国選弁護士の示談交渉|費用・報酬は不要?所要期間や方法を調査してみた
ある日突然、大切な家族が逮捕された…
すぐにでも被害者に謝罪をしたいとお考えではありませんか?
示談交渉の中で、しっかり被害弁償をすることも大切なことです。
そこで、弁護士が必要になるのですが…
すでに国選弁護士がついていますか?
- そもそも国選と私選の違いって?
- 国選弁護士が話を聞いてくれない?
- 国選弁護士のやる気が見えない?
不安なときだからこそ、しっかりした弁護士に依頼したいものですよね。
そこで、今日はみなさんの不安を解消すべく、国選弁護士について調査結果をレポートします。
専門的な部分は、刑事弁護の専門家、アトム法律事務所の弁護士に解説していただきます。
目次
国選弁護士について、疑問や不満をお持ちなのはあなただけではありません。
世間の生の声もご紹介したいと思います。
これらを踏まえたうえで、国選弁護士の制度や示談交渉の実態について考えていきましょう。
国選弁護士の示談交渉、私選弁護士とは何かが違う?権限に差がある?
さて、みなさんは国選弁護士に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。
早速ですが、まずは国選弁護士に対するみなさんの声をお聞きください。
現在裁判の最中で、国選弁護人をつけています。こちらの国選弁護人が正直あまり信用できません。
書類の作成は遅いし打ち合わせ回数増やすわりに今後どうしていくかも教えてくれません。
(略)出典:『Yahoo!知恵袋』Q:国選弁護人について質問があります。
投稿者:kgjdpalgpgさん
投稿日:2015/10/1012:40:23
こちらの方は、弁護士の能力について不信感をお持ちのようです。
きちんと仕事をしてくれないなんて、弁護士である前に社会人として、気になる点だと思います。
どのような方向性で弁護活動を進めていくのか、不明な点が多いと不安になります。
法律知識がない人にも丁寧に説明してくれる弁護士でないと、先行きが不安ですよね。
他にもこんな投稿がありました。
やる気のない国選弁護士の苦情は何処に言えばいいのですか?
父が傷害事件で逮捕されました。
(略)
こちらが「父はやっていないと言っているのにどうして弁護してくれないのですか?」と言うと「気に入らないのであれば私選弁護士を雇ってください」と逆キレする始末です。出典:『Yahoo!知恵袋』Q:やる気のない国選弁護士の苦情は何処に言えばいいのですか?
投稿者:ken_aki_kanoさん
投稿日:2009/7/3005:48:47
こちらの方は、弁護士のやる気について疑問をお持ちのようです。
なんだか投げやりというか、上から目線とでも言いましょうか…
ドラマなどで見る弁護士とイメージがちょっと違いました。
弁護士はみんな、熱く、誠意ある弁護活動をしてくれるものだと思っていました。
弁護士は一般市民を全力でサポートしてくれるものなのではないのでしょうか?
加害者から見た国選弁護士の示談交渉とは?
国選弁護士と対比してでてくるのに私選弁護士があります。
国選弁護士と私選弁護士は、いったい何が違うのでしょうか?
字面的には一文字違うだけ…
そこまで違いがないように感じてしまいますが…
もしや、弁護活動において、なにか権限の違いでもあるのでしょうか?
私選と国選では、出来ることに差があるのか、気になります。
国選も私選も、権限は同じです。
- 弁護士資格を持っている
- 弁護士会に弁護士登録している
弁護士として活動できているのであれば、国選も私選も全く同じ権限を持っています。
弁護士であれば、権限はみな同じです。
では、なぜこんなにも不満が生まれるのか不思議です。
原因はいったい何なのでしょうか。
ここからは国選弁護士の裏事情について見ていきたいと思います。
【裏事情】国選弁護士の示談交渉が加害者に不評なワケTop3
国選弁護士の裏事情を知れば、なぜ不満が生まれるのかお分かりいただけると思います。
ではさっそく見ていきましょう。
① 弁護士費用(報酬)がスズメの涙!?
国選弁護士に弁護される人は、弁護士費用がかかりません。
弁護士は被疑者・被告人に弁護士費用を請求することはありません。
弁護士が受け取る国選弁護の報酬は、裁判所によって決められています。
弁護士費用の一例を紹介すると、次のようになります。
弁護士が得る報酬の一例をご紹介しましょう。
国選弁護士の場合
窃盗事件(万引き)
約20万円
薬物事件
約30万円
性犯罪事件
約20万円
※交通費などの実費は含まれていません。
では、私選弁護士についてはどうでしょうか。
私選弁護士の弁護士費用は法律事務所ごとに費用体系が異なります。
なぜなら、弁護士は弁護士費用を自由に決めることができるからです。
ざっと調べただけでも、かなり幅があることがわかりました。
国選弁護士と私選弁護士の報酬体系の差をまとめるとこのようになります。
国選弁護士 | 私選弁護士 | |
---|---|---|
弁護士自身が弁護士費用を決めうるか | 不可 | 可 |
誰に対して請求するか | 法テラス | 依頼者 |
弁護士からすれば、得られる報酬は全然違います。
国選弁護士としての活動をやりがいをもって取り組む弁護士もたくさんいます。
ただ、報酬が弁護士の「やる気」につながっているのも現実です。
② 示談交渉の方法、やり方がわからない!?
