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窃盗と損害賠償・被害弁償で知っておきたい5つのこと。民事の請求やその金額相場は?

  • 窃盗,被害弁償,損害賠償
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窃盗をしてしまったが、損害賠償被害弁償はした方がいい?

そんな疑問をお持ちの方のために、窃盗と損害賠償・被害弁償の関係をお伝えしていきます。

  • 損害賠償・被害弁償・慰謝料示談金の意味、違い。
  • 民事の請求権についての時効。
  • 示談金額相場
  • 損害賠償・被害弁償が刑事事件に及ぼす影響

など、知っておきたい5つのことを詳細に解説していきます。

法的な解説は、窃盗事件の解決経験豊富な弁護士、岡野武志先生にお願いしていきます。

よろしくお願いします。

窃盗事件において、損害賠償・被害弁償は大変重要です。

刑事民事の両側面から、法的に解説していきます。

その①:窃盗事件における損害賠償・被害弁償・慰謝料の金額相場。

その①:窃盗事件における損害賠償・被害弁償・慰謝料の金額相場。

まず最初に知っておきたいのが損賠賠償被害弁償の「金額相場」です。

金策をするにも、交渉をするにも、相場を知ることは大切です。

具体的な事例から、示談金の相場をみていきましょう。

窃盗事件における示談金の具体例
事例①
▼事案:書店で本8冊(販売価格合計7000円程度)を万引きした。
▼示談金:7150
▼刑事処分:罰金40万円
事例②
▼事案:バーで、現金1万円及びキャッシュカードなどが入った財布(時価1000円相当)を盗んだ。
▼示談金:5万円
▼刑事処分:不起訴
事例③
▼事案:ホームセンターで、レインウエアなど、80点(販売価格85000円程度)を万引きした。
▼示談金:8万円
▼刑事処分:懲役12か月の実刑
事例④
▼事案:百貨店内で婦人靴3点(販売価格約9万円程度)を万引きした。
▼示談金:11万円
▼刑事処分:不起訴処分
事例⑤
▼事案:バイク1台(時価3万円相当)を盗んだ。
▼示談金:示談金20万円
▼刑事処分:保護観察
事例⑥
▼事案:コンビニで落ちていた財布を拾い、中から現金35000円を抜き取った。
▼示談金:20万円
▼刑事処分:不起訴
事例⑦
▼事案:スイミングスクールの更衣室で、ロッカーのカギを不正に開け、現金などを盗もうとしたが、持ち主に発見されて完遂できなかった窃盗未遂事件。
▼示談金:40万円
▼刑事処分:不起訴
事例⑧
▼事案:事情を知らない中古バイク販売業者に、被害者のバイクを勝手に運ばせて盗み出した。
▼示談金:45万円
▼刑事処分:不起訴
事例⑨
▼事案:ゴルフ練習場で、現金30万円が入った他人のバッグを持ち去った。
▼示談金:65万円
▼刑事処分:不起訴
事例⑩
▼事案:介護ヘルパーとして勤務中に、認知症の被害者の財布から34000円を抜き取った。
▼示談金:80万円
▼刑事処分:不起訴

いかがでしたでしょうか。

事案ごとの金額相場が、見えてきたのではないでしょうか。

また、多くの事案で不起訴になっていることも分かります。

万引き事例では、前科の多さから刑罰が科されていると推察できるため、

一般的には損害賠償被害弁償によって不起訴の可能性が高まる

といえるでしょう。

示談の具体例

他の具体的事例をもっと知りたい方は、下の窃盗タブを選んでみて下さい。

より多くの事例がありますから、金額の相場が分かるかもしれません。

その②:損害賠償や被害弁償は、窃盗事件にどう影響する?

その②:損害賠償や被害弁償は、窃盗事件にどう影響する?

