万引き逮捕の流れとは?後日逮捕はされない?その後は実刑?
実は父が先週、コンビニでおにぎりを1個万引きしてしまったようだ…。
お店の人には見つからなかったようだけど、後から警察が来て逮捕されることもあるの??
万引きは、れっきとした犯罪です。
でもご家族としては、逮捕の不安に日々怯えているのもつらいですよね。
今回、私たちカタログ編集部は
- 万引きの逮捕の流れとは?
- 万引きは後日逮捕される?されない?
- 万引きで逮捕されたらその後は実刑?
といった点について、皆様のお悩みをスッキリ解消すべく、徹底調査していきます。
いざ逮捕されるときに慌てないで済むように、万引き事件における「逮捕とその後の流れ」を、しっかり押さえておきましょう。
【追記】「逮捕の流れ」が、わかりやすいように解説動画を作りました。逮捕から勾留、起訴の決定、そして裁判になった場合までの流れを解説しています。
目次
専門的な部分の解説は、テレビや雑誌でおなじみのアトム法律事務所の弁護士にお任せします。
先生、よろしくお願い致します!
よろしくお願いします。
万引き事件の弁護活動を通して得てきた現場の経験を生かしつつ、日々相談者の方々からいただく悩みも踏まえて、最新の動向をお伝えできればと思います。
万引きの逮捕の流れとは?後日逮捕される?されない?
そもそも逮捕とは
さて、万引きの逮捕の流れを見ていくわけですが、その前にそもそも逮捕とは何でしょうか?
定義を見てみましょう。
逮捕とは、「捜査機関又は私人が、被疑者又は現行犯人の身体の自由を拘束し、引き続き抑留すること」である。
出典:有斐閣 法律用語辞典 第4版
難しい表現が続いていますが…
- 「捜査機関」は警察や検察のこと
- 「私人(しじん)」は一般人のこと
- 「被疑者(ひぎしゃ)」は、容疑者のこと
法律上、起訴されて裁判になる前の段階の犯人を呼ぶときに、「被疑者」という言葉を使います。
要するに逮捕とは、警察あるいは一般人が、犯人を捕まえて拘束することなんですね。
逮捕される人されない人|被害届が出ていたら?
逮捕の意味がわかったところで、いよいよ万引きの中身に入っていきましょう。
万引き事件の加害者は、全員逮捕されるのでしょうか?
もちろん、犯行が見つからなかった場合は逮捕されないでしょう。
しかし、犯行が見つかっても逮捕されないケースもあるのでしょうか?
逮捕されない万引き事件もあります。
万引きをしてまっても、事件結果があまり重大でない場合は、逮捕されないケースも多いです。
しかし逮捕はされなくても、被害届が受理されると在宅捜査の対象になります。
すべての万引き事件が逮捕されるわけではないようです。
逮捕されると、警察署の留置場に連れて行かれ、そこで生活することになります。
でも在宅捜査の場合は、留置場に行かず、自宅にいることができます。
自宅で生活しながら、警察からの呼び出しに応じて警察署に出向き、万引き事件の捜査や取り調べに協力することになるのです。
万引きは逮捕される?されない?
逮捕される | 在宅捜査になる | |
---|---|---|
被害届 | 受理されている | 受理されている |
事件の結果 | 結果が重大 | 結果がそれほど重大ではない |
取調べ中 | 留置場で生活 | 自宅で生活 |
逮捕の方法|現行犯逮捕・後日逮捕と逮捕状
ところで皆さん、逮捕の方法にはいくつか種類があるって知ってましたか?
大きくわけると、逮捕には
- 現行犯逮捕
- 後日逮捕(通常逮捕)
という2つの方法・種類があります。
後日逮捕は、正式には「通常逮捕」といいますが、犯行直後ではなく少し経ってからの逮捕なので、俗にこう呼ばれるようです。
現行犯逮捕と後日逮捕の違いを、以下の表にまとめてみました↓
万引きと現行犯逮捕・後日逮捕
現行犯逮捕 | 後日逮捕 | |
---|---|---|
逮捕のタイミング | 犯行中、犯行直後 | 逮捕状発行後 |
逮捕の場所 | 犯行現場 | 自宅など |
逮捕する人 | 被害者本人、目撃者など | 主に警察官 |
逮捕状の要否 | 不要 | 絶対に必要 |
↑上の表を見るとわかるように、現行犯逮捕と後日逮捕は、
- 逮捕のタイミング
- 逮捕の場所
- 逮捕する人
- 逮捕状の要否
に違いがあるんですね。
現行犯逮捕の場合、
- 一般人でも逮捕できる
- 逮捕状無しに逮捕できる
という点に特徴があります。
現行犯逮捕のときに逮捕状は呈示されませんので、注意しましょう。
ところで、万引きって現行犯のイメージがありますが、後日逮捕される場合もあるのでしょうか?
