刑事事件と民事事件の違い|両方同時進行もあり得る?実際の事例を紹介
「刑事事件と民事事件ってどう違うの?」
「刑事事件と民事事件が同時進行することってあるの?」
このような疑問をお持ちの方はいませんか?
刑事事件と民事事件では、その意味するところも、手続きの流れもまったく違います。
今回は、
- 刑事事件と民事事件の違い
- 刑事事件と民事事件、両方同時に責任追及される事例
- 刑事事件と民事事件のそれぞれの流れ
について徹底解説していきます。
なお、専門的な解説は刑事事件を数多く取り扱い、刑事や民事の手続き上の差異などにも詳しいアトム法律事務所の弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
ひとつの事件について、刑事事件と民事事件は両面から責任追及されることもあり、それぞれの結果が相互に影響しあう事例もあります。
この記事でしっかり確認していってください。
目次
刑事事件と民事事件の違いとは|行政事件も解説
まずは刑事事件と民事事件、それぞれの違いについて確認していきましょう。
また、日本においては刑事、民事の他に行政上の責任に問われるケースもあります。
こちらもあわせて解説していきます。
刑事事件と民事事件の違い
刑事事件は国家権力が、法律に定められている「罪」を犯した人に対し、責任を追及するものを言います。
民事事件は一般市民が一般市民を訴えて、裁判所の判断によって紛争の解決を目指すものを言います。
それぞれ詳しく見ていきます。
刑事事件は被告人に対する処罰の問題
刑事罰が規定されている法律に違反したとき、刑事事件として取り上げられることになります。
刑事罰の規定がある法律で代表的なのは刑法ですが、それ以外にも
- 道路交通法
- 覚せい剤取締法
- 各都道府県が制定している迷惑防止条例
など、刑事罰の規定がある法律は数多くあります。
つまり刑事事件とは、
- 刑事罰規定のある法律に違反したという事象そのもの
- またその事象に対して国家権力が責任追及する一連の手続き
のことを言うわけです。
民事事件は私人同士の紛争解決の問題
- 貸したお金を返してもらえない
- 会社から解雇を言い渡された
- 不倫相手に慰謝料を請求したい
こういった不満を持っている私人(原告)が、相手方の私人(被告)を訴えて、裁判所を通じて紛争解決を目指す。
こういった事件を民事事件と言います。
民事事件は私人同士のトラブルです。
係争の過程で原告と被告、双方が納得できる着地点が見つかった場合、事態は解決に至ったと言えます。
裁判所の判決が下る前に、双方が納得して争いを終結させることを和解と言います。
和解によって事件の解決ができるという点は、民事事件の大きな特徴のひとつです。
刑事事件では、たとえ弁償を尽くし、被害者の方から許しを得たとしても、それで刑事裁判が終わるわけではありません。
ここで表にまとめてみます。
刑事事件 | 民事事件 | |
---|---|---|
責任追及する側 | 国家権力 | 私人(原告) |
責任追及される側 | 犯罪の被疑者 | 私人(被告) |
和解 | いかなる場合も和解はできない | 双方の合意によって和解できる |
また証拠の取り扱いについても違いがみられます。
刑事事件では、国家権力(警察官や検察官)側が罪を証明する必要があります。
民事事件では、原告被告、双方共に自分に有利な事実については、自分が証明する必要があります。
また証拠の信ぴょう性についても、民事事件よりも刑事事件のほうがより高いレベルを求められます。
行政事件とは
ここまで刑事事件と民事事件についてそれぞれ解説してきましたが、法律上はさらにもうひとつ、
行政事件
というものもあります。
公務員や建造物の所有者、また特別な免許を持っている人などは、行政上の責任を負っている場合があります。
法定された違法行為等を行ったとき、こういった人たちには行政処分がくだります。
例えば、
- 医療事故が起こったので、関係者の医師免許を取り消した
- 業務上の重大な違反について、その企業に対して業務改善命令を下した
こういった事例が挙げられます。
こうした行政処分が不服で裁判所に取り消しを求めたりする訴訟を「行政事件訴訟」といいます。
