【前科とは】前歴・逮捕歴との違いや意味|就職できない?消えることはある?
前科・前歴・逮捕歴…
この3つの言葉の意味や違いがどのようなものかご存知ですか?
- それぞれの意味を解説
- 就職に影響するものはある?
- 前科・前歴・逮捕歴は消えるのか?
このような視点に着目して解説していきます。
本日は、法律のアドバイザーとして弁護士をお招きしています。
解説はアトム法律事務所の弁護士です。
前科・前歴・逮捕歴は言葉が似ているので間違われやすいですが、意味がそれぞれちがいます。
それぞれどのような影響があるのか、弁護活動をとおして得た経験をまじえて解説します。
目次
生きていくうえで欠かせない仕事への影響や海外旅行への影響など…
気になる点は多くあります。
それではまずは「前科」の意味から解説をはじめます。
「前科」の意味を徹底解説!
前科の意味とは
前科について、どのようなイメージをお持ちでしょうか?
逮捕されたら前科がつく。
このようなイメージが世間に浸透しているようですね。
ですが、このイメージは間違いです。
前科とは
刑事裁判で有罪判決をうけたという履歴のこと
前科は有罪の確定判決をいい、一般的な用語として使用されています。
ですので、逮捕されただけでは前科はつきません。
逮捕→起訴→裁判→有罪確定
このような段階をふんで、前科がつくことになります。
有罪判決は、裁判所が言い渡します。
前科にあたる有罪判決
- 死刑
- 懲役
- 禁錮
- 罰金
- 拘留
- 科料
このような場合はもちろん、
- 刑の免除
- 刑の執行免除
が言い渡された場合もふくんでいます。
交通違反での「反則金」は、前科にはあたりません。
いずれにせよ、刑事裁判にならず不起訴処分となれば前科がつくことはありません。
不起訴処分についてはこちら
前科と間違われやすい、「前歴」についてはのちほど解説しますので最後までごらんください。
前科持ち・前科一犯は海外旅行にいけない?
前科がついてしまうか気になるのは、生きていくうえで少なからず影響があるからだと思います。
その中でも、「海外旅行」に影響があるのかどうかという点が気になる方が多いようです。
旅行にかぎらず、仕事の出張で海外へ行くこともあるでしょう。
前科持ち、前科一犯の方は、海外渡航はできるのでしょうか。
前科がある人で、海外旅行や海外渡航に必要なパスポートを取得できるかどうかはつぎの質問によって判断されます。
1.外国で入国拒否、退去命令又は処罰されたことがありますか。
2.現在日本国法令により起訴され、判決確定前の状態ですか。
3.現在日本国法令により、仮釈放、刑の執行停止又は執行猶予の処分を受けていますか。
4.旅券法違反で有罪となり、判決が確定したことがありますか。
5.日本国旅券や渡航書を偽造したり、又は日本国旅券や渡航書として偽造された文書を行使して(未遂を含む)、日本国刑法により、有罪となり、判決が確定したことがありますか。
6.国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官の職務等に関する法律を適用され外国から帰国したことがありますか。
出典:大阪府ホームページより
6つの項目のうち1項目でも当てはまる方は、別途書類が必要になります。
これらをもとに、パスポート発給の可否が検討されます。
具体的には、旅券発給申請書類のほかに
- 判決謄本(確定日が入った原本を1通)
- 起訴状
- 裁判所からの海外旅行許可書
- 渡航事情説明書
などを提出する必要があります。
海外旅行や海外渡航においては、一定の制約や制限を受ける場合があります。
前科の種類・内容によって、ビザ自体がおりないことがあります。
前科の内容や種類次第では、
- 渡航用のビザが取得できない
- 渡航先の国から入国が拒否される
このようなケースが考えられます。
前科の有無による影響は、国によってさまざまです。
ビザ取得に関しての規定が厳しい国として挙げられるのがアメリカです。
逮捕歴や犯罪歴がある方は申告義務があるようです。
判決謄本とその英訳
出典:在日米国大使館・領事館ホームページより
これは、アメリカの非移民ビザの取得に必要な書類の一つです。
アメリカは「逮捕歴」のみでもビザ取得のハードルとなり得るようです。
ただ、審査が通れば執行猶予中でも渡航できる国もあります。
渡航予定の国の大使館に、電話などで確認をとることをおすすめします。
前科は照会できるのか?前科照会事件を参考に
前科が社会生活にあたえる影響は、明確に定義できるものではありません。
就職、転職、結婚、入学…
前科による影響が、前科者にとって不利益となることもしばしばあるようです。
前科照会事件という、前科照会に関する事件がありました。
法律の専門的な勉強をしていないと聞いたことがない事件かもしれません。