防犯カメラに映っていたら、後から警察が逮捕しにくることもあるかもしれません。
でもその場で見つからなかったら、後日逮捕されることもないような気がします…。
万引きで後日逮捕されることは、あまりありません。
特に初犯であれば、逮捕されず、「在宅捜査」になって警察から呼び出しがかかることが多いです。
防犯カメラに証拠が残っていても、事件の性質上、逮捕までする必要はないと考えられるのです。
しかし、同じ店で繰り返し万引きする常習犯などは、後日逮捕される可能性もあります。
やっぱり万引きは現行犯逮捕が基本なんですね。
とはいえ、現行犯逮捕されなかったからといってOKかというと、そんなことはありません。
逮捕こそされなくても、在宅捜査になる場合がありますから、気をつけましょう。
万引きで逮捕されたその後の流れが知りたい!
さてここまで、万引き事件の逮捕の流れや、後日逮捕について見てきました。
ここからは、逮捕されたその後の流れに着目します。
まずは以下の図を見てください↓
逮捕後の流れは、大きく
- ① 逮捕から勾留まで
- ② 勾留から起訴まで
の2つに分かれます。
ちなみに「拘留」と「勾留」はどちらも「こうりゅう」という発音で、よく混同されますが、
- 拘留は、1日以上30日未満刑事施設に拘束される刑罰
- 勾留は、逮捕後に捜査・取調べのために刑事施設に留め置かれること
ですので、両者はまったくの別物です。
以下で見ていくのは、「勾留」です。
①逮捕~勾留(×拘留)までの流れ
逮捕~勾留決定までの流れ
万引き事件で逮捕されると、まずは警察署の留置場に連れて行かれます。
逮捕から48時間以内に、警察は、検察に万引き事件を送致するかどうかの判断をします。
ここで、
①検察に事件が送致されずに釈放
②検察に事件が送致される
という2パターンにわかれます。
② の場合、送致されてから24時間以内に、検察は被疑者(ひぎしゃ)を勾留するかどうかの判断をします。
勾留されるのは、以下のような場合です。
- 万引きをしたと疑うに足る理由が十分にある場合
- 定まった住居を有しない場合
- 証拠隠滅や逃亡を図る恐れがある場合
これらを理由に、検察官が裁判官に勾留請求をし、
裁判官が勾留決定をすると、勾留が決定します。
ここで弁護士がついていたら、弁護士は
- 勾留請求をする検察官や
- 勾留決定をする裁判官
に働きかけて、勾留の必要がないことを訴える活動を行ってくれます。
勾留されなければ、逮捕から2~3日で釈放されることになるので、比較的ダメージも少なく、社会復帰もスムーズにいきそうです。
逮捕~勾留決定までの流れ
勾留請求 | 勾留決定 | |
---|---|---|
時期 | 検察に事件が送致されてから24時間以内 | 検察に事件が送致されてから24時間以内 |
担当する人 | 検察官 | 裁判官 |
弁護士の活動 | 勾留を阻止すべく、検察官・裁判官に働きかける | 勾留を阻止すべく、検察官・裁判官に働きかける |
勾留決定以降の流れ
勾留されることが決まると、10~20日間ほどの勾留期間が始まります。
勾留中は、警察署内の留置場で生活して、呼び出されたら取調べを受ける、という流れになります。
この間、「接見禁止」がついていない限り、家族と面会できます。
一度勾留されても、弁護士がついていれば、
- 「勾留決定の判断は不適当であった」と準抗告をする
- 被害店と示談を成立させて、勾留取消請求をする
といった活動により、一刻も早い身柄解放を目指していくことができます。
一度勾留が決定してしまうと、なかなか出てくるのは難しく、準抗告、勾留取消請求ともに、なかなか認められることはないんだそうです。
ですから、一番いいのはもちろん勾留されずに釈放されることですが、勾留されてしまっても、諦めずに弁護士の先生に依頼してみるのが良いでしょう。
勾留決定以降の流れ
準抗告 | 勾留取消請求 | |
---|---|---|
