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強姦事件のすべて|初犯でも逮捕後は懲役に?強姦事件の全情報を網羅

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強姦事件のすべて|初犯でも逮捕後は懲役に?強姦事件の全情報を網羅

2023年7月13日以降の事件は「不同意性交等罪」に問われます。

よくある犯罪に焦点をあて、弁護士の監修のもと徹底調査したレポートを公開中の罪名ナビ。

今回は、「強姦罪」についての調査結果をお届けします。

強姦罪は、平成29年7月12日以前の強姦事件に適用される犯罪です。

この記事では、旧法である強姦罪について「旧強姦罪」と呼び、平成29年7月12日以前の強姦事件の全情報を網羅して解説していきます。

それでは、旧強姦罪の意味刑期時効逮捕の流れ慰謝料、そして示談まで、徹底的に見ていきましょう。

旧強姦罪とは、旧強姦罪の構成要件

旧強姦罪の定義とは

旧強姦罪とは、暴行または脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫することによって成立する犯罪をいいます。

また、暴行または脅迫を用いなくても13歳未満の女子を姦淫する場合も成立します。

「姦淫」とは男性器を女性器に挿入することをいいます。

改正前旧刑法の条文では、旧強姦罪について以下のように定められています。

女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、3年以上の有期懲役に処する。

2017年改正前旧刑177条

旧強姦罪の構成要件とは

旧強姦罪の構成要件とは、旧強姦罪が成立するための要件のことです。

旧強姦罪の構成要件が認められれば、精神障害などで責任が認められないなどの特別の事情がない限り、旧強姦罪が成立します。

旧強姦罪の構成要件の判断方法は?

旧強姦罪の構成要件の該当性は、

  1. ①旧強姦罪の実行行為があるか、
  2. ②旧強姦罪の結果が生じたか、
  3. ③旧強姦罪の実行行為と結果との間に因果関係が認められるか、
  4. ④旧強姦罪の故意が認められるか、

によって判断されます。

旧強姦罪の構成要件のポイント

旧強姦罪の類型は?

改正前の刑法177条は、前段と後段で異なる類型の強姦罪を規定しています。

前段では13歳以上の女子を姦淫する類型、後段では13歳未満の女子を姦淫する類型の強姦罪を規定しています。

旧強姦罪の保護法益は?

保護法益とは、法律が守ろうとしている利益のことです。

旧強姦罪の保護法益は、個人の性的自由です。

旧強姦罪の実行行為は?

改正前の刑法177条前段の13歳以上の女子に対する旧強姦罪の実行行為は、暴行または脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫しようとすることです。また、改正前の刑法177条後段の13歳未満の女子に対する旧強姦罪の実行行為は、13歳未満の女子を姦淫しようとすることです。

「姦淫」の意義については、不道徳な性交に限らず、単なる性交をいう、と考えるのが一般的です。

旧強姦罪の手段としての「暴行又は脅迫」とは?

暴行は身体に向けられた不法な有形力の行使をいいます。脅迫は害悪の告知をいいます。

暴行・脅迫の度合いは、判例によれば、被害者の反抗を著しく困難にする程度のものであれば足り、反抗できなくなる程度に達する必要はありません。

旧強姦罪の結果は?

旧強姦罪の結果は姦淫行為が行われたことです。

裁判例によれば、姦淫は性器の一部没入既遂となり、射精までは必要ありません。

旧強姦罪の行為と結果との間の因果関係が否定されるのはどのような場合か?

暴行・脅迫によって反抗を著しく困難にする状態が、姦淫の時点において存在しない場合は因果関係が否定されます。

因果関係とは、簡単にいうとあの行為がなければこの結果もなかったという関係をいいます。

旧強姦罪の因果関係が問題になるのは、例えば、暴行・脅迫から時間が経った後に姦淫が行われたような場合です。

たとえば、万引きを発見された女性が、警察に通報されたくなければ言うことを聞け、と脅迫され、その2週間後に性的関係を持った事件の裁判では、脅迫と姦淫との間に因果関係が認められました。

旧強姦罪の故意は?

被害者が本心から性交に承諾したものと誤信したときは故意を欠くことになり、旧強姦罪は成立しません。

また、改正前の刑法177条後段の13歳未満の女子に対する旧強姦罪については、13歳未満であることの認識が必要で、13歳以上と誤信したときは、故意を欠き、旧強姦罪は成立しません。

もっとも、暴行・脅迫を用いて13歳未満の女子に姦淫すれば、13歳未満であることの認識がなく故意を欠いても、前段・後段の区別なく強姦一罪が成立する、というのが判例の考え方です。

旧強姦罪が未遂になるのはどのような場合か?

