脅迫罪・恐喝罪の示談金相場2022年版!よくあるQAもチェック
あなたやあなたのご家族・ご友人が、脅迫・恐喝の加害者になってしまったら…
刑事事件の解決に「示談」が非常に大切なのは、よく知られたことですね。
…でもいざ示談となると、わからないことだらけです。
- 示談金の相場は?
- そもそも示談のメリット・デメリットは?
- 示談の流れ、示談書の書き方は?
疑問や不安でいっぱいになることでしょう…
でも、大丈夫!心配ご無用です。
ここでは、脅迫・恐喝の示談金やよくあるQAについて、徹底調査の結果をレポートします。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でおなじみ、アトム法律事務所の弁護士にお願いしました。
よろしくお願いします。
今回は脅迫・恐喝ですね。
示談金の相場やよくあるQAを、過去の実績や最新の動向を踏まえて解説していきます。
目次
脅迫・恐喝の示談金の相場8連発
皆さん、示談といえば、キニナルのはやはり示談金の相場ですよね?
ここでは、脅迫・恐喝の示談金の相場を見ていきます。
今回は特別に、アトム法律事務所が過去に解決してきた事案の一部を公開してくれました。
いずれも、過去実際にあった脅迫・恐喝事件です。
現場で弁護活動してきた我々だからこそ提供できる生のデータ!
どうぞご期待ください。
うーん!
なんとも力強いお言葉をいただきました。
期待、してますしてます!
さあ、まずは示談金が10万円以下だった脅迫・恐喝のケースから見ていきましょう。
示談金が10万円以下だったケース
事案の概要 | 示談金 | |
---|---|---|
① | 女子児童を装って20代の被害者にわいせつ画像を送信し、女子児童の母親のフリをして被害者を脅し、示談金の名目のもと、現金5万円を振り込ませた事件。 | 5万円 |
② | 共犯者と、店内を歩く被害者とすれ違いざまにぶつかって因縁をつけ、現金4800円とスイカカードの入った財布を出させて、これを取り上げた事件。 | 5万円 |
①なんかを見ると、被害額と示談金が同じ場合もあるんですね。
②を見ると違いますけど…
脅迫罪や恐喝罪は、被害額と示談金は同じ程度のケースが多いのでしょうか。
事案の概要 | 示談金 | |
---|---|---|
③ | 女子児童を装って30代の被害者にわいせつ画像を送信し、女子児童の母親のフリをして被害者を脅し、示談金の名目のもと、現金3万円を振り込ませた事件。 | 10万円 |
こちらの事件の示談金は、被害額の3倍以上になっていますね!
必ずしも、被害額と示談金額が同じというわけではなさそうです。
次は示談金が20万円だったケースを見てみましょう。
示談金が20万円だったケース
事案の概要 | 示談金 | |
---|---|---|
④ | セルフ式ガソリンスタンド内の駐車トラブルから、包丁を右手に持ち「何や。お前が下がれ。どけ。」などと怒鳴りながら、包丁を突きつけて脅した事件。 | 20万円 |
⑤ | 風俗店の従業員に対し、「俺はヤクザだから声をかければ何人も集まる。俺は何人も殺している」などと言って脅迫し、現金の支払いを要求して、応じなければ身体などに危害を加えかねないと言って怖がらせた恐喝事件。 | 20万円 |
⑥ | LINEで知り合った被害者に対して、金を脅し取る目的で共犯者と共に暴行を加えたあと、被害者から現金やキャッシュカードなどの入った長財布を取った上、コンビニ店内のATMで現金を引き出して渡させた事件。 | 20万円 |
へえ~!④や⑤を見ると、被害者は金銭を渡すところまではいってないみたいですが…
そういう場合でも、示談金が20万円になることがあるんですね。
次は示談金が50万円前後のケースです。
示談金が50万円前後だったケース
事案の概要 | 示談金 | |
---|---|---|
⑦ | 夫と不倫関係にあった女性に対し、電話で「子供を殺す」などと言い、その女性の親族の生命、身体などに危害を加えることを告知して脅迫した事件。 | 45万円 |
これもさっきの④⑤⑥と同じような恐喝事件に見えるのに…
生命を脅かすような脅迫をしてしまうと、その分示談金も増えてしまうのでしょうか。
さて、最後は示談金が100万円超えのケースですね。
示談金が100万円を超えたケース
事案の概要 | 示談金 | |
---|---|---|
⑧ | これまで単車のシートを切られる被害に遭っていた被害者の家の郵便受けに、今度は別のものにしようか迷っている、などと印刷された紙を投函し、被害者の財産などに危害を加えかねないことを示して脅迫した事件。 | 150万円 |
車体や住宅など高価なものが絡むと、示談金もアップしてしまうのでしょうか。
こちらのケースでは、150万円で示談することができました。
さて、8件の実例を通して、脅迫・恐喝の示談金の相場が見えてきましたね。
なお、その他の示談金の相場はこちらからかんたんに確認できるようにしておきました。
以下では脅迫・恐喝の示談に関するよくあるQAを見ていきます。
一つ一つ、弁護士先生に答えていただくので、安心してご覧いただけますよ。
脅迫・恐喝の示談に関するよくあるQA
脅迫・恐喝の示談とは?
