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保釈のすべて|保釈金、支援協会から保釈の請求、意味・条件まで徹底カバー

  • 保釈とは

皆さん、「保釈」って聞いたことありますか?

保釈されるのはどんな人?

よく聞く「釈放」とはどう違うの?

ここでは、そんな疑問を一つ一つ解消していきましょう!

刑事事件の保釈とは

保釈の意味

保釈制度とは?保釈の定義はなに?

保釈とは、裁判所保釈金を納付することで、裁判が終わるまで一時的に留置場拘置所から釈放される制度をいいます。

保釈が認められるのは、事件が起訴された後に限ります。

逮捕直後や事件が起訴される前は、保釈を請求することができません。

※なお、アメリカでは起訴前であっても保釈を請求することが可能です。この辺りの事情は、各国の法制度によって異なります。

保釈には種類がある?

保釈には、①権利保釈、②職権保釈、③義務的保釈の三種類があります。

権利保釈とは

権利保釈は、被告人の権利として当然に認められるものです。

法律的には必要的保釈といいます。

職権保釈とは

職権保釈は、裁量保釈ともいわれます。

権利保釈が認められない場合であっても、被告人の様々な事情を考慮して、裁判所が保釈を適当と認めるときは、職権保釈が認められます。

義務的保釈とは

義務的保釈とは、勾留による身体拘束が不当に長くなった場合に、裁判所が独自の判断で被告人の保釈を認めるものをいいます。

しかし、実際に適用されることはほとんどないということです。

保釈が認められる条件とは?

保釈が認められる条件は、保釈の種類によって異なります。

以下、保釈の種類に応じて解説します。

権利保釈が認められる条件とは

刑事訴訟法89条は、被告人が以下6要件のいずれにも当てはまらなければ、権利保釈の対象となり、保釈されると規定しています。

(1)被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき

(2)被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき

(3)被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき

(4)被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき

(5)被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき

(6)被告人の氏名又は住所が分からないとき

職権保釈が認められる条件とは

刑事訴訟法90条は、「裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。」と定めています。

権利保釈が認められない6つの場合に当てはまる場合であっても、被告人の様々な事情を考慮して、裁判所が保釈を適当と認めるときは、職権保釈が認められます。

義務的保釈が認められる条件とは

刑事訴訟法91条1項は、「勾留による拘禁が不当に長くなったときは、裁判所は、第八十八条に規定する者の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消し、又は保釈を許さなければならない。」と定めています。

裁判所が、勾留による被告人の身体拘束が不当に長くなったと判断した場合に、独自の判断で被告人を保釈するものです。

※刑事訴訟法88条は、保釈の請求をすることができる人について、規定した条文です。

保釈と釈放はどう違うの?

釈放とは、広く一般的に、逮捕されたあとに留置場や拘置所から釈放されることをいいます。

これに対して、保釈は、逮捕され、事件が起訴されたあとに、保釈の決定にもとづき保釈金を納付して釈放される場合に限られます。

起訴される前に釈放された場合は、単なる釈放ですが、起訴されたあとに保釈金を納付し釈放された場合は、保釈に該当します。

たとえばどんな事件で保釈が認められるか?

詐欺事件で保釈が認められたケース

プライバシー保護されたデータを提供してくれたアトム法律事務所の取り扱い事件から、以下3件のケースを見てみましょう。

①30代の被告人が、健康保険証を偽造して別人になりすまし、携帯電話の販売店で携帯電話やタブレットをだまし取った事件では、保釈金250万円で保釈が認められています。

②40代の被告人が、エステサロンを開業する予定がないのに、開業するかのようによそおい、出資金名目でかねてからの知人である被害者たちから現金200万円をだまし取った事件では、保釈金300万円で保釈が認められています。

③20代の被告人が、共犯者たちと共謀し、外国にあるアパートの売買代金を立て替える名目で、高齢の被害者にパンフレットを送りつけるなどして現金600万円をだまし取った事件では、保釈金1000万円で保釈が認められています。