万引き犯 | 勾留されて留置場生活 | 勾留されて留置場生活 |
意味 | 勾留決定の判断は不適当だったと不服を申し立てる手続き | 勾留の必要がなくなったことを主張する手続き |
②勾留(×拘留)~起訴までの流れ
10~20日間ほどの勾留期間で、検察は万引き事件を起訴するかどうかの判断をします。
ここで、
①事件が起訴されず釈放される
②事件が起訴されて刑事裁判になる
という2パターンに分かれます。
② の場合は大変です。
日本の刑事裁判は、「起訴されたら最後、99.9%有罪になる」なんて言われているくらいですから…。
この手前までに弁護士に相談・依頼をして、不起訴処分を獲得することが大切です。
弁護士としては、不起訴処分を獲得できるかどうかが、刑事事件の弁護における第一の腕の見せ所でしょう。
不起訴になれば、刑事裁判になることもなく、有罪判決を受けて前科がつくこともありません。
前科がついてしまうのとつかないのとでは、その後の社会生活も大きく変わってきます。
そうですね。やはり万引きで逮捕されてしまったら、まずは弁護士への相談・依頼を考えましょう。
不起訴と起訴はこんなにも違う!
不起訴 | 起訴 | |
---|---|---|
刑事裁判 | 裁判にならない | 裁判になる |
前科 | 前科がつかない | 前科がつく可能性が高い(※) |
ちなみに、万引きに特化した記事ではありませんが、
- 一般的な逮捕から起訴までの流れ
- 起訴からその後の流れ
については、以下の記事に詳しく書かれています。
弁護士の解説付きで、逮捕の理解に欠かせない重要ポイントがたくさん詰まっていますので、是非読んでみてください↓
万引きは実刑?逮捕のその後は罰金?懲役?初犯の場合は?
そもそも万引きは何罪?
さてここまで、万引きの逮捕やその後の流れを見てきました。
逮捕後、起訴されると刑事裁判になりますが、そもそも万引きは何罪なのでしょうか?
万引きというと、一般的には、お店に並べられている商品を盗むことをいいますよね。
でも「万引き罪」なんて聞いたこともないし、どうやら他に法律的なくくりがありそうです。
万引きは法律上、窃盗罪にあたります。
窃盗とは、他人の財物を窃取する犯罪です。
わかりやすく言うと、他の人が所有・管理している物を、本人の許可なく持ち去ることです。
万引きも、お店が管理している商品を買わずに持ち去ってしまう犯罪ですから、「窃盗」にあたるんですね。
万引きは何罪?
窃盗 | 万引き | |
---|---|---|
構成する犯罪 | 窃盗罪 | 窃盗罪 |
意味 | 他人の財物を本人の許可なく持ち去ること | 窃盗のうち、店頭に並んでいる商品を盗むこと |
起訴のその後は罰金?懲役実刑?
万引き事件を起こしてしまい、起訴されて有罪判決を受けると、刑罰を受けなければなりません。
万引きは窃盗罪ということですが、刑罰の重さはどれくらいでしょうか?
犯罪の刑罰は、法律の条文に書かれているので、まずは窃盗罪の条文を見てみる必要があります。
以下、窃盗罪を規定した刑法235条を引用しました↓
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
出典:刑法235条
万引き(窃盗罪)の刑罰は、罰金と懲役の2種類があるんですね。
- 50万円以下の罰金
- 10年以下の懲役
のいずれかになるようです。
10年以下の懲役というと、1年も5年も10年もありうるわけで…。ずいぶん幅が広いですね。
よく執行猶予という言葉を耳にしますが、万引き事件で執行猶予はつくのでしょうか?
法律上、3年以下の懲役には執行猶予がつくことになっています。
懲役刑というのは、刑務所に収監されて刑務作業を行わせる刑罰ですが、執行猶予がついた場合、ただちに刑務所に行くことにはなりません。
たとえば「懲役2年執行猶予3年」といわれた場合、3年間犯罪を犯さなければ、2年間の懲役刑に服さなくて済むのです。
万引きでも執行猶予はつくようです!