そもそも脅迫・恐喝はどんな犯罪?
脅迫・恐喝の示談について知りたいのはもちろんですが、その前に…
- そもそも脅迫・恐喝とはどんな犯罪なのか?
- 脅迫・恐喝をすると、どんな刑罰が待っているのか?
というところからですよね。
先生に解説していただきましょう。
脅迫・恐喝は、刑法に定められている脅迫罪・恐喝罪にあたります。
脅迫罪は、被害者の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加えることを告知して人を脅迫することによって成立する犯罪をいいます。
恐喝罪は、人を脅して財産を脅し取ることによって成立する犯罪をいいます。
フムフム。脅迫罪、恐喝罪というのがあるんですね。
ではその条文を見てみましょう。
まずは脅迫罪からです。
脅迫罪は刑法222条に定められています。
刑法222条1項は、「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。」と定めています。 そして同条2項は、「親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。」と定めています。
はい。条文はなかなか独特な言葉遣いで難しいですね。
次は恐喝罪を見てみましょう。
恐喝罪は、刑法249条ですね。
刑法249条1項は、「人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。」と定めています。 また同条2項は、「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。」と定めています。
うーん、脅迫罪より恐喝罪のほうが刑罰が重いんですね。
では「懲役」や「罰金」という刑罰について、詳しく教えていただきましょう。
「懲役」とは、懲役刑のことで、脅迫罪・恐喝罪で有罪判決を受けた人物を刑務所に収監し、刑務作業を行わせる刑罰をいいます。
もっとも、刑事裁判で懲役刑が言い渡されても、加害者側に有利な事情も考慮されて執行猶予になれば、直ちには刑務所に収監されません。
執行猶予になると、直ちに刑務所には収監されず、執行猶予期間中は社会で日常生活を送ります。
そして執行猶予期間内に再び犯罪を犯さなければ、刑務所への収監を免除されます。
執行猶予期間中に再び犯罪を犯した場合、執行猶予が取り消されて、その取消しの時から懲役刑の刑期分、刑務所に収監されます。
「罰金」とは、罰金刑のことで、脅迫罪で有罪判決を受けた人物から一定の金銭を強制的に取り立てる刑罰をいいます。
脅迫罪の場合は30万円以上の罰金を科すことができないため、悪質な脅迫事件に対しては、罰金刑ではなく懲役刑が言い渡されることになります。
恐喝罪には、罰金刑はありません。
- 懲役は刑務所に拘束される刑罰
- 罰金は一定の金銭を払わされる刑罰
ということでしたね。
脅迫罪・恐喝罪の意味についてもっと知りたい方には、この記事が役立ちそうです。
懲役 | 罰金 | |
---|---|---|
意味 | 刑務所に収監し、刑務作業を行わせる刑罰 | 一定の金銭を強制的に取り立てる刑罰 |
脅迫罪 | 2年以下の懲役 | 30万円以下の罰金 |
恐喝罪 | 10年以下の懲役 | 罰金刑はなし |
脅迫・恐喝の示談の効果は?
さて、脅迫罪・恐喝罪にあたるという脅迫・恐喝事件。
- 脅迫・恐喝で示談をするとは、どういう意味なのでしょう?
- 示談をした場合、どんな効果があるのでしょう?
