窃盗の疑いで事情聴取されるときの注意点6つ。時間・容疑者・任意・嘘も解説します!
窃盗の疑いで事情聴取を受けることになって不安。
そんなお悩みをお持ちの人のために、窃盗と事情聴取について詳しく解説します!
- 事情聴取を要請されるのは、容疑者ってこと?
- どんな時間でも事情聴取を要請される?
- 警察の事情聴取って任意なら拒否しても大丈夫?
- 嘘をついたらどうなる?
など、気になるポイントと注意点をしっかりとお伝えしていきます。
法的な解説は、窃盗事件の解決経験豊富な弁護士、アトム法律事務所の弁護士にお願いしていきます。
よろしくお願いします。
いきなり事情聴取に呼ばれると、とにかく不安になるものです。
窃盗の事情聴取でどのような点に気を付けるべきか、解説していきます。
窃盗に関して警察から事情聴取をしたいといわれた。事情聴取ってどんな意味!?容疑者!?
窃盗事件における事情聴取の意味。被疑者(容疑者)と参考人。
事情聴取とは、一般的な言葉で法律上の言葉ではありません。
法的には、「取り調べ」といいます。
そのため、この記事では取り調べ(事情聴取)と記載していきます。
取り調べとは、被疑者や参考人が捜査機関に供述を求められる行為をいいます。
捜査の段階に応じ、警察官や検察官から取り調べられます。
この取り調べ(事情聴取)の対象には、「被疑者」と「参考人」の2類型があります。
これらの類型の差は意外と分かりにくいものです。
同じ取り調べ(事情聴取)でも、被疑者と参考人では、注意点が変わってきます。
そのため、被疑者と参考人の意味について、まず見ていきましょう。
窃盗の疑いで、被疑者(容疑者)として警察・検察から事情聴取を受ける
まず被疑者の定義についてお伝えしましょう。
「被疑者」とは、「犯罪の疑いを受け、捜査の対象とされているが、まだ公訴を提起されていない者」をいいます。
一般用語として容疑者といわれることもあります。
窃盗の疑いがかけられている場合ですね。
被疑者(容疑者)の取り調べ(事情聴取)については、刑事訴訟法に定めがあります。
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。
出典:刑事訴訟法198条1項
「被疑者(容疑者)の出頭を求め」ることが、事情聴取の要請になります。
窃盗の疑いをかけられていることを前提に、事情聴取が進むでしょう。
窃盗事件の参考人として警察・検察から事情聴取を受ける
続いて参考人の定義を確認しておきましょう。
参考人とはどんな人なのでしょうか。
「参考人」とは、「犯罪捜査のため捜査機関から取調べを受ける被疑者以外の者」をいいます。
もっとも、捜査によって途中から被疑者(容疑者)に切り替わることもあります。
窃盗の被害者や、窃盗行為を目撃していた第三者などがこれにあたります。
刑事訴訟法では223条で、参考人の取り調べ(事情聴取)について規定しています。
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者以外の者の出頭を求め、これを取り調べ、又はこれに鑑定、通訳若しくは翻訳を嘱託することができる。
出典:刑事訴訟法223条1項
ではこの取り調べ(事情聴取)は、どのように始まり、どのように進んでいくのでしょうか。
被疑者 | 参考人 | |
---|---|---|
定義 | 犯罪の疑いを受け、捜査の対象とされているが、まだ公訴を提起されていない者 | 犯罪捜査のため捜査機関から取調べを受ける被疑者以外の者 |
目的 | 犯罪捜査のために、事情を聞かれる | 犯罪捜査のために、事情を聞かれる |
なお、警察により事情聴取を受けている場合、家宅捜索を伴うことが多いです。
窃盗の家宅捜索については『窃盗容疑で家宅捜索を受けたらどうなる?|家宅捜索の目的や範囲を解説』で詳しく述べているので、是非あわせてご覧ください。
窃盗事件について事情聴取はどのように進む?「調書」ってなに?
事情聴取の要請がある
参考人が簡単な事情聴取を受ける場合、電話だけで聞き取る場合もあるようです。
しかし、警察などが窃盗事件について事情聴取をしようとする場合、電話で呼び出しを受けることが多いです。
「空いている時間がありますか」と聞かれ、こちらの都合を優先させてくれる場合もあります。
一方で、「なるべく早く来てください」と言われるケースもあるようです。
被疑者(容疑者)と、参考人、どちらと考えられているのかによって異なるようですね。
この呼び出しを拒否できるか否かは、後で詳細にお伝えします。
警察著ではどのように事情聴取が進む?
