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窃盗未遂と既遂はどう違う?未遂罪は懲役が軽くなるって本当?

  • 窃盗,未遂罪

窃盗未遂と既遂はどう違う?未遂罪は懲役が軽くなるって本当?

思いとどまったんだけど、窃盗未遂罪で刑罰が科される?

そんな疑問にお答えすべく、この記事では窃盗未遂罪の「全て」をご紹介します。

  • 未遂罪ってそもそも何?
  • 窃盗未遂罪の刑罰刑期量刑は刑法上どうなってる?
  • 窃盗未遂罪と現行犯逮捕時効

も丁寧に見ていきますよ。

法的な解説は、窃盗事件の解決経験豊富な弁護士、アトム法律事務所の弁護士にお願いしていきます。

よろしくお願いします。

窃盗は未遂でも刑罰が科される可能性があります。

思い直したのに、刑罰が科せられた。

そんなことにならないよう、窃盗未遂罪について詳しく解説していきます。

窃盗未遂罪とは|懲役が軽くなるって本当?

窃盗未遂罪とは、「窃盗行為に着手したが、達成できなかった」場合に成立する犯罪です。

簡単にいえば、「盗む行為を始めたけれど、盗めなかった」ということですね。

どんな犯罪でも未遂が処罰されるわけではありません。

法律で「この犯罪の未遂は処罰する」と定められた場合だけです。

窃盗は刑法243条で未遂の処罰が定められています。

窃盗行為に着手し、達成した場合を「既遂」。

達成できなかった場合を「未遂」といいます。

未遂について、刑法の条文(43条)ではこう規定されています。

犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

この「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった」ことが「未遂」となります。

そしてこの未遂罪は「減軽することができる。」とされています。

「有期懲役刑」を減軽する場合は、刑期の長期と短期がそれぞれ半分になります。

「罰金」を減軽する場合は、額の上限と下限がそれぞれ半分になるとされています。

「減軽」は、刑を減らす「減刑」と検索されることも多いですが、減刑は恩赦の一種で、未遂で刑が軽くなる、ということを説明するときは「減軽」が正確です。ほぼ同じ言葉でも微妙な違いがあるので、法律用語は難しいですね。

窃盗未遂は「有期懲役」と「罰金」の上限下限が半分に減軽される可能性がある。

なお、窃盗行為の後に見つかって未遂で終わったような場合を「障害未遂」、自分の意思で、例えば万引きを悔やんで未遂で終えたような場合を「中止未遂」といいます。

中止未遂の場合、先ほどの刑法43条のただし書きによって、必ず減軽又は免除される点で、減軽の可能性があるにとどまる障害未遂と違いがあります。

窃盗未遂罪の成立時期|未遂事例を3つを紹介

では、どの時期から「実行に着手」したといえるのでしょう。

犯罪になるか、ならないかの分かれ目ですから、気になるところですよね。

結論からいいますと、

盗みが完遂される現実的な危険性がある行為を開始したとき

から未遂罪が成立します。

裁判例で着手があったとされた場合をあげていきましょう。

▼窃盗未遂事例①
▼事案:夜中に他人の家に侵入し、金銭物色のためにタンスに近づいた。
(大判昭91019

夜中の他人宅で、タンスに近づけば、その後タンス内の財物を盗む危険性が発生したといえるでしょう。

逆に、昼に家人が見ている前でタンスに近づいても、現実的に財物を盗める可能性はありませんよね。

誰もいない状況で近付いたことに意味があるようです。

▼窃盗未遂事例②
▼事案:夜中に電気店に侵入後、現金を盗るために煙草売り場に向かって歩きかけた。
(最決昭4039

これも周りに人がいない夜中であることがポイントです。

店が開いている日中に、店の人の目の前で煙草売り場に近づいても、盗みが完遂される危険性は認められにくいでしょう。

▼窃盗未遂事例③
▼事案:盗みのために、土蔵の鍵を壊して侵入しようとした。
(名古屋高判昭251114

これは、土蔵には人がいないことが明らかで、侵入をすればほぼ確実に窃盗が完遂できると考えられたためです。

いかがでしたか?

