保釈の流れ|逮捕から釈放、その後のウラ事情まで紹介
このページでは、「保釈の流れ」について解説しています。
法律のプロである弁護士の先生をお呼びしました。
先生、よろしくお願いします!
保釈の請求から決定まで
起訴から保釈請求までの大まかな流れは?
保釈は起訴後の制度ということですが・・・
起訴されてから保釈請求されるまでの流れから見ていきましょう。
事件が起訴され、起訴状が裁判所に受理されれば、その段階から被告人は保釈を請求することが可能になります。
一日でも早い保釈を希望する場合は、起訴される前から保釈請求書を準備しておき、起訴状が受理された直後に保釈請求書を提出することになります。
※この場合でも、保釈の決定には審理の時間が必要なので、保釈が認められるまでに3日前後かかることが多いです。
なるほど。
正式に起訴されると、保釈の請求が可能になるんですね。
早く保釈にしたかったら、起訴される前から保釈の準備をしておくのが大切です!
保釈はどうやって決定されるの?
実際に保釈されるかどうかは、どのように決まるんでしょうか?
保釈請求書を受理した裁判所は、検察官の意見を聞いた上で、保釈を認めるか否かを決定します。
検察官は、被告人・弁護人側からの保釈請求に対して、裁判所に「保釈を認めるべきではない」等の意見を述べます。
弁護士と裁判官の面談が認められたケースでは、弁護士から直接、裁判官に対して「保釈を認めるべきである」等の意見を述べることができます。
裁判官は、保釈を許可する場合は、保釈金の金額やその他の保釈の条件を記載した書面を作成し、被告人側に送付します。
へえ、裁判所が検察官と相談して決めるんですね。
弁護士と裁判官が話し合うこともあるんだ!
保釈は却下されることもある?その理由は?
先生!保釈って、請求しても却下されることありますか?
却下されるのはどんな時でしょうか?
保釈は必ず認められるわけではありません。
被告人・弁護士からの保釈の請求に対し、裁判官はこれを却下することがあります。
逃亡や罪証隠滅の可能性が高いなど、保釈を認めることが不適切と判断された場合は、保釈請求は却下されることになります。
ふーん、そっか。
保釈は請求すれば必ず認められるものじゃないんですね。
逃げたり証拠を隠したりする危険があると、保釈してもらえないんですね・・
保釈の準抗告・特別抗告ってなに?
皆さん、準抗告や特別抗告というコトバを聞いたことはありますか?
保釈の準抗告・特別抗告って、一体どういうことを言うのでしょうか。
先生、わかりやすく説明をお願いします!
準抗告・特別抗告とは、裁判所や裁判官の決定に対する不服の申立てのことをいいます。
前提として、準抗告と特別抗告の意味を押さえましょう。
準抗告とは
刑事訴訟法上、準抗告とは、裁判官のした裁判や、検察官・検察事務官・警察がした処分について、裁判所に取消し又は変更を求める不服申立をいいます。
特別抗告とは
刑事訴訟法上、特別抗告とは、通常の不服申立てができない決定・命令について、憲法違反、憲法解釈の誤り又は判例違反を理由として、最高裁判所にする特別の抗告をいいます。
特別抗告の提起期間は5日です。
保釈の準抗告・特別抗告とは
「保釈の準抗告」とは、保釈請求の却下に対してするものです。
第1回公判期日前に不服申立てを行う場合は準抗告、第1回公判期日よりあとに行う場合は抗告と呼ばれます。
たとえば、起訴から1回目の裁判までの間に保釈請求が却下されて、それに対し不服申立てをしたい場合は、準抗告をすることになります。
「保釈の特別抗告」とは、刑事訴訟法上他に不服を申し立てることができない決定または命令に対して認められる特別の手続で、最高裁判所が管轄しています。
たとえば、保釈請求を却下した裁判官の決定については、地裁に準抗告が可能ですが、準抗告審(地裁)の決定については高裁にさらに不服申し立てをすることはできず、特別抗告のみが許される、ということになります。
言葉が難しい・・・・・
要するに、裁判所が保釈を認めてくれなかったときに、「どうして?認めてくださいよ!」っていうことなんですね。
保釈が遅れる場合もある?どういう場合?
保釈って、請求したらすぐに保釈してもらえるものなんでしょうか。
保釈が遅れる場合もあるのでしょうか?
先生、現場のご経験から、ご回答願います!
保釈が遅れる場合は、次のようなケースが考えられます。
①保釈の審査に時間を要する場合
保釈を請求したあと、土日や祝日をはさんだ場合は、裁判官や検察官の休みの関係で、保釈の審査が遅れることがあります。
また、保釈の条件を調整する関係で、保釈の審査が遅れるケースもあります。
②保釈金の納付に時間を要する場合
保釈が許可されても、保釈金の納付が遅れれば、釈放それ自体も遅れることになります。
実際に被告人が釈放されるのは、保釈金を納付した数時間後のケースが多いです。
保釈が許可されても、保釈金が納付されない限り、被告人が釈放されることはありません。
③そもそも保釈の決定が出ない場合
そもそも保釈が許可されない場合は、保釈それ自体が遅れます。
再逮捕や追起訴が予定されている事件では、起訴直後の保釈は認められないケースが多いです。
また、私たち弁護士としては、裁判官から「保釈は示談が成立したあとでないと許可しない。」等と告げられることもあります。
なるほど。
保釈が遅れるのには、色々な理由があるんですね。
保釈の決定から保釈中
保釈されたら迎えに来てもらえる?家族としては迎えに行くのが通常?
