万引きで微罪処分を受けたらその後はどうなる?|微罪処分の意味や要件を解説
家族が万引きで逮捕された…!
今後の人生はどうなるのか、考えると不安でたまらないと思います。
そこで、万引きについて気になる話題をぎゅっとつめた特集記事をおとどけします。
ポイント
- 万引きは微罪処分でおわる?
- 万引きで逮捕その後の流れとは
- 万引きは現行犯逮捕?それとも後日逮捕?
このような内容に焦点をあてつつ、万引きについての理解を深めていきましょう。
万引きなどを専門的にあつかう刑事弁護の専門家に解説をお願いしています。
アトム法律事務所の弁護士です。
目次
万引きの微罪処分とは?
突然ですが…
微罪処分って何のことかご存知ですか?
聞いたことある方、聞いたことない方、どちらもいらっしゃると思います。
この微罪処分という言葉、万引きとは深い関係にあるんです。
微罪処分とはどんな意味で、実際のところはどうなんでしょうか。
ここからは…
- 微罪処分の意味
- 万引きは微罪処分になるのか
という2点を解説していきます。
1.微罪処分ならどうなるの?意味を解説!
微罪処分について、こんなニュースを見つけました。
大阪府で、65歳以上の高齢者の万引きが増えている。(略)
逮捕、書類送検に、被害が少額などの理由から口頭注意で済ませる微罪処分も含めると延べ3966人で、うち高齢者は約35%の延べ1406人だった。(略)
出典:朝日新聞(2017年2月24日15時28分)
大阪府では、高齢者の万引き事件が増加傾向にあるというニュースです。
逮捕や書類送検などという言葉がありますが、「微罪処分」に注目です。
万引きでは、微罪処分がくだされることがあるようです。
微罪処分がくだされたらどうなるんでしょうか?
では、そもそも微罪処分とはどういう意味なのか解説します。
法律の用語辞典を参照してみます。
犯罪事実が極めて軽微であり、検察官によって送致の手続をとる必要がない旨あらかじめ指定されたもの(捜査規範一九八等)について、司法警察員が送致をしないこと。
出典:有斐閣 法律用語辞典 第4版
警察官が、犯罪の疑いのある被疑者を逮捕すると…
48時間以内に、検察官に送致する手続きをしなければならないと定められています。
ですが、微罪処分となれば検察官に送致されることはありません。
微罪処分
軽微な犯罪なら、検察官に送致しない判断を警察官くだすこと
通常の刑事手続きの流れは、警察官が逮捕したあと検察官に事件を引き継ぎます。
引き継いだ検察官が、起訴するか・不起訴にするかを検討する流れになっています。
一方で、微罪処分は警察の段階で事件捜査が終了します。
万引きといった窃盗事件では、微罪処分となることが多くあります。
微罪処分の条件
犯罪事実が極めて軽微
かつ
検察官が指定した事件
などこのような条件を満たす事件であれば、微罪処分として処理される事件もあります。
微罪処分の事件は、月に一度「微罪処分事件報告書」にまとめて警察から検察官に報告されます。
検察官への報告は、あくまで報告であって送致とは異なります。
微罪処分の判断がくだされると、警察から犯した事件の重大さをさとされます。
微罪処分になると、被疑者は
- ① 厳重注意をうける
- ② 親権者や監督者など身元引受人が呼び出され、今後も見守るよう注意される
- ③ 被害者への被害弁償、謝罪、示談などに努めるようにうながされる
微罪処分がくだされたとしても、犯してしまった過ちについては自ら十分に反省する必要があります。
2.万引きの初犯は微罪処分で終了?実刑なし?
微罪処分になったらどうなるのか、ということがお分かりいただけたと思います。
では、万引きの初犯の場合、警察の判断はどうなるのでしょうか?
万引きについての警察や検察の実務としては、次のようになることが多いそうです。
1回目(初犯)
微罪処分:警察の捜査段階で終了
↓
2回目(再犯)
起訴猶予:検察官の不起訴処分
↓
3回目
罰金刑:検察官の略式請求
1回目からの万引きが、よっぽど悪質な犯行でなければこのような処分がくだされることが多いようです。
微罪処分や不起訴で事件を終了させられれば、絶対に前科はつきません。
警察にお世話になったり、逮捕されるだけで前科がついてしまうと勘違いされることが多いです。
いわゆる前科とは、刑事裁判で「有罪判決」を受けた過去のことを意味します。
つまり、裁判にさえならなければ前科がつく可能性はありません。
万引き事件において微罪処分で事件が終了となるには、
- 初犯である
- 素行不良ではない
- 被害金額が少なく、被害回復がされている
このような場合であれば、微罪処分になる可能性が高いです。
たとえ、検察官に送致されたとしても不起訴処分となる可能性も残っています。
そのためには、被害者との示談があれば安心です。
「初犯」だからといって、何もせず微罪処分となるわけではありません。
きちんと反省し、示談によって被害者への被害弁償などをすることが大切です。
万引きで示談するならこちら
万引きで逮捕!その後の流れはどうなる?
