住居侵入罪・不法侵入の示談金相場2022年版!よくあるQAもチェック
あなたやあなたのご家族・ご友人が、住居侵入・不法侵入の加害者になってしまったら…
刑事事件の解決に「示談」が非常に大切なのは、よく知られたことですね。
…でもいざ示談となると、わからないことだらけです。
- 示談金の相場は?
- そもそも示談のメリット・デメリットは?
- 示談の流れ、示談書の書き方は?
疑問や不安でいっぱいになることでしょう…
でも、大丈夫!心配ご無用です。
ここでは、住居侵入・不法侵入の示談金やよくあるQAについて、徹底調査の結果をレポートします。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でおなじみ、アトム法律事務所の弁護士にお願いしました。
よろしくお願いします。
今回は住居侵入・不法侵入ですね。
示談金の相場やよくあるQAを、過去の実績や最新の動向を踏まえて解説していきます。
目次
住居侵入・不法侵入の示談金の相場10連発
皆さん、示談といえば、キニナルのはやはり示談金の相場ですよね?
ここでは、住居侵入・不法侵入の示談金の相場を見ていきます。
今回は特別に、アトム法律事務所が過去に解決してきた事案の一部を公開してくれました。
いずれも、過去実際にあった住居侵入・不法侵入事件です。
現場で弁護活動してきた我々だからこそ提供できる生のデータです。
どうぞご期待ください。
うーん!
なんとも力強いお言葉をいただきました。
期待、してますしてます!
さあ、まずは示談金が100万円いかなかったケースから見ていきましょう。
示談金が100万円未満だったケース
事案の概要 | 示談金 | |
---|---|---|
① | ナンパ目的で女性の跡をつけ、女性の自宅マンションに侵入した住居侵入事件。 | 5万円 |
② | 下着を盗む目的で、女性宅のたんすを物色した住居侵入事件。 | 15万円 |
③ | 下着を盗む目的で、女性が住むハイツの踊り場に侵入した住居侵入事件。 | 20万円 |
④ | 風呂場を盗撮する目的で、民家の出入り口から敷地内に侵入した住居侵入事件。 | 20万円 |
⑤ | 女性の下着を触って自慰行為をする目的で、女性宅の無施錠のベランダ窓から侵入したが、女性がトイレに入っていたため見つかり、逃走した住居侵入事件。 | 30万円 |
①はナンパ目的と書いてありますが…
さすがにマンションまで侵入されてしまうと、性犯罪に巻き込まれてしまうかもしれないと思ってしまいますね。
③も④も、窃盗や盗撮の犯罪のおそれがあったということですよね。
こういう事情も、示談金の金額を引き上げることに繋がるのでしょうか。
事案の概要 | 示談金 | |
---|---|---|
⑥ | 病院宿舎女子寮の、無施錠の窓から侵入した住居侵入事件。 | 70万円 |
⑦ | 女性の居室内をのぞく目的で、マンション6階ベランダから侵入し、浴室をのぞいた住居侵入事件。 | 70万円 |
⑧ | 盗んだ鍵で部屋に入り、下着などを漁りながら自慰行為をし、その様子をビデオカメラで録画をしていたところ、女性が帰宅したためビデオカメラを置いて逃走した住居侵入事件。 | 80万円 |
⑧なんかは、人の家に勝手に入った挙句、その後の行為も悪質ですね。
だからこそ、示談金が80万円にもなってしまったのでしょうか。
⑤とちょっと似ているのに、⑤に比べ示談金の金額が2倍以上になっているのは驚きです。
示談金が100万円以上だったケース
事案の概要 | 示談金 | |
---|---|---|
⑨ | 18歳女性の自宅の浴室の窓枠に、風呂場を盗撮する目的で小型カメラを設置して撮影録画し、録画した小型カメラを回収するために女性自宅の敷地内に侵入した住居侵入事件。 | 100万円 |
⑩ | わいせつ目的で女性の跡をつけ、「下の部屋の者です。水漏れしてるんですけど確認して下さい。」と女性居室を訪問し、無理矢理玄関に侵入した住居侵入事件。 | 200万円 |
「住居侵入」というより、盗撮やわいせつ行為が目的になっている部分。
これが原因で、示談金が100万円以上になったんじゃないでしょうか。
ここで紹介している中では最も低額だった①のケースに比べ、⑩はなんとその40倍。
ケースによって、本当に示談金の金額は違うんですね。
さて、10件の実例を通して、住居侵入・不法侵入の示談金の相場が見えてきましたね。
なお、その他の示談金の相場はこちらからかんたんに確認できるようにしておきました。
以下では住居侵入・不法侵入の示談に関するよくあるQAを見ていきます。
一つ一つ、弁護士先生に答えていただくので、安心してご覧いただけますよ。
住居侵入・不法侵入の示談に関するよくあるQA
住居侵入・不法侵入の示談とは?
