殺人で有罪なら刑期は何年?|懲役5年?無期懲役?死刑?
殺人罪で有罪となれば、その刑期は何年になるのでしょうか?
あるいは、かならず死刑になってしまうのでしょうか?
そんな時こそ法律の専門家、弁護士に聞いていきましょう。
本日は、「殺人罪の刑期は何年?無期懲役・有期懲役とは」をテーマにお送りします。
- 殺人罪の刑期とは?
- 殺人罪は無期懲役?
- 殺人罪を弁護士に相談するには?
このような点について、レポートしていきたいと思います。
目次
編集部が全精力をかけて調査した内容になっています。
法律の専門的な部分は、専門家に伺っていきます。
解説は、テレビ・雑誌などでおなじみのアトム法律事務所の弁護士です。
ニュースなどで、「殺人」というワードはよく見聞きすると思います。
でも、殺人罪の裁判となれば、具体的にどのような処罰がくだされるのでしょうか。
本日は、殺人罪についてお持ちの疑問や不安に焦点当てて、レポートしていきたいと思います。
殺人罪の意味と刑期(刑罰)を法律の観点からみる
殺人罪が成立すると、どのような刑罰に処されるのか気になります。
人を殺した者には、やはり死刑という道しか残されていないのでしょうか?
でも殺人のニュースをよく目にする割には、死刑という言葉はあまり聞くことがありません。
こちらのニュースをご覧ください。
埼玉県三郷市で1月、元妻の交際相手だった同市の自動車整備士、(略)をナイフで刺して殺害したとして、殺人と銃刀法違反の罪に問われた無職、(略)の裁判員裁判で、さいたま地裁は28日、懲役17年(求刑懲役18年)の判決を言い渡した。(略)
出典:産経ニュース(2017.9.29 11:00)
殺人と銃刀法違反の罪に問われた事件です。
判決の結果は「懲役17年」とのことです。
死刑ではありませんでした。
そもそも、懲役とはなんなのかあいまいかもしれませんね。
そのような基本的なこともおさえつつ、殺人罪について解説していきたいと思います。
殺人罪の定義と懲役刑を解説
殺人罪が成立すると、どのくらいの刑期となるのでしょうか。
まずは、法律で殺人罪とはどのように定義されているのかみていきましょう。
刑法の第199条です。
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
出典:刑法第199条 (殺人)
「人を殺した者」というのは、言葉通り死亡に至らしめるということですね。
ここで重要なのが、「故意(殺意)」をもって殺害の実行行為におよんだかという点です。
単に人を殺す行為をしたからといって、殺人罪は成立しません。
刑法で殺人罪は死刑又は無期若しくは5年以上の懲役と定められています。
死刑とは、罪を犯した者の命を絶つという最も重い刑罰です。
懲役とは懲役刑のことで、刑務所に収監され、刑務作業を強いられる刑罰です。
殺人罪で有罪判決を受けると、次のうちいずれかの刑罰を受けることになります。
- 死刑
- 無期懲役
- 5年以上の有期懲役
最短でも、5年は覚悟しておくべきということになります。
まとめ
殺人罪の刑罰
懲役 | 罰金 | |
---|---|---|
法定刑 | 無期若しくは5年以上の懲役※ | 規定なし |
刑罰の内容 | 一定期間、刑務所に収監して刑務作業を行わせる刑罰 | 一定の金銭を強制的に支払わせる刑罰 |
殺人罪でも執行猶予はつくのか?
殺人罪で有罪となれば、最短でも5年の懲役刑ということです。
懲役刑となれば、判決確定後すぐに刑務所に入らなければならないのでしょうか。
ちょっとこちらのニュースをご覧ください。
おととし、相模原市の墓地で女性の遺体が見つかった事件で、交際していた男とともに遺体を遺棄した罪に問われ、無罪を主張していた被告に対して、最高裁判所は、上告を退ける決定を出し、懲役1年、執行猶予3年の有罪判決が確定することになりました。(略)
出典:NHK NEWS WEB(9月27日 20時21分)
とある死体遺棄事件の判決についてのニュースです。
みなさん、執行猶予という言葉はきいたことありますよね。
この死体遺棄事件では、「執行猶予3年」のようです。
殺人事件の場合、執行猶予はつくのでしょうか?
