逮捕それとも書類送検?基準は?起訴までの期間・流れは?不起訴・前科との関連も
- 「逮捕されるのか、書類送検になるのか、その基準が知りたい。」
- 「いま事情聴取されているけれど、この後どうなるのか気になる。」
といったお悩みをかかえている方も多いでしょう。
そこで、今回は「逮捕それとも書類送検?」というテーマで、
- 書類送検の意味
- 逮捕される基準・書類送検になる基準
- 起訴されるまでの期間・流れ
- 逮捕や書類送検で前科がつくか?
- 不起訴を目指すうえで重要な「示談」の流れ
について、レポートします。
刑事事件の各種手続については、刑事事件に力を入れるアトム法律事務所の弁護士にお願いします。
よろしくお願いします。
逮捕と書類送検の違いなど基本的なところや、それぞれの基準について、実務の視点にもとづいて詳しく解説します。
目次
書類送検とは?逮捕との違いは?わかりやすく解説します。
(1)「書類送検」とは?
書類送検とは、「送致」の一類型です。
そもそも、送致とは、どういった手続なのでしょうか。
刑事手続き上、送致が問題になる場面には、次のようなものがあります。
送致の場面
- ① 警察から検察へ、事件送致(送検)
- ② 警察から家庭裁判所へ、少年事件の送致
- ③ 家庭裁判所から検察官へ、少年事件の逆送致
警察から検察へ事件送致される場合(①)のことを、「送検」と呼びます。
警察によって犯罪捜査された場合、基本的に、その事件は送検されます。
司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、‥‥‥書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。
出典:刑事訴訟法第246条本文
送検にも種類があります。
「書類送検」と「身柄送致」の2種類です。
「書類送検」とは、捜査書類のみが検察官に送致される手続きです。
「身柄送致」とは、逮捕された被疑者の身体と、捜査書類が一緒に送致される手続きです。
次の項目で、「逮捕」と「書類送検」の関係を確認していきましょう。
(2)「逮捕」とは?書類送検との違いは?
「逮捕」と「書類送検」の違いが分からないという方も、いるかもしれません。
まず、逮捕の定義を確認しておきます。
逮捕は、犯人を捕まえる手続です。
逮捕 |
---|
犯人が捕まること |
送検は、
刑事事件の捜査を、警察から検察へバトンタッチする手続
です。
書類送検では、捜査書類だけが、警察から検察へ引き継がれます。
多くは、逮捕されていない事案で、書類送検されることになります。
送検 |
---|
刑事事件の捜査の主導権が、警察から検察へバトンタッチされること 身柄送致犯人の身体が、送致されること 書類送検捜査書類だけが、送致されること |
送検後、検察官はによる取り調べや捜査がされます。
そして、検察官によって、最終的に起訴するかどうか決定されます。
逮捕それとも書類送検?その基準は?
(1)書類送検の基準は「逮捕されないこと」?
書類送検になるのは、次のようなパターンです。
書類送検になるパターン
- ① 逮捕されなかった場合
- ② 逮捕されたけれど、釈放された場合
こんな感じになります。↓↓↓
①逮捕あり | ①逮捕あり | ②逮捕なし |
---|---|---|
↓ 釈放なし ↓ | ↓ 釈放された* ↓ | ↓ (拘束なし) ↓ |
身柄送致 | 書類送検 | 書類送検 |
「逮捕あり」のケースだと、身柄送致につながりやすいです。
ということは、「逮捕されないこと」が書類送検の基準といえそうです。
そうなると、気になるのは「どんなとき逮捕されるのか?」ですよね。
次の項目で、逮捕の条件を確認していきましょう。
(2)「逮捕の条件」を確認しよう
そもそも、逮捕には3種類あります。
逮捕の種類は?
- 通常逮捕
- 現行犯逮捕
- 緊急逮捕
逮捕の種類が違えば、逮捕の条件も違います。
ですが、共通項もあります。
逮捕の条件について、共通項をまとめてみましょう。
逮捕の条件とは?
- ① 逮捕の理由があること
- ② 逮捕の必要性があること
この2つの条件が、共通項です。
具体的な内容は、次の表のとおりです。
逮捕の理由 | 逮捕の必要性 | |
---|---|---|
意味 | 犯罪を裏付ける客観的な理由があること | ・逃亡のおそれがあること ・証拠隠滅のおそれがあること |
具体例 | 目撃証言あり。 防犯カメラの映像。 | 仕事や住居がない。 証拠を捨てた。 被害者を威迫した。 |
いくら犯罪を裏付ける証拠があったとしても、逮捕の必要性がないときは、逮捕されません。
逮捕の必要性は、「逃亡のおそれ」や「証拠隠滅のおそれ」の有無によって判断されます。
逮捕の基準について詳しく知りたい方は、以下の特集記事も、あわせて読んでみてくださいね。
逮捕の条件・基準に関する記事はこちら↓↓↓
さて、次は「逮捕」から起訴されるまでの期間・流れについて見ていきましょう。
「逮捕」から起訴されるまでの期間・流れ
【図解】時間制限あり?逮捕から送検まで48時間・起訴まで72時間
さて、逮捕されてから起訴されるまでの流れを見ていきましょう。
それぞれの過程で時間制限があります。
- 逮捕から送致までは48時間以内
- 送致・受理されてから勾留請求までは24時間以内
- 勾留は10日間以内
- 勾留延長はさらに10日間以内
といった時間制限になっています。
このように見てくると、逮捕から起訴されるまで最長で23日間留置されることになります。
警察に逮捕されるまでの流れをまとめた記事もあります。↓↓↓
さて、次に「書類送検」から起訴されるまでの期間・流れについてです。
「書類送検」から起訴されるまでの期間・流れ
時間制限なし?いつ起訴されるか分からない?!