旧強姦罪の実行行為に着手したものの、旧強姦罪の結果が生じなかった場合に、強姦未遂罪が成立します。

改正前の刑法177条前段の13歳以上の女子に対する旧強姦罪については、手段となる暴行・脅迫を開始した時点で実行行為の着手、つまり強姦未遂を認めるのが判例です。

具体的には、被害者を自動車内か他所へ連行して強姦しようとして車内に引きずり込もうとした時点で、強姦の実行行為の着手を認めた判例があります。

また、改正前の刑法177条後段の13歳未満の女子に対する旧強姦罪については、姦淫行為を開始した時点で実行行為の着手、つまり強姦未遂が認められます。

旧強姦罪と刑期

旧強姦罪と刑期の関係

旧強姦罪の刑罰(~H29.7.12)

旧強姦罪を犯した者は、刑法で「3年以上有期懲役に処する」と定められています。

有期懲役の刑期の上限は通常20年です。つまり、旧強姦罪が成立した場合、通常3年以上20年以下の懲役に処されることとなります。

旧強制性交等罪の刑罰(H29.7.13~R5.7.12)

なお2017年7月13日、改正刑法施行にともない、旧強姦罪は旧強制性交等罪となりました。強制性交等罪の刑罰は5年以上20年以下の懲役です。

不同意性交等罪の刑罰(R5.7.13~)

さらに2023年7月13日、再度の改正刑法施行にともない、旧強制性交等罪は不同意性交等罪となりました。不同意性交等罪の刑罰は5年以上20年以下の拘禁です。

刑罰は刑務所で過ごすこと?

旧強姦罪の刑罰は、懲役です。懲役とは、懲役刑のことで、有罪判決を受けた人物を刑務所に収監し、刑務作業を行わせる刑罰をいいます。

なお、旧強制性交等罪の刑罰も懲役です。また、不同意性交等罪の刑罰は、拘禁です。拘禁とは、拘禁刑のことで、有罪判決を受けた人物を刑務所に収監し、刑務作業をおこなわせたり、更生に必要な指導をされたりする刑罰です。

もっとも、刑事裁判で懲役刑・拘禁刑が言い渡されても、加害者側に有利な事情も考慮され執行猶予になれば、直ちには刑務所に収監されないです。

執行猶予後は、社会で日常生活を送り、再び犯罪をした場合に限り、執行猶予が取り消されて刑務所に収監されることになります。

旧強姦罪の刑期に関するQA

旧強姦罪の初犯の刑期は何年?

旧強姦罪が成立した場合、3年以上20年以下の懲役に処されます。

初犯の場合の刑期も、この法律の範囲内で言い渡されることになります。

実際に言い渡される刑期は、旧強姦罪の行為の悪質性の程度、犯行の動機や目的、加害者が立ち直る可能性など、様々な事情によって異なってきます。

強姦は他の犯罪と検証して刑罰が重く、事件が起訴された場合は初犯でも実刑になることがほとんどです。

刑期の長さは事件の性質によって異なるので一概には言えませんが、実刑4~5年以上となることが多いです。

旧強姦罪でも執行猶予になる?執行猶予になるためには?

旧強姦罪で起訴された場合、執行猶予になることは少ないです。

旧強姦罪で有罪になると懲役3年超の判決が下されることが多いです。裁判所が執行猶予をつけられるのは刑期が3年以下と限られているため、刑期が3年を超えることが多い旧強姦罪では執行猶予になりにくいです。

もっとも、起訴後に被害者と示談が成立被害者が実刑を求めていないといった特別な事情がある場合や、強姦未遂である場合は、執行猶予になることがあります。

刑事裁判で懲役刑が言い渡されても、執行猶予になれば、直ちには刑務所に収監されないです。

執行猶予後は、社会で日常生活を送り、再び犯罪をした場合に限り、執行猶予が取り消されて刑務所に収監されることになります。

執行猶予になるためには、まず、強姦事件の被害者に謝罪賠償が尽くされ、示談が成立していることが大切です。

旧強姦罪と時効

旧強姦罪と時効の関係

旧強姦罪の時効は、刑事の時効と民事の時効に分けることができます。

旧強姦罪の刑事の時効とは、公訴時効のことです。

公訴時効とは、検察官の公訴する権限を消滅させる時効のことです。公訴時効が成立すれば、検察官は事件を起訴することができなくなります。

旧強姦罪の民事の時効とは、損害賠償請求権の消滅時効のことです。

民法724条の規定により、「損害および加害者を知った時」から3年間又は「行為の時」から20年間権利を行使しないときには、その権利は消滅するとされています。

旧強姦罪の時効に関するQA

旧強姦罪の公訴時効の時効期間は何年?いつから進行する?