弁護士は法律家として法律問題には詳しいはずです。
しかし「専門性」という点においては各個人のレベルや力の差がはっきりと見えてしまうことがあります。
弁護士によって、得意分野・多く扱っている事件の分野が違います。
弁護士はよく医者に例えらることがあります。
内科、外科、小児科、産婦人科…
細かく分野が分かれています。
弁護士も同じように、得意とする専門分野が分かれます。
- 離婚問題を得意とする弁護士
- 交通事故を多くあつかう弁護士
- 薬物事件の実績がある弁護士
国選弁護士の場合、その弁護士にとって初めてあつかうケースであることも少なくはありません。
国選弁護士は、国が選任するため、どのような弁護士に決まるかはわかりません。
必ずしも、お困りの事件を得意分野とする弁護士が来てくれるとは限らないのです。
そうです。
不満のカラクリはここにあったのですね。
③ 示談交渉で被害者を怒らせ示談交渉が決裂することも!?
経験が浅く示談交渉のスキルが乏しい…
そのために、示談が決裂することも考えられます。
もちろん、示談交渉は弁護士の交渉術も必要になります。
しかし、結局は被害者に対して親身な対応をしているかが問題になります。
経験値が少ないからといって、その経験値不足からくる対応の粗雑さが許されるものではありません。
示談交渉はデリケートなものです。
被害者に対して細やかな対応ができるかどうかが大切になってきます。
示談は、示談書の内容や日程の調整などもさることながら、さまざまな点において気を配る必要があります。
例えば、
「1回目の示談交渉で示談が成立しそうになったのに、示談書を用意しておらず、示談交渉が長引いてしまった。」
などの失敗例があります。
示談交渉における、微妙なタイミングというものは経験則でしか図れないものがあると思います。
弁護士歴が長かったとしても、専門外のケースでは未経験の弁護士とさほど変わらないこともあります。
【これで解決】国選弁護士の示談交渉に不満を持つ方へ(5つの解決策)
国選弁護士の裏事情について、ご理解いただけたと思います。
ここからは、そんな国選弁護士に対しての具体的な解決策を一挙に公開していきます。
5つの解決策をご紹介いたします。
① 国選弁護士に対する積極的なアプローチいろいろ
弁護活動において、弁護士とのやりとりが受け身になっていませんか?
費用をご自身で支払っていないゆえに、遠慮してしまうことがあるかもしれません。
ですが、弁護士へのコンタクトを積極的にとっていくことが大切です。
どうせ、取り合ってくれないだろう…
などと思わないで、あきらめずに連絡を取るようにしてみてください。
弁護士によっては、不器用な方もいます。
コミュニケーションがうまく取れなくて、口下手なだけかもしれません。
他の案件で忙しく、マメに連絡してくれない弁護士もいます。
ご自身から連絡すれば、きちんと質問の回答をくれるかもしれません。
弁護士である以上、仕事を受ければ、弁護活動について説明することは当然のことです。
遠慮はいりません。
分からないことは、きちんと聞くようにしましょう。
結局は、「人」と「人」とのやり取りになります。
弁護士とのやり取りはハードルが高い…
そのようなイメージをお持ちかもしれませんが、いったんそのイメージは取りのぞいてください。
遠慮せず、ご自身からコミュニケーションを積極的にとっていきましょう。
② 国選弁護士への苦情はどこに言えばいい?
国選弁護士とのやり取りが増えるように心掛けたけど、改善が見られない…
そもそも、相性が合わない…?
このように感じることもあると思います。
いくら優秀な弁護士でも、馬が合わなければ、信頼関係を築くことは難しいですね。
それでは、このように弁護士への不満をお持ちの場合はどのように対応していけばいいのでしょうか。
どこに相談すればいいのか、知っておくとよいでしょう。
国選弁護士は、法テラスが作成したリストをもとに、裁判所が選任する制度です。
法テラスとは、国選弁護士に関する事業を国からの委託に基づいて行っています。
国選弁護士の制度を利用する場合は、ご自身で弁護士を選ぶことはできません。
ですので、事前に弁護士を選べないとなると、どうしても合う合わないという問題が生じます。
弁護士の行う活動について、疑問や不満がある場合は、弁護士会の相談窓口に相談してみてください。
弁護士は、依頼人の法的利益を可能な限り守るように活動することが職務における使命です。
ですので、弁護活動に納得できなかったり、明らかにおかしいと思った場合は弁護士会に相談してみましょう。
全国の弁護士会には、弁護士の活動に関する苦情などを受け付ける相談窓口が設けられています。
弁護活動で納得できなかった内容を、その弁護士の所属する弁護士会の相談窓口にお話しください。
③ 国選弁護士だけが弁護士ではありません!