先に挙げた「行政処分について不服があるから訴える」といった場合の他にも、
- 市役所の建設が税金の無駄遣いであると主張し、建設の中止を求める訴え
- 新規店舗の営業許可の申請をしたのにずっと放置されているので、その不作為(仕事をしないこと)の違法性確認の訴え
などといった訴訟も「行政事件訴訟」となります。
要するに行政事件とは、行政上のあれこれに対する不服を裁判所に訴えたという類型の事件を指すわけです。
刑事、民事、行政、3種類全部に問われる代表例「人身交通事故」
- 刑事上の責任
- 民事上の責任
- 行政上の責任
これら全てに問われる事件として、代表的なのは「人身交通事故」です。
人身交通事故を引き起こしてしまったときには、この3種類すべての責任を追及されます。
刑事、民事、行政の責任追及の仕組みがよくわかるので、ここで紐解いてみましょう。
人身交通事故の刑事上の責任
人身交通事故を起こしたときには、刑事上の責任として、
「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」
一般的には
「自動車運転処罰法」
などと呼ばれていますが、こちらの法律に規定されている罪に問われることになります。
自動車運転処罰法には全6条の条項が定められており、自動車運転によって人を死傷させたときの罰則などが規定されています。
- 特定の危険な運転をして人を死傷させた場合には、自動車運転処罰法第2条「危険運転致死傷罪」
- 運転中に注意を怠って人を死傷させた場合には、自動車運転処罰法第5条「過失運転致死傷罪」
に問われます。
過失運転致死傷罪で起訴にまで至った場合には、7年以下の懲役か禁錮、もしくは100万円以下の罰金に処されることになります。
人身交通事故の民事上の責任
人身交通事故を起こしたときには、被害者の方に対して
「慰謝料や治療費、逸失利益などを支払う」
必要があります。
これを民事上の責任と言います。
交通事故の場合、任意保険会社に加入していれば、賠償金の支払いは基本的に保険会社がすることになるでしょう。
人身交通事故の行政上の責任
人身交通事故においては、車の免許に対しての責任を行政上の責任と言います。
反則行為や事故がある度に、一定の基準に基づいて免許に点数が付加されていきます。
その合計点数が一定の値に達したとき、免許停止や取消の処分が下ることになります。
この免許に対する行政処分に対して、不服があって裁判所に訴えを起こしたようなときは、「行政事件訴訟」という扱いになります。
例えば、人身交通事故について
- 刑事で起訴されて
- 民事で訴えを起こされて
- 行政事件訴訟を起こした
といった場合には、ひとつの人身交通事故につき、3つの見地からそれぞれ裁判所にかかることになるというわけです。
弁護士や法律事務所の方針によって、刑事のみ、刑事と民事のみ、行政含め全分野対応、など取扱い分野が異なりますので、相談時に予め確認しておきましょう。
交通事故の加害者となってしまったときの流れについてより詳しく知りたい方はこちらの記事も参照してください。
「交通事故について3つの責任全て裁判所にかかることになる」
これは実務上は非常に稀…というよりもほぼあり得ないと言ってしまってもいいことです。
ただ、ひとつの事件について刑事と民事の両面から責任追及がなされ、同時に裁判が進行する、といった事例は数多くあります。
続いては、そういった事例を紐解いていくことにしましょう。
刑事事件無罪で民事事件有罪(賠償認定)はあり得る?事例を紹介
刑事事件において、明確に被害者のいるような類型の事件については、そのほとんどに民事上の責任も生じます。
刑事と民事、両方同時に責任追及される代表例「セクハラ」「名誉棄損」
刑事と民事、両面からの責任追及され得る事件について、日常生活の中で比較的身近なものというと
- セクハラ
- 名誉棄損
などが挙げられます。
今回はこの2つについて取り上げて、刑事と民事両面から責任追及される点について具体的に考えていきます。
セクハラの刑事罰と民事上の責任
まずセクハラについて考えていきます。
刑事事件として「セクハラ罪」という罪はありませんが、犯行の態様によっては