旧強姦罪の公訴時効は10年です。公訴時効は犯罪行為が終わった時から進行します。

旧強姦罪が終わった時から10年が経過した後は、検察官は強姦事件を起訴することができないということになります。

強姦罪強制性交等罪不同意性交等罪
適用H29.7.12までH29.7.13~R5.7.12R5.7.13から
時効10年10年15年
2023年8月25日現在の情報です。

なお改正法が施行された時点で公訴時効が完成していない場合、新法の時効期間が適用されます。

仮に平成29年7月12日、成人女性を姦淫した強姦事件をおこした場合、公訴時効が完成するのは、強姦事件が終わった時から15年を経過した時点となります。

また2023年改正法によれば、性犯罪の被害者が18歳未満である場合、犯罪が終わったときから被害者が18歳になる日までの期間が、公訴時効の期間に加算されます。

仮に平成29年7月12日、12歳の女性を姦淫した強姦事件をおこした場合、公訴時効が完成するのは、強姦事件が終わった時から21年(15年+6年)後となります。

旧強姦罪の民事の時効期間は何年?いつから進行する?

旧強姦罪の民事の賠償請求権の時効期間は3年です。

損害賠償請求権の消滅時効は損害および加害者を知った時から進行します。また、行為時から20年間という制限もあります。

旧強姦罪の被害者は、損害および加害者を知った時から3年以内、行為の時から20年以内であれば、旧強姦罪の加害者に対して損害賠償を請求できるということになります。

これに対して、旧強姦罪の加害者は、旧強姦罪の被害者が損害および加害者を知ったのち3年が経過又は、行為の時から20年が経過すれば、損害賠償の請求を受けないということになります。

旧強姦罪の慰謝料の時効期間は何年?いつから進行する?

「慰謝料」は、厳密には「民事の損害賠償請求権」のうち精神的苦痛に関する部分をいいます。ただ、「慰謝料」が「民事の損害賠償請求権」と同じ意味で使われているケースも多いようです。

旧強姦罪の慰謝料請求権の時効期間は3年です。

慰謝料請求権の消滅時効は、被害者が損害および加害者を知った時から進行します。また、行為時から20年間という制限もあります。

なお、旧強姦罪と時効については『旧強姦罪の時効は何年?刑事・民事・慰謝料に分けて解説|強制性交等罪の時効』でも解説しているので、時効についてもっと知りたい方は見てみてくださいね。

旧強姦罪と逮捕

旧強姦罪と逮捕の関係

現行犯逮捕と後日逮捕(通常逮捕)の違いは?

旧強姦罪の逮捕には、大きく、①旧強姦罪の事件当日に逮捕される現行犯逮捕と、②旧強姦罪からしばらくした後に逮捕される後日逮捕(法律的には「通常逮捕」といいます)の二つのパターンがあります。

旧強姦罪の現行犯逮捕とは、旧強姦罪の当日に強姦事件の現場で逮捕されることをいいます。強姦事件が起こったその時その場所で通報を受けて駆けつけた警察官によって逮捕されるのが一般的です。

現行犯逮捕された後は、旧強姦罪の加害者はそのまま警察署に連行されることになります。

これに対して、旧強姦罪の後日逮捕とは、旧強姦罪の逮捕状にもとづいて逮捕されることをいいます。強姦事件が起こった翌日以降に逮捕状をもった警察官によって逮捕されるのが一般的です。

旧強姦罪の逮捕状がいつ発行されるかは、強姦事件に対する捜査の進み具合によって異なります。

現行犯逮捕と後日逮捕の違い

旧強姦罪で現行犯逮捕されるケースは?

旧強姦罪で現行犯逮捕されるケースは、今まさに強姦事件が起きていたり、強姦事件が起きた直後、あるいは姦淫行為がされている途中で目撃された場合などです。

姦淫行為の後であれば、現場の状況から犯人が明白であれば、現行犯逮捕されることが多いでしょう。

現行犯逮捕をするには、逃亡や証拠隠滅のおそれがあるという逮捕の必要性が求められますが、重大犯罪の旧強姦罪では、逮捕の必要性が認められやすいです。

また、強姦をする目的で、その手段として暴行・脅迫がされている途中でも、暴行・脅迫の度合いが強い場合は、現行犯逮捕されるでしょう。

具体例その1

加害者Aは被害者Bに対して人通りが少ない路地裏で姦淫行為をしているところを目撃され、目撃者の通報で駆けつけた警察官に現行犯逮捕された。

具体例その2

加害者Aは被害者Bに対して強姦する目的で腕を引っぱり、自動車内に引き込もうとしているところを警察官に目撃され現行犯逮捕された。

旧強姦罪で後日逮捕(通常逮捕)されるケースは?

