【強姦・強制性交等】不起訴の可能性は?初犯や自首、前科、示談、不起訴率まで解説!
強姦(強制性交等)で検挙されたが、何とか不起訴になりたい…。
そんな方のために、強姦(強制性交等)と不起訴について徹底解説していきます。
- 初犯で自首をすると、不起訴の可能性は高まる?
- 逮捕されても、不起訴なら懲戒解雇されずに済む?
- 示談や前科、被害届・告訴、報道の有無などは不起訴に影響がある?
これらのお悩みを、不起訴率などのデータもチェックしながら解説していきます。
法的な解説は、強姦(強制性交等)事件解決の経験豊富なアトム法律事務所の弁護士にお願いしていきます。
よろしくお願いします。
強姦(強制性交等)は平成29年に改正がありました。
ですが、「不起訴の重要性」と、「獲得のための大切な要素」は変わりません。
過去のデータや事例もあたりながら、不起訴になるための活動をしっかりと解説していきます。
目次
改正もしっかり解説。強姦・強制性交等(不同意性交等)とはどんな罪か?
まず、強姦(強制性交等)罪についてお伝えしていきます。
2017年の「改正前の刑法」において「強姦罪」は、177条に規定されていました。
その文言を見てみましょう。
暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、三年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。
出典:2017年「改正前」刑法177条
では続いて、2017年の「改正後の刑法」を見てみましょう。
罪の名前も、「強姦罪」から「強制性交等罪」となっています。
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
出典:2017年改正刑法177条
2017年の改正により、肛門性交や口腔性交も性交等として処罰の範囲に入ることになりました。
また改正前は「女子」のみを対象としていましたが、男性が被害者になる場合も処罰の対象になりました。
全体として、177条によって処罰される範囲が広がったということができるでしょう。
厳密には改正後の刑法で「強姦」という言葉は使われていません。
ですが一般的にはまだ「強姦」という言葉が根強く残っていますので、この記事では「強制性交等」と併記していきたいと思います。
また、処罰される対象だけでなく、起訴されるための条件について大きな変更がありました。
それが「非親告罪化」です。
改正前の強姦罪は「親告罪」であり、「告訴がなければ起訴できない犯罪」とされていました。
被害者が処罰を求める意思を示さなければ、起訴ができないということです。
ですが改正により、この規定が廃止されました。
よって、検察官は告訴がなくとも自由に起訴ができるようになったのです。
起訴や告訴の意義については後でも詳しくお伝えします。
ここでは、かつて必要であった「処罰を求める意思表示」が、起訴について不要になった、ということだけ抑えておいてください。
そして条文からも明らかなように、強制性交等罪では厳罰化され、懲役の下限が2年も引き上げられています。
ここから、不起訴の重要性がさらに高まったということができるでしょう。
改正の要点
- ① 肛門性交・口腔性交も処罰の対象になる。
- ② 男性も被害者になる。
- ③ 親告罪ではなくなった。
- ④ 刑が厳罰化した。
強制性交等罪の改正については、下の記事で詳しく解説されています。
詳細はぜひこちらでご確認ください。
さらに2023年7月13日、性犯罪の規定を見直す改正刑法が施行されました。法改正により、強制性交等罪と準強制性交等罪は不同意性交等罪という新たな犯罪に統合されます。
主な変更点としては、暴行又は脅迫を用いる場合だけでなく、相手方の同意がないような状況での性交等が処罰されるようになります。また、13歳以上16歳未満の者に対する性交等は、たとえ同意があってもその者と年齢差が5歳未満であるという例外的な場合を除き原則として不同意性交等罪となります。なお、13歳未満の者に対する性交等については従来と同じく同意があっても年齢差に関係なく罪となります。
「不起訴」の意味を解説。強姦(強制性交等)事件で不起訴になる理由とは?