大麻事件で保釈が認められたケース

同法律事務所の提供データから、以下3件のケースを見てみましょう。

①20代の被告人が、自宅で大麻を数グラムを所持していた事件では、保釈金150万円で保釈が認められています。

②40代の被告人が、仲間と共謀し、仲間の家で、営利目的で、7ヶ月間にわたり大麻草44本をプランターや植木鉢で栽培した事件では、保釈金150万円で保釈が認められています。

③20代の被告人が、駐車場に停車中の自動車内で大麻草を数グラム所持していた事件では、保釈金200万円で保釈が認められています。

覚醒剤・薬物事件で保釈が認められたケース

同法律事務所の提供データから、以下4件のケースを見てみましょう

①50代の被告人が、自宅で覚醒剤の粉をライターで熱して、気化させたものを吸引・使用した事件では、保釈金150万円で保釈が認められています。

②20代の被告人が、自宅で覚醒剤を水に溶かして注射器に入れ、自分の体に注射・使用した事件では、保釈金200万円で保釈が認められています。

③30代の被告人が、路上に駐車中の自動車内で、注射器に入れた覚醒剤を血液で溶かして、自分の体に注射・使用した事件では、保釈金250万円で保釈が認められています。

④30代の被告人が、覚醒剤を加熱し気化させて吸引・使用し、大麻や麻薬であるコカインをも所持していた事件では、保釈金300万円で保釈が認められています。

保釈に関するQA

保釈制度はなんのためにあるの?理由を教えて

そもそも、被告人の身体が起訴後も拘束されるのは、証拠の隠滅を防止し、裁判にちゃんと出廷させるためです。

しかし他方で、長期間被告人の身体を拘束することは、被告人の社会復帰を大いに阻害しかねません。

裁判の結果が出ない限り、推定無罪なのですから、長期間の身体拘束は、被告人にとって大変な不利益です。

会社員ならクビになりかねませんし、自営業なら廃業に追い込まれることもあるでしょう。

このような被告人の不利益を解消するために、保釈制度があるのです。

保釈制度というのは、お金を払って許してもらうわけではありません。

一定のお金を預けて、裁判にはきちんと出廷することを約束したうえで、身体の自由を取り戻すことができる。

これが、保釈の制度なのです。

保釈が認められる率ってどれくらい?

起訴後に勾留されている被告人のうち、保釈が認められて身柄を拘束されなくなった者の割合を保釈率といいます。

裁判所が公表している「司法統計年報」によると、平成17年は12%強だったところ、10年後には26%強と、2倍以上に伸びているのです。

とはいえ、被告人が容疑を否認している以上、証拠隠滅のおそれがあるとして、容易には保釈が認められないのも事実です。

保釈率を伸ばすためには、「どうせ無理だから」と諦めるのではなく、弁護士に頼んで積極的に保釈を請求することが大切です。

保釈請求とは

保釈請求の意味

そもそも保釈請求とは?一体何のこと?

保釈請求とは、裁判所に対して被告人の保釈を求める行為のことです。

保釈請求できるのは、事件が起訴された後に限られます。

また、保釈請求できるのは、被告人本人、被告人の弁護士またはご家族など、被告人と一定の関係にある者に限られます。

起訴から保釈までの大まかな流れとは?

事件が起訴された後、保釈を請求し、これが認められるまでの流れは、以下のとおりです。

保釈の請求

弁護士や被告人本人、または被告人の家族が、裁判所に保釈を請求します。

保釈の決定

裁判所は、検察官の意見を聞いた上で、保釈を決定します。

保釈金の納付

保釈の決定書で指定された保釈金の金額を、裁判所の出納係に納付します。

釈放

保釈金が全額納付されたことが確認されたのち、被告人は留置施設から釈放されます。

午前中に保釈金を納付した場合は、当日の午後には釈放されることになります。

※なお、保釈後は、被告人は自宅など保釈の条件で定められた場所で日常生活を送り、将来の刑事裁判に備えることになります。

どうしたら保釈できるの?保釈請求の方法とは?

保釈は、裁判所に保釈請求書を提出することで可能になります。

保釈請求書を受領した裁判所は、検察官の意見を聞いた上で、保釈を決定するか否かを判断します。

弁護士が裁判官と面談し、保釈の可否や条件などについて裁判官と話し合うこともあります。

保釈請求書とは?どう書くの?

