逮捕と拘留(勾留)の違い、逮捕の要件、拘留期限、「面会」の可否を解説します
「逮捕されたけど、拘留期限って、いつなんだろう・・・。」
会社がクビにならないか、すごく心配だと思います。
「拘留されている家族と面会したい・・・。」
逮捕されてから会えていない家族と面会したい気持ちもよくわかります。
そこで、今回は「逮捕と拘留」についてレポートしていきます。
- 逮捕・勾留・拘留の違い
- 逮捕・勾留の要件や流れ
- 留置所の生活
- 逮捕・勾留中の面会の方法
などをレポートします。
逮捕・勾留の法的問題や、面会の方法については、刑事弁護に力を入れているアトム法律事務所の弁護士にお願いします。
目次
【概要】逮捕・拘留(勾留)から起訴までの流れ
◆刑事事件の「勾留」と「拘留」の意味の違い
みんながよく使うコトバとして、
「逮捕・拘留(こうりゅう)されたから、やっぱり起訴されて有罪かな・・・。」
という言い回しがあります。
でも、実はこの「拘留」、使い方が間違っているんです。
まずは、「拘留」と「勾留」の違いから、説明していきましょう!
「拘留」とは、刑事事件の刑罰の一種です。
拘留という刑罰は、
1日以上30日未満の期間、刑事施設で収容されるもの
です。
一方で、「勾留」とは、刑事手続上の強制処分というもので、捜査の一環です。
勾留は、
適正に捜査や裁判を進めるため、身体を拘束される刑事手続
です。
「拘留」と「勾留」は、どっちも身体拘束されるものです。
ですが、
- 拘留は刑罰
- 勾留は捜査などの一環
という違いがあるのです。
1.「逮捕」と「勾留」の違い
逮捕と勾留は、一緒くたで論じられることが多いです・・・。
逮捕も勾留も、
捜査機関につかまって、取り調べを受けなければならない
という点では、共通しています。
でも、法律的には、違う手続です。
どんな違いがあるのか確認しておきましょう。
「逮捕」を辞書で引くと、次のように定義されています。
刑事訴訟法上は、捜査機関又は私人が、被疑者又は現行犯人の身体の自由を拘束し、引き続き抑留すること(一九九等)。
出典:有斐閣 法律用語辞典 第4版
この図を見てもわかるように、「逮捕」がイチバン最初です。
その次に、事件が検察官に送致されて、「勾留」という手続に入ります。
ちなみに、「勾留」についても、辞書を引いてみました。
被疑者又は被告人が、罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があり、かつ、住居不定、罪証隠滅のおそれ又は逃亡のおそれのいずれか一つの理由(これを「勾留の理由」という)があるときに認められる刑事手続上の拘禁(刑訴六〇)。
出典:有斐閣 法律用語辞典 第4版
「勾留」の定義は、とにかく長いですね・・・。
とりあえず、拘束される刑事手続ということは、おわかりいただけたのではないでしょうか?!
逮捕と勾留の違いについて、ざっくり表にまとめました。
逮捕 | 勾留 | |
---|---|---|
種類 | ・現行犯逮捕 ・通常逮捕 (後日逮捕) ・緊急逮捕 | ・被疑者勾留 ・被告人勾留 (起訴された後も勾留されるケース) |
権限のある捜査機関 | 警察 検察 | 検察のみ |
手続の順番 | 先 | 後 (「逮捕」がなければ被疑者「勾留」されない) |
令状 | 逮捕状 | 勾留状 |
要件 | ・逮捕の理由 (犯罪の嫌疑があること) ・逮捕の必要性 (逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれなどがあること) | ・犯罪の嫌疑 ・勾留の理由 (住居不定、罪証隠滅、逃亡のおそれのいずれかがあること) ・勾留の必要性があること (勾留される不利益が勾留による利益を上回る場合に「必要性がない」とされる) |
拘束期間 | 短い | 長い |
期間制限 | ・逮捕されてから48時間以内に検察官へ送致されるか釈放かが決まる。 | ・検察官が被疑者を受け取ったときから24時間以内に勾留請求。 ・勾留期間は原則10日間。この期間内に起訴・不起訴が決まる。 |
期間の延長 | なし | あり |
だいぶ、ざっくりとした説明でしたが、おわかりいただけたでしょうか?
