検察庁からの呼び出しは不起訴・罰金の分岐点|呼び出し後の流れや処分を解説
「検察庁からの呼び出しが来た…」
自分の処分がどのように決定されるのか気になりますよね。
- 呼び出されたら、不起訴はない?
- 罰金は覚悟したほうがいい?
こういった疑問におこたえすべく、当編集部が総力をあげて取材しました。
目次
不起訴や罰金といったことを聞くなら、法律の専門家に伺うしかないですよね。
法律部分の解説に、アトム法律事務所の弁護士をお招きしています。
検察庁からの呼び出しで気になるのは、不起訴や罰金といった処分についてだと思います。
刑事事件を数多く担当してきた経験にもとづいて、お話していきたいと思います。
よろしくお願いします。
不起訴で終わるのか、罰金があるのか、気になることが多いと思います。
こちらの記事でくわしく解明していきたいと思います。
それでは、みていきましょう。
スピード違反・交通事故では検察庁から呼び出しを受ける?
スピード違反・無免許運転・信号無視どの交通違反、当て逃げや死亡事故などの交通事故を起こして、検察庁から呼び出しをうける方が多いようです。
呼び出しまでの期間日時については、『検察庁の呼び出しで気になる時間の問題。呼び出しまでの期間や時間変更の可否を解説』をご覧ください。
事件の目撃者であり、参考人として呼び出しをうけることもありますが、ここでは被疑者(=容疑者)として呼ばれた場合についての情報をご提供していきます。
スピード違反や交通事故で検察庁から呼び出しを受けるケースというのは、二つのパターンが考えられます。
- ① 取り調べのための呼び出し
- ② 略式罰金の承諾書にサインさせるための呼び出し
の二つのケースです。
①と②が同時に行われることも多いです。
略式罰金とは、法廷での裁判を開かず、裁判官が証拠の書類を確認するのみで罰金刑を言い渡すことです。
簡易な手続きであることから、「略式罰金手続」と言います。
略式手続は、つぎのような流れになります。
略式罰金の流れ
1.検察官の取調べ時に、略式手続の説明がされる
2.略式手続を受け入れる場合は、承諾書にサインする
3.検察官は、裁判所に略式手続する旨の記録を送る
4.裁判官は、検察官から送られた記録を検討し、罰金刑にすべきなら略式命令を出す
5.裁判所から「略式命令」が届き、記載されている額を検察庁で支払うか、金融機関から振り込む
ドラマでよく見るような裁判は、公判といいます。
検察官が起訴をしたあと、公開の法廷に裁判官・検察官・弁護人と被告人が集まって事件について審議し、裁判官が有罪・無罪と刑罰の大きさを決めて言い渡します。
公開法廷での審議の有無が正式な裁判と略式の裁判の違いといえます。
不起訴か罰金かを検察庁に問い合わせてもいいのか
検察庁から呼び出しを受けた場合、
不起訴か罰金かを検察庁に問い合わせてもいいのだろうか?
と疑問に思うかもしれません。
もし、罰金になるのなら、お金などを事前に準備しておきたいものです。
刑事処分について、検察庁に問い合せを入れること自体は問題ありません。
ですが、検察側から明確な回答を得ることはできません。
- 不起訴になるのか
- 罰金になるのか
これは、検察庁に行ってみるまでは分からない、というのが実際です。
どのような判断がくだされるのかは、検察庁に行くまでは分かりません。
呼び出しを拒否・無視した場合は?出頭して来ない人の末路
検察庁から呼び出しがあるのは、警察官の事情聴取・取り調べを受けた後に検察官へと送致されたケースだと想定されます。
「事件のことはもう話したし、忙しいから行きたくない」と思って、呼び出し拒否や無視をしたくなってしまうかもしれません。
しかし、呼び出しの拒否や無視は、お勧めできません。逃亡や証拠隠滅の恐れがあると判断された場合、逮捕・勾留請求をされて、長期間、身柄拘束される可能性があるからです。
身柄拘束というのは、警察署の留置場や拘置所から出られない状態で、勾留となると期間が10~20日に及ぶので、生活上の不利益が大きいです。
忙しい場合でも出頭して真摯に対応した方が良い結果を得られる可能性が大きいです。
不起訴の可能性はあるの?検察庁から呼び出しをうけたら
検察庁の不起訴処分とは?その意味を解説
検察庁から呼び出しを受けたら、不起訴となるかどうかがまず気になります。
そもそも不起訴とはいったいどういう意味なのでしょうか?
