傷害事件で不起訴処分に!初犯で被害者と示談できれば罰金は回避できるのか?
傷害事件を起こしてしまった。
そんな時、反省はしながらも、「不起訴にならないか」がとても気になるところ。
- 傷害の初犯で、被害者と慰謝料などの示談をすれば不起訴処分になる?
- 不起訴になると前科や逮捕・勾留、解雇はどうなる?
- 不起訴処分の判断に際し、被害者対応、告訴・被害届などを検察は検討している?
これらのお悩みを、不起訴率や具体的な事例などのデータを検証しながら全て解決していきますよ。
法的な解説は、傷害事件解決の経験豊富なアトム法律事務所の弁護士にお願いしていきます。
よろしくお願いします。
傷害罪で検挙されても、不起訴処分になる可能性はあります。
そのために必要な具体的な活動を、不起訴の仕組みやデータを交えながら解説していきます。
目次
【はじめに】懲役?罰金?傷害罪の刑罰、暴行との違いを確認!
まず傷害罪について簡単に確認しておきましょう。
傷害とは、「人の身体の生理機能を害すること」をいいます。
外傷だけではなく、病毒への感染、失神状態に陥らせる場合なども含みます。
怪我をさせることを代表に、身体に異変を与えることを指すのですね。
一方、「暴行」という言葉もよくテレビのニュースなどで耳にします。
暴行はこう定義されています。
用語説明
「暴行」とは、不法な有形力の行使。
「有形力の行使」とは、殴るなどの他、病原菌の作用や、音、熱の物理力も含みます。
これらを正当な理由なく不法に人に行使すれば、それだけで暴行罪が成立します。
そしてこれによって生理機能を害する結果まで発生すれば、傷害罪となってしまうのです。
これが、暴行と傷害の違いです。
では
傷害罪の刑罰についてもみておきましょう。
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
出典:刑法204条
最も重いと15年も刑務所に入らなければいけないのですね。
これらの刑を避けるためにも、なるべく不起訴を目指したいものです。
そこで、次章から「不起訴」についてしっかりと見ていきましょう。
不起訴ってなに?不起訴になる理由・種類も含め、その意味を解説。
傷害事件の不起訴処分とはどんな意味?
不起訴処分という言葉はよく報道でも目にしますね。
交通トラブルになった男性に重傷を負わせたとして、傷害容疑で逮捕された会社員の男性(28)=東京都大田区=について、東京地検は11日、不起訴処分にした。
出典:朝日新聞デジタル 2017年10月11日22時54分
まずはこの「不起訴」の意味を確認しましょう。
起訴をせず、裁判所に事件の審理を求めない。
それが「不起訴」ということですね。
なお
処分保留という言葉が報道で出てくることもあります。
盛岡地検は1日、傷害致死容疑で逮捕、送検されていた(略)女性(34)を処分保留で釈放した。
出典:河北新報 2017年08月02日水曜日
処分保留とは、身柄を拘束している被疑者について、起訴すべきかを保留にして、釈放することを指します。
起訴か不起訴かの判断をしていない点で不起訴処分とは違いがあります。
詳細については以下の記事をご覧ください。
傷害事件で不起訴になる理由の種類
では、どのような場合に不起訴処分となるのでしょうか。
不起訴になる理由について、解説していきます。
傷害事件につき、不起訴になる理由を3、4種類と考えている方もいるようですね。
ですが法務省の訓令である「事件事務規程75条2項」には、全部で20種類もの理由が定められています。
その中でも特に重要な3つがこちらです。
重要な理由
- ① 嫌疑なし
- ② 嫌疑不十分
- ③ 起訴猶予
嫌疑なしとは、
- 被疑者が犯人でない、または
- 犯罪を証明する証拠がない
ことが明らかな場合です。
嫌疑が晴れた場合ということですね。
詐欺容疑で(略)誤認逮捕された(略)女性(21)について、徳島地検は27日、嫌疑なしで不起訴処分とした。
出典:産経WEST 2017.9.27 20:43
次に、嫌疑不十分とは、
犯罪を認定する証拠が不十分なときです。
「証拠不十分で釈放」という場合ですね。
地検は27日付で、過失往来危険容疑などで書類送検されていた(略)運転手(52)を、嫌疑不十分で不起訴処分とした。
出典:時事ドットコムニュース 2017/12/27-18:08
最後に、最も重要なものとして「起訴猶予」があります。
起訴猶予についての事件事務規程の記載を見てみましょう。
被疑事実が明白な場合において,被疑者の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないとき。
出典:事件事務規程75条2項20号
いかがですか。
「被疑事実が明白な場合」と記載されていますよね。
つまり、実際に傷害をしても」不起訴になる可能性があるということです。
この点が他の二つと異なり、大変重要な特徴です。
注目
傷害をしてしまっても、「絶対に起訴・懲役になる」とは限らない。
実際に傷害事件を起こしてしまった場合は、起訴猶予を目指して活動していくことになります。
しかも
実務においてもこの起訴猶予処分になる割合が多いんです。
参考に、検察統計のデータを見てみましょう。
不起訴理由 | 割合(%) |
---|---|
起訴猶予 | 70.4% |
嫌疑不十分 | 18.4% |
嫌疑なし | 1.4% |
その他 | 9.8% |
合計 | 100% |
参考:検察統計2016
なんと2016年において、起訴猶予は不起訴処分全体の70.4%!