脅迫・恐喝の示談とは、脅迫・恐喝によって生じた賠償金をめぐるトラブルを、加害者と被害者の合意をもって解決することをいいます。
示談書の作成は、示談成立の必要条件ではありません。
しかし、その後のトラブル(「示談が成立した、しない」の言い争い)を防ぐためにも、示談書を作成することが大切です。
示談が成立すると、その効果として、脅迫・恐喝の加害者は、被害者に示談金を支払い、その他の示談の条件を履行する義務を負います。
脅迫・恐喝の被害者は、加害者が示談の条件を履行しない場合、成立した示談書を証拠として、その後の民事手続きを有利に進めることができます。
へえ~
「示談」っていうのは、犯罪で生じた賠償金問題を、当事者たちが合意で解決することなんですね。
後々の「言った、言わない」トラブルを避けるためにも、示談書は作っておくのがマストです!
加害者側 | 被害者側 | |
---|---|---|
意味 | 脅迫罪・恐喝罪の賠償金のトラブルが当事者間の合意によって解決した | 脅迫罪・恐喝罪の賠償金のトラブルが当事者間の合意によって解決した |
権利・義務 | 示談金の支払い義務が生じる | 示談金を受け取る権利が生じる |
脅迫・恐喝の示談のメリットは?
加害者側のメリット
さて、加害者はもちろん、被害者にとってもなかなか良さそうな「示談」。
ここはズバリ、示談にはどんなメリットがあるのか聞いちゃいましょう。
先生、脅迫・恐喝で示談をする加害者にとってのメリットってなんですか??
脅迫・恐喝の示談が成立すれば、加害者はその後の刑事手続きにおいて、示談が成立しなかった場合に比べ有利に扱われます。
具体的には、不起訴となり刑事裁判にならないことで、前科がつかない可能性が高まります。
刑事裁判や前科がつくのを避けられれば、社会復帰もスムーズです。
脅迫・恐喝の加害者側にとって、示談のメリットは非常に大きいです。
おお~なかなか強調しますね。
刑事処分が軽くなる可能性が高いということで、加害者はぜひとも示談したほうが良さそうですね。
被害者側のメリット
加害者にとって、とてもメリットの大きそうな示談ですが…
示談は被害者にとっても、メリットがあるのでしょうか?
脅迫・恐喝の示談が成立すれば、被害者は民事裁判などの面倒な手続きを経ることなく、賠償金を受け取ることができます。
もっとも、示談の成立と同時に賠償金を受け取らなければ、その後加害者に逃げられてしまうリスクもあるため、注意が必要です。
加害者に逃げられてしまった場合、賠償金を受け取るためには、示談書を証拠として民事裁判などの手続きを取る必要が出てきます。
とはいえ、脅迫・恐喝の被害者側にとって、示談のメリットはやはり大きいです。
なるほど。
示談をした場合、被害者は民事裁判をしなくても、早期に賠償金を受け取れるんですね。
やはり示談は、加害者・被害者双方にとってメリット尽くしのようです。
次は反対に、示談のデメリットを見ていきましょう。
脅迫・恐喝の示談のデメリットは?
加害者側のデメリット
示談は加害者・被害者どちらにとってもメリットが大きいということでしたね。
では逆に、デメリットはあるのでしょうか。
まずは加害者側から見ていきましょう。
脅迫・恐喝の加害者側にとって、示談成立のデメリットは特にありません。
仮に示談が不成立に終わると、
- 被害者に対する賠償責任を負い続ける
- 刑事処罰が軽くならならない
というデメリットを負います。
しかし示談が成立すると、加害者側にとっては良いこと尽くしで、デメリットはありません。
うん!
示談交渉を依頼することで、弁護士費用はかかるでしょうが…
事件のスムーズな解決を手伝ってもらえるのだから、弁護士費用の出費は当然のことですね。
示談成立のデメリットはない!
