改名手続きの費用・期間から必要書類まで丸わかり!
このページをご覧になっているということは、改名手続きでお悩みのことと思います。
当サイトにも刑事事件に関連して改名をしたいけど、どうすればいいのか分からない、といった悩みがたくさん寄せられています。
ご安心ください。
このページでは改名手続きにかかる費用や期間、書類の準備から手続きの流れまで、誰にでも分かりやすくご案内しちゃいます!
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でお馴染みのアトム法律事務所の弁護士にお願いしました。
最後まで読んでいただいた方には裏話もコッソリ教えちゃいますよ。
目次
初めて名前を変えたい方へ!費用や期間からディープな疑問まで徹底網羅
改名をしたい理由はみなさんそれぞれ違うと思います。
しかし、改名手続き自体が初めての経験で、どうしたらいいか分からない、という不安や疑問はみなさん同じことでしょう。
人生を左右するかもしれない一大事に、失敗してしまわないように、しっかり準備をして挑みたいですよね。
こんな理由もあるの?名前を変えたいお悩み色々
改名の理由はそれぞれと言いましたが、具体的にはどんな理由があるんでしょうね。
詳しい方に聴いてみましょう。
改名理由でよくあるのは、通称として長年使ってきたから、身近に同姓同名の人がいて紛らわしい、など便宜上の理由ですね。
いじめられるほど変な名前だからとか、性別を間違われるから、といった理由もあります。
改名の理由も色々、悩みの重さも色々、人生色々ですね。
実名報道に関する改名のご相談が数多く寄せられています!
当サイトは何といっても刑事事件のサイトなので、実名報道に関するお悩みが沢山よせられています。
私の事務所にも、実名報道されてしまい再就職が不安、ネットで広まったら永久に犯罪歴が残ってしまうのか心配、といった相談の声が数多く寄せられています。
ひとたび社会的信用を失ってしまうと、様々な場面で不利益を被るおそれがあります。
罪を償っても解放されない重荷…
罪を犯してしまったんだから、不利益を被るのは自業自得という気もしますけど…
被害者の方と示談して許しを得ていたり、裁判所の判断した刑に服して罪を償った人に対して、いつまでも差別をし続けるのは望ましくないことです。
しかし、実際に就職や結婚などの場面において、罪を償った後も不利益を被るケースは往々にしてあり得る話です。
※前科の種類によっては、公務員や一部の資格の欠格事由に該当し、職業の制限を受けます。
たしかに!本人の更生のためにも、あまりに不当な扱いを受けるのは良くありませんね。
逮捕=犯罪者という世間の目…
逮捕されたけど不起訴で終わって前科はつかなかった、なんて場合もありますよね?
前科がつくのは、司法の手続きに則り有罪が確定してからの話です。
しかしながら、世間やマスコミ・ネット上では、逮捕=犯罪者という認識を多くの方に持たれてしまうのは紛れもない話です。
ひとたび逮捕が実名報道されてしまったら、たとえ司法手続きで無罪や不起訴が確定しても、犯罪者のイメージは中々ぬぐえませんね。
逮捕直後に、近所の人がインタビューで「普段は真面目な人なのに…」なんて答えてるのはまさに”逮捕=犯罪者”のイメージですね。
実名報道によるデメリット
逮捕や前科の実名報道で不利益を被るのは何となくわかりますけど、具体的にはどんなデメリットがあるんですか?
まずは前科がつくことの具体的なデメリットについて説明します。
前科の種類にもよりますが、一般的に考えられるデメリットは以下の3つです。
① 職場や学校、結婚など社会生活上の様々な場面で、事実上の不利益を被る。
② 公務員や一部の資格の欠格事由に該当し、職業を制限される。
③ 後日犯罪を犯した際の量刑が重くなる場合がある。
特に①はほとんどのケースで当てはまり、実名報道の影響が強い部分なので、気になる方が非常に多いところでしょう。
逮捕と前科は違いますが、逮捕の実名報道においても同様に、①の事実上の不利益を被る可能性が高まってしまいます。
実名報道されなければ回避できたかもしれない①のデメリットはなるべく避けたいところですね。
前科が広く知られてしまうことのデメリットについて、もっと詳しく知りたい方はこちらも参照してください。
みんなが知りたい改名手続きの真実を弁護士に尋ねてみた
改名手続きについて調べる前に、そもそも改名とは何かを確認してみましょう。
知ってるつもりで意外に知らないことがあるかも?