かなり多い割合ですね。
このことからも、起訴猶予の重要性がお分かりいただけと思います。
初犯や示談から不起訴処分になると、傷害事件はどうなる?その効果を解説。
では、傷害事件で不起訴処分になった場合の効果について見てみましょう。
まず警察から逮捕され、検察から勾留されている場合はどうなるのでしょうか。
警察から逮捕され、勾留中の場合、不起訴にはどんな効果がある?
傷害で逮捕されたとしましょう。
その後は警察の留置場に入れられ、取り調べを受けるという流れです。
検察官に事件が送られた(送検)後も、留置場から検察庁へ向かい、検察官から取り調べを受けることになるのです。
その間、留置場から自由に出ることはできません。
さらに
検察官が、起訴判断のために更なる長期の身柄拘束許可を裁判所に求め、それが認められる場合もあります。
これが勾留であり、傷害罪の場合最大で20日間拘束される可能性があります。
因みに
「逮捕から」「勾留請求をするまで」、身体拘束が認められるのは最長72時間です。
よって、「起訴されるか決まるまで」、逮捕から最長で23日間拘束される可能性があるということです。
ですが、不起訴処分となれば即時に釈放され、自由に帰ることができるようになります。
もし逮捕後すぐに不起訴が決まれば、長く拘束されることなく、家に帰ることができるようになるでしょう。
逮捕や「被疑者勾留」は「検察官に起訴の判断をされる間」、逃亡や証拠隠滅を防ぐために認められるものです。
不起訴処分によって「起訴に関する判断」がされているため、その後の拘束は認められません。
逮捕・勾留を会社に通知していない場合、無断欠勤となっている可能性があります。
また家族から病欠と連絡してもらっても、長期にわたることで懲戒解雇の可能性も出てきてしまいます。
留置場から釈放されれば、懲戒解雇の可能性を低下させることができるでしょう。
不起訴なら傷害は無罪で前科や罰金を免れる?さらに大切な効果とは。
傷害で不起訴になれば、前科がつかない?
重要な効果はこれだけではありません。
それが…
重要
不起訴処分なら、前科が絶対につかない!!
前科という言葉が良くないイメージを持つことは皆さんご存知のことでしょう。
ですが、そもそも前科の正確な意味をご存知ですか?
前科とは、確定判決で刑の言渡しを受けたこと。
つまり裁判所から刑を言い渡され、その判決が確定することですね。
この前科がつくと、その後の人生で不利益を負う可能性もあります。
就職や人間関係などで、事実上の不都合を生じる可能性がありますね。
特に傷害罪の前科がつくと、「粗暴な人間なのではないか」とレッテルを貼られることも。
ですが
不起訴になれば、そもそも裁判所による事件の審理がありません。
そのため絶対に前科がつかないのです。
不起訴なら「傷害が無罪」で懲役を免れる、ということ?
前科がつかず、釈放もされるとなると、
これって無罪?
と思うかもしれませんね。
ですが、不起訴と無罪には違いがあるため要注意です。
そもそも「無罪」とは、裁判所が被告人が有罪でないと宣告することです。
先程も見た通り、不起訴ならそもそも裁判所の関与がありません。
不起訴は無罪とは違うものなのです。
傷害事件の前歴ってなに?前科と同じ?