旧強姦罪で後日逮捕されるケースは、旧強姦罪を犯したと疑うに足りるだけの証拠が備わっている点に特徴があります。

強姦事件は重大事件として扱われ、明確な証拠が備わっている場合は、後日であっても警察官に逮捕状を請求され、逮捕されることが一般的です。

証拠の例としては、事件の現場に残された加害者の体液や毛髪、衣服や携行品などの遺留品のほか、目撃者の証言や防犯カメラの映像などが挙げられます。

また、逮捕するには証拠が不十分な場合でも、被害者の証言の具体性や状況によっては、容疑者が警察官から事情聴取のため警察署に呼び出されることがあります。

事情聴取に呼び出された際、加害者の供述の内容と他の証拠をあわせて見て、警察官に旧強姦罪を犯したと疑うに足りると判断された場合は、そのまま逮捕されることがあります。

具体例その1

加害者Aは被害者Bを強姦した。その後、現場に残された体液と加害者のDNA型が一致し、防犯カメラの映像と人物像が一致する等の明確な証拠があったので、後日逮捕された。

具体例その2

加害者Aは被害者Bを強姦した。事件の明確な証拠はなかったが、警察署での事情聴取の結果、Aは容疑を認めたので、後日逮捕された。

旧強姦罪の逮捕に関するQA

逮捕されない旧強姦罪はある?

あります。すべての旧強姦罪の加害者が逮捕されるわけではありません。

被害者が旧強姦罪の被害届を出しても、旧強姦罪を犯したと疑うに足りるだけの証拠が十分に備わっていない場合は、逮捕されません。

加害者と被害者が顔なじみであり、姦淫行為が宅内で行われたような場合は、性行為をすることの承諾があった可能性があると見られて、逮捕されないこともあります。

もっとも、逮捕されない旧強姦罪の場合でも、被害届が受理されれば、在宅(ざいたく)のまま捜査や取り調べが行われることになります。

在宅事件の場合は、警察署の留置場で生活する必要はありません。自宅で生活することができます。

しかし、警察から呼び出しがあった場合は、その呼び出しに応じて自宅から警察署に出向き、強姦事件の捜査や取り調べに協力することが求められます。

旧強姦罪の逮捕条件は?

旧強姦罪の逮捕条件は、現行犯逮捕の場合と、後日逮捕(通常逮捕)の場合とで異なります。

現行犯逮捕の要件

旧強姦罪の現行犯逮捕は、基本的に、強姦事件を現に確認した者によってその現場で行われる必要があります。

現行犯逮捕できるのは、基本的にその時その場限りです。

強姦事件の現行犯逮捕は、目撃者や被害者側の関係者、現場に駆けつけた警察官によって行われることが多いです。

後日逮捕の要件

旧強姦罪の後日逮捕は、裁判官が発行する逮捕状にもとづいて行われる必要があります。

逮捕状の発行を請求するのは、一般的に警察官です。

逮捕状の発行は、逮捕の理由逮捕の必要性が認められる場合に限られます。

逮捕の理由とは、「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」のことです。

逮捕の必要性とは、「被疑者が逃亡するおそれ」や「被疑者が罪証を隠滅するおそれ」があることです。

なお被疑者(ひぎしゃ)とは、犯罪を犯したとの疑いをかけられ、警察など捜査機関による取調べの対象になっているものの、まだ起訴はされていない人たちのことです。

旧強姦罪の逮捕の流れは?逮捕までの流れは?

旧強姦罪の逮捕の流れは、大きく現行犯逮捕の場合と後日逮捕(通常逮捕)の場合に分けられます。

現行犯逮捕の流れ

旧強姦罪の現行犯逮捕の流れは、強姦事件の現場で強姦事件の直後に逮捕される点に特徴があります。

強姦事件の目撃者や現場に駆けつけた警察官が加害者を直接逮捕するのが、旧強姦罪の現行犯逮捕です。

現行犯逮捕された後は、そのまま警察署に連行されることになります。

①強姦事件の発生
  ↓
②目撃者や駆けつけた警察官による現行犯逮捕
  ↓
③警察署への連行

後日逮捕の流れ

旧強姦罪の後日逮捕の流れは、逮捕状をもった警察官に逮捕される点に特徴があります。

強姦事件の加害者を後日逮捕するためには、裁判所が発行する逮捕状にもとづく必要があります。

実際の後日逮捕の現場では、警察官が強姦事件の加害者に逮捕状を示して、逮捕が執行されることになります。

①強姦事件の発生
  ↓
②警察官による逮捕状の請求
  ↓
③裁判官による逮捕状の発行
  ↓
④警察官による後日逮捕
  ↓
⑤警察署への連行

旧強姦罪から後日逮捕されるまでの期間は?

