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傷害事件の再犯|執行猶予中なら刑期は長くなる?再犯率をリサーチ

  • 傷害事件,再犯

傷害事件の再犯|執行猶予中なら刑期は長くなる?再犯率をリサーチ

傷害事件の執行猶予中にもかかわらず、ついカッとなって人を殴りケガを負わせてしまった。

再犯なら、実刑は確実…?!」

つぎこそは、刑務所に入らなければならないのか…

考えるだけで、不安にさいなまれます。

「傷害事件の再犯」を犯すと、どうなってしまうのかと疑問がたくさんあると思います。

  • 傷害事件の再犯、刑期は重い?
  • 執行猶予中執行猶予後に再犯をおこすと…?
  • 傷害事件の再犯率を調べる
  • 再犯防止の取り組みとは?

このような内容を丁寧に調査しました!

本日は、テレビ・雑誌でおなじみの法律の専門家をお呼びしています。

法律的な部分を監修していただきます。

傷害事件のような刑事事件を多くあつかう、アトム法律事務所の弁護士です。

よろしくお願いします。

傷害といった事件を、今まで数多く担当しました。

その弁護活動をとおして得た経験に基づいて、分かりやすい解説をしていきたいと思います。

仕事のストレスを妻や家族にぶつけてしまう…

お酒が入ると、暴力的になってしまう…

度重なる傷害の再犯をおこすと気になる点が多いと思います。

あなたがお持ちの疑問や悩みを解決できるよう、レポートをはじめます。

傷害事件の刑期・刑罰とは?再犯の意味をおさえる

傷害事件の再犯、法律が定義する「累犯」とは

傷害事件の再犯のレポートをはじめる前に、まず「再犯」の定義を確認しておきます。

一般的に再犯とは…

「同種犯罪を何度も繰り返すこと」

このように思われている方が多いみたいですね。

ですが…

今回の記事では全体をとおして、

「再び(同種とは限らず)犯罪を犯すこと」

を再犯の定義として解説していきます。

一般的な再犯とする例
  • 傷害事件のあと傷害事件をおこす
  • 傷害事件のあと痴漢事件をおこす
  • 万引き事件のあと薬物事件をおこす

一般的な再犯の定義をおさえました。

ここで少々、法律の細かい話をします。

  • 世間一般的な用語として使われる「再犯」
  • 法律的な定義がある「再犯」

これらは、意味がそれぞれで異なります。

法律上の「再犯」は刑法56条に定められており、

第1の犯罪について懲役刑の執行を終わり若しくはその執行の免除を得た後、5年以内に更に第2の犯罪を犯し、有期懲役に処すべき場合をいいます。

刑法第56条をみてみます。

懲役に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するときは、再犯とする。

刑法は、普段の生活でなじみがないので読みにくいですね。

法律の用語辞典を確認しておきます。

広義では初回以後更に罪を犯すことをいうが、刑法に規定する再犯は、懲役に処せられた者がその執行を終わり又は執行の免除のあった日から5年内に更に罪を犯し有期懲役に処せられるべきときとされる。

法律が定義する再犯(累犯)でも、同じ罪である必要はありません。

世間一般的な用語として使われる再犯と同じですね。

法律が定義する再犯(累犯)をまとめると、つぎのとおりです。

法律で定義される再犯
  • 懲役の執行が終了した日(刑期の満了後)
  • 懲役の執行の免除があった日(刑の時効など)

これらの日の翌日から5年以内に、さらに罪を犯し有期懲役に処せられたものを再犯という。

累犯(再犯)は刑期が重くなる可能性がある?!

一般的に再犯は、裁判官の心証(一般情状)により量刑が重くなる傾向にあります。

これに対して、法律が定義する再犯(累犯)では量刑の規定が刑法に示されています。

刑法第57条です。

再犯の刑は、その罪について定めた懲役の長期の二倍以下とする。

「懲役の長期の二倍以下」に注目です。

再犯の場合は、刑期の年数を引き上げることができる上限を示してます。

ですが、再犯(累犯)なら、かならず二倍の刑期になるわけではありません。

可能性として、量刑が重くなることがあるという点を知っておいてください。

傷害事件、懲役など刑期は何年?罰金は?

