逮捕後の警察による取り調べとは?|流れ、期間・黙秘権まで徹底解説!
逮捕されて、取り調べを受けそう!
でも実際どう取り調べられるのか、想像もつかず不安ですよね。
そんな方の疑問を解消すべく、警察や検察による逮捕と取り調べの全てを弁護士に聞きました。
写真撮影や、期間、流れや聴取との関係、黙秘権や取り調べの拒否も。
話題の録音・可視化など最新の情報も全てご説明していきます。
刑事訴訟法など、法的な解説については、テレビでもおなじみのアトム法律事務所の弁護士にお願いしていきます。
よろしくお願いします。
逮捕や取り調べは、対応方法を知っていないと振り回されるばかりです。
ご自分の権利を守れるよう、しっかりと解説していきます。
目次
逮捕され、取り調べを受けるときは、どんなところに注意する必要があるのか。
実際の流れを追いながら、みていきましょう!
覚醒剤や大麻で「逮捕」!その後の流れと「取り調べ」の関係。
取り調べ目的の逮捕が違法ってホント?証拠集めのためなら?
覚醒剤や大麻で逮捕されたとしましょう。
この場合の「逮捕」の定義について、まずお伝えしましょう。
逮捕とは被疑者又は現行犯人が、捜査機関などに身体の自由を拘束され、引き続き抑留されることをいいます。
警察などに捕まり、家に帰れないということですね。
逮捕の意味や類型についての詳細は、以下の記事をご覧ください。
そして実はこの逮捕、
取り調べを目的としてすることはできないんです!
刑事訴訟法と規則によれば、被疑者に
- ① 逃亡のおそれか、
- ② 罪証を隠滅するおそれ
がなければ逮捕できません。
つまり、逮捕は逃亡か罪証隠滅を防ぐためにしか許されません。
逃亡や罪証隠滅の恐れがない場合には、取り調べのためだけに逮捕をすることはできません。
証拠集めのためでも同様です。
仮に、そのような目的で逮捕してしまった場合、それは違法な逮捕となります。
逮捕後の流れ。警察で写真まで撮られる…?
では逮捕された後の流れをご説明しましょう。
逮捕されると、しばらく留置場で過ごすことになり自由に帰れません。
基本的に留置場から取調室に連れていかれ、取り調べを受けていくことになります。
そして最初に写真と指紋をとられます。
写真撮影はテレビでよく見るイメージ通りのようですね。
逮捕された場合は、写真撮影と指紋採取を断ることはできません。
刑事訴訟法218条3項で規定されているためです。
身体の拘束を受けている被疑者の指紋若しくは足型を採取し、身長若しくは体重を測定し、又は写真を撮影するには、被疑者を裸にしない限り、第一項の令状によることを要しない。
出典:刑事訴訟法218条3項
一方…
DNA採取をされることもあります。
口の中を綿棒でこする方法を採るようです。
ですが、こちらは断ることもできるんです!
とはいえ、何を断ることができるかなんてわかりませんよね。
逮捕され、留置場に入れられている場合はとにかくショックが大きく、なおさらです。
そのため、なるべく早く弁護士に相談することが大切なのですが、これについては後述します。
後日検察に移され、取り調べが続く!
警察に取り調べられた後は、検察官から取り調べられることになります。
この取り調べをもとに、勾留請求・起訴・釈放を検察官から決められることになります。
用語解説
勾留とは、被告人や被疑者を拘禁する刑事手続上の強制処分。
逮捕に引き続き、家に自由に帰れないということ。
検察官からの取り調べも、気を付けるべきポイントは警察による取り調べと同様です。
なお、検察庁での取り調べは『検察庁の取り調べは捜査の一環!時間はどれくらい?怖いって本当?』で特集しています。
また、取り調べから起訴までの流れについては『逮捕・勾留から起訴までの流れ|図解でスッキリ刑事事件』で特集しています。
刑事訴訟法からみる、取り調べの基礎!