後日逮捕されるまでの期間に、法律上の決まりはありません。

旧強姦罪を犯してから後日逮捕されるまでの期間は、捜査の進み具合によるところが大きいです。

単純な強姦事件の場合

単純な強姦事件で捜査がスムーズに進む場合は、強姦事件から一か月以内に後日逮捕されるケースが多いです。

複雑な強姦事件の場合

複雑な強姦事件で捜査が困難な場合は、後日逮捕までの期間が長引く傾向にあります。

特に、強姦事件の明確な証拠がないなどの理由で捜査が難航しているケースでは、後日逮捕までの期間が長引くことになります。

複雑な強姦事件で捜査が難航している場合は、強姦事件から半年後一年後に後日逮捕されることもあります。

旧強姦罪で逮捕された後の勾留期間は?(「拘留」と表現されることがありますが誤りです)

逮捕の期間

旧強姦罪の逮捕の期間は、72時間です。

旧強姦罪で逮捕されてから48時間以内に送致され、24時間以内に勾留が請求されなければ、基本的に釈放されます。

旧強姦罪での勾留が認められない限り、留置場で一、二泊して釈放されるというイメージになります。

勾留の期間

逮捕に続く身体拘束の手続きのことを「勾留」(こうりゅう)といいます。

「拘留」と表記されることがありますが、正しくは「勾留」です。

旧強姦罪での勾留の期間は、最初は10日間、さらに10日間延長される可能性があり、強姦事件が起訴されればさらに長引くことになります。

一度勾留が決定されれば、弁護士が介入し途中で示談が成立するなどの特段の事情がない限り、最低でも10日間は警察署の留置場で生活しなければなりません。

その後、さらに10日間ほど勾留が延長される可能性があります。

さらに、旧強姦罪で起訴(公判請求)された場合は、その後に保釈が認められるか執行猶予判決が言い渡されるまで、ずっと留置場または拘置所で生活しなければなりません。

もし早期の釈放が必要な場合は、弁護士に積極的に動いてもらった方がよいでしょう。

弁護士が示談を成立させたり、保釈を請求することで、比較的早く留置場から釈放されるケースも多いからです。

旧強姦罪と逮捕の関係については『強姦で逮捕される具体的なケース|逮捕とその後の流れとは』でも解説しているので、興味がある方はご覧ください。

旧強姦罪と懲役

旧強姦罪と懲役の関係

旧強姦罪が成立して刑罰が科される場合は懲役刑となることが定められています。

暴行や脅迫といった犯罪では、刑罰が科されるとしても罰金刑になる可能性がありますが、旧強姦罪で刑罰が科される場合は必ず懲役刑となります。

もっとも、特別な事情がある場合は実刑ではなく、執行猶予となることがあります。

そもそも懲役刑とは?

懲役刑とは、刑務所で刑務作業を負う刑罰をいいます。

旧強姦罪で懲役実刑となった場合は、刑務所に収監されて刑務作業を行わなければなりません。

これに対して、旧強姦罪で懲役刑になっても、判決で執行猶予がついた場合は、直ちには刑務所に収監されないので、刑務作業を行う必要もありません。

旧強姦罪の懲役に関するQA

旧強姦罪の懲役の相場は?

旧強姦罪の懲役刑の相場は、事件によってさまざまです。

旧強姦罪の懲役の法定刑は、刑法によって懲役3年以上の有期懲役と定められています。

有期懲役の上限は基本的に20年であるため、旧強姦罪の懲役刑が強姦事件単体で懲役20年を超えることないと言えます。

旧強姦罪は実刑となり、懲役4~5年以上の刑が科されることが多いです。

もっとも、旧強姦罪が未遂である場合や、裁判の途中で示談が成立し被害者から許しが得られたなどの事情がある場合は、執行猶予になることがあります。

旧強姦罪の懲役の年数は?懲役は何年?

旧強姦罪の懲役の年数は、刑法によって3年以上の有期懲役と定められています。

有期懲役の上限は基本的に20年です。

そのため、旧強姦罪で懲役実刑になるとしても、旧強姦罪単独であれば、刑務所に収監されるのは基本的に20年以下です。

初犯の旧強姦罪でも懲役実刑になる?

強姦事件が起訴された場合は初犯でも懲役実刑になることが多いです。

特に、旧強姦罪の加害者と被害者の間で示談が成立していない場合は、懲役実刑になる可能性がより高まります。

懲役実刑を避ける方法は?

強姦事件は被害者がいる刑事事件なので、被害者と示談を成立させることがもっとも大切です。

強姦事件が起訴される前に示談が成立し、被害者から告訴を取り消してもらうことができた場合は不起訴になる可能性が高くなります。

不起訴になれば、刑罰は科せられないで終わります。

起訴後の告訴取消はできませんが、起訴後でも被害者と示談が成立し、許しを得ることができれば、初犯である点が考慮され、懲役実刑を避けられる可能性が高まります。

初犯の旧強姦罪だと執行猶予になる?

