万引きでは後日逮捕されない?現行犯逮捕以外は難しいのか実例で検証
「ついつい魔が差して、スーパーで万引きしてしまった……」
という場合、不安に思って次のような疑問を抱くこともあるでしょう。
- 監視カメラの映像などにもとづいて後日逮捕されないか
- 逮捕されたその後、実刑を科される可能性はあるのか
このページでは、上記のような疑問を調査していき、皆さんに「万引き事件に関する知識」をご提供していく予定です。
専門的な部分の解説については、数多くの刑事事件弁護を手がけるアトム法律事務所の弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
万引きはその場で現行犯逮捕されることが多い犯罪です。
しかし、後日逮捕されるケースもないわけではありません。
- 後日逮捕される可能性はおよそどれくらいなのか
- 万引きをしてから何日後ほどで逮捕されることが多いのか
などの事柄を、実際の経験や実例などにもとづいた上で解説していきたいと思います。
万引きで後日逮捕(通常逮捕)される確率はどれくらい?|現行犯で逃げたとしても
まず「万引きで後日逮捕されることはあるのか」という本題に入る前に、以下の解説をしていきます。
- 万引きは何罪に抵触するのか
- 「そもそも『逮捕』とは何か」
「万引き」と「逮捕」はそれぞれどういう意味なのでしょうか。
万引きの罪名|窃盗罪に該当する
万引きをすると何の罪に問われるのか?
それは窃盗罪です。
(窃盗)
第235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。出典:刑法235条
上記がその条文ですね。
万引き(窃盗)をすると、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられることになります。
たとえ少額のささいな商品であっても、万引きすれば窃盗罪で逮捕起訴され、前科がつく可能性もあります。
そのため、もし万引きをしてしまった場合は、不安や疑問を解消するためにも弁護士に相談してみることをおすすめします。
万引き(窃盗罪)の刑罰
- 10年以下の懲役
- 50万円以下の罰金
万引きの逮捕の種類|主に現行犯逮捕されることが多い
しかし、「逮捕」と一口に言っても、どのように逮捕されるのがよくある流れなのでしょうか。
万引きをしたその場で捕まえられるのがよくあるイメージだと思いますが、どうなのでしょう。
まず、逮捕は大きく分けて3種類存在します。
逮捕の種類
- 現行犯逮捕
- 後日逮捕(通常逮捕)
- 緊急逮捕
それぞれ詳しくは後述しますが、万引きの場合だと、主に「現行犯逮捕」で逮捕されるケースが多いですね。
「現行犯逮捕」ならよく聞きますが、ほか2つはあまり聞きなじみが無いかもしれません。
では、まずは「現行犯逮捕」から解説していきましょう。
現行犯逮捕
- 「罪を行っている最中か、罪を行い終わった直後」に逮捕状なしで逮捕されることを指す
- 警察官だけではなく私人でも逮捕することが可能
- 罪を行っていた現場を目撃されていなくても、直前まで罪を行っていたことが明らかだとみなされた場合、逮捕状なしで逮捕されることもある(準現行犯逮捕)
万引きの場合だと、
- ① 商品を鞄の中に入れた瞬間
- ② 万引きをして退店しようとした瞬間
このどちらかで万引きGメンなどに捕まえられるパターンが多いですね。
①②どちらも現行犯逮捕の要件を満たしている可能性があるため、私人に逮捕される場合があります。
上のイラストは「現行犯逮捕の流れ」を図式化したものです。
事件発生と同じタイミングで逮捕されていることがわかりますね。
続いて「後日逮捕」について解説していきます。
後日逮捕(通常逮捕)
- 罪を行って現場を離れた後、裁判官から「逮捕状」を発付された警察官等に逮捕されることを指す
- 「後日逮捕」は「通常逮捕」とも呼ばれる
- 警察官が午前6~7時に自宅へやって来て逮捕されるケースが多い