執行猶予とは、そもそもなんなのかその意味を理解していきたいと思います。
執行猶予って何?
執行猶予付きとなれば、日常生活を送ることができます。
社会生活を営むことができるのです。
つまり…
すぐさま刑務所にいくことはない。
ということになります。
刑の執行を一時的に猶予するのが、執行猶予です。
もちろん、一定の期間(執行猶予期間)中、犯罪を犯さないことが条件となっています。
執行猶予期間中に犯罪を犯した場合は、その犯罪によっては執行猶予が
- 「必ず取り消される場合」と
- 「取り消される可能性がある場合」
があります。
執行猶予の必要的取消し
執行猶予の期間内にさらに罪を犯して禁錮以上の刑に処せらせ、その刑について執行猶予の言渡しがないときなど。
この場合は前に出された執行猶予は必ず取り消されます。
(刑法第26条)
執行猶予の裁量的取消し
執行猶予の期間にさらに罪を犯し、罰金に処せられたときなど。
この場合は前に出された執行猶予が取り消される可能性はあるものの、取り消されないことも多いです。
(刑法第26条の2)
執行猶予は、加害者の事情・反省の度合いなど多面的な角度から判断されます。
社会生活の中で、自発的な更生を促す機会となっています。
執行猶予は、あくまでも刑が猶予されているだけでなので、刑そのものがなくなったという意味ではありません。
有罪判決であることに変わりはなく、前科がつくことになります。
前科がつくとはいえ、刑務所で日々を過ごすのと、日常生活を送れるのとでは大きな差がありますね。
殺人罪で執行猶予はほぼつかない
執行猶予の意味について、お分かりいただけたと思います。
それでは、殺人罪の場合は執行猶予はつくのでしょうか?
殺人罪の場合は…
執行猶予がつくことはほぼないと言えるでしょう。
比較的、軽めの犯罪とされているものにしか、執行猶予はつくことがありません。
殺人罪の法定刑は最低でも懲役5年以上であり、かなり重い犯罪です。
そのため、原則として殺人罪に執行猶予はつきません。
殺人罪は人の命を奪う犯罪です。
ごくたまに、殺人罪でも執行猶予がつくこともあります。
こちらの記事をご覧ください。
平成26年7月、夫の介護を続けていた妻が、自宅で、夫の頭や顔を数回殴り、急性硬膜下血腫で死亡させるという事件がありました。妻は、36年前に夫の不倫に対する怒りがこみ上げたこと、その怒りが介護の不安と重なったことが原因となって犯行に及んだといいます。
この事件について、平成27年6月25日、妻に懲役3年執行猶予5年という判決が下されました。(略)
出典:シェアしたくなる法律相談所「夫を殺した妻に「執行猶予」判決・・・こんなことアリなの?」(2015年7月8日)
夫の介護を続けていた妻が、夫を死亡させたという事件です。
ですが、「懲役3年、執行猶予5年」という判決だったようです。
加害者の事情・反省の度合いなどで、執行猶予を付けるかどうか判断されます。
ですが…
一般的には、殺人罪で執行猶予がつくことは極めてまれである
ということは、心にとどめておいてください。
殺人罪で有罪になれば懲役は何年なの?有期・無期懲役とは
殺人罪の懲役は…何年?
殺人罪で有罪になれば、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処するとされています。
死刑はどのようなものか、分かりますよね。
無期懲役も、期限がないということはなんとなく分かります。
それでは、5年以上の懲役とは最長何年のことなのでしょうか?