不起訴処分とはどんな意味なのか。
ではまず、「不起訴」の定義についてお伝えしていきます。
不起訴の報道、よく目にしますよね。
東京地検は2日、女性に性的暴行を加えたとして、強制性交容疑で逮捕された20代の男性を不起訴処分にした。
出典:産経ニュース 2017.8.2 15:27
まずはこの「不起訴」の意味を確認しましょう。
検察官が「起訴」をしないこと、それが「不起訴」なのですね。
つまり刑事裁判をしないということを指します。
なお不起訴と同様、処分保留という言葉が報道で出てくることもあります。
20代女性に対する集団準強姦の疑いで7月21日に久留米署に逮捕された(略)氏が処分保留のまま釈放されていたことがわかった。
出典:河北新報 2017年08月02日水曜日
処分保留とは、起訴すべきかを保留にして、逮捕された被疑者を釈放することを指します。
不起訴処分と異なり、処分保留は起訴の判断を保留にしています。
詳細は以下の記事をご覧ください。
では、強姦(強制性交等)事件で検挙された後、不起訴になるのはどんな場合なのでしょう。
不起訴処分が下される理由の種類について見ていきます。
強姦(強制性交等)事件における、不起訴処分の「種類・理由」
強姦(強制性交等)事件にあたり、不起訴理由の種類を3、4種類と考える人もいるようですね。
ですが法務省の訓令である「事件事務規程75条2項」には、全部で20種類もの理由が定められています。
その中でも特に重要な理由がこの3つです!
重要な理由
- ① 嫌疑なし
- ② 嫌疑不十分
- ③ 起訴猶予
それぞれ意味を簡単に見ていきましょう。
嫌疑なしとは、
- 被疑者が犯人でないことが明白か、
- 犯罪を認定できるだけの証拠が存在しないことが明白
な場合を指します。
詐欺容疑で(略)誤認逮捕された(略)女性(21)について、徳島地検は27日、嫌疑なしで不起訴処分とした。
出典:産経WEST 2017.9.27 20:43
つづいて、嫌疑不十分とは
犯罪の成立を認定できる証拠が不十分なとき
のことをいいます。
逮捕まで進むケースでは、証拠が揃っていることが多いです。
しかし取り調べの中で矛盾が明らかになった場合などは、嫌疑不十分になる可能性もあります。
地検は27日付で、過失往来危険容疑などで書類送検されていた(略)運転手(52)を、嫌疑不十分で不起訴処分とした。
出典:時事ドットコムニュース 2017/12/27-18:08
最も重要なのが、3つ目の「起訴猶予」です。
規定にはこう書かれています。
被疑事実が明白な場合において,被疑者の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないとき。
出典:事件事務規程75条2項20号
何と実際に強姦(強制性交等)をしても」不起訴になる可能性があるんです!
厳罰化が進んだことを考えると、なおさら不起訴を目指していきたいところです。
注目
強姦(強制性交等)をしてしまっても、「起訴・懲役」とは限らない。
でも制度があっても、実際に起訴猶予って運用されているの?
そんな疑問にお答えするために、2016年の不起訴処分における不起訴理由の割合をお伝えします。
嫌疑なし
不起訴処分全体で嫌疑なしを理由としたものは、1.4%でした。
犯罪捜査のプロである捜査機関が捜査の結果、逮捕・送検などをする以上、まったくの嫌疑なしとされるケースは少ないようですね。
嫌疑不十分
続いて、嫌疑が不十分であるとされた割合は18.4%でした。
具体的な取り調べをしてみたものの、矛盾が発生したり、思うような供述がとれなかった場合などがあるのではないでしょうか。
起訴猶予
気になる起訴猶予ですが、その割合はなんと…
70.4%!!
大変高い数値ですね。
7割以上が起訴猶予ということですので、実際に高頻度で運用されているということができるでしょう。
不起訴理由 | 割合(%) |
---|---|
起訴猶予 | 70.4% |
嫌疑不十分 | 18.4% |
嫌疑なし | 1.4% |
その他 | 9.8% |
合計 | 100% |
この結果からも、起訴猶予を目指す意味があるということがいえるでしょう。
無罪とは違う?強姦(強制性交等)事件で不起訴になる効果。前科前歴はつくのか?
では、強姦(強制性交等)事件で不起訴処分になった場合の効果を見ていきましょう。
強姦(強制性交等)事件の不起訴処分にはどんな効果がある?
たとえば、強姦(強制性交等)で逮捕された場合、警察の留置場に入れられます。
その場合、被疑者は自由に帰ることができません。
ですが、不起訴処分になれば、釈放され、家に帰ることができるようになります。
逮捕・被疑者勾留は被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐために行われるものです。
そして、「被疑者勾留」は「検察官に起訴の判断をされている間」認められるものです。
そのため、不起訴と判断された以上、釈放されることになるのです。
突然の逮捕で会社に連絡もとれないことがあります。
最悪の場合、無断欠勤として懲戒解雇の可能性も出てきます。
一日も早い釈放が求められます。
不起訴と前科・前歴・無罪の関係。強姦(強制性交等)の履歴は残るのか?
