「器物損壊罪」の意味とは?成立のための構成要件は?
器物損壊罪をご存知ですか?
「なんとなく、物を壊した時に問われる罪ってことはわかるけど…」
という方も多いのではないでしょうか。
実は一般的に認識されている「モノ」だけが対象ではありません。
器物損壊の意味についてくわしく知っておきましょう。
今回は
- 器物損壊の意味とは?
- 器物損壊の定義とは?
など、調査の結果をあますことなくレポートしていきたいと思います!
法律の専門的な部分の解説は、テレビや雑誌でおなじみのアトム法律事務所の弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
器物損壊はよく発生している事件の一つです。
今回はその器物損壊罪についてくわしく解説していきたいと思います。
目次
器物損壊罪で逮捕!
こんなをニュース見かけたことありませんか?
いくつか、器物損壊罪で逮捕に至った事例をご紹介します。
▼ 器物損壊で逮捕に至ったケース
- 車に火をつけ、車両のフロント下部とボンネットの内部を焼損させた事例(2019年6月産経新聞)
- 高速道路で後続車が前を走る車をあおった上、エアガンを発射して車体を傷つけた事例(2019年9月日経新聞)
- 故意に他人の車のタイヤをパンクさせた事例(2019年10月産経新聞)
最近のニュースでは、車に関係した器物損壊の逮捕事例が目立ちます。
いくらイライラしたとしても物に当たるのはよくありません。
人の車を傷つけたら「器物損壊」に当たるのは理解できます。
しかし、「器物損壊」は非常にたくさんのケースが考えられますよね。
- 人の家の門を壊してしまったら?
- 道端のフェンスを壊してしまったら?
- 傷はつけてないけど公共物を汚してしまったら?
細かく考えるとキリがありません。
まず、器物損壊がどんな犯罪なのか、というところから見ていきましょう。
【重要】器物損壊罪の意味・定義
器物損壊罪の「定義」とは
「器物損壊」と聞くとどんな犯罪かはなんとなくは想像がつきますね。
しかし、具体的にはどのような行為が器物損壊に当たるのでしょうか
どのようなケースが器物損壊罪にあたるのか疑問を持つ方も多いようです。
ケースがたくさんありすぎて判断が難しいですね…
条文にはこのように記載されています。
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
出典:刑法261条
器物損壊とは、簡潔に言えば他人の物を損壊又は傷害することです。
解説
「他人の物」とは、法律上、自分以外の他者の所有物をいいます。
「所有物」には、動物も含まれます。
「損壊」とは、上記のような所有物の効用を害することをいいます。
「傷害」と混同しがちですが、「傷害」とは、特に動物について、動物の肉体や健康を害すこと、失わせること、隠すことなどをいいます。
動物を「所有物」として扱う部分は違和感を感じるかもしれませんが、法律ではこのように定められています。
つまり、
- 人のものを壊す
- 人のペットに怪我をさせる
ような行為を行うと「器物損壊罪」にあたります。
器物損壊罪の「保護法益」とは
保護法益という言葉を聞いたことはありますか?
簡単に説明すると、「保護すべき法律上の利益」のことを保護法益といいます。
法律は、ある特定の行為を規制することにより、一定の利益を保護・実現しようとしています。
法律が罰則を定めてまで守ろうとしているものが保護法益なのです。
器物損壊の保護法益は所有権その他の本権です。
財物とは、簡潔にいうとほとんど全ての財産的価値のある物のことを指します。
この財物には、動物を含みますので、他人が飼うペットもこれに含まれることになります。
動物を傷つけたり殺したりした場合には、器物損壊が成立することになります。
【必見】器物損壊罪の構成要件とは?
器物損壊罪の構成要件の判断方法
犯罪の構成要件という言葉をご存じでしょうか?
構成要件とは犯罪が成立するための要件をいいます。
従って、器物損壊の構成要件とは「器物損壊が成立するための要件」です。
構成要件が認められると、器物損壊罪が成立します。
ただし、精神疾患などで責任が問えないなどの特別な事情があると罪に問えないときもあります。
器物損壊は、他人の物を損壊し、または傷害することで成立します。
器物損壊には
- 未遂犯
- 過失犯
は存在しません。
例えば、器物損壊は、「他人の物」を「損壊」し又は「傷害」しない限り、罪が成立しないので未遂犯がありません。
そして、器物損壊には過失犯規定がなく、意図せず他人の物を壊してしまった場合には、犯罪は成立しません。
更に、器物損壊は親告罪ですから、被害者による告訴がなければ起訴されることはありません。
親告罪とは
刑事告訴がなければ起訴できない犯罪をいいます。
通常、刑事事件を起訴するかどうかの判断は、検察官の専権とされています。
検察官が独自に判断し、刑事事件を起訴するかどうかを決めます。
しかし、親告罪の場合は、被害者の告訴がなければ、検察官は起訴することができません。
被害者の意思の方が、検察官の判断よりも優先されます。
簡単にまとめると、器物損壊は3つのポイントがあるということです。
- 未遂はない
- 過失犯もない
- 被害者の告訴がないと起訴されない
という3点が器物損壊のポイントです。
①器物損壊罪における「他人の物」
では、器物損壊の構成要件をくわしく見ていきましょう。
器物損壊は、他人の物を損壊し又は傷害することで成立する犯罪です。
器物損壊でいう他人の物とは、具体的にはどのようなものでしょうか。
今度は「他人の物」に注目してみましょう。
もう少しわかりやすくいうと、
他人が持っている全ての物のうち、公用文書、私用文書、建造物、艦船等を除いたもの
がいわゆる「他人の物」です。
「他人の物」に含まれる対象はとても幅広いです。
法律上、こちらには動物も含まれます。
②器物損壊罪における「損壊」
器物損壊は、「他人の物を損壊し又は傷害することで成立する犯罪」と定められています。
しかし、「損壊」とは、どういう意味なのでしょう?
どの程度の「損壊」が器物損壊罪の対象になるのでしょうか。
損壊は、物の性能や価値を下げる行為をいいます。
法律上では、「その物の効用を害する行為」が損壊だといわれています。
具体例
- 他人の自転車を物理的に破壊する
- 飾ってある絵画に落書きをする
- 飲食店の看板を遠くに持ち去る
などといった行為が「損壊」にあたります。
「損壊」という言葉を聞くと物理的に何かを壊してしまうイメージです。
しかし、絵画に落書きをする行為や看板を遠くに持ち去る行為も「損壊」にあたるのですね。
確かにその行為はその物の効用を害していると言えます。
③器物損壊における「傷害」
次は器物損壊における「傷害」についてです。
器物損壊における傷害とは、法律上、「動物の効用を害する行為」をいいます。
分かりやすく言うと、動物の性能や価値を下げる行為をいいます。
具体例
- 動物を傷つける
- 動物を病気にさせる
- 動物を隠す
といった行為が「傷害」にあたるとされています。
器物損壊における「傷害」は一般的な意味で使われる「傷害」とは違います。
動物を隠す行為も「傷害」に当たるというのは少し想像がつきにくいかもしれません。
まとめ
「損壊」と「傷害」の違い
損壊 | 傷害 | |
---|---|---|
行為 | そのものの効用を害する行為 | 動物の効用を害する行為 |
対象 | 他人の物 | 他人の動物 |
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