事件の概要
雇用問題で争っていた会社側の弁護士が従業員の前科・犯歴の照会を区役所に対して行い、区役所は前科があることを開示した。
この区役所の回答行為が、プライバシー侵害にあたると認められた事件。
市区町村は、検察からの通知にもとづいて「犯罪人名簿」(犯罪者名簿)を作成しています。
禁錮以上の刑に処せられたことがあるなどすると選挙権・被選挙権を有することができないため、その情報を管理保管しておくためのものです。
ただ、この名簿は厳重に保管され、限られた者にしか閲覧権限が与えられていません。
一般人は、前科を照会する権利はありません。
前科は、慎重にあつかわれるべき個人情報です。
みだりに公開されていいものではありません。
前科の有無を調査しようとしても、役場や捜査機関といった公的機関が回答することはありません。
どんな人であっても、公的に保管されている前科が記載された資料をみることはできません。
ただし、新聞やネットニュースに有罪判決の結果が記載されていて前科が発覚する可能性があります。
「前歴」の意味を徹底解説!
前歴の意味、前科との違い
「逮捕されたら前科がつく」と間違われる原因となった言葉が前歴なのではないかと思います。
- 前科
- 前歴
一見するとよく似ています。
前科と前歴の違いが分からないという方が多くいらっしゃいます。
では、前歴とはいったいどのような意味なのでしょうか。
前歴とは
捜査機関による犯罪捜査をうけたという履歴のこと
前歴も、法律用語ではないので明確な定義はありません。
広い意味では、前科は前歴にふくまれるともいえるでしょう。
一般的には「被疑者」として犯罪捜査を受けたことがある過去をさして前歴といっています。
前科との違いでいうと、前科は「刑事裁判を経て有罪判決を受けたかどうか」という意味になります。
警察・検察といった捜査機関に捜査を受けた履歴は残りますが、それだけでは前科は付きません。
ちなみに…
未成年時におこした少年事件において保護観察などの処分を受けた経歴も「前歴」となります。
そもそも少年事件は、殺人といった重大事件をのぞく事件で刑事裁判がおこなわれないため前科がつくことはありません。
少年事件についてくわしくはこちら
前歴があると執行猶予はつかない?
前歴があると執行猶予がつかなくなるのか、実刑となるのかなど気になる点が多いです。
結論から言うと…
前歴が執行猶予に影響するかどうかは分かりません。
- 前歴の内容
- 今回の犯罪と前歴の関係性
- 前歴のついたタイミング
など、さまざまな事情を考慮して執行猶予を付けるかどうかが判断されます。
お悩みの場合は、弁護士に事件を精査してもらうことをおすすめします。
前歴は照会できるのか
さきほど、前科は照会することができないとお伝えしました。
では、前歴は照会することができるのでしょうか。
なんでも簡単に情報を照会できれば便利ですが…
一般人が前歴を照会することはできません。
警察など捜査機関が、犯罪捜査の一環として照会することはあります。
個人的な興味や身辺調査などはもちろん、個人の前歴を照会する方法はありません。
「逮捕歴」の意味を徹底解説!
逮捕歴の意味
前科と前歴の違いが分かってきたところで、つぎは「逮捕歴」についてです。
世間一般の風潮として、「逮捕=有罪(前科)」というイメージが強いようですよね。
これは、法律的な意味としては間違いです。
逮捕歴とは文字通り逮捕された履歴のことになります。
逮捕歴とは
刑事事件の被疑者として逮捕されたという履歴のこと
逮捕は、刑事事件の捜査の一環としておこなわれます。
たとえ、事件が不起訴処分で終了したとしても逮捕歴は捜査機関内に履歴として残ることになります。
逮捕は捜査機関による犯罪捜査をうけたという履歴のため、前歴にふくむことができるともいえるでしょう。
逮捕歴と前科の違いを検証
前科は、刑事裁判で有罪判決を受けた履歴のことでしたよね。
逮捕されただけでは、前科はつきません。
捜査機関に逮捕されたとしても、不起訴処分が獲得できれば逮捕歴は残りますが前科はつきません。
不起訴処分で終わっても、逮捕歴は捜査機関の内部で履歴としてあつかわれることにはなります。
しかし、逮捕歴が一般に公開されることはありません。
住民票や戸籍などにも残ることはありません。
逮捕の事実がマスコミなどによって報道されてしまう可能性があるのも事実です。
SNSなどでニュースが拡散されることで、逮捕歴が公となってしまうケースもあります。
逮捕されただけなのに名前がネットに残ってしまうことで、社会的な影響が大きくあるといえるでしょう。
なお、逮捕歴と検索については『逮捕歴は検索可能?逮捕者の名前は検索で発覚してしまうの?』でも詳しく検討しているので、興味がある方はご覧ください!
