | 一定の金銭を強制的に取り立てる刑罰 |
児童買春 | 原則5年以下の懲役 | 原則300万円以下の罰金 |
児童ポルノ | 懲役刑もある | 行為の内容によるが原則数百万円の罰金 |
児童買春・児童ポルノの示談の効果は?
さて、有罪になると懲役か罰金になるという児童買春・児童ポルノ。
- 児童買春・児童ポルノで示談をするとは、どういう意味なのでしょう?
- 示談をした場合、どんな効果があるのでしょう?
児童買春・児童ポルノの示談とは、児童買春・児童ポルノによって生じた賠償金をめぐるトラブルを、加害者と被害者の合意をもって解決することをいいます。
示談書の作成は、示談成立の必要条件ではありません。
しかし、その後のトラブル(「示談が成立した、しない」の言い争い)を防ぐためにも、示談書を作成することが大切です。
示談が成立すると、その効果として、児童買春・児童ポルノの加害者は、被害者に示談金を支払い、その他の示談の条件を履行する義務を負います。
児童買春・児童ポルノの被害者は、加害者が示談の条件を履行しない場合、成立した示談書を証拠として、その後の民事手続きを有利に進めることができます。
なるほど。
つまり「示談」、賠償金問題を加害者と被害者で話し合うことなんですかね。
あとから「言った」「言わない」でトラブルにならないためにも、示談書の作成は必須ですね。
加害者側 | 被害者側 | |
---|---|---|
意味 | 児童買春・児童ポルノ事件の賠償金のトラブルが当事者間の合意によって解決した | 児童買春・児童ポルノ事件の賠償金のトラブルが当事者間の合意によって解決した |
権利・義務 | 示談金の支払い義務が生じる | 示談金を受け取る権利が生じる |
児童買春・児童ポルノの示談のメリットは?
加害者側のメリット
さて、加害者はもちろん、被害者にとってもなかなか良さそうな「示談」。
ここでしっかり、示談にはどんなメリットがあるのかを押さえておきましょう。
先生、児童買春・児童ポルノで示談をする加害者にとってのメリットってなんですか??
児童買春・児童ポルノの示談が成立すれば、加害者はその後の刑事手続きにおいて、示談が成立しなかった場合に比べ有利に扱われます。
具体的には、不起訴となり刑事裁判にならないことで、前科がつかない可能性が高まります。
刑事裁判や前科がつくのを避けられれば、社会復帰もスムーズです。
児童買春・児童ポルノの加害者側にとって、示談のメリットは大きいです。
なるほど!
刑事処分が軽くなる可能性が高いということで、加害者はぜひとも示談したほうが良さそうです。
被害者側のメリット
加害者にとってメリットの大きそうな示談ですが…
示談は被害者にとっても、メリットがあるのでしょうか?
児童買春・児童ポルノの示談が成立すれば、被害者は民事裁判などの面倒な手続きを経ることなく、賠償金を受け取ることができます。
もっとも、示談の成立と同時に賠償金を受け取らなければ、その後加害者に逃げられてしまうリスクもあるため、注意が必要です。
加害者に逃げられてしまった場合、賠償金を受け取るためには、示談書を証拠として民事裁判などの手続きを取る必要が出てきます。
とはいえ、児童買春・児童ポルノの被害者側にとって、示談のメリットはやはり大きいです。
示談をしていると、被害者は民事裁判を経ないで、早期に賠償金を受け取れるんですね。
やはり示談は、加害者・被害者双方にとってメリットが多いようです。
次は反対に、示談のデメリットを見ていきましょう。
児童買春・児童ポルノの示談のデメリットは?
加害者側のデメリット
示談は加害者・被害者どちらにとってもメリットが大きいということでしたね。
では逆に、デメリットはあるのでしょうか。
まずは加害者側から見ていきましょう。
児童買春・児童ポルノの加害者側にとって、示談成立のデメリットは特にありません。
仮に示談が不成立に終わると、
- 被害者に対する賠償責任を負い続ける
- 刑事処罰が軽くならならない
というデメリットを負います。
しかし示談が成立すると、加害者側にとってはメリットこそあれ、デメリットはありません。
強いて言うとすれば、示談交渉を依頼することで、弁護士費用はかかるでしょう。
でも、事件のスムーズな解決を手伝ってもらえるのだったら、弁護士費用の出費は当然のことですよね。
加害者にとって、示談成立のデメリットはありません
ということで、加害者はやはり積極的に示談を目指すべきです!
