逮捕されたら接見禁止?接見禁止の理由と期間|接見禁止命令の解除方法はある?
逮捕されたら接見禁止となってしまうのでしょうか。
接見とは、逮捕・勾留によって身体の拘束を受けている者と「面会」することです。
接見が禁止されることになると、弁護士以外の人との面会ができなくなってしまいます。
- 接近禁止となる理由は?
- 接見禁止はいつまで?期間について調査
- 接見禁止中でも弁護士ならできることとは?
接見禁止について気になる疑問を解説していきたいと思います。
法律面の解説は、アトム法律事務所の弁護士にお願いしています。
逮捕されたら必ず接見禁止?接見禁止の「理由」とは
逮捕されたら必ず接見禁止となってしまうのでしょうか。
接見禁止になるには、何か理由があるからだと思います。
どのような理由から接見禁止となるのでしょうか。
また、接見禁止がつきやすい事件はあったりするのでしょうか。
接見禁止の要件(理由)は条文を確認
接見禁止の理由は「逃亡・証拠隠滅のおそれ」?
接見禁止となる要件(理由)は、法律で定められています。
接見禁止を規定する法律を確認しておきましょう。
こちらをご覧ください。
裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第三十九条第一項に規定する者以外の者との接見を禁じ、又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、若しくはこれを差し押えることができる。
但し、糧食の授受を禁じ、又はこれを差し押えることはできない。
出典:刑事訴訟法第81条
「逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」という部分に注目していただきたいと思います。
✔逃亡のおそれがある ✔罪証隠滅のおそれがある |
このような状況になる疑いに足りる相当な理由がある場合に、接見禁止となることになります。
接見禁止は、すでに留置場などに身柄拘束されている状態となります。
身柄拘束の時点で、物理的に逃亡のおそれは考えにくいです。
一方、罪証隠滅のおそれは、面会によっておこなわれる可能性があると考えられます。
たとえば、
- 面会に来た家族・知人に、事件に関する証拠を処分するように指示する
- 暗号を用いて、事件当日のアリバイなど口裏合わせをおこなう
このように罪証隠滅を示唆させるような状況になり得ると判断されると接見禁止がつくことになります。
接見禁止で制限されるのは、面会だけではありません。
接見禁止で制限されること
- 面会
- 書類・物の受け渡し
- 手紙のやり取り
面会だけでなく、差し入れなどにも制限がかかることになるようです。
接見についてくわしくはこちら
逮捕後、接見禁止になりやすい事件はある?
逮捕される理由は、逃亡と証拠隠滅のおそれを防ぐためということが分かりました。
では逮捕された後、接見禁止がつきやすい事件はあったりするのでしょうか。
組織的な詐欺事件のような場合で逮捕されると、接見禁止となることが多いです。
詐欺事件の関係者同士が口裏合わせによって証拠隠滅をはかろうとすることを防止する観点から接見禁止がつく可能性が高くなります。
接見禁止になりやすい逮捕事件はあるようです。
逮捕時の接見禁止「期間」が知りたい
逮捕されたらいつから接見禁止となるのでしょうか。
逮捕後すぐ?
逮捕されてから数時間後?
逮捕されてから数日後?
接見禁止はいつまで続くのかも気になります。
接見禁止にまつわる「期間」について解説していきたいと思います。
逮捕後72時間は家族と面会できない
接見禁止は、検察官の請求で裁判官によって命令されることになります。
しかし、これは勾留が決定した後の話です。
逮捕後すぐは、家族であっても原則的に面会することはできません。
逮捕後、「72時間」がキーワードとなっているようです。
この72時間とはどういう期間なのでしょうか。
逮捕後の流れを確認しておきましょう。
こちらをご覧ください。
出典:https://atomfirm.com/wp-content/uploads/nagare.png
逮捕されてから送致されるまでの「48時間以内」
から、
送致されてから勾留請求されるまでの「24時間以内」
これらの合計「72時間」のあいだの弁護士との接見については法律に規定がなされています。
一方、弁護士以外との面会について、法律ではっきりとした規定がないため、原則として面会することができないといわれています。
勾留される「前」の逮捕中でも、担当刑事の許可があれば家族も面会できるあつかいに実際はなっているようです。
もっとも、勾留前の家族との一般面会が許可されるのは
- 軽微な事案である
- 事実関係にほとんど争いがない
このようなケースで、捜査がすぐに済む場合に限られています。
接見禁止がつくことが見込まれるような複雑な事件では、勾留前に家族と面会することはむずかしそうです。
逮捕後の接見禁止はどのくらいの期間つづく?
