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強制わいせつ|余罪とは何?警察の追求、取調べ方法を紹介!初犯でも余罪ありなら実刑?

  • 強制わいせつ,余罪

強制わいせつ|余罪とは何?警察の追求、取調べ方法を紹介!初犯でも余罪ありなら実刑?

2023年7月13日以降の事件は「不同意わいせつ罪」に問われます。

強制わいせつで捕まった!余罪が多数あるんだけど全部取調べを受けることになる?」

「身に覚えのない余罪についてまで追求されている!これって再逮捕追起訴になる?」

このようなお悩みをお持ちの方はいませんか?

強制わいせつの逮捕事例においては、常習的に犯行を繰り返した末に逮捕されてしまったというケースも多いです。

今回は、

  • 警察による余罪の追求、取調べ方法はどういったものなのか
  • そもそも余罪とは何なのか
  • 釈放後に余罪が発覚した場合はどうなるのか

について徹底解説していきます。

なお専門的な解説は刑事事件を数多く取り扱い、強制わいせつの事案にも詳しいアトム法律事務所の弁護士にお願いしています。

よろしくお願いします。

強制わいせつをはじめ、刑法犯において余罪がある場合には、その犯罪行為への常習性が疑われます。

そして事件を判断する検察官、裁判官への心証も悪化し、より重く処罰される可能性も上がります。

強制わいせつにおける余罪の意味、取調べ方法、量刑の意味などについて、この記事でしっかりと確認していってください。

警察による余罪の追求|強制わいせつで余罪ありのときの取調べ方法、その期間とは

強制わいせつの事案においては、近辺で似たような手口による被害が頻発していたような場合、警察による余罪の追求が行われる可能性があります。

こちらのニュースをご覧ください。

甲府署は16日深夜、強制わいせつの疑いで、(略)現行犯逮捕した。容疑を認めている。

逮捕容疑は16日午後11時半ごろ、甲府市砂田町の市道で、歩いていた20代の女性に後ろから抱きつき、体を触ったとしている。

同署には1週間ほど前から、現場近くで同じような被害情報が数件寄せられており、16日夜も署員がパトロールしていた。(略)

同署は余罪の可能性も含め、動機などを調べる。

こちらの事案では、1週間前から頻発していた似たような事件について、余罪追求をしていく旨が記載されています。

では具体的に、余罪の追求はどのように行われるのでしょうか。

強制わいせつの余罪の調べ方、追求方法

  • 被疑者自らが自白して、自身の犯した余罪について申告している
  • 周辺地域で似たような事件が発生している
  • 被害届の出された事件について、被疑者の関与が疑われる

こういった場合、警察は余罪についても追求し、取り調べを行います。

特に強制わいせつの場合には、癖のように何回も犯行を繰り返しているケースも多いです。

警察としても、たとえ被疑者本人の口から余罪が否定されたとしても、少しでも怪しい点があれば追求を止めることはないでしょう。

余罪の捜査方法①余罪の自白引き出し

被疑者を取調べる際に、警察官は余罪があるならすべて自白するように勧めてくるでしょう。

刑事事件においては、判決後に余罪を問われるよりも、一度にまとめて余罪についても丸ごと処断された方が、負担としては軽くなります。

余罪の自白があった場合には、警察はその裏付け捜査を進めていくことになります。

余罪の捜査方法②周辺地域で認知していた事件について捜査

警察は被害届告訴、目撃者からの通報などから事件について認知します。

強制わいせつでは、

  • 周辺地域で似たような手口の事件があった場合
  • 被害者の供述などから関与が疑われる場合

その他、余罪について疑われるときには、被疑者にそれを問いただします。

余罪について容疑が固まれば、被疑者を再逮捕して、さらにその事件についても取調べを行います。

余罪捜査の期間はどれくらい?再逮捕で自白を引き出すケースとは

余罪捜査の期間について確認していきましょう。

まずは、逮捕以降の流れがどのような形になっているのかを確認します。

逮捕後の流れ

逮捕され、警察署に連行された後には、警察署内の留置場にて拘束を受けることになります。

留置場に収監された後には、起訴されるまでに最大で23日間にわたり拘束を受けることになります。

こちらのイラストをご覧ください。

逮捕の流れ

刑事事件の流れについてよりくわしく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

ここではざっくりと

  • 「逮捕されたら、その後3日のあいだに勾留請求される可能性が高い」
  • 「勾留が決定したら、そこからさらに20日間、警察署内の留置場に身体拘束され続ける」

ということさえ覚えていただければ結構です。

再逮捕とは

再逮捕とは、既に逮捕され勾留状態にある人物、または釈放された人物について、再び逮捕をすることを言います。

刑事手続き上、原則としては、ひとつの事件については被疑者ごとそれぞれ1回しか逮捕、勾留を行うことはできません。

ただ、すでに逮捕が行われている事件とはまた別の事件について、被疑者をもう一度逮捕するのは、まったく問題のない行為とされています。

例えば強制わいせつ事件を10件起こした被疑者がいたとします。

強制わいせつ事件のひとつについて、警察に知られることとなり、逮捕されました。

警察が残り9件余罪について把握したとします。

理論上警察はあと9回再逮捕ができるということになります。

再逮捕によって自白を引き出そうとするケースも…

こういった制度上の性質もあって、再逮捕が捜査上のテクニックとして利用されるケースもあるようです。

たとえば、事件について否認している被疑者について、逮捕から23日後の勾留満了日に再逮捕を行います。

外に出られると期待を持っていた被疑者に対して、また再び23日間の拘束を行おうとします。

長期間にわたり再逮捕を繰り返し、または再逮捕をチラつかせることにより、被疑者に精神的ダメージを負わせ、自白を引き出すというわけです。

そもそも余罪とは?その意味や量刑への影響 強制わいせつ初犯でも余罪多数ありなら実刑?