そもそも改名とは?苗字や名前を変えるってどういうこと?
改名で真っ先に思いつくのは結婚でしょうか。
歌でもよくありますね、あなたの苗字になる私~とか。
作家の妹尾河童さんはペンネームを正式な名前に改名したらしいですね!
人の改名とは、戸籍上の氏、名、あるいはその両方を変えることです。
以下では氏(苗字)を変えることを”改姓”、名(下の名前)を変えることを”改名”と区別して説明していきます。
ふむふむ、それは何となくイメージできますね。
私もブロガーとして有名になったら、そっちに改名しようかな!
改名が許可される理由はどんなもの?8つの重要判例をご紹介!
改姓や改名って、誰でも好きな時にできるものなんでしょうか?
私も姓名判断してもらって改名しようかな?
結婚・離婚、養子縁組といった身分関係の変動以外の場合、改姓や改名にはそれなりの理由が必要になります。
改姓は「やむを得ない事由」が必要で条件がかなり厳しいですが、改名は「正当な事由」があればよいので改姓に比べてやや緩やかです。(戸籍法107条、同107条の2)
改名の「正当な事由」とは具体的に言うと①奇妙な名である②難しい字で読まれづらい③同姓同名の人がいて不便④異性に間違われやすい⑤外国人と間違われやすい⑥神官・僧侶となった(または辞めた)⑦通称として永年使っている名前に変えたい、などの事由が挙げられます。
さすがにちゃんとした理由が必要なんですか。
改名の判例5選
改名の方が比較的認められやすいとのことですが、実際どんな時に許可されて、どんな時に不許可になるのか、判例を教えて貰いましょう。
① 犯罪者が、その縁戚者に及ぼす不名誉を覆うための改名の申立てが不許可とされた事例
犯罪者がその縁戚者に及ぼす不名誉を出来るだけ軽減しようとする心情は、それとして理解しえないこともないが、そのような不名誉を覆うために改名の手段に訴えることは、名の社会的意義からし名されぬと解するのが相当である。(大阪高等裁判所 昭和37年2月15日)
② 永年使用した通称への改名が許可された事例
すでに通称名が永年にわたって使用され,これが戸籍名に代って社会生活上本人を表象する機能をもつに至っている以上,通称名使用の動機が上記の如きものであったとしても改名を許可するのが相当である。(仙台高等裁判所 平成2年2月19日)
③ 出生時使えなかった字への変更が許可された事例
戸籍法107条の2の「正当な事由」は、変更を必要とする事由の存在という積極的要件ではなく、名の変更を認めても個人の同一性の認識に混乱を生ずるおそれはないという消極的要件があれば認められる。(高松高等裁判所 平成2年8月15日)
④ 身近に同姓同名の人物がいたため仕方なく改名したが元に戻したいという申立が許可された事例
入社以来継続して約23年(改名後の通称使用期間だけでも約19年)以上勤務先で「隆一」として取り扱われ,社会においても引き続き「隆一」を通称として使用・・・本名である「隆市」を使用すれば却って抗告人の社会生活上の不便と周囲の混乱がもたらされることが予想できる。(大阪高等裁判所 平成7年6月12日)
⑤ 米国永住のため外国人風に改名したいという申立てが不許可とされた事例
「ジャネット」という名前を永年使用しているような事情は認められない。・・・これはあくまでも個人的感情であつて,呼称秩序の恒常性よりも優先すべき改名の必要性があるとは認められず,本件申立ては戸籍法所定の正当事由を欠くからこれを却下することとする。(東京家庭裁判所 昭和61年6月11日)
特に①の判例は気になるところですね…
改姓の判例3選
せっかくなので改姓についての判例も教えてもらいましょう。
① 単に前科の汚名を受けた姓から解放されて心機一転して更正したいという理由だけでは、改姓は認められないとした事例(東京家庭裁判所 昭和41年7月18日)
② 元暴力団員として氏が周知されている者からの氏の変更許可申立事件において、客観的に現在の氏による社会生活上の現実の支障や不利益があり、氏の変更の必要があると認められ、加えて、氏を変更することが本人の更生に必要と認められる事情がある場合には、やむを得ない事由に該当するとして、変更を許可した事例(宮崎家庭裁判所 平成8年8月5日 )
③ 身分行為(離婚)に伴う氏の変更から受ける不便等は、それが本人またはその家族等に客観的にも堪えがたいと認められる損害ないし苦痛を与える例外的な場合を除いて、通常改氏の止むを得ない理由にはならない。改氏しても弊害がないということは、改氏を許してよい理由にはならない。(大阪高等裁判所 昭和40年6月29日)
① で思いっきり却下されてる…
改名して前科や実名報道の苦労から解放!?