この要請に応じて警察署に出頭した場合、それぞれどのような流れで進むのでしょうか。
参考人の場合
参考人は、窃盗事件について知っていることを聞かれます。
記憶を呼び起こすために、順を追って聞かれることが多いようですね。
被疑者(容疑者)の場合
一方、窃盗の疑いで事情聴取を受ける場合は対応が異なります。
「罪を認め、反省している場合」は、穏やかに取り調べ(事情聴取)が進むこともあります。
ですが「否認している場合」、強気な態度で迫られる場合もあるでしょう。
場合によっては、逮捕状を請求され、事情聴取後に逮捕される可能性もあります。
相手は取り調べ(事情聴取)のプロですから、慎重に事情聴取を受ける必要があるでしょう。
そしてここで供述した結果は、最後に書面にされ、取調官から読み聞かされます。
この書面を供述調書といいます。
この書面に署名をすると、書面内容を実際に供述した証拠として裁判で使われる可能性があります。
この点についても後で詳しくお伝えします。
窃盗の疑いで警察・検察から事情聴取されるときの注意点6つ!
では具体的に、警察や検察による取り調べ(事情聴取)ではどのような点に注意する必要があるのでしょうか。
その① 窃盗の疑いで事情聴取に呼ばれた場合、任意だから拒否できる!?
事情聴取は任意だと聞いたことがある人もいらっしゃるのではないでしょうか。
被疑者(容疑者)については刑事訴訟法に規定があります。
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。
出典:刑事訴訟法198条1項
逮捕されていない被疑者(容疑者)は自由に出頭を拒否できるとされていますね。
そのため、事情聴取を拒否することは可能です。
また、参考人についても同様の規定があります。
- 第百九十八条第一項但書及び第三項乃至第五項の規定は、前項の場合にこれを準用する。
- 出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。
出典:刑事訴訟法223条2項、198条1項但書
参考人も自由に出頭を拒否することができます。
時間が合わない、仕事が忙しいなど、不都合な場合は申し出てみましょう。
事情聴取は拒否できる!
ただし、窃盗の疑いで事情聴取に呼ばれている「被疑者」は注意が必要です。
事情聴取を拒否することにより、本来不必要であった「逮捕」をされる可能性があります。
具体的な状況によってリスクは異なりますから、不安な場合は弁護士に相談してみましょう。
その② 窃盗の疑いで事情聴取を要請される場合、時間は決まっている?
ところで、事情聴取をされる時間帯や、かかる時間は決まっていません。
通常は日中に呼び出され、数時間の事情聴取で終わることがほとんどです。
しかし、事件自体が真夜中におき、早急に事情聴取をする必要がある場合には、夜中に電話がなる可能性もあります。
また、出頭した事情聴取にかかる時間もそれぞれです。
必要な事項だけを聞かれる短時間の場合もあれば、窃盗事件の周辺事情も聞かれる長時間のこともあるでしょう。
もっとも、逮捕されていなければ、いつでも退出することができます。
仮に退出が許されなければ、実質的な逮捕として違法になる場合もあります。
任意捜査の一環としての被疑者に対する取調べは、事案の性質、被疑者に対する容疑の程度、被疑者の態度等諸般の事情を勘案して、社会通念上相当と認められる方法ないし態様及び限度において、許容されるものである
出典:最高裁昭和五七年(あ)第三〇一号同五九年二月二九日第二小法廷決定
あまりに長時間にわたる事情聴取などは、具体的状況により違法となる場合もあるでしょう。
その③ 窃盗の疑いで事情聴取されるとき、録音しても大丈夫?
窃盗の疑いで事情聴取をされている場合、後のことを考えて録音をしたいと感じる人もいることでしょう。
事情聴取に先立ち、録音を申し出るケースもあるようですが、拒否されてしまう場合が多いようです。
不安な場合は弁護士に付き添いを依頼し、何かあればすぐ相談できるよう、近くに待機してもらうなどの対策をとるのもいいでしょう。
その④ 窃盗の疑いで事情聴取を受けても、黙秘できる!
取り調べ(事情聴取)で供述をするか否かは自由ということ、ご存知ですか?