就職に前科・前歴・逮捕歴は影響する?
前科・前歴・逮捕歴それぞれの意味についてくわしくみてきました。
それではここからは、これらが就職にあたえる影響はあるのかという点をみていきたいと思います。
単なるイメージに過ぎないことなのか、イメージ通りの影響があるのか、詳しくみていきましょう。
履歴書に前科や前歴、逮捕歴まで書くべき?
民間企業への就職活動や転職活動では、履歴書を持参して面接することが多いと思います。
氏名・生年月日・住所などのほかに学歴や職歴といったご自身の履歴を記載します。
前科や前歴、逮捕歴まで書く必要があるのでしょうか。
答えは…
「賞罰欄」がある履歴書には、前科を記載しなければならない
賞罰の罰とは、刑事罰のことです。
賞罰欄があるにも関わらず、「なし」などと記載すれば不実記載となってしまいます。
刑事裁判で有罪判決の言い渡しをうけた内容を記載しなければなりません。
刑事罰についてなので、前歴や逮捕歴を書く必要はありません。
前科を記載しなければならないのは、賞罰欄がある場合の話です。
すべての履歴書に賞罰欄があるとは限りません。
ハローワークで推奨されている履歴書には賞罰欄はありません。
履歴書作成のポイント
前科を書きたくない場合は、賞罰欄のある履歴書を選ばない
ただ、会社指定の履歴書に賞罰欄がある場合もあるようです。
履歴書をベースに、ご自身の経歴などを採用担当者と話します。
懲役刑を受け、刑務所で何年間か過ごしたとします。
すると履歴書の経歴欄には、空白の期間が生まれてしまいます。
このような場合、採用担当者から空白期間がある理由を確認されるというケースは考えられます。
刑事罰の有無を聞かれなければ、とくにわざわざ答える必要はないかもしれません。
聞かれた場合には、誠実に前科を申告しなければなりません。
前科という事実が消えることはありませんが、申告には期間が存在します。
期間については次の章で解説しますので、最後までごらんください。
前科や前歴を就職先が調べることはある?
採用過程で、就職先が前科や前歴を調べることってあるのでしょうか。
実は、一般企業に個人の前科や前歴を調べる術はありません。
本人の自己申告にゆだねられることになります。
履歴書の賞罰欄に虚偽なく前科や前歴を申告したとすれば、ほとんどの会社では不採用となる場合が多いのが実情のようです。
ですので前科を調べるという行為までいたらないとも考えられます。
公務員、警察官…前科や前歴があると就職・採用されない職とは
前科はその刑の種類にもよりますが、公務員や医師など一定の資格に対して制限がかかることになります。
職業別に、どのような前科があると影響があるのか確認してみましょう。
まずは、地方公務員法の条文を確認してみます。
次の各号の一に該当する者は、条例で定める場合を除くほか、職員となり、又は競争試験若しくは選考を受けることができない。
二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
出典:地方公務員法第16条2項
地方公務員資格の欠格事由が条文に規定されています。
つぎは、国家公務員法の条文を確認してみます。
次の各号のいずれかに該当する者は、人事院規則の定める場合を除くほか、官職に就く能力を有しない。
二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
出典:国家公務員法第38条2項
国家公務員資格の欠格事由が条文に規定されています。
つぎは、弁護士法の条文を確認してみます。
次に掲げる者は、第四条、第五条及び前条の規定にかかわらず、弁護士となる資格を有しない。
一 禁錮以上の刑に処せられた者
出典:弁護士法第7条1項
弁護士資格の欠格事由が条文に規定されています。
さいごに、医師法の条文を確認してみます。
次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。
三 罰金以上の刑に処せられた者
出典:医師法第4条3項
医師免許が与えられない可能性があることが条文に規定されています。
医師の場合、最終処分は医道審議会で審議にかけられて決定するようです。
前科者の就職支援制度とは?