保釈請求書の書き方は、特に法律上の決まりはありません。

保釈の許可決定を促す事実関係を記載し、これらの事実が存在することを証明する証拠を添付して提出するのが一般的です。

自分で保釈請求書を書くのが難しい場合は、弁護士に依頼するのがよいでしょう。

国選弁護士であれば、無料で保釈の請求に対応してもらえます。

私選弁護士の場合も、保釈の請求は弁護士費用の中に含まれているケースがほとんどです。

事件別にみる保釈請求の流れ

横領事件の保釈請求の流れは?

横領事件の保釈請求の流れでポイントとなるのは、被害者との示談の成否です。

罪を認めて、かつ被害者との示談が成立しているケースでは、罪証隠滅や逃亡のおそれが低いと判断され、保釈が認められやすい傾向にあります。

詐欺事件の保釈請求の流れは?

詐欺事件の保釈請求の流れでポイントとなるのは、再逮捕追起訴の予定です。

詐欺事件は組織的または反復継続して行われていることも多く、この点が特に問題になりやすいです。

再逮捕や追起訴が予定されているということは、余罪があるということで、罪証隠滅や逃亡のおそれがあるとして、保釈請求が却下されやすいです。

ストーカー事件の保釈請求の流れは?

ストーカー事件の保釈請求の流れでポイントとなるのは、被害者との示談の成否です。

ストーカー事件は、被害者が嫌がっているにも関わらず、被害者にしつこく付きまとった点が問題となっているトラブルです。

示談が成立する前に被告人を保釈すると、再び被害者につきまとうリスクがあり、保釈の審査においてもこの点が問題になります。

大麻や覚せい剤などの薬物事件の保釈請求の流れは?

大麻や覚せい剤等の薬物事件の保釈請求の流れでポイントとなるのは、共犯者などの関係者との関係です。

薬物の入手経路が明らかになっていない、または争点になっているケースでは、被告人を保釈すると罪証隠滅のリスクが高まります。

保釈の審査においても、この点が考慮されることになります。

保釈請求に関するQA

保釈の誓約書とは?どう書くの?

保釈の誓約書とは、保釈中に逃亡しないなど、保釈の条件を遵守することを約束する書面のことです。

保釈の誓約書を作成するのは、被告人本人です。

保釈の条件を遵守することを誓約する内容の書面に、被告人本人がサインすることで完成します。

保釈の嘆願書って?どう書くの?

保釈の嘆願書とは、被告人の保釈を強く求める旨を内容とする書面のことです。

保釈の嘆願書を作成するのは、被告人のご家族会社関係者のことが多いです。

保釈の嘆願書を作成する人は、同時に保釈の身元引受人になるケースが多いです。

保釈には身元引受人が必要?

身元引受人の存在は、保釈の法的な要件ではないですが、身元引受人がいた方がスムーズに保釈が認められることが多いです。

弁護士が保釈を請求したあと、裁判官から身元引受人を保釈の条件として求められることもあります。

保釈を請求する際は、誰か一人は身元引受人がいた方が安心です。

土日でも保釈してもらえるの?

保釈は、原則として平日に限られます。

土日は、保釈金の納付先である裁判所の出納係が休みで、保釈金を納付することができないからです。

執行猶予中に逮捕された場合も保釈してもらえるの?

執行猶予中に逮捕されたケースでも、保釈が認められる場合があります。

執行猶予中の再犯は、その後の刑事裁判で実刑になる可能性が高いため、保釈が認められる確率は低いですが、一定の条件を満たす場合は、保釈が認められることもあります。

例えば、高齢者による執行猶予中の万引きなどは、比較的この種の事件の中でも保釈が認められやすいといえるでしょう。

即決裁判の場合も保釈ってあるの?

