【弁護士が解説】DVと刑期の関係、DV(傷害・暴行)は懲役何年になる?
DV事件において、有罪になるとどんな処罰が待っているのでしょうか。
テレビやドラマ、ニュースなどでも頻繁に耳にするDV。
つまり、ドメスティック・バイオレンスですね。
そのDVの刑罰についてご存じでしょうか?
- そもそもDVってどんな犯罪?
- DVの刑罰は懲役になる?
これらの疑問について、今回は詳しく調査しました。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でおなじみのアトム法律事務所の弁護士にお願いしています。
目次
実際に、DVで逮捕されてしまったらどんな刑罰が待っているのでしょうか。
少しこちらのニュースをご覧ください。
奈良市で平成25~26年、内縁の妻や三男=当時(6)=に暴行を加えたなどとして傷害罪に問われた(略)判決公判が22日、奈良地裁であった。(略)裁判官は「総合格闘技の経験をもつ被告の暴行はDV事案の中でも悪質で、再犯の恐れが否定できない」として懲役3年(求刑懲役4年)を言い渡した。
出典:産経WEST 2015.12.23 11:00
痛々しいDVのニュースですね…
このニュースの中で刑期は「懲役3年」となっています。
実際、どんな処罰が待っているのでしょうか。
現在、DVの当事者になっている方には一番気になる点ですよね。
この記事では「DVと刑期の関係」を細かく見ていこうと思います!
DVと刑期の関係とは?どんな刑罰が待っている?
①DVは懲役刑になってしまう?
DVは、刑法の暴行罪や傷害罪にあたります。
DV罪という罪名はありません。
なので、暴行罪や傷害罪の刑罰を受けることになります。
暴行罪や傷害罪で有罪になると、刑期の長さはどれくらいでしょうか?
そこが一番気になるところですよね。
まずこちらの「暴行罪」の条文みてみましょう。
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
出典:刑法208条
条文で確認できるようにDVが暴行罪で有罪になると、
- 2年以下の懲役
- 30万円以下の罰金
- 拘留
- 科料
のいずれかが科されることになります。
ことばの意味
それぞれの言葉の意味は次のとおりです。
- 懲役は、一定期間、刑務所に収監して刑務作業を行わせる刑罰
- 罰金は、一定の金銭を強制的に支払わせる刑罰
- 拘留は、1日以上30日未満、刑事施設に拘置する刑罰
- 科料は、1000円以上1万円未満の金銭を強制的に支払わせる刑罰
拘留とは自由刑の一種で、1日以上30日未満の期間、刑事施設に拘置するものです。
懲役や禁錮よりも軽い拘束といったイメージです。
科料は罰金よりも低い金額を科されます。
さて、次は傷害罪の条文も見てみましょう。
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
出典:刑法204条
こちらも条文から読み取れるようにDVが傷害罪で有罪になると、
- 15年以下の懲役または
- 50万円以下の罰金
になります。
ただ暴力をふるっただけの暴行罪より、暴力の結果相手にケガをさせている傷害罪のほうが、刑罰も重くなります。
まとめ
DVの刑罰
暴行罪 | 傷害罪 | |
---|---|---|
懲役 | 2年以下 | 15年以下 |
罰金 | 30万円以下 | 50万円以下 |
②DVの懲役は短くて何年?
DVの懲役刑に特化して掘り下げてみましょう。
DVで有罪になると次の可能性がでてきます。
- 暴行罪の場合、2年以下の懲役
- 傷害罪の場合、15年以下の懲役
法律の規定には、いずれも「以下」としか書かれていません。
では、いちばん短い刑期は何年になるのでしょうか?
有期懲役は、期間の定めのある懲役刑です。
刑法第12条によると有期懲役は1ヶ月以上、20年以下と規定されています。
ですので、懲役刑の中で最も短い刑期は1ヶ月となります。
暴行罪にせよ傷害罪にせよ、懲役刑になった場合、最も短ければ1ヶ月の懲役ということになります。
【Q&Aで更に知る】DVと刑期の関係
Q1.DVの初犯の刑罰はどれくらい?