前科者は一定の資格制限をうけたり、仕事・職業の選択肢に幅が出てしまうことにはなります。
とはいえ、働いてお金を稼がないと暮らしていくことはむずかしいです。
刑務所から出所後、お金や身寄りがないと再犯率が上がるともいわれています。
そこで、刑務所出所者など前科者の就職支援が注目されています。
こちらのニュースをごらんください。
「身元引受先がない出所者を面接します」。
札幌市の建設会社が、犯罪にかかわった過去を持つ人々を社員に採用している。(略)
約60人の社員のうち、15人が詐欺や窃盗、器物損壊などの罪で有罪判決を受けた経験がある。(略)
出典:朝日新聞(2017年4月4日13時55分)
ある札幌市の会社が、前科者を社員として採用しているというニュースです。
このように、前科者の更生へ積極的に参加する企業もあるようです。
法務省も就労・就職支援が重要課題として取り組んでいます。
くわしくはこちらをごらんください。
前科・前歴・逮捕歴は消える?
さて、ここからは前科・前歴・逮捕歴は消えるのかという点について解説していきます。
①前科は消える?
前科は「消える」だったり、「消えない」だったり、さまざまな意見があります。
一見さまざまな意見があるように見えるのには、前科の定義が微妙にそれぞれちがうからかもしれません。
- 前科という事実そのもの
- 法的な効力を持っているか
このような差だと思います。
事実そのものは消えません。
一方…
法的な効力を持たなくなった前科は、消えるといってもよいでしょう。
こちらの条文をごらんください。
禁錮以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで十年を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。
罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで五年を経過したときも、同様とする。
出典:刑法第34条の2
法的な効力とは、「刑の言い渡しの効力」のことです。
刑の消滅
刑の執行が終わりまたは執行の免除を得てから一定期間、刑罰に処されないこと
一定期間とは具体的に…
一定期間
禁錮以上:10年
罰金以下:5年
刑の免除:2年
このような期間が経過し刑の言い渡しの効力が失われると、法律上の前科は法律的な効果がなくなります。
市区町村の役場で管理される犯罪人名簿からも消えることになります。
将来の犯罪捜査の資料として、検察庁など捜査機関が保管する前科は消えません。
ただ、一般に前科の情報が公開されることはありません。
②前歴は消える?
前歴は将来の犯罪捜査の資料として検察庁など捜査機関が保管・管理しています。
その点でいうと、前歴は消えません。
ただ、一般に前歴の情報が公開されることはありません。
③逮捕歴は消える?
逮捕歴も前科・前歴と同様に、犯罪捜査の資料として警察など捜査機関が保管・管理しています。
その点でいうと、逮捕歴は消えません。
ただ、逮捕歴も一般に情報が公開されることはありません。
さいごに一言
さいごに弁護士から一言いただきたいと思います。
前科がつくかもしれない…
逮捕されてしまうかもしれない…
被害者がいる場合は、被害者との示談で前科や逮捕を回避することができるかもしれません。
早い段階で弁護士に依頼することで円滑に示談への流れをつくることができます。
一人でなやまずに、法律の専門家に相談するようにしましょう。
まとめ
前科・前歴・逮捕歴それぞれの意味についてくわしくみてきました。
疑問は解消されたでしょうか。
就職面ではどう影響するのかなどにも着目してきました。
前科について知っておきたい情報は『前科をつけずにトラブル解決!逮捕されても諦めないで不起訴を目指す』にまとめているので、興味がある方はご覧ください。
また、前科・前歴・逮捕歴についてほかにも関連記事を用意しています。
あわせてチェックしてみてください。
前科とは?前歴・逮捕歴との違いについてのQ&A
そもそも前科の意味とは?
前科とは、刑事裁判で有罪判決を受けたという履歴のことを言います。逮捕されただけでは、前科はつきません。前科は有罪の確定判決を言い、一般的な用語として使用されています。逮捕→起訴→裁判→有罪確定、という段階を経て前科がつくことになります。刑事裁判にならず、不起訴処分となれば前科がつくことはありません。また、交通違反での「反則金」は、前科にはあたりません。 前科の意味を解説
前科持ち・前科一犯は海外旅行にいけないの?
