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逮捕のすべて|逮捕状から勾留・起訴、弁護士依頼後の流れまで徹底カバー

  • 逮捕とは

皆さん、家族や友だちが逮捕されたら、とても不安になりますよね。

ここでは、逮捕に関する徹底調査の結果を大公開しています。

実際にあったケースも満載ですので、是非参考にしてください!

逮捕とは?

逮捕の意味

逮捕とは?刑事事件の逮捕と法律の関係は?

逮捕とは、犯罪の容疑者の身柄を拘束することをいいます。

容疑者の手首に手錠をかける、容疑者の身体を引っ張ってパトカーに連行するといった、警察官による強制的な身体拘束は、すべて逮捕にあたります。

日本は法治国家なので、逮捕のように強制力をともなう行為は、すべて法律にもとづいて合法的に行われる必要があります。

逮捕は大きく、現行犯逮捕後日逮捕(通常逮捕)とに分けることができます。

※法律上は緊急逮捕というものもありますが、実際に緊急逮捕が行われるケースは現行犯逮捕後日逮捕と比べて少ないので、説明は割愛します。

現行犯逮捕とは

犯行中または犯行直後の容疑者を、事件の直後に、逮捕状なしに逮捕することをいいます。

現行犯逮捕は、警察官以外の、被害者や目撃者といった一般の人でも可能です。

後日逮捕とは

犯行を終えた容疑者を、逮捕状にもとづいて逮捕することをいいます。

後日逮捕は、捜査関係者によって行われます。

現行犯逮捕と後日逮捕の違い

逮捕されると前科はつくの?前科がつかない場合もある?逮捕と前科の関係は?

逮捕されても前科はつきません

前科とは、そもそも刑事裁判で有罪判決を受けた履歴のことです。

逮捕された後に、刑事裁判になり、有罪判決を受ければ、もちろん前科がつくことになります。

しかし、逮捕されても、その後に不起訴無罪になれば、前科はつきません

逮捕の後に不起訴になるには?

検察官によって不起訴処分がくだされる必要があります。

不起訴処分には、主に、①そもそも犯罪の嫌疑がなかった場合、②犯罪の嫌疑が不十分だった場合、③犯罪の嫌疑はあったが起訴までは不要だった場合(起訴猶予)の三種類があります。

逮捕の後に無罪になるには?

刑事裁判で無罪判決を受ける必要があります。

有罪の証拠が不十分な場合は、無罪判決がくだされることになります。

逮捕の種類は?通常・現行犯・緊急の三種類?

逮捕には、3種類あります。①通常逮捕、②現行犯逮捕、③緊急逮捕の三つです。

通常逮捕

一つ目は通常逮捕です。

名前の通り、これが原則的な逮捕の形態です。

犯罪が行われた後に逮捕されることから、後日逮捕とも言われますが、法律上の名前は通常逮捕です。

通常逮捕の場合、容疑者の目の前で逮捕状が提示され、疑いをかけられている犯罪名と逮捕の理由が告げられたうえで、逮捕されます。

逮捕状は、容疑者の人権を保障する観点から必要とされているもので、裁判官により発行されます。

容疑者の人権保障のためには、警察官などの捜査機関とは異なる立場である裁判官が、逮捕の必要の有無をチェックする必要があるのです。

現行犯逮捕

二つ目は現行犯逮捕です。

現行犯逮捕は、今まさに犯罪を行っている犯人や、犯罪を終了したばかりの犯人を、逮捕状なしに逮捕する形態です。

現行犯逮捕というのは、たとえば犯人がお金を盗んだり、被害者に暴力を振るっているところを目撃した警察官が、その犯人を逮捕する場合です。

犯罪が行われたことが明らかで、犯人も明白であることから、裁判官の発行した逮捕状がなくても、例外的に逮捕が認められているのです。

ちなみに、現行犯とはいえないものの、犯罪終了後に犯人として追いかけられている者や、暴行に使った凶器を現場近くで持っている者などについても、逮捕状なしの逮捕が認められています。

これは法律上、現行犯逮捕に準ずるものとして、準現行犯逮捕と呼ばれています。

緊急逮捕

三つ目は緊急逮捕です。

緊急逮捕は、容疑者が放火、強姦、殺人、強盗など一定の重い犯罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急ぐ必要があり裁判官の逮捕状を求めることができない場合にのみ認められています。

ですから、緊急逮捕の場合、逮捕状は提示されません

しかし、緊急逮捕の後に必ず逮捕状を請求しなければならない決まりになっています。

そして、その時点で逮捕状が発行されなかったら、警察官らは直ちに容疑者を釈放しなければなりません。

逮捕の要件とは?現行犯逮捕と通常逮捕(後日逮捕)の要件の違いは?

逮捕の要件は、現行犯逮捕の場合と、通常逮捕(後日逮捕)の場合とで異なります。

現行犯逮捕と後日逮捕の違い

現行犯逮捕の要件

刑事訴訟法212条1項には、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者を現行犯人とする。」と定められています。

同じ条文の2項には、一定の状況にあたる者が「罪を行い終わってから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす」として、4つの状況が挙げられています。

すなわち、

  • 犯人として追呼されているとき
  • 贓物(ぞうぶつ)又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき
  • 身体又は被服に犯罪の顕著な証拠があるとき
  • 誰何(すいか)されて逃走しようとするとき

の4つです。

そして刑事訴訟法213条には、「現行犯人は、何人(なんぴと)でも逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」と定められています。

ここからわかることは、現行犯逮捕には2つの種類があるということです。

一つ目の現行犯逮捕の要件は、事件を現に確認した者によって、その現場で逮捕が行われる必要がある、というものです。

現行犯逮捕の場合、現行犯逮捕できるのは、基本的にその時その場限りです。

もう一つの現行犯逮捕は、法律上、現行犯逮捕に準ずるものとして準現行犯逮捕と呼ばれています。

準現行犯逮捕の要件は、犯行が終わってから間がないと明らかに認められるものであり、以下4つの状況のどれかに当てはまることです。

4つの状況とは、

  • 犯人として追いかけられているとき
  • 犯人が盗んだものや犯行に使った血のついたナイフなどを持っているとき
  • 返り血を浴びているなど犯人の身体や服に犯罪の痕跡が見られるとき
  • 警察官などに声をかけられて逃げようとしているとき

です。

現行犯逮捕や準現行犯逮捕をする人は、警察官などの捜査関係者に限られず、目撃者や被害者側の関係者などの一般人でも可能です。

通常逮捕(後日逮捕)の要件

刑事訴訟法199条1項本文は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。」と定めています。

ここから読み取れるとおり、通常逮捕(後日逮捕)は、裁判官が発行する逮捕状にもとづいて行われる必要があります。

逮捕状の発行を請求するのは、一般的に警察官です。

逮捕状の発行は、逮捕の理由逮捕の必要性とが認められる場合に限られています。

逮捕の理由とは、特定の犯罪の嫌疑をかけるに足りる客観的・合理的な根拠があることです。

逮捕の必要性とは、「容疑者が逃亡するおそれ」や「罪証を隠滅するおそれ」があることです。

事件ごとの逮捕のカタチ

刑事事件の逮捕はどのように行われる?具体的なケースや実例は?

刑事事件での逮捕は、基本的に、①現行犯逮捕と②後日逮捕(通常逮捕)とに分けられます。

刑事事件で現行犯逮捕されるケース

被害者や目撃者に犯行を目撃された場合は、犯行の現場で現行犯逮捕されることがあります。

犯行そのものを目撃されなくても、犯行の直後で一定の場合には、準現行犯逮捕の対象になることもあります。

逃走して犯行から時間的・場所的に離れてしまった場合は、現行犯逮捕されることはありません。

もっとも、その場合も逮捕状が発行され、後日逮捕される可能性はあります。

たとえば、容疑者Aは、住居侵入の直後、通報を受け自転車で駆けつけた警察官により、現場から約30メートル離れた地点で現行犯逮捕されました。

また、容疑者Bは、建物に火炎瓶を投げ込んで放火しようとした犯行の直後、現場に急行した警察官により、犯行から40~50分後、現場から約1キロの場所で準現行犯逮捕されました。

刑事事件で後日逮捕されるケース

後日逮捕とは、法律的には通常逮捕と呼びます。

通常逮捕とは、裁判所が発行する逮捕状にもとづく逮捕のことをいいます。

刑事事件の捜査が進み、逮捕の必要性があると判断された場合は、在宅捜査ではなく、後日逮捕されることになります。

たとえば、容疑者Cは、恐喝の容疑で、犯行から1ヵ月後に逮捕状をもって自宅を訪れた警察官により後日逮捕(通常逮捕)されました。

また、容疑者Dは、強姦の容疑で、犯行から半年後に逮捕状をもって自宅を訪れた警察官により後日逮捕(通常逮捕)されました。

覚醒剤事件の逮捕はどのように行われる?具体的なケースや実例は?

覚醒剤事件での逮捕は、基本的に、①現行犯逮捕の場合と②後日逮捕(通常逮捕)の場合に分けられます。

覚醒剤事件で現行犯逮捕されるケース

職務質問などによって覚醒剤を所持していることが判明して現行犯逮捕されるケースが多いです。

また、家宅捜索で自宅や職場から覚醒剤が見つかり、覚醒剤の所持で現行犯逮捕されるケースもあります。

さらに、簡易尿検査によって覚醒剤の使用が判明して、そのまま現行犯逮捕されるケースも多いです。

覚醒剤の現行犯逮捕は、所持使用の場合がほとんどです。

覚醒剤事件で後日逮捕されるケース

覚醒剤事件の関係者の供述にもとづいて、覚醒剤の譲り渡し譲り受けで後日逮捕されるケースがあります。

覚醒剤の売買は組織的に行われることが多いので、関係者の供述を総合して、捜査の必要性があると判断されれば、後日捜査されることになります。

覚醒剤の使用についても、簡易尿検査の段階では逮捕されず、後日正式に逮捕状が発行され逮捕されるケースもあります。この場合、検査から1か月程度間があくこともあります。

詐欺事件の逮捕はどのように行われる?具体的なケースや実例は?

詐欺事件での逮捕は、基本的に後日逮捕(通常逮捕)に限られますが、稀に現行犯逮捕される場合もあります。

詐欺事件で現行犯逮捕されるケース

振り込め詐欺などの詐欺現場に警察が踏み込み、まさにその現場で詐欺行為を行っていた場合は、現行犯逮捕されることがあります。

また、振り込め詐欺の受け子など、まさに詐欺の現金を受け取ろうとした現場で現行犯逮捕されることもあります。

詐欺で現行犯逮捕されるケースは、基本的に、詐欺現場での現行犯逮捕か、被害品受け取り時の現行犯逮捕に限られます。

詐欺事件で後日逮捕されるケース

詐欺事件の逮捕の多くは、後日逮捕です。

詐欺事件の解明には時間がかかることが多く、被害者が被害届を提出し、捜査の結果、犯人がある程度特定された段階で後日逮捕となるケースが多いです。

詐欺犯人の特定は、関係者の供述や、銀行口座の履歴などの証拠を積み重ねて、時間をかけて行われることになります。

そのため、詐欺事件から1〜2年後に急に逮捕されるというケースも珍しくありません。

盗撮事件の逮捕はどのように行われる?具体的なケースや実例は?

盗撮事件での逮捕は、基本的に、①現行犯逮捕の場合と②後日逮捕(通常逮捕)の場合に分けられます。

盗撮事件で現行犯逮捕されるケース

盗撮の被害者目撃者に気づかれて、その場で現行犯逮捕されるケースが多いです。

盗撮の場合は、カメラに盗撮の証拠が残っているケースが多いので、言い逃れが難しいです。

仮にカメラの画像が残っていない場合でも、スカートの中にカメラを差し入れた等のあとであれば、犯罪自体は成立するので、現行犯逮捕されることになります。

盗撮事件で後日逮捕されるケース

更衣室トイレに侵入し盗撮を行った場合は、防犯カメラなどに証拠が残っていて後日逮捕されるケースがあります。

駅やデパート、電車内での盗撮の場合は、防犯カメラだけでは犯人の特定が難しい場合も多く、後日逮捕されるケースはそれほど多くありません。

窃盗事件の逮捕はどのように行われる?具体的なケースや実例は?

窃盗事件での逮捕は、基本的に、①現行犯逮捕の場合と②後日逮捕(通常逮捕)の場合に分けられます。

窃盗事件で現行犯逮捕されるケース

主に、被害者に目撃され、そのまま現行犯逮捕されるケースが多いです。

万引きなどの場合はもちろん、置き引き財布盗難スリの場合でも、被害者や目撃者によって現行犯逮捕されることがあります。

窃盗事件で後日逮捕されるケース

防犯カメラに証拠が残っていた場合や、現場から逃走したものの犯人が誰か判明しているケースでは、逮捕状が発行されて後日逮捕される場合があります。

後日逮捕されるか否かは、証拠の確実さ以外に、被害の程度にもよります。

少額の窃盗事件の場合は、証拠が明白な場合でも、逮捕までせず在宅捜査で終わることもあります。

ただし、住居侵入不法侵入を伴う窃盗では、被害が少額でも行為が悪質として、捜査の必要性から後日逮捕されるケースも多いです。

横領事件の逮捕はどのように行われる?具体的なケースや実例は?

