未成年の逮捕の流れを解説!|喫煙・飲酒や援助交際は逮捕される?
20歳未満の未成年の子供が事件を起こすとどうなるかご存じでしょうか。
- 未成年って逮捕される?
- 未成年の逮捕の流れは?成人と同じ?
など、知らないことがたくさんありますよね。
また、未成年の問題として挙げられやすい
- 喫煙
- 飲酒
- 援助交際
などで逮捕される可能性があるのかも気になるところです。
今回は、「未成年の逮捕」についてくわしくレポートしていきます!
法律的な部分は弁護士の先生に解説をお願いします。
未成年も刑事事件を起こせば逮捕されるケースがあります。
未成年自身や、未成年を子に持つ親は今後のことがわからず非常に不安になると思います。
成人の逮捕の流れと未成年の逮捕の流れは大きく異なります。
成人の事件との違いや、みなさんが持つ様々な疑問に答えていきます。
目次
【質問3選】未成年の喫煙・飲酒や援助交際は逮捕される?補導される?など
未成年の喫煙・飲酒・援助交際など、よく耳にする問題ですよね。
世の中には、さまざまな意見がありますが…
もし、未成年が喫煙・飲酒・援助交際などの行為をすると逮捕されてしまうのでしょうか。
順番に確認してみましょう。
Q1.未成年の喫煙・飲酒が理由で逮捕・補導されることはある?
興味本位や友人に勧められて喫煙や飲酒をしてしまう未成年の子供がいます。
もし、未成年が喫煙や飲酒をしてしまうと逮捕されてしまうのでしょうか。
現時点では、飲酒・喫煙行為で未成年者本人を処罰する法律はありません。
しかし、お酒・煙草を未成年に提供した大人は処罰される可能性があります。
罰則については未成年者喫煙禁止法や未成年者飲酒禁止法で定められています。
条文を確認しておきましょう。
第一条 満二十年ニ至ラサル者ハ煙草ヲ喫スルコトヲ得ス
第二条 前条ニ違反シタル者アルトキハ行政ノ処分ヲ以テ喫煙ノ為ニ所持スル煙草及器具ヲ没収ス
第三条 未成年者ニ対シテ親権ヲ行フ者情ヲ知リテ其ノ喫煙ヲ制止セサルトキハ科料ニ処ス
○2 親権ヲ行フ者ニ代リテ未成年者ヲ監督スル者亦前項ニ依リテ処断ス(略)
第五条 満二十年ニ至ラサル者ニ其ノ自用ニ供スルモノナルコトヲ知リテ煙草又ハ器具ヲ販売シタル者ハ五十万円以下ノ罰金ニ処ス(略)
出典:未成年者喫煙禁止法
つまり、満20歳未満の者の喫煙を禁止し、親権者やその他の監督者、煙草を販売した者に罰則を科すということですね。
親権者やその他の監督に科される罰は以下の通りです。
未成年者の喫煙を知りつつも制止しなかった親権者やその代わりの監督者:科料。
満20歳未満の者が自ら喫煙することを知りながらたばこや器具を販売した者:50万円以下の罰金
※科料:1000円以上1万円未満の財産刑
未成年者本人に科せられる刑事処分はないことがわかりました。
未成年者が以上の法律に違反した場合、喫煙のために所持する煙草およびその器具について、行政処分としての没収が行われるようです。
未成年の飲酒についてもみてみましょう。
第一条 満二十年ニ至ラサル者ハ酒類ヲ飲用スルコトヲ得ス
2 未成年者ニ対シテ親権ヲ行フ者若ハ親権者ニ代リテ之ヲ監督スル者未成年者ノ飲酒ヲ知リタルトキハ之ヲ制止スヘシ
3 営業者ニシテ其ノ業態上酒類ヲ販売又ハ供与スル者ハ満二十年ニ至ラサル者ノ飲用ニ供スルコトヲ知リテ酒類ヲ販売又ハ供与スルコトヲ得ス
4 営業者ニシテ其ノ業態上酒類ヲ販売又ハ供与スル者ハ満二十年ニ至ラザル者ノ飲酒ノ防止ニ資スル為年齢ノ確認其ノ他ノ必要ナル措置ヲ講ズルモノトス(略)
出典:未成年者飲酒禁止法
つまり、未成年者の親権者や監督代行者は、未成年者の飲酒を知った場合に、これを制止する義務があります。
また、酒類を販売する酒屋・コンビニなどや酒類を供与する飲食店・居酒屋・スナックなどが、満20歳未満の者に対して、お酒を提供することも禁止されています。
コンビニのレジで年齢確認を行うのもこういった法律が定められているからです。
さらに、未成年だと知っていながらお酒を提供すると以下の罪に問われることになります。
未成年の飲酒を制止しなかった親権者や監督代行者:科料
未成年に酒類を販売・供与した営業者:50万円以下の罰金
以上に対し、未成年者に対しては刑事処分はありません。
未成年者に対しては、飲用のために所有・所持している酒類を没収・廃棄などの必要な処置が取られます。
Q2.未成年と援助交際をすると逮捕される?