傷害事件の再犯を知るうえで、まずは傷害事件がどのようなものか知っておきましょう。

法律のキホンから見ていきます。

傷害事件は、刑法の「傷害罪」に該当します。

刑法第204条です。

人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

「人の身体を傷害」とは言葉のとおり、人にケガを負わせることです。

傷害行為によって、正常な状態である人の生理機能を害したり、健康状態を不良にしたりします。

このことから、「生理機能障害説」と言われています。

よく、傷害罪と暴行罪は混同されがちだと思います。

ですが、暴行は相手がケガを負わなかった場合をいいます。

相手がケガをしたか、していないかが、傷害罪と暴行罪の分かれ目になっています。

それでは、傷害罪の刑罰についてみておきます。

傷害罪は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と規定されています。

懲役刑とは、刑務所に収監されて刑務作業を強いられます。

罰金刑とは、一定の金銭の支払いを強いられます。

傷害罪で有罪判決を受けると、

  • 15年以下の懲役刑
  • 50万円以下の罰金刑

この範囲内で、判決が言い渡されることになります。

15年以下の懲役を正確に示すと、

  • 最短1ヶ月の懲役
  • 最長15年の懲役

50万円以下の罰金を正確に示すと、

  • 最低1万円の罰金
  • 最高50万円の罰金

懲役1ヶ月~15年って、刑期にかなり幅がありますね。

罰金刑なら刑務所に入ることはありませんが、前科がつきます。

ポイント

傷害事件の刑罰

懲役刑罰金刑
意味刑務所に収監されて刑務作業を強いられる一定の金銭の支払いを強いられる
法定刑15年以下50万円以下

傷害事件について、もっと知りたい、という方はこちらの記事もあわせてご覧ください。

また、傷害罪や暴行罪と深く関わりのあるDV(ドメスティックバイオレンス)についてはこちらからどうぞ。

執行猶予中・執行猶予後、傷害事件の再犯の処分は?

執行猶予中!傷害事件の再犯なら実刑は不可避?再度の執行猶予の可能性は?

執行猶予中に、傷害事件の再犯を起こしたなら次は実刑確定なのでしょうか。

再度の執行猶予の可能性もあるのか知りたいです。

まず…

執行猶予中の再犯の場合、非常に厳しい要件をクリアしないと再び執行猶予はつきません。

具体的には、つぎの3つの要件を満たす必要があります。

3つの要件
  1. ① 言い渡される刑が1年以下の懲役・禁錮の場合
  2. ② 特に酌量すべき情状がある場合
  3. ③ 前科について保護観察がつけられ、その期間中に再犯をしたのではない場合