初犯の旧強姦罪だからといって、執行猶予になるとは限りません

旧強姦罪の初犯であることは、刑事裁判において多少は考慮されますが、強姦事件は重大な犯罪として扱われており、初犯でも懲役実刑になる可能性があります。

旧強姦罪で刑事裁判になった場合、執行猶予の可能性を高めたければ、被害者と示談を成立させて、被害者から許しを得ることが大切です。

旧強姦罪の懲役実刑と執行猶予の量刑判断は?

旧強姦罪の懲役実刑と執行猶予の量刑判断では、①強姦事件の結果の重大性、②強姦事件の行為の悪質性、③強姦事件の加害者と被害者との間で示談が成立しているかなどが考慮されます。

結果の重大性

強姦の既遂事件であれば、重大な被害が生じたものとして懲役実刑の判断がなされることがほとんどです。

一方で、強姦未遂であれば、既遂よりは重大性が低く、事情によっては執行猶予の判断がなされる場合があります。

行為の悪質性

強姦事件の行為が悪質な場合は、更に懲役実刑になる可能性が高まります。

例えば、凶器を用いて暴行・脅迫した上で姦淫行為に及んだ事件は、行為が悪質と判断されることになります。

また、事前に計画を練った上で起こされた強姦事件は、通りがかりに突発的に起きた強姦事件と比べて計画性があり悪質と判断されることになります。

示談の有無

強姦事件の示談が成立しない場合は懲役実刑になる可能性が高まります。

一方で示談が成立し、被害者から「加害者が実刑になることまでは望まない」という許し(宥恕)が得られている場合は執行猶予になる可能性が高まります。

起訴と不起訴の違い

検察官が起訴を決める前に、被害者と示談が成立し告訴取消となった場合は、不起訴となる可能性が高くなります。

不起訴になると、有罪判決を受けることもないので、前科がつかないで事件終了となります。

旧強姦罪と慰謝料

旧強姦罪の慰謝料とは

旧強姦罪の慰謝料とは、旧強姦罪によって生じた精神的損害に対する賠償金のことをいいます。

旧強姦罪の慰謝料に関するQA

旧強姦罪の慰謝料の相場は?

旧強姦罪の慰謝料は事件によって様々で、旧強姦罪の慰謝料の相場を示すことは難しいと言えます。

その理由は、慰謝料は精神的損害に対する賠償金であり、被害者がどのような精神的損害を受けたかによって金額が決まることと関係しています。

また、民事訴訟ではなく示談で慰謝料を支払う場合、示談金の額は裁判所の判断ではなく加害者と被害者の合意によって決まりますから、更に大きく変動することがあります。

被害者側からすれば、民事訴訟で慰謝料を請求することは負担が大きく、判決で請求が認められた後も加害者が刑務所にいるなどして回収が容易でないケースが多いため、確実に受け取ることができる加害者側が現時点で用意できている金額で合意する動機があります。

一方で、加害者側は、起訴前に示談が成立し、被害者が告訴を取り消すと不起訴になる可能性が高くなるため、起訴前は現時点で支払える最大限の金額で合意する動機があります。

このように、特に示談の場合、加害者が現時点で用意できる金額がいくらかということは事件によって大きく異なるため、相場を示すことは難しいのです。

旧強姦罪の慰謝料請求権の時効は?

旧強姦罪の慰謝料請求権の時効は、旧強姦罪の損害および旧強姦罪の加害者を知った時から3年、行為の時から20年です。

慰謝料請求権は、3年間行使しない時は、時効によって消滅するので注意が必要です。

旧強姦罪の慰謝料請求権の時効の進行は、請求、差押え・仮差押え・仮処分、承認によって中断します。

旧強姦罪の慰謝料と示談の関係は?

慰謝料とは、精神的損害に対する損害賠償金のことをいいます。

実際のケースでは、慰謝料を支払うことで示談が成立するケースが多いです。

しかし、慰謝料の支払いはただの義務の履行なので、慰謝料を支払ったからといって必ず示談が成立するわけではない点に注意が必要です。

旧強姦罪の被害者は、旧強姦罪の加害者から慰謝料を受け取る権利を有します。

慰謝料の受け取りは権利の行使なので、慰謝料を受け取ったからといって必ず示談を締結しなければならないというわけではないのです。

旧強姦罪慰謝料と未成年者の関係は?