判例を見ると、改名はなかなか難しそうですが、いっそ実名報道の記事を削除してもらうよう頼んだらどうですか?
ネットや新聞・週刊誌の記事を全て削除することはほぼ不可能ですし、一度実名報道されてしまったら人々の記憶からその名前を完全に消し去ることもできません。
それならば自分の名前を変えてしまった方が、より確実に犯罪者のレッテルから解放されますね。
前科や実名報道を理由に改名したい場合は、どうすればいいんでしょうか?
そのままズバリ「実名報道されたから名前を変えたい」と申請しても、よほどの事情が無い限りは許可されません。
結婚や離婚、養子縁組で苗字を変える方法もありますが、社会生活に与える影響が大きいので、誰にでもとれる手段とは言えませんね。
誰にでもできる手段としては、改名の「正当な事由」で挙げた、「通称として永年使っている」ことを理由に申請する方法がやりやすいでしょう。
前科を理由に却下されたりしないんですか?
「通称として永年使っている」ことを理由に改名申請をする際、前科を調べられることは通常ありませんので安心してください。
改名するとこんなメリットが!
改名すると具体的にどんないいことがあるんですか?
戸籍上の名前を変えれば、運転免許証や保険証といった公的機関の発行する身分証明書が、新しい名前で作れますので、周囲の人に前科を知られずに済む可能性は大幅に上がります。
なるほど~。
改名と削除要請の検証を下にまとめておきますね。
改名 | 削除要請 | |
---|---|---|
実名報道 | 周囲に知られにくくなる | 全記事を削除するのは困難 |
就職 | 再就職しやすくなる | 周囲の記憶次第 |
改名手続きの流れと費用や期間をまとめてみた
お待たせしました、いよいよ本題の改名手続きの方法です!
改名手続きは誰でもできる!?
やっぱり弁護士とか資格のある人じゃないと申請できないんですか?
??が気になりますね、もったいぶらず教えてください!
改名の許可申請は家庭裁判所へ!
改名手続きの申請先は決まってるんですね!
どこに申請すればいいんですか?
むむむ、裁判所とは手ごわそうな相手だ。
改名手続きの方法を徹底解説!
裁判所で何を主張すればいいんですか?
改名手続きには、戸籍法107条の2で定められた正当な事由が必要とされています。
簡単に言うと「改名しないと困る理由がある」「改名しても不都合が生じない」、これらの事情が家庭裁判所に認められれば改名可能です。
ただし、明確な基準が定義されているわけではないので、担当した裁判官の判断によるところが大きい、というのが今までの実感ですね。
ケースバイケースで判断されるってことですか。
改姓手続きの方法を徹底解説!
改姓手続きの方はどうなんでしょうか?
結婚・離婚や養子縁組以外の改姓手続きには、戸籍法107条で定められたやむを得ない事由が必要とされています。
このやむを得ない事由というのは、改名の場合の正当な事由よりも厳格で重い必要性が求められるものです。
「離婚後も元配偶者の姓を使っていたが、旧姓に戻したい」といった場合もやむを得ない事由が必要ですが、そういった場合は比較的ハードルが下がるようです。
なるほど、苗字は家族や血縁を示すものだから、変更に対してかなり慎重なんですね。
誰か私と同じ苗字になってくれる素敵なパートナーはいませんか!?
改名許可申請の必要書類は?申請書の用意はこちらから
ここからは、改姓手続きよりもハードルの低い改名手続きに焦点を絞って話を進めてもらいますね。
申立書は家庭裁判所のサイトからダウンロードできます。
改名手続には、その他に添付資料として申立人の戸籍謄本と変更理由の証拠資料が必要になります。
改名用の申請書(申立書)ダウンロードはこちらから、記載例も確認できます。
改名手続きにかかる費用と期間は?
費用について気になります!裁判所への申立ってやっぱりお高いんでしょう?
家庭裁判所への申立手数料として収入印紙800円分が必要です。
連絡用の郵便切手もあらかじめいくらか渡しておく必要があります。
84円切手5枚程度と言われることが多いですが、中には10枚以上渡さなければいけない場合もあります。
それほど高くないんですね~。
じゃあ期間はどれくらいかかるんでしょうか?