また、前科に似た「前歴」という言葉もあります。
これらも実は意味が全く違うものです。
そもそも前歴とは…
以前に犯罪捜査を受けた、その履歴
をいいます。
前歴は捜査を受けただけでついてしまいます。
また場合によっては、逮捕された履歴、「逮捕歴」を指すときもあります。
そのため
逮捕されたが不起訴になった場合、傷害の「前歴がある」ということになります。
就職活動で「前科前歴」を聞かれたときなど、誤認しないようにご注意ください。
最後に
ここまでのところを表にまとめておきましょう。
前科 | 前歴 | 無罪 | |
---|---|---|---|
意味 | 確定判決で有罪とされた履歴 | 犯罪の捜査を受けた履歴 | 裁判所に有罪でないと宣告されること |
不起訴になった場合 | 絶対つかない | 捜査を受けていればつく | 判断されない |
ではこのような意味を持つ不起訴になった場合、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。
傷害で解雇されるのを避けるため、検察官に「告知書」を請求しよう!
傷害事件で不起訴になった場合、一つ注意することがあります。
それが、
不起訴になったことを、検察官が積極的に教えてくれるとは限らない。
ということです。
逮捕・勾留された場合
この場合は、「釈放に決まりました」と言われて解放されるだけの場合もあるようです。
不起訴か、処分保留か分からないまま、一人で帰る羽目になることも。
逮捕・勾留されていない場合
身柄を拘束されずに、送検だけされる場合(書類送検)も、検察官から必ず連絡がくるわけではありません。
そのため、「傷害で起訴されるのか」不安を感じ続けることもあるでしょう。
そんな場合は
検察官に不起訴になったのかどうかを聞いてみましょう。
もし傷害事件について不起訴処分になったのであれば、「必ず」その旨を教えてくれます。
刑事訴訟法259条より、被疑者が請求すれば、不起訴処分の場合速やかにその旨を告げてもらえます。
また
不起訴になった旨を記載した書面を発行してもらうこともできます。
この書面を不起訴処分告知書といいます。
もっとも
これらはあくまで「不起訴になったか」だけを教えてもらえるだけであり、不起訴の理由は必須の記載ではありません。
傷害事件を起こしてしまうと、会社が懲戒解雇を検討する場合があります。
そんな中不起訴となれば、解雇をしない方向に議論が進むことがあるでしょう。
その際に、まれに不起訴処分告知書の提出を求められる場合もあります。
告知書を使用する機会は滅多にありませんが、このような場合に備えて、交付請求をしておくのも良いのではないでしょうか。
なお
刑事事件を起こしてしまい、解雇されるか否かは人生でとても大きな問題ですよね。
以下に解雇の回避についての詳細な記事をご用意いたしました。
お困りの方はぜひご覧ください。
【不起訴率】傷害事件で不起訴処分になる確率は〇〇%!
ここで気になるのは、
傷害事件を起こした場合、どのくらいの確率で不起訴になるの?
ということですよね。
そこで
2016年の傷害事件における不起訴率を計算してみたいと思います。
まず比較のために、同年の刑事事件全体における不起訴率を計算してみましょう。
統計データ
検察統計をみると、「刑事事件全体の送検数」は371,061件でした。
そのうち「起訴された件数」は119,510件でした。
また、「不起訴になった件数」は160,226件になりました。
ここから不起訴率を計算してみると…。
2016年 | 件数と率 |
---|---|
全件数 | 371,061件 |
起訴 | 119,510件 |
不起訴処分 | 160,226件 |
全件からの不起訴率 | 43.18% |
起訴・不起訴合計からの不起訴率 | 57.28% |
57.28%が不起訴になったという計算でした。
書類送検された場合も含め、半数以上が不起訴になっているんですね。
では
具体的に傷害事件の不起訴率も見ていきましょう。
まず2016年の「傷害事件全体の件数」は47,717件でした。
そのうち、「起訴」されたのは12,513件です。
一方、「不起訴」となったのは24,133件になりました。
起訴・不起訴の合計数から不起訴率を計算してみると、以下の表のような結果になります。
2016年 | 件数と率 |
---|---|
全件数 | 47,717件 |
起訴 | 12,513件 |
不起訴処分 | 24,133件 |