ドラマや映画で刑事さんが「逮捕状ならあるぞ」と言って逮捕するシーンはまさしく「後日逮捕」ですね。
「現行犯逮捕」と異なり、「後日逮捕」は私人から逮捕されることはなく、主に警察官に逮捕されます。
上のイラストは「後日逮捕の流れ」を図式化したものです。
事件発生後、逃走した後に逮捕されていることがわかりますね。
最後に「緊急逮捕」について解説していきます。
緊急逮捕
- 死刑か、刑期の上限が懲役・禁錮3年以上あるいは無期となる重大犯罪の被疑者で、罪を行ったことが明白な場合に逮捕状なしで逮捕されることを指す
- 「緊急逮捕」をした場合は、すぐに裁判官に逮捕状を発付してもらうよう手続きをしなければならない
- 逮捕状が発付されなかったときは被疑者を釈放する必要がある
緊急逮捕は主に重大事件で用いられるようです。
となると、軽微な万引きで緊急逮捕されることは通常無いため、主に考慮すべきは「現行犯逮捕」と「後日逮捕」となりますね。
万引きで逮捕の可能性あり | 万引きで逮捕の可能性あり | 可能性は低い | |
---|---|---|---|
現行犯逮捕 | 後日逮捕 | 緊急逮捕 | |
主な逮捕者 | 誰でも | 警察官等の捜査機関 | 警察官等の捜査機関 |
逮捕タイミング | 犯行中・直後 | 犯行の後 | 犯行直後~ |
逮捕状 | 不要 | 必要 | 逮捕後必要 |
逮捕場所 | 主に現場 | 場所を問わない | 場所を問わない |
万引きで後日逮捕の可能性|後日逮捕の条件とは?
「逮捕」の意味については上述しました。
しかし、やはり万引きだと現行犯逮捕のイメージが強いのですが、果たして後日逮捕されるようなことはあるのでしょうか。
実際、万引きで後日逮捕はありえるのでしょうか。
後日逮捕には次の2つの条件が必要となります。
- 万引きをしたと疑うに足りる相当な理由があること(逮捕の相当性)
- 犯人に逃亡や罪証隠滅をするおそれがあること(逮捕の必要性)
この二つに該当している場合、後日逮捕の可能性があるのです。
犯人がわかれば逮捕できるというわけでもないんですね・・・
これらの条件について、もう少し詳しく見ていきましょう!
万引きで後日逮捕される場合
- 万引きしたと疑えるような証拠がある(相当な理由)
- 逃亡・罪証隠滅のおそれがある(逮捕の必要性)
*両方を満たしてはじめて後日逮捕の可能性あり
①万引きしたと疑えるような証拠がある場合とは?|「相当な理由」の意味
通常逮捕の条文上の要件として、
「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」とは、どのような理由をいうのでしょうか。
「相当な理由」とは、
特定の犯罪の嫌疑を肯定できる客観的・合理的な根拠があること
をいうとされています。
要するに、万引きをしたという客観的な証拠が存在するということですね。
主に次のような証拠が存在すると、後日逮捕の可能性が高まります。
重要
- 防犯カメラの映像
- 盗品が自宅にある
- 周囲の人々の証言
現場から逃走した後、これらから万引きが発覚し、後日逮捕された例も存在します。
証拠の捜査方法については後ほど詳しく見ることにして、「逮捕の必要性」について見ていきましょう。
②逃亡・罪証隠滅のおそれがある場合とは?|「逮捕の必要性」の意義
では、「逮捕の必要性」の要件についても確認していきましょう。
この逮捕の必要性の要件が規定されている条文は、刑事訴訟法199条2項ただし書や、刑事訴訟規則143条の3です。
「逮捕の必要」がないときは、逮捕状が発付されません。
この「逮捕の必要」とはどのように判断されるのでしょうか。
逮捕の必要性の有無は、
- 被疑者の年齢、境遇、犯罪の軽重・態様その他諸般の事情が総合的に考慮され
- 「逃亡のおそれ」「罪証隠滅のおそれ」の有無
などによって、判断されます。
逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれが認められた場合、逮捕の必要性という要件が満たされます。
たとえば、万引きをしたのが会社員だったとします。
この会社員のケースで、「逃亡のおそれ」や「罪証隠滅のおそれ」について検討してみましょう。
逃亡のおそれ
このような会社員の場合、仕事を失うリスクがありますので、通常は逃亡しないと考えられます。
扶養家族がいるケースなどは、なおさらです。
そうすると、「逃亡のおそれ」はないということになります。
罪証隠滅のおそれ
罪証隠滅とは、犯罪事実の存否や情状に関係のある証拠を隠し、証拠に不当な影響を与えることです。
これには、被害者に圧力を加えてその供述の変更を迫ったり、共犯者と口裏合わせをするというようなことも含まれます。
したがって、
- 万引きの被害届を取り下げるよう被害者に執拗に迫ったり
- 共犯者と万引きを否認するための口裏合わせをしたり
といった可能性がある場合、罪証隠滅のおそれにあたります。
罪を認めて真摯に反省していたり、被害者と示談を済ませているような場合には罪証隠滅のおそれもないと言えるでしょう。
万引きの後日逮捕の証拠は?|捜査手法を紹介
逮捕の条件を確認したところで、後日逮捕(通常逮捕)には「逮捕の理由」が必要なことがわかりました。
「逮捕の理由」とは、万引きをした客観的な証拠があるということも先に述べた通りです。
そこで、客観的な証拠を集めるための万引きの捜査は、どのようにされるのでしょうか。
万引き被害について、店側によって被害届を提出されることによって警察の捜査が開始されます。
その後、
- 防犯カメラの映像や
- 転売履歴
などが通常逮捕の証拠になります。
このほか、車のナンバーや、指紋なども万引きの証拠になるようです。
市内のドラッグストアで商品を万引したとして、(略)署は26日、窃盗容疑で、(略)中学校の常勤講師(略)容疑者(略)を逮捕した。「自分のお金が減ってしまうことが嫌だった」と容疑を認めている。
逮捕容疑は7月17日午後4時5分ごろ、(略)市内のドラッグストアで、馬油や350ミリリットルの缶酎ハイ計6点(販売価格約5700円)を盗んだとしている。
同署によると、(略)容疑者はトートバッグに精算前の商品を入れて店外に出ようとしたが、出入り口に設置された万引防止用のセンサーが反応。男性店員が声をかけたが、軽乗用車で逃走したという。車のナンバーから(略)容疑者が浮上した。
出典:産経WEST(2016.10.26 14:04)
万引きの通常逮捕は、車のナンバーが証拠になることも多いようです。
靴用品店で今年4月、男性店長が靴を万引した男に車をぶつけられ軽傷を負った事件で、(略)署は(略)容疑者(25)を逮捕したと発表した。(略)同署によると、店長が車のナンバーを覚えており、(略)容疑者の関与が浮上したという。
出典:産経WEST(2015.9.9 12:46)
また、指紋も、万引き逮捕の重要な証拠になります。
下のニュースは、証拠偽造に関する報道です。
このニュースを読むと、指紋照合がどれだけ重要な証拠になるか知ることができます。
鑑識係長が、署で採取した容疑者の指紋を現場や証拠品などから取ったと偽り、複数の捜査報告書を偽造した疑いがあると発表した。
(略)
署の機械で採取した万引きや暴行などの容疑者の指紋を現場や盗品などから取ったように見せるため、捜査報告書に虚偽の説明などを記していた。鑑識活動では証拠品などから取った指紋は県警内で評価が高いとされ(略)ている(略)県警は被害額が軽微な窃盗事件や、被害者との示談を終えるなどした微罪処分の事件が大半で、検察に送検せず、容疑に争いのない事件に限って偽造していたとしている。
出典:毎日新聞2016年12月27日 21時01分(最終更新 12月28日 00時42分)
このような捜査過程で、万引きの疑いをかけられて警察から電話がくることもあります。
次の項目では、逮捕の方法についてみていきましょう。
後日逮捕の当日はどういう流れ?