懲役刑になってしまったら、執行猶予がつくのとつかないのとで、だいぶ話が変わってきますね。
起訴のその後は罰金?懲役実刑?
罰金刑 | 懲役実刑 | |
---|---|---|
法定刑 | 50万円以下 | 10年以下 |
意味 | 一定の金銭を強制的に取り立てる刑罰 | 刑務所に収監し、刑務作業を行わせる刑罰 |
刑務所 | 入らない | 入る(※) |
初犯は罰金?2回目・3回目は実刑?
さて、万引きの刑罰は罰金か懲役ということでした。
一番重いと、「10年の懲役」というのも、法律の規定上はあり得るようでしたが…
まず知りたいのは、やっぱり初犯の場合の刑罰の相場ですよね。
というわけで、以下に、過去実際にあった万引き事件から、初犯のケースを5つまとめてみました。
初犯の場合の量刑一覧
事案の概要 | 前科 | 量刑 | |
---|---|---|---|
① | コンビニでたばこ2箱(販売価格合計880円)を万引き | 無し | 罰金20万円 |
② | ディスカウントストアでパーカー他3点(販売価格合計8478円)を万引き | 無し | 罰金20万円 |
③ | 書店でCD17枚(販売価格合計3万2450円)を万引き | 無し | 罰金20万円 |
④ | デパートで弁当など2点(販売価格合計646円)を万引き | 無し | 罰金30万円 |
⑤ | 家電量販店でラジオ3台(販売価格合計1万1940円)を万引き | 無し | 罰金30万円 |
- ①②③は、被害金額は違うのに、どれも罰金20万円となっています。
- ④⑤を見てみても、被害金額と罰金の金額はあまり関係ないように見えます…。
このあたり、どうなっているんでしょう?
とにかく、初犯は罰金のケースが多そうです。
万引き(窃盗罪)の刑罰の規定は、「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となっています。
初犯の場合の刑罰も、この法律の規定の範囲内で言い渡されますが、実際に言い渡される刑罰は、
- 万引きにより生じた結果の重大性
- 万引き行為の悪質性
の程度によって異なってきます。
初犯のケースは、略式裁判による罰金刑で終わることも多いです。
「略式裁判」というのは、ものすごく簡単にいってしまえば、名前の通り簡略な裁判のことです。
いわゆる裁判とは異なり、公開法廷は開かれず、書面により行われます。
では、初犯の場合のケースを見たところで、次に2回目・3回目の万引きの刑罰も見ておきましょう。
以下に、万引きの常習犯のケースを5つまとめてみました↓
前科がある場合の量刑一覧
事案の概要 | 前科 | 量刑 | |
---|---|---|---|
① | スーパーでキャンディー1袋(販売価格168円)を万引き | 19犯 | 罰金20万円 |
② | コンビニでおにぎり1個(販売価格120円)を万引き | 2犯 | 懲役10ヶ月 |
③ | コンビニで缶チューハイ2本(販売価格合計432円)を万引き | 2犯 | 懲役1年・執行猶予3年 |
④ | デパートで調味料1袋ほか9点(販売価格合計8914円)を万引き | 1犯 | 懲役1年 |
⑤ | 書店でCD19枚(販売価格合計2万7850円)を万引き | 2犯 | 懲役1年8ヶ月 |
うーん!万引きも2回目・3回目となってくると、さすがに刑罰も重い!
③④⑤などは、懲役刑です。
とはいっても、いくら法律上「懲役10年」を言い渡すことが可能でも、さすがに万引きでそんなに長い懲役にはならなそうです。
いかがでしょうか。万引き事件の刑罰の相場、見えてきましたか?
万引きの逮捕は弁護士に相談しよう
さて、万引き事件の「逮捕とその後の流れ」について、アトム法律事務所の弁護士と一緒に見てまいりました。
弁護活動の現場ならではの話も聞けて、具体的なイメージがしやすかったですね。
これで大体の流れはわかりましたが、いざ自分や家族が逮捕されそう…という状況だったら、もっと具体的なアドバイスが欲しいものです。
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あなたの万引き事件、ひとまず弁護士に相談してみてください。