では、このような相場の損害賠償・被害弁償・慰謝料は刑事事件においてどのような影響があるのでしょうか。

これを考える上で、大変重要なものが「示談」です。

「示談」とは、民事上の紛争について、裁判外における当事者間の話合いによって解決することをいいます。

示談では、損害賠償・被害弁償・慰謝料などを含めた金銭を支払い、それ以降民事上の責任を問われないと合意することがあります。

この金銭を特に「示談金」といい、上でみた相場は「示談金の相場」です。

これも一般的な言葉で、厳密な定義は存在しません。

では

示談金を支払い、それ以上の民事責任を問わないという合意をして紛争を解決した場合、刑事事件にどのような影響が及ぶのでしょうか。

「損害賠償・被害弁償済み」により、窃盗罪で逮捕されない可能性

まず、窃盗の被害が一定程度回復されたとして、逮捕されない可能性があります。

悪質性が低いと考えられる場合は、人権を制約する身体拘束を避ける傾向があるためです。

「仮に逮捕」されても、示談の成立を示すことで早期に釈放される可能性もあります。

「損害賠償・被害弁償済み」により、窃盗罪で起訴されない可能性

また、「検挙された事件」は基本的に検察官に送られます。

この送検がされると、検察官はその事件について起訴するか否かを決めることになります。

起訴」とは、検察官から裁判所に対して刑事事件の審理を求められることをいいます。

裁判所が有罪の判決を出さなければ、刑罰には処せられません。

よって起訴されなければ、刑罰が科せられることはありません。

この起訴の判断について、検察官は「被害が回復されたか」という点も重視しています。

よって、損害賠償被害弁償不起訴の可能性を高めるでしょう。

窃盗と不起訴については以下の詳細な記事をご覧ください。

「損害賠償・被害弁償済み」により、窃盗事件で執行猶予になる可能性

また、起訴されたとしても、執行猶予がつく可能性が出てきます。

「執行猶予」とは、「情状によりその執行を一定期間猶予され、その期間を無事経過するときは刑を受けることがなくなる制度」をいいます。

懲役刑を言い渡されても、執行猶予がつけば刑務所には入れられません。

執行猶予期間を無事に経過すれば、刑の言渡しが効力を失い、その後同じ有罪判決を理由に刑務所に入れられることはなくなります。

裁判所がこの執行猶予を付すか決める際に、情状が考慮されます。

損害賠償・被害弁償も情状として考慮されることになるでしょう。

「損害賠償・被害弁償済み」により、罪が軽くなる可能性

また、執行猶予がつかなくとも、量刑で有利に判断される可能性があります。

量刑もさまざまな事情を考慮して決められます。

よって、

  1. ① 損害賠償・被害弁償によって被害が一定程度回復したこと、
  2. ② 加害者が民事的負担をしたことは

量刑で有利に考慮されるでしょう。

重要

損害賠償・被害弁償は刑事手続きのあらゆる場面で、良い影響を及ぼす可能性がある。

その③:窃盗における損害賠償・被害弁償・慰謝料ってなに?

その③:窃盗における損害賠償・被害弁償・慰謝料ってなに?

窃盗の民事責任

さて、ここまで「損害賠償」や「被害弁償」・「慰謝料」といった言葉を使ってきました。

ですが、その具体的な意味が曖昧な方もいらっしゃるのではないでしょうか。

損害賠償」とは、「他人に与えた損害を塡補して、損害がなかったのと同じ状態にすること」をいいます。

また、「慰謝料」とは、「精神的損害に対する賠償金」のことをいいます。

法的には、慰謝料は損害賠償に含まれています。

一方、「被害弁償」という言葉は、法律上は出てきません。

一般的な用語として使われており、正確な定義はありません。

ですが慰謝料と対比し、「物質的な損害に対する賠償金」を被害弁償ということが多いようです。

そのため、この記事ではそのような意味で使っていきます。

損害賠償・被害弁償・慰謝料の違い
損害賠償 慰謝料 被害弁償
言葉の意味 他人に与えた損害を塡補して、損害がなかったのと同じ状態にすること 精神的損害に対する賠償金 物質的な損害に対する賠償金
それぞれの関係 慰謝料と被害弁償を合わせたものが、損害賠償といえる

※被害弁償は一般的な用語。
※各用語の意味と関係も場合によって異なる使い方をされる可能性があります。

窃盗をした人にとって、これらの支払いは全て「民事上の責任」になります。

被害者と加害者のあいだの問題であり、国から罰金などの刑罰をうける「刑事上の責任」とは異なります。

重要

損害賠償・被害弁償・慰謝料は、被害者と加害者の間に発生する「民事上の責任」。

仮にこれらを被害者から請求される場合、民法709条が根拠になります。

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

被害者の請求に応じて支払えば、それで民事上の紛争が解決することもあります。

ですが、額などに争いがあり、裁判所に審判してもらう場合もあります。

このことを、「民事訴訟」といいます。

窃盗の刑事責任

もう一方の、窃盗罪の刑事責任についても見ていきましょう。

窃盗罪は刑法でこう規定されています。

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

他人の財物を盗むと、

  • 10年以下の懲役
  • 50万円以下の罰金

に処せられます。

用語解説

懲役」とは、「刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる刑罰」。

罰金」とは、「一定額の納付を命じる刑罰」。

原則として、

  • 「有期懲役」は1月以上20年以下
  • 「罰金」は1万円以上

とされています。

そこで、窃盗罪の刑罰は・・・

窃盗罪の刑罰
懲役 罰金
刑罰の性質 身体的自由を制限 金銭を納付
上限・下限 1月以上、10年以下 1万円以上、50万円以下

※刑の加重や減軽により、上限下限は変動する。

ということになります。

以上、窃盗罪の刑事責任についてお伝えしました。

その④:バイクや自転車の窃盗。民事上の損害賠償請求には時効がある?