最長を理解するためには…
まず、「無期」・「有期」の意味を解説します。
懲役刑は、2つの種類があります。
- 無期懲役:懲役の期限が無い
- 有期懲役:懲役の期限が決められている
懲役についての条文を確認します。
懲役は、無期及び有期とし、有期懲役は、一月以上二十年以下とする。
出典:刑法第12条 (懲役)
有期懲役の期間は「一月以上二十年以下」です。
つまり…
- 最低1ヶ月
- 最長20年
刑務所で日々を過ごすということになります。
殺人罪の懲役刑は、「無期若しくは五年以上」です。
殺人罪で無期懲役になったら、期限はありません。
ですが、有期懲役となれば原則的に…
- もっとも短くて懲役5年
- もっとも長くて懲役20年
ということです。
有期懲役の場合、「一生刑務所暮らし」にはならないということになります。
まとめ
有期懲役の期間
最短 | 最長 | |
---|---|---|
有期懲役 | 1ヶ月 | 20年 |
殺人罪※ | 5年 | 20年 |
殺人罪の「初犯」なら懲役は何年?
殺人罪の刑罰は、死刑・無期懲役・有期懲役ということが分かりました。
最短でも5年ということです。
よく初犯であれば、刑罰が軽くなるという話を耳にします。
重い刑が定められている殺人罪でも、初犯なら最短5年の懲役となるのでしょうか?
殺人罪の初犯なら、懲役は何年くらいになるのか専門家に聞いていきたいと思います。
初犯の殺人罪は…
あくまで傾向としてですが、懲役10年以上になることが多いです。
減軽ケース
- 生活苦から無理心中を図ろうとして身内を殺害する場合
- 介護疲れによる殺人の場合
このような場合は酌量減軽される傾向にあります。
いろんな事情を考慮して刑が決められていきます。
刑が軽くなることがあれば、反対に、刑が重くなることもあります。
刑が重くなるケース
- 残虐、残忍な犯行を行った場合
- 複数の被害者をだした場合
- 殺人以外にも罪を犯していた場合
このようなケースでは初犯であっても無期懲役や死刑になることがあります。
殺人「未遂」でも、刑罰に処される?
殺人までいたらない、「殺人未遂」という事件もよくあると思います。
こちらのニュースをご覧ください。
児童養護施設で児童相談所の男性職員を刃物で切りつけたとして殺人未遂などの罪に問われた(略)の裁判員裁判の判決公判が8日、前橋地裁で開かれ、鈴木秀行裁判長は懲役8年(求刑懲役10年)と包丁1本没収を言い渡した。
出典:産経ニュース(2017.9.9 07:09)
刃物で人を切り付けた殺人未遂事件の判決ニュースです。
記事にあるとおり、未遂事件ですが「懲役8年」ということです。
そうなんです。
殺人罪は、未遂の場合も処罰されます。
条文を確認しておきます。
第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。
出典:刑法第203条 (未遂罪)
第199条が殺人罪についての条文なので、未遂であっても殺人罪と同等の罰として定義されています。
殺人未遂罪の具体例を紹介します。
殺人未遂の例①
殺意を持って被害者にナイフを突き刺したが、被害者は一命をとりとめた。
殺人未遂の例②
殺意を持って被害者の首を絞めたが、自らの意思で思いとどまり殺害行為を止めた。
これらのケースでは、両方殺人未遂罪として責任を問われます。
しかし、たまたま「被害者の死亡」という結果にいたらなかった場合が①です。
一方で、自分の意思で犯罪を中止したことで未遂になった場合が②です。
① は刑が減軽される可能性があるにとどまり、②は必ず刑が減軽または免除されるという点で異なります。
殺人未遂の場合、懲役刑の期間は規定より短くなる可能性もあります。
殺人罪について、もっと詳しく知りたいという方はこちらの記事もどうぞ。
また、「そもそも刑事事件の流れはどなっているの?」
という方には、こちらの記事がオススメです。
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殺人罪の刑期についてくわしく見てきました。
刑期が何年くらいになるのか、お分かりいただけたと思います。
さて、それではここからは「弁護士相談のススメ」と題してお送りします。
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最後に弁護士からメッセージ
殺人罪の刑期についてレポートしました。
懲役の意味についても知ることができたと思います。
それでは最後に、アトム法律事務所の弁護士から一言メッセージをいただきたいと思います。
殺人罪のような刑事事件は、迅速な初期対応が重要になります。
刑事手続きは、あっという間に進んでいってしまいます。
一刻も早く、弁護士に相談するようにしてください。
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