この①②③のすべてを満たすことができれば、再び執行猶予がつく可能性があります。

執行猶予中に再犯をおこすと、一般的には厳しい判決となることが予想されます。

懲役実刑の判決がくだされれば、執行猶予が取り消され、前の刑と合わせた期間、刑務所に入らねばなりません。

傷害罪の執行猶予中に、再び傷害罪のケース

同種前科の執行猶予中の再犯ということで、刑事裁判になり、再度の執行猶予は付かない可能性が高いです。

「特に酌量すべき情状がある」とは、言えないケースが多いからです。

もっとも、被害者側と示談が成立し、被害者側が加害者のことを許しているような場合は、再度の執行猶予になる可能性が高まります。

別の罪の執行猶予中に傷害罪を犯したケース

この場合は、前記の場合と比べると、罰金刑で済んだり、再度の執行猶予になる可能性が高いです。

特に、被害者側と示談が成立しているようなケースでは、その可能性がより高くなります。

執行猶予がつくには、非常に厳しい要件を満たさなければならないのですね。

執行猶予中に再犯!必要的取消と裁量的取消とは

執行猶予がつくと、懲役刑が言い渡されてもすぐに刑務所に入ることはありません。

では、そもそも執行猶予の意義とはなんでしょうか。

自発的に自ら更生する機会として、執行猶予は与えられます。

なので、そのような機会を与えてもらったのに再犯を犯したとなれば、執行猶予が取り消されることがあります。

執行猶予中に再犯をおこない、有罪判決を受けると、

前回の執行猶予が、

  • 必ず取り消される
  • 取り消される可能性がある

この2つのケースに分かれます。

刑法第26条にて、必ず取り消されるケースが定義されています。

「執行猶予の必要的取消し」と言われています。

必要的取消し

執行猶予の期間内、さらに罪を犯して「禁錮以上の刑」に処せらせ、その刑について「執行猶予の言渡しがない」ときなど。

このような場合は、前に出された執行猶予は必ず取り消される。

刑法第26条の2にて、取り消される可能性があるケースが定義されています。

「執行猶予の裁量的取消し」と言われています。

裁量的取消し

執行猶予の期間、さらに罪を犯して「罰金」に処せられたときなど。

このような場合は、前に出された執行猶予が取り消される可能性はあるものの、取り消されないことも多い

傷害事件をこの2つのケースに当てはめてみると…

傷害事件の再犯をおこして「執行猶予の言渡しがない懲役刑」を言い渡された場合は、前回の執行猶予は必ず取り消され、前回の分の刑も併せて執行されます。

傷害事件の再犯をおこして「罰金刑」で終わった場合は、前回(傷害事件)の執行猶予が取り消されるかどうかは、裁判所の裁量によります。

執行猶予を取り消すべき場合は、検察官が裁判所に対して取消の決定を請求するような運用になっています。

執行猶予後!傷害事件の再犯(二回目・三回目…)は実刑を受ける??

初犯の傷害事件の場合、事件の内容によって刑事処分が異なります。

負わせたケガの程度が重大でなければ、略式手続により罰金刑となるのが通常です。

ケガの程度にもよりますが、罰金の額は30万円50万円の範囲内となることが多いようです。

では、再犯の場合はどうなるでしょうか。

一般的に二回目、三回目とくりかえす再犯では、公判請求され正式裁判となることが多いようです。

同種犯罪の前科が1犯(罰金前科)程度であるときは、まだ執行猶予がつく見込みがあります。

ただし、軽傷の場合などに限られるでしょう。

重いケガを負わせたときは、実刑となる可能性があるようです。

再犯といっても、そのタイミングはさまざまです。

執行猶予後だとどうなるのでしょうか。

傷害事件の刑事処分について、再犯のタイミングごとに解説していきます。

執行猶予中の再犯

傷害事件の有罪判決で執行猶予中の者が、再び傷害事件をおこしてしまった場合は、刑事裁判になり、懲役実刑の判決が下される可能性が高いです。

この場合、前刑の執行猶予は取り消され、今回の刑と前回の刑を合わせた期間、刑務所に入らねばなりません。

執行猶予期間終了直後の再犯

執行猶予期間が終了していたとしても、期間終了後間がない再犯の場合は、厳しく処罰される傾向にあります。

もっとも、この場合、すでに前刑の執行猶予期間は終了しているため、前刑の執行猶予が取り消されることはありません。

今回言い渡された刑の期間だけ刑務所に入れば、刑期をまっとうしたことになります。

執行猶予期間終了から10年後の再犯

罰金刑や、再び執行猶予になる可能性が十分にあります。

とくに、被害者と示談が成立し、許しの意思が表明されているケースでは、軽い処分・処罰が期待できます。

初犯と再犯では、刑事処分に違いがあるようですね。

どちらの場合も、被害者のケガの程度がカギを握っていそうです。

傷害事件の再犯率を犯罪白書から調べる

傷害事件・暴行事件の再犯率は?