- 迷惑防止条例
- 強制わいせつ
- 強要
等の法律によって、刑事罰が科される可能性があります。
迷惑防止条例 |
---|
例えば、東京都の迷惑防止条例では、 ・公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること ・公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること を禁止している。 違反した場合には、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金に処される可能性がある。 |
強制わいせつ |
著しく抵抗が困難な状況に追い込んだ上で身体に触る等のわいせつな行為をしたときには、6月以上10年以下の懲役に処される可能性がある。 ・無理やり強引に抱き着く、体を触る 等の行為について、この強制わいせつに該当し得る。 |
強要 |
脅迫や暴行を用いて、人に義務のないことを行わせたり権利の行使を妨害した者は、強要罪として3年以下の懲役に処される可能性がある。 ・職務上の立場を利用してキスを強要したりした 等の行為については、この強要罪に該当し得る。 |
この他にも、強制性交等罪、準強制性交等罪、軽犯罪法違反、傷害罪などについて成立する可能性があります。
被害者が警察に被害届を出したり、告訴したりした場合、警察の判断で捜査が開始されます。
捜査開始後には刑事手続きが進んでいき、被疑者は刑事責任を追及されることになります。
セクハラにおいては、こうした刑事責任に問われる可能性がある一方で、また民事的にも責任を問われる可能性があります。
民法上、他人の権利を侵害した者は、それによって生じた損害を賠償しなければならないと定められています。
賠償の内容は、精神的損害に対する慰謝料が主になります。
また、セクハラされたことを原因として退職にまで追い込まれたといった場合には、逸失利益も賠償に含まれる可能性があります。
名誉棄損の刑事罰と民事上の責任
名誉棄損に関しては、そのものずばり名誉棄損罪という刑法上の刑事罰が存在します。
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
出典:刑法230条
名誉棄損で刑事罰が科されるのは、
- 不特定多数の人に向けて、
- 故意に、
- その人の社会的地位や評判、事実を毀損した
と認められる場合に限られます。
民事上の責任においては、名誉棄損が認められる条件はもう少し緩いようです。
刑事事件では不起訴でも民事で賠償が認められる事例
一般に、民事事件よりも刑事事件のほうが、事実の認定という面ではより厳格に審理されることになります。
刑事手続きにおいては、「無罪推定の原則」が適用されています。
犯人かどうか少しでも疑わしい点があるときには、被告人を無罪にしなくてはなりません。
被告人が罪を犯したという点について「合理的な疑いを差し挟む余地のない程度の立証」が必要になるのです。
他方、民事事件においては、その事実の証明について「高度の蓋然性」があれば足りるとされています。
起訴に足るだけの証拠がないとして不起訴になった刑事事件について、
「民事事件としては犯行事実を認めて賠償を命じる」
といったケースも珍しくはありません。
刑事事件としては不起訴だが、民事上では事実の認定があった実例
実例としては、こういった事件があります。
事件の経過① |
---|
被害者Aは平成24年4月ごろに行方不明になり、平成25年4月に遺体となって発見された。 |
事件の経過② |
同年同月、Aの遺体を遺棄したという死体遺棄事件の被疑者としてBとCが逮捕された。 BとCは夫婦である。 |
事件の経過③ |
BらはAに暴行を加えて死亡させたという傷害致死事件の被疑者としても再逮捕されたが、この傷害致死の容疑については不起訴となった。 Bらは死体遺棄についてのみ起訴されて、懲役2年2か月の判決が言い渡された。 |
被害者家族はBらの暴行によってAが死亡したと主張して、被告らに対し損害賠償を求める訴えを起こしました。
判決では、Aの死因について、Bらの暴行が直接の原因であるという点について「高度の蓋然性」を認めました。