通常逮捕の方法は、逮捕状にもとづいて逮捕されるものです。
逮捕の方法として考えられるパターンは、
家に警察が来て、逮捕状にもとづいて逮捕される
というパターンが考えられます。
また、警察から電話が来て、任意出頭を求められるケースもあるでしょう。
この場合、任意出頭後、万引き容疑に関する取り調べを受けることになります。
この取り調べの事情聴取で、万引き容疑が固まり、その後通常逮捕されるというパターンも考えられます。
警察から電話が来た場合、万引きで捕まらないようにしたいと思って、電話を無視するということは得策ではありません。
電話を無視したことで、「逃亡のおそれ」があると判断され、すぐに逮捕状が出されてしまう可能性もあるからです。
警察から電話が来たときは、弁護士に相談してその後の事情聴取の準備をしておきましょう。
警察から電話が来たときは、慌てずに冷静に弁護士さんに連絡しましょう。
万引きから何日後に後日逮捕されるか、逮捕までの日数は
万引きしてから2か月以内に逮捕されることが多い
- 万引きをした
- 証拠もある
- 逃亡・罪証隠滅のおそれあり
後日逮捕に必要な条件がすべて揃っている場合、万引きをしてから何日後に逮捕されるケースが多いのでしょうか。万引きから逮捕までの日数の目安はあるのでしょうか。
万引きをしてから、逮捕状を請求される証拠が集まるまでに、およそ1~2か月程度はかかるのがその理由です。
意外とかかりますね……。
1~2か月、日数にして30~60日かかるとなると、万引きしたことを忘れかけていたタイミングに逮捕されることもありえそうです。
万引きをしても何日後からは逮捕されない、なんてことはある?
それでは、万引きをした後、2か月以上経てば後日逮捕されるようなことは無いのでしょうか。
2か月経てばもう安心、というわけにはいきません。
なかには万引きから1年以上経ってから逮捕される事例もあります。
ただし、窃盗罪が終わったときから7年が経てば公訴時効を迎えます。
公訴時効を迎えると検察官が事件を起訴できなくなりますので、捜査・逮捕をされることはなくなるのが通常です。
さすがに2か月以上とはいきませんが、万引きをしてから「7年」起訴されなければ裁判になることは無いようですね。
ただ、さすがにそこまで経ってから逮捕されるようなことはなかなか珍しいので、逮捕されるときは基本的には「2か月以内」になるでしょう。
万引きの時効については『万引きの時効は何年で迎える?|刑事・民事の時効をそれぞれ解説』で特集しています。
ここでも、万引きをしてから逮捕されるまでの期間と時効について表でまとめておきます。
現行犯逮捕 | 後日逮捕 | |
---|---|---|
一般的な逮捕時期 | 犯行中・直後 | 犯行後~2か月 |
公訴時効 | 7年 | 7年 |
後日逮捕の件数はどれくらいか
しかし、気になるのは万引きをして逃走した後、何件ほどが後日逮捕されているのかという点ですね。
万引きで後日逮捕された事例はあまり聞いたことが無いのですが、具体的にどれくらい後日逮捕されているのでしょうか。
警察庁の犯罪統計によれば、令和2年に万引きで検挙されたのは51,622人で、そのうち10,988人が逮捕されています。
万引きで実際にどのくらい後日逮捕がなされているかご紹介します。
万引きの逮捕件数(令和2年)
- 現行犯逮捕:7,395件
- 通常逮捕(後日逮捕):3,068件
- 緊急逮捕:525件
万引きで検挙されるとおよそ5人に1人は逮捕されていることになりますね。
しかも、逮捕のうち約3割が後日逮捕とはびっくりするデータです。
万引きの逮捕人数
現行犯逮捕 | 後日逮捕 | 緊急逮捕 | |
---|---|---|---|
件数 | 7,395人 | 3,068人 | 525人 |