取り調べとは何か!?
そもそも取り調べとは何なのでしょうか。
まずはその定義を確認しましょう。
取り調べとは、被疑者や参考人が捜査機関に供述を求められる行為をいいます。
逮捕された場合は、被疑者として警察や検察から供述を求められることになります。
警察や検察は捜査のために情報を集めなければいけません。
逮捕された被疑者が知っている情報を聞き出そうと、取り調べをするのです。
取り調べについて、刑事訴訟法には次のような規定があります。
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。
出典:刑事訴訟法198条1項
捜査機関がおこなう取り調べは、この条文が根拠です。
逮捕された場合、留置場で生活しながら、取調室で取り調べを受けることになります。
聴取って取り調べとは違うの?
一方、聴取という言葉もよく耳にしますね。
取り調べとは違うのでしょうか。
実は「聴取」という言葉は刑事訴訟法上にはありません。
ニュースなどで「事情聴取」などと聞くことがありますが、それも取り調べのことを指します。
逮捕の有無で使い分けているケースもありますが、どちらにせよ捜査機関から供述を求められていることをいいます。
以上…
取り調べの基礎的な意味をお伝えしました。
次に取り調べの詳しい内容や、注意点について、見ていきましょう。
警察による取り調べの詳細を弁護士に聞く!詐欺や盗撮を題材に。
警察や検察から取り調べを受けている…。
そんなときはショックや不安で頭が真っ白になってしまうのではないでしょうか。
特に逮捕された状況ではなおさらです。
ですが頭が真っ白のまま、なすがままにされていると思わぬ不利益を負うこともあります。
実は取り調べで供述した内容は、供述調書という書面になります。
その書面に被疑者が署名をすると、後日裁判で証拠として使われることになるのです。
そのため、供述内容はとても大切。
誘導され、安易に供述をしていると、してもいない事実が裁判所に認定される可能性もあります。
そのことをしっかりと頭に置きながら取り調べを受ける必要があります。
そこで、ここからは取り調べで覚えておくべき重要なポイントについてお伝えします。
取り調べで忘れてはならない「黙秘権」と「供述拒否権」
たとえば詐欺や盗撮をして逮捕された場合。
その後には警察や検察官による取り調べが待っています。
ですがこの取り調べ、実は供述するかどうか自由って知ってましたか?
刑事訴訟法198条2項によれば、取り調べは「自己の意思に反して供述をする必要」がありません。
供述したくないことは、「言いたくない」と主張できるということです。
これと似た概念として、黙秘権というものがあります。
不利益な供述とは、刑事責任を負ってしまうような供述です。
国や捜査機関が「詐欺罪を犯したか供述しろ!」とは言えないということですね。
何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
出典:憲法38条1項
どちらも供述を拒めるという点では同じですね。
もっとも、刑事訴訟法では供述を拒める範囲には限定がありません。
どんな内容の供述でも拒否することができます。
これを「供述拒否権」といいます。
黙秘権 | 供述拒否権 | |
---|---|---|
対象 | 不利益な供述 | あらゆる供述 |
根拠条文 | 憲法38条 | 刑訴法198条2項 |
漫然と供述していると、供述調書が裁判で証拠として使われることも。
否認や黙秘をすべきときは、心を強くもって貫きましょう。
注意
ただし注意も必要です。
素人考えで否認や黙認することは不起訴処分獲得に対して逆効果となってしまうこともあります。
冤罪の場合は否認や黙秘を貫くことが大切です。
しかしそうでないのに不当に黙秘を貫くと、無反省として重い刑罰を請求されるなど、不利益を負う場合もあります。
本来不必要な否認や黙秘をしてしまうほど長期間拘束され、不利益を負う場合もあるでしょう。
具体的事件によって採るべき態度は異なりますので、不安な場合は弁護士に相談しましょう。
取り調べは拒否できるのか!?