強姦(強制性交等)で不起訴になれば、前科がつかない?
それ以外にも、不起訴には重要な効果があります。
それが…
重要
不起訴処分なら、前科が絶対につかない!!
そもそも前科の定義をご存知ですか。
前科とは、確定判決で刑の言渡しを受けたこと。
つまり裁判所が有罪と認定・刑を宣告した判決で、上訴せずに確定したものですね。
強姦(強制性交等)罪の前科がつくと、さまざまな不利益があります。
就職や人間関係などで、事実上大きな不利益を負う場合もあるでしょう。
不起訴になれば、そもそも裁判は開かれず、判決を受けることもありません。
そのため、絶対に前科がつかないのです。
不起訴なら無罪で懲役を免れる、ということ?
これらの効果をみると、「不起訴って無罪?」と思ってしまいそうですね。
ですが不起訴と無罪は違うものです!
そもそも「無罪」とは、裁判所が被告人が有罪でないと宣告することです。
一方不起訴になれば、裁判所の判断がされないことは先ほど見た通りです。
この差にご注意ください。
重要
不起訴処分と無罪は違う!
強姦(強制性交等)罪の前歴ってなに?前科と同じ?
また、「前科前歴」という言葉を聞くこともありますよね。
ここにいう「前歴」とはどのような意味なのでしょうか。
前科と誤用しやすいため、注意が必要です。
そもそも前歴とは…
以前に犯罪捜査を受けた、その履歴
をいいます。
前科と異なり、捜査を受けるだけで前歴がついてしまいます。
就職の際に聞かれることもある「前歴前科」。
誤って答えないようにご注意ください。
前科 | 前歴 | 無罪 | |
---|---|---|---|
意味 | 確定判決で有罪とされた履歴 | 犯罪の捜査を受けた履歴 | 裁判所に有罪でないと宣告されること |
不起訴になった場合 | 絶対つかない | 捜査を受けていればその履歴はつく | そもそも判断されない |
公務員の方も必見。強姦(強制性交等)で会社を懲戒解雇されないための「告知書交付請求」!
強姦(強制性交等)で不起訴となっても、検察官が積極的に教えてくれるわけではありません。
意味も分からずに釈放され、起訴の不安に怯え続ける可能性もあります。
また逮捕されずに送検される書類送検の場合も、不起訴の連絡がくるとは限りません。
そんな場合は検察官に不起訴になったのか否かを聞いてみましょう。
もし不起訴であれば、「必ず」その旨を教えてくれます。
刑事訴訟法259条によれば、被疑者が請求すれば、不起訴の場合速やかに教えてもらえます。
また、不起訴になった旨を記載した書面を発行してもらうこともできます。
この書面を不起訴処分告知書といいます。
民間企業の懲戒解雇、公務員の懲戒免職の検討に際し、まれに告知書の提出を求められることがあります。
このようないざというときのために交付請求をしておくとよいのではないでしょうか。
もっとも不起訴の理由まで教えてもらえるとは限りません。
仮に教えてもらえても「嫌疑不十分」、「起訴猶予」などで、具体的な内容は教えてもらえないことがほとんどです。
参考
懲戒はなるべく回避したいもの。
以下の記事で懲戒の回避について詳細に記載していますので、こちらもぜひお読みください。
【不起訴率】強姦(強制性交等)事件で不起訴処分になる可能性は〇〇%!
ここまで不起訴の意味をお伝えしてきましたが、やはり一番気になるのは、
実際不起訴処分になるの!?
ということですよね。
そこで具体的な不起訴率を見ていきましょう。
強制性交等罪の統計がまだ出ていませんので、強姦罪の統計について見てみます。
その前に、比較材料として2016年の、刑事事件全体における不起訴率からお伝えしていきますね。
全体の不起訴率
まず「刑事事件全体の送検数」は371,061件でした。
そのうち「起訴された件数」は119,510件でした。
また、「不起訴になった件数」は160,226件になりました。
ここから不起訴率を計算してみると…。
2016年 | 件数と率 |
---|---|
全件数 | 371,061件 |
起訴 | 119,510件 |
不起訴処分 | 160,226件 |
全件からの不起訴率 | 43.18% |
起訴・不起訴合計からの不起訴率 | 57.28% |
57.28%と、約半数が不起訴処分になっています。
かなり多いと思われるのではないでしょうか。
強姦事件
では具体的に「強姦事件」の不起訴率も見ていきましょう。
まず2016年の「強姦事件全体の件数」は1,141件でした。
そのうち、「起訴」されたのは370件です。
一方、「不起訴」となったのは656件になりました。
起訴・不起訴の合計数から不起訴率を計算してみると、以下の表のような結果になります。
2016年 | 件数と率 |
---|---|
全件数 | 1,141件 |
起訴 | 370件 |
不起訴処分 | 656件 |
起訴・不起訴合計からの不起訴率 | 63.94% |
強姦(強制性交等)罪の不起訴率は63.94%!