そもそも住居侵入・不法侵入はどんな犯罪?
住居侵入・不法侵入の示談について知りたいのはもちろんですが、その前に…
- そもそも住居侵入・不法侵入とはどんな犯罪なのか?
- 住居侵入・不法侵入をすると、どんな刑罰が待っているのか?
というところからですよね。
先生に解説していただきましょう。
住居侵入罪は、分かりやすくいうと正当な理由なく他人の住居に侵入する犯罪です。
侵入する場所が住居以外の建物の場合、住居侵入罪ではなく建造物侵入罪とされています。
- 許可なく他人の家に立ち入ったときは、住居侵入罪
- 許可なく倉庫や事務所に立ち入ったときは、建造物侵入罪
が、成立するとされています。
はい、住居侵入罪を規定した刑法130条は、以下のように定めています。
「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入した者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」
器物損壊罪の刑罰には、懲役と罰金とあるようです。
それぞれどんな刑罰なのか、先生に聞いていきましょう。
「懲役」とは、懲役刑のことで、住居侵入・不法侵入で有罪判決を受けた人物を刑務所に収監し、刑務作業を行わせる刑罰をいいます。
もっとも、刑事裁判で懲役刑が言い渡されても、加害者側に有利な事情も考慮されて執行猶予になれば、直ちには刑務所に収監されません。
執行猶予になると、直ちに刑務所には収監されず、執行猶予期間中は社会で日常生活を送ります。
そして執行猶予期間内に再び犯罪を犯さなければ、刑務所への収監を免除されます。
執行猶予期間中に再び犯罪を犯した場合、執行猶予が取り消されて、その取消しの時から懲役刑の刑期分、刑務所に収監されます。
「罰金」とは、罰金刑のことで、住居侵入・不法侵入で有罪判決を受けた人物から一定の金銭を強制的に取り立てる刑罰をいいます。
住居侵入・不法侵入の場合は10万円を超えて罰金を科すことができないため、悪質な住居侵入・不法侵入事件に対しては、罰金刑ではなく懲役刑が言い渡されることになります。
懲役 | 罰金 | |
---|---|---|
法定刑 | 3年以下 | 10万円以下 |
意味 | 刑務所に収監し、刑務作業を行わせる刑罰 | 一定の金銭を強制的に取り立てる刑罰 |
不法侵入罪と罰金の関係については『不法侵入(住居侵入)罪の罰金相場は?窃盗目的の侵入は?懲役の事案も紹介します!』で詳しく検討しているので、興味がある方はご覧ください!
住居侵入・不法侵入の示談の効果は?
さて、懲役刑と罰金刑が待っている住居侵入罪。
- 住居侵入・不法侵入で示談をするとは、どういう意味なのでしょう?
- 示談をした場合、どんな効果があるのでしょう?
