保釈金は返金してもらえるのか?|返還時期や還付されないケースを解説
保釈金を払わなければ保釈されない。
ですが、保釈金は多額です。
比較的軽微な事件でも、保釈金の相場は150万円前後といわれています。
用意するのは大変なことだと思います。
でも・・・
「保釈金は返還してもらえる。」
このようなことを耳にしたことはあるでしょうか?
そこで、今回は・・・
- 保釈金は返還してもらえるって本当?
- いつ返してもらえるの?
- 返還手続は必要?
などなど、保釈金の返還についてレポートします。
法律の解説は、アトム法律事務所の弁護士にお願いします。
こんにちは。
今日は、保釈金の返還に関する疑問を解決していきましょう。
これまでの実務経験にもとづいて、実例をあげながら解説していきます。
よろしくお願いします。
目次
保釈金は返還されるのか?いつ返還される?
(1)【はじめに】保釈金は「返還」が前提なの?
保釈金の納付は、返還が前提!?
保釈は、保釈金を払わなければ許可されない。
保釈金について、まずはそのシステムを整理しておきましょう。
保釈の手続については、「保釈を許す決定は、保証金の納付があった後でなければ、これを執行することができない。」と規定されています。
保釈という制度は、保釈金の納付と引き換えに、被告人が釈放してもらう制度です。
正当な理由がなく裁判に出頭しない場合には、保釈金が没取されます。
このような威嚇の下に、被告人の身体を解放するのが保釈という制度です。
保釈という制度が成立するためには、保釈金の納付が不可欠です。
納付するとは、金品を公的機関に納めるという意味ですよね。
保釈金は返還してもらえるのでしょうか?
保釈金は、最終的には返還されます。
保釈金は、罰金刑とは異なるため、被告人に加えられる制裁ではありません。
保釈金が没取されなければ、返還してもらえます。
逃亡したり、保釈の条件に反したりしなければ、保釈金は没取されません。
保釈金は何もなければ返ってきます。
保釈金を返してもらうためには、保釈の条件に反しないことが重要です。
保釈金が返還される根拠とは!?
では、保釈金の返還について示された根拠条文を見ておきましょう。
次の場合には、没取されなかつた保証金は、これを還付しなければならない。
出典:刑事訴訟規則第91条第1項柱書
ふむふむ?
「次の場合には」とは、どのような場合でしょうか?
保釈金が「没取されなかったこと」
これにプラスして、「次の場合」という条件があります。
具体的には、以下の一~三です。
一 勾留が取り消され、又は勾留状が効力を失ったとき。
二 保釈が取り消され又は効力を失ったため被告人が刑事施設に収容されたとき。
三 保釈が取り消され又は効力を失った場合において、被告人が刑事施設に収容される前に、新たに、保釈の決定があって保証金が納付されたとき又は勾留の執行が停止されたとき。
出典:刑事訴訟規則第91条第1項各号
ここでは、漢数字の「一」を取り上げましょう。
この漢数字の「一」は、1号と読みます!
勾留が取り消されたとき
保釈とは、勾留されている被告人のための制度です。
勾留が取り消されれば、保釈請求は問題になりません。
勾留状が効力を失ったとき
これは、勾留期間の満了や、無罪や執行猶予などの裁判の告知があった場合などをさします。
1号では、勾留が取り消されたり、勾留状の効力がなくなった場合を規定している
実刑判決がでてしまうと保釈金は没取され、返還されないのでしょうか。
保釈金は、有罪の実刑判決が出ても返還されます。
刑事訴訟法94条1項2号を見てください。
「刑事施設に収容されたとき」と規定されてます。
有罪の実刑判決が出ると刑務所に収容されます。
このようなケースは、2号に該当します。
有罪の実刑判決が出ても保釈金は還元されるんですね!
(2)【時期】いつ返還?保釈金の返還時期とは…
次に気になるのは、返還の時期ですよね?!
いつ返還されるのでしょうか?