ここからは、傷害事件・暴行事件の再犯率についてみていきたいと思います。

法務省が刊行する「平成28年版犯罪白書」を参考にします。

平成27年において、検挙人員の数だけみると、窃盗事件に次いで傷害・暴行事件が多いようです。

傷害事件と暴行事件あわせた再犯者率は、12.7%です。

12.7%という数字だけみると少ないように感じます。

ですが、傷害・暴行の検挙人員が総数43,280人にものぼるので、人数としてはかなりある方なのではないかと感じます。

再犯率

傷害事件・暴行事件の成人検挙人員

総数同一罪名
有前科
同一罪名
有前科5犯以上
刑法犯全体200,434人30,462人3,373人
傷害罪19,030人3,410人207人
暴行罪24,250人2,113人103人
※犯罪白書(平成28年版)第6編 第4章 第4節「2 再犯状況」Excelファイルより作成

犯罪白書では、そのほかにも犯罪についてたくさんの情報をみることができます。

法務省のホームページからご覧ください。

傷害事件など刑法犯罪の再犯防止の取り組みに必要なこと

平成28年12月、「再犯の防止等の推進に関する法律」が公布・施行されました。

この法律は、国・地方公共団体、民間団体が連携して、犯罪をした者への指導や支援に当たり「再犯」を防止することが目指されています。

傷害事件にかぎらず、すべての犯罪の再犯を防止するためには、刑罰を与える以外のアプローチも必要になります。

すべての人が再犯を犯すわけではないですが、刑務所から出所した後の環境がどうあるかが、その後の再犯防止に大きく影響するようです。

社会における「居場所」と「出番(仕事)」が、再犯防止には大切であると考えられています。

社会復帰が促進されれば、社会における存在意義をもつことができます。

そうすることで、疎外感・孤立感が起因する再犯を防ぐことができるでしょう。

「居場所」と「出番(仕事)」、それぞれがどのように重要なのかをくわしくみていきます。

居住環境を整える

刑務所などを出所した人の多くは、帰る所がないようです。

「平成27年版犯罪白書」では、入所受刑者の居住状況がまとめられています。

行き場のない人の多くが再犯におよび、再犯回数が多いほどに住居不定の割合もふえています。

このような行き場のない者の住居を確保するため、一時的にでも宿泊場所や食事を提供する施設の機能強化や開拓を進めることが大事であると考えられています。

施設例
  • 更生保護施設
  • 自立準備ホーム

などです。

仕事を確保する

刑務所に再び収容されることとなった人の多くが無職者であるようです。

「平成27年版犯罪白書」では、入所受刑者の就労状況がまとめられています。

無職者の占める比率は、入所度数を重ねるにつれて高くなっています。

仕事の有無と再犯は関連していると考えられており、彼らの就労支援が課題となっています。

刑務所の出所後を見据えて…

  • 職業訓練を行う
  • 雇用先となる協力雇用主の開拓や、協力雇用主へのサポート

再犯防止の対策が、政府の取り組みの課題であるようです。

自分の居場所をつくり、仕事をもつことで、社会の一員であるという意識をもつことが再犯防止には大事であると感じられます。

再犯防止の取り組みについて、政府広報のホームページもご覧ください。

傷害事件の再犯でお悩みのときは…弁護士に相談!

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電話窓口では、弁護士との対面相談の予約をとることができます。

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さいごに弁護士からアドバイスをいただきます。

傷害事件の再犯の場合は、迅速な対応がカギとなります。

いますぐ、弁護士に相談しましょう。

とくに、刑事事件に注力する弁護士であれば、尚よいでしょう。

傷害事件といった刑事事件を専門的にあつかう、弁護士ならではのアドバイスがもらえるはずです。

各事件ごとにあわせた、一番適切な事件解決への道に導いてもらいましょう。

まとめ

傷害事件の再犯をテーマにお送りしました。

  • 再犯の定義とは
  • 傷害事件の刑期は何年?
  • 再犯防止の取り組み

傷害事件の再犯について、もりだくさんの内容をレポートしました。

いかがでしたでしょうか。

傷害事件の再犯を起こし、どうなってしまうのか…

これからの人生のことを考えて、途方に暮れているなら、弁護士に相談してみましょう。

弁護士と今すぐつながるには…

これらを活用して、弁護士を探しましょう。

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本記事以外で、傷害事件に関して知っておきたい情報は『傷害事件で逮捕・前科を回避するための正しい対処法』にまとめているので、興味がある方はご覧ください。

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