起訴・不起訴合計からの不起訴率 | 65.85% |
傷害罪の不起訴率は59.91%。
なんと刑事事件全体よりも高い水準でした。
といっても2016年だけの確率の可能性もあります。
そこで、2012年からの「不起訴率」推移を見てみましょう。
不起訴率 | |
---|---|
2012年 | 57.05% |
2013年 | 60.74% |
2014年 | 62.80% |
2015年 | 64.00% |
2016年 | 65.85% |
なんと2012年からずっと高水準であることが分かりました。
2013年に60%を超えてから、増加傾向にあります。
よって次のことがいえるでしょう。
重要
傷害事件でも、不起訴処分の可能性が大いにある。
傷害事件の事例10選!初犯や被害者への示談は不起訴に影響するのか。
もっとも、具体的にどんな傷害事件で不起訴になったのかは分からないですよね。
重症や軽症、喧嘩から通り魔まで、さまざまな事件があるでしょう。
そこで、実際にあった具体的な事例を見ていきます。
なお
ここに示した「示談」とは、民事上の紛争を当事者間の合意により裁判外で解決することです。
ここでは「当事者間で損害賠償など民事事件に関する紛争を解決する合意が成立した場合」とだけ知っておいていただければ大丈夫です。
事例① |
---|
▼事案:交通トラブルから喧嘩になり、顔面を3発殴って全治3週間の怪我を負わせる。 ▼前科:初犯 ▼示談:成立 ▼判断:不起訴 |
事例② |
▼事案:妻の髪をハサミで切断する際、防御しようとした妻の指に切り傷を付ける。 ▼前科:初犯 ▼示談:成立 ▼判断:不起訴 |
事例③ |
▼事案:従業員を大工道具で殴打し、全治2週間の怪我を負わせた。 ▼前科:初犯 ▼示談:成立 ▼判断:不起訴 |
事例④ |
▼事案:夫婦喧嘩で妻が夫をキッチンナイフで刺す。 ▼前科:初犯 ▼示談:示談金の支払いはないが、許す旨の意思表示あり。 ▼判断:不起訴 |
事例⑤ |
▼事案:被害者宅で顔面を殴り、全治3週間の怪我を負わせる。 ▼前科:前科あり ▼示談:成立 ▼判断:不起訴 |
初犯で示談が成立している場合には、不起訴となることが多いことが分かりますね。
また事例④では示談金の支払いがなくとも、加害者を許す旨の意思が被害者から表示されている点が重視されています。
さらに初犯でなく、前科がある場合でも、示談が成立したことが重視されたと推察できる事例⑤も特徴的ですね。
続いて
では、傷害で「起訴された事例」も見てみましょう。
不起訴になった場合と、どのような差があるのでしょうか。
事例① |
---|
▼事案:顔面を殴り、さらに膝で数回蹴り上げ、全治2週間の怪我をさせる。 ▼前科:初犯 ▼示談:成立 ▼量刑:罰金30万円 |
事例② |
▼事案:顔面を殴り、さらに背中を数回殴り、全治10日の怪我をさせる。 ▼前科:初犯 ▼示談:成立 ▼量刑:懲役10月、執行猶予3年 |
事例③ |
▼事案:被害者の頭部を杖で数回殴り、背後から羽交い絞めしたまま路上に倒して全治10日の怪我を負わせた。 ▼前科:前科1犯 ▼示談:不成立 ▼量刑:懲役1年、執行猶予3年 |
事例④ |
▼事案:被害者が運転席に窓から手を入れているのを知りながら発車し、転倒させて全治2週間の怪我を負わせた。 ▼前科:前科1犯 ▼示談:不成立 ▼量刑:懲役1年 |
事例⑤ |
▼事案:被害者1を数回殴り全治3週間の怪我を負わせた。また被害者2を殴り、全治3か月の怪我を負わせた。 ▼前科:前科1犯 ▼示談:成立 ▼量刑:懲役3年 |
前科があり、示談も不成立な場合は、起訴される可能性が高そうですね。
とはいえ、不起訴の事例⑤と同様に「前科があるも示談が成立」した起訴事例⑤が起訴されているなど、一貫した法則は見出せません。
事例①②に至っては、初犯で示談が成立しているにも関わらず起訴」されています。
データベースからは読み取れない事情が考慮されたと推察できますね。
ここから言えることは…
重要
具体的事案によって起訴・不起訴の判断は変わってくる。
ということです。
事件の事情を全体的に考慮し、不起訴の判断がされていることが分かりました。
とはいえ
前科と示談が重視されていることは確かです。
他にも、不起訴に影響を及ぼしている特定の事情があるでしょう。
そのため次章で、これら特定の事情について、検証していきたいと思います。
傷害事件において、被害者の告訴・被害届・慰謝料・解雇は不起訴にどう影響する!?