刑事事件全体よりも高い水準で不起訴処分になっていました。
この高い水準は2016年だけなのではないでしょうか。
参考のために、2012年からの推移もみてみましょう。
不起訴率 | |
---|---|
2012年 | 49.68% |
2013年 | 56.51% |
2014年 | 62.76% |
2015年 | 64.75% |
2016年 | 63.94% |
なんと5年にわたり上昇傾向にあり、かつ3年間は60%を超えている状態でした。
かなり高い不起訴率だということができるでしょう。
重要
強姦事件でも、不起訴処分の可能性はある。
もっとも、このデータには注意が必要です。
実はこの高い不起訴率、先ほど述べた「親告罪」という事情が関係してきます。
注意!
「強姦事件」は親告罪であり、告訴がなければ起訴することができませんでした。
そのため、事件後に被害者と加害者が示談を成立させ、告訴を取り下げてもらうという弁護方針が採られていたのです。
無罪ではありませんが、告訴取り下げで不起訴になるケースも多かったのです。
しかし、平成29年の改正により、強制性交等罪が非親告罪となりました。
その結果、告訴が取り下げられても起訴できるようになったのです。
そのため、これから不起訴率が低下する可能性もある点には、ご注意ください。
強姦(強制性交等)事件で不起訴になった事例集!初犯や示談の影響力も検証。
ではここで、強姦罪で不起訴になった具体的事例を見ていきたいと思います。
具体的なイメージがつかめるかもしれません。
なお、ここに示した「示談」とは、民事上の紛争を当事者間の合意により裁判外で解決することです。
ここでは「当事者間で損害賠償など民事事件に関する紛争を解決する合意が成立した場合」とだけ知っておいていただければ大丈夫です。
事例① |
---|
▼事案:自宅に営業訪問に来た被害者を押し倒し、姦淫した。 ▼前科:なし ▼示談:成立 ▼判断:不起訴 |
事例② |
▼事案:ベランダから侵入し、ナイフで脅しながら姦淫した。 ▼前科:なし ▼示談:成立(告訴取り下げ) ▼判断:不起訴 |
事例③ |
▼事案:風俗店で本番行為をしたところ、強姦と言われ、検挙される。 ▼前科:なし ▼示談:成立 ▼判断:不起訴(嫌疑不十分) |
不起訴事例①は初犯で、かつ示談が成立しており、この点から不起訴になった可能性があります。
不起訴事例②は告訴が取り下げられたため、不起訴処分となった事例でした。
不起訴事例③は風俗トラブルです。
合意があったと争い、嫌疑不十分で不起訴処分となったようです。
起訴事例
つづいて、強姦罪で「起訴された事例」も見てみましょう。
事例① |
---|
▼事案:女性を無理やり娯楽施設敷地内に連れ込み、首を絞めながら姦淫した。 ▼前科:なし ▼示談:示談金は支払う。ただし被害者が厳罰を望む。 ▼量刑:懲役5年 |
事例② |
▼事案:12歳の教え子を、子供用女子更衣室で姦淫する。 ▼前科:なし ▼示談:不成立 ▼量刑:懲役5年 |
事例③ |
▼事案:通行中の被害者を駐車場内に連れ込み、顔面を手で突いて転ばせ、姦淫した。 ▼前科:前科1犯 ▼示談:不明 ▼量刑:懲役5年 |
これらをみると、前科があったり、示談が成立しないと起訴される可能性が高まることが分かりますね。
もっとも、同じような事件でも起訴と不起訴の判断が分かれることもあります。
そのことから分かるのは…
重要
具体的事案によって起訴・不起訴の判断は変わってくる。
ということです。
上にあげた事例も参考にすぎず、実際に起訴されるかは事情によって異なりますのでご注意ください。
では、具体的にどのような事情があれば、不起訴の判断に影響を与えるのでしょうか。
重要な事情について、個別に検討していきたいと思います。
強姦(強制性交等)の不起訴において、自首・余罪・被害届なし・示談なし・報道・懲戒解雇・未成年はどう影響する!?