せっかく保釈されたら、迎えに行ってあげたいですよね?
家族は迎えに行けるんでしょうか?
保釈が許可されれば、あとは保釈金さえ納付すれば、納付から数時間後に留置施設から釈放されます。
この際、釈放先の留置場や拘置所まで本人を迎えに行くご家族の方も多いです。
本人を迎えに行く場合は、現地ですれ違いにならないように、担当の弁護士と釈放のスケジュールについて事前打合せしておくことが大切です。
そっか、保釈されたら迎えに行っていいんですね!
保釈の期間はどれくらい?
保釈されてる期間て、どれくらいですかね?
どれくらいの間、自由でいられるんでしょうか。
保釈の期間は、当該審級の裁判が終わるまでです。
例えば、起訴の直後に保釈されたようなケースでは、第一審の裁判が終わるまで、2か月前後かかることが多いです。
この場合は、この2か月前後保釈されることになります。
第一審の判決が実刑判決の場合は、保釈の効力が失効するので注意が必要です。
※第一審で実刑判決を受けた場合は、保釈中でも、そのまま法廷で収監され、拘置所等に連れて行かれることになります。
なるほど、保釈っていうのは起訴された後の釈放だから・・・
保釈の期間は、裁判が終わるまでの間なんですね!
一般的には、2ヶ月前後ということです。
保釈中はどうしてたらいいの?
ところで、保釈中はどうしてたらいいでしょうか。
自由とはいえ、きっと行動に制限もあるんですよね?
保釈中は、保釈決定の条件に従って生活する必要があります。
一般的には、保釈決定書には、「事件の関係者と接触しない」「裁判にはちゃんと出席する」といった約束事が書かれています。
これらの条件をちゃんと守れば、通勤や通学は自由です。
裁判が終わるまで、通常の日常生活を送ることができます。
なるほど。
保釈の決定書に書かれていることを守ればいいんですね。
普通に学校や会社に行けるのは有難いです。
保釈中、監視はつくの?旅行に行っても大丈夫?逃亡するとどうなる?
保釈中、見張りはつくんでしょうか。
さすがに旅行とかは行けないですよね・・・?
先生、このへんはどうなんですか?
保釈中は原則的に監視がつくことはないので、通常の日常生活を送ることができます。
これに対して、旅行については、保釈の条件で制限されているケースがほとんどです。
保釈許可決定では、通常、保釈の条件として「海外旅行または3日以上の旅行をする場合は、前もって、裁判所に申し出て、許可を受けなければならない」等と規定されています。
この条件に違反して勝手に旅行した場合は、保釈金を没取されるリスクを負います。
逃亡して裁判を欠席した場合も、保釈金を没取されるリスクを負うことになります。
へえ!保釈中は見張られたりしないんですね。
とはいえ、さすがに自由な旅行は厳しいか^^;
保釈中に逮捕されることはある?
保釈されてる間に、逮捕されることってありますかね?
保釈中でも、別件の容疑が固まれば、逮捕されることがあります。
保釈される前の事件であっても、逮捕の必要性があれば、保釈中に逮捕されます。
もちろん、保釈中に新たな犯罪を犯した場合は、その新しい犯罪の容疑で逮捕されることがあります。
そっか、他の事件で容疑がかかれば、保釈中かどうかは関係なく捕まっちゃうんですね。
保釈のその後
保釈の執行停止とは?
皆さん、保釈の執行停止ってコトバ、聞いたことありませんか?
なんだか難しそうだけど・・・
弁護士の先生に教えてもらいましょう!
保釈の執行停止とは、保釈が一時停止して、被告人の身柄が拘束されることをいいます。
裁判官による保釈許可の決定に対し、検察官が保釈不適当として不服申し立てをした場合に、裁判官の決定が下されるまでの間、保釈が一時停止するのです。
保釈の執行停止は、保釈が一時停止するにすぎないという点で、「保釈の取消」とは異なります。
なるほど。保釈がいったん停止、って意味なんですね!
保釈の取消とは?
では、保釈の取消はどういう意味なのでしょう?
保釈の執行停止とは、何が違うのでしょうか。
保釈の取消とは、一度くだされた保釈の決定が撤回されることです。
保釈が取消になるのは、被告人に逃亡や証拠隠滅の疑いがあると判断された場合です。
保釈が取り消されると、被告人は再び身体を拘束されます。
身体の拘束は、再び保釈が許可されない限り、ずっと続きます。
保釈の取消は、一時的に身体が拘束されるにすぎない「保釈の執行停止」とは異なります。
ああなるほど!