割合 | 67.3% | 27.9% | 4.7% |
万引きの検挙率については『万引きの検挙率を犯罪白書からチェック!東京は低いって本当?』で特集しているので、是非ご覧ください。
現行犯逮捕と後日逮捕(通常逮捕)の流れを実例を交えて解説
この章では、以下の内容を解説していきます。
- 万引きで現行犯逮捕された事例
- 万引きで後日逮捕された事例
- 逮捕されたその後の流れとは
実例を知ると流れがわかりやすいので、確認していきましょう。
ショッピングモールで万引きして「現行犯逮捕」されたニュース
万引きの現行犯逮捕ですぐ連想されるのは、スーパー、雑貨店、百貨店での食品、日用品、衣類の万引きでしょうか。
中でも、大型ショッピングモールなどは万引き被害が大きそうですよね……。
実際、ショッピングモールで肉類を万引きして逮捕された件がニュースにもなっていました。
高級ステーキ肉などの食料品や生活雑貨計61点(約11万円相当)を万引したとして、兵庫県警伊丹署は(略)を逮捕した。
(略)ステーキやしゃぶしゃぶ、すき焼き用の高級肉約4キロなどを盗んだ疑い。男が商品をカゴに入れ、カートに乗せたまま1人で店外に出たところを警備員に見つかった。
出典:神戸新聞NEXT 2017/1/1 14:13
カートに乗せたまま商品を万引きする、というなかなか豪快な手段ですね。
ショッピングモールで万引きして「後日逮捕」されたニュース
もちろん、後日逮捕された事例もありますよ。
北海道名寄市のショッピンセンターでバッグを万引きした疑いで、約120キロ離れた町に住む58歳の女が、21日、逮捕されました。(略)
女は、8月14日午後、北海道北部の名寄市内のショッピングセンター1階にある雑貨店で、トートショルダーバッグ(販売価格3850円)1つを万引きした疑いが持たれています。
警察は、ショッピングセンター内の防犯カメラに、女が車で店舗を訪れる様子などが記録されていたことから、女の身元を特定し、事件から1か月余り経った今月21日、逮捕しました。
出典:HBC北海道放送 2022/9/22
https://www.hbc.co.jp/news/069e181dea8f2262521397e3adfe2cec.html
こちらのニュースでは、防犯カメラの映像をもとに約1か月後に逮捕されていますね。
「後日逮捕」は1年後でもある?ネットオークションで盗品を転売して発覚した事例も
さて、「後日逮捕される場合は2か月以内の場合が多い」と前述しましたが、1年以上経ってから後日逮捕されることもありえます。
1年以上経ってから被害届が出され、警察に事件が認知され、そこから逮捕される場合もあるためです。
なお、最近だと「ネットオークション」などで盗品を転売したのがきっかけで足がつき、後日逮捕されるケースもあるようです。
実際、某フリーマーケットアプリは上場するにあたって盗品対策の仕組みを強化したようです。
下の記事にもあるように、盗品を出品した際に警察へ連絡される可能性がこれまでよりも向上したことがわかります。
(略)新たに初回の出品時に住所・氏名・生年月日の登録を必須化すると発表した。(略)における違法・規約違反行為への抑止力強化の一環として実施する。(略)
従来より行っている警察・捜査機関との連携も、さらに強化する。(略)犯人の特定・逮捕に繋がるなど、一定の成果を挙げていると同社では説明する。
出典:CNET Japan 2017年10月12日 11時58分
「万引きをした商品をネットオークションなどで売りさばく」
こういったユーザーが今後は減ることになるでしょうから、購入者の方はより安心して利用できるようになりますね。
逮捕されたその後の流れ、実刑はどれくらいになる?