強姦(強制性交等)罪の不起訴について重要な影響力を持つ事情をみていきましょう!
強姦(強制性交等)後に自首をしたら、不起訴にどんな影響がある?
「自首」をすると刑事事件で有利になるらしい…。
そう思っている方も多いと思います。
ですが、実は法律上の自首は「「特定の場合」に限られている」ことをご存知ですか。
「自首」とは、犯罪事実又は犯人が誰であるかが捜査機関に発覚する前に、犯人自ら捜査機関に対して犯罪事実を申告し、その処分に服する意思を表示することをいいます。
そのため、指名手配されている犯人が出頭しても、法律上の自首ということにはなりません。
とはいえ、法律上の自首でなくとも、自ら出頭したことは不起訴の可能性を高めます。
反省は再犯のおそれが低下することを示します。
そのため、厳罰に処する必要性が低下するのです。
確かに自首をしたからといって、必ず不起訴になるわけではありません。
「自首しなければそもそも犯行がばれないかも」と思う方もいらっしゃるでしょう。
ですが、いつ警察から電話が来るか怯えながら過ごすと、辛い人生になることもあります。
迷ったときや、不安なときは、まずは専門家である弁護士に相談しましょう。
余罪
余罪がある場合、不起訴になる可能性が低下する可能性があります。
1回だけ魔がさした場合と比べると、悪質性が強く、再犯の可能性も高いと考えられるためです。
余罪で別途逮捕、起訴される可能性もあるでしょう。
被害届なし
被害届は上で見た告訴と関係してきます。
ここで「告訴」の正確な定義を見てみましょう。
「告訴」とは、犯罪の被害者その他の告訴権者が、捜査機関に対し、犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める意思表示をいいます。
そして「告訴などがある場合にのみ起訴される犯罪」を「親告罪」といいます。
被害届と同時に告訴されることが多く、被害届なしの場合は、そもそも強姦罪で起訴されないケースも過去は多くありました。
しかし、上でも述べたように現在では強制性交等罪は非親告罪となったため、被害届・告訴の有無にかかわりなく、起訴される可能性があります。
もっとも、被害届は被害者の処罰感情を示す一要素でもあります。
その被害届が提出される場合に比べれば、不起訴になる可能性が高まる場合もあるでしょう。
非親告罪になったとはいえ、被害者の意思をも考慮して起訴の判断をするためです。
示談なし
上で見たように、示談は不起訴の判断で重要な意味を有します。
示談金により被害が一定程度回復したと認められれば、処罰の必要性が低下するためです。
とはいえ、「示談なしなら、必ず起訴」というわけではありません。
一要素にすぎず、他の要素から不起訴になる可能性もあります。
報道・懲戒解雇
強姦(強制性交等)で会社を懲戒解雇されるケースもよく目にします。
特に 公務員は国民の厳しい目にさらされており、懲戒免職になる報道もよく見られます。
大阪府教委は6日、監禁と集団強姦(ごうかん)容疑で書類送検された同府吹田市立小の男性教諭(32)を懲戒免職処分とした。
出典:産経WEST 2015.11.6 20:25
さらに強姦(強制性交等)事件を実名で報道されると、実社会上の生活で著しく不利益を被ります。
これらの「解雇」や、「報道」による不利益は、社会的制裁ともいえるでしょう。
社会的制裁により反省が促進されたとみられると、さらに刑罰を科す必要性が低下する場合もあります。
よって、これらの事情によって、不起訴の可能性が高まる場合もあります。
未成年
強姦(強制性交等)をした者が未成年であるとき、逮捕や起訴について成人と大きく異なる扱いをされることになります。
特に「起訴」は、14歳以上の未成年で、かつ重大な事件でなければその可能性がありません。
強制わいせつについてではありますが、未成年の犯罪に詳しい記事がありますので、ぜひご覧ください。
強姦(強制性交等)事件で不起訴処分を得るための3つの注意点。
では、最後に強姦(強制性交等)事件で不起訴処分になるための具体的活動を見ていきましょう。
【その1】示談の成立を目指す。警察から逮捕されたら弁護士に依頼が吉。
まず実際に強姦(強制性交等)をしてしまった場合、示談が重要なことは上でも述べました。
また、示談金支払いの他にも宥恕条項に合意すべく活動すべきです。
