示談と不起訴|示談不成立でも不起訴?不起訴なら前科なし?窃盗・盗撮・傷害罪の示談例も
刑事事件の加害者になり、被害者側と示談することになった…
示談交渉をすることになった際、様々な疑問が浮かぶと思います。
- 示談が成立すれば不起訴を獲得できる?
- 示談不成立でも不起訴になる?
- 示談によって不起訴になったら前科はつかない?
など、今回は「示談と不起訴」についてお送りします。
後半では、「窃盗」「盗撮」「傷害罪」などの示談例もみていきましょう。
専門的な解説は弁護士の先生にお願いします。
刑事事件の流れの中でも「示談」は非常に大事な手続きです。
示談の成立・不成立は「不起訴処分」へも大きく影響します。
不起訴処分を獲得することは加害者の今後の人生にとっても重要です。
今回は、示談と不起訴についてくわしく解説していきます。
目次
【Q&A4選】 示談と不起訴の関係|示談不成立でも不起訴?前科はつかない?
ご自身やご家族が刑事事件の加害者になってしまった…
その際、被害者側との示談を検討すると思います。
「示談」について疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
まずは示談と不起訴についてのみなさんの疑問を解消していきましょう。
Q1.そもそも示談とは?不起訴とは?
そもそも、「示談」や「不起訴」の意味をご存じでしょうか?
まずは、意味を確認しておきましょう。
示談とは
「示談」という言葉を耳にしたことがあると思います。
示談とは、一般的な意味は以下の通りです。
私法上の紛争を、民事裁判の形ではなく、当事者による合意という形で解決すること
刑事事件において、慰謝料の金額やその他の条件を決めて、私法上の紛争を終わらす合意がされる場合があります。
示談とは、その合意のことです。
示談は、刑事事件の流れの中でどのような役割を持っているのでしょうか。
刑事事件での示談では、当事者による合意の内容として、
- 被害回復の実現(又はその見込み)
- 被害者の許し
という事項があります。
親告罪では、被害者の許しが特に重要になります。
告訴を取り下げてもらえれば裁判になることがなく前科もつきません。
親告罪ではなくても、示談はその後の刑事手続きに大きな影響を及ぼします。
示談を締結させることでその後の刑事手続きに影響がでるのですね。
示談交渉は自分自身で行うこともできます。
しかし、弁護士に示談交渉を依頼すると、スピーディーに示談成立が可能となるケースが多くあります。
刑事事件の流れの中で迅速に示談を締結させることは非常に重要です。
不起訴とは
続いて、不起訴についてみていきましょう。
テレビのニュースや新聞でみかける言葉ですよね。
先に意味を確認しておきましょう。
不起訴:刑事事件において、検察官の公訴を提起しない処分のこと
「公訴の提起」とは、起訴と同じ意味です。
公訴とは、「検察官が刑事事件について裁判所の裁判を求める申立てを行うこと」です。
裁判所に公訴を提起する、それを略して起訴といいます。
不起訴処分となれば刑事裁判にならず、前科もつきません。
刑事事件の加害者になった場合、まずは不起訴処分獲得を目指したいですね。
Q2.示談すれば不起訴になる?示談と不起訴の関係って?
不起訴処分を獲得すれば前科はつかないとわかりました。
刑事事件の加害者になってしまったらまずは不起訴処分を目指すことになります。
示談が成立するということは被害者側からの許しが得られたということです。
示談が成立すれば必ず不起訴処分になるのでしょうか。
示談が成立したからといって、必ず不起訴処分になるわけではありません。
検察官が起訴・不起訴を判断する要素は、示談の成立だけではないからです。
- 加害者の反省の態度
- 前科の有無
- 犯罪の種類
- 態様
などを考慮して判断するからです。
もっとも、事件にもよりますが示談の成立は起訴・不起訴の判断に大きな影響を与えます。
示談が成立したからといって必ず不起訴処分になるわけではないのですね。
とはいえ、その後の刑事処分の判断に影響するのであれば被害者側と示談交渉し、示談を成立させるのが得策ですね。
また、器物損壊罪などの「親告罪」では、示談は非常に重要です。
「親告罪」とは、
公訴の提起に告訴のあることを必要条件とする犯罪。 (略)
出典:有斐閣 法律学小辞典 第5版
といった意味です。
つまり、起訴までに示談によって告訴取消をしてもらえば必ず起訴を免れることができます。
Q3.示談が不成立の場合はどうなる?
先ほど、示談が成立すれば不起訴処分獲得に向けてよい影響があるとわかりました。
では、示談が不成立だった場合はどのような影響があるのでしょうか。
示談が成立していないということは「被害者からの許しが得られていない」ともとらえることができます。
示談不成立の場合は、必ず起訴されてしまうのでしょうか。
示談成立は不起訴などを判断する情状の一つです。
示談不成立だったからといって、必ず起訴されるとは限りません。
起訴や不起訴の判断は、被疑者本人のさまざまな情況をふまえて総合的に判断されます。
起訴・不起訴の判断で考慮される情況は、
- 性格
- 年齢と境遇
- 犯罪の軽重
- 情状
- 犯罪後の情況
のような情況から判断されることになります。
示談が成立していないからといって必ずしも起訴されるというわけではなさそうです。
Q4.不起訴処分になれば前科はつかない?