横領事件での逮捕は、基本的に後日逮捕(通常逮捕)の場合に限られます。

被害者の会社などが横領の事実を発見し、警察に被害届を提出し、捜査の結果、横領の事実がある程度認定されれば、逮捕の可能性が高まります。

しかし、被害が少額の横領事件や、証拠にもとづく立件が困難な横領事件では、逮捕までいかないケースも多いです。

逮捕されない場合でも、引き続き、横領の被害について賠償責任を負うので、民事裁判などを起こされるリスクがあります。

逮捕に関するQA

検挙ってなに?逮捕と検挙の意味の違いは?

検挙とは、捜査機関が容疑者をつかまえて警察に連れて行くこと一般をいいます。

これに対して、逮捕とは、捜査機関等が容疑者の身柄を拘束して、警察署につれて行き、留置場に収監することをいいます。

検挙されて警察署に連れて行かれても、取り調べの後、釈放されるケースもあります。この場合、逮捕はなく、留置場での生活もありません。

これに対して、逮捕された場合は、留置場に収監され、一定期間は留置場で寝泊まりしなければならなくなるのが通常です。

逮捕後、釈放までの流れとその期間は?身元引受人は必要なの?

逮捕から釈放されるには、身元引受人がいた方が有利です。身元引受人がいないと、逃走のおそれありと判断されることがあるからです。

もっとも、身元引受人の存在は釈放の要件ではありません。

身元引受人がいないケースでも、事件の性質や釈放後の本人の環境に問題がなければ、逮捕から釈放されることになります。

逮捕から釈放までの期間については、以下にまとめてみました。

※なお、以下の説明は余罪による再逮捕追起訴ない単純な事例を想定しています。

①勾留請求なく釈放

逮捕されたが検察官によって勾留請求されなかった場合は、逮捕の翌日か翌々日に釈放されます。

痴漢盗撮、その他の軽微な条例違反のケースでは、勾留請求されずに釈放されるケースも多いです。

もっとも、軽微な事件でも容疑を不合理に否認しているケースでは、証拠隠滅のおそれがあるとして勾留請求されるケースが多いです。

早期の釈放を希望する場合は、軽微な事件でも油断することなく対応する必要があります。

②勾留決定なく釈放

検察官から勾留請求されても、裁判官が勾留を決定しなければ、逮捕から2日前後で釈放されます。

③勾留決定が取り消されて釈放

裁判官が勾留を決定しても、その決定に対して不服を申立て、これが認められれば、勾留の決定が取り消され逮捕から数日後に釈放されます。

勾留決定に対する不服の申立てを、法律用語で準抗告(じゅんこうこく)といいます。

統計的には準抗告が認められる確率は極めて低いですが、早期の釈放を希望する場合は、担当の弁護士に準抗告を申し立ててもらうことが大切です。

④略式罰金で釈放

勾留が決定され、留置場で生活することになっても、略式罰金で事件が終われば、罰金の支払いと同時に留置場から釈放されます。

最初の勾留の期間は10日間、延長されても合計20日間なので、この場合は逮捕から12〜22日後に釈放されることが多いです。

⑤保釈で釈放

勾留が決定され、略式罰金にもならず、事件が起訴され正式裁判を受けることになっても、保釈が認められれば逮捕から約1か月後に釈放されます。

保釈とは、保釈金を裁判所に納金し、一時的に留置場から釈放される制度のことをいいます。

保釈を請求できるのは、事件が起訴されたあと限定です。

最長で合計20日の勾留の期間を経て、事件が起訴されたあとに限り、保釈を請求することができます。

保釈の審査に数日を要するので、保釈が認められるとしても、実際に留置場から釈放されるのは逮捕から約1か月後になるケースが多いです。

⑥執行猶予で釈放

保釈が認められなくても、執行猶予つきの判決が下されれば、勾留決定の効果がなくなるため、留置場から釈放されます。

刑事裁判にかかる期間を考えれば、逮捕から約3か月後に釈放されるケースが多いです。

もちろん、主張や反論が複雑で刑事裁判が長引いた場合は、釈放が遅れるケースもあります。

⑦一度も釈放されないケース

勾留の上で事件が起訴され、保釈も認められなかったケースで、実刑判決が下された場合は、一度も釈放されることなくそのまま刑務所に収監されることになります。

逮捕後の勾留期間はどのくらい?

刑事訴訟法208条1項は、「被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から十日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。」と定めています。

同条2項は、「裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、前項の期間を延長することができる。この期間の延長は、通じて十日を超えることができない。」と定めています。

ここからわかるように、逮捕後の勾留期間は10日間です。

その後、さらに10日間延長されて、合計で20日間勾留されるケースもあります。

最長で20日間勾留されたのち、正式な裁判より簡易な手続きである略式罰金手続で事件が終われば、その場で釈放されます。

しかし、事件が起訴され正式裁判になった場合は、保釈が認められない限り勾留生活が続きます。

逮捕後の勾留中の面会の流れは?

勾留中の方との面会は、警察署または拘置所の面会室で行われます。

まずは本人がどこで留置されているかを確認し、留置先の施設に向かいましょう。

以下では、警察署の留置場で面会されているケースを想定して、解説します。

一般面会の流れ

ご家族等が行う一般面会の流れ

まずは、留置先の警察署の1階総合窓口に行って、留置係の場所を教えてもらってください。

留置場は、通常、警察署の2階3階にあるケースが多いです。

留置係の受付で面会申込用紙に必要事項を記載すれば、面会することができます。

弁護士が行う弁護士面会の流れ

弁護士の場合も、基本的にご家族と同様の流れになります。

もっとも、弁護士の場合は、面会中に警察官の立ち会いがない土日や夜間でも面会可能などの特権が認められている点で異なります。

逮捕後の勾留期間は最大何日?

一つの事件の勾留期間は、起訴まで最大20日間と法律で定められています。

※そのため、20日間以内に証拠が固まらずに起訴されない場合は、勾留の満期日に釈放されます。

もっとも、実際の勾留期間は、余罪などの関係で、どこまでも長くなる場合があります。

再逮捕が繰り返されるケース

振り込め詐欺や薬物売買など、反復継続性が認められる事件においては、一つの事件の勾留期間が満了したあとも、すぐに再逮捕され、勾留生活が長引く場合があります。

例えば、振り込み詐欺事件では、一つの詐欺事件で一回逮捕することが可能なので、被害者が数百人いるようなケースでは、理論上、かなりの再逮捕が可能です。

再逮捕された場合は、勾留期間のカウントはふりだしに戻ることになります。

起訴後勾留が延長され続けるケース

通り魔無差別殺人などの重大ケースでは、保釈が認められず、裁判が長引くケースが多いため、起訴後の勾留が延長され続ける場合があります。

逮捕状をくわしく解説

逮捕状とは?

そもそも逮捕状とは?逮捕状ってなに?

そもそも、現行犯逮捕や緊急逮捕の場合を除き、すべての容疑者は、逮捕状がない限り逮捕されることはありません。

これは、憲法で保障されている権利です。

逮捕状とは、警察官や検察官の請求に基づいて裁判官が発行する、逮捕の許可状です。

逮捕状が発行されると、警察官や検察官は、容疑者を逮捕することができるようになります。

逮捕状には、容疑者の氏名、住所、罪名、連れて行かれる警察署、逮捕状の有効期間などが書かれており、最後に裁判官のサイン・押印がなされます。

逮捕状の請求手続きは?逮捕状の請求書を書くのは誰?

逮捕状は、逮捕状を請求する権利のある者が、その発行を裁判官に請求することによって、発行されます。

逮捕状を請求する権利のある者、つまり逮捕状の請求書を書くのは警察官、検察官、検察事務官などです。

警察官の中でも、逮捕状の請求書を書けるのは一部の人に限られています。

具体的には、国家公安委員会または都道府県公安委員会に指定された、警部以上の者でなければなりません。

逮捕状の請求・発付の流れ

逮捕状の請求には時間がかかる?請求時間はどのくらい?

逮捕状の請求は、一定の証拠にもとづく必要があります。

この証拠を集めるのに一定の時間が必要になります。

証拠の収集は、早ければ数日で完了することもありますが、事案によっては、数年以上かかることもあります。

逮捕状の請求にかかる時間については、ケースバイケースとしかお答えが難しいです。

裁判官が作成した逮捕状の効力とは?

逮捕状というのは、警察官や検察官など捜査を担当する人たちが、逮捕状請求書により裁判官に請求して、発行してもらうものです。

裁判官が逮捕状発行の必要性を認めると、逮捕状が発行されます。

逮捕状には、容疑者の氏名、住所、罪名、連れて行かれる警察署、逮捕状の有効期間などが書かれ、最後に裁判官のサイン・押印がなされます。

このように、裁判官が作成した逮捕状があれば、警察官や検察官などの捜査機関は、容疑者を逮捕することができます。

逮捕状の効力は、発行の翌日から7日間続きますが、この7日を過ぎると逮捕状があっても逮捕できなくなります。

逮捕状の緊急執行とは?緊急執行の要件とは?

本来、逮捕は、容疑者の目の前で逮捕状を示したうえで行われなければなりません。

しかし、時間に余裕のないときは、逮捕状を示さずに逮捕することが認められています。

これを、逮捕状の緊急執行といいます。

裁判所は、逮捕状に書かれている容疑を容疑者に告知するのは、逮捕が令状に基づくものであることを知らせるためであるから、逮捕にあたり逮捕状に書かれていることを全て告知する必要はない、としています。

逮捕状の有効期間について

逮捕状には有効期間がある?有効期間はどのくらい?

逮捕状には有効期間があります

逮捕状の有効期間は、逮捕状発行日の翌日から7日間です。

ただし、容疑者が逃走中であるなどの特別な事情があるときは、有効期間が7日を超えることもあります。

逆に、逮捕状の有効期間が7日より短くなることは、一般的にありません。

逮捕状の有効期間を過ぎるとどうなる?有効期間は更新される?

逮捕状は、有効期間を過ぎると効力を失います

つまり、逮捕状の有効期間を過ぎてからの逮捕は違法であり、認められません。

なお、逮捕状発行後に有効期間を延長することは認められていません。

ですから、逮捕状の有効期間を過ぎた後でも逮捕の必要性がある場合は、裁判官に新たに逮捕状の発行を請求することになります。

逮捕状に関するQA

緊急逮捕の場合には逮捕状は提示されない?

緊急逮捕の場合、逮捕状は提示されません

緊急逮捕は、容疑者が放火、強姦、殺人、強盗など一定の重い犯罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急ぐ必要があり裁判官の逮捕状を求めることができない場合にのみ認められています。

緊急逮捕の場合、逮捕状なしに逮捕することが認められていますが、逮捕後に必ず逮捕状を請求しなければなりません。

そしてもし逮捕状が発行されなかったら、直ちに容疑者を釈放しなければならない、という決まりになっています。

逮捕状の提示があり、記載事項を確認した上で逮捕を拒否するとどうなる?

拒否したとしても逮捕されます

逮捕状がある以上、警察官は強制的に逮捕する権限を有するからです。

しかし逮捕状に対する反論や不満は、のちの刑事裁判の中で争うことができます。

逮捕状と指名手配との関係は?顔写真は公表される?

逮捕状が発行された後も逃走を続けている場合は、指名手配になることがあります。

指名手配になったからといって必ずしも顔写真が公表されるわけではありません。

ただ、事件が悪質で逃走が続く場合は、メディアや警察の掲示板で顔写真が公表されることがあります。

逮捕状はメールや郵便で送られてくる?

逮捕状がメールや郵便で送られてくることはありません

逮捕状は、逮捕を執行する警察官が所持しているものです。

逮捕状は、逮捕されるときに容疑者の目の前で提示されます。

逮捕状の発行は容疑者に対して通知される?

逮捕状が発行されたことが容疑者に通知されることはありません

容疑者に通知すれば、容疑者が逃げてしまう可能性があるからです。

容疑者が逮捕状が発行されたか否かを知る方法はなく、逮捕状が発行された場合、逮捕されるのはいつも突然です。

現行犯逮捕とは?

現行犯逮捕の意味

現行犯逮捕とは?現行犯逮捕の定義は?