裁判所が国選弁護士をいったん選任すると、解任や他の国選弁護人に交代させることはほぼありません。
国選弁護士に不満があり、交代を希望したとしてもです。
そこで、頼りになるのが私選弁護人です。
セカンドオピニオンという言葉は聞いたことがあると思います。
病気なった時に、一人の医師だけでなく複数の医療機関を受診して、複数の医師から診断や治療方針について意見をもらうことがあります。
弁護活動においても、セカンドオピニオンという道があります。
一人目の弁護士の活動に疑問を持ったら、複数の弁護士に相談してみてください。
最近では、弁護活動の世界でもセカンドオピニオンがスタンダードになってきています。
無料相談を受け付けてくれる弁護士も、数多く存在しています。
そのような機会をうまく活用して、複数の弁護士に意見を求めてみましょう。
国選弁護士は、どのような弁護士がやってくるのか分からない運任せのような制度です。
一方で、私選弁護士は、ご自身で信頼のおける弁護士を選任することが可能です。
費用はかかってしまいますが、迅速で的確な弁護活動を進めたいのならば、私選弁護士に依頼することも視野に入れてみましょう。
国選弁護士と私選弁護士の違いを表にまとめておきます。
国選弁護士 | 私選弁護士 | |
---|---|---|
選任する人 | 裁判所 | 個人 |
選任するタイミング | 勾留されてから | いつでも可 |
④ 国選弁護士にはないサービス「初回接見」を利用する
私選弁護士という存在を知っていただけたところで…
初回接見を利用する方法を紹介します。
初回接見とは、弁護士が逮捕・勾留された方のもとへ足を運び出張で法律相談にのってくれるサービスのことです。
事件の状況によっては、ご家族は面会できない可能性があります。
しかし、弁護士なら何の制限もなく、いつでも面会することが可能です。
取り調べの際の注意点など、アドバイスをしてくれます。
初回接見を取り扱う法律事務所もいくつかありますので、一度検討してみるのもいいでしょう。
初回接見は、初回1回きりの契約です。
ですので、セカンドオピニオンとして利用される方も多いようです。
初回接見は、その後、その弁護士に依頼をしなければいけないわけではありません。
国選弁護士が付いている場合でも利用できますし、初回接見を使った後、国選を継続することも可能です。
この制度を活用するのも一つの手です。
初回接見を利用して、今後の事件の流れやアドバイスをもらうことができます。
また、信頼のおける弁護士だと感じたら、そのまま私選弁護士として選任することもご検討いただけます。
⑤ 私選弁護士に変更する
弁護士会に相談しても、解決の糸口がつかめなければ…
私選弁護士への依頼に変更しましょう。
ご自身が納得して信頼のおける弁護士に相談することが大切です。
疑問や不信感を持ち続けたまま、国選弁護士をつけておくメリットはないでしょう。
弁護士を変更することは、おかしなことでは決してありません。
より納得のいく弁護活動を求めるならば、弁護士を選びなおすのは当然のことです。
ですが、注意点が一つありますので、覚えておいてください。
私選弁護士に変更した後で、国選弁護士の制度を再度利用することはできません。
費用などの面も考慮して、私選弁護士についてもらえるならば、弁護士の変更を検討してみてください。
たしかに、費用を負担することにはなりますが、最良の結果を求めるのなら必要な選択です。
国選弁護士と私選弁護士の違いをもう一度おさらいしておきましょう。
国選弁護士 | 私選弁護士 | |
---|---|---|
弁護士費用の負担 | なし | あり |
弁護士を選ぶことができる | 不可 | 可 |
弁護士の変更 | 可* | 可 |
費用がかからないけど、どのような弁護士が付いてくれるか分からない国選弁護士。
費用はかかるが、ご自身が納得する信頼のおける弁護士が付けられる私選弁護士。
スピーディーな事件解決を求めるのならば、私選弁護士への相談を視野に入れてみましょう。
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最後にひとこと
国選弁護士について、調査結果をレポートしてきました。
国選弁護士の裏事情や、私選弁護士との違いがお分かりいただけたと思います。
いかがでしたでしょうか。
それでは、最後にアトム法律事務所の弁護士からひとこといただきたいと思います。
刑事事件はなによりも、スピーディーな初期対応が重要になってきます。
この国選弁護士が本当に信頼できる弁護士なのか…
などと考えている間にも、刑事手続きはどんどん進んでいってしまいます。
とくに、示談交渉は経験がものをいうところです。
経験豊富な弁護士に相談することで、示談交渉の結果も大きく変わるでしょう。
すこしでも疑問や不安を感じたら、初回接見のサービスなどを活用して私選弁護士への相談も検討しましょう。