「援助交際」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。
ニュースや週刊誌などで目にしたことがあるかもしれません。
実は、「援助交際」は法律用語ではありません。
援助交際は、一般的に女性が金銭などを目的として交際相手を募集し、金銭の対価として性行為を行うことです。
成人した女性だけでなく、未成年が行っている場合も少なくありません。
法的に援助交際が犯罪とされるのは、
「18歳未満の者」つまり未成年に対して援助交際をした場合
です。
18歳未満の未成年と援助交際をした場合は「児童買春」と法は規定しています。
児童買春の場合、未成年者が逮捕されることはあるのでしょうか。
未成年者が補導されることはあっても、逮捕され、刑事処分を受けることはありません。
児童買春で逮捕されるのは、児童買春をした大人側です。
18歳未満の「児童」を買春する行為については、
「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」
という法律で規定されています。
通称、児童買春・児童ポルノ禁止法とも呼ばれています。
未成年と援助交際をすると成人している側は以下のような罰則をうけます。
5年以下の懲役
または、
300万円以下の罰金
決して軽い罰ではありませんね。
援助交際・児童買春についてくわしくは以下の記事をご覧ください。
Q3.未成年の万引きは逮捕される?
「万引き」は未成年の学生などが起こしやすい犯罪といえます。
未成年が万引きすると、逮捕されてしまうことはあるのでしょうか。
未成年だと万引きで逮捕されないということもあるのでしょうか。
未成年だから逮捕されない、とはいえません。
逮捕の必要性の判断自体は、成人の場合と比べて緩やかな場合もあります。
しかし、未成年者の場合でも、悪質な刑事事件を起こせば、警察に逮捕される可能性はあります。
逮捕される場合は、成人の逮捕と同様に
- 事件の現場で現行犯逮捕される
- 逮捕状をもった警察官に後日逮捕される
などのケースがあります。
未成年の万引きについては以下の記事にくわしく書いてあるので併せてご覧ください。
未成年の逮捕の流れは?成人の刑事事件とは別?
①逮捕|拘留期間(勾留期間)はどれくらい?
未成年者自身や、ご自身の未成年の子供が逮捕されてしまうとどれくらい拘束されるのか気になりますよね。
年齢が14歳以上20歳未満の未成年の場合、逮捕直後の手続きは基本的に成人と同様です。
未成年者が逮捕された場合、検察官が72時間以内に
- 勾留請求する
- 勾留に代わる観護措置として少年鑑別所に移送する
という選択肢があります。
勾留となる場合には少年は10日〜20日間の留置場生活を送ることになります。
逮捕直後の流れは成人の逮捕の流れと変わらないのですね。
ところで、少年鑑別所とはどのような施設なのでしょうか。
家庭裁判所の観護措置決定に基づいて送致された少年を審判があるまで収容するとともに、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門知識に基づいて、少年の資質の鑑別を行うための施設(略)
出典:有斐閣 法律用語辞典 第4版
少年鑑別所は
- 送致された少年を審判があるまで収容する
- 少年の資質の鑑別を行う
などの役割を持った施設なのですね。
「審判」とは成人の手続きの中でいう刑事裁判のようなものです。
20歳未満の未成年者の場合は、通常は刑事裁判ではなく少年審判を受けることになります。
②審判or審判不開始|家庭裁判所
さきほど「少年審判」という言葉がでてきました。
少年鑑別所に移送された少年は全員審判を受けることになるのでしょうか。
未成年が逮捕された場合でも、少年審判にならないケースがあります。
逮捕されたあと、未成年者は警察署での捜査や少年鑑別所での観護措置を受けることになります。
その過程で集まった資料を検討した結果、少年審判を開く必要性がないと判断された場合は、審判不開始という決定が出されます。
審判不開始になれば、少年審判は行われないということになります。
審判不開始とは、少年保護事件において、家庭裁判所が少年に関する調査を行なった結果で出されます。
審判に付することができないかまたは審判に付するのが相当でないと認めるときにくだす決定のことです。
端的にいうと、罪をなすりつけられていたような場合は、「審判に付するのが相当でない」と審判不開始の決定が出ることもあります。
③処分の区分
成人の事件では最終的に刑事裁判で刑罰が下されます。
少年事件は、少年審判で処分が決定されることになります。
少年審判で決定される処分は大きく分けて4つあります。
少年審判で決定される処分
- ① 保護処分:保護観察、児童自立支援施設等送致、少年院送致
- ② 検察官送致:家庭裁判所から証拠等とともに事件を検察官に送り届け、刑事裁判になる
- ③ 不処分(教育的処置)
- ④ 都道府県知事または児童相談所長送致
未成年者が起こした刑事事件は最終的に上記のような処分がくだされます。
成人が受ける懲役・罰金などの刑罰とは大きく異なりますね。
最後にもう一度、少年事件の流れを図で確認しておきましょう。
未成年の事件で有罪になると前科はつく?