余罪についてどのような捜査が行われるのかについて確認しました。

被疑者として逮捕されてしまったとき、余罪捜査に対してどのように向かい合っていけばいいのか。

それを知るためには、

  • そもそも余罪とは何なのか
  • 余罪ありのときはどのような量刑になるのか

について確認しておく必要があります。

余罪とは何か!その意味を解説

逮捕した事件以外で、何か別の事件を起こしていた場合、それが余罪と呼ばれます。

注意
同じ時間帯で行われたから

 

似たような手口の事件だから

 

一連の流れの中で連続的に行われた犯行だから

 

といった理由で、まとめてひとつの事件といった処理にはなりません。

逮捕容疑以外で罪を犯していたら、それはすべて余罪として別件処理されるわけです。

ここで分かりやすく、覚せい剤の事件を例に挙げて考えてみましょう。

一例

覚せい剤の場合

①逮捕
路上の職務質問で、覚せい剤を所持しているとして現行犯逮捕された人がいたとします。
この人の逮捕容疑は、覚せい剤取締法の14条「所持の禁止」の違反です。
②逮捕後の取り調べ
さて、警察署に連行されて尿検査が行われたところ、尿から覚せい剤の反応が出たので、覚せい剤の使用の嫌疑もかかりました。
覚せい剤の使用は、覚せい剤取締法の19条「使用の禁止」に違反します。
③余罪のあつかい
この事件について、覚せい剤を使用したという事案は、覚せい剤を所持の余罪という扱いになります。