住居侵入・不法侵入の示談とは、住居侵入・不法侵入によって生じた賠償金をめぐるトラブルを、加害者と被害者の合意をもって解決することをいいます。
示談書の作成は、示談成立の必要条件ではありません。
しかし、その後のトラブル(「示談が成立した、しない」の言い争い)を防ぐためにも、示談書を作成することが大切です。
示談が成立すると、その効果として、住居侵入・不法侵入の加害者は、被害者に示談金を支払い、その他の示談の条件を履行する義務を負います。
住居侵入・不法侵入の被害者は、加害者が示談の条件を履行しない場合、成立した示談書を証拠として、その後の民事手続きを有利に進めることができます。
へえ~
「示談」っていうのは、犯罪で生じた賠償金問題を、当事者たちが合意で解決することなんですね。
後々の「言った、言わない」トラブルを避けるためにも、示談書は作っておいたほうが良さそうです。
加害者側 | 被害者側 | |
---|---|---|
意味 | 住居侵入・不法侵入事件の賠償金のトラブルが当事者間の合意によって解決した | 住居侵入・不法侵入事件の賠償金のトラブルが当事者間の合意によって解決した |
権利・義務 | 示談金の支払い義務が生じる | 示談金を受け取る権利が生じる |
住居侵入・不法侵入の示談のメリットは?
加害者側のメリット
さて、加害者はもちろん、被害者にとってもなかなか良さそうな「示談」。
ここはズバリ、示談にはどんなメリットがあるのか聞いちゃいましょう。
先生、住居侵入・不法侵入で示談をする加害者にとってのメリットってなんですか??
住居侵入・不法侵入の示談が成立すれば、加害者はその後の刑事手続きにおいて、示談が成立しなかった場合に比べ有利に扱われます。
具体的には、不起訴となり刑事裁判にならないことで、前科がつかない可能性が高まります。
刑事裁判や前科がつくのを避けられれば、社会復帰もスムーズです。
住居侵入・不法侵入の加害者側にとって、示談のメリットは非常に大きいです。
おお~強調しますね。
刑事処分が軽くなる可能性が高いということで、加害者はぜひとも示談したほうが良さそうです。
被害者側のメリット
加害者にとって、とてもメリットの大きそうな示談ですが…
示談は被害者にとっても、メリットがあるのでしょうか?
住居侵入・不法侵入の示談が成立すれば、被害者は民事裁判などの面倒な手続きを経ることなく、賠償金を受け取ることができます。
もっとも、示談の成立と同時に賠償金を受け取らなければ、その後加害者に逃げられてしまうリスクもあるため、注意が必要です。
加害者に逃げられてしまった場合、賠償金を受け取るためには、示談書を証拠として民事裁判などの手続きを取る必要が出てきます。
とはいえ、住居侵入・不法侵入の被害者側にとって、示談のメリットはやはり大きいです。
なるほど。
示談をした場合、被害者は民事裁判をしなくても、早期に賠償金を受け取れるんですね。
やはり示談は、加害者・被害者双方にとってメリット尽くしのようです。
次は反対に、示談のデメリットを見ていきましょう。
住居侵入・不法侵入の示談のデメリットは?
加害者側のデメリット
示談は加害者・被害者どちらにとってもメリットが大きいということでしたね。
では逆に、デメリットはあるのでしょうか。
まずは加害者側から見ていきましょう。
住居侵入・不法侵入の加害者側にとって、示談成立のデメリットは特にありません。
仮に示談が不成立に終わると、
- 被害者に対する賠償責任を負い続ける
- 刑事処罰が軽くならならない
というデメリットを負います。
しかし示談が成立すると、加害者側にとっては良いこと尽くしで、デメリットはありません。
示談交渉を依頼することで、弁護士費用はかかるでしょう。
でも、事件のスムーズな解決を手伝ってもらえるのだったら、弁護士費用の出費は当然のことですよね。
加害者にとって、示談成立のデメリットはありません
ということで、加害者はやはり積極的に示談を目指すべきです!
被害者側のデメリット
では最後に、住居侵入・不法侵入で示談することによる被害者側のデメリットを見てみましょう。
住居侵入・不法侵入の被害者側にとって、示談成立のデメリットは、加害者に対する刑事処罰が軽くなることです。
示談が成立したという事実は、その後の刑事手続きにおいて、加害者に有利に扱われます。
ですから示談が成立していると、加害者に対する刑罰は軽くなる傾向にあります。
住居侵入・不法侵入の被害者が、加害者に対して強い処罰感情を抱いている場合、加害者の刑事処分が軽くなるのはデメリットといえるでしょう。
示談が成立すると、加害者への刑事処分が軽くなっちゃうんですね。
それは確かに、被害者にとっては納得のいかない事態かもしれません。
自分が住居侵入・不法侵入の被害者だったら、
- 加害者と示談して早々に賠償金を受け取るか…
- 示談をせず、加害者に重い刑事処分が下されるのを期待するか…
結構迷うところです。
加害者 | 被害者 | |
---|---|---|
示談成立のメリット | ①賠償責任を免れる ②不起訴の可能性が高まる | 早期に賠償金を得られる |
示談成立のデメリット | 特になし | 加害者に対する刑事処罰が軽くなる |
住居侵入・不法侵入の示談の流れとは?