刑事訴訟法212条1項には、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者を現行犯人とする。」と定められています。

同じ条文の2項には、一定の状況にあたる者が「罪を行い終わってから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす」として、4つの状況が挙げられています。

すなわち、

  • 犯人として追呼されているとき
  • 贓物(ぞうぶつ)又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき
  • 身体又は被服に犯罪の顕著な証拠があるとき
  • 誰何(すいか)されて逃走しようとするとき

の4つです。

そして刑事訴訟法213条には、「現行犯人は、何人(なんぴと)でも逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」と定められています。

ここからわかることは、現行犯逮捕には2つの種類があるということです。

一つ目の現行犯逮捕は、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終った」現行犯人を逮捕することです。

もう一つの現行犯逮捕は、法律上、現行犯逮捕に準ずるものとして準現行犯逮捕と呼ばれています。

準現行犯逮捕は、「犯行が終わってから間がない」と明らかに認められる場合で、以下4つの状況のどれかに当てはまる場合をいいます。

4つの状況とは、

  • 犯人として追いかけられているとき
  • 犯人が盗んだものや犯行に使った血のついたナイフなどを持っているとき
  • 返り血を浴びているなど犯人の身体や服に犯罪の痕跡が見られるとき
  • 警察官などに声をかけられて逃げようとしているとき

です。

現行犯逮捕や準現行犯逮捕は、後日逮捕(通常逮捕)と異なり、逮捕状なし一般人でも逮捕することが可能です。

なぜかというと、逮捕の対象が現行犯人である以上、誤認逮捕の可能性が少ないと考えられているからです。

現行犯逮捕の要件とは?

現行犯逮捕の要件

現行犯逮捕には2種類あります。

一つ目の現行犯逮捕について、刑事訴訟法212条1項は、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者を現行犯人とする。」と定めています。

ここからわかるとおり、現行犯逮捕をするには、まず、逮捕される人が「現に罪を行い、又は現に罪を行い終った者」と認められる必要があります。

そして事件を現に確認した者によって、その現場で逮捕が行われる必要があります。

現行犯逮捕の場合、逮捕できるのは、基本的にその時その場限りなのです。

準現行犯逮捕の要件

もう一つの現行犯逮捕は、法律上、現行犯逮捕に準ずるものとして準現行犯逮捕と呼ばれています。

準現行犯逮捕について、刑事訴訟法212条2項は、「罪を行い終わってから間がないと明らかに認められるとき」で以下4つの状況のいずれかにあたる者は、現行犯人とみなすことを定めています。

4つの状況とは、

  • 犯人として追いかけられているとき
  • 犯人が盗んだものや犯行に使った血のついたナイフなどを持っているとき
  • 返り血を浴びているなど犯人の身体や服に犯罪の痕跡が見られるとき
  • 警察官などに声をかけられて逃げようとしているとき

です。

つまり、準現行犯逮捕の要件は、上記の4条件のどれかにあてはまり、犯行から間がないことです。

現行犯逮捕は一般人でも可能

刑事訴訟法213条は、「現行犯人は、何人(なんぴと)でも逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」と定めています。

つまり、現行犯逮捕や準現行犯逮捕をする人は、警察官などの捜査関係者に限られません。

目撃者や被害者側の関係者などの一般人でも、現行犯逮捕や準現行犯逮捕をすることができるのです。

現行犯逮捕は一般人でも可能?

現行犯逮捕は、一般人でも可能です。

むしろ、現行犯逮捕は、被害者本人事件の目撃者という一般人によって行なわれるケースが多いです。

容疑者を現行犯逮捕した一般人は、容疑者を捜査機関に引き渡す義務があります。

現行犯逮捕の流れ(逮捕の種類)

いろいろな事件の現行犯逮捕

覚醒剤の現行犯逮捕の具体的なケース・実例は?

覚醒剤事件の場合は、職務質問ののち、覚醒剤を所持していることが発覚して現行犯逮捕されるケースが多いです。

所持品検査で覚醒剤の所持が発覚するケースも多いです。

また、職務質問ののち、尿検査が行なわれて、簡易検査の結果、覚醒剤の使用が疑われて現行犯逮捕されるケースもあります。

尿検査を拒否しても、強制採尿令状が出れば、強制的に採尿・尿検査が行われます。その結果、覚醒剤の使用の反応が出れば、やはりその場で現行犯逮捕されることになります。

交通事故の現行犯逮捕の具体的なケース・実例は?

軽微な交通事故では、基本的に現行犯逮捕まではされません。

しかし、死亡事故暴走事故などの場合は、交通事故の現場でそのまま現行犯逮捕されるケースがあります。

現行犯逮捕された場合は、その後は警察署に連行されることになります。

盗撮の現行犯逮捕の具体的なケース・実例は?

盗撮をしている現場で、被害者本人目撃者によって現行犯逮捕されるケースが多いです。

話し合いのつもりで駅長室警備室に向かったが、その段階で「現行犯逮捕された」ものとして取り扱われることもあります。

現行犯逮捕されたあとは、駆けつけた警察官に引き渡され、警察署に連行されることになります。

その際はパトカーに乗せられるなどするので、心理的負担が大きいです。

スリの現行犯逮捕の具体的なケース・実例は?

スリの現場で、被害者本人目撃者によって現行犯逮捕されるケースが多いです。

万引きの現行犯逮捕の具体的なケース・実例は?

万引きの現場で、万引きを目撃した店員他のお客によって現行犯逮捕されるケースがあります。

店長室警備室に連れて行かれた時点をもって、現行犯逮捕と判断されることもあります。

現行犯逮捕されたあとは、駆けつけた警察官に引き渡されることになります。

※もっとも、実際は話し合いでまとまり、警察は呼ばれずにそのまま釈放されるケースも多いです。

無免許運転の現行犯逮捕の具体的なケース・実例は?

単なる免許証の不携帯だけの場合は、現行犯逮捕されることは少ないです。

これに対して、無免許運転の同種の前科があるような場合は、無免許運転が発覚したその場で現行犯逮捕されることがあります。

無免許運転で現行犯逮捕されたケースでは、①同種の前科があるか、もしくは、②その場で薬物所持や公務執行妨害などの別の犯罪が発覚したのでは?と考えるのが自然です。

器物損壊罪の現行犯逮捕の具体的なケース・実例は?

ただ物を壊しただけの器物損壊罪では、現行犯逮捕までいくことは珍しいです。

ただ、痴漢に類似するような悪質な器物損壊罪(衣服に精子をかけた等)や、行き過ぎた近所迷惑ストーカーの延長にある器物損壊罪では、現行犯逮捕されるケースもあります。

現行犯逮捕に関するQA

万引き事件で、一般人による現行犯逮捕以外の逮捕はありえる?

現行犯逮捕は一般人でも可能です。

しかし、後日逮捕(通常逮捕)は一般人では不可能です。

後日逮捕は、裁判官から逮捕状の発行を受けた警察官が行うことになります。

そのため、万引き事件で一般人から逮捕されるのは、現行犯逮捕の場合だけです。

現行犯逮捕以外の逮捕はない、といえます。

身分証を提示したり、身分証明をすれば、現行犯逮捕は免れる?

刑事訴訟法212条1項は、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者を現行犯人とする。」と定められています。

また、刑事訴訟法213条は、「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」と定めています。

つまり、ここから読み取れる限り、現行犯逮捕は、基本的にすべての犯罪について可能なのです。

そして原則として、身分証を提示したとしても、現行犯逮捕を免れることはできません

痴漢盗撮傷害などのケースでも、身分証や名刺を提示したからといって、現行犯逮捕を免れるわけではありません。

もっとも、軽犯罪法違反などのごく一部の軽微な犯罪の場合は、氏名などを明らかにすることにより現行犯逮捕を免れることが可能です。

《参照:刑事訴訟法217条》

30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪の現行犯については、犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合又は犯人が逃亡するおそれがある場合に限り、第213条から前条までの規定を適用する。

現行犯逮捕されるとその後はどうなる?

現行犯逮捕されたあとは、私人による逮捕の場合・警察官による逮捕の場合を問わず、警察署に連行され、警察官の取り調べを受けることになります。

現行犯逮捕された日の夜は、留置場で一泊するのが通常です。

その後は、逮捕の翌日翌々日に警察のバスで検察庁に連れて行かれ、検察官の取り調べを受けることになります。

軽微な事件であれば、検察庁から帰ってきた段階で釈放されることもありますが、そのまま検察官から勾留が請求され、裁判所で10日間の勾留が決定される可能性もあります。

釈放されたにせよ、勾留になったにせよ、その後は事件の終局的な処分が決まるまで、引き続き捜査が続けられることになります。

交通事故で現行犯逮捕される基準とは?

法律上決まった基準はありませんが、交通事故の状況を考慮して逮捕の必要性が検討されることになります。

被害重大な交通事故の場合

被害者が死亡している、重症の被害者が何人もいるなど、重大な交通事故の場合は現行犯逮捕される可能性が高いです。

重大な交通事故の場合は、その後に刑事裁判になる可能性が高く、逮捕の必要性が高いと判断される傾向にあるからです。

酩酊を伴う交通事故の場合

お酒や薬物で酩酊した危険運転の状態で交通事故を起こしたような場合は、被害がそれほど重くなくても現行犯逮捕される可能性が高いです。

本人の供述も安定しておらず、証拠収集の観点から逮捕の必要性が高いと判断される傾向にあるからです。

現行犯逮捕と「時間」「距離」「場所」の関係とは?

刑事訴訟法212条1項は、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者を現行犯人とする。」と定めています。

また刑事訴訟法213条は、「現行犯人は、何人(なんぴと)でも逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」と定めています。

212条からわかることは、現行犯逮捕は、時間的・場所的に事件と接着している必要がある、ということです。

213条にあるように、現行犯逮捕が逮捕状なしに認められているのは、逮捕と事件が時間的・場所的に接着していれば、誤認逮捕の可能性が極めて少ないと考えられているからです。

現行犯逮捕と時間の関係

現行犯逮捕は、原則的に、犯行中または犯行の直後に限り認められています。

具体的な判例としては、飲食店で暴行・器物毀棄をした容疑者Aが、飲食店の主人の通報で駆けつけた警察官により、犯行から30~40分後現行犯逮捕された、というものがあります。

現行犯逮捕と距離・場所の関係

現行犯逮捕は、原則的に、事件現場と距離的・場所的に密接している場合に限り認められています。

具体的な判例としては、スピード違反を目撃された容疑者Bが、速度測定終了の地点から約300メートル離れた場所で停車させられ現行犯逮捕された、というものがあります。

現行犯逮捕の後、釈放されるとどうなる?その後の流れは?

現行犯逮捕された場合でも、検察官裁判官の判断により、勾留の必要性がないとして釈放される場合があります。

この場合でも、捜査は引き続き、在宅事件として続けられます。

在宅事件の場合は、警察や検察からの呼び出しに応じて、捜査や取り調べに協力すれば大丈夫です。

仕事などでどうしても出頭が難しい場合は、スケジュール調整も可能なので、担当官にその旨を伝えてみましょう。

現行犯逮捕できる犯罪は決まっている?

刑事訴訟法213条は、「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」と定めています。

「現行犯人」については刑事訴訟法212条1項に規定があり、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者を現行犯人とする。」と書かれています。

このように、現行犯逮捕できるのは一定の犯罪に限られていません

つまり、基本的にすべての犯罪に対して、現行犯逮捕が可能なのです。

もっとも、例外的に、刑事訴訟法217条に該当する軽微な犯罪の場合は、現行犯逮捕の要件が制限されます。

軽微な犯罪の場合、犯人の住居もしくは氏名が明らかでない場合、または犯人が逃亡するおそれがある場合に限って、現行犯逮捕が可能になります。

《参照:刑事訴訟法217条》

30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪の現行犯については、犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合又は犯人が逃亡するおそれがある場合に限り、第213条から前条までの規定を適用する。

現行犯逮捕する瞬間に、逮捕する人が身分を明かすことは法律上求められている?

現行犯逮捕する際に、逮捕をする側の人間が身分を明かすことは、法律上求められていません

そのため、身分証などを提示することなく現行犯逮捕することも可能です。

後日逮捕とは?

後日逮捕の意味

後日逮捕とは?後日逮捕の定義は?

刑事訴訟法199条1項には、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。」との記載があります。

これは、一般的に言われる「後日逮捕」に関する規定です。法律的には「通常逮捕」といいます。

後日逮捕(通常逮捕)とは、警察や検察など捜査関係者により、逮捕状にもとづいて行われる逮捕のことです。

一般人でも逮捕できて、逮捕状も必要ない現行犯逮捕とは異なります。

現行犯逮捕は事件の日時・場所で逮捕状なしに逮捕されるものであるのに対し、後日逮捕は事件から時間的にも場所的にも離れたところで、逮捕状にもとづいて逮捕される場合をいいます。

たとえばテレビドラマで、刑事さんが逮捕状を持ってきて逮捕するケースは、まさに後日逮捕です。

後日逮捕の流れ

後日逮捕は事件後どのくらいの期間で行われる?