保釈の「取消」は、保釈が完全に終わっちゃうってことなんですね。
保釈の「執行停止」は一時停止でしたけど、取消だともう、完全に保釈が終わるんですね。
保釈されたら裁判にはならない?
保釈されるってことは、身柄が自由になるってことですよね。
そしたら、保釈された以上、もう裁判にはならないんですか?
保釈許可決定により保釈された場合でも、その後に刑事裁判を受けることになります。
保釈とは、刑事裁判が終わるまでの期間、一時的に社会に釈放される制度のことです。
裁判にならないわけではないので、注意が必要です。
そっか、保釈は一時的なものにすぎないんですね。
とりあえず自由になるだけで、裁判はそのまま続くということでした。
保釈されたら執行猶予がつく可能性が高まる?それとも実刑判決?
保釈が許されたら、執行猶予がつく可能性も高まりますか?
なんとなくそんなふうに思ったんですけど、皆さんはどうですか?
先生、教えてください!
保釈が許可されることと、判決で執行猶予がつくか、実刑判決になるかは別問題です。
もっとも、一般論としては、執行猶予が予想されるケースの方が保釈が許可されやすいということができます。
実刑判決が予想されるケースでは、被告人が逃亡するリスクがあり、保釈が許可されにくい傾向があります。
なんだ~
保釈が認められたから執行猶予がつくとか、そういう関係性はないんですね。。
保釈されたからといって、期待しすぎないことが大切ですね。
保釈中に追起訴されるとどうなる?
保釈中に、別件で追って起訴されることも、きっとあり得ますよね?
そういう場合は、どうなるのでしょう。
引き続き自由にしていていいのか、やっぱりまた捕まるのか・・・
保釈中に余罪や別件が追起訴されても、保釈が取り消されたりすることは基本的にありません。
そのまま保釈中の身として社会内で日常生活を送り、刑事裁判で追起訴分の事件も合わせて審理を受けることになります。
え、それは意外かも。
そうなんだ、別件は別件。
一度認められた保釈の決定は、消えないんですね!
保釈の流れの相談なら弁護士にお任せ!
ここまで、保釈の流れについて、弁護士の解説と共にお送りしました。
これで一般的なことはカバーできました。
でもできれば、自分の事件に即した具体的なアドバイスも欲しいですよね?
…ということで、以下では、弁護士に無料で相談できるサービスをご紹介します。
今すぐ相談予約!24時間受付の無料相談窓口
こちらの弁護士事務所は、刑事事件の無料相談を24時間365日受け付ける窓口を設置しています。
いつでも専属のスタッフから無料相談の案内を受けることができるので、緊急の時も安心です。
来所相談は、土日や祝日も可能とのことです。
急を要する刑事事件の相談ができるので、頼りになりますね。
刑事事件でお困りの方へ
ご希望される方はこちら
24時間365日いつでも全国対応
※無料相談の対象は警察が介入した刑事事件加害者側のみです。警察未介入のご相談は有料となります。
広告主:アトム法律事務所弁護士法人
代表岡野武志(第二東京弁護士会)
ちなみに問合せは、全国対応で受け付けているとのこと。
誰にも知られずに、お悩み解決に近づけるのが魅力的ですね。
地元の弁護士にじっくり相談するなら
なおコチラから、全国47都道府県の、刑事事件に強い弁護士を検索することができます。
使い方は簡単!
お住まいの地域をタップするだけです。
相談してみたい弁護士は見つかりましたか?
掲載されているのは、当サイトの編集部が厳選した頼りになる弁護士たちです。
きっと、お困りごとを相談できる先生が見つかるでしょう。
最後に弁護士からメッセージ
では先生、最後にひとことメッセージをお願いします。
保釈の流れでお困りの皆さん。
今後のことを考えると、不安な気持ちになるでしょう。
しかし、刑事事件の解決はスピードとタイミングが勝負です。
落ち込んでいる暇はありません。
早い段階でご相談いただくことで、弁護士としてもやれることが増えます。
まずはとにかく、弁護士に積極的にご相談ください。
まとめ
総まとめ
保釈前 | 保釈後 | |
---|---|---|
刑事裁判 | 刑事裁判あり | 刑事裁判あり |
被告人 | 拘置所で生活する | 自宅で生活できる |
旅行 | 旅行には行けない | 裁判所の許可があれば旅行に行ける |
いかがでしょうか。
このページでは、時系列を追いながら、保釈の流れを見てきました。
なお、保釈以外で逮捕後に知っておきたい情報は『逮捕されても人生終了じゃない!早期釈放と前科・クビ回避の方法』にまとめているので、興味がある方はご覧ください!
当サイト「刑事事件弁護士カタログ」には、他にもお役立ちコンテンツが満載です。
- 下の関連記事で情報をしっかり押さえて
- 24時間受付の無料相談窓口
- 全国47都道府県の全国弁護士検索
を活用してください。
事件を起こしてしまったことは、深く反省しなくてはなりません。
しかしあなたやご家族の人生は、今後も続いていきます。
事件のために、大切な人生がめちゃくちゃになったりしないよう、まずは頼れる弁護士を見つけましょう。