申立から面談呼出しまでが長くて一か月程度、面談から許可・不許可の通知までが長くて2週間程度と言われています。
これはかなり長い場合の話で、実際は申立から結果通知まで2~3週間程度の場合が多い印象ですね。
十分な理由と根拠があれば、面談してその日に改名許可されることも少なくありません。
こちらも意外にかからないんですね。
スムーズに進めばいいなぁ。
改名が許可されたら役所へ届出!
二つ目の??について。
裁判所で無事に改名が許可されたら、お次はどうすれば?
改名の手続きを完了させるためには、本籍地か住所地の役所に届出をして、戸籍名を書きかえる必要があります。
裁判所が許可したからと言って、自動的に戸籍が変わるわけではないので注意しましょう。
役所への届出には、裁判所から受け取った改名許可の書面(審判書謄本)が必要になります。
役所で改名の届出が受理されたら手続きは完了ですね。
下に流れをざっとまとめておきました。
①家庭裁判所 | ②役所 | |
---|---|---|
手続き | 審査 | 届出 |
費用 | 収入印紙800円+郵便費用 | 不要 |
改名Q&A
特に多く寄せられる質問にまとめて答えてもらっちゃいましょう。
親や子供の実名報道を理由に名前を変更できる?
それのみを理由に直ちに改名、というのはかなり難しいですね。
実名報道を理由に申請するなら、客観的に見て、現実に社会生活に支障をきたす、大きな不利益を被っている、ということを証明する必要があります。
名前の読み方だけ変更できる?漢字だけの変更は?
どちらも可能です。
ただし、読まれづらいことを理由に改名申請したのに、改名後も読みにくい名前、といった場合は許可される可能性が下がるでしょうね。
届出先は近くの市役所でもOK?
改名手続き実践解説【5STEP】
ここからは改名手続きの手順を、調査員の実践や寄せられた体験談をもとにまとめた内容になります。
実体験や実物の書面が載っていますので、これから改名したい方はぜひマネしてみてくださいね^^
①必要書類を用意
改名の申請に必要な書類は、
名の変更許可申立書
申立人の戸籍謄本
変更理由の証拠資料
(代理人がいる場合は)委任状
になります。
詳しくは、このページ内の『改名許可申請の必要書類は?申請書の用意はこちらから』をご覧ください。
名称 | 入手場所 | |
---|---|---|
必須の書類 | 名の変更許可申立書 戸籍謄本(申立人のもの) | 裁判所窓口or裁判所HP 役所の戸籍課 |
必要に応じて | 委任状(代理人申請の場合) その他の資料 | 申立人と代理人間で用意 資料の種類による |
②費用を確認
家庭裁判所への改名申立てに必要な費用は
① 収入印紙800円分
② 郵便切手数枚
になります。
郵便切手の数は家庭裁判所によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。
東京家庭裁判所では84円×4枚、10円×4枚でしたが、地域によっては84円十数枚というところもあるようです…
戸籍謄本などの事前準備もあわせて、実際はもう少し費用がかかりますが、受付窓口で収めるのは①②の2種類です。
収入印紙 | 切手 | |
---|---|---|
名の変更 | 800円 | 84円×4枚 10円×4枚 |
氏の変更 | 800円 | 84円×4枚 10円×4枚 |
③家庭裁判所に申立て
東京家庭裁判所の実例
申立書が記入済であれば、まっすぐ1階の家事事件受付に行きます。
受付入口に発券機がありますので、番号カードを取って順番を待ちます。
申立書が未記入の場合や、記入方法が分からない場合は、まず家事手続案内室に行きます。
こちらも入口付近に発券機がありますので、番号カードを取って順番を待ちます。
申立書の記入が終わったら、家事事件受付に行く流れです。
申立書記入済 | 申立書未記入 | |
---|---|---|
まずは | 家事事件受付 | 家事手続案内室 |
次は | なし | 家事事件受付 |
④申立て受付後の流れ
改名申立て受付後の流れは、大まかに4種類に分かれます。
裁判官の審判(呼出)
参与員の予備審問(呼出)
書面照会(郵送)
提出書類のみで済む
長くても10日~2週間くらいで連絡が来ますが、許可・却下が明らかな場合はもっと早く連絡がくる場合もあります。
基本的にどの場合も連絡は郵送書面で来ますので、不明点があれば担当係に電話で問合せしてみましょう。
担当係の連絡先は、申立書受付後に貰える受付カードに書かれています。