不起訴とは、検察官が受理した刑事事件を起訴しないと判断した処分のことです。
不起訴の3つの種類について、それぞれ一つずつくわしくみていきましょう。
嫌疑なし
捜査の結果、真犯人が判明したり、被疑者の行為が犯罪にはあたらないと判断されたりして、疑いが晴れること
嫌疑なしを獲得するには…
- 他に真犯人がいること
- アリバイがあること
- 目撃証言が嘘であること
このような観点から、アプローチしていくことになります。
嫌疑不十分
捜査の結果、裁判において有罪を証明する証拠が不十分であること
嫌疑不十分を獲得するには…
- 証拠の量が少ない
- 証拠の質が悪い
- 客観的な証拠とはいえない
このような観点から、アプローチしていくことになります。
起訴猶予
捜査の結果、裁判において有罪を証明する証拠が十分にあっても、検察官の判断によって不起訴と判断されること
起訴猶予を獲得するには…
- 性格や年齢、境遇を考慮してもらう
- 犯罪の軽重や情状を考慮してもらう
- 犯罪後の情況を考慮してもらう
「犯罪後の状況」を具体的にいうと、被害者に対する
- 反省の有無
- 謝罪
- 示談、被害弁償
このような対応が行われているかどうかという点になります。
交通事故の不起訴については『交通事故の不起訴で前科・罰金を回避。検察庁の通知・呼び出しにどう対応?』で詳しく解説しているので、是非見てみてくださいね。
不起訴なら前科はつかない
不起訴には3つの種類があることを説明してきました。
どの不起訴処分であろうと、不起訴を獲得できるかどうかが重要なポイントとなります。
前科とは、「刑事裁判で有罪判決を受けた経歴」のことです。
不起訴処分がくだされれば、そもそも刑事裁判は行われません。
つまり、前科はつかないということです。
刑事裁判が行われることになり、そこで前科を回避しようとするなら…
無罪判決を獲得する必要があります。
ですが実情として、日本の刑事裁判における有罪判決は99%にもおよぶと言われています。
刑事裁判で無罪判決を獲得することは、容易ではありません。
ですので、不起訴を獲得できるかどうかは、前科回避に大きなポイントとなるのです。
不起訴の種類についてポイントを整理しておきます。
表をご確認ください。
ポイント
3つの不起訴について
意味 | 前科 | |
---|---|---|
嫌疑なし | 犯罪の疑いが晴れた | つかない |
嫌疑不十分 | 犯罪の証拠が不十分だった | つかない |
起訴猶予 | 犯罪の証拠はそろっているが、起訴する必要性が乏しかった | つかない |
ちなみに…
逮捕されると前科がつくようなイメージをお持ちの方がいらっしゃいます。
これは、「前歴」であって、前科ではありません。
前歴とは、有罪判決以外の刑事手続き上の経歴のことです。
前科と前歴は、有罪判決を受けたかどうかという点が大きな違いになります。
前科が与える影響について、くわしく調査された記事を紹介します。
こちらもあわせてチェックしてみてください。
検察庁に呼び出しを受けたら罰金確定?罰金なし?
罰金=起訴…前科がつく!
罰金か罰金なしかということも、検察庁から呼び出しを受けたら気になるところです。
お金が必要になるという点も大きいですが…
罰金になれば、前科がつくことになります。
刑務所に入ることだけが、前科がつくということではありません。
罰金とは罰金刑のことであり、有罪判決の種類の一つです。
一定の金銭の支払いを強制される刑罰です。
検察庁に呼び出されたからといって、必ずしも罰金になるとは限りません。
呼び出しは、事件捜査の一環です。
検察官が取り調べを行い、起訴するかどうか判断します。
起訴つまり刑事訴訟を起こすかどうかは、検察官の判断にゆだねられます。
罰金刑は有罪判決ですから、罰金刑がくだされれば前科がつきます。
前科がつくと、公共の機関に名前が登録されることになります。
- 検察庁内部のデータベース
- 市町村役場の犯罪人名簿
犯罪人名簿は、一定期間が経つと削除されます。
普通の日常生活を送る分には、前科があることを他人に知られることは、通常はありません。
ただし、前科について自ら申告するよう求められることがあります。
- 就職活動で必要な、履歴書の「賞罰」欄
- 海外旅行でビザが必要な国へ行くとき
このようなときは、警察署から「犯罪経歴証明書」を発行してもらい、提出する必要があります。
検察庁から呼び出し…不起訴・罰金の可能性を弁護士相談で聞きたいなら
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不起訴の可能性をあげたい…日本全国から弁護士をさがすなら
地元の弁護士を見つけたい!