即決裁判の場合も保釈はあります

即決裁判の場合は、起訴されてから14日以内即日で裁判が終了するため、起訴の直後に保釈が認められても、早めに外に出られる期間は10日間ほどになります。

※なお、即決裁判は必ず執行猶予で裁判が終わります。そのため、裁判終了後はそのまま自宅に帰ることが可能です。

保釈請求については『保釈請求の流れ|保釈申請書の提出から釈放までを解説』でも詳しく解説しています。

保釈の流れとは

保釈の請求から決定まで

起訴から保釈請求までの大まかな流れは?

事件が起訴され、起訴状が裁判所に受理されれば、その段階から被告人は保釈を請求することが可能になります。

一日でも早い保釈を希望する場合は、起訴される前から保釈請求書を準備しておき、起訴状が受理された直後に保釈請求書を提出することになります。

※この場合でも、保釈の決定には審理の時間が必要なので、保釈が認められるまでに3日前後かかることが多いです。

保釈はどうやって決定されるの?

保釈請求書を受理した裁判所は、検察官の意見を聞いた上で、保釈を認めるか否かを決定します。

検察官は、被告人・弁護人側からの保釈請求に対して、裁判所に「保釈を認めるべきではない」等の意見を述べます。

弁護士と裁判官の面談が認められたケースでは、弁護士から直接、裁判官に対して「保釈を認めるべきである」等の意見を述べることができます。

裁判官は、保釈を許可する場合は、保釈金の金額やその他の保釈の条件を記載した書面を作成し、被告人側に送付します。

保釈は却下されることもある?その理由は?

保釈は必ず認められるわけではありません。

被告人・弁護士からの保釈の請求に対し、裁判官はこれを却下することがあります。

逃亡や罪証隠滅の可能性が高いなど、保釈を認めることが不適切と判断された場合は、保釈請求は却下されることになります。

保釈の準抗告・特別抗告ってなに?

準抗告特別抗告とは、裁判所や裁判官の決定に対する不服の申立てのことをいいます。

前提として、準抗告特別抗告の意味を押さえましょう。

準抗告とは

刑事訴訟法上、準抗告とは、裁判官のした裁判や、検察官・検察事務官・警察がした処分について、裁判所に取消し又は変更を求める不服申立をいいます。

特別抗告とは

刑事訴訟法上、特別抗告とは、通常の不服申立てができない決定・命令について、憲法違反、憲法解釈の誤り又は判例違反を理由として、最高裁判所にする特別の抗告をいいます。

特別抗告の提起期間は5日です。

保釈の準抗告・特別抗告とは

「保釈の準抗告」とは、保釈請求の却下に対してするものです。

第1回公判期日前に不服申立てを行う場合は準抗告、第1回公判期日よりあとに行う場合は抗告と呼ばれます。

たとえば、起訴から1回目の裁判までの間に保釈請求が却下されて、それに対し不服申立てをしたい場合は、準抗告をすることになります。

「保釈の特別抗告」とは、刑事訴訟法上他に不服を申し立てることができない決定または命令に対して認められる特別の手続で、最高裁判所が管轄しています。

たとえば、保釈請求を却下した裁判官の決定については、地裁に準抗告が可能ですが、準抗告審(地裁)の決定については高裁にさらに不服申し立てをすることはできず、特別抗告のみが許される、ということになります。

保釈が遅れる場合もある?どういう場合?

保釈が遅れる場合は、次のようなケースが考えられます。

保釈の審査に時間を要する場合

保釈を請求したあと、土日祝日をはさんだ場合は、裁判官や検察官の休みの関係で、保釈の審査が遅れることがあります。

また、保釈の条件を調整する関係で、保釈の審査が遅れるケースもあります。

保釈金の納付に時間を要する場合

保釈が許可されても、保釈金の納付が遅れれば、釈放それ自体も遅れることになります。

実際に被告人が釈放されるのは、保釈金を納付した数時間後のケースが多いです。

保釈が許可されても、保釈金が納付されない限り、被告人が釈放されることはありません。

そもそも保釈の決定が出ない場合

そもそも保釈が許可されない場合は、保釈それ自体が遅れます。

再逮捕追起訴が予定されている事件では、起訴直後の保釈は認められないケースが多いです。

また、私たち弁護士としては、裁判官から「保釈は示談が成立したあとでないと許可しない。」等と告げられることもあります。

保釈の決定から保釈中

保釈されたら迎えに来てもらえる?家族としては迎えに行くのが通常?