以外と早く窃盗未遂が成立すると思われたのではないでしょうか。

「窃盗が完遂される現実的な危険性がある行為」をすれば、「未遂罪」が成立する!

もっとも、同じような行為でも、具体的な状況によって「現実的な危険」の有無は変動します。

事例によって判断は異なりますから、不安な場合はぜひ弁護士に相談してみましょう。

窃盗未遂罪と既遂の区別の基準|既遂事例を3つ紹介

一方、実行に着手した後、「既遂」になる時期も問題になります。

自分では未遂と思っていても、実は「窃盗既遂」!

そんな事態にならないよう、しっかりとチェックしましょう。

「既遂になる時期」を一言でいえば、

事実的な支配を獲得した時期、です。

これについても裁判例を見てみましょう。

▼窃盗既遂事例①
▼事案:万引きした靴下をいったん懐に収めた。
(大判大1249

事例①では一度ポケットに入れています。

通常ポケットの中は人から見られませんから、事実的に靴下を支配したといえるでしょう。

▼窃盗既遂事例②
▼スーパーで、かごに商品を入れた状態でレジを通らずに、レジの外側に持ち出した。(いまだ店舗内)
(東京高判平41028

かごに商品を入れた状態で、レジを通らずに袋詰め場所まで移動した事例です。

まだ店舗から出てはいなくとも、窃盗既遂とされました。

レジの先に行ってしまえば、そのまま袋に詰めて立ち去れる可能性が高いため、事実的に支配したといえるのでしょう。

もっとも

この事例のスーパーは、レジ通過後と通過前で同じカゴを用いていました。

現在ではレジで別の色のカゴに入れられることが多いですよね。

その場合は、袋詰め場所で窃盗が発覚する可能性が高いですから、既遂とはならない可能性もあります。

▼窃盗既遂事例③
▼自動車窃盗の目的で、目的自動車を道路まで移動させ、エンジンを始動させていた段階で捕まる。
(広島高判昭45528

この事案でも、いまだ立ち去っていない時期に窃盗既遂が認められています。

エンジンがかかっているおり、「いつでも立ち去れる状態」が「事実上の支配」とみられたのでしょう。

重要

財物を「事実上支配した」といえれば、窃盗は既遂になってしまう!

ここで注意したいのが、「盗んだ物の返還」です。

盗むつもりで、他人の財物を勝手に「事実上支配」すれば、その時点で窃盗既遂です。

その後返還しても、一度犯した窃盗がなかったことになるわけではありません。

一度ポケットに入れて万引きすれば、思い直して棚に戻しても、窃盗罪は成立しているということです。

注意

一度窃盗既遂になると、返還しても未遂にはならない!

窃盗未遂罪の刑罰・量刑・刑期を刑法で確認

では、このように成立する「窃盗未遂罪」。

どのような刑罰になっているのでしょうか。

窃盗で有罪になると、

10年以下の懲役

又は

50万円以下の罰金

に処せられます。

窃盗未遂罪の場合は、ここから減軽される可能性があります。

なお、

懲役

減軽される場合は、懲役の刑期は上限下限ともに半分となります。

減軽されると15日以上、5年以下の中で刑期が決められることになります。

罰金

罰金もその額の上限と下限が半分になります。

そのため、減軽されれば5000円以上、25万円以下が罰金という刑罰の上限・下限となります。

量刑

この上限下限の範囲内で、「具体的にどの刑罰を科すのかを裁判所が決めること」を「量刑」といいます。

一度窃盗に着手したものを返還しても窃盗未遂罪ですが、返還したこと事実を考慮して量刑が軽くなる可能性はあります。

このように、量刑は様々な事情から判断されます。

窃盗未遂罪の刑
減軽されない場合減軽される場合
懲役1月以上、10年以下15日以上、5年以下
罰金1万円以上、50万円以下5000円以上、25万円以下
※この範囲内で量刑が判断される。

なお、窃盗罪の刑罰は『窃盗罪の初犯で実刑判決の場合は何年?執行猶予は?刑罰を解説』でも詳しく説明しているので、是非ご覧ください。

窃盗未遂罪で現行犯逮捕されることはある?