前科持ち、前科一犯の方は、海外旅行や海外渡航における一定の制約や制限を受ける場合があります。また、前科の種類・内容によっては、渡航用のビザが取得できない、渡航先の国から入国が拒否される場合があります。パスポート申請時に、前科の内容が各都道府県の「刑罰等関係欄」に質問事項に該当していた場合、別途書類や手続きが必要です。申請書類をもとにパスポート発給の可否の検討が行われます。 前科持ち・前科一犯の海外渡航を解説
前科は照会できる?
一般人は、前科を照会する権利はありません。市区町村は、検察からの通知にもとづいて「犯罪人名簿」(犯罪者名簿)を作成しています。禁錮以上の刑に処せられたことがあるなどすると選挙権・被選挙権を有することができないため、その情報を管理保管しておくためのものです。名簿は厳重に保管され、限られた者しか閲覧することができません。役場や捜査機関など、公的機関が前科について回答することはありません。 前科は照会できるか否かについて解説
前歴の意味、前科との違いは?
前歴とは、「捜査機関による犯罪捜査を受けた履歴」、「被疑者として犯罪捜査を受けたことがある過去」のことを言います。法律用語ではなく、明確な定義はありませんが、具体的には逮捕歴や検挙歴を指します。前歴に対して、前科は「刑事裁判を経て有罪判決を受けたかどうか」という意味になります。未成年時に起こした少年事件において、保護観察などの処分を受けた経歴は「前歴」となります。 前歴の意味、前科との違いを解説
前歴があると執行猶予はつかない?
前歴があることで、執行猶予に影響するかどうかは分かりません。前歴の内容、今回の犯罪と前歴の関係性、前歴のついたタイミングなど、さまざまな事情を考慮して執行猶予を付けるかどうかが判断されます。お悩みの場合は、弁護士に事件を精査してもらうことをオススメします。 前歴の執行猶予への影響について解説
前歴は照会できる?
一般人が前歴を照会することはできません。警察など捜査機関が、犯罪捜査の一環とし前歴を照会することはあります。個人的な興味や身辺調査などはもちろん、個人の前歴を照会する方法はありません。前科と同様、前歴も慎重にあつかわれるべき個人情報です。 前歴は照会できるか否かについて解説
逮捕歴の意味、逮捕歴と前科の違いは?
逮捕歴とは、刑事事件の被疑者として逮捕されたという履歴のことを言います。逮捕は、刑事事件の捜査の一環として行われます。事件が不起訴処分で終了しても、逮捕歴は捜査機関内部に履歴が残ることになります。逮捕歴が一般に公開されることはありません。前科は、刑事裁判で有罪判決を受けた履歴のことを言います。逮捕されただけでは、前科はつきません。不起訴処分が獲得できれば逮捕歴は残りますが前科はつきません。 逮捕歴の意味と前科との違いを解説
履歴書に前科や前歴、逮捕歴まで書くべき?
「賞罰欄」がある履歴書には、前科を記載しなければなりません。刑事裁判の有罪判決内容を記載する必要があります。前歴や逮捕歴を書く必要はありません。前科を書きたくない場合、賞罰欄がない履歴書を選ぶことがポイントです。ただし、面接の空白期間において、刑事罰の有無を聞かれた場合、誠実に前科を申告しなければなりません。また、一般企業に個人の前科や前歴を調べる術はありません。 履歴書で前科や前歴、逮捕歴は書くのか
前科者が就けない仕事は?就職支援制度はある?
前科は刑の種類にもよりますが、公務員や弁護士、医師など一定の資格に対して制限がかかることになります。前科者は一定の資格制限をうけたり、仕事・職業の選択肢に幅が出てしまうことにはなります。法務省が前科者への就労・就職支援を重要課題として取り組んでいます。社員として採用を行い、前科者の更生へ積極的な民間企業もあります。 前科者が就けない仕事や就職支援制度を紹介
前科・前歴・逮捕歴は消える?
「前科」については、前科という事実は消えません。しかし、法的な効力を持たなくなった前科は、消えると言えます。刑の執行が終了、または執行の免除を得てから一定期間、刑罰に処されないと、刑の言い渡しの効力が失われます。「前歴」と「逮捕歴」については、警察や検察庁など捜査機関が保管・管理するため、消えません。一般に「前歴」と「逮捕歴」の情報が公開されることはありません。 前科・前歴・逮捕歴は消えるのか