万引きで逮捕された後は「勾留」され、「起訴」されるかどうか決められる
万引きをして逮捕された場合、下のイラストのような流れで手続きが進んでいくことがあります。
住居不定・罪証隠滅のおそれ・逃亡のおそれなどがある場合、「被疑者勾留」され、仕事などに支障をきたす場合もあります。
「被疑者勾留」とは、
起訴されるかどうか決まるまで、留置所・拘置所で被疑者の身柄が拘束されること
を指します。
原則として最大20日間「被疑者勾留」され、起訴されると裁判が行われます。
万引きと逮捕後の流れは『万引きで警察に逮捕されるとどうなる?その後の流れを解説』で詳しく説明しているので、是非ご覧ください。
こちらのページで逮捕されてから判決が下されるまでの流れがひと通りわかります。
万引きで実刑はありうる?初犯だと基本は罰金刑、再犯だと懲役の可能性アップ
では、
万引きした→起訴→有罪判決
となり、刑罰を受けることになった場合、実刑はありうるのでしょうか。
実刑とは
執行猶予のつかない自由刑の俗称
(「自由刑」…懲役刑など、受刑者の身体を拘束して自由を奪う刑罰のこと)
「実刑」なので、罰金は対象に入りません。
執行猶予なしで懲役・禁錮・拘留刑が科せられることが実刑の対象です。
万引き事件のニュースを見ても、執行猶予がついていたり罰金刑で終わっているケースが多い印象ですが……。
ただ、主に以下のような場合だと実刑の可能性も出てきます。
重要
- 執行猶予中(直後)に万引きをした
- 同種前科がある
確かに、執行猶予中に万引きをしたり、万引きの前科があった場合は、「反省していないのでは?」と思われて刑罰が重くなってもおかしくありませんね。
実際、以下に引用する記事では、同種前科のある男が再び万引きをしてしまい、懲役5年の実刑判決が下されていました。
「被告人を懲役5年に処する」(略)
この男性は2011年、同じく常習累犯窃盗で懲役4年6月を言い渡された。刑務所に服役し、刑期満了で出所したのが今年1月。そのわずか2カ月後に、再び窃盗行為に及んだ。
出典:毎日新聞2016年12月13日 10時52分
刑務所から出所した2か月後に再び万引きし、また懲役刑が科せられたそうです。
執行猶予なしで懲役5年はとても重く感じますね……。
常習的な万引き犯は「常習累犯窃盗」に抵触し、実刑が下されることもある
懲役に処せられた者が、刑の終了または免除の日から5年以内に有期懲役に処せられる罪を犯したとき、刑が加重されます。
それを累犯といいます。
一般的に累犯の刑罰は重くなる傾向があるため、累犯の万引きなら実刑判決を下されても仕方がないのかもしれません。
それに、窃盗罪は累犯が多い犯罪なので、特別法で「常習累犯窃盗」というものも定められています。
これに抵触すると「懲役3年以上」を科せられる可能性があります。
常習トシテ前条ニ掲ゲタル刑法各条ノ罪又ハ其ノ未遂罪ヲ犯シタル者ニシテ其ノ行為前10年内ニ此等ノ罪又ハ此等ノ罪ト他ノ罪トノ併合罪ニ付3回以上6月ノ懲役以上ノ刑ノ執行ヲ受ケ又ハ其ノ執行ノ免除ヲ得タルモノニ対シ刑ヲ科スベキトキハ前条ノ例ニ依ル
出典:盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律 第3条
上記が常習累犯窃盗の条文です。
要約すると、次のようになります。
常習累犯窃盗
- ① 過去10年間、窃盗罪で6月以上の懲役刑を3回以上科せられた(執行猶予を過ごし、執行を免除された場合含む)者が
- ② 常習として窃盗を行うこと
常習累犯窃盗に抵触すると「3年以上20年以下の懲役刑」を科せられる可能性があります。
なお、万引き事件は起訴されても、
初犯だと罰金刑になりやすい
という特徴もあるため、いかに累犯だと重い刑罰が科せられるかということがおわかりになったのではないでしょうか。
懲役期間 | 罰金額 | 実刑の可能性 | |
---|---|---|---|
初犯*1 | 10年以下 | 50万円以下 | 低 |
前科あり | 10年以下 | 50万円以下 | 中~高*2 |
執行猶予中 | 10年以下 | 50万円以下 | 高 |
執行猶予直後 | 10年以下 | 50万円以下 | 高 |
常習累犯窃盗 | 3年以上20年以下 | – | 極高 |
家族の方でも万引きを弁護士に相談できます!