では実際に示談するとして、気になるのは示談の流れです。
具体的に、まずはどうしたらいいのか。
示談はどんな風に進んでいくのか。
先生、教えていただけますか?!
住居侵入・不法侵入の示談の流れは、通常の事件の示談の流れと同じく、加害者側と被害者側との交渉により進行します。
住居侵入・不法侵入の加害者が被害者の連絡先を知っている場合、当事者同士で示談の話し合いを進めることができます。
示談成立の流れとしては、
①話し合い
↓
②示談条件の確定
↓
③示談書の作成
↓
④示談金の支払い
↓
⑤示談書にサイン
という流れを経ることが多いです。
これに対して、住居侵入・不法侵入の加害者が被害者の連絡先を知らない場合、示談を進めるためには弁護士を選任する必要があります。
弁護士を選任すれば、警察官や検察官から被害者の連絡先を聞けるケースが多いからです。
弁護士を選任した後は、弁護士が被害者と話し合って、示談が成立することになります。
なるほど!
まずは被害者と連絡がとれなければ、そもそも示談できないんですね。
弁護士に頼むなりどうにかして、被害者と連絡をとること。
これが示談の第一歩ということです。
加害者側 | 被害者側 | |
---|---|---|
相手の連絡先を知っている | 自分で示談を進めることが可能 | 自分で示談を進めることが可能(※) |
相手の連絡先を知らない | 弁護士を選任する必要がある | 弁護士を選任する必要がある |
住居侵入・不法侵入の示談書の書き方は?
住居侵入・不法侵入事件を起こしてしまったら、示談が大切ということが分かりました。
示談金の相場も示談の流れも、だいたい分かりました。
でも、示談書の書き方とやらがさっぱり分かりません。
先生、示談書ってどうやって書くんですか?
住居侵入・不法侵入の示談書の書き方は、通常の示談書の書き方と特に変わりません。
ポイントは、示談の対象と内容を明確にすることです。
示談書には通常、以下の項目を盛り込んでいきます。
①事件の内容(日時、場所、加害者・被害者の氏名など)
②示談金の金額、支払方法
③示談書に記載されたもの以外の賠償義務がないこと(清算条項)
④加害者と被害者の署名
⑤被害者が加害者を許すこと(宥恕条項)、被害者が告訴を取り下げること(告訴取消)
示談金の一括払いが難しい場合は、分割払いの合意を結ぶことも可能です。
示談書に、「被害者は加害者のことを許します」という旨の宥恕条項(ゆうじょじょうこう)を設けた場合、その後の刑事手続きでは加害者に有利に考慮されます。
さすが先生!
非常にわかりやすかったですね。
示談書にはいくつか盛り込むべき項目があるということで…
ここで教わったことをきちんと踏まえたら、ちゃんと示談できそうで心強いです。
書き方 | 要否 | |
---|---|---|
事件の内容 | 住居侵入・不法侵入事件が起こった日時、場所、加害者と被害者の氏名などを記載する | 一般的によく盛り込まれる |
示談金の記載 | 示談金の金額と支払い方法を記載する | 一般的によく盛り込まれる |
清算条項 | 示談書に記載されたもの以外の賠償義務がないことを記載する | 一般的によく盛り込まれる |
署名 | 被害者と加害者双方がサインする | 一般的によく盛り込まれる |
宥恕条項 | 加害者を許す旨の文言を書く | 任意 |
告訴取消 | 被害者が告訴を取り下げる旨の文言を書く | 任意 |
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