保釈金が返還されるタイミングは、判決後、およそ1週間から2週間の間です。
裁判所の事務処理の都合で前後することはありますが、判決日以降、すみやかに返還されます。
すぐに返還されるので安心ですね。
返還OK!保釈金の返還手続はどうなっているの?
(1)【手続き】保釈金の返還手続の流れとは?
弁護人が保釈金を納付した場合、弁護人を経由して保釈金は返還されます。
保釈金を納付した者が、保釈金の還付を受けることになるからです。
弁護人の口座に保釈金が振り込まれたら、弁護人から保釈金を返してもらうことになります。
(2)【返還の範囲】全額が返還されるの?
保釈金は、いくらか差し引かれてから、返還されるのではないかと不安になりますよね。
保釈金は、どのようなケースでも、全額返還してもらえるのでしょうか?
保釈金は、没取されなければ、全額返還してもらえます。
保釈が取り消されたなどの事情で、没取されてしまえば返還してもらえません。
一部没取された場合には、残りの没取されていない保釈金が返還されます。
保釈金の一部だけ没取されたら、全額返してもらえません。
その場合、没取されていない部分だけが返還の対象となります。
返還はダメ!?返還されないケースをレポート
(1)返還されないケースとは?
保釈金が返還されないケースとは、保釈金が没取されるケースです。
没取されるケースについて見ていきましょう。
保釈を取り消す場合
保釈を取り消された場合に、保釈金が没取される根拠条文を見てみましょう。
保釈を取り消す場合には、裁判所は、決定で保証金の全部又は一部を没取することができる。
出典:刑事訴訟法第96条第2項
この条文の「保釈を取り消す場合」とは、具体的にどのような場合でしょう。
これについては、刑事訴訟法96条に規定があります。
これから簡単にまとめてみます。
次のうちどれかに該当すると、裁判所は保釈を取り消すことができます。
- ① 正当な理由なく裁判に出頭しないとき
- ② 逃亡するおそれのあるとき
- ③ 罪証隠滅のおそれのあるとき
- ④ 被害者などを畏怖させたとき
- ⑤ 保釈の条件に違反したとき
条文を見ると、このように記載されています。
第九十六条 裁判所は、左の各号の一にあたる場合には、検察官の請求により、又は職権で、決定を以て保釈又は勾留の執行停止を取り消すことができる。
一 被告人が、召喚を受け正当な理由がなく出頭しないとき。
二 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三 被告人が罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
四 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき。
五 被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき。
出典:刑事訴訟法第96条第1項
必要的没取
また、次の場合も保釈金が没取されます。
根拠条文を見てみましょう。
この条文では、「没取しなければならない」と規定しています。
この条文に該当する場合には、保釈金の没取が絶対に必要になります。
保釈された者が、刑の言渡を受けその判決が確定した後、執行のため呼出を受け正当な理由がなく出頭しないとき、又は逃亡したときは、検察官の請求により、決定で保証金の全部又は一部を没取しなければならない。
出典:刑事訴訟法第96条第3項
これらの場合、保釈金が没取されてしまいます。
没取されてしまったら、返還されません。
逃亡などしないで返還を目指したいところです。
(2)返還されない保釈金はどうなるの?
返還されない保釈金は、「没取」・・・。
保釈金が「没収」?
没収は刑罰ですが、没取は刑罰ではありません。
「ぼっしゅう」と区別するために、「ぼっとり」という場合もあります。
没取とは、財産を国庫に帰属させることです。
国庫に帰属させられた保釈金は、国の財産として利用されることになります。
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さいごに
保釈金は返還してもらえる。
返還手続も弁護士に任せておいてよい。
このように考えると、保釈請求へのハードルが下がるのではないでしょうか。
保釈金の返還については、実務の運用を知らない方がほとんどです。
無理もありません。
弁護士が被告人に代わり裁判所とやりとりをしますので、なかなか知る機会は少ないと思います。
保釈金がどのタイミングで必要となるのか、返還される時期はいつか、気になることは専門家に尋ねてみましょう。
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まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、保釈金の返還についてレポートしてきました。
お悩み解消の手助けができたら幸いです。
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