保釈が許可されれば、あとは保釈金さえ納付すれば、納付から数時間後に留置施設から釈放されます。

この際、釈放先の留置場拘置所まで本人を迎えに行くご家族の方も多いです。

本人を迎えに行く場合は、現地ですれ違いにならないように、担当の弁護士と釈放のスケジュールについて事前打合せしておくことが大切です。

保釈の期間はどれくらい?

保釈の期間は、当該審級の裁判が終わるまでです。

例えば、起訴の直後に保釈されたようなケースでは、第一審の裁判が終わるまで、2か月前後かかることが多いです。

この場合は、この2か月前後保釈されることになります。

第一審の判決が実刑判決の場合は、保釈の効力が失効するので注意が必要です。

※第一審で実刑判決を受けた場合は、保釈中でも、そのまま法廷で収監され、拘置所等に連れて行かれることになります。

保釈中はどうしてたらいいの?

保釈中は、保釈決定の条件に従って生活する必要があります。

一般的には、保釈決定書には、「事件の関係者と接触しない」「裁判にはちゃんと出席する」といった約束事が書かれています。

これらの条件をちゃんと守れば、通勤や通学は自由です。

裁判が終わるまで、通常の日常生活を送ることができます。

保釈中、監視はつくの?旅行に行っても大丈夫?逃亡するとどうなる?

保釈中は原則的に監視がつくことはないので、通常の日常生活を送ることができます。

これに対して、旅行については、保釈の条件で制限されているケースがほとんどです。

保釈許可決定では、通常、保釈の条件として「海外旅行または3日以上の旅行をする場合は、前もって、裁判所に申し出て、許可を受けなければならない」等と規定されています。

この条件に違反して勝手に旅行した場合は、保釈金を没取されるリスクを負います。

逃亡して裁判を欠席した場合も、保釈金を没取されるリスクを負うことになります。

保釈中に逮捕されることはある?

保釈中でも、別件の容疑が固まれば、逮捕されることがあります

保釈される前の事件であっても、逮捕の必要性があれば、保釈中に逮捕されます。

もちろん、保釈中に新たな犯罪を犯した場合は、その新しい犯罪の容疑で逮捕されることがあります。

保釈のその後

保釈の執行停止とは?

保釈の執行停止とは、保釈が一時停止して、被告人の身柄が拘束されることをいいます。

裁判官による保釈許可の決定に対し、検察官が保釈不適当として不服申し立てをした場合に、裁判官の決定が下されるまでの間、保釈が一時停止するのです。

保釈の執行停止は、保釈が一時停止するにすぎないという点で、「保釈の取消」とは異なります。

保釈の取消とは?

保釈の取消とは、一度くだされた保釈の決定が撤回されることです。

保釈が取消になるのは、被告人に逃亡や証拠隠滅の疑いがあると判断された場合です。

保釈が取り消されると、被告人は再び身体を拘束されます。

身体の拘束は、再び保釈が許可されない限り、ずっと続きます。

保釈の取消は、一時的に身体が拘束されるにすぎない「保釈の執行停止」とは異なります。

保釈されたら裁判にはならない?

保釈許可決定により保釈された場合でも、その後に刑事裁判を受けることになります。

保釈とは、刑事裁判が終わるまでの期間、一時的に社会に釈放される制度のことです。

裁判にならないわけではないので、注意が必要です。

保釈されたら執行猶予がつく可能性が高まる?それとも実刑判決?

保釈が許可されることと、判決で執行猶予がつくか、実刑判決になるかは別問題です。

もっとも、一般論としては、執行猶予が予想されるケースの方が保釈が許可されやすいということができます。

実刑判決が予想されるケースでは、被告人が逃亡するリスクがあり、保釈が許可されにくい傾向があります。

保釈中に追起訴されるとどうなる?