要するに、民事裁判上では、AはBらの暴行によって死亡したと認められたわけです。
刑事事件で不起訴となっていることと相違があるようにも思えますが、裁判所は以下のように判断を下しました。
(略)
刑事裁判と民事裁判とでは,証拠の証拠能力の制約も求められる立証の程度も同一ではないのであるから,検察官が不起訴処分をしたからといって,そのことにより,民事訴訟である本件訴訟において,本件暴行とAの死亡との間の相当因果関係を肯定することが妨げられるものではない。
(略)
出典:平成30年3月14日 名古屋地方裁判所 事件番号 平成25年(ワ)第5526号
- 「刑事事件で不起訴になったという事実が、民事訴訟での事件等の認定について妨げになるということはない」
と断言されています。
刑事事件と民事事件、それぞれの流れ|同時進行で相互に影響しあう事例も
刑事と民事、両面から責任追及される可能性について確認していただきました。
今度は刑事事件と民事事件のそれぞれの「流れ」について見ていくことにしましょう。
実務上では、刑事と民事、相互の手続きが相互に影響しあう事例も数多くあります。
刑事事件の流れ|警察による逮捕や送検、検察の起訴判断
まずは刑事事件の流れを見ていきます。
刑事事件の流れを大まかに表すと以下のイラストのようになります。
それぞれの段階ごとに詳しく見ていきましょう。
刑事事件の流れ①逮捕、送検
刑事事件は、犯行現場からの通報、被害者やその関係者からの被害届の提出、告訴などによって警察が事件を認知するところから始まります。
事件を認知した警察は、事件に応じて犯人の検挙(身柄の特定)に向けて動き出します。
その際、逮捕の必要がある事件については犯人逮捕を目指すことになります。
誤解されがちなことですが、刑事事件全てにおいて逮捕が行われるというわけではありません。
逮捕は、逮捕の必要性があるときにのみ行われます。
自宅にいながら刑事手続きが進んでいき、一度も留置場などに入ることなく裁判を受けることになるケースもあるのです。
逮捕が必要だと判断された場合、被疑者は最終的に警察署内の留置場に収監され、身柄を拘束されることになります。
逮捕が行われた際、事件担当の警察は原則的に事件を検察に送致します。
これは逮捕が行われてから48時間以内に行われます。
事件を送致された検察は、そこから24時間以内に、勾留請求するかしないかの判断を行います。
刑事事件の流れ②勾留、起訴
検察官には、刑事訴訟法上「勾留」を請求する権利が与えられています。
勾留というのは、逮捕に引き続き被疑者を身体拘束する手続きのことです。
勾留が認められると被疑者は起訴されるまで、原則として最大20日間、留置場に拘束されたままになります。
検察官はこの20日間の間に捜査を重ねていき、最終的に起訴するか不起訴とするかの判断を行います。
不起訴の判断が下されるのは、被疑者が
- 犯人ではないとき(嫌疑なし)
- 犯人だという証拠が不十分なとき(嫌疑不十分)
- 犯人であると疑われるけれども、犯行の状況や反省の有無などに応じて「今回は勘弁してやろう」と検察官が判断したとき(起訴猶予)
です。
検察が受理した刑事事件の不起訴率は毎年おおむね50%~60%ほどです。
そしてその6割の不起訴事件のうち、ほとんどが起訴猶予を理由として不起訴になっています。
刑事事件の流れ③起訴後
起訴後は
- 公判請求
- 略式手続
の2通りの流れが想定されます。
ごく簡単で軽く、また犯行事実に争いのない事件については、正式裁判を開くまでもないこととして略式手続がとられます。
犯行事実に争いがあったり、事件が重大なものについては公判、つまりは正式裁判が開かれることになります。
刑事事件の流れについて、より詳しく知りたい方はこちらの記事も参照してください。
民事事件の流れ|訴状提出から和解、判決まで
民事事件の流れも確認していきましょう。
民事事件では、
- 請求金額が140万円以下の事案は簡易裁判所
- それ以上の金額の事案は地方裁判所
が管轄となります。
民事事件の流れ①訴状や答弁書の提出
民事訴訟は、訴えを起こす人(原告)、訴えを起こされた人(被告)、裁判所の3者によって進められていきます。
