痴漢は〇〇%検挙される?検挙率と検挙数の推移を、日本の犯罪白書から大調査!
痴漢ってどのくらい検挙されるんだろう…
そんな疑問をお持ちの方のために、痴漢の検挙率について調査してみました。
日本の犯罪白書から、検挙数の推移もチェックしていきます。
東京の路線でもよく聞く痴漢。
痴漢とはどんな犯罪なのか、検挙の意味にも触れながらお伝えしていきます。
法的な解説を、テレビでもおなじみのアトム法律事務所の弁護士にお願いしていきます。
よろしくお願いします。
痴漢は日々検挙される、数が多い事件です。
痴漢独自のデータにも触れながら、痴漢と検挙について解説していきます。
目次
よくニュースでも報道される、痴漢事件。
一体どの程度警察に検挙されているのでしょうか。
詳しいデータと共に、検証していきたいと思います。
検挙率の意味と、痴漢の基礎についてチェック!
検挙率とはどんな意味?
まずは検挙の意味についてお伝えしましょう。
摘発や逮捕とは異なる概念です。
犯人と特定されることが「検挙」なのですから、身柄が拘束される逮捕とは異なります。
たとえばニュースではこんなふうに「検挙」という言葉が使われます。
東京都内で乗用車を運転中に速度超過で検挙された(略)男性職員を減給10分の1(1カ月)の懲戒処分にしたと発表した。
出典:産経ニュース 2017.12.7 07:04
この記事ですと、速度超過の犯人と特定されたことは分かりますが、その後逮捕されたかは分かりません。
検挙と逮捕には、このような違いがあります。
他にも似た概念として、摘発、確保、送検等という言葉があります。
それらの意味・違いなどについては、下の記事をご覧ください。
次に、認知件数という情報も大切です。
検挙率を計算するために、「認知件数」を使うためです。
認知の定義について確認しておきましょう。
痴漢では、被害者がその場で取り押さえることで、認知されることも多そうです。
この認知件数を使って、以下のような計算をしていきます。
計算方法
検挙率=検挙件数÷認知件数
この検挙率が高いほど、警察によって被疑者が特定されているということです。
痴漢や、それ以外の刑法犯の場合、どの程度の確率で特定されるのでしょう。
痴漢って何罪で検挙される?
そもそも痴漢罪という犯罪はありません。
刑事事件としては、何罪として検挙されると思いますか?
迷惑行為防止条例は全ての都道府県が各々で制定しています。
たとえば大阪ですと、人に恥ずかしい思いをさせたり、人を不安にさせる方法で、公共の場所や乗物で衣服等の上から、又は直接人の身体に触れることが禁止されています。
電車内で女性巡査長(32)に痴漢行為をしたとして、(略)府迷惑防止条例違反(卑わいな言動)の疑いで(略)現行犯逮捕した。
出典:産経WEST 2017.11.28 13:16
また、態様によっては強制わいせつ罪が成立する可能性もあります。
十三歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
出典:改正前刑法176条
もっとも、痴漢行為がわいせつな行為と評価されるかはケースバイケース。
その点も踏まえ、痴漢が何罪となるかの詳細は以下の記事に記載してあります。
詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。
なお、2023年7月13日、性犯罪の規定を見直す改正刑法が施行されました。
法改正により、強制わいせつ罪と準強制わいせつ罪は不同意わいせつ罪という新たな犯罪として統合されます。
刑法改正後は、痴漢行為について不同意わいせつ罪で検挙される可能性があります。
では、痴漢の検挙率を考えていく前に、刑法犯全体の検挙率推移を見ていきましょう。
まず全体の検挙率を知ることで、痴漢の特殊性が浮かび上がってくるはずです。
日本の犯罪白書フル活用!刑法犯全体の検挙率推移を検証!