保釈中に余罪や別件が追起訴されても、保釈が取り消されたりすることは基本的にありません。

そのまま保釈中の身として社会内で日常生活を送り、刑事裁判で追起訴分の事件も合わせて審理を受けることになります。

なお、保釈の流れについては『保釈の流れ|逮捕から釈放、その後のウラ事情まで紹介』でも詳しく解説しています。

保釈金とは

保釈金の意味

保釈金とは?保釈金の定義とは?

保釈金とは、保釈の決定書に記載された、釈放の条件となる金銭のことをいいます。

刑事訴訟法93条1項は、「保釈を許す場合には、保証金額を定めなければならない。」と定めています。

同じ条文の2項は、「保証金額は、犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならない。」と定めています。

ここからわかるように、保釈金額を決めることは保釈のための必須条件です。

裁判所としては、裁判を進行するためにも、被告人に刑罰を科すためにも、被告人の身柄を確保しておく必要があります。

保釈は、被告人の身柄を自由にすることですから、一定額の金銭を取り上げることで、必要なときには被告人が出頭するようにしなければなりません。

このお金を、保釈金といいます。

保釈金の金額は、犯罪の内容、そろっている証拠の質・量被告人の性格や資産などを考慮して決められます。

保釈金は誰に支払えばいいの?

保釈金は、警察や検察ではなく、裁判所出納係に支払うことになります。

支払う」といっても、保釈金は最終的には返金されるものなので、「預ける」といった方が正確かもしれません。

被告人本人または被告人のご家族が保釈を請求したケースで、保釈金の納付場所が分からない場合は、直接裁判所に電話で問い合わせるのがよいでしょう。

なお、保釈金の納付は、原則として平日の営業時間中に限られています。

保釈金の一般的な流れとは?

保釈金を納付するまでの流れは、以下のとおりです。

保釈の請求

弁護士や被告人本人、または被告人の家族が、裁判所に保釈を請求します。

保釈の決定

裁判所は、検察官の意見を聞いた上で、保釈を決定します。

保釈金の納付

保釈の決定書で指定された保釈金の金額を、裁判所の出納係に納付します。

釈放

保釈金が全額納付されたことが確認されたのち、被告人は留置施設から釈放されます。

午前中に保釈金を納付した場合は、当日の午後には釈放されることになります。

刑事裁判

保釈中は、自宅から裁判所に通って、刑事裁判を受けることになります。

刑事裁判の終了

有罪または無罪の判決を受けて、刑事裁判が終了します。

保釈金の返金

刑事裁判が終了したあと、数日後には保釈金が返金されます。

※なお、保釈の条件に違反した場合は、保釈金が没収(没取)される可能性があるので、注意が必要です。

保釈金は戻ってくるか?

保釈金は、裁判所の終了まで保釈の条件に従って生活していれば、その全額が戻ってくるので安心です。

第一審で保釈になった場合は、第一審の判決が出てから数日程度で戻ってくることが多いです。

弁護士を通じて保釈を請求した場合は、保釈金は弁護士の銀行口座に戻ってくるのが通常です。

保釈金の返還については、担当の弁護士に問い合わせるようにしましょう。

なお、保証金の返還は『保釈金は返金してもらえるのか?|返還時期や還付されないケースを解説』でも解説しています。

事件別にみる保釈金の相場

保釈金の一般的な相場は?

保釈金は、一般的に150万円から300万円の間で定められることが多いです。

平均的な額は200万円前後ということになります。

保釈金の金額は、犯罪の内容、そろっている証拠の質・量被告人の性格や資産などを考慮して決められます。

たとえば、相場よりも低い120万円の保釈金もあり得る一方で、

  • 覚醒剤事件で起訴された芸能人の場合は500万円
  • 詐欺事件で起訴された音楽家の場合は3000万円
  • 汚職事件で起訴された元総理の場合は2億円

でした。

窃盗罪の保釈金の相場は?

窃盗罪の保釈金の相場は、200万円前後です。

被害がそれほど高額でない窃盗罪であれば、150万円で保釈が認められることが多いです。

これに対して、組織的な窃盗や、反復性が認められる窃盗の場合は、逃走防止の観点から、保釈金の金額も高くなる傾向があります。

傷害罪の保釈金の相場は?