では、供述だけではなく、取り調べ自体を拒否することはできるのでしょうか。
これについては、刑事訴訟法に手掛かりがあります。
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。
出典:刑事訴訟法198条1項
この規定によれば、逮捕されている場合は自由に退去できないことになります。
実質的に取り調べも拒否することは難しいでしょう。
とはいえ、供述を拒否できることには変わりません。
弁護士と相談し、一番適した態度をとるようにしましょう。
供述調書に安易に署名をしてはいけない!?
このように拒否せず、供述をしたとしても注意するポイントがあります。
供述を書面にした後、内容に間違いがなければ署名をするよう求められます。
ここで注意すべきなのが、供述調書に署名をすれば、自分がその内容通りの供述をしたという証拠になることです。
被疑者は、内容のおかしい調書へのサインを拒否し、内容の変更を申し立てることができます。
(略)一度作成された調書は二度と取り消すことができないため、この点は無罪を獲得するに当たってとても重要です。
事実と異なる記載があればもちろん、微妙なニュアンスの違いでも、裁判になって不利に働くことがあります。
自分が有罪となるか否か、どのくらい重い刑になるかが決まる大切な要因ですから、安易に署名をしないようにしましょう。
違う場合は違うと指摘し、満足できる内容になるまで妥協せずにいることが大切です。
厳格!取り調べの期間・時間にはこんな制限が!
続いて期間・時間の制限についてお伝えします。
逮捕後にされる警察・検察からの取り調べですが、実は時間制限があるんです。
詐欺や盗撮で逮捕された場合、身柄を拘束されたまま警察や検察から取り調べられるのは最長で23日間です。
それまでに検察官によって起訴されるか否かが決められます。
もっとも、この期間制限は「身柄を拘束されたまま」取り調べられる制限です。
起訴するかの決定を保留にしたまま釈放された場合、その後も任意での取り調べが続く可能性もあります。
ですが警察や検察官としては、身柄拘束中に有効な供述を得るべく取り調べることでしょう。
余罪の取り調べは認められるのか!?
盗撮で逮捕されたのに、いつの間にか詐欺について取り調べをされている…。
ちょっと待ってください!
それ、違法な余罪取り調べではないでしょうか!?
余罪とは、逮捕、勾留の理由となった事件及び起訴されている事件以外のものなど、その捜査手続の直接的対象となっていないものを指します。
盗撮で逮捕・勾留された場合、それと全く関係のない詐欺事件は余罪となります。
余罪の取り調べが全く許されないわけではありません。
ですが、逮捕できるほど証拠が集まっていない重大な詐欺事件について取り調べをするために、あえて軽微な罪で逮捕された場合などは違法の可能性もあります。
この判断も事案によって異なりますので、とにかく疑問に思ったことは専門家である弁護士に相談することが大切です。
取り調べで嘘をついたらどうなる!?
よく取り調べで嘘をついたら偽証罪になる、と思われている方もいるようです。
ですが偽証罪とは、公判廷で宣誓をした証人が嘘をついた場合に成立する犯罪です。
被疑者が取り調べで嘘をついても、偽証罪が成立することはありません。
ただし
嘘をつくことで取り調べが長引いたり、裁判で重い刑を求められる可能性があります。
それも含めた注意点を弁護士にあらかじめ聞いておきましょう。
録音や録画。話題の「取り調べ可視化」とは。
昨今、取り調べの可視化が大きく話題になっています。
2016年5月に、裁判員裁判対象事件・検察独自捜査事件について、身体拘束下の被疑者取調べの全過程の録画を義務付ける改正刑事訴訟法が成立しました。
出典:日本弁護士連合会公式HP
現在では一部の事件を除いては、取り調べの全過程録画が義務付けられていません。
密室で取り調べが行われる場合、不当な取り調べでないかは常に警戒する必要があります。
このような場合は、弁護士に録音や録画をするよう要求してもらうことも有効かもしれません。
可視化の代わり?警察が定めた監督制度とは!?