刑法犯とは、刑法に規定されている犯罪です。
その全体の傾向を見てみましょう。
2016年
まず、全刑法犯の認知件数は996,120件でした。
そのうち、検挙された件数は337,066件。
ここから2016年の検挙率を計算してみましょう。
すると…
2016年 | 数値 |
---|---|
認知件数 | 996,120件 |
検挙件数 | 337,066件 |
検挙率 | 33.8% |
33.8%となりました。
認知された件数のうち、約3件に1件が検挙されています。
この水準が2016年だけではないかを確認するために、過去10年間の検挙率推移もみてみましょう。
西暦 | 検挙率 |
---|---|
2007年 | 31.7% |
2008年 | 31.4% |
2009年 | 31.8% |
2010年 | 31.0% |
2011年 | 30.8% |
2012年 | 31.2% |
2013年 | 30.0% |
2014年 | 30.6% |
2015年 | 32.5% |
2016年 | 33.8% |
全体を通して約30%程度でした。
10年間同じ程度の検挙率ということが分かります。
注意
ですが、一つご注意いただきたいポイントがあります。
下の検挙率は、「窃盗罪を除いた」刑法犯の推移です。
全体の検挙率と比べながらご覧ください。
西暦 | 検挙率 |
---|---|
2007年 | 43.9% |
2008年 | 43.4% |
2009年 | 45.1% |
2010年 | 45.3% |
2011年 | 44.7% |
2012年 | 43.9% |
2013年 | 41.9% |
2014年 | 43.0% |
2015年 | 45.1% |
2016年 | 47.0% |
大きく異なるのが分かりますね。
実は窃盗罪はとても件数が多い犯罪。
2016年だけでいっても、全刑法犯の約72.6%が窃盗罪となっています。
以上から考えると、
刑法犯の一般的な検挙率は40%以上
といえるでしょう。
では…
痴漢の検挙率は全体と比較するとどのような特徴があるのでしょう。
残念ながら、条例違反事件の検挙率は公表されていませんでした。
ですが、強制わいせつ罪についての統計を発見しましたので、次章でご紹介していきたいと思います。
東京や福岡でも多発!痴漢の検挙件数と特殊性。
強制わいせつ罪の検挙率
強制わいせつ罪の検挙率について見ていきましょう。
まずは2016年の統計からです。
強制わいせつ罪の認知件数は6,188件でした。
そのうち、検挙された件数は4,207件です。
ここから検挙率を計算してみましょう。
2016年 | 数値 |
---|---|
認知件数 | 6,188件 |
検挙件数 | 4,207件 |
検挙率 | 67.99% |
67.99%となりました。
窃盗罪を除いた刑法犯全体の検挙率が47.0%であることを考えると、とても高い検挙率といえます。
高い検挙率という傾向は2015年でも同様だったのでしょうか。
2015年
2015年において、強制わいせつ罪の認知件数は6,755件でした。
一方、そのうちで検挙された件数は4,129件となりました。
ここから同様に計算していくと…
2015年 | 数値 |
---|---|
認知件数 | 6,755件 |
検挙件数 | 4,129件 |
検挙率 | 61.13% |
これも61.13%と同じ水準となりました。
では、ここからは過去10年間の検挙率だけを一気にみていきましょう!
西暦 | 検挙率 |
---|---|
2007年 | 46.22% |
2008年 | 49.81% |
2009年 | 53.00% |
2010年 | 51.46% |
2011年 | 51.23% |
2012年 | 53.90% |
2013年 | 51.83% |
2014年 | 58.11% |
2015年 | 61.13% |
2016年 | 67.99% |
この表からは、過去10年にわたって検挙率が増加し続けていることが分かりますね。
強制わいせつとして認知された件数の2件に1件は検挙されているということがいえました。
注意
ただし、この検挙率は痴漢以外の強制わいせつ罪も含んでいます。
そのため、痴漢に限った場合は異なる数値となる可能性がある点にご注意ください。
電車内で痴漢!強制わいせつ罪で認知された件数。
以上のように、強制わいせつ罪の統計における検挙率は痴漢に限られていません。
しかし2015年の犯罪白書に、2014年以前の統計データが掲載されていました。
そのデータは、電車内で痴漢をし、強制わいせつ罪として認知された件数です。
一つの参考として、強制わいせつ罪全体の認知件数と共に表にしました。
西暦 | 電車内で痴漢 | 強制わいせつ罪全体 |
---|---|---|
2007年 | 438件 | 7,664件 |
2008年 | 413件 | 7,137件 |
2009年 | 340件 | 6,723件 |
2010年 | 302件 | 7,068件 |
2011年 | 298件 | 6,929件 |
2012年 | 318件 | 7,321件 |
2013年 | 303件 | 7,654件 |
2014年 | 283件 | 7,400件 |
ここからは、電車内での痴漢が全体に占める割合は少ないということが分かります。
そのため、強制わいせつ罪全体の検挙率が、痴漢の検挙率と同様とは言い切れません。
検挙されるか不安な場合は、専門家である弁護士に相談することが大切です。
痴漢で迷惑防止条例違反として検挙された件数から考察!
最後に、2015年の犯罪白書では、2014年以前に痴漢で迷惑防止条例違反とされた検挙数が掲載されていました。
この数値についてもお伝えしていきます。
また、比較のために「強制わいせつ罪全体における検挙件数」もお示しします。
西暦 | 条例違反 | 強制わいせつ罪全体 |
---|---|---|
2007年 | 4,515件 | 3,542件 |
2008年 | 4,041件 | 3,555件 |
2009年 | 3,880件 | 3,563件 |
2010年 | 3,686件 | 3,637件 |
2011年 | 3,679件 | 3,550件 |
2012年 | 3,932件 | 3,946件 |
2013年 | 3,583件 | 3,967件 |
2014年 | 3,439件 | 4,300件 |
何と年によっては、
強制わいせつ罪全体よりも、条例違反で検挙さえた痴漢事件の方が多い
ということが分かりました。
ここから考えると以下のことがいえるでしょう。
迷惑防止条例違反の件数は、強制わいせつ罪よりも圧倒的に多い。
痴漢の検挙率を考える上では、条例違反のデータを考えることが大切。
今回の大調査では、条例違反の検挙率を見つけることはできませんでした。
しかし将来統計が公開された場合は、ぜひお伝えしていきたいと思います。
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いかがでしたでしょうか。
痴漢と検挙率について、情報をお届けできたのではないかと思います。
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最後に一言アドバイス
では最後にアトム法律事務所の弁護士からひと言アドバイスをお願いします。
痴漢は犯罪ですから、裁判で有罪となり、刑を科せられる可能性があります。
しかし、早期に弁護士に相談することで、検挙や逮捕、起訴を回避できる可能性があります。
早い時期ほど示談などの「採れる手段」が多いため、痴漢で不安に思われた方はぜひ弁護士にご相談ください。