『参与員』というのは聞きなれない名前だと思いますが、裁判所ホームページには↓のような説明があります。
<参与員>
参与員は,家庭裁判所で行われる,名の変更,戸籍訂正,未成年者の養子縁組などの家事審判事件の手続の際に,審判に立ち会ったり,あらかじめ提出された書類を閲読したりして,裁判官が判断をするのに参考となる意見を述べます(家事事件手続法第40条第1項)。…
選任されるための特別な資格などは必要ではなく,人望があって,社会人としての健全な良識のある人から選ばれています。例えば,弁護士,公認会計士,不動産鑑定士などの専門的な資格のある人や大学教授のほか,地域社会に密着していろいろな活動をしてきた人など,豊富な社会経験のある人たちが事件の性質に応じて選任されています。
出典:http://www.courts.go.jp/saiban/zinbutu/sanyoin/index.html
参与員とは、社会的信用と良識がある裁判所外の人の中から選ばれる非常勤職員という立場の人たちなんですね。
流れ | 方法 | |
---|---|---|
① | 裁判官による審判 | 呼び出し |
② | 参与員による予備審問 | 呼び出し |
③ | 書面での照会 | 書面郵送 |
④ | 提出書類のみで許可 | なし |
⑤改名許可証を受け取る
晴れて裁判所から改名の許可が下りれば、改名許可証(審判書謄本)の交付が受けられるようになります。
審判書謄本交付申請書を裁判所に提出し、後日に送達を受ける流れになります。
改名許可証は役所への届出の際に提出する必要があるので、必要な部数を請求しておきましょう。
【その後は?】役所への届出
裁判所の改名許可が下りても、自動的に戸籍などの名前が切り替わるわけではありません。
戸籍の名前を変更するためには、自分で役所へ届け出る必要があります。
名の変更届という書類と、裁判所から交付された改名許可証(審判所謄本)を提出します。
『名の変更届』の書式は各自治体により異なるので、各サイトか実際の窓口で確認してください
名前の変更Q&A
改名が認められる基準は?
結論から言うと、改名が認められる基準は時代や裁判官個人によって変わるというのが実状です。
改名には正当な事由が必要であると定められていますが、この正当な事由にはいくつか種類があります。
正当な事由によつて名を変更しようとする者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。
出典:戸籍法 第107条の2
条文にはただ『正当な事由』としか書かれていませんが、実際の申立書を見てみると
① 奇妙な名である
② 難しい字で読まれづらい
③ 同姓同名の人がいて不便
④ 異性に間違われやすい
⑤ 外国人と間違われやすい
⑥神官・僧侶となった(または辞めた)
⑦通称として永年使っている名前に変えたい
⑧その他
これら8通りの理由が挙げられています。
実名報道を受けての改名申立ての場合は、⑧その他で
『申立人本人が前科/逮捕の実名報道をされ、社会生活/社会復帰が困難であるため』
といった理由になります。
上の①~⑧を理由に改名申立てをすること自体は誰でも可能ですが、もちろん誰でも名の変更が認められるわけではありません。
今の名前で本人が被っている不便の程度が、改名の正当な事由とまで言えるか、という程度の判断を裁判所が行います。
程度の判断は、その時の情勢・世論に影響されますし、技術の発達なども関わってきます。
さらには、裁判官個人の考えによっても左右されます。
明らかに改名が認められるべきケースはともかく、改名が認められるか微妙なケースの場合、タイミングと運も重要になってくると言えます。
改名の正当な事由と判例については、このページの前半部分を参考にしてみてください。
申立書はどこに提出?
改名は家庭裁判所の家事部が担当します。
提出する窓口は、東京家裁であれば家事事件受付という、1階の入ってすぐの窓口になります。
受付時間は8:30~17:00ですが、12:00~13:00は昼休みなので要注意です。
申立書を用意したら、発券機で番号札を取って、近くのソファで番号が呼ばれるのを待つ流れです。
他の地域だと家事受付や家事申立受付といった名称になっている場合もあります。
不安な方は、自分が行く家庭裁判所の家事部に、事前に窓口の名前を問い合わせてみるといいでしょう。
こちらのリンクから、管轄地域の家庭裁判所窓口が分かります。
受付窓口でかかる時間・聴かれる内容は?