ここからは、傷害事件で不起訴の判断に影響を及ぼすであろう特定の事情について見ていきます。
被害者の告訴・被害届
傷害事件を起こしてしまった場合、被害者が告訴し、または被害届を出すことがあります。
「被害届」とは警察に被害の発生を届け出ることをいい、捜査のきっかけともなります。
一方、告訴というものもあります。
「告訴」とは、犯罪の被害者その他の告訴権者が、捜査機関に対し、犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める意思表示をいいます。
そして、告訴がなければ起訴されない犯罪を「親告罪」といいます。
傷害罪は親告罪ではないため、被害者の告訴がなくとも起訴されることがあります。
告訴は被害届と異なり、被害の存在に加えて「犯人の処罰を求める意思」も有している必要があります。
ですが、被害届も告訴も、被害者の処罰感情のあらわれと考えることができます。
そのため
示談交渉などにより、被害届の取り下げや、告訴の取り消しを被害者がした場合は、不起訴の可能性が高まります。
取り下げなどにより、被害者の処罰感情が低下したと考えられるためです。
示談と被害届について詳しい記事をご用意いたしましたので、興味のある方はご覧ください。
慰謝料の支払い
「慰謝料」とは、法的には被害者の精神的な損害を賠償するための金銭を指します。
怪我の治療費などは厳密には慰謝料とは異なるのでご注意ください。
この慰謝料と、治療費などの損害賠償をまとめて支払うことで、被害者の損害が一定程度回復したと考えられます。
そのため、慰謝料などの支払いは、不起訴の可能性を高める事情となります。
なお
示談交渉で、慰謝料を含め、損害を賠償するために当事者間で合意した額の金銭を「示談金」といいます。
示談金の支払いも、被害が一定程度の回復したとみられるため、不起訴の可能性を高めます。
報道・懲戒解雇
続いて、報道や懲戒解雇は不起訴の判断にどう影響するのでしょうか。
傷害事件を起こしてしまい、懲戒解雇になる報道もよく目にしますよね。
傷害の疑いで警視庁が書類送検した(略)部長の男性(51)を、8月28日付で懲戒解雇にしたと明らかにした。
出典:産経ニュース 2017.9.27 18:08
このように傷害罪について懲戒や報道をされることは、不起訴の可能性を高める場合があります。
懲戒を受けたり、実名報道などをされると、社会的な制裁を受けたと評価できます。
そのため、それ以上刑罰を科す必要性が低下するのです。
報道や懲戒があった場合は、その旨を検察官に伝えるようにしましょう。
以上
傷害事件で不起訴の判断に影響を及ぼす具体的な事情をお伝えしました。
傷害事件を起こした場合、不起訴になるにはどんな活動をするべきか。
では、実際に傷害の疑いで送検された場合、どのような活動をしていくべきなのでしょうか。
被害者との示談成立を目指す。警察に逮捕された場合は弁護士に依頼!
まず実際に傷害事件を起こした場合、示談の成立を目指していくことになります。
先程も述べたように、示談金の支払いにより被害の回復を図ることが大切。
また、他にも宥恕条項という重要な条項があります。
「宥恕条項」とは、「加害者を許す、処罰を望まない」という旨の意思を記載した条項です。
怪我を負った被害者の処罰感情も検察官は考慮するため、宥恕条項は不起訴の可能性を高めます。
また先程も述べたように、宥恕を超えて、告訴取消・被害届の取り下げも示談の内容に加えられる場合があります。
被害者の処罰感情を考慮し、不起訴になる可能性が高まるでしょう。
もっとも
「逮捕・勾留されている場合」は自分で示談交渉をすることができません。
また、そもそも暴力を振るわれた加害者に会いたがらない被害者も多いことでしょう。
よってこのような場合は弁護士に依頼するのが有効です。
専門的な知識で、被害者の気持ちにも沿った適切な示談交渉をしてくれるはずです。
参考
下に示談の詳細を記載した記事をご紹介します。
示談を被疑者主導で行うことの困難さ、弁護士の有用性などについて、ぜひご覧ください。
なお被害者が示談成立に反対し、示談ができない場合があります。
そんなとき、贖罪寄付という手段もあります。
用語解説
「贖罪寄付」とは、反省と贖罪の気持ちを表明するために、公益活動をしている団体などに寄付をするもの
たとえば「日本弁護士連合会」では、経済的に恵まれない方へ弁護士費用を援助するための原資として寄付金が使われます。
贖罪寄付をすると、弁護士会から「贖罪寄付を受けたことの証明書」を発行してもらうことができます。
これにより、反省の状況を検察官に知らせることができます。
取り調べでどこに気を付ければ、傷害事件で不起訴になる?