後日逮捕は逮捕状にもとづく逮捕なので、逮捕状を入手するまでの期間が必要になります。

逮捕状の入手は、捜査機関が裁判官に対して請求し、裁判官がこれを発行することで行われます。

裁判官への逮捕状の請求は、犯人や事件性を特定するだけの一定の証拠にもとづく必要があります。

証拠を入手するために必要な期間は、事件によってさまざまです。

事件から1週間程度で逮捕状が発行されるケースもあれば、事件から数年を経て逮捕状が発行されるケースもあります。

後日逮捕の決定打は防犯カメラのことが多い?

後日逮捕は逮捕状にもとづく逮捕です。

防犯カメラが決定的な証拠となって、逮捕状が発行されるケースも多いです。

特に、近年の防犯カメラは性能がよいので、刑事手続においては重要な証拠として重宝される傾向にあります。

よくある後日逮捕の例

万引きの後日逮捕の具体的なケースは?防犯カメラに映った車のナンバーが証拠?

万引きは、現行犯逮捕のケースが基本です。

現行犯逮捕されなかった場合は、防犯カメラなどにより証拠が見つかっても、在宅事件として警察から呼び出されることが多いです。

しかし、店舗荒らしに類似するような悪質な万引きや、同じ店で何度も万引きしているような常習犯のケースでは、後日逮捕される場合も考えられます。

※悪質なケースでは、防犯カメラに映った車のナンバーが逮捕の決め手になることも十分にあり得ます。

盗撮の後日逮捕の具体的なケースは?防犯カメラから捜査が始まる?

盗撮は、現行犯逮捕のケースが基本です。後日逮捕するだけの証拠が集まらないケースが多いからです。

また、条例違反の盗撮の場合は、その後は罰金刑になることが多く、証拠が固まっても在宅捜査として警察から呼び出しがかかることが多いです。

もっとも、不法侵入住居侵入が伴う盗撮の場合は、防犯カメラなどで証拠が固まり次第、後日逮捕されることもあります。

更衣室トイレに侵入しての盗撮は、公共の場所での盗撮と比べて、より悪質と評価されるためです。

※盗撮の場合は、痴漢の場合と比べて計画性常習性が高いケースが多く、悪質性が高い場合は後日逮捕の可能性が高まります。

不正乗車の後日逮捕の具体的なケースは?

単なる電車の不正乗車で後日逮捕されることは珍しいです。

同種の前科常習性がある場合は後日逮捕も考えられますが、基本的には在宅事件として捜査されるケースが多いです。

値札の貼り替え事件の後日逮捕の具体的なケースは?

値札の貼り替え事件は、詐欺罪を構成するため、悪質な場合は後日逮捕されることも考えられます。

ただ、軽微な値札の貼り替えであれば、後日逮捕ではなく在宅事件として捜査されると思われます。

器物損壊の後日逮捕の具体的なケースは?

器物損壊事件の場合は、逮捕されることなく、在宅捜査で取り調べが行われるケースが多いです。

もっとも、昔からの近隣トラブルストーカーが器物損壊事件に発展した場合は、逮捕の必要性があるとして、後日逮捕されるケースもあります。

また、器物損壊の被害額が大きく、刑事裁判が相当と考えられるような器物損壊事件でも、後日逮捕される可能性があります。

※器物損壊事件の場合は、被害者や目撃者の供述が後日逮捕の決め手になります。

信号無視の後日逮捕の具体的なケースは?

信号無視だけで後日逮捕されたケースは聞いたことがありません。

もっとも、信号無視の危険運転で重大事故を起こしたような場合は、後日逮捕されるケースもあると思います。

置き引きの後日逮捕の具体的なケースは?防犯カメラという証拠は重要?

防犯カメラなどで置き引きの犯人が特定された場合は、捜査の必要性から、後日逮捕されるケースがあります。

特に、置き引きした被害品が高額な場合は、後日逮捕される可能性が高まります。

また、常習性余罪が認められるケースでも、後日逮捕の可能性が高まります。

※店舗内や駅周辺の置き引きでは、現場に設置された防犯カメラの映像が重要な証拠になることがよくあります。

建造物侵入の後日逮捕の具体的なケースは?

軽微な建造物侵入であれば後日逮捕されることはありませんが、余罪が伴うような悪質な建造物侵入のケースでは、後日逮捕される可能性があります。

特に、強制わいせつ強姦など性犯罪の目的が推認される住居侵入のケースでは、犯人が特定され次第、後日逮捕されることになります。

また、侵入窃盗下着泥棒などのケースでも、悪質な住居侵入として後日逮捕される可能性が高いです。

※建造物侵入のケースでは、マンションやビルに設置された防犯カメラの映像住人の供述が逮捕の決め手になることが多いです。

酒気帯び運転の後日逮捕の具体的なケースは?

酒気帯び運転の場合は、逮捕されるとしても現行犯逮捕が基本です。

後日逮捕しても、酒気帯び運転の証拠を確保することは難しいからです。

もっとも、酒気帯び運転の結果、交通事故を起こして逃走した当て逃げひき逃げのケースでは、捜査の必要性から、後日逮捕される可能性が高いです。

特に、ひき逃げの酒気帯び運転の場合は、その後に刑事裁判になる可能性が極めて高いため、捜査の必要性から、犯人が固まり次第、後日逮捕されることになるでしょう。

※酒気を帯びてのひき逃げ事故は、証拠が固まればまず確実に刑事裁判になるので、その点を踏まえて対策を立てる必要があります。

スピード違反の後日逮捕の具体的なケースは?

単なるスピード違反だけであれば、後日逮捕されることはないでしょう。

任意在宅捜査として、警察から呼び出されることになると思われます。

もっとも、警察からの呼び出しを何度も無視したりすれば、後日逮捕されるリスクがあるため、呼び出しには誠実に対応するようにしましょう。

※当初は任意の在宅事件であっても、警察からの呼び出しを無視すれば後日逮捕に切り替わることがあります。

無銭飲食の後日逮捕の具体的なケースは?

無銭飲食した場合は、詐欺罪が成立します。

被害額が小さい無銭飲食であれば、後日逮捕までになるケースは珍しいですが、常習性同種の前科が認められる場合は、捜査の必要性から後日逮捕される可能性があります。

※特に執行猶予中刑務所から出所してすぐの無銭飲食の場合は、後日逮捕される可能性が高いです。刑事裁判で実刑がほぼ確実だからです。

後日逮捕に関するQA

万引きの場合は後日逮捕の可能性が高い?後日逮捕になる確率とは?

万引きは、後日逮捕にまでなる可能性はそれほど高くないのが実情です。

特に初犯の万引きであれば、逮捕まではせず、在宅捜査として警察から呼び出しがかかるのが一般的です。

防犯カメラに証拠が残っている場合でも、事件の性質上、わざわざ逮捕までする必要はないと考えられるケースが多いからです。

もっとも、同じ店で何度も万引きしているなど、常習性が認められる場合は、後日逮捕される可能性もあります。

万引きが後日逮捕になるまでの期間とは?何日後に逮捕される?

後日逮捕までの期間は、特に法律上の定めはありませんが、1〜2か月程度で後日逮捕されるケースが多いように思います。

被害が発覚してから、逮捕状を請求するだけの証拠が固まるまでに、それくらいの期間を要することが多いからです。

万引きの後日逮捕は指紋が証拠になることもある?

指紋は万引きの一つの証拠にはなりますが、指紋だけで後日逮捕されることはないと思います。

万引きの対象となる商品は、誰でも触ることが可能であり、指紋だけで後日逮捕すれば、誤認逮捕のリスクがあるからです。

指紋や防犯カメラなどの証拠が相まって後日逮捕されることは考えられます。

万引きは初犯でも後日逮捕になる?逮捕までに日数はかかる?

万引きの初犯でも、店舗荒らしに類似するような悪質な万引きの場合は、後日逮捕される可能性があります。

逮捕までの日数については、特に法律の決まりはありませんが、捜査にかかる期間などを考えれば、1〜2か月後くらいになるケースが多いように思います。

盗撮が後日逮捕になる確率は?

盗撮が後日逮捕になる確率は、特にデータがないのでお答えが難しいです。

ただ、実際に行われている盗撮の全体数からすれば、盗撮で後日逮捕されるのは珍しいケースと考えられます。

盗撮が監視カメラで発覚すると後日逮捕される?被害届との関係は?

後日逮捕されるケースは、基本的に、被害届が受理されていることが前提となります。

被害者が盗撮の被害にあったことを自覚し、被害届を提出していなければ、その後に捜査を進めたとしても事件化することが難しいからです。

監視カメラの映像が逮捕の決め手になることは、一般論としては考えられますが、盗撮事件の場合はそれほど多くありません。

盗撮事件の場合は、条例違反などの比較的軽微なケースが多く、監視カメラの解析までは行われないことも多いからです。

※なお、住居侵入建造物侵入を伴う悪質な盗撮事件の場合は、監視カメラが解析される可能性も高まります。

盗撮の捜査で後日逮捕されることがある?盗撮をして逃げた場合は?

盗撮をして逃げた場合は、理論的には後日逮捕される可能性があります。

もっとも、実際問題としては、現行犯逮捕に失敗した以上、証拠の収集犯人の特定が難しいため、後日逮捕されることは珍しいです。

警察としても、条例違反の盗撮の場合は、そこまで深追いして捜査することはあまりありません。

盗撮で後日逮捕されると報道される?

逮捕送検のタイミングで報道される可能性があります。

特に、公務員大企業の社員教師医師といった社会的な影響力の大きい人の事件の場合は、報道される可能性が高いです。

後日逮捕に時効はある?

後日逮捕自体に時効はありませんが、検察官が事件を起訴する権限に時効があります(これを公訴時効といいます)。

公訴時効が成立したあとは、後日逮捕されることはありません。

逮捕から起訴までの流れとは?

逮捕から裁判までの流れとは?

警察が逮捕した後の流れは?逮捕する側とされる側の構図とは?

警察は、容疑者を逮捕したあと、その身柄を警察署に連行します。

まずは警察署の取り調べ室で簡単な取り調べをしたのち、留置場に収監する手続きがとられます。

逮捕する側とされる側の構図は、捜査する側捜査される側、または国家権力側一般市民側という構図でとらえることができます。

逮捕する側には強大な権力が認められています。これに対抗するために、逮捕される側には黙秘権署名押印拒否権といった権利が認められています。

逮捕から送検・起訴・裁判にいたるまでの流れは?

逮捕から送検・起訴・裁判にいたるまでの流れは、以下のとおりです。

①逮捕から送検の流れ

容疑者が逮捕されたあとは、その日の夜は留置場で一泊し、翌日か翌々日に送検されることになります。

送検とは、逮捕された人から見れば、警察のバスに乗って検察庁に連れて行かれることをいいます。

送検のあとに釈放されることもあれば、そのまま勾留が続くこともあります。

※釈放・勾留の有無に関わらず、捜査はそのまま続行するのが通常です。

②送検から起訴の流れ

逮捕案件が送検されたあとは、検察官は勾留の必要性を判断します。

勾留が必要と判断された場合は、検察官が勾留を請求し、裁判官が勾留を決定します。

勾留が決定された場合は、身柄事件として捜査が続行し、勾留が決定されなかった場合は、在宅事件として捜査が続行されます。

捜査が終了した時点で、検察官は事件を起訴するか・しないかを決定します。

③起訴から裁判の流れ

事件が起訴されたあとは、特に争いのない場合は、約1か月後に刑事裁判の第一回公判が行われます。

容疑を認めている場合は、第一回公判の約10日後第二回公判有罪判決がくだされ、刑事裁判が終了することも多いです。

刑事裁判の流れ

逮捕から起訴されるまでの期間はどのくらい?

逮捕から起訴されるまでの期間は、事件によってさまざまです。

①逮捕から2〜3日で起訴されるパターン

逮捕から新件送致された段階で、事実関係に争いがなく、十分な証拠がそろっている場合は、逮捕から2〜3日略式起訴されることがあります。

公然わいせつ罪など、事実関係が明白罰金が相当なケースでは、このような流れを経ることがあります。

②逮捕から12日前後で起訴されるパターン

逮捕から勾留が決定され、最初の10日間の勾留で十分な証拠がそろった場合は、逮捕から12日前後で起訴されることがあります。

痴漢盗撮などのケースでは、このような流れを経ることがあります。

示談による不起訴を希望する場合は、最初の10日間の勾留の間に示談を成立させる必要があるため、スピーディーな弁護活動が求められます。

③逮捕から22日前後で起訴されるパターン

逮捕から10日間の勾留が決定され、さらに勾留が10日間延長された場合、逮捕から22日前後で起訴されることがあります。

逮捕勾留が決定された事件では、これが一番オーソドックスな流れです。

④なかなか起訴されないパターン

逮捕から釈放されたり、勾留の満期に処分保留で釈放された場合は、事件は在宅事件に切り替わります。

このようなケースにおいては、原則的に、捜査に時間の制限はないため、数か月ほどゆっくり捜査が進んだ上で、起訴されることがあります。

※なお、公訴時効が成立した場合は、事件が起訴されることはありません。

逮捕後、起訴・不起訴はいつ決まる?