逮捕後、接見禁止がどのくらいの期間つづくことになるのかは事件によってさまざまです。
✔逮捕・勾留~起訴前まで(13日~23日間) ✔逮捕・勾留~裁判の前まで(1ヶ月~2ヶ月間) |
逮捕されたら、勾留されるのか、接見禁止となるのか弁護士や警察官・検察官などに問い合わせてみましょう。
接見禁止命令を解除するには?
接見禁止命令を解除する方法はあるのでしょうか。
接見禁止のなかで面会へとこぎつけるには、3つのアプローチが考えられます。
- ① 準抗告・抗告による不服申し立て
- ② 接見禁止の解除申し立て、一部解除の申し立て
- ③ 勾留理由開示請求で顔を見る機会を得る
それぞれをくわしくみていきたいと思います。
①準抗告・抗告による接見禁止の不服申し立て
勾留にくわえて接見禁止となっている場合、まず勾留決定に対する準抗告・抗告による不服申し立てをおこないます。
勾留が取り消され、釈放となれば接見禁止の問題も一発で解決です。
そもそも、準抗告・抗告とはいったい何なのでしょうか。
準抗告・抗告
裁判所や裁判官の命令や決定に対して不服申立てする法的な制度
準抗告・抗告によって、勾留決定に対する不服申し立てが通れば釈放されることになりますが…
勾留決定の不服申し立てが認められないこともあります。
そうなると、次なる手段は接見禁止への準抗告・抗告をおこないます。
接見禁止の目的は、逃亡や罪証隠滅を防ぐことです。
弁護士は、逃亡や罪証隠滅のおそれがないことを主張して接見禁止処分の取り消しを求める活動をおこないます。
準抗告や抗告が一度でも却下されてしまうと、再び準抗告・抗告をおこなうことができません。
準抗告や抗告が認められなければ、つぎの手段です。
②接見禁止の解除申し立て、一部解除
準抗告や抗告で接見禁止の不服申し立てが通らなくても、あきらめるのは早いです。
接見禁止の解除の申し立てをおこなうことができます。
接見禁止の解除とはいったい何なのでしょうか。
接見禁止の解除についてのニュースを見つけたので確認してみましょう。
学校法人「(略)学園」への国有地売却に関する決裁文書改ざん問題で、野党3党の衆院議員は23日、大阪拘置所(大阪市都島区)で勾留中の前理事長(略)と接見した。(略)
弁護人以外との接見を禁じられているが、野党議員が接見禁止の一部解除を申請し、大阪地裁が22日に認める決定を出していた。(略)
出典:毎日新聞2018年3月23日 21時07分(最終更新 3月24日 01時47分)
連日、報道が加熱していた、国有地売却に関する文書改ざん問題のニュースです。
注目していただきたい点は、「接見禁止の一部解除」というところです。
接見禁止の解除や、一部解除とはどういう意味なのでしょうか。
接見禁止の解除申し立て
接見禁止を解除してくれるように裁判官に「お願い」すること
接見禁止の一部解除申し立て
家族だけでも接見できるように、接見禁止の一部を解除してくれるように裁判官に「お願い」すること
接見禁止の解除申し立てが、準抗告や抗告とちがうのは法的な制度ではないという点にあります。
裁判官に対して「お願い」しているだけにすぎませんので、裁判官は必ず申し立てについて審議する必要がありません。
しかし、一度、接見禁止の解除の申し立てが認められなくても一部解除の申し立てをおこなうなど複数回、申請することが可能です。
起訴「前」の段階における勾留では、否認事件だと接見禁止となることが多くなっています。
もっとも、事件について自白すると、接見禁止が解除されることがあります。
起訴「後」の段階における勾留では、その段階で接見禁止が解除されることもあります。
弁護士がついていれば、刑事手続きの流れに応じて接見禁止解除の申し立てをおこなってくれるでしょう。
接見禁止が解除されたら読んでおきたい「面会」についての記事
③勾留理由開示請求で被疑者の顔を見る