次に初犯のDVの刑罰はどのくらい?についてみていきたいと思います。
これを考えるときに、参考になるのが裁判例です。
初犯のDVは、
- 相手に対する暴行の内容や
- 相手のケガの状況
によって刑罰が変わります。
例えば、こんな事例があります。
加害者の男性に懲役1年6月、執行猶予4年が言い渡されたケースです。
交際中の被害者の女性に対し、その顔面を両手の拳骨で多数回にわたり殴り、その胸部および腹部等を足で多数回蹴るなどの暴行を加え、加療2か月を要する怪我を負わせたというものです。
初犯でも懲役刑が宣告されることは十分にありえます。
Q2.DVと執行猶予との関係は?
執行猶予がつけば裁判で懲役刑になっても、加害者に有利な事情が考慮され、直ちに刑務所に行かなくて済みます。
執行猶予になったら、社会で普通に日常生活を送ることができます。
DVは、暴行罪にせよ傷害罪にせよ、事件後の相手方への対応が加害者の刑事処分に影響します。
捜査段階で示談が成立していると、不起訴で事件が終了したり、罰金で事件が終わることが多いです。
起訴された場合でも、加害者の被害者への謝罪が真摯に行われ、被害者が加害者を宥恕している事実は重要です。
示談書の中で次のことが示されていると、それが証拠として採用されれば裁判官が執行猶予をつける積極的な理由になりえます。
- ① 加害者の謝罪の意思
- ② 示談金・慰謝料の支払い(金額・支払い方法・支払い期限)
- ③ 被害者の宥恕
示談書の具体的な作成方法については、次のページが参考になります。
まとめ
DV事件と示談
起訴前 | 起訴後 | |
---|---|---|
示談あり | 不起訴・罰金処分の可能性が高まる | 有罪でも執行猶予付き判決の可能性が高まる |
示談なし | 罰金処分か公判請求の可能性が高まる | 必ずしも執行猶予が付くとは限らない |
【相談窓口】DV事件を起こしてしまったらすぐ弁護士へ相談!
ここまで、「DVと刑期の関係」について、アトム法律事務所の弁護士と一緒にお届けしてきました。
DVで有罪になるとどのような処罰が待っているかわかりましたね。
しかし、自分が当事者の場合、一番知りたいのは「事件の解決方法」です。
事件解決の一歩は弁護士に相談することです。
弁護士探しは苦労する方も多いみたいです。
今すぐ相談予約!24時間受付の無料相談窓口
こちらの弁護士事務所は、刑事事件の無料相談を24時間365日受け付ける窓口を設置しています。
いつでも専属のスタッフから無料相談の案内を受けることができるので、緊急の時も安心です。
来所相談は、土日や祝日も可能とのことです。
急を要する刑事事件の相談ができるので、頼りになりますね。
刑事事件でお困りの方へ
ご希望される方はこちら
24時間365日いつでも全国対応
※無料相談の対象は警察が介入した刑事事件加害者側のみです。警察未介入のご相談は有料となります。
広告主:アトム法律事務所弁護士法人
代表岡野武志(第二東京弁護士会)
ちなみに問合せは、全国対応で受け付けているとのこと。
誰にも知られずに、お悩み解決に近づけるのが魅力的ですね。
【弁護士を探す】地元で弁護士を探すなら「全国弁護士検索」です
スマホで相談できるのは便利だけれど…
実際に弁護士と会って相談したい方も多いのではないでしょうか。
そんなときはこちら。
全国弁護士検索なら地元で弁護士を探すのに便利です。
編集部のコメントや、実際に利用した人の口コミも掲載されているのでとても参考になります。
弁護士探しが事件の結果を左右するといっても過言ではありません。
最後に弁護士からひとこと
では先生、最後にひとことアドバイスをお願いします。
DV事件を起こしてしまったら、まずは冷静になることが大切です。
刑事事件の解決は、初期対応をいかにスピーディにするかが問われます。
ただ不安をかかえて時間が過ぎるのを待つのでは解決しません。
スマホの法律相談など、気軽に一歩ふみだせるところから始めていきましょう。