逮捕後、事件は検察官に送致されます。

事件の送致を受けた検察官は、被疑事実に対する捜査を尽くした上で、事件を起訴する不起訴にするかを決定します。

逮捕後、勾留が決定された場合

勾留が決定された場合は、勾留の期間は最大20日間です。

検察官は、この最大20日間の間に捜査を尽くして、事件を起訴する不起訴にするかを決定します。

※なお、証拠が十分に集まらなかった場合は、一度処分保留で釈放したあと、補充捜査をして事件を起訴することもあります。

逮捕後、釈放された場合

勾留なく釈放された場合は、捜査の時間制限はありません

在宅事件として捜査を実行し、公訴時効が満了する前までに証拠が集まれば、検察官は事件を起訴することになります。

※なお、公訴時効が満了する前であっても、証拠の収集が難しいと判断した場合は、検察官は事件を不起訴にすることがあります。

知っておきたい事件別逮捕の流れ

万引き事件の逮捕の流れは?

万引き事件の逮捕の流れは、大きく、①現行犯逮捕の場合と②後日逮捕(通常逮捕)の場合とに分けられます。

万引き事件の現行犯逮捕の流れ

万引き事件の場合は、店員やお客といった目撃者によって現行犯逮捕されることが多いです。

現行犯逮捕されたあとは、店舗内の事務室で店長らから簡単な質問が行われ、その後に警察官に引き渡されることになります。

警察官に引き渡されたあとは、留置場に入れる必要があるかが検討され、留置の必要性がなければ釈放され、留置の必要性があると判断されれば留置場に収監されることになります。

万引き事件の後日逮捕の流れ

防犯カメラなどに証拠が残っていた場合は、万引き事件でも後日逮捕される可能性があります。

ただ、万引き事件は全犯罪の中では比較的軽微な犯罪といえるので、よほど悪質な万引きでない限り、後日逮捕されることは珍しいです。

店舗荒らしに類する万引きや、不法侵入を伴う万引きは、悪質な万引きと判断される傾向にあります。

大麻事件の逮捕の流れは?

大麻事件の逮捕の流れは、大きく、①現行犯逮捕の場合と②後日逮捕(通常逮捕)の場合とに分けられます。

大麻事件の現行犯逮捕の流れ

大麻事件の場合は、職務質問家宅捜索などによって、大麻を所持していたことが発覚し、現行犯逮捕されるケースがほとんどです。

大麻の場合、覚醒剤と異なり使用は罪にならないので、大麻の使用で現行犯逮捕されることはありません。

現行犯逮捕されたあとは、警察署の取り調べ室で簡単な取り調べを受け、そのまま留置場に収監されることになります。

大麻事件の場合は、比較的罪が重く、勾留の必要性が高いと判断されるからです。

大麻事件の後日逮捕の流れ

大麻の売買に関連して、取引の関係者らから供述証拠が集まれば、大麻の譲り渡し譲り受けの罪で後日逮捕されることがあります。

大麻の後日逮捕は、関係者の供述にもとづくことが多いです。

警察官が逮捕状を自宅まで持ってきて、後日逮捕されるのが一般的です。

詐欺罪の逮捕の流れは?

詐欺事件の逮捕の流れは、他の犯罪と異なり、後日逮捕(通常逮捕)が一般的です。

詐欺事件の場合は、証拠関係が複雑で、逮捕の準備をするのに時間を要するケースが多いからです。

逮捕に至るまでの流れとしては、被害者の取り調べ関係者の取り調べが何度も行われ、十分な証拠が集まってから逮捕されることになります。

誤認逮捕することになれば、捜査機関としてもマスコミなどから批判を受けるリスクがあるからです。

振り込め詐欺などの場合は、銀行の防犯カメラなどが有力な証拠になることもあります。

DV事件の逮捕の流れは?

DV事件の逮捕の流れは、大きく、①現行犯逮捕の場合と②後日逮捕(通常逮捕)の場合とに分けられます。

DV事件の現行犯逮捕の流れ

DV事件の被害者が、相手方・配偶者の暴行を110番通報し、現場にかけつけた警察官によって現行犯逮捕されるケースが多いです。

もっとも、警察は夫婦間のトラブルに介入するべきか否かを慎重に判断します。

そのため、警察官が駆けつけたケースでも、その場の話し合いで解決したとして、逮捕にまで至らないケースも多いです。

包丁などの凶器を使った・振り回した、というような場合は、現行犯逮捕の可能性が高まります。

DV事件の後日逮捕の流れ

凶器を使うなどした悪質なDV事件で、現行犯逮捕の必要性があったにもかかわらず、加害者側が逃走したような場合は、後日逮捕される可能性があります。

特に、反復継続性が認められるDV事件や、ストーカー行為に類似するDV事件の場合は、後日逮捕の必要性が高いと判断される傾向にあります。

盗撮事件の逮捕の流れは?

盗撮事件の逮捕の流れは、大きく、①現行犯逮捕の場合と②後日逮捕(通常逮捕)の場合とに分けられます。

盗撮事件の現行犯逮捕の流れ

電車やデパートでの盗撮事件の場合は、被害者や他のお客らの目撃者によって現行犯逮捕されるケースが多いです。

実際に写真や動画を撮っていなくても、スカートの中にカメラを差し入れた時点で盗撮の罪は成立します。

また、社会的に見て卑わいな方法で撮影していた場合は、下着などが写っていなくても盗撮の罪で現行犯逮捕される可能性があります。

現行犯逮捕されたあとは、警察署の取調室で簡単な取り調べを受け、留置場に収監されることになります。

盗撮事件の後日逮捕の流れ

盗撮事件は現行犯逮捕が基本ですが、トイレや更衣室などへの不法侵入を伴う場合は、悪質な盗撮事件として後日逮捕される可能性があります。

この場合は、防犯カメラの映像などが重要な証拠になります。

無免許運転事件の逮捕の流れは?

無免許事件の逮捕の流れは、現行犯逮捕が基本になります。

自動車検問などで無免許運転が発覚した場合は、同種の前科などが調べられ、悪質な無免許運転の場合は現行犯逮捕される可能性があります。

免許の期限切れ不携帯だけでは、余罪同種前科がない限り、基本的には現行犯逮捕まで至ることはありません。

酒気帯び運転の逮捕の流れは?

酒気帯び運転の逮捕の流れは、大きく、①現行犯逮捕の場合と②後日逮捕(通常逮捕)の場合とに分けられます。

酒気帯び運転の現行犯逮捕の流れ

自動車検問などで酒気帯び運転が発覚した場合は、現行犯逮捕される可能性があります。

現行犯逮捕されたあとは、警察署に連れて行かれ、取り調べ室で簡単な取り調べを受けることになります。

酒気帯び運転の場合は、証拠が明白で捜査の必要性がそれほど高くないため、留置場に入らず釈放されるケースが多いでしょう。

また、酒気帯びの程度が酷くない場合は、現行犯逮捕されず、任意捜査として取り扱われることも多いです。

酒気帯び運転の後日逮捕の流れ

自動車検問の現場から逃走した場合や、酒気帯び運転で事故を起こした様なケースだと、後日逮捕される可能性があります。

自動車のナンバープレートなどから本人が特定され、その上で裁判官から逮捕状が発行されて後日逮捕に至ることになります。

傷害事件の逮捕の流れは?

傷害事件の逮捕の流れは、大きく、①現行犯逮捕の場合と②後日逮捕(通常逮捕)の場合とに分けられます。

傷害事件の現行犯逮捕の流れ

傷害事件の場合、110番通報を受けて現場に駆けつけた警察官によって現行犯逮捕されるケースが多いです。

また、被害者の仲間目撃者店員駅員によって現行犯逮捕されるケースもあります。

現行犯逮捕されたあとは、警察署に連行され取り調べを受けることになります。

留置場での生活が続くかは傷害の程度にもよりますが、悪質な事件の場合や、容疑を否認している場合は、逮捕に続く勾留の可能性が高まります。

傷害事件の後日逮捕の流れ

刑事裁判が予定されるような悪質な傷害事件の場合は、裁判官から逮捕状が発行され、後日逮捕になる可能性が高いです。

例えば、傷害の結果が重大な場合や、傷害の行為が凶器を用いるなど凶悪な場合は、悪質な傷害事件として後日逮捕されやすくなる傾向にあります。

交通事故事件の逮捕の流れは?

交通事故の逮捕の流れは、大きく、①現行犯逮捕の場合と②後日逮捕(通常逮捕)の場合とに分けられます。

交通事故の現行犯逮捕の流れ

死亡事故や歩道に車を突っ込んだ暴走事故のような重大な交通事故の場合は、110番通報で駆けつけた警察官によって現行犯逮捕されることがあります。

重大な交通事故の場合は、その後に刑事裁判になる可能性が高く、捜査の観点から逮捕の必要性が高いと判断されることが多いからです。

もっとも、事実関係が複雑でない死亡事故の場合は、強制捜査による証拠収集の必要性がそれほど高くないとして、実況見分のあとに帰宅できるケースもあります。

交通事故の後日逮捕の流れ

事故現場から逃げた場合などは、交通事故であっても後日逮捕されることがあります。

交通事故を起こして逃げた場合は、ひき逃げの罪が成立し、刑事裁判と捜査の観点から逮捕の必要性が高いと判断されることが多いからです。

事故現場から逃げたとしても、車のナンバープレート目撃者の供述をもとに犯人が特定されれば、裁判官から逮捕状が発行され後日逮捕されることになります。

脱税事件の逮捕の流れは?

脱税事件の逮捕の流れは、後日逮捕(通常逮捕)が基本です。

脱税事件の場合は、証拠関係が複雑で、現行犯逮捕に馴染まないからです。

脱税事件で後日逮捕されるケースは、基本的に、税務署からの告発にもとづいて、警察や検察で捜査が進められ、十分な証拠がそろってから逮捕となることが多いです。

従業員関係者の供述が、逮捕のための重要な証拠になります。

横領事件の逮捕の流れは?

横領事件の逮捕の流れに関しても、後日逮捕(通常逮捕)が基本です。

脱税の場合と同様、横領事件の場合も証拠関係が複雑で、現行犯逮捕に馴染まないからです。

横領事件の逮捕では、被害者の供述はもちろんのこと、同僚や上司、部下といった関係者の供述も重要な証拠になります。

警察に被害届が受理されたのち、強制捜査の必要性があると判断された場合は、家宅捜索のみならず逮捕までされる可能性が高まります。

恐喝事件の逮捕の流れは?

恐喝事件の逮捕の流れは、後日逮捕(通常逮捕)が基本です。

恐喝の被害者が犯人を現行犯逮捕することが考え難く、また目撃者による現行犯逮捕も期待できないからです。

恐喝事件の後日逮捕の流れ

まずは、被害者から警察署に被害届が提出され、被害届が受理されてから捜査がスタートすることになります。

捜査の結果、犯人が特定され、十分な証拠が収集された場合は、逮捕の必要性を考慮し、後日逮捕の実施が検討されることになります。

後日逮捕は逮捕状にもとづく逮捕です。

逮捕状は、捜査機関が裁判官に請求して、裁判官により発行される流れになります。

薬物事件の逮捕の流れは?

薬物事件の逮捕の流れは、大きく、①現行犯逮捕の場合と②後日逮捕(通常逮捕)の場合とに分けられます。

薬物事件の現行犯逮捕の流れ

職務質問所持品検査の結果、薬物の所持が発覚して、そのまま現行犯逮捕になるケースが多いです。

また、尿の簡易検査の結果、薬物の使用が発覚して、現行犯逮捕されるケースもあります。

薬物事件の後日逮捕の流れ

薬物の入手経路などを捜査した結果、関係者の供述が証拠となり、薬物の譲り受け譲り渡しで後日逮捕されることがあります。

この場合、後日逮捕の流れとしては、警察官数名が自宅などにやって来て、逮捕が執行されることになります。

逮捕現場になった自宅では、そのまま家宅捜索などが行われるのが通常です。

脅迫罪の逮捕の流れは?

脅迫事件の逮捕の流れは、後日逮捕(通常逮捕)が基本です。

脅迫事件の後日逮捕の流れ

まずは、被害者から警察署に被害届が提出され、被害届が受理されてから捜査がスタートすることになります。

捜査の結果、犯人が特定され、十分な証拠が収集された場合は、逮捕の必要性を考慮し、後日逮捕の実施が検討されることになります。

後日逮捕は逮捕状にもとづく逮捕です。

逮捕状は、捜査機関が裁判官に請求して、発行される流れになります。

器物損壊事件の逮捕の流れは?