また監督制度というものも存在します。
監督制度とは、捜査をしない管理部門によって取調べの監督を実施する仕組みをいいます。
可視化は後日第三者によって確認できるものですが、監督制度は警察内部で監督するという制度です。
一定の成果をあげているようですね。
取り調べで「なんかおかしいな」と思ったときには、監督対象の行為にあたらないかを弁護士に聞いてみるのもよいかもしれません。
逮捕や取り調べが不安…。そんなときも弁護士に相談!
逮捕された!そんなときはまず当番弁護士を呼ぼう!
以上、取り調べとその注意点についてお伝えしてきました。
しかし、いざ逮捕された場合にはショックで頭が回らないかもしれません。
ですがこれだけは覚えておきましょう。
Point
弁護士にまず相談する!
そこでまずご紹介したいのが、当番弁護士制度です。
当番弁護士とは
逮捕された場合に、裁判前でも弁護活動を行いやすくするための制度です。
初回無料で弁護士を面会に呼ぶことができます。
法律の専門家から注意点を漏れなく聞いておくことで、その後の取り調べに対し、適切に応じることができます。
当番弁護士制度は日本弁護士連合会が主催しており、各地域の弁護士会が窓口となっています。
逮捕された地域の弁護士会に連絡することで、登録している弁護士が無料相談に来てくれますよ。
その連絡先は先ほどのリンク先にありますので、探してみてください。
たとえば大阪ですと下の番号になります。
本人が連絡する場合は留置場や拘置所の施設職員を通じてすることになります。
当番弁護士は家族や友人が依頼することもできるので、上記電話番号に直接かけるのは主にこれらの方々になるでしょう。
その場合は以下の内容を電話で話してください。
- 申込者の名前、住所、連絡先の電話番号、被疑者との関係
- 被疑者の名前、生年月日、年齢、通訳の要否と言語
- 罪名、逮捕日時、在監場所
以上が当番弁護士のご紹介でした。
ショックで混乱しているときでも、専門家の言葉ならすっと入ってくるもの。
これからの見通しと、注意点を聞いておきましょう。
逮捕前でも相談したい!そんな人は「スマホ相談!」
また、後日逮捕されるかもしれないと不安な方もいらっしゃるでしょう。
そんなときはお手持ちのスマートフォンで弁護士に相談してみませんか?
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弁護士事務所ばかりです。
当番弁護士は刑事事件の専門でない弁護士がくる場合もあります。
そんな場合は他の弁護士を頼みたいと思うかもしれませんが、また初めから説明しなければなりません。
それならば最初から特定の信頼できる弁護士に依頼してしまうのも一つの手です。
興味がある方はぜひ探してみて下さいね。
最後に一言アドバイス
いかがでしたでしょうか。
最後にアトム法律事務所の弁護士からひと言アドバイスをお願いします。
逮捕され、取り調べを受けるときはとにかく不安なものです。
しかし弁護士に相談し、今後の見通しと取り調べでの注意点を知れば、ご自分の権利をしっかりと守ることができるでしょう。
一度供述調書に記載された内容を覆すのはとても大変なことです。
パニックから真実でない供述をしないように、取り調べ初回からしっかりと準備を整えましょう。
逮捕されたらとにかくすぐ弁護士にご相談ください。
まとめ
いかがでしたか。
逮捕と取り調べについてお伝えしてきました。
ですが逮捕されるか不安な方は、具体的な見通しなどを知りたいと思うかもしれませんね。
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なお、本記事に記載したこと以外で逮捕前に知っておきたい情報は『逮捕されたくない人必見の正しい対処法|条件を知れば怖くない』にまとめているので、興味がある方はご覧ください。
それ以外にも関連記事をご用意しましたので、ぜひご覧下さい。
ご不安が一日でも早く解消されることを祈っています。