「宥恕条項」とは、「加害者を許す、処罰を望まない」という旨の意思を記載した条項です。
そこからさらに進み、交渉によっては告訴自体を取り下げてもらえる場合もあります。
もっとも法改正により、強制性交等罪は告訴が取り下げられても必ず不起訴になるわけではありません。
被害の回復と処罰感情の低下の二つを示談で示せれば、不起訴の可能性は高まることでしょう。
もっとも
逮捕されている場合は自分で示談交渉をすることができません。
また、そもそも加害者に会いたがらない被害者も多いことでしょう。
よって
このような場合は弁護士に依頼するのが有効です。
専門的な知識で、被害者の気持ちにも沿った適切な示談交渉をしてくれるはずです。
参考
ここで示談について詳細に記載した記事をご紹介します。
示談を被疑者主導で行うことの困難さ、弁護士の有用性などについて、ぜひご覧ください。
なお被害者が示談成立に反対し、示談ができない場合があります。
そんなとき、贖罪寄付という手段もあります。
用語解説
「贖罪寄付」とは、反省と贖罪の気持ちを表明するために、公益活動をしている団体などに寄付をするもの
反省の証として、不起訴判断の一要素となる可能性もあります。
示談ができない場合は弁護士に相談してみましょう。
【その2】強姦(強制性交等)事件の取り調べで気を付けるべきこと。
次に、警察や検察から取り調べられる際の注意点についてお伝えしていきます。
強姦(強制性交等)の「自白事件」で気を付けること。
まず強姦(強制性交等)をしたことを認める自白事件では、誠実かつ素直に対応することが大切です。
相手は捜査・取り調べのプロです。
いくら示談を成立させても、反省が不十分な場合には厳罰に処する必要があると考えられるでしょう。
自分の行為や被害者と向き合い、真剣に反省することが大切です。
とはいえ、警察官や検察官の言いなりになるわけではありません。
見に覚えのないことまで認めさせられないよう、黙秘権や、供述書への署名拒否権などを適切に行使しましょう。
重要
素直な態度や反省は必要だが、いいなりにならないよう注意!
強姦(強制性交等)の「否認事件」で気を付けること。
一方、冤罪など否認すべき場合は、しっかりと否認を貫きましょう。
犯行を認める供述調書に署名してしまえば、後から覆すのは大変困難です。
黙秘権などをしっかり行使することが大切です。
とはいえ
やみくもに否認することには「取り調べの長期化」や、逮捕や起訴されるリスクに注意が必要です。
全ての事情をしっかりと弁護士に話し、適切な対応を相談しましょう。
参考
以下の記事で取り調べにおける注意点を詳述しています。
ぜひご覧ください。
【その3】強姦(強制性交等)の再犯可能性を下げるよう、積極的に活動する。
不起訴の判断では「再犯の可能性」という点が大変重要です。
特に性犯罪は再犯率が高く、再犯に及ぶ人も多いのが現状です。
具体的には、
- 心のコントロールを扱うセミナーに参加する。
- 性的依存症の専門医にカウンセリングをしてもらう。
- 家族から監視される状況を作る。
などが考えられるでしょう。
具体的に活動し、それを検察官に申し出るようにしましょう。
強姦(強制性交等)事件の不起訴について、弁護士に相談!
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以上、強姦(強制性交等)事件における不起訴についてみてきました。
ですが、記事からは「具体的事例によって判断が異なる」ということを分かっていただけたと思います。
そのため、具体的な不安ば尽きない方も多いことでしょう。
そこで
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最後に一言アドバイス
いかがでしたか。
強姦(強制性交等)事件における不起訴について、分かっていただけたのではないでしょうか。
最後にアトム法律事務所の弁護士からひと言アドバイスをお願いします。
強姦(強制性交等)罪については、法改正もあり被害者対応や検察官対応に変化が出てくる可能性もあります。
ですが迅速な被害者対応の重要性にかわりはありません。
特に強姦(強制性交等)事件では、被害者の心理、精神にも配慮したきめ細やかな専門的対応が要求されます。
お悩みの際は、経験豊富な弁護士になるべく早くご相談ください。