このような窃盗未遂罪ですが、実際に逮捕されることはあるのでしょうか。

未遂ならば、結局は逮捕なんてされないのでは?

と思われる方もいるはずです。

窃盗未遂罪で逮捕される可能性はあります。

そもそも、窃盗に着手をしたところで現行犯逮捕され、窃盗未遂罪とされるケースもあるのです。

現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者は「現行犯人」として、令状なくして逮捕される可能性があります。

スリをしようと財布を抜き出した時点で現行犯逮捕された場合など、窃盗未遂罪で現行犯逮捕されるケースがあります。

因みに現行犯逮捕は捜査機関以外の一般人もすることができます。

万引きGメンや、目撃者から捕まえられた場合も、法的には現行犯逮捕されたことになります。

窃盗の逮捕については『窃盗罪のすべて|初犯で逮捕・示談できていないと懲役?時効は何年?』で詳しく解説しているので是非ご覧ください。

なお、逮捕されたその後、起訴されるかは別問題です。

起訴されなければ、裁判所で判断されることもありませんから、刑罰が科せられることもありません。

窃盗罪の起訴・不起訴率については『窃盗の起訴・不起訴率|初犯で起訴猶予の可能性は?在宅事件で変わる?』で詳しく解説しています。

窃盗未遂罪の時効が成立する時期は?

また、事件後一定の期間が経った場合も起訴されないことになります。

これを時効といいます。

この時効、正確には公訴時効といいます。

公訴時効は「犯罪後一定期間が経過することにより刑事訴追が許されなくなる制度」です。

窃盗が未遂で終わったときから、一定期間経過すれば、検察官から起訴されることはなくなります。

窃盗未遂罪の場合は、窃盗に着手したときから7年です。

10年前に窃盗未遂で検挙され、警察で取り調べを受けたが、その後どうなったんだろう。

そんな不安がある場合でも、7年を過ぎたのであれば、起訴・有罪になることはありません。

なお、窃盗の既遂も同様に7年の時効にかかります。

窃盗の時効については『窃盗罪の時効は何年?公訴時効の起算点、刑事・民事の違いを解説』で詳しく解説しています。

窃盗未遂罪が事後強盗になっていることもある?

今まで見たきたように、窃盗に着手しながら達成できなかった場合が「窃盗未遂」です。

ですが、その後の対応で「事後強盗未遂罪」として重い刑罰を科せられる可能性があるのをご存知ですか。

窃盗に着手したが、まだ達成していない者が、

  1. 逮捕を免れる目的
  2. 罪跡を隠滅する目的

反抗を抑圧するに足りる暴行・脅迫をすると

事後強盗未遂罪

が成立します。

事後強盗罪の刑罰は・・・

5年以上の有期懲役

となっています。

未遂で減軽されても、2年6月以上10年以下の有期懲役となりますから、重い刑罰になることがわかります。

しかもその暴行・脅迫で相手に傷害を負わせたり、死亡させた場合にはさらに重い刑罰が刑法上定められています。

もっとも

「反抗を抑圧する程度の暴行」といえるか?

など、専門的な判断を必要とする部分でもあります。

不安な場合は弁護士に相談してみましょう。

窃盗未遂罪について、弁護士に相談!

いかがでしたか。

窃盗未遂罪について詳しくお伝えしました。

ですが、具体的な事案について詳しく知りたい方もいらっしゃることでしょう。

そこで、窃盗未遂について弁護士に相談できる窓口をご紹介します。

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まずは、スマホから、弁護士に無料で相談できる窓口をご紹介します。

なんとあのLINEアプリで窃盗未遂について相談できてしまうんです。

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また、人によっては「近くの弁護士に実際会って相談したい」という方もいらっしゃるでしょう。