傷害罪の保釈金の相場は、200万円前後です。

被害がそれほど重たくない傷害罪であれば、150万円で保釈が認められることが多いです。

傷害の程度が重たくなれば、それだけ実刑の可能性が高まるので、逃走防止の観点から、保釈金の金額も高くなる傾向があります。

大麻事件の保釈金の相場は?

大麻事件の保釈金の相場は、150万円前後です。

少量の大麻を単純に所持しただけのケースでは、150万円で保釈が認められるケースが多いです。

共犯関係が複雑であったり、営利目的が疑われるケースでは、500万円程度まで保釈金が上がることがあります。

詐欺罪の保釈金の相場は?

詐欺罪の保釈金の相場は、300万円前後です。

単発の被害が小さな詐欺罪であれば、150万円で保釈が認められることもあります。

これに対して、被害額が大きな詐欺罪の場合は、保釈金が数千万円一億円を超えるケースもあります。

小室哲哉の詐欺事件などは、保釈金は3000万円でした。

薬物事件・覚醒剤事件の保釈金の相場は?

薬物事件の保釈金の相場は、大麻事件や合成麻薬事件の場合は150万円前後、覚せい剤事件の場合は150万円〜200万円です。

覚せい剤事件は、薬物事件の中でも比較的悪質性が高いため、初犯の単純な使用所持の案件でも、保釈金が200万円になることがあります。

なお、保釈金の相場は『保釈金の相場はいくら?|保釈金の決め方や犯罪ごとの相場を紹介』でも詳しく解説しています!

保釈金に関するQA

保釈の保証金は立替できる?

保釈金は、他人の立替で支払うことも可能です。

ご家族や友人が立て替えた場合でも、保釈金の全額が納付された場合は、問題なく釈放されます。

保釈支援協会などの業者に立て替えてもらうこともできます。

保釈支援協会って一体なあに?

保釈支援協会は、正式には日本保釈支援協会といいます。一般社団法人です。

保釈してもらうには保釈金を支払わなければなりませんが、これを支払えない人もたくさんいます。

とはいえ、日本の金融機関は保釈金の融資は行っていないので、中には高利業者から借り入れる人もいるようです。

しかしそのような負担は、後々の社会復帰に際し、大きな支障となります。

そこで、このような事態を打開するために、保釈支援協会が設立されたのです。

保釈支援協会は、保釈手続きに関するアドバイス保釈金の立替をしてくれる、被疑者の強い味方なのです。

保釈保証金ってなに?

保釈保証金とは、裁判所が出した保釈の決定にもとづき、留置施設から釈放されるために裁判所に預け入れるお金のことをいいます。

いわゆる保釈金のことです。

保釈保証金は、保釈の決定にもとづき裁判所に納付し、裁判の終りまでちゃんと法廷に出廷すれば、裁判が終わり次第裁判所から返金されます。

裁判の途中で逃走した場合は、保釈保証金は没収されてしまいます(法律的には没取といいます)。

また、逃走まではしなくても、保釈決定の条件に違反した場合も、没収される可能性があります。

保釈にしたければ弁護士に相談すべき?

保釈は弁護士に相談しよう

保釈は弁護士がいないとできないの?

保釈を請求するのは、弁護士以外でも可能です。

被告人本人またはご家族らが保釈を請求し、許可されるケースもあります。

刑事訴訟法88条は、保釈の請求権者について、「勾留されている被告人又はその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹は、保釈の請求をすることができる。」と定めています。

保釈請求できる人
  • 被告人本人
  • 被告人の弁護士
  • 被告人の法定代理人(通常は父親または母親)
  • 被告人の配偶者(法律上の夫または妻)
  • 被告人の直系の親族
  • 被告人の兄弟姉妹
保釈請求できない人
  • 弁護人として選任されていない弁護士
  • 内縁関係にある夫または妻
  • 婚約者、恋人、友人、同僚

保釈保証書ってなに?