接見禁止に対する準抗告・抗告、解除の申し立てなどが認められなかったとしたら…
接見によって逮捕・勾留されている家族と会うことはできません。
それでも、一目だけでも顔を見たいという希望をかなえることができるかもしれない方法が残っています。
勾留理由開示請求です。
勾留理由開示請求とは
勾留理由が納得できない場合、裁判所に対して勾留理由の開示を求める手続き
この手続きは、裁判所でおこなわれることになります。
裁判所の法廷に被疑者が呼び出されて、裁判官から勾留決定の理由を聞くことになります。
この際、傍聴に行けば家族と顔をあわせることが可能になります。
ただ、注意点があります。
注意
面会ではないので、話をしたりすることはできない
逮捕・勾留されたご家族の顔を一目見ることができるだけではありますが…
一瞬だけでも家族と顔を合わせることができれば、厳しい勾留期間の励みとなるかもしれません。
接見禁止中でも弁護士には制限なし
弁護士であれば、接見禁止中でも原則として制限なく被疑者・被告人と接見することが可能です。
裏を返せば、弁護士以外は禁止されていることも多いということになります。
弁護士が接見禁止中でもできることについてみていきたいと思います。
接見禁止中でも弁護士ならいつでも接見可能
弁護士なら、「いつでも」接見することが可能です。
- 土日祝
- 深夜帯
など、時間に関係なくいつでも接見することができます。
接見禁止でなければ、ご家族などによる一般面会は警察署によっても異なりますが、
平日:午前8時30分
~(午後12時~13時はのぞく)
平日:午後5時15分
大体、このような時間帯に面会できることが多くなっています。
弁護士ならこのような制限はなく、土日祝・深夜帯でも面会することが可能です。
接見禁止中でも、弁護士であれば接見することができるので身柄拘束の期間も少しは安心できます。
不安なことなどは、接見時に弁護士に話しておきましょう。
弁護士なら接見禁止でも時間制限なしの接見OK
弁護士なら、接見の時間制限はありません。
- 30分
- 1時間
- 3時間
弁護士との接見は、決められた時間はありません。
接見禁止でなければ、ご家族などによる一般面会は
15分~20分程度
となっています。
弁護士ならこのような制限はなく、弁護士の時間が許す限り何時間でも面会することが可能です。
弁護士によってはさまざまな案件を抱えているので、極端な話、丸一日も接見をお願いするということはむずかしいでしょう。
ただ、ご家族などとの面会とちがって話の途中で接見が中断されるという心配がありません。
時間に焦ることなく、落ち着いて話すことができるでしょう。
接見禁止でも立会人なしで接見できる
弁護士なら、接見中は立会人なしの1対1で接見することが可能です。
接見禁止でなければ、ご家族などによる一般面会は、刑事施設の職員などの「立会人」のもとおこなわれることになります。
弁護士なら、このような立会人の立ち会いはなく、事件についてじっくり話すことが可能です。
事件の核心に迫るような内容だけでなく、ご家族のデリケートな話などするとき立会人には聞かれたくないということもあると思います。
弁護士は守秘義務があります。
安心して、弁護士にお話しください。
弁護士 | |
---|---|
接見時間 | 原則、いつでも |
時間制限 | なし |
立会人 | なし |
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最後に一言アドバイス
最後に一言、弁護士からアドバイスをいただきます。
接見禁止となってしまうと、血のつながりのある家族でも面会することはできません。
一方、弁護士であれば制限なく原則いつでも接見することが可能です。
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