前科とは、以前に有罪判決を受けた履歴のことです。
前科がついてしまうと、これから生きていく上でたくさんのデメリットがあります。
前途ある未成年の若者に「前科」がつくと将来が不安になりますよね…
未成年の起こした事件で前科がつくことがあるのでしょうか。
未成年時に少年事件で保護観察等の処分を受けた経歴は、前科ではなく、前歴です。
「前がある」という意味では変わりませんが、有罪判決を受けた訳ではないので、前科ではなく前歴となります。
刑事裁判によって有罪の判決が宣告され、刑が確定すると「前科」がつきます。
未成年の犯罪の場合、重大な刑事事件以外は「少年審判」を受けることになります。
未成年の事件で前科がつくのは重大な犯罪を犯し、逆送され刑事裁判を受け、有罪になった場合です。
少年審判の処分で「検察官送致」になり、刑事裁判を受けない限りは「前科」は付きません。
逮捕を伴う少年事件の場合は、「刑事手続きに関わった履歴」としての「前歴」はつくことになります。
「前歴」は「前科」とは異なります。
前歴とは、以前に犯罪捜査を受けた、その履歴のことをいいます。
「前歴」がつくことで就職などの事実上の不利益はありますが、資格制限などの法律上の不利益はありません。
【無料相談窓口】未成年の逮捕で頼れる弁護士を探す
未成年の逮捕はまず弁護士に相談!無料相談窓口はこちら
自分の未成年の子供が刑事事件を起こし、どうすればいいかわからない…
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未成年の逮捕など、少年事件に強い弁護士を探す
記事内でもご覧頂いたように少年事件は成人の事件と流れが大きく異なります。
ご自身だけで判断してしまうのは非常に危険です。
ご自身の子供が事件の加害者になってしまったらまずは弁護士を選任しましょう。
以下の窓口から弁護士を探したい地域を選択すると頼れる弁護士がすぐにみつかります。
自分に合う弁護士は見つかりましたか?
少年事件の弁護士探しポイント
- 刑事事件に注力している弁護士を探す
- 弁護士費用が明瞭な弁護士を探す
以上の2点は弁護士探しの中でもとても重要です。
弁護士費用については各弁護士にホームページに記載されていると思うのでチェックしましょう。
最後に一言アドバイス
成人の事件と未成年の事件では流れや処分が大きく異なることがわかりました。
最後に一言アドバイスをお願いします。
少年事件は非常にデリケートな問題です。
そのため少年事件に強い弁護士に依頼し、早期に弁護活動を開始することをおすすめします。
弁護活動を始める早さと、きめ細やかな対応が少年の未来を左右するかもしれません。
少年の未来を守るためにもまずは一度、弁護士に相談してみましょう。
まとめ
今回は「未成年の逮捕の流れ」や度々問題になる「喫煙・飲酒・援助交際」などについてみてきました。
みなさんの疑問は解消されたでしょうか。
もし、ご自身の未成年の子供が逮捕されてしまったら迅速な対処ができるようにしましょう。
記事内でご紹介した
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なお、未成年以外の逮捕にまつわる情報は『逮捕されたくない人必見の正しい対処法|条件を知れば怖くない』にまとめているので、興味がある方はご覧ください。
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