【図解】万引きの逮捕から勾留、起訴までの流れ
万引き「逮捕の流れ」図を確認
ここからは万引き事件での逮捕後の流れを解説していきます。
流れがどうなるのか、あらかじめ理解しておけばすこし安心できます。
まずは、こちらの図をごらんください。
微罪処分ではとどまらず、裁判で判決が言い渡されるまでの図です。
手続きの流れがどうなるかのイメージはついたと思います。
では、万引き事件の逮捕についてさらに深く探っていきます。
逮捕
万引き事件で警察官に逮捕されると、警察署での取り調べがおこなわれます。 そのあと、「48時間以内」に検察官に送致されます。 |
検察官に送致されないときは、釈放されます。
↓
送致
検察官に送致されると、検察官による万引き事件の取り調べがおこなわれます。 検察官は取り調べの結果によって、 ・裁判官に勾留請求する ・起訴する ・釈放する 検察官によっていずれかの判断がくだされます。 |
↓
勾留
勾留が決定すると「10日間」、留置場で生活することになります。 |
↓
勾留延長
さらに継続して万引き事件を捜査する必要があれば「最長で10日間」勾留が延長されます。 |
↓
起訴
万引き事件を捜査した結果、起訴されれば約1か月後に刑事裁判が開かれます。 |
保釈が認められなければ、万引き事件の裁判が終了するまで勾留されつづけることになります。
↓
刑事裁判
公開の法廷で、万引き事件の審理がおこなわれる。 |
↓
判決
審理が終了すると、万引き事件の有罪か無罪かの判決が言い渡されます。 |
万引き事件での逮捕から勾留、裁判まではこのような流れですすみます。
逮捕の流れについての動画も用意しました。
1分程度にまとめられているので、ぜひ参考にごらんください。
逮捕からの流れについてさらにくわしくはこちらをご覧ください。
【基礎】万引きの意味と刑罰
逮捕後の流れについて確認してきました。
ここからは「万引き」そのものについての理解を深めていきましょう。
万引きという言葉が独り歩きしていますが、万引きは刑法の窃盗罪にあたる犯罪です。
万引きの場合、商品の代金を支払わずに、お店の商品を持ち去ることですよね。
窃盗罪は、他人の財物を窃取する行為として規定されています。
窃取とは
他人の占有する財物を、占有者の意思に反して自己または第三者の占有下に移転する行為
代金を支払わずに商品を持ち去る万引き行為は、窃盗罪に該当します。
万引きというと、ちょっとしたルール違反くらいの意識しかなかったかもしれませんね。
万引きは、法律で定義され処罰の対象となる犯罪行為であることが分かりました。
では、万引き事件で起訴され刑事裁判になったら、刑罰はどうなるのでしょうか?
実際に、万引き事件で判決が言い渡されたニュースを見つけました。
こちらをごらんください。
コンビニエンスストアで化粧品や食品などを万引したとして、窃盗の罪に問われた陸上の世界選手権女子マラソンの元代表(略)に、宇都宮地裁足利支部は8日、懲役1年、執行猶予3年(求刑懲役1年)の判決を言い渡した。(略)
出典:サンスポ(2017.11.8 18:50)
マラソンの元代表選手が万引きし、「懲役1年、執行猶予3年」の判決が言い渡されたというニュースです。
万引き事件をおこして、懲役刑になることもあるんですね。
窃盗罪の条文を確認しておきましょう。
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
出典:刑法第235条
「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」とあります。
窃盗罪の刑罰について補足しておきます。
10年以下の懲役にも、50万円以下の罰金にも、それぞれ最低ラインがもうけられています。
懲役
- 最短1ケ月
- 最長10年
罰金
- 最低1万円
- 最高50万円
このような範囲で、万引き(窃盗罪)の刑罰が決められることになります。
執行猶予付きの判決が言い渡されれば、すぐさま刑務所に入ることはありません。
まとめ
万引きの刑罰
懲役 | 罰金 | |
---|---|---|
窃盗罪 | 10年以下 | 50万円以下 |
万引きの意味や刑期のくわしい記事はこちら
万引きで現行犯逮捕!後日逮捕だとどうなる?
万引きで逮捕された後の流れがどうなるのかについて解説してきました。
では、そもそも逮捕されるタイミングっていつなんでしょうか?
- 万引きの犯行中に逮捕?
- 万引きの犯行直後に逮捕?
- 万引きの犯行から後日に逮捕?
逮捕には、3つの種類があります。
逮捕の種類
- ① 現行犯逮捕
- ② 後日逮捕(通常逮捕)
- ③ 緊急逮捕
こちらが逮捕の3つの種類です。
実際におこなわれる逮捕のうち、緊急逮捕のケースはあまり多くはないそうです。
なので、ここからは多くの事件でおこなわれる後日逮捕と現行犯逮捕について解説をはじめます。
①万引きの現行犯逮捕はどうなる?