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ここに掲載されているのは

  • ネット上で刑事事件の特設ページを持ち、刑事事件注力しているか、
  • 料金体系明確であるか

という点からセレクトした弁護士事務所ばかり。

窃盗未遂に詳しい弁護士事務所もあるはずです。

じっくりと検索してみてくださいね。

最後に一言アドバイス

いかがでしたでしょうか。

最後にアトム法律事務所の弁護士からひと言アドバイスをお願いします。

「窃盗」はどこから未遂になるのか、分かりにくい犯罪です。

窃盗を思いとどまった場合でも、後から犯罪として検挙・逮捕されないか不安な方もいることでしょう。

もし窃盗未遂罪にあたる場合でも、被害者への示談など、素早く行動することで逮捕などを回避できる可能性もあります。

不安に思った場合はすぐに弁護士にご連絡ください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

実際の窃盗未遂について詳しく知りたい場合は、スマホで無料相談をしてみましょう。

窃盗をした具体的な事情に即したアドバイスをしてもらえると思いますよ。

また全国弁護士検索でお近くの信頼できる弁護士を探すことも有効でしょう。

なお、このサイト内には、窃盗事件についてのコンテンツがたくさんあります。

本記事以外で、窃盗事件に関して知っておきたい情報は『窃盗で逮捕!前科をつけずに解決する方法と刑事手続きの流れ』にまとめているので、興味がある方はご覧ください。

さらに、関連記事も要チェックです!

窃盗に関するご不安が、一日でも早く解消されるよう祈っています。

窃盗未遂罪についてのQ&A

窃盗未遂罪ってなに?

窃盗未遂罪とは、「窃盗行為に着手したが、達成できなかった」場合に成立する犯罪です。簡単にいえば、「盗む行為を始めたけれど、盗めなかった」ということです。なお、窃盗未遂は「有期懲役」と「罰金」の上限下限が半分に減軽される可能性があり、「有期懲役刑」を減軽する場合は刑期の長期と短期がそれぞれ半分になり、「罰金」を減軽する場合は、額の上限と下限がそれぞれ半分になるとされています。 窃盗未遂罪とは

窃盗未遂罪が成立するタイミングは?

盗みが完遂される現実的な危険性がある行為を開始したときから、未遂罪は成立します。例えば、夜中に他人の家に侵入し、金銭物色のためにタンスに近づいた場合などには、着手があったものとみなされます。ただし、同じような行為であっても、具体的な状況によって「危険性の有無」は変動するので、事例によって判断は異なります。 窃盗未遂罪の成立時期

「窃盗既遂」と判断されるのはいつから?

盗むつもりで他人の財物を勝手に「事実上支配」した時点で、窃盗既遂となります。また、一度窃盗既遂が成立すると、その後返還しても、一度犯した窃盗がなかったことにはなりません。例えば店で靴下を万引きをした場合、一度ポケットに入れたあとに思い直して棚に戻しても、窃盗罪は成立するのです。 どの時期から「窃盗既遂」?

窃盗未遂罪にはどのような刑罰が科される?

窃盗で有罪になると、10年以下の懲役、または50万円以下の罰金に処せられます。ただし、窃盗未遂罪の場合は、ここから減軽される可能性があります。例えば、一度窃盗に着手したものを返還した場合などに、返還した事実を考慮して量刑が軽くなることがあります。減軽される場合は、懲役の刑期も罰金の金額も、上限下限ともに半分となります。 窃盗未遂罪の刑罰・量刑・刑期

窃盗未遂罪で逮捕されることはある?

スリをしようと財布を抜き出した時点で現行犯逮捕された場合など、窃盗未遂罪で現行犯逮捕されるケースがあります。もっとも、逮捕されたその後、起訴されるかは別問題です。起訴されなければ、裁判所で判断されることもありませんから、刑罰が科せられることもありません。 窃盗未遂罪で現行犯逮捕

窃盗未遂罪がより重い罪に変わることがある?

窃盗に着手しながら達成できなかった場合が「窃盗未遂」ですが、その後の対応で「事後強盗未遂罪」として重い刑罰を科せられる可能性があります。窃盗に着手したが、まだ達成していない者が、①逮捕を免れる目的や②罪跡を隠滅する目的で反抗を抑圧するに足りる暴行・脅迫をすると「事後強盗未遂罪」が成立します。事後強盗罪の刑罰は5年以上の有期懲役と、窃盗未遂よりも重いものになります。 気がつくと未遂が事後強盗に…