検察庁に呼び出されるということは、検察官と会うってことですよね。
法律の専門家に話を聞かれるとなると、緊張しそうです。
あらかじめ、弁護士と打ち合わせをして、呼び出し時のアドバイスが欲しいと思います。
では、そう思ったらまずはどう行動しますか?
- タウンページから法律事務所を探す
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- 罰金を支払う必要があるのか
といったことを、弁護士に「会って」聞くことができます。
法律事務所の口コミ・概要などもチェックすることができます。
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さいごに一言アドバイス
さいごに一言、アトム法律事務所の弁護士からアドバイスをいただきたいと思います。
刑事事件の弁護活動は、できるだけ早く対応することが重要になってきます。
初期段階から対応できれば、弁護士としての活動の選択肢が増えます。
つまり、不起訴の可能性もグッと高くなるといえるでしょう。
検察庁から呼び出しを受けた後の段階であっても、遅いということはありません。
弁護士はあなたの味方となってくれます。
困ったと思ったとき、すぐに弁護士を探して、相談するようにしてください。
まとめ
検察庁に呼び出されたら…
不起訴になるのか、罰金を支払うことになるのか、という内容に焦点をあててきました。
いかがでしたでしょうか?
ご自分の事件では、いったいどのような判断がくだされるのか不安だという方は、
これらを使って、弁護士に質問したり、話を聞いてもらいましょう。
ほかにも検察庁の呼び出しに関する関連記事も用意しています。
あわせてチェックしてみてくださいね。
検察庁の「呼び出し」は不起訴or罰金のQ&A
スピード違反・交通事故で検察庁から呼び出しは?
スピード違反や交通事故で検察庁から呼び出しを受けることはあります。呼び出し理由は、2つのパターンが考えられます。「①取り調べのための呼び出し」、「②略式罰金の承諾書にサインさせるための呼び出し」の2つのケースです。①と②が同時に行われることも多いです。略式罰金とは、法廷での裁判を開かず、裁判官が証拠の書類を確認するのみで罰金刑を言い渡すことです。 スピード違反・交通事故での呼び出し理由
不起訴か罰金かを検察庁に問い合わせてもいい?
刑事処分について、検察庁に問い合せを入れること自体は問題ありません。ですが、検察側から明確な回答を得ることはできません。不起訴になるのか、罰金になるのかは、検察庁に行ってみるまでは分からない、というのが実状です。 検察庁に処分を問い合わせることについて
検察庁から呼び出しで不起訴の可能性はある?
「嫌疑なし」、「嫌疑不十分」、「起訴猶予」と判断された場合、不起訴になる可能性があります。「嫌疑なし」とは、犯罪の疑いが晴れたことを言います。「嫌疑不十分」は犯罪の証拠が不十分だったことを言います。「起訴猶予」は、犯罪の証拠が十分にあっても、検察官から起訴する必要性が乏しいと判断されることを言います。また、不起訴処分が下ると刑事裁判は行われず、前科はつきません。 検察庁から呼び出しで不起訴の可能性を解説
検察庁に呼び出しを受けたら罰金確定?罰金なし?
検察庁に呼び出されたからといって、必ずしも罰金になるとは限りません。呼び出しは、事件捜査の一環です。検察官が取り調べを行い、起訴するかどうか判断します。起訴する、つまり刑事裁判を起こすかどうかは検察官の判断にゆだねられます。罰金刑は有罪判決ですから、罰金刑が下れば前科がつきます。前科がつくと、公共の機関に名前が登録されることになります。一定期間が経つと削除されます。 検察庁から呼び出しを受けた際の罰金を解説