事件が起訴され、刑事裁判で有罪になると前科がついてしまいます。
前科がついてしまうと、これからの転職・結婚など生活に支障がでる場合があります。
前科をつけないようにするためには不起訴処分を獲得するしかないのでしょうか。
前科を付けないようにするには、有罪判決を受けないようにする必要があります。
前科を付けないように事件を解決する第一の方法は、まず検察官から不起訴処分を得ることです。
逮捕された事件が不起訴処分で終われば、前科は付きません。
前科を付けないように事件を解決する第二の方法は、裁判官から無罪判決を得ることです。
逮捕後起訴された事件が無罪判決で終われば、前科は付きません。
刑事裁判で無罪判決を獲得するのはなかなか困難です。
不起訴処分を得る方が、無罪判決を得る場合と比べて、負担が少なく得策です。
不起訴処分を得るためには、事件が起訴される前に、迅速に対処していく必要があります。
事件を不起訴処分で終わらせるには、弁護士に依頼し、加害者のよい情状を証明する必要があります。
「起訴猶予」に持ち込むか、容疑を否認して「嫌疑不十分」「嫌疑なし」に持ち込むことを目標として弁護活動を行います。
示談すれば不起訴になる?窃盗・盗撮・傷害罪の例を紹介
ここからは、実際の事案ごとに示談の効果を見ていきましょう。
窃盗罪の示談と不起訴の関係
窃盗罪とは、人の財物を窃取することによって成立する犯罪です。
窃盗罪で有罪になると、「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」になる可能性があります。
また、身近でも起こりやすい「万引き」も窃盗罪にあたります。
窃盗罪で逮捕された場合、示談をすれば不起訴処分は獲得できるのでしょうか。
軽微な窃盗事件で、過去に同様の前科・前歴がないような場合は、
- 弁護士を通じて被害者に盗んだ物を弁償する
- 示談を締結する
などの対処で、不起訴処分を獲得できるケースが多いです。
窃盗事件においても、示談をすることは不起訴獲得に大きな影響をもたらしそうですね。
万引きや置き引き、様々な窃盗事件において同様です。
罪を認めて反省し、被害弁償の上で示談を締結すれば、多くの事件で前科がつくことを防ぐことができます。
しかし、窃盗事件でも、職業的に反復継続して行っていたスリや車上荒らし、犯行態様が悪質な住居侵入を伴う窃盗などを繰り返していたケースもあります。
その場合は、仮に被害者と示談が成立しても事件が起訴される可能性があるため、慎重な対応が必要です。
窃盗の示談について知りたい方はこちら
盗撮の示談と不起訴の関係
盗撮は、
- 撮影罪
- 各都道府県が定めた迷惑防止条例
- 軽微な秩序違反行為を取り締まる軽犯罪法
などに抵触する場合があります。
盗撮の刑罰を確認してみましょう。
実刑になる可能性もあり、決して軽い処罰ではありませんね。
盗撮も示談することで不起訴処分を獲得する事は可能なのでしょうか。
盗撮・覗き事件は比較的軽い犯罪とされています。
よって、被害者と示談成立すれば、検察官による不起訴処分となる可能性が高くなります。
盗撮の示談をさらにくわしく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
盗撮の示談について知りたい方はこちら
傷害罪の示談と不起訴の関係
傷害罪とは、人の身体を傷害することによって成立する犯罪をいいます。
刑法204条は「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と定めています。
傷害事件で示談が締結することはどんな効果が期待できるのでしょうか。
傷害事件では、示談成立により、不起訴になる可能性が高くなります。
検察官は、傷害事件において起訴・不起訴の判断において、示談の成立を重視します。
示談が成立していれば、不起訴処分又は略式起訴による簡易・迅速な罰金処分となる可能性が高くなります。
したがって、傷害事件において示談の成立は重要です。
できるだけ早く弁護士に依頼して示談交渉を行って貰うべきといえますね。
特に、逮捕・勾留中の身柄事件では、 早期の釈放、不起訴処分のために弁護士に依頼するメリットが多くあります。
傷害事件の示談についてさらにくわしく知りたい方は以下も併せてご覧ください。
傷害罪の示談について知りたい方はこちら
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ご自身やご家族が逮捕されてしまった時、示談交渉をするケースがあると思います。
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ご自身だけで示談交渉を締結させるのはなかなか難しいです。
また、被害者側が強い被害感情・処罰感情を持っていれば示談交渉自体難しいかもしれません。
その場合、第三者である弁護士であればスムーズに示談が締結することがあります。
示談交渉は弁護士に依頼することをオススメします。
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最後に一言アドバイス
「示談」と「不起訴」について理解が深まりましたね。
刑事事件において、示談を締結させることは非常に重要だとわかりました。
最後に一言アドバイスをお願いします。
示談を締結することによって不起訴処分を獲得できる可能性があがります。
ご自身が逮捕されてしまうと身動きをとることができません。
その間にも事件は進行します。
弁護士なら、本人に代わり被害者と迅速に適切な示談交渉を行うことが可能です。
刑事事件の加害者になったらまずは弁護士に一度相談することをお勧めします。
まとめ
今回は、「示談と不起訴」の関係を特集しました!
示談が成立することは不起訴処分獲得のためにも大切だとわかりました。
さらに、示談成立の為には弁護士に依頼することが一番でしたね。
もし、ご自身やご家族が刑事事件の加害者になってしまったら…
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なお、本記事に記載したこと以外で逮捕後に知っておきたい情報は『逮捕されても人生終了じゃない!早期釈放と前科・クビ回避の方法』にまとめているので、興味がある方はご覧ください。
他にも示談についての関連記事がありますのでこちらも見てみてくださいね。