…ということで、加害者はやはり積極的に示談を目指すべきですね。
被害者側のデメリット
では最後に、脅迫・恐喝で示談することによる被害者側のデメリットを見てみましょう。
脅迫・恐喝の被害者側にとって、示談成立のデメリットは、加害者に対する刑事処罰が軽くなることです。
示談が成立したという事実は、その後の刑事手続きにおいて、加害者に有利に扱われます。
ですから示談が成立していると、加害者に対する刑罰は軽くなる傾向にあります。
脅迫・恐喝の被害者が、加害者に対して強い処罰感情を抱いている場合、加害者の刑事処分が軽くなるのはデメリットといえるでしょう。
ふむふむ。
示談が成立すると、加害者への刑事処分が軽くなっちゃうんですね。
それは確かに、被害者にとっては納得のいかない事態かもしれません。
自分が脅迫・恐喝の被害者だったら、
- 加害者と示談して早々に賠償金を受け取るか…
- 示談をせず、加害者に重い刑事処分が下されるのを期待するか…
なかなかに迷うところです。
加害者 | 被害者 | |
---|---|---|
示談成立のメリット | ①賠償責任を免れる ②不起訴の可能性が高まる | 早期に賠償金を得られる |
示談成立のデメリット | 特になし | 加害者に対する刑事処罰が軽くなる |
脅迫・恐喝の示談の流れとは?
では実際に示談するとして、気になるのは示談の流れです。
具体的に、まずはどうしたらいいのか。
示談はどんな風に進んでいくのか。
先生、教えていただけますか?!
脅迫・恐喝の示談の流れは、通常の事件の示談の流れと同じく、加害者側と被害者側との交渉により進行します。
脅迫・恐喝の加害者が被害者の連絡先を知っている場合、当事者同士で示談の話し合いを進めることができます。
示談成立の流れとしては、
①話し合い
↓
②示談条件の確定
↓
③示談書の作成
↓
④示談金の支払い
↓
⑤示談書にサイン
という流れを経ることが多いです。
これに対して、脅迫・恐喝の加害者が被害者の連絡先を知らない場合、示談を進めるためには弁護士を選任する必要があります。
弁護士を選任すれば、警察官や検察官から被害者の連絡先を聞けるケースが多いからです。
弁護士を選任した後は、弁護士が被害者と話し合って、示談が成立することになります。
なるほど~!
まずは被害者と連絡がとれなければ、示談もなにもないわけですね。
弁護士に頼むなりどうにかして、被害者と連絡をとること。
これが示談の第一歩ということです。
加害者側 | 被害者側 | |
---|---|---|
相手の連絡先を知っている | 自分で示談を進めることが可能 | 自分で示談を進めることが可能(※) |
相手の連絡先を知らない | 弁護士を選任する必要がある | 弁護士を選任する必要がある |
脅迫・恐喝の示談書の書き方は?
脅迫・恐喝事件を起こしてしまったら、積極的に示談するのが良さそうということがわかりました。
示談金の相場も示談の流れも、だいたい分かりました。
でもタイヘン!
一番重要な、示談書の書き方とやらがさっぱり分かりません。
これも弁護士先生に教えてもらっちゃいましょう。
脅迫・恐喝の示談書の書き方は、通常の示談書の書き方と特に変わりません。
ポイントは、示談の対象と内容を明確にすることです。
示談書には通常、以下の項目を盛り込んでいきます。
①事件の内容(日時、場所、加害者・被害者の氏名など)
②示談金の金額、支払方法
③示談書に記載されたもの以外の賠償義務がないこと(清算条項)
④加害者と被害者の署名
⑤被害者が加害者を許すこと(宥恕条項)、被害者が告訴を取り下げること(告訴取消)
示談金の一括払いが難しい場合は、分割払いの合意を結ぶことも可能です。
示談書に、「被害者は加害者のことを許します」という旨の宥恕条項(ゆうじょじょうこう)を設けた場合、その後の刑事手続きでは加害者に有利に考慮されます。
さすがは先生です!
期待を裏切らず、非常にわかりやすく教えてくださいました。
示談書にはいくつか盛り込むべき項目があるんですね。
ここで教わったことをきちんと踏まえたら、ちゃんと示談できそうで心強いです。
書き方 | 要否 | |
---|---|---|
事件の内容 | 脅迫・恐喝事件が起こった日時、場所、加害者と被害者の氏名などを記載する | 一般的によく盛り込まれる |
示談金の記載 | 示談金の金額と支払い方法を記載する | 一般的によく盛り込まれる |
清算条項 | 示談書に記載されたもの以外の賠償義務がないことを記載する | 一般的によく盛り込まれる |
署名 | 被害者と加害者双方がサインする | 一般的によく盛り込まれる |
宥恕条項 | 加害者を許す旨の文言を書く | 任意 |
告訴取消 | 被害者が告訴を取り下げる旨の文言を書く | 任意 |
脅迫罪・恐喝罪の示談についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事を読んでみてください。
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