受付窓口ではおおよそ10~15分程度の時間がかかります。
書類のチェック → 内容の簡単な聴き取り → 印紙・切手受領 → 受付カード発行という流れになります。
印紙・切手は金額が決まっているので、あらかじめ用意しておくとスムーズです。
窓口では、書類の記載に不備が無いかのチェックと、改名理由の聴き取りをされますが、簡単なものになります。
<要確認>
受付窓口の人は、基本的に必要最低限の内容が書かれているかチェックするだけ。
詳しい申立て理由などは、窓口で説明しても審判担当に伝わるとは限らない。
事情が込み入っている場合などは、事実関係や資料の説明をしっかり書面に起こして補足資料として渡した方が良い。
親切な受付であれば、色々聴いて審判担当に伝えようとしてくれることも。
受付後にかかる期間は?
受付で申立書を提出し受付カードをもらったら、受付手続きは完了です。
その後は大体10日~2週間程度で裁判所から連絡がきます。
最初の書面だけですんなり認められればいいですが、審判などでさらに期間がかかる場合もあります。
審判の結果は、当日すぐに出ることもあり、早い時期に分かることが多いようです。
受付カードとは?
受付カードとは、改名の申立てを裁判所が受け付けたことを示す書面のことです。
担当係とその連絡先が記載されています。
無くしたり汚したりしないように、改名許可が出るまではしっかり保管してください。
<内容>
事件番号:平成○○年(家)第○○○号
担当係:家事部第○部○係
受付年月日:平成○○年○月○日
参考用に下に実物を貼っておきます。
申立て記録は誰かに見られる?
家庭裁判所には改名申立の記録が残りますが、個人情報保護のため第三者に見られることはありません。
裁判所に問い合わせられて改名履歴がバレる、ということは無いようですね。
一方で、役所に届出た後の戸籍謄本では、改名履歴を確認することが可能です。
戸籍謄本は誰でも見られる物ではないので、本人が知らない間に第三者に知られる可能性は低いです。
ただし、職場に戸籍謄本の提出を求められた場合などは、改名履歴がバレる可能性があります。
申立て記録 | 戸籍謄本 | |
---|---|---|
改名履歴 | 残る | 残る |
第三者 | 見られない | 勝手に見られる 恐れは低い |
読み方の変更は?
家庭裁判所への改名申立ての対象になるのは、文字の変更のみです。
裁判所に提出する申立書の2ページ目に、旧名と新名を記載しますが、ここには読み方を記入する必要はありません。
読みの変更は、家裁で改名許可を得てから、役所に改名の届出をする際に行います。
役所に提出する名の変更届には、変更後の読み方を記入する欄があります。
文字変更 | 読み変更 | |
---|---|---|
家裁 | 変更申立 | 無関係 |
役所 | 変更届出 | 変更届出 |
審判は誰が行く?
裁判所から審判や予備審問の呼び出しがあった場合、必ず本人が行く必要があります。
場合によっては代理人の付添が認められますので、必要な方は担当係に問い合わせてみましょう。
本人不在、代理人のみの審判は認められません。
審判 | 予備審問 | |
---|---|---|
本人のみ | 可 | 可 |
本人&代理人 | 可の場合あり | 可の場合あり |
代理人のみ | 不可 | 不可 |
未成年と成人の違いは?
改名の申立てにも未成年と成人で違いがあるのでしょうか?
正解は申立人(=名前が変わる本人)が15歳以上と15歳未満で違いがある、です。
15歳以上と未満での大きな違いは法定代理人の有無です。
申立人が15歳以上であれば、本人が直接改名を申立てることができます。
一方、申立人が15歳未満であれば、本人の法定代理人(親権者等)による申立てが必要です。
こちらの資料の『申立人について』を抜粋すると、
”申立人は名を変更しようとする本人です。
その申立人が15歳未満のときには,法定代理人(親権者等)が代わって申立てをすることになります。”
とありますね。
15歳以上の場合と15歳未満の場合の、申立書記入例は↓の裁判所サイトから確認できます。
まとめ
いかがでしたか?
アトム法律事務所の弁護士にこっそり教えて貰ったんですが、近頃は個人情報保護の観点から、戸籍や氏名の取り扱いが非常に慎重になっているみたいです。
通称を永年使用しているという実績作りも、今後ハードルが上がっていくことが予想されます。
一日も早く元の社会生活に復帰するために、改名手続きのお悩みはすぐに専門家に相談してください。
このサイト内には他にも刑事事件や実名報道でお悩みの方に向けた記事が用意されていますので、下の関連記事などを参考にしてみてくださいね。
それでは、悩めるあなたと専門家との間に、良い出会いがありますように(^^)