その④:バイクや自転車の窃盗。民事上の損害賠償請求には時効がある?

では民事上の責任として、損害賠償・被害弁償を請求された場合、どんなに日時が経っても支払う必要があるのでしょうか。

これに関する「時効」について、民法724条が規定しています。

不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

いつまででも民事上の請求ができるわけではないんですね。

まず、「被害者やその法定代理人(親など)」が

  1. ① 損害と、
  2. ② 加害者が誰なのかを

知ってから3年経っても請求権が行使されなければ、

時効によって民事上の請求権が消滅します。

バイクや自転車の窃盗でいえば、被害者などが

  1. ① バイクや自転車が盗まれたこと
  2. 誰が盗んだのか

の二つを知った後、3年間請求権が行使されなければ、

時効により、もはや請求は認められないということです。

また、窃盗の時から20年を経過した場合も請求権は消滅します。

こちらは損害や加害者を知っているかどうかは関係ありません。

こちらは時効ではなく、「除斥期間」というものだと考えられています。

ですが、一定の期間が経つことで請求権が消滅するということは同様です。

重要

窃盗から一定の期間が経つと、時効などにより損害賠償・被害弁償の請求権が消滅することがある。

その⑤:親族からの窃盗は特別って本当?損害賠償や被害弁償も特別?

その⑤:親族からの窃盗は特別って本当?損害賠償や被害弁償も特別?

窃盗の「刑事責任」と親族

ところで、窃盗罪の刑事責任について、こんなことを聞いたことがありませんか。

実は、家族身内のものを盗んだ場合、刑事責任について特別の規定が定められています。

刑法244条1項をチェックしてみましょう。

  1. ① 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条の罪、第二百三十五条の二の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
  2. ② 前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

窃盗罪は235条ですから、この規定が適用されます。

まずは上の①の場合から見ていきましょう。

驚くことに…

配偶者や直系血族、同居の親族」のあいだで窃盗をしても、刑が免除される。

ことになっているのです。

家族・親族間のトラブルは、その中で解決すべきという発想です。

一方

「免除される親族」以外の親族に対する窃盗については、別に定められています。

1項に書かれた親族「以外の親族」との間でした窃盗は親告罪

とされています。

親告罪とは何でしょうか。

親告罪」とは、告訴がなければ起訴されない犯罪のことをいいます。

そして「告訴」とは、犯罪の被害者その他の告訴権者から、捜査機関に対し、犯罪事実を申告して犯人の処罰を求められることをいいます。

起訴されなければ、有罪になることもありません。

そのため、「1項の親族」以外の親族に対する窃盗では、「告訴の有無」が大きく影響してくるのです。

ここで、「親族」の範囲を見てみましょう。

親族の定義は民法725条から、「「6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族」とされています。

これを図にすると、下の範囲が「親族」となります。

244条1項にある「配偶者」は、夫や妻のことですね。

また「直系血族」とは上の図の赤い部分に属する、白丸で示された人達です。

さらに、この図に書かれている人々で同居している親族も、244条1項による刑の免除の対象とされています。

そして

親族のうち、これらの人を除いた人々とのあいだでされた窃盗が「親告罪」となるのです。

まとめ

244条1項の親族「以外の」親族とのあいだでした窃盗は「親告罪」になる。

なお、盗まれた物の「所有者」も同様に親族関係にある必要があります。

たとえば、「同居していない従弟が他人から借りた」本を盗んだとしても、親告罪にはなりません。

「同居していない従弟」から「その従弟の」本を盗んだ場合に親告罪となるのです。

誤解しやすいところですので、ご注意ください。

窃盗の「民事責任」と親族

一方、民事上の責任である損害賠償被害弁償については親族に関する特別の規定はありません

損害を与えたのなら、親族であっても賠償すべき、という発想です。

そのため、損害賠償・被害弁償・慰謝料などを訴訟で請求されると、支払いが命じられる可能性があります。

親族間の窃盗であっても、損害賠償・被害弁償・慰謝料に影響しない

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以上、窃盗と損害賠償・被害弁償についてお伝えしてきました。

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最後に一言アドバイス

いかがでしたでしょうか。

最後に岡野先生からひと言アドバイスをお願いします。

窃盗事件では、損害賠償・被害弁償を含む「示談の成立」が大変重要です。

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事件後、示談交渉開始のタイミングが早ければ早いほど、丁寧な被害者対応をしていくことが可能です。

示談成立は、被疑者にとって刑事処分を軽くする方向に働きます。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。

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