被害者側のデメリット
では最後に、児童買春・児童ポルノで示談することによる被害者側のデメリットを見てみましょう。
児童買春・児童ポルノの被害者側にとって、示談成立のデメリットは、加害者に対する刑事処罰が軽くなることです。
示談が成立したという事実は、その後の刑事手続きにおいて、加害者に有利に扱われます。
ですから示談が成立していると、加害者に対する刑罰は軽くなる傾向にあります。
児童買春・児童ポルノの被害者やそのご家族は、加害者に対し強い処罰感情を抱いていることも少なくないでしょう。
ですから加害者の刑事処分が軽くなるのは、デメリットといえます。
そうか。示談が成立すると、加害者への刑事処分が軽くなるんですね。
それは確かに、被害者にとっては納得のいかない事態でしょう。
自分が児童買春・児童ポルノの被害者だったら、
- 加害者と示談して早々に賠償金を受け取るか…
- 示談をせず、加害者に重い刑事処分が下されるのを待つか…
結構迷います。
加害者 | 被害者 | |
---|---|---|
示談成立のメリット | ①賠償責任を免れる ②不起訴の可能性が高まる | 早期に賠償金を得られる |
示談成立のデメリット | 特になし | 加害者に対する刑事処罰が軽くなる |
児童買春・児童ポルノの示談の流れとは?
では実際に示談するとして、気になるのは示談の流れです。
具体的にはどんな感じで進んでいくのでしょう?
児童買春・児童ポルノの示談の流れは、通常の事件の示談の流れと同じく、加害者側と被害者側との交渉により進行します。
児童買春・児童ポルノの加害者が被害者の連絡先を知っている場合、当事者同士で示談の話し合いを進めることができます。
示談成立の流れとしては、
①話し合い
↓
②示談条件の確定
↓
③示談書の作成
↓
④示談金の支払い
↓
⑤示談書にサイン
という流れを経ることが多いです。
これに対して、児童買春・児童ポルノの加害者が被害者の連絡先を知らない場合、示談を進めるためには弁護士を選任する必要があります。
弁護士を選任すれば、警察官や検察官から被害者の連絡先を聞けるケースが多いからです。
弁護士を選任した後は、弁護士が被害者と話し合って、示談が成立することになります。
まずは被害者と連絡がとれないと、示談しようにもできないんですね。
弁護士に頼んだりして、なんとか被害者と連絡をとること。
これが示談の第一歩です。
加害者側 | 被害者側 | |
---|---|---|
相手の連絡先を知っている | 自分で示談を進めることが可能 | 自分で示談を進めることが可能(※) |
相手の連絡先を知らない | 弁護士を選任する必要がある | 弁護士を選任する必要がある |
児童買春・児童ポルノの示談書の書き方は?
児童買春・児童ポルノ事件を起こしてしまったら、積極的に示談するのが大切ということがわかりました。
示談金の相場も示談の流れも、だいたい分かりました。
でも、肝心の示談書の書き方が、まだ全然分かりません。
先生、示談書には、何か決まった書き方があるんですか?
児童買春・児童ポルノの示談書の書き方は、通常の示談書の書き方と特に変わりません。
ポイントは、示談の対象と内容を明確にすることです。
示談書には通常、以下の項目を盛り込んでいきます。
①事件の内容(日時、場所、加害者・被害者の氏名など)
②示談金の金額、支払方法
③示談書に記載されたもの以外の賠償義務がないこと(清算条項)
④加害者と被害者の署名
⑤被害者が加害者を許すこと(宥恕条項)、被害者が告訴を取り下げること(告訴取消)
示談金の一括払いが難しい場合は、分割払いの合意を結ぶことも可能です。
示談書に、「被害者は加害者のことを許します」という旨の宥恕条項(ゆうじょじょうこう)を設けた場合、その後の刑事手続きでは加害者に有利に考慮されます。
示談書には、いくつかの決まった項目があるんですね。
これらをきちんと踏まえたら、ちゃんと示談書が書けそうで心強いです。
書き方 | 要否 | |
---|---|---|
事件の内容 | 児童買春・児童ポルノ事件が起こった日時、場所、加害者と被害者の氏名などを記載する | 一般的によく盛り込まれる |
示談金の記載 | 示談金の金額と支払い方法を記載する | 一般的によく盛り込まれる |
清算条項 | 示談書に記載されたもの以外の賠償義務がないことを記載する | 一般的によく盛り込まれる |
署名 | 被害者と加害者双方がサインする | 一般的によく盛り込まれる |
宥恕条項 | 加害者を許す旨の文言を書く | 任意 |
告訴取消 | 被害者が告訴を取り下げる旨の文言を書く | 任意 |
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あとでいいやでは遅い。