勾留については『逮捕後の勾留期間は最大何日?拘留とは別?当て逃げやDVの時効は?』でも解説しているので、興味がある方はご覧ください。
さて、起訴までの流れについても確認しましょう。
2.勾留から起訴までの流れ
さいしょの勾留期間10日間の満期を迎えたら、満期日に起訴か不起訴かが決定されます。
ただ、勾留が延長されることもあります。
勾留延長された場合は、さらに延長された勾留期間の満期日に起訴か不起訴かがわかります。
勾留されなかったケースだと、家に帰って生活できますが、起訴の期限がありません。
起訴されるのか不起訴なのか分からない状態が続くことになります。
3.勾留期間満期前の釈放の可能性
勾留のさいしょの10日間については、原則として、短縮されません。
でも、勾留決定に不服があるときは、不服申し立ての手段があります。
勾留決定に対する不服申し立て
- 準抗告
- 勾留の取り消し
- 勾留の執行停止
仮に勾留延長されてしまった場合は、次のよう不服申し立てができます
勾留延長決定に対する不服申し立て
- 準抗告
- 勾留延長決定の全部に対して取り消しを求めると同時に、予備的に勾留延長期間の短縮を求める
このような不服申し立ての手続については、法律のプロ、弁護士さんに任せましょう!
逮捕の流れ|逮捕の要件、逮捕の期限
1.逮捕の要件|万引き(窃盗)と交通違反で違いはある?
逮捕の要件は、一律です。
万引き(窃盗)と交通違反では、たしかに、それぞれの犯罪が成立するかどうかの違いはあります。
でも、逮捕の要件そのものについては、違いはありません。
さきほど見た通り、逮捕は3種類です。
逮捕の種類
- 現行犯逮捕
- 通常逮捕(後日逮捕)
- 緊急逮捕
よくニュースで報道されているのは、現行犯逮捕と通常逮捕です。
2つの違いについて、表にしてみました。
通常逮捕 (後日逮捕) | 現行犯逮捕 | |
---|---|---|
逮捕のタイミング | 現行犯に当たらない場合 | 犯行の最中 犯行の直後 |
逮捕状の要否 | 必要 | ✖ |
逮捕できる人 | 検察官 検察事務官 司法警察職員* | だれでも |
逮捕状の請求権者 | 検察官 司法警察員* | ― |
逮捕の要件** | ・罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由 ・逮捕の必要性 | ・現に罪を行った場合、現に罪を行い終わった場合 ・犯罪と犯人が明白であること ・逮捕の必要性 |
具体例 | ・防犯カメラの映像から犯人が特定されて、逮捕状にもとづいて逮捕された。 | ・万引きしようと思って、本をカバンに入れて書店を出たところ、直後に店員さんに逮捕された。 ・スピード違反をしたら、検問で白バイにマークされて、追跡のすえ、逮捕された。 |
*司法警察職員とは、司法警察員と司法巡査の総称。司法警察員と司法巡査の区分は、公安委員会規則によって定められている。 **通常逮捕の要件において、軽微犯罪については軽微犯罪の特例がある。法定刑の軽微な事件については、被疑者が住居不定である場合又は正当な理由がなく任意出頭’の求めに応じない場合などがに限って、通常逮捕が認められる。
逮捕手続についてもっと詳しく知りたい方は以下のリンクも見てみてください。
警察に逮捕されると、その後、警察から取り調べを受けます。
2.逮捕の期限|警察に逮捕されたら48時間以内に送検
警察から取り調べを受けて、さらに捜査の必要あると判断されたら、検察官に送致(送検)されます。
期限は、逮捕から48時間です。
もちろん、捜査の必要がない場合には、釈放されます。
3.逮捕されたときの留置所とは?