万引きをすると、店を出た瞬間に店員などに捕まるという印象が強いように思います。
いわゆる現行犯逮捕ですね。
犯行の現場で逮捕されるイメージだと思います。
では、現行犯逮捕されたらどうなるのでしょうか?
ここからは、「現行犯逮捕」について解説していきます。
こちらの図をごらんください。
現行犯逮捕はこの図のように、事件の発生時に逮捕がおこなわれています。
現行犯逮捕とは、どんな意味なのでしょうか。
現行犯逮捕
犯行中あるいは犯行直後、逮捕状なしに逮捕できる。
現行犯逮捕は、警察官など捜査機関以外でも犯行を目撃したような一般市民でも逮捕できる。
逮捕は、逮捕状にもとづくことが原則です。
しかし、例外として現行犯逮捕は逮捕状なしで逮捕することができます。
刑事訴訟法に規定されています。
現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。
出典:刑事訴訟法第213条
「逮捕状なくして」とかかれています。
そして、もう一つ現行犯逮捕のポイントとなるのが「何人でも」という点です。
万引きは、店の店員だったり、万引きGメンといわれるような人に逮捕されている印象が強いです。
彼らは、警察官でもなんでもなくただの一般人です。
でも、「現行犯人」であれば誰でも逮捕することができるんです。
逮捕の根拠となる逮捕状を請求できるのは、警察などの捜査機関のみです。
つまり、一般人(私人)は逮捕状をもつことがないので、警察がおこなうような通常の逮捕はできません。
しかし、その例外となるのが現行犯逮捕です。
現行犯逮捕は、犯罪が明らかな場合のみ認められています。
現行犯逮捕のケース
- 商品をポケットに入れた
- 清算済みの商品のなかに、未払いの商品をまぎれ込ませて店をでた
このような場合を目撃したのであれば、誰でも逮捕することができます。
私人が現行犯逮捕したあとは、すみやかに現行犯人を捜査機関に引き渡す義務があります。
万引きの現行犯逮捕についてのレポートでした。
店員や万引きGメンが逮捕できる意味がお分かりいただけたと思います。
では、万引きは現行犯逮捕だけでしか逮捕されることはないのでしょうか?
つぎからは、万引きでの後日逮捕についてせまっていきたいと思います。
②万引きの後日逮捕はどうなる?
万引きで後日逮捕されることはあるのでしょうか?
そもそも、後日逮捕ってどういう意味なんでしょうか。
まずは、こちらの図をごらんください。
事件が発生している現場から、犯人が逃走しています。
事件発生の後日に逮捕されることから、後日逮捕と呼ばれているんですが…
法律の用語としては、「通常逮捕」といいます。
後日逮捕
事件発生から後日、逮捕状にもとづいておこなう逮捕のこと。
後日逮捕は、警察官といった捜査機関によっておこなわれる。
現行犯逮捕とちがい、原則的におこなわれる逮捕は「逮捕状」にもとづいている必要があります。
刑事ドラマなんかで、「早く逮捕状をとってこい!」と先輩刑事が指示しているシーンをみたことあると思います。
この「人を拘束してもよい権限」を認める令状(許可状)がなければ、人を逮捕することはできません。
事件捜査の一環でおこなう逮捕は、法律で規定されています。
刑事訴訟法を確認してみましょう。
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。
出典:刑事訴訟法第199条1項
現行犯逮捕や緊急逮捕の場合をのぞいて、逮捕状なしの逮捕は「逮捕罪」という違法行為になります。
逮捕は人の身体を拘束し自由を奪うわけですから、人権を侵害しています。
逮捕してよい相当な理由がなければ逮捕されることはありません。
逮捕状は、警察官や検察官の請求によって裁判官が発付するものです。
犯人を特定できるだけの一定の証拠にもとづいて、逮捕状の請求される必要があります。
一定の証拠を入手するために要する期間は、事件の内容によってさまざまです。
軽微な万引きの場合は、逮捕状まで発付されることは稀です。
在宅事件として捜査がすすめられることが多いでしょう。
もっとも、悪質な万引きの場合は、防犯カメラなどの証拠に基づいて後日逮捕される可能性があります。
現代では、防犯カメラが普及しています。
映像に万引きの瞬間が写りこんでいて、身元が特定されれば後日逮捕されることも可能性としてはあるでしょう。
まとめ
現行犯逮捕と後日逮捕の違い
現行犯逮捕 | 後日逮捕 | |
---|---|---|
逮捕のタイミング | 犯行中・犯行直後 | 事件発生から後日 |
逮捕できる人 | だれでも | 捜査機関 |
逮捕状 | 不要 | 必要 |
窃盗罪と逮捕の関係については『窃盗罪は現行犯以外で逮捕されない?|警察に逮捕された後の流れも解説』で詳しく説明しているので、是非ご覧ください。
また、現行犯逮捕と後日逮捕の記事は『逮捕されたくない人必見の正しい対処法|条件を知れば怖くない』にまとめています。
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