まず原告が裁判所に訴状を提出します。
訴状には、
- 原告と被告の氏名、住所
- 請求の趣旨
- 請求の原因
を記載します。
そして、
- 手数料(収入印紙)と関係者に書類を送るための費用
- 訴えの内容を証明できるような書類がある場合にはそういった証拠書類
もあわせて提出します。
訴状に不備がなければ、第1回口頭弁論期日(法定を開く日)を決めるための連絡があります。
日程が決定したら相手方に訴状等が送付され、この時点で訴訟成立となります。
被告は訴状を受けたら、それに対して、
- 「請求の趣旨に対する答弁」
- 「請求の原因に対する認否」
を答弁書に記載し、裁判所に送ります。
民事事件の流れ②口頭弁論と和解、判決
口頭弁論では、双方証拠に基づいて主張や反論などをし、また当事者や証人への尋問などを行います。
必要があれば何回でも口頭弁論は開かれます。
裁判所が判決を出すのに十分な材料が揃ったと判断すると「弁論の終結」が宣言され、「判決言渡期日」が指定されます。
判決言渡期日に法廷に赴くと、そこで判決が言い渡されることになります。
民事裁判においては和解をすることもできます。
和解とは、当事者同士がお互いに譲歩をして、紛争をやめることを言います。
また口頭弁論のさなか、裁判所から「和解勧告」を受けることがあります。
裁判所から「この件はもう話し合いで解決したらどうですか?」と和解をおすすめされるわけです。
裁判が長期に及ぶと、原告被告ともに疲弊してしまいます。
実際の民事裁判において、和解によって紛争が解決される例は多いです。
示談締結によって不起訴になる事例も|刑事と民事の区別
刑事上の責任を伴う民事事件においては、そもそも紛争になるより前に「示談締結」によってその責任を解消するケースも多いです。
被害者側としては、裁判を起こす手間などがなくなり、弁償もされるという点でメリットがあります。
また、加害者側の視点に立ってみても、示談締結には大きなメリットがあります。
「民事上の責任がすでに果たされているかどうか」というのは、刑事事件の起訴、不起訴や量刑の判断に大きな影響を与えるのです。
示談締結で民事上の争いを解決する場合
示談とは、被害者に対して被害の弁償を行い、「これで民事上の責任は果たされた」と双方約束することを言います。
裁判所にかからずに、当事者同士で民事上の争いを終結させるというわけです。
被害者の方の多くは加害者本人と直接会うことを拒否するので、たいていは弁護士を介して示談の交渉が進むことになります。
示談の締結にあたっては、被害者の情況などによって
- 宥恕(加害者に対して処罰を望んでいないこと)の意思を盛り込む
- 被害届を取り下げる
- 告訴を取り消す
といった条件が盛り込まれる場合もあります。
そうしたときには、示談の刑事事件に与える影響もより大きなものとなります。
刑事事件の加害者にとって、刑事手続きの大きな山場は検察による起訴、不起訴の判断です。
刑事事件で不起訴となると、それ以上裁判が開かれたり刑が科されたりすることはありません。
前科もつきませんから、社会復帰も容易になります。
示談の締結は、とくに不起訴処分獲得を目指すうえで重要な要素となります。
示談締結の刑事事件への影響|賠償や告訴の取下げの効果
被害者との間に示談が締結された場合には、
被害者へ反省の態度を示している
被害者の被った被害を弁償している
被害者が重い刑罰に科すことを望んでいない
ことなどを根拠をもってアピールすることができるようになります。
告訴がなければ起訴できない犯罪もあります。
代表的なところでは器物損壊、名誉棄損などがそうですが、こういった犯罪を親告罪と言います。
親告罪について、示談で告訴取り消しを条件に盛り込めた場合には、その時点で不起訴が確定します。
また非親告罪についても、示談の締結は重要です。
検察官による起訴、不起訴の判断においては、
- 犯人の性格、年齢、境遇
- 犯罪の軽重、情状
- 犯罪後の情況
なども勘案されます。
特に初犯で、比較的軽微な犯罪については、示談締結で不起訴になる可能性は大いに高まるのです。
刑事事件と民事事件について疑問、お悩みをお持ちの方は弁護士に相談!