次に、警察や検察から傷害事件を取り調べられる際の注意点についてお伝えしていきます。
傷害の自白事件で気を付けること。
まず傷害をしたことを認める自白事件では、取調べに臨む態度が重要です。
誠実に、素直に取り調べに対応することが大切です。
示談や初犯も考慮されますが、そもそも被疑者が真剣に反省していなければ刑罰を科す必要性があると考えられてしまいます。
しかも
相手は捜査・取り調べのプロです。
上辺だけの反省は、むしろ逆効果。
怪我をさせてしまったことに向き合い、誠実に取り調べに対応しましょう。
とはいえ、取り調べの中で「やってもいない傷害」を認められそうになった場合はしっかりと否認しましょう。
見に覚えのない多くの傷害まで認めると、悪質だとして起訴されることもあります。
とはいえ、プロを相手にどう否認すればよいかなんて分かりませんよね。
そんな場合は専門家である弁護士に相談してみましょう。
重要
素直な態度や反省は必要だが、いいなりにならないよう注意!
傷害の否認事件で気を付けること。
一方、冤罪など「傷害を否認すべき場合」は、しっかりと否認を貫きましょう。
一度傷害を認める供述調書に署名してしまえば、それを後から覆すのは大変困難なためです。
特に屋内など、二人だけの状態で暴力を振るったと供述した場合、それを否定する目撃者などの証拠がありません。
覆すことが難しいのですから、そもそも誤った供述をしないことが重要です。
もっとも
実際は犯行をしたのに、やみくもに否認するのはリスクがあります。
取り調べが長引きますし、逮捕や起訴される可能性もあります。
全ての事情をしっかりと弁護士に話し、適切な対応を相談しましょう。
参考
なお、取り調べではそれ以外にも様々な点に注意する必要があります。
以下の記事で取り調べの注意点を詳述していますので、ぜひご覧ください。
もう暴力に走らない。再犯可能性を下げて不起訴になる。
また短気な方などは、再犯の可能性を下げる対策をとることも必要です。
再犯の可能性が高い場合には、矯正のために刑事罰を科す必要性が高まってしまうためです。
具体的には
- ① アンガーコントロールのカウンセリングを受ける。
- ② 酒癖が悪い場合には、飲酒を控えるよう家族などに監視してもらう。
などの対策をたてるべきでしょう。
傷害事件を多く扱う弁護士であれば、再犯防止策も教えてくれるかもしれませんね。
傷害事件の不起訴について、弁護士に相談!
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以上、傷害事件における不起訴についてみてきました。
ですが相手を怪我させてしまった事情はさまざま。
事情に即した具体的な見通しを知りたいですよね。
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最後に一言アドバイス
いかがでしたか。
傷害事件における不起訴について、分かっていただけたのではないでしょうか。
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傷害罪で送検されても、不起訴で釈放される可能性はあります。
そのためには事件後、示談などの被害者対応を迅速にすることが大切。
弁護士ならば、蓄積された経験からスムーズに示談を成立させられる可能性もあります。
時期が早いほど、選択肢は多いものです。
傷害事件でお困りの場合はぜひ弁護士にご相談ください。
まとめ
以上、傷害における不起訴について、具体的ケースも踏まえて考えてきました。
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傷害事件に即した具体的なアドバイスをしてもらえると思いますよ。
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本記事以外で、傷害事件に関して知っておきたい情報は『傷害事件で逮捕・前科を回避するための正しい対処法』にまとめているので、興味がある方はご覧ください。
さらに、関連記事も要チェックです!
傷害事件に関するご不安が、一日でも早く解消されるよう祈っています。