未成年者であっても、旧強姦罪の慰謝料の支払い義務を負うというのが、法律の判断です。

慰謝料の支払い義務を負わない若年者は、民法上、自分の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていない者に限られます。

一般論としては、12歳から13歳未満程度と言われています。

したがって、未成年者であっても、旧強姦罪の慰謝料を支払う義務を負う場合があります。

未成年者に弁済の資力がない場合でも、慰謝料の支払い義務自体は負うことになるのです。

旧強姦罪と示談

旧強姦罪の示談とは

旧強姦罪の示談とは、旧強姦罪によって生じた賠償金をめぐるトラブルを、旧強姦罪の加害者と被害者の合意をもって解決することをいいます。

示談書の作成は、示談の成立の必要条件ではありません。

しかし、その後のトラブル(示談が成立した、しないの言い合い)を防ぐためにも、示談書を作成することが大切です。

示談成立の効果は?

旧強姦罪の示談が成立したということは、旧強姦罪によって生じた賠償金のトラブルが当事者間の合意によって解決したということを意味します。

示談が成立すれば、旧強姦罪の加害者は、被害者に対して、示談金を支払い、その他の示談の条件を履行する義務を負います

旧強姦罪の被害者は、加害者が示談金の支払いや示談の条件を履行しない場合は、成立した示談書を証拠として、その後の請求を有利に進めることができます。

加害者側の示談のメリットは?

旧強姦罪の示談が成立すれば、旧強姦罪の加害者は、その後の刑事手続きにおいて、示談が成立しなかった場合と比べて有利に取り扱われます。

特に、検察官が起訴を決める前に告訴の取消しまで含めた示談が成立した場合、加害者側の示談のメリットは大きいです。

旧強姦罪は、告訴取消となった場合、不起訴となる可能性が高くなります。

不起訴になると裁判にならず、有罪判決を受けることもないので、前科がつかないで事件が終了します。

起訴後であっても執行猶予になる可能性や刑期が短くなる可能性が高まるので、加害者側の示談のメリットは大きいです。

被害者側の示談のメリットは?

旧強姦罪の示談が成立すれば、旧強姦罪の被害者は、民事裁判などの面倒な手続きを経ることなく、賠償金を受け取ることができます。

もっとも、示談の成立と同時に賠償金を受け取らなければ、その後に加害者が支払わないリスクもあるため、注意が必要です。

加害者が支払わない場合は、賠償金を受け取るためには、示談書を証拠として民事裁判などの手続きを取る必要が出てきます。

旧強姦罪の示談に関するQA

旧強姦罪の示談金の相場は?初犯の場合の相場は?

旧強姦罪の示談金の相場は、ケースによってさまざまです。

初犯の旧強姦罪だからといって示談金が安くなることはあまりなく、強姦行為の悪質性被害者の処罰感情によって金額が左右されることが多いです。

強姦事件は被害者の精神的な損害が大きく、処罰感情も高いため、示談金が数十万円を超えることも珍しくありません。

刑事事件としての旧強姦罪の場合は、加害者が刑務所に入ってしまえば、いくら民事裁判で損害賠償が認められたとしても、実際に賠償金を回収するのは困難です。

そのため、被害者が損害賠償金の回収を重視する場合は、被害者がその時点までに用意してきた金額で示談に応じることも多いです。

示談であれば、「示談金を実際に受け取ってから示談書を作成する」という前払いの方式を取ることが可能で、お金が回収できないリスクを回避することができるからです。

示談拒否で、旧強姦罪の示談に応じない場合は?

旧強姦罪の加害者が示談に応じない場合、被害者としては、自らが旧強姦罪で被った損害を取り戻すためには、自ら法的な手段を取る必要があります。

加害者側からまだ連絡がない場合は、犯罪被害者事件を取り扱う弁護士に依頼して加害者と交渉してみるのが一つの方法でしょう。

もし加害者が交渉を拒否する場合は、旧強姦罪で被害を被ったことを理由とした民事裁判民事調停を起こすことも可能です。

ただし、たとえ旧強姦罪で被害を被った場合であっても、民事の手続きで弁護士を立てる場合は、自らで弁護士費用の大半を負担する必要が出てきます。

これに対して、旧強姦罪の被害者が示談に応じない場合、加害者としては、弁護士を依頼して交渉するか法的な手段を取ることになります。

弁護士は秘密を守る義務を負っているため、弁護士から連絡をすることで被害者が警戒を解いて交渉に応じてくれる可能性があります。

弁護士から連絡をしても示談を拒否されてしまった場合、支払いたくても支払えない慰謝料を専門の施設に預ける「供託」という法的な手段をとることもあります。

旧強姦罪で示談不成立の場合、証拠が十分にあれば、ほぼ不起訴になることはないといえます。

また、起訴後であっても示談が成立すれば執行猶予になる可能性がありますが、示談が不成立の場合実刑になるリスクが高いといえるでしょう。

なお、旧強姦罪の被害者が示談に応じない場合、加害者は、刑事手続が終わった後も、旧強姦罪により損害を与えたことを理由とする民事の損害賠償責任を負い続けることになります。

旧強姦罪で示談しない場合は?