逮捕されたら、警察の留置所(留置場)に収容されます。
取り調べは取り調べ室で受けて、宿泊は留置所です。
ご飯は栄養を考えながら作られた食事が3食きちんと食べられます。
女性用の部屋もあるので、女性でも安心して留置所で生活できるようです。
留置所の生活について、もっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
さて、次は「勾留」について見ていきましょう。
勾留の流れ|勾留の要件、拘留期限(勾留期間)
1.勾留の要件|勾留の必要性など
勾留の要件は、
- ① 罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があること
- ② 住居不定、罪証隠滅のおそれ又は逃亡のおそれのいずれか一つの理由があること
- ③ 勾留の必要性があること
です。
この中で、分かりにくいのが、③「勾留の必要性」だと思います。
勾留の必要性がないと判断されやすいのは、次のような事情があるときです。
・相手が重傷でないとか、被害金額が少ないなど、犯罪の結果が重大でないこと ・前科がなくて犯罪傾向がすすんでいないこと ・捜査が未了ではないこと ・年齢や健康状態からみて、体に負担がかかっていないこと |
これらの3つの要件が満たされたと判断された場合、裁判官によって勾留状が発付されます。
2.勾留請求の期限|逮捕のときから72時間以内に「勾留請求」
勾留を決定するのは裁判官ですが、勾留のきっかけは、検察官の勾留請求です。
検察官の勾留請求なくして、裁判官に勾留の決定がされることはありません。。
勾留請求には、二重の期限が設定されています。
勾留請求の期限
- ① 検察官が被疑者を受け取ったときから24時間以内
- ② 逮捕から72時間以内
これらの2つの期限が守られなければなりません。
3.勾留期間の期限|勾留期間は最大何日?
さて、勾留されることになったとします。
その場合、勾留期間は、原則10日です。
この間に、検察官から、取り調べを受けて、供述調書が作成されたりします。
もう一度いいますが、たしかに、勾留期限は10日です・・・。
しかし、さらに、留置の必要があると判断された場合には、延長されることがあります。
勾留延長は、最大10日間です。
勾留期間が延長されてしまうと、警察に逮捕されてから起訴されるまで最長で23日間、身体拘束が続きます。
こんなに勾留期限が長くなってくると、やっぱり心の支えは
- 頼りになる弁護士さんの面会
- 温かく見守ってくれるご家族の面会
ということになってきますね。
4.勾留の場所|警察署?拘置所?
逮捕されたときは、留置所でも、勾留のタイミングで、拘置所に移動することもあります。
ただ、拘置所の数が少ないという実情もあって、警察署内の留置場のままということも多いです。
逮捕・勾留中の面会|面会は可能?面会時間は?差し入れは?
1.逮捕のときは面会できないって本当?差し入れは?
面会について
逮捕直後の面会は、弁護人でない限り、難しいです。
ご家族や友人の方の面会はできない可能性が高いといえます。
ただ、刑事弁護を担当する弁護士ならば、面会はいつでも可能です。
逮捕されて取り調べを受けている人には、弁護人から援助を受ける権利をもっています。
とくに、面会については、接見交通権という権利が保障されています。
これは、弁護士と面会できる権利です。
困ったことがあったら、すぐに弁護士を呼ぶようにしてください。
ある程度ストーリーを立てて、それに沿って捜査が進められています。
取り調べも同じで、警察が描いたストーリーに沿って、警察が聞きたいことを延々と聞かれます。
そうなると、
しゃべったことが思いもよらぬ形で調書に残される
といったリスクが出てきます。
弁護士さんと面会することで、そういったリスクも回避できるので、積極的に面会するようにしましょう。
面会できなくても差し入れはできるのか?
弁護士さんは、面会に行くことができるとお話ししました。
差し入れしたい物にもよりますが、差し入れをしたい場合には、弁護士を通して差し入れできますよ!
2.勾留中の面会|面会時間は?差し入れはできる?