一見すると、「覚せい剤を持っていて、しかもそれを使っていた」というひとつの事件に見えるかもしれません。

しかし刑事手続き上は、

  • 覚せい剤を所持していた事件
  • 覚せい剤を使ったという事件

として別々に扱われるのです。

余罪ありなら再逮捕、追起訴される?余罪ありのときの量刑判断

余罪ありのときの刑事手続きを解説するにあたり、まずは余罪なしの場合の刑事手続きについて知っておく必要があります。

通常の刑事手続きの流れについて、くわしく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

さて、余罪があったとして、その刑事手続き上の処理はどのような形になるのでしょうか。

余罪有りのときの起訴手続き

勾留が行われた場合には、検察官は勾留開始から最長20日以内起訴不起訴の判断を行います。

起訴、不起訴の判断は事件ごとに行います。

同一人物による強制わいせつ事件について、

  • 事件Aは起訴
  • 事件Bは不起訴
  • 事件Cは起訴

といった風に、起訴される事件、不起訴となる事件が混ぜこぜになるケースもあります。

強制わいせつの起訴、不起訴についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

余罪の起訴について、おおもとの事件の起訴までに間に合う場合には、一本にまとめてしまいます。

余罪の起訴の判断が間に合わなかった場合には、おおもとの事件の起訴後に追起訴が行われることになります。

追起訴の可能性

追起訴とは、ある事件について起訴され裁判が始まろうとしてる、または始まっているときに、同じ被告人の余罪について、

追加で起訴を行い、併合審理を求める

ことを言います。

併合審理とは

1回の裁判で複数の事件をまとめて審理することを併合審理と言います。

通常、裁判所は追起訴を受けたときには事件の併合を決定し、もともと起訴されている事件と追起訴された事件を一本にまとめます。

併合審理では、

「事件Aは懲役10年、事件Bは懲役5年、事件Cは懲役10年、合わせて懲役25年!」

といった形で、事件それぞれ別個に判決を下すことはしません。

併合審理が行われる事件については併合罪として、ひとつの判決を下します。

事件Aについて判決を下し、Bについても判決を下し、別個の判決を後から合計する、ということはしません。

併合罪としてひとまとめにされた事件は、通常とは違う独自の基準で、量刑が定められていきます。

余罪ありのときの量刑判断

併合罪の量刑の決め方は刑法47条に規定されています。

併合罪の量刑の規定

併合罪としてまとめられたそれぞれの罪について、もっとも重い罪をみる。

その刑の長期を1.5倍し、それを刑の上限とする。

ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。

少し難しいので、わかりやすく、強制わいせつ罪を元に具体例を挙げて考えていきましょう。

具体例①

強制わいせつ罪を複数回引き起こしたとします。

まず、強制わいせつ罪の刑罰はこのように規定されています。

十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

強制わいせつは、

6か月以上、10年以下の懲役刑

に処されます。

これを踏まえて考えてみましょう。

量刑

強制わいせつの最大の年数は10年です。

この最大の年数10年を1.5倍すると15年です。

つまり、強制わいせつ罪を複数回起こし、併合罪とされたときは、

6か月以上15年以下の懲役に処される

ことになります。

また、強制わいせつ事件の余罪として、強制わいせつとは別の種類の犯罪を犯していた場合を考えてみます。

具体例②

一例として、強制わいせつ事件を引き起こし、また別件で強姦事件を引き起こし、これが併合罪として一括で審理されることになったとします。

強姦事件は強制性交等罪として裁かれます。

十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

5年以上の有期懲役と定められています。

なお、有期懲役というとき、その上限は20年とされています。

これを踏まえた上で考えていきます。

量刑

別種の事件について併合罪とされたときには、より刑の重いほうについて見ることになっていますから、今回は強制性交等罪の規定を用います。

強制性交等罪の最大の年数20年を1.5倍すると懲役30年

強制わいせつと強姦罪の併合罪では、

5年以上30年以下の有期懲役

に処されることになります。

  1. ① より重い刑罰を参照する。
  2. ② その刑罰の長期の年数を1.5倍。
  3. ③ 1.5倍した値を刑の上限とする。

この流れについてぜひ覚えておいてください。

釈放後に強制わいせつの余罪が発覚!警察に追求、捜査される?

「余罪についてずっと黙っていて、その時はバレずに済んだ。でも釈放された後からバレてしまった!

実例として、強制わいせつの余罪についてその時は隠せていたけれども、あとからバレてしまったというケースはあります。

このようなとき、

  • また逮捕されてしまうのか
  • また罪に問われてしまうのか

考えていきましょう。

釈放後に余罪発覚した場合~警察による捜査、追求の可能性~

不起訴となって釈放された後、強制わいせつの余罪がバレたとしましょう。

その場合、

通常の強制わいせつ事件と同じように

刑事手続きが進んでいきます。

  • その余罪について逮捕する必要があるときには逮捕が行われ
  • 勾留する必要があるときには勾留が行われ
  • 起訴する必要があるときには起訴されます。

また、以前の強制わいせつ事件の一連の手続きは前歴として扱われます。

場合によっては勾留や、起訴不起訴の判断の際に、不利な証拠として扱われる可能性もあります。

執行猶予や刑期満了により釈放された場合

有罪判決が下った後に余罪がバレた場合、

  • 逮捕
  • 勾留
  • 起訴

が行われる可能性については変わりありません。

ただ、起訴後の量刑の判断については少々特殊な配慮がされます。

刑事手続き上、判決後に後から余罪が判明してその事件が起訴された場合には、併合罪として更に処断するとされています。

実際の裁判手続きにおいては、すでに判決済みの罪と新たに発覚した余罪について

「もし併合審理していたらどうなっていたか」

を考え、その量刑を理想として処断されます。

なお、以前の裁判について執行猶予判決を受けた後、余罪がバレて起訴されたケースについて、

執行猶予が取り消される可能性

については否定できません。

強制わいせつの余罪についてお悩みなら弁護士に相談!

ここまで弁護士の解説でお送りしました。

強制わいせつの余罪、その捜査方法や刑事手続きの流れについてかなり深いところまで知ることができたのではないでしょうか。

この記事をご覧になっている方の中には、自分の事件に即して具体的なアドバイスが欲しい! という方もいらっしゃるかもしれません。

そこで、ここからは弁護士に相談できる様々なサービスについてご紹介します。

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最後に弁護士からメッセージ

では最後に一言お願いします。

強制わいせつの余罪についてお悩みの皆さん。

余罪のある事件については、

  • 余罪を認めて自白するメリット、デメリット
  • 余罪を隠し通すメリット、デメリット

それぞれを綿密に量り、もっとも適切な対処を施す必要があります。

また、身に覚えのない余罪については、断固たる意志で否認を続けなければなりません。

これらの判断、対処を法的な知識のない一般の方が、一人で担うのはとても難しいことです。

弁護士にご相談していただければ、豊富な経験と知識をもとにした適切なアドバイスが受けられるようになります。

余罪の認容や否認について根拠をもって判断をくだせるようになり、事態をより良い方向にもっていくことができます。

少しでもお悩みがある方は、今すぐ弁護士に相談してください。

まとめ

今回は強制わいせつにおける余罪について解説してきました。

強制わいせつの余罪についてのまとめ
  • 強制わいせつにおいては、余罪について追求されることがある
  • 余罪について容疑が固まると、再逮捕されることがある
  • 勾留を引き延ばして精神的ダメージを負わせるなど、再逮捕を自白の引き出しのテクニックとして利用されてしまうケースもある
  • 余罪は併合罪として裁かれる
  • 併合罪の量刑は、より重い方の罪の長期に、その2分の1を加えた年数を長期とする
  • 釈放後に余罪がバレて、また捕まってしまうようなケースもある

本記事以外で、強制わいせつ罪に関して知っておきたい情報は『強制わいせつで前科をつけずに解決するための対処法と手続きの流れ』にまとめているので、興味がある方はご覧くださいね。

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