書類送検の場合は、上記のような時間制限はありません。
そのため、
- 書類送検までは、どのくらいの期間か?
- 起訴されるまでは、どのくらいの期間か?
について、明確な数字をあげることはできません。
長期にわたることも覚悟しなければなりません。
【コラム】取り調べは「検察からの呼び出し」に左右される
書類送検される事件では、基本的に、家で生活することになります。
ですが、取り調べを受ける必要は、あります。
捜査機関から「呼び出し」を受けたら、その都度、出頭しなければなりません。
書類送検されるまでは警察から、書類送検された後は検察から呼び出しを受けることになるでしょう。
検察庁からの「呼び出し」に関する特集記事もあるので、あわせて読んでみてくださいね。↓↓↓
さて、さいごにQ&Aで理解を深めていきましょう。
【逮捕・書類送検にまつわるQ&A】不起訴や前科・前歴について
①書類送検だと不起訴?「厳重処分の意見」で起訴になるって本当?
書類送検の場合、警察の「送致意見」が付されます。
「送致意見」とは、被疑者の処分に関する意見のことです。
送致意見の種類
- ① 厳重処分:起訴したほうがよい
- ② 相当処分:事案に応じた処分がよい
- ③ 寛大処分:起訴しなくてもよい
- ④ しかるべく:(何も言わないに等しい)
これらの4つの送致意見のなかで、いちばん厳しいものが「厳重処分」です。
「厳重処分の意見がついたら必ず起訴されるのか?」
という点が気になりますよね。
厳重処分という送致意見がつく事案は、そもそも重大な結果が生じているケースです。
そのため、起訴される可能性は高いと思われます。
厳重処分の意見が付された事案でも、起訴か不起訴かを決定するのは、検察官です。
警察の「送致意見」は、一つの考慮事項にすぎません。
「厳重処分」の送致意見がついたからといって、必ず起訴されるとは限りません。
きびしい評価の送致意見が付されないことに越したことはないです。
早いうちから、弁護士さんに助言をもらっておくことが大切です。
②書類送検だと略式起訴になる?
このニュースのように、「書類送検のあとは略式起訴」といったイメージがあります。
工場で、過労自殺した40代の男性社員に違法な長時間残業をさせたとして、(略)労働基準法違反容疑で書類送検された法人(略)を同法違反の罪で略式起訴した。
出典:産経WEST 2018.3.26 17:58
実際のところは、どうなのでしょうか?
「書類送検は、略式起訴になる」といった法律上のルールはありません。
ですが、罰金刑が科されるような軽微な事案の場合、
- 書類送検になりやすい
- 略式起訴で処理できる
といったケースが多いです。
関係ない 書類送検 ==✖==> 略式起訴 ↑↑↑ 《逮捕なし》 ⇧ 逃亡のおそれなし ⇧ 証拠隠滅のおそれなし ⇧ ↑↑↑ 《事案の態様》:罰金刑が科される事案 |
このような関係にあるため、「書類送検だと略式起訴になる」といったイメージがついたのでしょう。
③逮捕も書類送検も前科・前歴はつく?
まずは、前科・前歴の意味を確認しておきましょう。
逮捕や書類送検の段階では、前科はつきません。
一方、「前歴」とは、
犯罪の捜査対象となった履歴
です。
逮捕や書類送検でも、前歴はつきます。
前科と前歴についてまとめました。↓↓↓
前科 | 前歴 | |
---|---|---|
意味 | 有罪の確定判決 | 捜査の履歴 |
逮捕されたとき | ✖ | 〇 |
書類送検されたとき | ✖ | 〇 |
有罪判決がでたとき | 〇 | 〇 |
前科・犯歴について気になる方、こちらの特集記事もおすすめです。↓↓↓
④不起訴になるには示談が必要?示談の流れは?
逮捕や書類送検された場合、「不起訴を目指したい」という方も多いでしょう。
どうすれば不起訴の可能性を広げることができるのでしょうか。
不起訴を目指したいときは、まず示談にとりかかることが重要です。
示談の成立は、不起訴処分が出される際の考慮事情の一つになります。
示談が成立していることは、「当事者間では事件が解決されている」ということを表します。
「示談」とは、
民事上の紛争について、裁判外における当事者間の話合いによって解決すること
です。
たしかに、犯罪は刑事事件です。
しかし、その被害の弁償については、民事の問題です。
このような民事上の賠償責任について、当事者が話合いで解決するのが「示談」です。
示談とは?
- 被害の弁償について、解決する手段
- 示談が成立したら、示談金の支払いをする
示談の流れは、次のとおりです。
通常、示談は「弁護士」にしてもらいます。
被害者としては、加害者と連絡を取ることに抵抗を感じる人も多いです。
そのため、弁護士さんに仲介してもらって示談交渉をすすめていきます。
示談交渉の進め方
弁護士にすすめてもらう
示談で気になるのが、示談金ですよね。
実例とともに示談金の金額を紹介した示談金検索ツールもあるので、ぜひ参考にしてみてください。↓↓↓
「逮捕や書類送検されたけれど、不起訴を目指したい」という方、こちらの記事もおすすめです。↓↓↓
さて、ここまで読んできて、さっそく弁護士に相談したくなったという方もおられるでしょう。
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さいごに
今回は、逮捕と書類送検の基準などについて見てきました。
身体拘束されていない事案では、書類送検されます。
書類送検の場合でも、起訴される可能性はあります。
不起訴を目指したい方は、早めに示談交渉にとりかかりましょう。
早めのスタートが、その後の示談成立の可能性を広げます。
逮捕や書類送検でお悩みの方は、今すぐ弁護士にご相談いただければと思います。