ここまで、弁護士の解説とともにお送りしました。
刑事事件と民事事件の違いや相互の影響についてかなり深いところまで知ることができたのではないでしょうか。
この記事をご覧になっている方の中には、自分の事件に即して具体的なアドバイスが欲しい! という方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、ここからは弁護士に相談できる様々なサービスについてご紹介します。
今すぐ!弁護士無料相談の予約をするなら
こちらの弁護士事務所は、刑事事件の無料相談予約を24時間365日受け付ける窓口を設置しています。
いつでも専属のスタッフから無料相談の予約案内を受けることができるので、緊急の時も安心です。
来所相談は、土日や祝日も可能とのことです。
急を要する刑事事件の相談予約受付ができるので、頼りになりますね。
刑事事件でお困りの方へ
ご希望される方はこちら
24時間365日いつでも全国対応
※無料相談の対象は警察が介入した刑事事件加害者側のみです。警察未介入のご相談は有料となります。
広告主:アトム法律事務所弁護士法人
代表岡野武志(第二東京弁護士会)
ちなみに問合せは、全国対応で受け付けているとのこと。
秘密厳守で、お悩み解決に近づくことができます。
地元の弁護士とじっくり相談したいときは
「対面でしっかり弁護士と相談したい!」
そのようなときはこちらから、全国47都道府県の、刑事事件に強い弁護士を検索することができます。
掲載されているのは、当サイトの編集部が厳選した頼りになる弁護士たちです。
相談してみたい弁護士をぜひ見つけてみてください。
最後に弁護士からメッセージ
では最後に一言お願いします。
刑事事件や民事事件についてお悩みの皆さん。
刑事民事、両面から責任を追及される事件においては、示談を締結し、民事上の責任を解消することが重要です。
刑事手続きが終了したからといって、民事的な責任までなくなるわけではありません。
さらに、刑事事件の早期の段階で示談を締結することができれば、
- 逮捕の阻止
- 早期の釈放
- 不起訴処分獲得
について可能性が高まります。
示談の締結にあたっては弁護士に依頼するのが安心です。
まずはとにかく、弁護士に相談だけでもしてみてください。
まとめ
今回は刑事事件と民事事件の違いや双方の影響などについて解説してきました。
刑事事件、民事事件のまとめ
- 刑事事件とは刑事罰規定のある法律に違反したことや、その後の刑事手続きのことをいう
- 民事事件とは私人同士の紛争について、裁判所を通じて紛争解決を目指す手続きをいう
- 刑事と民事、ひとつの事例について両面から同時に責任追及されるような態様の事件もある
- 刑事事件として不起訴でも、民事事件として責任が認められ賠償が命じられる事例はたくさんある
- 示談締結によって民事上の責任を解消したときには、刑事手続きにも影響がある
当サイト「刑事事件弁護士カタログ」には、他にもお役立ちコンテンツが満載です。
- 下の関連記事でさらに情報を押さえて
- 24時間受付の無料相談窓口
- 全国47都道府県の全国弁護士検索
を活用してください。
当サイトを通して、皆さんのお悩みが解決されたら幸いです!