器物損壊事件の逮捕の流れは、大きく、①現行犯逮捕の場合と②後日逮捕(通常逮捕)の場合とに分けられます。

器物損壊事件の現行犯逮捕の流れ

単に他人の物を壊しただけで直ちに現行犯逮捕されることはありません。

しかし、物の破壊が一見して悪質な場合は、110番通報で現場に駆けつけた警察官によって現行犯逮捕される可能性があります。

また、普段からの近所トラブルやストーカー行為にもとづく常習的な器物損壊事件の場合も、現行犯逮捕の可能性が高まります。

器物損壊事件の後日逮捕の流れ

悪質な器物損壊事件、例えば、店の物を破壊・毀損してその様子をインターネットで公開する、などのケースでは、後日逮捕の可能性が高まります。

警察としても、社会的影響力を考えれば、この種の事件を放置するわけにはいかないからです。

この場合、インターネット上に残った各種履歴・痕跡が、逮捕のための重要な証拠になります。

公務執行妨害事件の逮捕の流れは?

公務執行妨害の場合は、妨害の現場で現行犯逮捕されることが多いです。

典型例は、職務質問の現場での現行犯逮捕です。

警察官から職務質問を受けている時に、警察官に暴行したり、パトカーを蹴飛ばして器物損壊したりした結果、現行犯逮捕されるケースです。

この種のケースでは、現行犯逮捕はされるものの、余罪前科がなければ、罰金相当の比較的軽微な案件として、その後に釈放されることもあります。

殺人事件の逮捕の流れは?

殺人事件は重大犯罪なので、犯人の証拠が固まれば、直ちに逮捕されることが多いです。

殺人の点について証拠が固まらない場合でも、犯人が特定されれば死体遺棄傷害致死の容疑で逮捕されることになります。

最初は傷害致死の容疑で逮捕されても、殺意の点について証拠が固まれば、のちに殺人罪の容疑に切り替わります

ストーカーの逮捕の流れは?

ストーカー自体は単なる迷惑行為との線引きが難しいトラブルです。

そのため、ストーカーは段階的に刑事事件化する運用となっています。

具体的には、最初は逮捕されることなく警察に呼び出され、ストーカー的な迷惑行為について注意を受けることになります。

また、迷惑の程度がひどいケースでは、警察から正式に警告を受けることになります。

この警察からの警告を無視してストーカー行為を続けた場合は、逮捕の可能性が高まります。

もっとも、警告を受けていない段階であっても、暴行脅迫業務妨害などの罪が別途成立する場合は、これらの罪で逮捕される可能性があります。

ストーカーで一度罰金懲役などの有罪判決を受けた後に、引き続きストーカー行為を行っている場合は、捜査の必要性から極めて高い確率で逮捕されることになります。

名誉棄損事件の逮捕の流れは?

インターネットなどで名誉毀損的な書き込みを行っても、それだけで逮捕されることは珍しいです。

軽微な名誉毀損であれば、日常的に行われていることが多く、逮捕までは必要ないと考えられることが多いからです。

もっとも、ストーカーが発展した名誉毀損や、業務妨害に類似する名誉毀損など、重大な被害が生じるおそれがあるケースでは、逮捕の可能性が高まります。

逮捕から裁判までの流れに関するQA

執行猶予中の逮捕でも保釈はとおる?

執行猶予中に逮捕されたケースでも、事件の内容次第では保釈がとおる場合があります。

保釈の決定は、罪証隠滅のおそれ逃亡のおそれを考慮して決められます。

執行猶予中の逮捕の場合でも、保釈が認められるケースがあるので、まずは担当の弁護士によく相談してみましょう。

一般の人でも逮捕できるって、ホント?

刑事訴訟法213条は、「現行犯人は、何人(なんぴと)でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」と定めています。

また、刑事訴訟法214条は、「検察官、検察事務官及び司法警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければならない。」と定めています。

ここから、現行犯逮捕は、一般の人でも可能ということが読み取れます。

現行犯逮捕とは、現に犯罪が行われた現場で犯人を逮捕することです。

この場合は、被害者目撃者という警察官以外の一般の人でも、犯人を逮捕することができるのです。

ただし、現行犯逮捕したあとは、犯人を必ず警察に引き渡さなければなりません。

逮捕後、釈放までの期間はどのくらい?逮捕から保釈までの流れやタイミングは?

逮捕されてから釈放までの期間は、釈放のタイミングによってさまざまです。

逮捕・釈放の流れ

①勾留請求なく釈放

逮捕から1〜2日程度で釈放されることになります。

②勾留決定なく釈放

逮捕から2〜3日で釈放されることになります。

③勾留決定が取り消されて釈放

勾留決定が出ても、その後に勾留が取り消されれば、その段階で釈放されることになります。

勾留決定に対する準抗告が認められて釈放される場合は、逮捕から数日後の釈放になるケースが多いです。

④略式罰金で釈放

勾留満期日に略式罰金になれば、その段階で釈放されることになります。

逮捕から12〜23日での釈放になるケースが多いです。

⑤保釈で釈放

勾留が決定され事件が起訴されても、保釈が許可されれば、保釈金を納付した段階で釈放されます。

起訴直後の保釈が認められる場合は、逮捕から約1か月後の釈放になります。

⑥執行猶予で釈放

事件が起訴されたあとに保釈が認められなかった場合でも、刑事裁判で執行猶予になればその段階で釈放されます。

判決の言い渡しを受けた法廷で釈放され、そのまま自宅に帰ることができます。

※荷物が拘置所にある場合は、拘置所まで一度戻ることも可能です。

⑦一度も釈放されないケース

勾留が決定された後に事件が起訴され、刑事裁判中に保釈も認められず、実刑判決を受けた場合は、逮捕から一度も釈放されないまま刑務所に収監されることになります。

逮捕後の流れで気になる、面会ができるタイミングとは?

逮捕された人と面会ができるタイミングは、①ご家族らによる一般面会と②弁護士による弁護士面会の場合とで異なります。

ご家族らの一般面会の場合

一般面会の場合、面会ができるタイミングは勾留が決まったあとに限られます。

逮捕の直後は面会ができず、逮捕から約3日間が経過したあとに面会ができるようになります。

もっとも、勾留が決まったあとでも接見禁止の場合は面会できないので、面会に向かう前に警察署に電話し、接見禁止の有無を確かめるのがよいでしょう。

弁護士による弁護士面会の場合

これに対して、弁護士面会の場合は、逮捕の直後から面会可能な点に特徴があります。

また、弁護士であれば接見禁止の場合でも面会できるので、接見禁止中の方に連絡を取りたい場合は、弁護士に面会の代行を依頼する必要があります。

告発後、逮捕までの流れは?その後の勾留から刑務所に入るまでの流れは?

捜査機関が告発を受理してから、実際に容疑者を逮捕するまでの流れは、事件の内容や性質によって異なります。

告発を受理したあとに容疑者を逮捕するためには、逮捕状にもとづく後日逮捕による必要があります。

そのため、逮捕状を請求するに足りる証拠を収集する期間が必要になってきます。

1か月で証拠が十分な証拠が集まることもあれば、1年以上捜査したのち十分な証拠が集まることもあります。

このあたりは事件によって異なるので、一般的な回答は難しいです。

逮捕・勾留から刑務所に入るまでの流れ

逮捕・勾留のあとに取り調べが行われ、事件が起訴されれば刑事裁判が開かれます。

この刑事裁判で執行猶予がつかない実刑判決を受ければ、刑務所に収監されることになります。

流れとしては、以下のような感じになります。

①捜査機関が告発を受理

②容疑者を逮捕

③勾留決定

④容疑者を起訴

⑤刑事裁判で実刑判決

⑥容疑者(被告人)を刑務所に収監

逮捕されたら弁護士に相談すべき?

逮捕されたら弁護士の出番です

逮捕後の弁護士接見、留置場での法律相談とはどんなもの?

逮捕されたあとに行う弁護士接見(弁護士面会)では、弁護士が、留置場の面会室で逮捕された本人と法律相談を行うことになります。

この法律相談では、いくつかの重要な点について説明を行うのが一般的です。

①黙秘権の意味を説明する

逮捕された方に黙秘権の意味を説明します。

黙秘権とは、取り調べや裁判において、一切の供述を拒んだとしても、不利益に取り扱われることはないという権利です。

普通は、逮捕の経験などない方がほとんどなので、まずはこの基本的な権利の内容を説明します。

黙秘権の意味を理解していれば、取り調べにおける警察官からの誘導誤導に対しても、しっかりと防御することが期待できます。

②刑事手続の流れを説明する

逮捕から勾留、そして起訴・不起訴に至るまでの手続きの流れを説明します。

逮捕された方が一番不安に思っていることは「このあと、自分はどうなってしまうんだろう」という点です。

刑事手続の流れを理解することで、無駄な不安から解放され、毅然とした態度で取り調べに挑むことができるようになります。

事件の内容が確定していれば、今後の刑罰の見込みなどについてもお伝えすることになります。

③逮捕された容疑の内容を聞き、適切なアドバイスをする

事件の内容は人によってさまざまです。

そのため、弁護士は逮捕された人の事件とひとつひとつ向き合い、事案の詳細をしっかりと把握した上で、適切なアドバイスをすることになります。

不合理に容疑を否認すれば、無駄に刑罰が重くなるリスクがあります。

もっとも、身に覚えのない容疑を一度認めてしまえば、取り返しがつかない事態になります。

刑事事件は初動が大切なため、最初の面会時にできるかぎりのアドバイスをすることになります。

逮捕後、弁護士を呼ぶタイミングは?

弁護士を呼ぶタイミングはできるだけ早い方がよいです。

弁護士を呼ぶのを待っても、良いことは一つもありません。

ご家族の方で弁護士の派遣を検討されている方は、できるだけ早く弁護士を選んで出張してもらうことが大切です。

弁護士はあとから交替が可能です。

まずは、フットワークの軽い弁護士を見つけて、面会を依頼し、事案の内容によってその後の方針を考える方法をお勧めしています。

身内が逮捕され弁護士から連絡があったら、何を確認しておくべき?

ご家族が逮捕されたあと、当番弁護士国選弁護士から連絡が入ることがあります。

その際には、以下の点を確認しておきましょう。

①担当弁護士の名前、事務所名、連絡先など

連絡を入れてくれた弁護士の名前や所属事務所、連絡先などを確認しておきましょう。

この点を聞きそびれると、あとから連絡を入れたくなった時に、スムーズにことが進みません。

最低でも弁護士の名前事務所名が把握できれば、あとはインターネットで調べることができます。

名前事務所名は忘れないようにしましょう。

②事件の罪名、内容、状況、逮捕日、接見禁止の有無など

何の罪でいつ逮捕されたのか、容疑は認めているのか認めていないのか、事件の状況について詳しく確認しましょう。

接見禁止でない場合は、ご家族の面会も可能です。

弁護士から事件の概要を聞いた上で、実際にご家族の方で面会され、詳細について確認できればベストです。

また、留置されている警察署の名称を忘れずに聞きましょう。

例えば、渋谷警察署に逮捕されても、留置されるのは原宿警察署になるようなケースもあるので、注意が必要です。

逮捕後、弁護士に依頼するときのポイントを整理!

家族が逮捕されたときの弁護士相談のポイントは?

今は、ご家族が逮捕された方を対象に無料相談を実施している弁護士事務所も多いです。

法律相談だけであれば無料なので、損することはありません

この場合、弁護士に事件を依頼しなくても大丈夫です。

インターネットなどで無料相談を実施している弁護士を見つけて、積極的に相談してみましょう。

弁護士相談で聞くべき事項

①事件の内容や状況

まずは事件の内容や状況をしっかりと把握し、疑問点があれば積極的に相談しましょう。

②本人は認めているか否か

本人が罪を認めているか否かは、今後の手続きの流れに関係してくるので、非常に重要です。

③今後の事件の流れ、刑罰の見込み

今後の事件の流れや刑罰の見込みが分かれば、取るべき手段が見えてきます。

示談による不起訴が見込める事案であれば、積極的に示談を申し入れていくことになるかもしれません。

その際には、ご家族の方で示談金を用意する必要があるので、この点についてもしっかりと相談しましょう。

交通事故で逮捕されたときの弁護士相談のポイントは?

交通事故で逮捕された際の弁護士相談では、①事件の内容、②本人の供述、③事件の流れに加えて、特に以下の点を確認・相談してみましょう。

少年事件で逮捕されたときの弁護士相談のポイントは?