刑事訴訟法198条2項によれば、被疑者(容疑者)は「自己の意思に反して供述をする必要がない」旨を告知されることになっています。
この条文から、供述するか否かは自由ということが分かります。
刑事訴訟法198条2項にはこう書かれています。
取調に際しては、被疑者(容疑者)に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。
出典:刑事訴訟法198条2項
これを供述拒否権といいます。
条文上、被疑者(容疑者)には供述拒否権の「告知」をしなければなりません。
参考人についても、取り調べ(事情聴取)がそもそも任意なので、当然に供述拒否権があります。
なお
似た概念として、黙秘権というものがあります。
「不利益な供述」とは、自分が刑事責任を負う可能性がある内容の供述です。
窃盗を認めると、窃盗罪という刑事責任に問われます。
よって、「窃盗をしたか否か」の供述を黙秘できる権利が憲法上認められているといえるでしょう。
しかし
刑事責任を負う可能性がない事実は、黙秘権の対象外です。
何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
出典:憲法38条1項
一方、刑事訴訟法上の 供述拒否権は、供述を拒める範囲に限定がありません。
どんな内容の供述でも拒否することができます。
黙秘権 | 供述拒否権 | |
---|---|---|
対象 | 自己に不利益な供述 | あらゆる供述 |
根拠条文 | 憲法38条 | 刑訴法198条2項 |
これらの違いはありますが、
被疑者(容疑者)も参考人も供述を拒否することができる
ということがとにかく大切です。
なお
参考人については刑事訴訟法226条に注意が必要です。
犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、第二百二十三条第一項の規定による取調に対して、出頭又は供述を拒んだ場合には、第一回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。
出典:刑事訴訟法226条
供述拒否が自由にできたとしても、捜査に欠かせない知識を持っている場合は、証人尋問に呼ばれてしまう可能性があるということです。
証人は…
証人が正当な理由なく宣誓や証言を拒むと、刑事訴訟法160条1項から刑罰が科せられる可能性があります。
また、宣誓をした上で嘘をつくと、刑法の偽証罪になる可能性さえあります。
参考人と証人では、注意点が全く異なります。
参考人はその点も踏まえて、供述を拒否するか否かを判断しましょう。
その⑤ 窃盗の疑いで事情聴取されている場合、供述調書に安易に署名をしてはいけない!?
先ほど、事情聴取の最後に供述調書への署名を求められることをお伝えしました。
ですがこの供述調書は、取調官が内容をまとめて独自の形式で記載したものです。
そのためニュアンスが違っている場合もあります。
一度署名してしまえば、内容を後から覆すことは大変難しくなります。
よって、しっかりと確認をしてから署名しましょう。
確認時、内容が事実と異なると感じたらしっかりと修正してもらいましょう。
不十分な修正しかされないような場合には、署名自体を拒否することもできます。
不安な場合はその都度弁護士に確認などをしてみましょう。
その⑥ 窃盗の疑いで事情聴取を受けた際、嘘をついたらどうなる!?
次に、取り調べ(事情聴取)で思わず嘘をついたら偽証罪になる?
と不安に思われている方も多いようです。
ですが、取り調べ(事情聴取)の嘘で偽証罪が成立することはありません。
刑法上、偽証罪は宣誓をした証人が嘘をついた場合に成立する犯罪です。
取り調べ(事情聴取)を受けている者は証人ではありませんから、偽証罪は成立しません。
ただし」
参考人の場合はご注意ください。
嘘をついて犯人をかばうと、犯人隠避罪になる可能性があります。
罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
出典:刑法103条
もちろん、「嘘をつくつもり」でなければ罪にはなりません。
思い違いなどで、結果として嘘をついてしまったも、罪にはなりませんからご安心ください。
窃盗の疑いで事情聴取されるなら、弁護士に相談!
以上、窃盗の疑いでされる「事情聴取」についてお伝えしました。
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最後に一言アドバイス
いかがでしたでしょうか。
最後にアトム法律事務所の弁護士からひと言アドバイスをお願いします。
窃盗の疑いで事情聴取に呼ばれると、どう対応して良いか不安になるものです。
ですが、すぐに弁護士に相談すれば、事情聴取の注意点を予め知ることができます。
適切に事情聴取に対応することで、本来されるはずだった逮捕が回避できる場合すらあります。
不安な場合は、すぐに弁護士にご相談ください。