以上、
- 万引きで逮捕される流れ
- 万引きで後日逮捕される場合
- 万引きで実刑が下される場合
など、様々なことを本ページで紹介しました。
今回解説した内容が皆さんのお役に立てれば何よりです。
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いかがでしたでしょうか。
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まとめ
このページを最後までご覧になってくださった方は、
まとめ
- 万引きでも後日逮捕される可能性がある
- 初犯の万引きは起訴されると「罰金刑」が科せられることが多い
- 累犯なら万引きでも実刑処分が下される可能性あり
ということなどについて、理解が深まったのではないでしょうか。
さらに万引き事件の事例を知りたい方や、相談したい方は無料相談窓口をご利用ください。
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また関連記事もご用意しましたので、関連する他記事もぜひご覧になってみてください。
このページが、万引き事件に関心を寄せられている方のお役に立てれば何よりです。
万引きで後日逮捕、逮捕の流れについてのQ&A
万引きは何罪?そもそも『逮捕』とは何か?
「万引き」は窃盗罪です。万引き(窃盗)をすると、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられることもあります。また、窃盗罪で逮捕起訴され、前科がつく可能性もあるのが特徴です。逮捕は「現行犯逮捕」、「後日逮捕(通常逮捕)」、「緊急逮捕」の3種類が存在します。万引きの場合、主に「現行犯逮捕」で逮捕されるケースが多いのが特徴です。 万引きの犯罪名と逮捕について解説
万引きで後日逮捕される可能性はある?
万引き(窃盗罪)でも後日逮捕される可能性はあります。防犯カメラの映像、盗品が自宅にある、周囲の人々の証言などによって、万引きが発覚します。現場から逃走した後、後日逮捕された例も存在します。また、万引きしたと疑えるような証拠がある場合、逃亡・罪証隠滅のおそれがある場合、後日逮捕の可能性はあります。 万引きで後日逮捕される可能性はあるのか
万引きから何日後に後日逮捕されるケースが多い?
万引きをしてから後日逮捕されるまでに掛かる時間は、1か月から2か月ほどになることが多いです。万引きをしてから、逮捕状を請求される証拠が集まるまでに、およそ1か月から2か月程度は掛かってしまうからです。 万引きから何日後に後日逮捕されるのか
万引きの後日逮捕の件数はどれくらいなのか?
法務省発表の2017年度版『犯罪白書』より、万引きの「認知件数」と「検挙件数」、窃盗罪の「逮捕率」の数字を紹介します。万引きの認知件数は約11万2千件、検挙件数は約7万4千件。窃盗罪全体(現行犯逮捕含)の逮捕率は31.61%です。目安として、窃盗罪で検挙されるとおよそ3人に1人は逮捕されていることになります。後日逮捕件数はさらに少ないと推測されます。 万引きの後日逮捕の目安の件数を紹介
万引きで逮捕された後の流れ、実刑はどれくらい?
逮捕後48時間以内に検察官に事件が送致されます。24時間以内に勾留が請求されなければ、釈放されます。勾留が認められると、最初は10日間、勾留延長されるとさらに10日間、最長23日間を留置所や拘置所で過ごすことになります。万引きは初犯の場合、実刑を受ける可能性は低いです。万引きを再犯した場合、執行猶予なしで懲役3年以上の実刑が科せられる可能性がアップします。 万引きで逮捕された後の流れと実刑を解説