旧強姦罪の示談をしない場合、旧強姦罪の加害者は、その後の刑事手続において、示談が成立した場合と比べて重い処罰を受けるリスクを負います。

また、旧強姦罪の示談をせずに刑事処罰を受けた場合、旧強姦罪の加害者は、旧強姦罪によって相手に与えた損害につき、引き続き民事上の損害賠償責任を負い続けることになります。

これに対して、旧強姦罪の被害者としては、旧強姦罪の示談をしないで刑事手続きが終わった場合でも、引き続き、加害者に対して損害賠償を請求し続けることができます。

ただし、旧強姦罪の加害者が刑務所に入ってしまった場合は、賠償金の回収が困難なので注意が必要です。

旧強姦罪の示談書の書き方は?

旧強姦罪の示談書の書き方は、その他の犯罪における示談書の書き方と同様です。

示談書には以下の事項を盛り込むことが一般的です。

  1. ①事件の内容(日時、場所、当事者など)
  2. ②示談金の金額、支払方法
  3. ③被害者が加害者を許すこと宥恕条項、告訴を取り消すこと告訴取消
  4. ④示談書に記載されたもの以外の賠償義務がないこと清算条項
  5. ⑤両当事者の署名

示談書の冒頭で、強姦事件が起こった日時・場所、旧強姦罪の加害者と被害者の氏名などを記載して、事件の内容を特定することになります。

また、旧強姦罪の示談書には、示談金の金額やその支払い方法を記載します。

示談書の作成は、加害者と被害者の双方がサインをすることで完了します。

示談金の一括払いが難しい場合は、示談金の分割払いの合意を盛り込む結ぶことも可能です。

旧強姦罪の示談書に、「被害者は加害者のことを許す」旨の宥恕条項(ゆうじょじょうこう)があることで、その後の刑事手続きで、加害者に有利に考慮されます。

旧強姦罪の起訴が決まる前に、被害者が告訴取消をする旨の示談が成立すると、とりわけメリットが大きいです。

示談の内容通り、告訴を取り消してもらうことで、不起訴となる可能性が高く、不起訴になると、前科がつかずに事件が終了するためです。

旧強姦罪の示談の流れや示談の方法は?

旧強姦罪の示談の流れは、その他の犯罪における事件の示談の流れと同様です。

刑事事件になる前で旧強姦罪の加害者が被害者の連絡先を知っている場合は、当事者同士で示談の話し合いを進めることができます。

示談成立の流れとしては、

①話し合い
  ↓
②示談条件の確定
  ↓
③示談書の作成
  ↓
④示談金の支払い
  ↓
⑤示談書にサイン

という流れを経ることが多いです。

これに対して、刑事事件になった後は、旧強姦罪の加害者が被害者の連絡先を知らない場合は、旧強姦罪の示談を進めるためには、弁護士を選任する必要があります。

弁護士を選任すれば、警察官や検察官から被害者の連絡先を聞くことができるケースが多いからです。

弁護士を選任した後の示談の流れとしては、弁護士が被害者と話し合って、示談が成立することになります。

旧強姦罪は示談すれば不起訴になる?示談しても起訴される?

強姦は、被害者が告訴を取り消した場合は不起訴になる可能性が高くなります。

もっとも、示談が成立しても、示談の内容が被害者の許しが得られず、告訴が取り消されないものである場合は、刑事裁判で有罪になると懲役実刑となる可能性が残ります。

そのため、加害者側が示談成立により不起訴を望む場合は、示談の条件に告訴取消を入れる必要があります。

旧強姦罪の示談が不成立だった場合はどうなる?

旧強姦罪の示談が不成立の場合は、旧強姦罪の加害者は、その後の刑事手続において、重い刑罰を科されるリスクを負います。

示談が不成立だった事実は、示談が成立している場合と比べて、旧強姦罪の加害者側に有利な事情がないとして取り扱われるからです。

なお、示談が不成立だったとしても、お金だけは受け取ってもらうことができ、旧強姦罪によって負わせた損害の賠償を完了している場合は、その限りにおいて、旧強姦罪の加害者側に有利な事情として取り扱われます。

これに対して、旧強姦罪の被害者は、旧強姦罪の示談が不成立損害の賠償も受けていない場合である以上、刑事手続きが終わった後も引き続き、加害者側に対して、旧強姦罪によって負った損害の賠償を請求し続けることができます。

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まとめ

さて、ここでは旧強姦罪について、弁護士監修のもと、全情報を詳説してきました。

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