少年事件で逮捕された際の弁護士相談では、①事件の内容、②本人の供述、③事件の流れに加えて、特に以下の点を確認・相談してみましょう。

①少年鑑別所に移動する時期

少年事件の場合は、最初は警察署で逮捕されても、その後に少年鑑別所に移動するケースがほとんどです。

ただ、その移動の時期は事件の内容や状況によって異なります。

警察署で20日間勾留されてかた移動するケースもあれば、逮捕のあとにそのまま移動になるケースもあります。

釈放の時期や学校復帰のタイミングを確定するためにも、この点について弁護士に確認・相談してみてください。

②少年審判が開かれる可能性

少年鑑別所に移動になったすべての事件で少年審判が開かれるわけではありません。

審判不開始になるケースもあるため、今後の見込みについて弁護士に確認・相談してみましょう。

③釈放後の受け入れ環境の整備

少年事件では、本人とご家族を取り巻く環境が、少年審判の有無や処分に多大な影響を与えます。

弁護士からアドバイスを受けて、釈放後の受け入れ体制を整えることで、少年審判が不開始になったり、処分が軽くなるケースも多いです。

本人の更生のためにも、この点は力を入れるべきところです。

傷害事件で逮捕されたときの弁護士相談のポイントは?

傷害事件で逮捕された際の弁護士相談では、①事件の内容、②本人の供述、③事件の流れに加えて、特に以下の点を確認・相談してみましょう。

①被害者と本人の言い分

傷害事件においては、被害者の言い分本人の言い分が食い違うことも少なくありません。

逮捕されたケースでも、実はのちのち正当防衛の成立が認められて無罪になる場合もあります。

被害者と本人の言い分を把握した上で、今後の弁護方針について、弁護士に確認・相談するようにしましょう。

②示談の可能性の有無

傷害事件は、示談が成立すれば、刑罰が軽くなる犯罪です。

示談が成立したことで、罰金が不起訴になるケースや、実刑が執行猶予になるケースも少なくありません。

本人が逮捕されている場合は、ご家族が示談金を用意する必要があるため、示談の可能性について早めに弁護士に相談し、方向性を固めた方がよいでしょう。

窃盗事件で逮捕されたときの弁護士相談のポイントは?

窃盗事件で逮捕された際の弁護士相談では、①事件の内容、②本人の供述、③事件の流れに加えて、特に以下の点を確認・相談してみましょう。

①前科の有無

窃盗事件については、ご家族の知らないところで本人に同種の前科があるケースも少なくありません。

まずは前科の有無について、弁護士にしっかり確認しましょう。

その上で、複数の前科があるなど、クレプトマニアの性向が疑われる場合は、釈放されたあとも専門クリニックに通うなどして、しっかりと再犯の防止を対策していく必要があります。

また、前科がある場合は、罰金で終わらず刑事裁判になる可能性も高いです。

今後の手続きの流れを把握するためにも、弁護士にいろいろと相談してみましょう。

②示談の可能性の大小

軽微な窃盗事件であれば、示談が成立すれば不起訴になるケースも多いです。

不起訴になれば、前科がつかないので、その後の社会復帰がスムーズです。

本人が逮捕されているケースでは、示談金はご家族が用意する必要があるので、示談の可能性について弁護士にしっかり相談しましょう。

大麻事件で逮捕されたときの弁護士相談のポイントは?

大麻事件で逮捕された際の弁護士相談では、①事件の内容、②本人の供述、③事件の流れに加えて、特に以下の点を確認・相談してみましょう。

①前科の有無

大麻事件は、数年以内に刑事裁判を受けたことがあるケースでは、前科を理由に実刑判決になる可能性が高いです。

ご家族が知らないところで有罪判決を受け、前科がついていることもあるので、この点については弁護士にしっかり確認しましょう。

②営利性の有無

大麻の所持などに営利性が認められれば、初犯でも実刑になる可能性が出てきます。

営利性が認められそうな事案については、この点の防御について、弁護士にしっかり方針を確認し、相談しましょう。

③再犯可能性についての対策

大麻事件で執行猶予がついても、再犯をしてしまえば、結局刑務所に収監されることになります。

そのため、大麻などの薬物事件においては、釈放されたあとも引き続き専門クリニックなどに通院し、更生を心がけることが大切です。

釈放されたあとのアフターフォローについても、弁護士に相談してみてください。

振り込め詐欺事件で逮捕されたときの弁護士相談のポイントは?

振り込め詐欺事件で逮捕された際の弁護士相談では、①事件の内容、②本人の供述、③事件の流れに加えて、特に以下の点を確認・相談してみましょう。

共犯者の有無や人数、各人の関係

振り込め詐欺事件は、共犯者間の関係によって、刑罰の重さが異なるので、この点についてしっかり確認するようにしましょう。

本人の言い分共犯者の言い分が食い違うことも少なくありません。

弁護士に相談の上、しっかりとした弁護を依頼することが、逮捕された本人の利益につながることも多いです。

被害金額の見込み

振り込め詐欺事件は示談が可能な犯罪です。

そのため、被害金額の総額を事前に確認し、示談金の準備が可能かを検討する必要があります。

示談交渉を弁護士に依頼するためにも、弁護士と相談の上、まずは被害金額の全体像を把握するように努めましょう。

接見禁止の有無

振り込め詐欺事件の場合は、接見禁止の可能性が高いです。

接見禁止の際は、ご家族であっても面会できないのが原則です。

もっとも、弁護士の申立てにより、接見禁止が解除されることがあります。

特に、ご家族限定での接見禁止解除は、一般の接見禁止解除の場合と比べて、認められる可能性が高いです。

本人と直接面会したいご家族は、この点についてしっかり相談してみましょう。

逮捕されたときの弁護士相談に関するQA

逮捕後、本人は弁護士を呼ぶことができる?

逮捕されたあと、本人は弁護士を呼ぶことができます

弁護士の知り合いがいる場合

知り合いの弁護士やすでに相談済み・依頼済みの弁護士の名前を警察官に伝えて、弁護士を呼んでもらいましょう。

逮捕中は携帯電話は使えないですが、警察官に依頼すれば、警察官を通じて弁護士を呼ぶことができます。

弁護士の知り合いがいない場合

各都道府県の弁護士会が運用する当番弁護士を呼ぶようにしましょう。

警察官に伝えれば、当番弁護士を呼んでもらうことができます。

当番弁護士の派遣は、初回に限り無料です。

※引き続き弁護活動を依頼する場合は、私選弁護人として契約を結び、弁護士費用を支払う必要があります。

逮捕後、接見はどんな弁護士に依頼すればいい?

通常は、①知り合いの弁護士か②インターネットで見つけた弁護士に依頼することになると思います。

いずれにしても、面会後の弁護活動のことを考えたら、逮捕案件に詳しい弁護士に接見を依頼するのが一番です。

また、いくら知識的には逮捕案件に詳しくても、動きが悪い弁護士や、腰が重い弁護士は、逮捕案件の解決に不向きです。

即日対応できるか否かを確認し、フットワークが軽い弁護士を選ぶことが大切です。

未成年が逮捕されたら弁護士を呼ぶべき?いつから呼ぶことができる?

まずは弁護士を呼ぶべきといえます。

最近は、各都道府県の弁護士会が整備する当番弁護士制度なども充実しています。

弁護士の呼び出しは、逮捕の直後から可能です。

捜査や取り調べを担当する警察官に「弁護士を呼んで欲しい。」と伝えるようにしましょう。

逮捕後の面会と差し入れについて

逮捕後の面会についてのルール

逮捕後はいつから面会できる?逮捕直後の面会は可能?

ご家族が面会できるのは、通常は勾留が決定された後、つまりおおよそ逮捕から72時間後ということになります。

例えば、水曜日に逮捕されたケースでは、金曜日に勾留が決定されることが多いです。

この場合、面会できるのは、翌週の月曜日になります。なぜなら、ご家族の場合は土日は面会できない運用になっているからです。

水曜日に逮捕されて月曜日まで面会できないとすると、いろいろとコミュニケーションの点で困ることが出てくるかもしれません。

勾留が決定される前にすぐに面会したい場合や、土日に面会したい場合は、その緊急度に応じて弁護士に面会の代行を依頼する必要があります。

逮捕後、友人や恋人も面会できる?その場合の流れや制約は?

基本的には、接見禁止がついていない限り、友人や恋人も面会できる運用になっています。

ご家族以外の友人恋人の面会については、ご家族らの一般面会と同様の流れになります。

ご家族らが面会できる接見禁止が付いていないケースでは、友人・恋人も本人と面会することが可能です。

一般面会の流れ

面会の流れ

警察署の総合窓口に行き、留置場の担当である留置係を案内してもらってください。

留置場(留置係)は、警察署の2階3階にあるケースが多いです。

留置係の窓口で受付書類に必要事項を記載したのち、逮捕されている本人と面会することができます。

面会時間の制約

①逮捕直後の面会はできない。

逮捕から勾留が決定されるまでの間の約72時間は、弁護士以外は面会することができません。

②土日祝日は面会できない。面会日は平日の日中だけ。

土日祝日や、平日の早朝夜間は、弁護士以外は面会することができません。

③15分〜20分を超える面会はできない。

所定の時間(通常15分〜20分)を超える場合は、弁護士以外は面会することができません。

逮捕直後土日祝日早朝夜間、または長時間の面会を希望する場合は、弁護士に面会の代行を依頼するのがよいでしょう。

弁護士であれば、逮捕されている本人との面会は無制限です。

逮捕後の面会で時間の制約はある?

ご家族ら弁護士以外の面会受付は、平日の午前の部午後の部に分けられています。

午前の部は朝9時すぎから11時ごろまで、午後の部は昼1時から4時ごろまでに受付を済ませる必要がある警察署が多いです。

※細かな取り扱いは警察署によって異なります。面会先の警察署に電話して確認することをお勧めします。

また、ご家族ら弁護士以外の面会時間は、15分程度と定められていることが多いです。

逮捕後の面会はどこで行うの?

逮捕後の面会は、警察署の留置場の面会室か、拘置所の面会室で行うことになります。

逮捕された直後警察署で留置されていますが、刑事裁判になった後拘置所に移送されることが多いです。

警察署の留置場で行う面会

警察署の留置場は、通常、警察署の2階3階にあることが多いです。

受付けで面会の申し込み用紙を記入し、案内された面会室で面会することになります。

面会室の中は、音声を通す用の小穴が空いたアクリル板で、面会者と逮捕されている人との間が分けられています。

会話することは可能ですが、アクリル板で隔たれている関係で、相手の身体に触れることはできません

拘置所で行う面会

拘置所の場合も、基本的には同様の流れになります。

面会の総合受付けで、面会の申し込みに必要な用紙を記入し、案内された面会室で面会を行うことになります。

アクリル板で隔たれている点も、留置場の場合と同様です。

逮捕後の差し入れについてのルール

逮捕後はいつから差し入れができるの?

ご家族が差し入れできるのは、通常は勾留が決定された後、つまりおおよそ逮捕から72時間後ということになります。面会の場合と同様です。

例えば、水曜日に逮捕されたケースでは、金曜日に勾留が決定されることが多いです。

この場合、差し入れできるのは、翌週の月曜日になります。なぜなら、ご家族の場合は土日は差し入れできない運用になっているからです。

※もっとも、日用品の差し入れの場合は柔軟に対応してもらえるケースもあります。差し入れをご希望される方は、警察署に電話して確認してみましょう。

勾留が決定される前にすぐに差し入れしたい場合は、弁護士に差し入れの代行を依頼するのも一つです。

弁護士であれば、勾留の決定前や土日、接見禁止中などのご家族の差し入れが禁止されているケースでも、柔軟に差し入れをすることができます。

逮捕後の差し入れに時間の制限はある?

ご家族からの差し入れには、いろいろな制限があります

時間の制限としては、差し入れできるのは、平日の日中に限られるという点です。

一般的には、差し入れできる時間帯は、午前の部午後の部に分けられ、朝9時すぎから夕方4時ごろまでに差し入れの手続きを終わらせる必要があります。

※もっとも、緊急の場合は多少時間が遅れても、融通をきかせてくれるかもしれません。緊急の場合は、警察署の留置係まで問い合わせてみてください。

逮捕後の差し入れは何でもできるの?

差し入れできる物には、いろいろな制限があります

接見禁止による制限

そもそも、接見禁止がついている場合は、ご家族からの差し入れは禁止されています。

この場合は、弁護士に依頼して、差し入れの代行をしてもらいましょう。

物品の性質による制限

留置場での管理・保管になじまない生き物食べ物医薬品化粧品などは、接見禁止がついていない場合でも差し入れできません。

また、証拠隠滅に関連しそうな手紙などについても、差し入れはできません。

さらに、通常は差し入れ可能な衣服についても、ひもがついている衣服については、自殺予防の観点から、差し入れできない運用になっています。

逮捕後、警察での差し入れと拘置所での差し入れはルールが違う?

