不法侵入の時効は3年…空き巣だと〇年に?!刑事・民事の時効・中断・停止も徹底調査
- 「不法侵入の時効は何年なんだろう…。」
- 「空き巣目的で庭に侵入したけど、見つかって逃げた。あの不法侵入については、もう時効だろうか…。」
このような疑問をお持ちの方もいるかもしれません。
そこで、今回は「不法侵入の時効」を特集します。
- 不法侵入の「公訴時効」
- 不法侵入の「刑の時効」
- 民事の「消滅時効」(損害賠償の時効)
- 時効の「停止」・「中断」
についてレポートしていきます。
時効制度や、時効期間の年数など専門的な内容については、刑事事件を数多くあつかうアトム法律事務所の弁護士にお願いします。
目次
【はじめに】不法侵入の時効には3種類ある?時効の意味を簡単に解説
(1)もう起訴されない?公訴時効とは…
不法侵入については、3種類の時効が問題になります。
3種類の時効
- ① 公訴時効
- ② 刑の時効
- ③ 民事の消滅時効
まずは、①公訴時効の意味をチェックしましょう。
公訴時効は、起訴されるリミットです。
公訴時効が経過すれば、刑事裁判になりません。
つまり、刑罰を科されなくなります。
公訴時効が成立すると?
起訴されなくなる
公訴時効は、法律に規定されている刑罰を基準に決定されます。
刑罰の重さによって、時効期間が変わります。
重ければ重いほど、長くなります。
(2)刑罰がなくなる?刑の時効とは…
さて、②刑の時効についてチェックしましょう。
刑の時効は、刑罰が執行されるリミットです。
刑の時効が成立すると?
刑罰の執行が免除される
刑の時効について、その年数は、実際に言い渡された刑に応じて決定されます。
さきほどの「公訴時効」と「刑の時効」の違いをまとめました。
公訴時効 | 刑の時効 | |
---|---|---|
意味 | 起訴のリミット | 刑の執行のリミット |
基準 | 法律に規定された刑罰 | 判決で言い渡された刑罰 |
ちなみに、不法侵入は、
「3年以下の懲役」または「10万円以下の罰金」
といった範囲で、刑罰が言い渡されます。
この刑罰に対応する刑の時効は、次のとおりです。
判決で言い渡された刑罰 | 刑の時効 |
---|---|
懲役3年 | 10年 |
3年未満の懲役 | 5年 |
10万円以下の罰金 | 3年 |
さて、次に損害賠償の時効について見ていきましょう。
(3)損害賠償されない?民法の時効とは…
いままでは、刑事手続きに直接関係のある時効でした。
こちらの時効は、民法上の時効です。
法律用語では、消滅時効といわれます。
消滅時効の意味をチェックしましょう。
刑事事件は、民法上の不法行為にあたります。
被害者は、加害者に対して、
刑事事件による損害賠償を請求する権利
をもっています。
ですが、権利行使せずに、一定期間経過すると、被害者は賠償請求できなくなります。
このような時効のことを消滅時効といいます。
消滅時効が成立すると?
損害賠償請求されなくなる
具体的な時効期間については、のちほどまとめます。
まとめ
ここまで見てきた3種類の時効について、おさらいしましょう。
類型 | 内容 | |
---|---|---|
① | 公訴時効 | 起訴されない |
② | 刑の時効 | 刑が執行されない |
③ | 消滅時効 | 賠償請求されない |
今回の特集では、このうち①と③について、詳しく見ていきましょう。
【公訴時効】不法侵入は3年?ほかの犯罪をするために侵入すると長くなる?
(1)単純な「住居侵入」「建造物侵入」の年数は?起算点は?
不法侵入の公訴時効は〇〇年?
まず、不法侵入の罪について確認します。
この条文は、住居侵入罪や建造物侵入罪など、不法侵入の罪を規定したものです。
(住居侵入等)
第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し(略)た者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
出典:刑法第130条
この条文からもわかるとおり、
- 他人の住居に侵入すれば住居侵入
- 他人が管理している建物に侵入すれば建造物侵入
になります。
「不法侵入の罪」について詳しく知りたい方は、この記事も参考にしてみてください。
では、不法侵入の公訴時効は何年なのでしょうか。
住居侵入罪や建造物侵入罪の公訴時効は、3年です。
でも、この3年は、いつから3年なのでしょうか…。
いつから数える?時効の起算点について
時効期間のカウントを始める、その時点を「起算点」といいます。
不法侵入の罪について、公訴時効の起算点を確認しましょう。
たとえば、
お隣のAさんの敷地に侵入してしまった
といった事案があったとします。
この場合、Aさんの敷地から出たときが、時効の起算点です。
不法侵入の時効期間は?
- 不法侵入の状態が解消した時点からカウント
- 時効期間は3年
こんどは、
不法侵入と、他の犯罪がセットになる
といったケースについて確認しましょう。
(2)ほかに目的がある…窃盗・強盗・傷害・殺人が目的だと何年?