保釈保証書とは、弁護士の協同組合である全国弁護士協同組合連合会(全弁協)が発行するものです。

全弁協が裁判所に対し、「命令があり次第ただちに全弁協が被告人に代わって保釈金を納付することを約束します」といって提出する書類です。

全弁協が保釈保証書を提出することで、保釈金を入金しなくても被告人は保釈されます。

裁判所に実際に保釈金が納付されているわけではありませんが、万一の際は、保釈保証書にあるとおり、全弁協が保釈金を支払うことになります。

保釈に強い弁護士とは?どうやって探したらいい?

保釈に強い弁護士は、インターネットで保釈の実績を見比べると見つけやすいです。

ホームページで保釈に強そうな弁護士を見つけたら、実際に法律相談に行き、保釈の可能性を検討してもらいましょう。

保釈を弁護士に依頼するときのポイントを整理!

弁護士に保釈を依頼すべきタイミングとは?

弁護士に保釈を依頼したい場合は、逮捕の直後から依頼するのが、タイミングとしてベストです。

保釈の請求ができるのは、事件が起訴された後ですが、保釈を請求するための準備が必要です。

逮捕の直後から保釈請求の準備を勧めていれば、起訴された直後にスムーズに保釈を請求することができます。

保釈の請求が一日早ければ、保釈による釈放も一日早まります。

弁護士に保釈を依頼する前にやっておくべきことは?

ご家族が弁護士に保釈を依頼する場合、前もってやっておいた方がよいことは以下のとおりです。

保釈金の準備

保釈金は、勾留されている被告人自身では用意できないことが多いので、その場合はご家族の方で用意する必要があります。

保釈金は裁判が終われば全額返金されるので、一時的に金融機関から借りて用意するのも一つです。

※なお、被告人が保釈中に逃亡するなど、保釈の条件に違反した場合は、ご家族の方で保釈金没取のリスクを負うことになります。

保釈後の住居の確保

保釈後の住居が定まっていなければ、保釈は許可されないです。

新たな住居の用意が難しい場合は、ご家族との同居を条件として、保釈が許可されるケースもあります。

保釈にしたいときの弁護士相談に関するQA

弁護士に保釈を頼むと費用はいくらくらい?

国選弁護士の場合は、保釈請求の費用は無料です。

これに対して、私選弁護士の場合は、弁護士と締結した個別の委任契約によることになります。

保釈の成功報酬として20万円〜40万円ほどの弁護士費用が発生することもあります。

詳細は、依頼を検討している弁護士に直接確認してみましょう。

弁護士の協同組合って何?保釈を手伝ってくれるの?

弁護士の協同組合とは、全国弁護士協同組合連合会のことです。

全国の弁護士会が所属している組合で、保釈の際に必要となる保釈保証書の発行をしてくれます。

逃亡や証拠隠滅の可能性が低く、保釈可能であっても、保釈金を用意できなければ保釈されません。

このような場合に、協同組合は、担当弁護士の申し込みにもとづいて保釈保証書を発行し、万一の場合は保釈金の支払いもしてくれます。

この制度を利用するには、担当弁護士が組合に所属している必要がありますが、困ったときは組合の存在を思い出すと良いでしょう。

保釈の相談なら弁護士にお任せ!

ここまでで、保釈の一般的なことはカバーできました。

でもできれば、自分の事件に即した具体的なアドバイスも欲しいですよね?

…ということで、以下では、弁護士に無料で相談できるサービスをご紹介します。

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こちらの弁護士事務所は、刑事事件の無料相談を24時間365日受け付ける窓口を設置しています。

いつでも専属のスタッフから無料相談の案内を受けることができるので、緊急の時も安心です。

来所相談は、土日や祝日も可能とのことです。

急を要する刑事事件の相談ができるので、頼りになりますね。

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誰にも知られずに、お悩み解決に近づけるのが魅力的ですね。

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掲載されているのは、当サイトの編集部が厳選した頼りになる弁護士たちです。

きっと、お困りごとを相談できる先生が見つかるでしょう。

まとめ

いかがでしたか?

刑事事件の保釈について、徹底調査してきました。

当サイト「刑事事件弁護士カタログ」には、他にもお役立ちコンテンツが満載です。

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