勾留期間中は、ご家族・ご友人が面会できる可能性は高いです。
面会時間について確認しておきましょう。
面会できるのは、通常、平日です。
土日・祝日、12月29日から翌年1月3日までの休庁日は、基本的に面会できません。
留置場での面会時間は、8:30~17:15のケースが多いです。
ただし、面会の受付は、16:00で終了のケースが多いです。
また、留置場の面会では、12:00~13:00まで昼休みの時間となり、面会できないケースが多いようです。
1回の面会時間は、15分から20分といったところでしょう。
留置場の面会時間についてまとめてみました。
ご家族・友人など一般の方 | 弁護士 | |
---|---|---|
逮捕直後 | 事実上、不可能。 | いつでも可能。 |
勾留中 | 曜日 平日 時間帯 8:30~12:00 13:00~17:15 (16:00に受付終了) | 曜日 土日祝日を問わず、いつでも可能。 時間帯 いつでも可能。 |
詳細は、留置場の管理者におたずねください。
もっと面会について知りたいという方は、以下のリンクも見てみてください。
留置場の面会については、以下のリンクもご参照ください。
さて、面会のとき、何を差し入れをすることはできるのでしょうか。
差し入れできる物と、差し入れできない物を表にまとめてみました。
差し入れできる物 | 差し入れできない物 |
---|---|
・衣類 ・メガネ ・コンタクト ・本 ・手紙 ・写真 ・便せん ・現金 ・歯ブラシ など | ・靴 ・タオル ・シャンプー ・飲食物 ・タバコ ・ゲーム など |
※留置場の責任者の判断により、「差し入れできる物」に該当する場合でも、差し入れできないときがあります。
留置場の差し入れについて、もっと詳しく知りたいという人は、以下のリンクもご覧ください。
留置場の差し入れについてはコチラもご覧ください。
差し入れ方法としては、
警察署の留置管理課が用意している所定の用紙に必要事項を記入して申請する
という方法のようです。
差し入れの申請時の持ち物は、
身分証とハンコ
です。
郵送でもOKの場合があるようなので、差し入れの方法は、留置所の責任者に問い合わせてみましょう。
逮捕・勾留されてお困りの方は弁護士に相談
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さいごに
今回は、「逮捕と拘留」について、レポートしてきました。
逮捕の流れや勾留の流れについてもバッチリわかりました。
面会は、逮捕後すぐには難しそうでしたが、弁護士さんを通して連絡は取れそうですね。
逮捕・勾留されている方にとって、心の支えとなるのが「面会」です。
ご家族が面会できないときでも、弁護士ならば面会できます。
身内の方が逮捕・勾留されてお悩みの方は、今すぐ弁護士を頼ってください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
逮捕や勾留、面会について、理解の一助となれたら幸いです。
便利な機能をお悩み解決に役立てていただければと思います。
逮捕手続や、面会・差し入れに関する関連記事もあるので、いっしょにチェックしてみてください。
逮捕と拘留(勾留)についてのQ&A
「拘留」と「勾留」の違いとは?
「拘留」と「勾留」は、どちらも身体拘束されるものですが、拘留は刑罰、勾留は捜査などの一環という違いがあります。具体的には、「拘留」は、1日以上30日未満の期間、刑事施設で収容される刑罰のことを言い、「勾留」とは、適正に捜査や裁判を進めるため、身体を拘束される刑事手続のことをいいます。 混同しやすい「拘留」と「勾留」
「逮捕」と「勾留」はどう違う?
逮捕も勾留も、捜査機関につかまって、取り調べを受けなければならないという点では、共通しています。しかし、法律的には違う手続きです。順番としては、最初に「逮捕」がされた後に、事件が検察官に送致されて、「勾留」という手続に入ります。 「逮捕」と「勾留」の違い
勾留はどのような場合にされる?
① 罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があること② 住居不定、罪証隠滅のおそれ又は逃亡のおそれのいずれか一つの理由があること③ 勾留の必要性があること、の3用件を満たす場合、裁判官によって勾留状が発付されます。もし勾留されることになった場合、勾留期間は、原則10日です。 勾留の要件・必要性について
逮捕・勾留中に面会はできる?
逮捕直後の面会は、弁護人でない限り難しいです。そのため、ご家族や友人の方の面会はできない可能性が高いといえます。しかし、勾留期間中であれば、ご家族・ご友人が面会できる可能性は高いです。メガネや衣類、現金などの差し入れも許可されるケースが多いようです。留置場によって面会時間が異なるので、確認の上面会に行くようにしましょう。 逮捕のときは面会できないって本当?
留置場への差し入れはどうやる?
差し入れ方法としては、警察署の留置管理課が用意している所定の用紙に必要事項を記入して申請するという方法が一般的なようです。差し入れの申請時の持ち物は、身分証とハンコです。また、留置場によっては郵送でもOKの場合があるようなので、差し入れの方法は、留置場の責任者に問い合わせてみましょう。 勾留中の面会について