不法侵入の罪だけだったら、時効は3年です。
ですが、ほかの犯罪とセットになったとき、たとえば、
- A宅に侵入して、Aさんのお金を盗んだ
- B銀行に侵入して、強盗をした
- C宅に侵入して、Cさんをバットで殴った
- D宅に侵入して、Dさんをナイフで殺した
といったような事案だと、公訴時効は3年になるとは限りません。
ほか犯罪とセットになったときの時効期間をまとめました。
時効期間 | セットになる犯罪 | |
---|---|---|
① | 30年 | 強制性交等致死、強制わいせつ致死 |
② | 20年 | 傷害致死 |
③ | 15年 | 強盗致傷、強盗・強制性交等 |
④ | 10年 | 強盗、傷害、強制性交等 |
⑤ | 7年 | 窃盗(例:空き巣など)、強制わいせつ |
この表を見てみると、たとえば…
強盗や傷害とセットになると、10年
です。
空き巣や万引きは「窃盗」にあたりますが、
窃盗目的で不法侵入すれば、10年
になります。
また、そもそも時効がない犯罪もあります。
時効期間 | セットになる犯罪 |
---|---|
廃止 | 殺人、強盗致死、強盗強制性交等致死 |
※この時効期間についての定めは、2010年4月27日時点で、時効が成立しておらず未解決の事件にも遡及的に適用されます。 ※これは、2018年7月18日現在の情報です。
殺人などは時効がない犯罪です。
このような時効がない犯罪と不法侵入がセットになることもあります。
その場合、殺人に時効がないだけでなく、不法侵入についても時効はなくなります。
【停止】〇〇があると不法侵入の公訴時効は停止する…〇〇とは?
(1)公訴時効の停止とは?
いままで、公訴時効の時効期間についてみてきました。
こんどは、時効の停止についてチェックしましょう。
時効の停止とは?
ある事由によって、時効の完成が猶予される制度
「時効の停止」は、時効の進行がいったん止まる制度です。
では、どんな事由があると停止するのでしょうか?
(2)【停止】の具体例は?
公訴時効の進行が停止する事由を確認しましょう。
停止事由と停止される期間についてまとめました。
停止事由 | 停止される期間 | |
---|---|---|
① | 起訴されたとき* | 管轄違いや公訴棄却の裁判が確定するまで |
② | 共犯者が起訴されたとき** | 共犯者の裁判が確定するまで |
③ | 国外にいる場合*** | 犯人が国外にいる間 |
④ | 逃げ隠れしているため、有効に起訴状の謄本の送達・略式命令の告知がされない場合*** | 犯人が逃げ隠れしている間 |
では、次に民事の時効について確認していきましょう。
【民事の時効】慰謝料・損害賠償にも時効は何年?中断・停止は?
(1)【民法】の時効とは?起算点は?
民事の時効は、刑事事件の被害について賠償請求のリミットでした。
この消滅時効には、2種類の時効期間があります。
消滅時効の時効期間は、3年と20年です。
それぞれの適用パターンについて表にまとめました。
まずは、3年の消滅時効からチェックしましょう。
消滅時効 |
---|
3年 |
起算点 |
損害および加害者を知った時 |
効果 |
被害者から損害賠償請求されなくなる |
次に、20年のほうをチェックしましょう。
消滅時効 |
---|
20年 |
起算点 |
不法行為の時 |
効果 |
被害者から損害賠償請求されなくなる |
※従来の判例では、「不法行為の時から20年間」の意味について除斥期間と解釈されていた。 しかし、改正後の民法第724条柱書では、「時効によって消滅する」旨規定されるに至った。
こちらのほうは、犯人がだれか分からなくても、刑事事件の直後からカウントされます。
(2)どんなとき【中断】や【停止】になる?
このような消滅時効についても、公訴時効と同じく停止されるケースがあります。
また、中断という制度もあります。
「停止」と「中断」の違いは、どんなところにあるのでしょうか。
停止は、時効の成立が「猶予」されるものです。
そして、ふたたび時効が進行するときは、今までの続きからカウントされます。
これに対して、中断は、「更新」のイメージです。
時効が中断されると、今までカウントされた年数はゼロになります。
ふたたび時効が進行するときは、最初からカウントしなおされます。
違いを表にまとめました。
停止 | 中断 | |
---|---|---|
意味 | 時効成立が猶予 | 無に帰する |
効果 | 経過した期間は維持 | 経過した期間は無くなる |
事由 | ・法定代理人が不在のとき ・天災事変で「中断」ができないとき など | ・請求 ・差押え ・承認 |
再開 | 今まで続きからカウント | あらためて最初からカウント |
さて、ここまで読んできて、さっそく弁護士に時効の相談をしたくなったという方もおられるでしょう。
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さいごに
不法侵入の時効について特集してきました。
不法侵入の公訴時効は、3年です。
でも、ほかの犯罪とセットになると3年より長くなることもありました。
刑事事件の損害賠償についても、3年の消滅時効がありました。
たしかに、損害賠償にも時効はあります。
ですが、賠償については、みずから積極的に取り組む加害者が多いです。
賠償金については、示談という方法で解決していきます。
早いうちから示談交渉に取り組むことで、不起訴の可能性を高めることができます。
時効について分からない方はもちろんのこと、示談の流れについて気になる方も、お早目に弁護士にご相談いただいてお悩みを解決していただければと思います。