警察署と拘置所とでは、差し入れのルールが若干異なります

警察署の留置場の場合は、どこで購入した物であっても、物品の性質上問題がなければ、差し入れを制限されることはありません。

これに対して、拘置所の場合は、差し入れ品を購入する売店が指定されているケースが多いです。

※例えば、東京拘置所の場合は、拘置所の前に差し入れ可能な物品を販売している売店があります。

基本的には、差し入れに関しては、警察署の留置場の方が運用が緩やかで、拘置所の方が運用が厳しいです。

逮捕後の面会と差し入れに関するQA

逮捕直後の差し入れで一番喜ばれるものは何?

基本的な日用品は警察署の留置場で購入することが可能なので、お金の差し入れが喜ばれることが多いです。

現金だと、その後につぶしが利いて、色々と便利だからです。

留置場では、お金があれば、自費で弁当などを購入することもできます。

衣服下着など日用品の購入も可能なので、一度目の面会で何を差し入れしたらよいか迷った場合は、ひとまず現金を差し入れるのがよいと思います。

※なお、気持ちの面のフォローとして、直筆の手紙などを差し入れるのも一つです。

逮捕直後の面会で一番気を付けなければいけないことは?

ご家族が行う面会は、一回15分程度と時間制限が厳しいです。

また、面会室には警察官が立ち会うので、自由な会話も制限されているのが実情です。

そのため、逮捕直後の面会では、あらかじめ聞きたいことや、伝えたいことを整理しておくことが大切です。

以下、参考程度にまとめてみます。

逮捕直後の面会で一番気を付けなければいけないこと

①本人の健康状態を確認する

逮捕のショックで体調を崩していないか、医療が必要な持病を抱えていないなど、健康面を確認してみてください。

②容疑を認めているのか、身に覚えがないのかを確認する

逮捕の理由となった事実について、身に覚えがあるのか・ないのか、罪を認めるのか否かを確認してみてください。

③弁護士をどうしたいのか確認する

知り合いの弁護士またはすでに相談中の弁護士がいるのかどうかを確認してみてください。いない場合は、家族で私選弁護士をつけたほうが良いのか、自分で国選弁護士をつける予定なのかについての確認も必要です。

④今後の面会の頻度について確認する

今後はどれくらいの頻度で面会に来て欲しいのか、その際に何か差し入れをした方がよいのかなどを確認してみてください。

これらの点を確認することを一番に気をつけて、面会に挑んでください。

※特に、①②③については、今後の弁護方針にも影響を与える重要な部分なので、弁護士との引き継ぎとの関係でも大切になってきます。

逮捕後の一般面会と弁護士面会の決定的な違いは何?

ご家族らが行う一般面会では、面会は平日の日中限り、一回の面会も15分程度等のいろいろな制限があります。

※弁護士面会の場合は、土日祝日や夜間の面会も可能で、一回の面会も無制限です。

ただ、一言で「決定的な違い」を言うとすれば、警察官の立会いの有無ではないでしょうか。

一般面会の場合は、面会室の容疑者側に警察官が立ち会う運用になっています。そのため、面会の内容はすべて記録される可能性があります。

これに対して、弁護士面会の場合は、警察官は立ち会わない運用で、個室で一対一の面会が実現されています。そのため、名実ともに自由な会話が保障されているといえます。

※なお、弁護士であっても、弁護士倫理の関係で、証拠隠滅などの通謀はできないので、その点は制約があります。

友人や彼氏が逮捕されて面会に行く場合、面会の流れと面会時間の制約は?

ご家族以外の友人恋人の面会については、ご家族らの一般面会の場合と同様の流れになります。

ご家族らが面会できる接見禁止が付いていないケースでは、友人や恋人も本人と面会することが可能です。

面会の流れ

警察署の総合窓口に行き、留置場の担当である留置係を案内してもらってください。

留置場(留置係)は、警察署の2階3階にあるケースが多いです。

留置係の窓口で受付書類に必要事項を記載したのち、逮捕されている本人と面会することができます。

面会時間の制約

①逮捕直後の面会はできない。

逮捕から勾留が決定されるまでの間の約72時間は、弁護士以外は面会することができません。

②土日祝日は面会できない。面会日は平日の日中だけ。

土日祝日や、平日の早朝夜間については、弁護士以外は面会することができません。

③15分〜20分を超える面会はできない。

所定の時間(通常は15分〜20分)を超える場合は、弁護士以外は面会することができません。

逮捕直後土日祝日早朝夜間、または長時間の面会を希望する場合は、弁護士に面会の代行を依頼するのがよいでしょう。

弁護士であれば、逮捕されている本人との面会は無制限です。

少年事件の逮捕について

少年事件でも逮捕はされる?

少年事件でも逮捕はされるの?

少年、すなわち未成年者の場合でも、悪質な刑事事件を起こせば、警察に逮捕されます

事件の現場で現行犯逮捕されることもありますし、逮捕状をもった警察官に後日逮捕されることもあります。

逮捕の必要性の判断自体は、成人の場合と比べて緩やかですが、一定の要件を満たせば未成年者の場合でも逮捕されることになります。

少年事件の逮捕後の流れについて、年齢によって流れは異なる?

少年事件の逮捕後の一般的な流れは、先ほど説明したとおりです。

年齢によって流れが異なるケースというのは、少年が現在19歳で20歳の誕生日が間近な場合が考えられます。

事件を起こしたのが18歳のときで、逮捕されたのは19歳のときだとします。

この状況において、未成年者の少年審判を受けるのか、成人の刑事裁判を受けるのかは、審判の時点を基準に決定されることになります。

そのため、事件時に18歳・逮捕時に19歳だったとしても、捜査や調査中に20歳になった場合は、少年審判ではなく刑事裁判を受けることになります。

少年事件の逮捕に関して、年齢によって流れが異なるケースの代表例です。

少年事件で逮捕されると実名報道されるの?

実名報道されないケースがほとんどです。

なぜなら、少年法61条によって実名報道が規制されているからです。

※少年法61条

家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。

実名報道は、「その者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事」に該当するため、少年法61条に抵触することになります。

もっとも、一部の重大事件においては、報道機関の判断で、実名報道がなされる場合があります。

実名報道される可能性が高いケース

①社会的影響力の大きな重大犯罪で、少年の保護よりも社会的な利益を保護すべき場合

②重大犯罪を犯した少年が逃走中で、さらに凶悪な事件が起こされる可能性が高い場合

③重大犯罪を犯した少年が逃走中で、指名手配などの捜査に協力する必要性が高い場合

少年事件で逮捕されると審判になる?

未成年が逮捕された場合でも、少年審判にならないケースがあります。

逮捕されたあと、未成年者は警察署での捜査や少年鑑別所での観護措置を受けることになります。

その過程で集まった資料を検討した結果、少年審判を開く必要性がないと判断された場合は、審判不開始という決定が出て、少年審判は行われないということになります。

審判不開始とは、少年保護事件において、家庭裁判所が少年に関する調査を行なった結果、審判に付することができないかまたは審判に付するのが相当でないと認めるときにくだす決定をいいます。

例えば、複数の未成年者で行われた傷害事件や窃盗事件において、共犯者関係を精査した結果、ある少年の事件への関与が極めて薄いような場合(罪をなすりつけられていたような場合)は、「審判に付するのが相当でない」と審判不開始の決定が出ることになります。

少年事件で逮捕されるとどうなる?

少年事件で逮捕されると、その後はどうなる?手続きは成人の場合と異なる?

逮捕直後の手続きは、基本的に成人の場合と同様です。

大きく異なるのは、逮捕(最大72時間の留置場生活)または勾留(10日〜20日間の留置場生活)のあとに、少年鑑別所に移動になるケースが多いという点です。

また、未成年者の場合は、通常は刑事裁判ではなく少年審判を受けることになるという点も異なります。

※殺人などの重大犯罪においては、未成年者でも刑事裁判を受けるケースがあります。

刑事裁判は公開の法廷で行われますが、少年審判は非公開です。

※少年審判においては、傍聴人による傍聴は認められておらず、少年のプライバシーが保護されています。

少年事件で逮捕された場合の「付添人」とは?

少年法10条1項は、「少年及び保護者は、家庭裁判所の許可を受けて、付添人を選任することができる。ただし、弁護士を付添人に選任するには、家庭裁判所の許可を要しない。」と定めています。

また、少年法10条2項は、「保護者は、家庭裁判所の許可を受けて、付添人となることができる。」と定めています。

付添人というのは、家庭裁判所で少年審判を受ける未成年者の権利を擁護し、少年審判の手続きや処遇の決定が適正に行われるように協力する人です。

付添人には、弁護士がなるのが通常ですが、弁護士以外の人がなる場合は、条文にも書いてあるように、家庭裁判所の許可が必要です。

なお、少年審判において少年の付添人として国が選任する弁護士を国選付添人といいます。

※もちろん、ご両親の方で、自分で選んだ弁護士を付添人として選任することも可能です。この場合、弁護士費用は自己負担になります。

少年事件で逮捕されたら家庭裁判所に連れて行かれるの?

少年事件で逮捕されたあとは、まずは検察官に送致されます。

その後は、勾留または勾留に代わる観護措置を経て、家庭裁判所に送致されます。

送致(そうち)とは

訴訟事件に関する書類や被疑者などを、捜査機関から他の官署へ送り届けることをいいます。

少年事件で逮捕されても不処分はありえる?

少年事件で逮捕され、少年鑑別所に入れられたあと、少年審判になったとしても、不処分で終わるケースがあります。

私たちの事務所で過去に取り扱ったケースでは、以下のような少年事件が不起訴で終了しました。

条例違反で不処分になったケース

路上において、通行中の女性(当時10代)に対し、追い抜きざまにその着衣の上から同女の胸を手で揉むなどした痴漢事件。

淫行条例違反で不処分になったケース

ホテルにおいて、被害者女性が18歳未満の者であることを知りながら、結婚その他正当な理由がないのに、単に自己の性的欲望を満たすために同人と性交した淫行条例違反事件。

恐喝事件で不処分になったケース

共犯者らと、通行人に因縁をつけて金員を喝取しようと企て、商業施設内において、被害者ら(いずれも当時10代)とすれ違いざまにぶつかったことに因縁をつけて脅迫し、被害者を畏怖させ現金等の交付を受けた恐喝事件。

強制わいせつ事件で不処分になったケース

被害者(当時6歳)が13歳未満であることを知りながら、公民館の男児便所において、同人に対しそのズボンを脱がし、わいせつな行為をした事件。

少年が犯罪を犯して逮捕されると被害者に知らされる?

逮捕の有無自体が書面などで被害者に知らされることはありません

もっとも、逮捕のあとに被害者の取り調べなどが行われ、捜査の過程で被害者が逮捕の事実を知ることは十分にあり得ます

少年事件で逮捕されると勾留はされるの?

未成年者の場合も、大人の場合と同様に、10日〜20日間の勾留が決定されるケースがあります。

強制捜査の必要性があると判断されるような、比較的重い事件の場合が多いです。

警察署の留置場での勾留生活が終わったあとは、少年鑑別所に移動になるのが一般的です。

少年事件の逮捕に関するQA

少年事件は逮捕後すぐに鑑別所に行くの?

逮捕された未成年者が少年鑑別所に行くタイミングは、事件によってさまざまです。

逮捕後すぐに鑑別所に行くケース

大人の場合は、72時間の逮捕のあとに、10日〜20日間の勾留をすべきか否かが審査されます。

これに対して、未成年者の場合は、逮捕後すぐに、留置場で勾留されることなく少年鑑別所に移るケースがあります。

このような流れになるのは、証拠が明白で捜査の必要性がそれほど高くない、比較的軽微な事件の場合が多いです。

逮捕後20日ほどして鑑別所に行くケース

未成年者の場合も、大人と同じく、10日〜20日間の勾留が決定されるケースがあります。

この場合は、逮捕から勾留の満期日までは警察署の留置場で生活し、その後に少年鑑別所に移ることになります。

このような流れになるのは、強制捜査の必要性が高い、比較的重い事件の場合が多いです。

少年事件で逮捕されると顔写真は公表されない?

未成年者の顔写真については、一般的には公開されない運用になっています。

もっとも、出版社やメディアによっては、社会的注目を集めた重要犯罪に限り、事件の性質や公表のタイミングを考慮した上で、顔写真を公開するケースもあるようです。

少年事件でも逮捕されると手錠をかけられるの?

少年事件でも逮捕の際は手錠をかけられます

逃走自傷行為を防ぐ必要があるからです。

万引きで逮捕された少年の処分はどうなる?

万引きは、被害品の金額や行為の方法にもよりますが、比較的軽微な犯罪と考えられているため、警察官の口頭注意だけで終わるケースも多いです。

もっとも、万引きの前歴が何度もあるような未成年者の場合は、少年鑑別所に入れられ、少年審判を受けることもあります。

ただ、万引きだけで少年院まで行くケースは珍しいといえるでしょう。

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まとめ

いかがでしたか?

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